説明

撮像装置

レンズユニット1aと、電力の供給により変形してレンズユニットを移動させる第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72とを備えるデジタルカメラ100である。デジタルカメラの使用環境条件に応じたアクチュエータの動作特性に基づいて、レンズユニットを所定の停止位置まで移動させるためのアクチュエータの動作量が規定された停止位置データを記憶するROM12を備える。特定した使用環境条件に対応するアクチュエータの動作特性に基づいて、ROMに記憶された停止位置データからアクチュエータの動作量を取得する動作量取得手段(例えば、CPU13等)を備える。取得したアクチュエータの動作量に従って、レンズユニットを所定の停止位置まで移動させるようにアクチュエータの動作を制御する制御手段(例えば、CPU13等)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給により変形して撮像部材を移動させるアクチュエータを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等の撮像装置は、撮像レンズの駆動にモータを用いたものが多く、モータに入力するパルス数や、レンズの位置検出用のフォトトランジスタ等を用いてレンズの位置を調整するようになっている。
ところで、近年では、撮像装置の小型化が著しく進行しており、また、撮像ユニットを搭載した携帯端末も開発されているが、これらにあっては、オートフォーカスやズーム機能用のモータを搭載するためのスペースの確保が困難となっている。
【0003】
そこで、電圧の印加により変位して撮像レンズを光軸方向に直動させる圧電セラミックスを備えたカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、通電により変形して撮像レンズを直動させる形状記憶合金を備えた駆動装置を有するカメラも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平11−264927号公報
【特許文献2】特開2000−56208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2等の場合、圧電セラミックスや形状記憶合金等のアクチュエータの動作に応じて移動する撮像レンズの位置調整のために例えば位置検出センサ等を用いなければならず、撮像装置の小型化が十分に図れないといった問題がある。
また、位置検出センサを用いない場合には、中央処理装置等による演算によってレンズの停止位置を算出し、その停止位置に応じて例えば電圧や通電量を変化させて、撮像レンズの位置調整を行うようになっているが、これらは温度や撮像装置の撮像時の姿勢等の使用環境条件の変化によるアクチュエータの動作量の変化を考慮したものとなっていないため、撮像レンズの位置調整を適正に行うことが困難となっている。
さらに、例えば、撮像素子としてCCD等を用いたカメラにあっては、実際の画像信号を用いてオートフォーカスするような構成となっているが、使用環境条件により撮像レンズの停止位置が変化した場合には、画像の広範囲のポイントでスキャニングして合焦点を算出しなければならず、その動作を短時間で行うことができなかった。
【0005】
本発明の課題は、小型化を図ることができるとともに、撮像部材の位置調整を高速で且つ適正に行うことができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、被写体を撮像する撮像部を構成する移動可能な撮像部材と、電力供給により変形して前記撮像部材を移動させるとともに、当該撮像装置の使用環境条件に応じて電力供給に対する動作特性が変動するアクチュエータと、前記アクチュエータの動作を制御する制御手段と、を備える撮像装置であって、
当該撮像装置の少なくとも一つの使用環境条件に応じた前記アクチュエータの動作特性に基づいて、前記撮像部材を所定の停止位置まで移動させるための前記アクチュエータの動作量が規定された停止位置情報を記憶する記憶手段と、
当該撮像装置の使用環境条件を特定する使用環境条件特定手段と、
前記使用環境条件特定手段により特定された前記使用環境条件に対応する前記アクチュエータの動作特性に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記停止位置情報から前記アクチュエータの動作量を取得する動作量取得手段と、を備え、
前記制御手段は、前記動作量取得手段により取得された前記アクチュエータの動作量に従って、前記撮像部材を所定の停止位置まで移動させるように前記アクチュエータの動作を制御することを特徴としている。
【0007】
ここで、アクチュエータとしては、例えば、圧電セラミックスや、形状記憶合金等が挙げられる。また、アクチュエータの変形とは、例えば、圧電セラミックスにあっては厚みの変化を伴うものであり、形状記憶合金にあっては曲がりが生じたりその長さが変化するものである。
また、撮像部材としては、例えば、被写体の光学像を結像する撮像レンズや、撮像レンズにより結像された光学像を光電変換する撮像素子等が挙げられる。
さらに、使用環境条件としては、例えば、温度、湿度、撮像装置の撮像時の姿勢、撮像部材の移動方向等が挙げられる。
【0008】
この発明によれば、撮像装置の使用環境条件を特定し、特定した使用環境条件に対応するアクチュエータの動作特性に基づいて、停止位置情報からアクチュエータの動作量を取得し、取得したアクチュエータの動作量に従って、撮像部材を所定の停止位置まで移動させるようにアクチュエータを動作させることができる。即ち、撮像装置の少なくとも一つの使用環境条件に応じたアクチュエータの動作特性に基づいて、撮像部材を所定の停止位置まで移動させるためのアクチュエータの動作量が規定された停止位置情報を記憶しているので、この停止位置情報に従って、アクチュエータの動作量の取得を迅速に行うことができる。さらに、取得したアクチュエータの動作量は、使用環境条件に対応するアクチュエータの動作特性の変化を考慮したものであるため、このアクチュエータの動作量に従って撮像部材を移動させることによって、撮像部材の位置調整を高速で且つ適正に行うことができる。
また、アクチュエータにより撮像部材を移動させるので、例えばモータにより撮像部材を移動させる場合に比べて、撮像装置の小型化を図ることができ、且つ、バックラッシを生じさせることなく撮像部材の高速での移動を実現することができる。
【0009】
また、前記停止位置情報は、温度を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された温度動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、温度を検知する温度検知手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記温度検知手段により検知された温度における前記アクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記温度動作量情報から取得しても良い。
【0010】
この発明によれば、検知した温度におけるアクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、停止位置情報に含まれる温度動作量情報から取得することができる。よって、使用環境条件としての温度の変化に応じて異なるアクチュエータの動作特性を考慮したアクチュエータの動作量に従って、撮像部材の位置調整を適正に行うことができる。
【0011】
さらに、前記停止位置情報は、前記撮像部の姿勢を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された姿勢動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、前記被写体の撮像に際しての前記撮像部の姿勢を特定する姿勢特定手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記姿勢特定手段により特定された前記撮像部の姿勢における前記アクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記姿勢動作量情報から取得しても良い。
【0012】
この発明によれば、特定した被写体の撮像に際しての撮像部の姿勢におけるアクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、停止位置情報に含まれる姿勢動作量情報から取得することができる。よって、使用環境条件としての撮像部の姿勢変化に応じて異なるアクチュエータの動作特性を考慮したアクチュエータの動作量に従って、撮像部材の位置調整を適正に行うことができる。
【0013】
また、前記停止位置情報は、前記アクチュエータによる前記撮像部材の移動方向を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された方向動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、前記アクチュエータによる前記撮像部材の移動方向を特定する移動方向特定手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記移動方向特定手段により特定された前記撮像部材の移動方向における前記アクチュエータの動作特性に応じた前記アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記方向動作量情報から取得しても良い。
【0014】
この発明によれば、特定した撮像部材の移動方向におけるアクチュエータの動作特性に応じたアクチュエータの動作量を、停止位置情報に含まれる方向動作量情報から取得することができる。よって、使用環境条件としての、例えばズームインやズームアウト時等の撮像部材の移動方向に応じて異なるアクチュエータの動作特性を考慮したアクチュエータの動作量に従って、撮像部材の位置調整を適正に行うことができる。
【0015】
また、前記停止位置情報は、湿度を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された湿度動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、湿度を検知する湿度検知手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記湿度検知手段により検知された湿度における前記アクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記湿度動作量情報から取得しても良い。
【0016】
この発明によれば、検知した湿度におけるアクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、停止位置情報に含まれる湿度動作量情報から取得することができる。よって、使用環境条件としての湿度の変化に応じて異なるアクチュエータの動作特性を考慮したアクチュエータの動作量に従って、撮像部材の位置調整を適正に行うことができる。
【0017】
また、前記記憶手段は、前記撮像部材の停止位置と対応付けて、前記撮像部から前記被写体までの撮像距離に関する距離情報を記憶し、
前記撮像距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段により測定された撮像距離に基づいて、当該撮像距離に対応する前記記憶手段に記憶された前記距離情報から前記撮像部材の停止位置を特定する停止位置特定手段と、を備え、
前記動作量取得手段は、前記停止位置特定手段により特定された前記停止位置に応じた前記アクチュエータの動作量を、前記記憶手段に記憶された前記停止位置情報から取得しても良い。
【0018】
この発明によれば、測定した撮像部から被写体までの撮像距離に基づいて、距離情報から撮像部材の停止位置を特定することができるので、撮像部材の停止位置の特定を、例えば所定の演算回路による演算を行って算出する場合に比べて迅速に行うことができる。さらに、特定した停止位置に応じたアクチュエータの動作量を停止位置情報から迅速に取得することができるので、撮像部材の位置調整の高速化に寄与することができる。
【0019】
また、前記アクチュエータは、少なくとも2つ設けられ、第一のアクチュエータは、高精度での動作制御が可能に構成され、第二のアクチュエータは、前記第一のアクチュエータよりも動作範囲が広く構成されていることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、少なくとも2つ設けられたアクチュエータのうち、第一のアクチュエータは、高精度での動作制御が可能に構成され、第二のアクチュエータは、第一のアクチュエータよりも動作範囲が広く構成されているので、これら二つのアクチュエータを組み合わせて撮像部材を移動させることによって、撮像部材の位置調整を高速で且つ高精度、即ち、より合理的に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、撮像装置の少なくとも一つの使用環境条件に応じたアクチュエータの動作特性に基づいて、撮像部材を所定の停止位置まで移動させるためのアクチュエータの動作量が規定された停止位置情報を記憶しているので、この停止位置情報に従って、アクチュエータの動作量の取得を迅速に行うことができる。さらに、取得したアクチュエータの動作量は、使用環境条件に対応するアクチュエータの動作特性の変化を考慮したものであるため、このアクチュエータの動作量に従って撮像部材を移動させることによって、撮像部材の位置調整を高速で且つ適正に行うことができる。また、例えばモータにより撮像部材を移動させる場合に比べて、撮像装置の小型化を図ることができ、且つ、バックラッシを生じさせることなく撮像部材の高速での移動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用した撮像装置の一実施の形態として例示するデジタルカメラの要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1のデジタルカメラに備わる撮像部を示す分解斜視図である。
【図3】図1のデジタルカメラによる停止位置調整処理に係る停止位置動作量テーブルを模式的に示した図である。
【図4】図1のデジタルカメラによる停止位置調整処理に係る温度補正テーブルを模式的に示した図である。
【図5】図1のデジタルカメラによる停止位置調整処理に係る姿勢補正テーブルを模式的に示した図である。
【図6】図1のデジタルカメラによる停止位置調整処理に係る方向補正テーブルを模式的に示した図である。
【図7】図1のデジタルカメラによる停止位置調整処理に係る湿度補正テーブルを模式的に示した図である。
【図8】図1のデジタルカメラによる停止位置調整処理に係る停止位置距離テーブルを模式的に示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した撮像装置の一実施の形態として例示するデジタルカメラの要部構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、デジタルカメラ100は、撮像部1、A/D変換回路2、画像用メモリ3、温度センサ4、湿度センサ14、傾き検知センサ5、発光部6、受光部7、電源部8、電源スイッチ9、レリーズスイッチ10、RAM11、ROM12、CPU13等を備えて構成されている。
【0025】
撮像部1は、光路上において被写体(図示略)の光学像を結像する例えば複数の撮像レンズ(図示略)を有するレンズユニット(撮像部材)1aと、レンズユニット1aの合焦位置調整のために当該レンズユニット1aを光軸方向Aに移動させる駆動機構1bと、レンズユニット1aにより結像された光学像を光電変換し、光電変換した画像信号(アナログ信号)をA/D変換回路2に出力する、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子1cと、CPU13により開放量が制御されることで撮像素子1cに入射する光の量を調節する絞り部1dとを備えている。
【0026】
ここで、レンズユニット1a及び駆動機構1bについて、図2を参照してさらに詳細に説明する。
なお、図2は、撮像部1を示す分解斜視図であるが、撮像素子1c及び絞り部1dの図示は省略している。
【0027】
図2に示すように、レンズユニット1a及び駆動機構1bの被写体側には、前側枠部材51が設けられ、これらの被写体と反対側には、後側枠部材52が設けられており、前側枠部材51と後側枠部材52とが固着部材53、53により固着されることによって、レンズユニット1a、駆動機構1b、前側枠部材51、後側枠部材52及び固着部材53が一体となって構成される。
【0028】
前側枠部材51には、光軸方向Aと略平行に延在する第一シャフト51a及び第二シャフト51bが設けられ、後側枠部材52には、第一シャフト51a及び第二シャフト51bを受ける第一シャフト受部52a及び第二シャフト受部52bが設けられている。
レンズユニット1aは、内部に複数の撮像レンズを保持する保持部材60を備えており、保持部材60の外周面には、レンズユニット1aの光軸方向Aに対する移動を案内する第一案内部61及び第二案内部62が設けられている。
第一案内部61には、第一シャフト51aが挿通される挿通孔61aが設けられるとともにレンズユニット1aを光軸方向Aにおける被写体と反対側に付勢するバネ61bが取り付けられている。第二案内部62には、第二シャフト51bを受けるためのシャフト受部62aが形成されている。
従って、上記構成のレンズユニット1aは、挿通孔61aに第一シャフト51aが挿通されるとともに、シャフト受部62aによって第二シャフト51bが受けられるようにして、前側枠部材51及び後側枠部材52が固着されることによって、光軸方向Aに移動自在な状態とすることができる。
また、保持部材60には、第一案内部61に隣接して、駆動機構1bを構成する第一アクチュエータ71(後述)を固定するための固定部63が設けられている。
【0029】
駆動機構1bは、CPU13からの制御下における電源部8からの電力の供給により作動して変形することによってレンズユニット1aを光軸方向Aに移動させるものであり、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72を備えている。
【0030】
第一アクチュエータ71は、例えば、光軸方向Aに圧電素子が積層された積層型の圧電セラミックスであり、CPU13の制御下にて第二アクチュエータ72よりも高精度での動作制御が可能に構成されている。また、第一アクチュエータ71は、光軸方向Aにおける被写体側の端部が固定部63に固定され、被写体と反対側の端部が第二アクチュエータ72の一方の端部に当接可能に設けられている。
そして、第一アクチュエータ71は、入力されたパルス電圧に応じて、被写体と反対側の端部の位置を光軸方向Aに移動させるように変位することにより、第二アクチュエータ72の一方の端部を押圧して、この第二アクチュエータ72に対してレンズユニット1aを光軸方向Aの被写体側に移動可能となっている。
【0031】
第二アクチュエータ72は、レンズユニット1aと後側枠部材52との間に設けられた略半円環状の圧電セラミックスであり、CPU13の制御下にて第一アクチュエータ71よりも動作範囲が広くなるように構成されている。また、第二アクチュエータ72は、一方の端部が固定部63に固定された第一アクチュエータ71に当接可能に、且つ、他方の端部が後側枠部材52に当接可能に設けられている。
そして、第二アクチュエータ72は、入力されたパルス電圧に応じて、一方の端部に対する他方の端部の光軸方向Aにおける位置を変動させるように変位することによって、レンズユニット1aを光軸方向Aに移動可能となっている。即ち、第二アクチュエータ72の両端部どうしが離れるように変位することによって、レンズユニット1aを被写体側に移動可能となっている一方で、第二アクチュエータ72の両端部どうしが近づくように変位することによって、バネ61bによって光軸方向Aにおける被写体と反対側に常時付勢されたレンズユニット1aは、被写体と反対側に移動可能となっている。
【0032】
上記の構成の第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72は、CPU13の制御下において、レンズユニット1aを光軸方向Aに移動させる量に応じて、何れか一方が動作するような構成であっても良いし、両方が動作するような構成であっても良い。
【0033】
A/D変換回路2は、撮像素子1cから出力され入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル画像信号を画像用メモリ3に出力する。
画像用メモリ3は、A/D変換回路2を介して入力されたデジタル画像信号を一時的に格納する。
【0034】
温度センサ4は、当該デジタルカメラ100内部の温度を検知して、温度検知信号をCPU13に対して出力する。また、温度センサ4は、温度の変化により動作特性が変動する駆動機構1bの付近、或いは、これら駆動機構1bに接触して配設されるのが好ましい。
湿度センサ14は、当該デジタルカメラ100内部の湿度を検知して、湿度検知信号をCPU13に対して出力する。また、湿度センサ4は、湿度の変化により動作特性が変動する駆動機構1bの付近、或いは、これら駆動機構1bに接触して配設されるのが好ましい。
傾き検知センサ5は、当該デジタルカメラ100の鉛直方向に対して垂直な水平方向における傾き度合を検知して、傾き検知信号をCPU13に対して出力する。
ここで、上記温度センサ4、湿度センサ14及び傾き検知センサ5は、如何なるものも適用可能となっている。
【0035】
発光部6は、例えば、赤外線LED等であり、CPU13の制御下にて駆動回路(図示略)により駆動されて発光するものである。
受光部7は、例えば、フォトダイオード等であり、発光部6が発光して被写体にて反射した光を受光して、増幅回路(図示略)を介してCPU13に対して光検知信号を出力する。
【0036】
電源部8は、図示は省略するが、繰り返し使用可能な二次電池等の電源と、電源から出力された電圧が入力され、当該デジタルカメラ100を構成する各部において必要な定格電圧に変換して各部に供給する電源回路とを備えている。
電源スイッチ9は、ユーザにより操作され、電源オン操作により電源の出力段を電源回路の入力段に接続し、電源オフ操作により電源の出力段と電源回路の入力段との接続を開放する。
レリーズスイッチ10は、ユーザの操作に基づいて、CPU13に撮像動作の開始を指示する指示信号を出力する。
【0037】
RAM(Random Access Memory)11は、例えば、揮発性の半導体メモリであり、CPU13が処理中のプログラム、データ等を一時的に記憶する作業領域を有している。
【0038】
ROM(Read Only Memory)12は、読み出し専用のメモリであり、CPU13により実行されるデジタルカメラ100としての各種の処理にかかるアプリケーションプログラムや、各種動作に使用するデータ等を記憶する。具体的には、ROM12は、距離測定プログラム12a、停止位置特定プログラム12b、使用環境条件特定プログラム12c、動作量取得プログラム12d、温度検知プログラム12e、姿勢特定プログラム12f、移動方向特定プログラム12g、湿度検知プログラム12k、制御プログラム12h等を記憶している。
【0039】
また、ROM12は、当該デジタルカメラ100の少なくとも一つの使用環境条件に応じた第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて、レンズユニット1aを所定の停止位置まで移動させるための第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量が規定された停止位置動作量テーブル(停止位置情報;図3参照)12iを記憶する記憶手段を構成している。
停止位置動作量テーブル12iは、例えば、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量が、温度を含む使用環境条件に応じて変動される当該第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて規定された温度動作量情報や、湿度を含む使用環境条件に応じて変動される第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて規定された湿度動作量情報や、撮像部1の姿勢を含む使用環境条件に応じて変動される第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて規定された姿勢動作量情報や、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作によるレンズユニット1aの移動方向を含む使用環境条件に応じて変動される第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて規定された方向動作量情報等を含んで構成されている。
ここで、温度動作量情報は、具体的には、例えば図4に示すように、温度と、その温度におけるアクチュエータの動作量の補正係数とが対応付けられた温度補正テーブルT1を有し、湿度動作量情報は、例えば図7に示すように、湿度と、その湿度におけるアクチュエータの動作量の補正係数とが対応付けられた湿度補正テーブルT4を有し、姿勢動作量情報は、例えば図5に示すように、撮像姿勢と、その姿勢に応じたアクチュエータの動作量の補正係数とが対応付けられた姿勢補正テーブルT2を有し、方向動作量情報は、例えば図6に示すように、レンズユニット1aの移動方向と、移動方向に応じたアクチュエータの動作量の補正係数とが対応付けられた方向補正テーブルT3を有している。
【0040】
なお、姿勢動作量情報にあっては、撮像部1の姿勢は、例えば、当該撮像部1を構成する部品の製造誤差により生じる質量のバラツキ等により変動する場合があることから、部品の質量により変動される第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて、その動作量が規定されたものであっても良い。これにより、部品の質量のバラツキを考慮した姿勢動作量情報に基づいて、レンズユニット1aの光軸方向Aにおける位置調整をより適正に行うことができる。
【0041】
さらに、ROM12は、レンズユニット1aの光軸方向Aにおける停止位置と撮像部1から被写体までの撮像距離とが対応付けられた停止位置距離テーブル(距離情報;図7参照)12jを記憶している。
【0042】
CPU(Central Processing Unit)13は、ROM12に記憶されているデジタルカメラ100としての各種機能に関る各種アプリケーションプログラムを読み出してRAM11内の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理等を実行する。
具体的には、CPU13は、例えば、オートフォーカス(AF)やズーム等の際に、光軸方向Aに移動されるレンズユニット1aの停止位置(合焦位置)を調整するための停止位置調整処理を行う。
【0043】
この停止位置調整処理において、CPU13は、距離測定プログラム12aに従って、発光部6から発光されて被写体にて反射した光を受光部7にて受光することで増幅回路から出力された光検知信号に基づいて、撮像部1から被写体までの撮像距離を測定する。ここで、CPU13は、発光部6及び受光部7とともに距離測定手段を構成する。
また、CPU13は、停止位置特定手段として、停止位置特定プログラム12bに従って、測定した撮像距離に基づいて、この撮像距離に対応するROM12に記憶された停止位置距離テーブル12jからレンズユニット1aの光軸方向Aにおける停止位置を特定する。
【0044】
さらに、CPU13は、使用環境条件特定手段として、使用環境条件特定プログラム12cに従って、当該デジタルカメラ100の使用環境条件を特定する。
具体的には、CPU13は、温度検知プログラム12eに従って、温度センサ4から出力された温度検知信号に基づいて、当該デジタルカメラ100内部の温度を検知する。ここで、CPU13は、温度センサ4とともに温度検知手段を構成している。
また、CPU13は、湿度検知プログラム12kに従って、湿度センサ14から出力された湿度検知信号に基づいて、当該デジタルカメラ100内部の湿度を検知する。ここで、CPU13は、湿度センサ14とともに湿度検知手段を構成している。
さらに、CPU13は、姿勢特定プログラム12fに従って、傾き検知センサ5から出力された傾き検知信号に基づいて、被写体の撮像に際しての撮像部1の姿勢、即ち、デジタルカメラ100の傾き度合を特定する。ここで、CPU13は、傾き検知センサ5とともに姿勢特定手段を構成している。
また、CPU13は、移動方向特定手段として、移動方向特定プログラム12gに従って、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作制御に係る電源部8に対しての出力信号に基づいて、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72によるレンズユニット1aの移動方向を特定する。
【0045】
また、CPU13は、動作量取得手段として、動作量取得プログラム12dに従って、特定したデジタルカメラ100の使用環境条件に対応する第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性及び特定したレンズユニット1aの停止位置に基づいて、ROM12に記憶された停止位置動作量テーブル12iから第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を読み出して取得する。
具体的には、CPU13は、停止位置動作量テーブル12iの温度動作量情報に基づいて、検知した温度における第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に応じて補正された当該第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を取得する。
また、CPU13は、停止位置動作量テーブル12iの湿度動作量情報に基づいて、検知した湿度における第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に応じて補正された当該第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を取得する。
さらに、CPU13は、停止位置動作量テーブル12iの姿勢動作量情報に基づいて、特定した撮像部1の姿勢における第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に応じて補正された当該第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を取得する。
また、CPU13は、停止位置動作量テーブル12iの方向動作量情報に基づいて、特定したレンズユニット1aの移動方向における第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に応じて補正された当該第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を取得する。
【0046】
また、CPU13は、制御手段として、制御プログラム12hに従って、取得した第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量に応じて、レンズユニット1aの停止位置まで移動させるように第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作を制御する。
【0047】
次に、CPU13の制御下におけるレンズユニット1aの停止位置調整処理について説明する。
停止位置調整処理は、デジタルカメラ100による被写体の撮像に際して、ユーザの所定の操作に基づいて、AFやズーム機能等のレンズユニット1aの合焦位置の調整に係る指示信号がCPU13に入力されることにより実行される処理である。
【0048】
停止位置調整処理において、先ず、CPU13は、ROM12から距離測定プログラム12aを読み出してRAM11に展開し、この距離測定プログラム12aに従って、発光部6に発光させて、被写体にて反射した光を受光部7にて受光することで増幅回路から出力された光検知信号に基づいて、撮像部1から被写体までの撮像距離を測定する。
そして、CPU13は、ROM12から停止位置特定プログラム12bを読み出してRAM11に展開し、この停止位置特定プログラム12bに従って、測定した撮像距離に基づいて、この撮像距離に対応する、ROM12に記憶された停止位置距離テーブル12jからレンズユニット1aの光軸方向Aにおける停止位置を特定する。
【0049】
次に、CPU13は、ROM12から使用環境条件特定プログラム12cを読み出してRAM11に展開し、この使用環境条件特定プログラム12cに従って、当該デジタルカメラ100の使用環境条件を特定する。即ち、CPU13は、ROM12から読み出してRAM11に展開した温度検知プログラム12eに従って、当該デジタルカメラ100内部、特に、駆動機構1bの配設位置の温度を検知する処理や、ROM12から読み出してRAM11に展開した湿度検知プログラム12kに従って、当該デジタルカメラ100内部、特に、駆動機構1bの配設位置の湿度を検知する処理や、ROM12から読み出してRAM11に展開した姿勢特定プログラム12fに従って、当該デジタルカメラ100の撮像の際の水平方向における傾き度合を特定する処理や、ROM12から読み出してRAM11に展開した移動方向特定プログラム12gに従って、レンズユニット1aの移動方向を特定する処理を実行する。
【0050】
続けて、CPU13は、ROM12から動作量取得プログラム12dを読み出してRAM11に展開し、この動作量取得プログラム12dに従って、上記特定したデジタルカメラ100の使用環境条件に対応する第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性及び停止位置距離テーブル12jから特定したレンズユニット1aの停止位置に基づいて、停止位置動作量テーブル12iから第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量に係る情報を読み出して取得する。即ち、CPU13は、温度動作量情報に基づいて、検知した温度に応じて温度補正テーブルT1により停止位置動作量テーブル12iの第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を補正して取得する処理や、湿度動作量情報に基づいて、検知した湿度に応じて湿度補正テーブルT4により停止位置動作量テーブル12iの第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を補正して取得する処理や、姿勢動作量情報に基づいて、特定した撮像部1の水平方向の傾き度合に応じて姿勢補正テーブルT2により停止位置動作量テーブル12iの第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を補正して取得する処理や、方向動作量情報に基づいて、特定したレンズユニット1aの移動方向に応じて方向補正テーブルT3により停止位置動作量テーブル12iの第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量を補正して取得する処理等を実行する。
【0051】
次に、CPU13は、ROM12から制御プログラム12hを読み出してRAM11に展開し、この制御プログラム12hに従って、上記取得した使用環境条件により変動する動作特性を考慮した第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量に応じて、これら第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作を制御して、レンズユニット1aを合焦位置まで移動させる。
【0052】
以上のように、デジタルカメラ100によれば、特定した当該デジタルカメラ100の使用環境条件に対応する第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作特性に基づいて、停止位置データからアクチュエータ71、72の動作量を取得し、取得したアクチュエータ71、72の動作量に従って、レンズユニット1aを所定の停止位置まで移動させるようにアクチュエータ71、72を動作させることができる。
即ち、デジタルカメラ100の内部温度や内部湿度、撮像部1の姿勢及びレンズユニット1aの移動方向等の使用環境条件に応じたアクチュエータ71、72の動作特性に基づいて、レンズユニット1aを所定の停止位置まで移動させるためのアクチュエータ71、72の動作量が規定された温度動作量情報、湿度動作量情報、姿勢動作量情報及び方向動作量情報を含む停止位置動作量テーブル12iを記憶している。よって、この停止位置動作量テーブル12iに従って、内部温度の変化に応じて異なる動作特性や、内部湿度の変化に応じて異なる動作特性や、被写体の撮像に際しての撮像部1の姿勢変化に応じて異なる動作特性や、レンズユニット1aの移動方向により異なる動作特性等を考慮したアクチュエータ71、72の動作量の取得を迅速に行うことができ、さらに、取得したアクチュエータ71、72の動作量に従ってレンズユニット1aを移動させることによって、レンズユニット1aの位置調整を高速で且つ適正に行うことができる。
【0053】
また、アクチュエータ71、72によりレンズユニット1aを移動させるので、例えばモータによりレンズユニット1aを移動させる場合に比べて、デジタルカメラ100の小型化を図ることができ、且つ、例えばバックラッシを生じさせることなくレンズユニット1aの高速での移動を実現することができる。
【0054】
さらに、2つのアクチュエータ71、72のうち、第一アクチュエータ71は、高精度での動作制御が可能に構成され、第二アクチュエータ72は、第一アクチュエータ71よりも動作範囲が広く構成されているので、これら二つのアクチュエータ71、72を組み合わせてレンズユニット1aを移動させることによって、レンズユニット1aの位置調整を高速で且つ高精度、即ち、より合理的に行うことができる。
【0055】
また、発光部6、受光部7及びCPU13により測定した撮像部1から被写体までの撮像距離に基づいて、停止位置距離テーブル12jからレンズユニット1aの停止位置を特定することができるので、レンズユニット1aの停止位置の特定を、例えば所定の演算回路による演算を行って算出する場合に比べて迅速に行うことができる。さらに、特定した停止位置に応じたアクチュエータ71、72の動作量を停止位置動作量テーブル12iから迅速に取得することができるので、レンズユニット1aの位置調整の高速化に寄与することができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72は、圧電セラミックスに限られるものではなく、通電による自己発熱により変形することでレンズユニット1aを光軸方向Aに移動させる形状記憶合金等であっても良い。
【0057】
また、上記実施の形態では、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72の動作量の取得を、内部温度、内部湿度、撮像部1の姿勢、レンズユニット1aの移動方向等の使用環境条件の各々に対応するアクチュエータ71、72の動作特性を考慮して行うような構成としたが、これら全ての使用環境条件に対応するアクチュエータ71、72の動作特性に基づいて行う必要はない。即ち、内部温度、内部湿度、撮像部1の姿勢、レンズユニット1aの移動方向のうち、何れかの使用環境条件に基づいて、アクチュエータ71、72の動作量の取得を行っても良い。
また、使用環境条件は、内部温度、内部湿度、撮像部1の姿勢、レンズユニット1aの移動方向等に限られるものではないことは勿論である。
【0058】
上記実施の形態では、第一アクチュエータ71及び第二アクチュエータ72によりレンズユニット1aを移動させるような構成としたが、これに限られるものではなく、例えば、撮像部材としての撮像素子1cを光軸方向Aに移動させるような構成であっても良い。
【0059】
また、上記実施の形態では、距離測定手段を発光部6、受光部7及びCPU13等から構成するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、レンズユニット1aにより結像されCCD等の撮像素子1cにより光電変換された画像信号を用いて、撮像部1から被写体までの撮像距離を測定するような構成であっても良い。
なお、撮像装置は、上記説明したデジタルカメラ100に限られるものではなく、銀塩フィルムを用いたものであっても良いことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係る撮像装置は、撮像部材の位置調整を高速で且つ適正に行うのに有用であり、特に、撮像装置の小型化を図る場合に適している。
【符号の説明】
【0061】
100 デジタルカメラ(撮像装置)
1 撮像部
1a レンズユニット(撮像部材)
4 温度センサ(温度検知手段、使用環境条件特定手段)
5 傾き検知センサ(姿勢特定手段、使用環境条件特定手段)
6 発光部(距離測定手段、使用環境条件特定手段)
7 受光部(距離測定手段、使用環境条件特定手段)
12 ROM(記憶手段)
13 CPU(制御手段、使用環境条件特定手段、動作量取得手段、温度検知手段、湿度検知手段、姿勢特定手段、移動方向特定手段、距離測定手段、停止位置特定手段)
14 湿度センサ(湿度検知手段、使用環境条件特定手段)
71 第一アクチュエータ
72 第二アクチュエータ
12i 停止位置動作量テーブル(停止位置情報)
12j 停止位置距離テーブル(距離情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部を構成する移動可能な撮像部材と、電力供給により変形して前記撮像部材を移動させるとともに、当該撮像装置の使用環境条件に応じて電力供給に対する動作特性が変動するアクチュエータと、前記アクチュエータの動作を制御する制御手段と、を備える撮像装置であって、
当該撮像装置の少なくとも一つの使用環境条件に応じた前記アクチュエータの動作特性に基づいて、前記撮像部材を所定の停止位置まで移動させるための前記アクチュエータの動作量が規定された停止位置情報を記憶する記憶手段と、
当該撮像装置の使用環境条件を特定する使用環境条件特定手段と、
前記使用環境条件特定手段により特定された前記使用環境条件に対応する前記アクチュエータの動作特性に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記停止位置情報から前記アクチュエータの動作量を取得する動作量取得手段と、を備え、
前記制御手段は、前記動作量取得手段により取得された前記アクチュエータの動作量に従って、前記撮像部材を所定の停止位置まで移動させるように前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記停止位置情報は、温度を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された温度動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、温度を検知する温度検知手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記温度検知手段により検知された温度における前記アクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記温度動作量情報から取得することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記停止位置情報は、前記撮像部の姿勢を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された姿勢動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、前記被写体の撮像に際しての前記撮像部の姿勢を特定する姿勢特定手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記姿勢特定手段により特定された前記撮像部の姿勢における前記アクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記姿勢動作量情報から取得することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記停止位置情報は、前記アクチュエータによる前記撮像部材の移動方向を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された方向動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、前記アクチュエータによる前記撮像部材の移動方向を特定する移動方向特定手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記移動方向特定手段により特定された前記撮像部材の移動方向における前記アクチュエータの動作特性に応じた前記アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記方向動作量情報から取得することを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記停止位置情報は、湿度を含む使用環境条件に応じて変動される前記アクチュエータの動作特性に基づいて前記アクチュエータの動作量が規定された湿度動作量情報を含み、
前記使用環境条件特定手段は、湿度を検知する湿度検知手段を備え、
前記動作量取得手段は、前記湿度検知手段により検知された湿度における前記アクチュエータの動作特性に応じた当該アクチュエータの動作量を、前記停止位置情報の前記湿度動作量情報から取得することを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記撮像部材の停止位置と対応付けて、前記撮像部から前記被写体までの撮像距離に関する距離情報を記憶し、
前記撮像距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段により測定された撮像距離に基づいて、当該撮像距離に対応する前記記憶手段に記憶された前記距離情報から前記撮像部材の停止位置を特定する停止位置特定手段と、を備え、
前記動作量取得手段は、前記停止位置特定手段により特定された前記停止位置に応じた前記アクチュエータの動作量を、前記記憶手段に記憶された前記停止位置情報から取得することを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、少なくとも2つ設けられ、第一のアクチュエータは、高精度での動作制御が可能に構成され、第二のアクチュエータは、前記第一のアクチュエータよりも動作範囲が広く構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項の何れか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/019897
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513279(P2005−513279)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011764
【国際出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】