説明

撮影機能を備えた端末装置及びその投写のオートフォーカス調整方法

【課題】撮影機能を備えた端末装置及びその投写のオートフォーカス調整方法を提供し、投写部が投写する映像のピント調整を端末装置が自動で行うことを目的とする。
【解決手段】撮影機能を備えた端末装置は投写部、映像受信部及び処理部を備える。投写のオートフォーカス調整方法は投写部を制御することで光軸に沿って複数の投写位置で映像を投写し、映像受信部を制御することで投写部が各投写位置で投写した映像を複数の候補映像として受信し、候補映像は一対一の関係で投写位置と対応している。映像受信部が受信した複数の候補映像をキャプチャし候補映像の明瞭度を分析し、最も明瞭度の高い候補映像を焦点映像と定め、焦点映像と対応する投写位置を焦点位置と定める。焦点位置を求めた後、投写部を制御することで焦点位置から映像を投写することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置の自動制御方法に関し、より詳しくは、撮影機能を備えた端末装置及びその投写のオートフォーカス調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ装置は、事務や会議に必要不可欠な投写型表示装置であり、大型の装置の中には、センサ部を備え、センサの測定結果に基づき自動でピント調整を行うものもある。前記センサ部は、例えば赤外線センサやソナーセンサ等である。前記プロジェクタ装置はセンサ部がプロジェクタと投写面との距離を計測して、その結果から投写レンズの最も適した位置を計算する。しかし、センサ部は体積が大きく、センサを備えたプロジェクタ装置は、小型化が難しく、ノートパソコンやPDA等の携帯端末装置に搭載するのには向いていない。
【0003】
現在、携帯端末装置に接続し投写することが可能な小型のプロジェクタ装置も開発されているが、プロジェクタ装置の体積を小さくするため、体積の大きいセンサ部は内蔵されておらず、オートフォーカス機能は備えられていない。したがって使用者は投写された映像を見ながら手動でピント調整を行わなければいけない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクタ装置がオートフォーカス機能を備えるためには、センサ部の内蔵が不可欠であるが、体積の増加を招き、小型のプロジェクタ装置は、手動でしかピント調整ができず不便である。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑み、端末装置に自動でオートフォーカスを行わせる、撮影機能を備えた端末装置及びその投写のオートフォーカス調整方法を提供すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる端末装置は、投写部、映像受信部及び処理部を備え、前記投写部は投写レンズ及び駆動部を備える。前記処理部は、明瞭度分析部及び制御部を備える。前記投写レンズは、端末装置が出力した映像を投写するのに使われる。前記駆動部は、前記投写レンズに接続され、光軸に沿って前記投写レンズの位置を調整する。前記映像受信部は、前記投写レンズが光軸上にあるそれぞれの投写位置から投写した映像の少なくとも一部を受信し、それぞれの投写位置で受信した映像を候補映像とする。前記処理部は、前記投写部の投写作業、及び前記映像受信部が候補映像を受信する作業を制御する。前記明瞭度分析部は、プログラムを実行し前記候補映像をキャプチャした後、前記候補映像の明瞭度を分析し、最も明瞭な前記候補映像を焦点映像とする。1つの焦点映像は、1つの投写位置に対応している。前記制御部は焦点位置ごとに制御信号を発し、前記駆動部に送る。前記駆動部は制御信号に基づいて前記投写レンズを焦点位置へと移動させる。
【0007】
本発明は、更に撮影機能を備えた端末装置の投写のオートフォーカス調整方法を提供する。前記端末装置は、投写部、映像受信部及び処理部を備える。本発明のオートフォーカス調整方法は、まず、前記投写部を制御し、光軸に沿った複数の投写位置で投写を行い、次に、投写された候補映像を映像受信部が受信し、続いて前記候補映像の明瞭度を分析し、最も明瞭度の高い候補映像を焦点映像とする。そして、前記焦点映像が撮影された投写位置を焦点位置とし、前記投写部を制御し前記焦点位置で投写を開始させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、映像受信部を備える端末装置が投写部から映像を投写し、自動でピント調整を行うことで明瞭な映像を投写面に投写することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の撮影機能を備えた端末装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の候補映像のコントラスト比及び投写位置の説明図である。
【図3】本発明の撮影機能を備えた端末装置のオートフォーカス調整方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る実施例の処理部が焦点位置を判断するフローチャートである。
【図5】(a)〜(c)は本発明に係る実施例の候補映像コントラスト比と投写位置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の説明をする。
【0011】
(実施例1)
図1は、本発明の撮影機能を備えた端末装置の構成例を示す図である。本実施例にかかる端末装置1は、映像受信部10、投写部12及び処理部14を備える。投写部12は、投写レンズ120及び駆動部122を備える。処理部14は、明瞭度分析部140、制御部142及びデータ保存部144を備える。映像受信部10及び投写部12は、それぞれ処理部14に接続されており、明瞭度分析部140は、映像受信部10、制御部142及びデータ保存部144と接続されている。制御部142は、更に投写部12の駆動部122に接続されており、投写部12の投写レンズ120は駆動部122と機械的に接続されている。
【0012】
本実施例の端末装置1は、ノートパソコン、携帯電話、PDA等の携帯端末装置である。端末装置1は、処理部14(例えば、CPU或いは組み込みコントローラ)を利用し、投写部12を制御することで映像を投写面に投写し、処理部14が処理した情報を出力する。前記投写部12は内蔵型投影機或いは折り畳み式小型投影機であってもよい。前記投写面はホワイトボード、布、壁等の映像を投写できる物であればよい。投写部12の投写レンズ120は、駆動部122により光軸に沿って位置調整され、それぞれの投写位置から前記投写面に映像を投写する。投写された映像は投写レンズ120の位置の影響を大きく受け、投写レンズ120が焦点位置に近ければ近いほど投写された映像は明瞭なものになり、遠ければ遠いほど不明瞭なものとなる。
【0013】
前記投写面に投写された映像のピントを自動で調節するために、処理部14は、投写部12の投写レンズ120を光軸に沿って位置調整し、複数の投写位置から映像を投写させる。処理部14は更に映像受信部10を制御し、投写部12が投写した複数の映像をキャプチャさせ、最も明瞭に投写された投写位置を見つけ出す。そして投写レンズ120を最も明瞭に投写することのできる投写位置に移動させ投写することでピントの合った映像を投写することが可能となる。処理部14の明瞭度分析部140は、映像受信部10がキャプチャした複数の映像の明瞭度を分析し、最も明瞭な映像を見つけ出す。明瞭度分析部140が分析したそれぞれの映像の明瞭度と、それぞれの映像がキャプチャされた投写位置は、データ保存部144に保存される。制御部142は、明瞭度の最も高い映像に対応した投写位置を基に、駆動部122によって投写レンズ120を目的の投影位置に移動させることで、ピントの合った映像を投写することが可能となる。
【0014】
映像受信部10は、端末装置1の表面に設けられ、外部の映像をキャプチャすることに用いられる。映像受信部10は、処理部14に制御され、投写部12の投写レンズ120が異なる投写位置から投写した明瞭度の異なる複数の映像を投写面に投写した際、それぞれの映像の少なくとも一部を受信し、明瞭度の異なる複数の候補映像として映像情報に変換し、処理部14へ送る。前記映像情報には映像受信部10のセンサ部が読み取った画質情報が含まれる。映像受信部10は、コンパクトカメラモジュール(CCM)、CCDイメージセンサ或いはCMOSイメージセンサ等、映像を読み取ることのできる装置である。
【0015】
投写部12もまた端末装置1の表面に設けられ、処理部14の指示により映像の投写を行う。投写レンズ120を移動させる駆動部122にはアクチュエーター或いはステッピングモーターを用い、駆動部122は、処理部14からの指示に従い、信号を機械の動作に変換し、投写レンズ120を光軸上で往復させ、投写位置を徐々に変えながら明瞭度の異なる映像を投写させる。
【0016】
処理部14は、投写部12の映像投写を制御し、映像受信部10に候補映像をキャプチャさせるだけでなく、プログラムを実行し異なる候補映像の明瞭度を分析し、明瞭度の最も高い映像を焦点映像と定める。そして投写部12を制御し投写レンズ120を前記焦点映像と対応する投写位置に移動させることで、投写面に明瞭な映像を投写することが可能となる。
【0017】
明瞭度分析部140は、映像受信部10が受信した候補映像の順序に従い、候補映像の情報をデータ保存部144に保存する。投写レンズ120は、処理部14の制御により複数の投写位置上を往復する。投写レンズ120が移動する際、徐々に焦点位置に近づくと、投写される映像は、その前に投写されたものより明瞭となり、逆に、焦点位置から遠ざかると、投写される映像はその前に投写されたものより不明瞭となる。
【0018】
明瞭度分析部140は、コントラスト比分析プログラムを実行することで焦点に最も近い位置で撮影された焦点映像を見つけ出す。明瞭度分析部140は、データ保存部144に保存された複数の候補映像の中からいくつかの候補映像を選び、それぞれの候補映像の明瞭度を分析し、明瞭度の変化の傾向から、最も明瞭度の高い候補映像及びそれに対応する投写位置を見つけ出す。最も明瞭度の高い候補映像が焦点映像であり、焦点映像と対応する投写位置が焦点位置となり、その位置が焦点であることがわかる。
【0019】
明瞭度分析部140が実行するコントラスト比分析プログラムは、データ保存部144から2つの候補映像を選び、それぞれの候補映像のコントラスト比を計算し、それぞれの明瞭度値を計測する。前記明瞭度値とは、候補映像の画素数やコントラスト比等の値と定義する。明瞭度分析部140は、2つの候補映像の明瞭度値を比較した後、明瞭度値が高まると予想される位置にある候補映像について分析と比較を行う。言い換えると、2つの候補映像のうち、明瞭度の高い候補映像の方向にある位置から次の候補映像を選ぶ。次の候補映像の明瞭度値が最初の2つのものより高かった場合、明瞭度分析部が選んだ候補映像に対応する投写位置は焦点位置に近づいていることを表し、逆に、次の候補映像の明瞭度値が最初の2つのものより低かった場合、明瞭度分析部が選んだ候補映像に対応する投写位置は、焦点位置を過ぎてしまっていることを表す。
【0020】
投写レンズ120の投写位置が焦点から遠ざかった場合、投写される映像が不明瞭になってしまうため、キャプチャされた候補映像の画質は、他のものと似通ったものになり、コントラスト比の差も大きくはない。しかし、投写レンズ120が焦点に近づいた場合、投写される映像は、対応する候補映像の画質の色合いや明暗をはっきりと区別できるほど明瞭であり、コントラスト比は他のものより高くなる。よって、2つの候補映像の明瞭度値を比較した際に、一方の明瞭度が他方のものより高かった場合、明瞭度の高かった方が焦点位置に近いと判断することができる。
【0021】
図2は、本発明の候補映像のコントラスト比及び投写位置の説明図である。横軸は映像受信部10が受信した順番に従って明瞭度分析部140がキャプチャした候補映像を表し、縦軸は候補映像のコントラスト比を表す。横軸と平行である光軸Lは投写レンズ120が移動する複数の投写位置を表し、それぞれの投写位置は横軸の候補映像と対応している。明瞭度分析部140は複数の候補映像の中から2つの候補映像を取り出し、分析と比較を行う。本実施例では選ばれた2つの映像を候補映像A及び候補映像Bとする。候補映像Bのコントラスト比は候補映像Aより高い。明瞭度分析部140はコントラスト比の低い候補映像Aを第一映像、高い候補映像Bを第二映像とし、第一映像と第二映像の間にある投写位置の範囲を第一区間と定義する。
【0022】
明瞭度分析部140は分析及び比較を行った後、候補映像Aから遠く、候補映像Bに近い場所から別の候補映像を選び分析と比較を行う。本実施例では、明瞭度分析部140は候補映像Cを第三映像とする。そして第三映像と明瞭度の高かった第二映像の比較を行う。候補映像Bに対応する投写位置は候補映像A及び候補映像Cそれぞれに対応する投写位置の間にあり、第二映像と第三映像の間にある投写位置の範囲を第二区間と定義する。明瞭度分析部140が比較した後、候補映像Cのコントラスト比が候補映像Bより低いとわかると、候補映像Cに対応する投写位置は焦点位置を過ぎており、焦点位置はおそらく候補映像Bと候補映像Cの間にあることがわかる。そこで明瞭度分析部140は更に候補映像Bと候補映像Cの間から新しい第三映像を選び出し、第二区間の範囲を狭める。本実施例では候補映像Dを新しい第三映像とし、もう一度第二映像から第三映像までの明瞭度の変化を比較する。
【0023】
第二映像の明瞭度が新しい第三映像より高かった場合、今度は第一映像と第二映像の比較を始める。明瞭度分析部140は候補映像Aと候補映像Bの間で新しい第一映像を選び、第二映像と比較を行う。本実施例では候補映像Eを新しい第一映像とし、候補映像Eと候補映像Bの明瞭度の比較を行う。候補映像Eの明瞭度が候補映像Bより低かった場合、第一区間から更に新しい第一映像(図2に示す候補画像F)を選び出し、第一区間の範囲を更に狭めた後比較を行う。第二映像の明瞭度が新しい第一映像より高い場合、第二区間に戻り、第二区間内にある映像と比較を行う。このようにして焦点位置に近い候補映像及び投写位置を見つけ出していく。
【0024】
明瞭度分析部140は第二区間から新しい第三映像(図2に示す候補画像G)を選び出し、第二映像と比較を行う。本実施例では、新しい第三映像のコントラスト比は第二映像より低いため、明瞭度分析部140は、焦点は候補映像Bと候補映像Gの間にある第二区間の間にあると判断する。明瞭度分析部140は焦点映像の投写位置を確認した後、候補映像B及び候補映像Gそれぞれを第一映像及び第三映像とし、その間から候補映像を選び出し、第二映像と定め、再度比較を行い焦点位置が存在する範囲を狭めていく。そして最後に、明瞭度値が第二区間内にある全ての他の候補映像の明瞭度値より高い候補映像Xが見つけ出される。明瞭度分析部140は候補映像Xに対応する投写位置が焦点位置だと判断する。
【0025】
このようにして、明瞭度分析部140はキャプチャされた複数の候補映像から、3つの候補映像を第一、第二及び第三映像と定め明瞭度値を比較していき、全ての候補映像の中から最も明瞭度の高い候補映像を見つける。その候補映像を焦点映像とし、その焦点映像に対応する投写位置が焦点位置ということになる。
【0026】
投写部12は処理部14の制御により複数の位置で投写を行うため、明瞭度分析部140は候補映像をキャプチャする際、各候補映像と対応する投写位置をデータ保存部144に保存する。これにより明瞭度分析部140は明瞭度が最も高い候補映像を焦点映像と定めた場合に、その焦点映像がキャプチャされた投写位置を知ることができる。
【0027】
明瞭度分析部140に接続される制御部142は明瞭度分析部140から情報を受け取り、焦点映像の投写位置を基に制御信号を投写部12の駆動部122に送る。駆動部122は電気信号を機械の動作に変換できるアクチュエーター或いはステッピングモーター等のモーターであり、制御信号が指示する投写位置に基づいて投写レンズ120を焦点映像と対応する投写位置へと移動させる。このようにして、投写レンズ120は焦点上で最も明瞭な映像を投写することが可能になる。
【0028】
明瞭度分析部140は候補映像の分析及び比較を行い、焦点映像の投写位置を求めた後、映像をキャプチャし明瞭度を分析するプログラムを停止する。しかし、端末装置1或いは投写面が移動するなどして、先ほど求めた焦点位置が無効になった場合、投写レンズ120はもう一度投写位置の調整を行わなければならなくなる。
【0029】
本実施例では、処理部14は更にタイマー部146を備える。タイマー部146は明瞭度分析部140と制御部142の間に接続されている。制御部142が制御信号を送った際、更に触発信号をタイマー部146に送り、タイマー部146は予め設定された時間(例えば10秒間)を計測する。タイマー部146に設定された時間が来ると、起動信号を明瞭度分析部140に送り、明瞭度分析部140にもう一度候補映像のキャプチャ及び比較を行わせる。
【0030】
このようにして、タイマー部146が送った起動信号を明瞭度分析部140が受け取った場合、処理部14は投写部12を制御し投写レンズ120を移動させ、明瞭度分析部140はもう一度プログラムを実行し候補映像のキャプチャ、選択、分析及び比較を行い、改めて最も明瞭な候補映像及びそれに対応する投写位置を得ることができる。
【0031】
(実施例2)
図3は本発明の撮影機能を備えた端末装置のオートフォーカス調整方法を示すフローチャートである。本実施例のフローチャートは図1に示す撮影機能を備えた端末装置1上で実施することができるので、図1も参照されたい。
【0032】
本実施例のフローチャートはまず、端末装置1の処理部14が投写部12を制御し投写レンズ120を光軸に沿って移動させ、投写面に映像を投写させる(ステップS301)。更に、映像受信部10を制御し、投写部12が投写した映像を少なくとも一部受信し候補映像とする(ステップS303)。
【0033】
処理部14の明瞭度分析部140はプログラムを実行し、映像受信部10が受信した候補映像をキャプチャし(ステップS305)、キャプチャした候補映像をデータ保存部144に保存する。明瞭度分析部140はプログラムを実行し複数の候補映像を選択、それぞれに対して明瞭度値の分析を行う。例えば、各候補映像のコントラスト比を計測し、異なる候補映像の明瞭度を分析し、得られた明瞭度値から最も明瞭度の高い候補映像を求め、焦点映像とする。そして、焦点映像に対応する投写位置を求める(ステップS307)。焦点映像に対応する投写位置は光軸上に存在する焦点の位置である。
【0034】
明瞭度分析部140が焦点位置を分析した後の情報により、処理部14の制御部142は触発信号及び焦点位置に基づいた制御信号を送る(ステップS309)。制御信号は投写部12の駆動部122に送られ、駆動部122は制御信号の指示により、機械的に接続された投写レンズ120を焦点位置まで移動させる(ステップS311)。投写レンズ120は焦点位置で映像を投写し、投写面に最も明瞭な映像を映し出す。更に、制御部142が出力した触発信号はタイマー部146に送られ、タイマー部146は明瞭度分析部140が最も適した投写位置を見つけた後、予め設定された時間の計測を始める(ステップS313)。予め設定された時間が来ると、タイマー部146は起動信号を明瞭度分析部140に送る(ステップS315)。処理部14は起動信号により再度S301からのステップを実行し、端末装置1や投写面が移動し最適な投写位置ではなくなるのを回避するためにピント調整を行う。
【0035】
ステップS307において、明瞭度分析部140がプログラムを実行して候補映像の明瞭度値を分析し、最も明瞭度の高い候補映像を見つけ出す手段として、複数の候補映像の中から3つの候補映像を選び、それぞれのコントラスト比を比較し最も明瞭な焦点映像を求める方法を採用する。図4に示す、明瞭度分析部140がコントラスト比を分析することで最も高いコントラストのものを求めるフローチャートを参考にされたい。
【0036】
明瞭度分析部140はプログラムを実行し、映像受信部10が受信した候補映像の映像信号をキャプチャし(ステップS401)、データ保存部144に保存する。そして順番にキャプチャされた複数の候補映像の中から第一映像M、第二映像N及び第三映像Oを選ぶ(ステップS403)。第二映像Nは第一映像Mがキャプチャされてから第三映像Oがキャプチャされるまでの間にキャプチャされている。続いて、第一映像M、第二映像N及び第三映像Oのコントラスト比を分析し、第二映像Nと第一映像Mのコントラスト比を比較する(ステップS405)。第二映像Nのコントラスト比のほうが低かった場合、焦点位置は図5(a)に示すように第一映像Mと第三映像Oの間にはないことがわかり(ステップS407)、第二映像Nのコントラスト比のほうが高かった場合、更に第二映像Nと第三映像Oのコントラスト比を比較する(ステップS409)。
【0037】
第二映像のコントラスト比が第三映像より低かった場合、焦点である投写位置は図5(b)に示すように第一映像と第三映像の間にはないことがわかる(ステップS411)。しかし、第二映像のコントラスト比が第一映像及び第三映像の両方よりも高かった場合、焦点である投写位置は図5(c)に示すように第一映像及び第三映像それぞれに対応する投写位置の間にあることがわかる(ステップS413)。すると、明瞭度分析部140は上述と同じ手段を用い、第二映像に近い位置から新しい第一映像及び第三映像を選び比較を行う。このようにして徐々に焦点が存在する投写位置と対応する候補映像に近づけていく(ステップS413)。第一映像及び第三映像がそれぞれ第二映像の直前及び直後の候補映像になり、第二映像のコントラスト比が第一映像及び第三映像より高い場合、第二映像のコントラスト比が最も高く、最も明瞭であり、第二映像に対応する投写位置が焦点の位置であるということがわかる。
【0038】
具体的な例はすでに実施例1において図2を合わせて説明したのでここでは説明しない。
【0039】
特筆すべきものとして、明瞭度分析部140はキャプチャされた全ての候補映像のコントラスト比をそれぞれ分析し、コントラスト比に基づいてソートするなどしてコントラスト比の最も高いものを求め、その候補映像に対応する投写位置を見つける等の手段を用いてもよく、図4に示したフローチャートはただの例示に過ぎない。
【0040】
本発明に係る実施例の端末装置は投写部を出力装置として用い、目的の映像を投写面に投写する。これにより端末装置は通常のディスプレイを備えるだけでなく、映像出力装置をも備えることになる。
【0041】
更に、本発明に係る実施例の端末装置は予め備えられた映像受信部及び処理部を利用し自動でピント調整を行い、投写部が投写する映像が最も明瞭な状態を維持できることを可能にする。処理部は映像受信部が受信した映像をキャプチャし、その映像に対して分析及び比較を行うことで、最も明瞭度の高い焦点映像を得ることができる。そして焦点映像に対応する投写位置に基づいて、投写部の投写レンズがあるべき位置を得ることができる。このようにして、使用者は目視で映像を見ながら手動で投写レンズの調整を行う不便さがなくなる。
【0042】
本発明に係る実施例のうち、端末装置の映像受信部はピント調整の機能を備える必要はなく、ただ映像を受信することさえ実行できればよいとする。また、分析作業は処理部(例えば、ノートパソコンのCPU或いは携帯装置の組み込みコントローラ)によって行う。メーカーは現在すでにある端末装置に内蔵或いは外付けする方式で投写部を接続するだけで、投写部にオートフォーカス機能を実装することを可能にし、コストの削減及び製造プロセスの削減にもなる。
【0043】
更に、本発明に係る実施例の端末装置は3つの候補映像を比較し、範囲を狭めて行く方式を採用することで、全ての候補映像に対して分析を行う必要がなく、処理部の演算量及び演算時間の削減にも繋がり、ピント調整にかかる時間も少なく、オートフォーカスの際の効率も良い。
【0044】
上述において、本発明の実施例を挙げたものであり、これらの実施例は本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 端末装置
10 映像受信部
12 投写部
120 投写レンズ
122 駆動部
14 処理部
140 明瞭度分析部
142 制御部
144 データ保存部
146 タイマー部
L 光軸
S301−S315 ステップ
S401−S413 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の映像を投写する投写レンズと、前記投写レンズに機械的に接続され、前記投写レンズを光軸に沿って複数の投写位置間を移動させる駆動部と、を備える投写部と、
前記投写レンズが前記各投写位置で投写した映像の少なくとも一部を候補映像として受信する映像受信部と、
前記投写部を制御し映像を投写する作業、及び前記映像受信部を制御し前記候補映像を受信させる処理部と、
を備え、前記候補映像及び前記投写位置はそれぞれが一対一の関係で対応しており、
前記処理部は更に、
プログラムを実行することにより、前記映像受信部が受信した前記候補映像をキャプチャし、前記候補映像の明瞭度を分析し、明瞭度の最も高い前記候補映像を焦点映像と定め、前記焦点映像に対応する前記投写位置を焦点位置と定める明瞭度分析部と、
前記焦点位置を基に制御信号を送る制御部と、
を備え、前記駆動部は前記制御信号を受信した際、前記制御信号に基づいて前記投写レンズを前記焦点位置まで移動させることを特徴とする、撮影機能を備えた端末装置。
【請求項2】
前記明瞭度分析部は前記候補映像をキャプチャした後、前記候補映像の中から第一映像、第二映像及び第三映像を選び出し明瞭度の分析を行い、
前記第二映像と対応する前記投写位置は前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する前記投写位置の間にあり、
明瞭度の分析の結果に基づいて、前記焦点映像の前記焦点位置が前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する前記投写位置の間にあるかを確認することを特徴とする、請求項1に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項3】
前記明瞭度分析部は前記第二映像の明瞭度が前記第一映像及び前記第三映像の明瞭度より高いかを判断し、前記第二映像の明瞭度が前記第一映像及び前記第三映像の両方より高い場合、前記焦点映像に対応する焦点位置は前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する投写位置の間にあると判断することを特徴とする、請求項2に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項4】
前記処理部は更に、
前記候補映像、前記候補映像と一対一の関係で対応している投写位置、及び前記明瞭度分析部が分析した明瞭度を保存するデータ保存部を備えることを特徴とする、請求項2に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項5】
前記処理部は更に、
触発信号を受信し時間の計測を始め、予め設定された時間に達すると起動信号を前記明瞭度分析部に送るタイマー部を備え、
前記制御部は前記明瞭度分析部が分析した前記焦点位置に基づいて触発信号を送り、前記明瞭度分析部は前記起動信号を受信した際、前記映像受信部が受信した前記候補映像のキャプチャを始めることを特徴とする、請求項2に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項6】
前記駆動部はアクチュエーターであることを特徴とする、請求項2に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項7】
前記駆動部はステッピングモーターであることを特徴とする、請求項2に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項8】
前記処理部はCPU或いは組み込みコントローラであることを特徴とする、請求項1に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項9】
投写部と、映像受信部と、処理部を備える撮影機能を備えた端末装置の投写のオートフォーカス調整方法であって、
前記投写部を制御し、光軸方向に沿って複数の投写位置で映像を投写させ、
前記映像受信部を制御し、投写部がそれぞれの投写位置で投写した映像を複数の候補映像として受信させ、
前記候補映像と前記投写位置は一対一の関係で対応しており、
前記映像受信部が受信した前記候補映像をキャプチャし、
前記候補映像の明瞭度を分析し、明瞭度の最も高い前記候補映像を焦点映像と定め、前記焦点映像に対応する前記投写位置を焦点位置と定め、
投写部を制御し、前記焦点位置で映像を投写させることを特徴とする、投写のオートフォーカス調整方法。
【請求項10】
前記投写部を制御し前記焦点位置で映像を投写させるステップは、
前記焦点位置に基づいて制御信号を発し、及び
前記制御信号を前記投写部の駆動部に送り、前記駆動部は前記投写部の投写レンズを前記焦点位置に移動させることを特徴とする、請求項9に記載の投写のオートフォーカス調整方法。
【請求項11】
前記候補映像の明瞭度を分析し前記焦点位置を求めるステップは、
前記焦点位置に基づいて触発信号を発し、
前記タイマー部に触発信号を送り時間の計測を始めさせ、
前記タイマー部の時間計測が予め設定された時間に到達した際、起動信号を発し、及び
前記起動信号を前記投写部に送り、光軸方向に沿って前記投写位置で映像を投写するステップを実行させることを特徴とする、請求項9に記載の投写のオートフォーカス調整方法。
【請求項12】
前記候補映像の明瞭度を分析し前記焦点映像を求めるステップは、
ステップ1:前記候補映像から第一映像、第二映像及び第三映像を選び出すステップであり、前記第二映像と対応する前記投写位置は前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する前記投写位置の間にあるとし、
ステップ2:前記第一映像、前記第二映像及び前記第三映像の明瞭度を分析するステップ、
ステップ3:前記第二映像の明瞭度が前記第一映像及び前記第三映像の明瞭度より高いかを比較するステップ、及び
ステップ4:前記第二映像の明瞭度が前記第一映像及び前記第三映像の両方より高い場合、前記焦点映像に対応する焦点位置は前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する投写位置の間にあると判断するステップ、
であることを特徴とする、請求項9に記載の投写のオートフォーカス調整方法。
【請求項13】
前記第一映像と前記第二映像の間を第一区間、前記第二映像と前記第三映像の間を第二区間と定め、ステップ4の後に更に、
前記第一区間内にある候補映像から前記第一映像、前記第二映像及び前記第三映像を選び出し、
ステップ2からステップ4までを再度実行し、
前記第一映像、前記第二映像及び前記第三映像それぞれに対応する前記投写位置が隣り合い、前記第一区間の前記第二映像が前記焦点映像であることが判断できるまで繰り返し、及び
前記第一区間で選んだ前記第二映像の明瞭度が前記第一映像或いは前記第三映像より低い場合、前記第二区間にある候補映像から前記第一映像、前記第二映像及び前記第三映像を選び出し、
ステップ2からステップ4までを再度実行し、
前記第一映像、前記第二映像及び前記第三映像それぞれに対応する前記投写位置が隣り合い、前記第二区間の前記第二映像が前記焦点映像であることが判断できるまで繰り返すことを特徴とする、請求項12に記載の投写のオートフォーカス調整方法。
【請求項14】
目的の映像を投写する投写レンズと、前記投写レンズに機械的に接続され、前記投写レンズを光軸に沿って複数の投写位置間を移動させる駆動部と、を備える投写部と、
前記投写レンズが前記各投写位置で投写した映像の少なくとも一部を候補映像として受信する映像受信部と、
前記投写部を制御し映像を投写する作業、及び前記映像受信部を制御し前記候補映像を受信させる処理部と、
を備え、前記候補映像及び前記投写位置はそれぞれが一対一の関係で対応しており、
前記処理部は更に、
プログラムを実行することにより、前記映像受信部が受信した前記候補映像をキャプチャし、前記候補映像の明瞭度を分析し、明瞭度の最も高い前記候補映像を焦点映像と定め、前記焦点映像に対応する前記投写位置を焦点位置と定める明瞭度分析部と、
前記焦点位置を基に制御信号を送る制御部と、
を備え、
前記明瞭度分析部は前記候補映像の中から第一映像、第二映像及び第三映像を選び出し明瞭度の分析を行い、前記第二映像と対応する前記投写位置は前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する前記投写位置の間にあり、前記第二映像の明瞭度が前記第一映像及び前記第三映像の両方より高い場合、前記焦点映像に対応する焦点位置は前記第一映像及び前記第三映像それぞれに対応する投写位置の間にあると判断し、
前記駆動部は前記制御信号を受信した際、前記制御信号に基づいて前記投写レンズを前記焦点位置まで移動させることを特徴とする、撮影機能を備えた端末装置。
【請求項15】
前記処理部は更に、
前記候補映像、前記候補映像と一対一の関係で対応している投写位置、及び前記明瞭度分析部が分析した明瞭度を保存するデータ保存部を備えることを特徴とする、請求項14に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項16】
前記処理部は更に、
触発信号を受信し時間の計測を始め、予め設定された時間に達すると起動信号を前記明瞭度分析部に送るタイマー部を備え、
前記制御部は前記明瞭度分析部が分析した前記焦点位置に基づいて触発信号を送り、前記明瞭度分析部は前記起動信号を受信した際、前記映像受信部が受信した前記候補映像のキャプチャを始めることを特徴とする、請求項14に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項17】
前記駆動部はアクチュエーターであることを特徴とする、請求項14に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項18】
前記駆動部はステッピングモーターであることを特徴とする、請求項14に記載の撮影機能を備えた端末装置。
【請求項19】
前記処理部はCPU或いは組み込みコントローラであることを特徴とする、請求項14に記載の撮影機能を備えた端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−103661(P2012−103661A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16100(P2011−16100)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(508107788)旭麗電子(廣州)有限公司 (21)
【出願人】(503419697)光寶科技股フン有限公司 (42)
【Fターム(参考)】