説明

撮影装置および合焦位置決定方法

【課題】 従来と同じ程度の時間で、2つの撮影部各々の合焦位置を正確に決定することができる撮影装置、およびその撮影装置における合焦位置決定方法を提供する。
【解決手段】 サーチ範囲設定部121でAF検出部120が検出した第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置P1とフラッシュROM102に記憶されている近傍側の探索領域の境界値Nと遠方側の探索領域の境界値Fとに基づいて、第2のサーチ領域となる一方の境界値Pn´をPn´=Pn+Nという式から算出し、他方の境界値Pf´をPf´=P1−Fという式から算出する。メインCPU100はこの算出結果を受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示して、第2のフォーカスレンズFLBを第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域(Pn´からPf´)で移動させながら合焦位置P2をAF検出部120に探索させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の撮影部と第2の撮影部とを備え、これらの2つの撮影部を使って撮影を行なう撮影装置およびその撮影装置における合焦位置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より2つの撮影部を備えた撮影装置が数多く提案されている(特許文献1、2参照)。このように2つの撮影部が備えられていると、2つの撮影部を使って超広角のパノラマ撮影や2つの撮影部各々で異なる感度での撮影等を行なうことができる。上記特許文献1、2等の中には、立体撮影を行なうことができるものもある。
【0003】
2つの撮影部で上記立体撮影を行なうものにあっては、2つの撮影部が、右眼、左眼に相当する位置に視差を持たせて並べられて設けられており、双方の撮影部から出力された画像信号に基づいて後段の信号処理部で右眼用の画像信号と左眼用の画像信号とが各々生成される。こうして撮影装置の信号処理部で生成された右眼用の画像信号と左眼用の画像信号とが、非特許文献1にあるような3次元表示が可能な表示画面を有する表示装置に入力されると、その表示画面上に立体画像が表示される。
【0004】
ところで、デジタルカメラにおいては、ピント調整、つまり合焦位置の調整を行なうにあたって、内部に配備されている合焦位置決定手段が、撮影光学系内のフォーカスレンズを所定のサーチ領域内で移動させそのフォーカスレンズを移動させている間中コントラストを検出してコントラストが最大となる位置をフォーカスレンズの合焦位置とする、いわゆるAF(Auto Focus)サーチを行なっているものが多い。
【0005】
上記特許文献1の撮影装置においては、2つの撮影部が同じ被写体を捉えているということを理由に、一方の撮影部のみでAFサーチを実施しそのAFサーチの結果を他方の撮影部に反映することで、2つの撮影部を有する撮影装置のAFサーチに要する時間の短縮化が図られている。また特許文献2の撮影装置には、内部の合焦位置決定手段に、双方の撮影部が備えるフォーカスレンズを相互に逆の方向にそれぞれ移動させるというAFサーチを行わせて、双方の撮影部のうち、先に合焦位置を検出した撮影部の方のAFサーチ結果を使って双方の撮影部の合焦位置を決定するという技術が提案されている。
【0006】
しかし2つの撮影部には、フォーカスレンズのレンズ径やレンズ鏡胴の径や撮像素子の受光感度のばらつき等がどうしても存在する(以降の記載においてはこれらを総称して固体差という)。このため、上記特許文献1,2のように一方の撮影部の合焦位置を他方の撮影部に反映させる構成にすると、その固体差により他方の撮影部の合焦位置がずれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−45511号公報
【特許文献2】特開2006−162990号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】インターネット<URL: http://www.3dc.gr.jp/jp/act_rep/050 902/Yuuki.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、従来と同じ程度の時間で、2つの撮影部各々の合焦位置を正確に決定することができる撮影装置、およびその撮影装置における合焦位置決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の撮影装置は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、該第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部と、
第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、該第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部と、
前記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、前記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を記憶する偏差記憶部と、
第1の撮影光学系については、前記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索して該第1のフォーカスレンズの合焦位置を決定し、前記第1のフォーカスレンズを決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に停止させ、前記第2の撮影光学系については、前記決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した位置よりも前記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置を前記第2のフォーカスレンズの合焦位置として決定し、前記第2のフォーカスレンズを決定した第2のフォーカスレンズの合焦位置に停止させる合焦位置決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、上記本発明の撮影装置において、前記第1の撮影光学系および前記第2の撮影光学系双方が焦点距離可変であって互いに同一の焦点距離に調整されるものであり、前記偏差記憶部は、前記偏差を、複数の焦点距離それぞれについて記憶するものであることが好ましい。
【0012】
また、前記第1の撮影光学系および前記第2の撮影光学系が、並べて配置され立体視用の画像信号を生成するものであることも好ましい態様である。
【0013】
また、上記目的を達成する本発明の合焦位置決定方向は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、該第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部、および第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、該第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部からなる双方の撮影部を備えるとともに、さらに、
前記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、前記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を記憶する偏差記憶部を備えた撮影装置における合焦位置決定方法であって、
前記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索して該第1のフォーカスレンズの合焦位置を決定する第1の決定ステップと、前記第1のフォーカスレンズを該第1の決定ステップで決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に停止させる第1の停止制御ステップと、前記第1の決定ステップで決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した位置よりも前記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置を前記第2のフォーカスレンズの合焦位置として決定する第2の決定ステップと、前記第2のフォーカスレンズを該第2の決定ステップで決定した第2のフォーカスレンズの合焦位置に停止させる第2の停止制御ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
以下に、上記の本発明の撮影装置および合焦位置決定方法に関連する発明について列記しておく。
【0015】
上記目的を達成する本発明の第1の撮影装置は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、該第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部と、
第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、該第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部と、
上記第1のフォーカスレンズを所定の第1のサーチ領域内で移動させながら合焦位置を探索して該第1のフォーカスレンズを合焦位置に停止させ、上記第2の撮影光学系については、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置を含む、上記第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域内で移動させながら合焦位置を探索して、該第2のフォーカスレンズを合焦位置に停止させる合焦位置決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
上記本発明の第1の撮影装置によれば、上記合焦位置決定手段が、上記第1の撮影光学系については第1のフォーカスレンズを所定の第1のサーチ領域内でAFサーチを実行し、第2の撮影光学系については、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応する合焦期待位置を含む、その第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域内でAFサーチを実施する。つまり、上記合焦位置決定手段は、第1の撮影光学系の合焦位置に対応する上記合焦期待位置に第2の撮影光学系内の第2のフォーカスレンズをそのまま配置せずに、第2の撮影光学系と第1の撮影光学系との固定差を解消するように第2のフォーカスレンズをその合焦期待位置を含む、上記第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチを移動させながら合焦位置を探索してから第2のフォーカスレンズを合焦位置に移動させ停止させる。
【0017】
その結果、第1の撮影光学系と第2の撮影光学系との間の固体差が解消され、第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置に各々配置される。このときには、第2のフォーカスレンズをサーチさせる距離が上記第1のサーチよりも短い区間に限定されるためにさほど時間が係ることもなく従来とほぼ同じ程度の時間でAFサーチが終了する。
【0018】
上記目的を達成する本発明の第2の撮影装置は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、その第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部と、
第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、その第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部と、
上記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を不揮発的に記憶しておく偏差記憶部と、
上記第1の撮影光学系について、上記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索してその第1のフォーカスレンズを合焦位置に停止させ、上記第2の撮影光学系については、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に移動させる合焦位置決定手段とを備えたこと特徴とする。
【0019】
ここで上記偏差記憶部には、例えばこの撮影装置を製造しているときに、第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差を示す合焦位置の偏差を予め取得して記憶しておけば良い。
【0020】
上記本発明の第2の撮影装置によれば、上記合焦位置決定手段が、上記第1の撮影光学系については第1のフォーカスレンズを所定の第1のサーチ領域内でAFサーチを実行し、第2の撮影光学系については、その第1の撮影部側のAFサーチで検出された合焦期待位置に第2のフォーカスレンズを配置せずに、その合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に第2のフォーカスレンズを移動させ停止させる。
【0021】
つまり、上記合焦位置決定手段は、第1の撮影光学系の合焦位置に対応する上記合焦期待位置に第2の撮影光学系内の第2のフォーカスレンズをそのまま配置せずに、第2の撮影光学系と第1の撮影光学系との間の固定差を解消するように第1のフォーカスレンズをその合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に第2のフォーカスレンズを移動させ停止させることになる。その結果、第1の撮影光学系と第2の撮影光学系との間の固体差が解消され、第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置に各々配置される。このときには、従来とほぼ同じ時間でAFサーチが終了する。
【0022】
上記目的を達成する本発明の第3の撮影装置は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、その第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部と、
第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、その第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部と、
上記第1および第2のフォーカスレンズ駆動部各々に指示し上記第1および第2のフォーカスレンズ各々を光軸方向に移動させながら各々の合焦位置を探索しその第1及びその第2のフォーカスレンズ各々を各々の合焦位置に停止させる合焦位置決定手段と、
上記合焦位置決定手段により探索された上記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、上記合焦位置決定手段により探索された上記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を記憶する偏差記憶部とを備え、
上記合焦位置決定手段は、上記偏差記憶部に上記偏差が記憶されている場合には、第1の撮影光学系について、上記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索してその第1のフォーカスレンズを合焦位置に停止させ、上記第2の撮影光学系については、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に移動させることを特徴とする。
【0023】
ここで上記偏差記憶部に偏差が記憶されている場合というのは、例えばその偏差記憶部が揮発性のメモリで構成されているときには電源が一旦オフされ再度電源スイッチがオンされた後の2回目以降の撮影の場合を指す。
【0024】
したがって、上記本発明の第3の撮影装置では、例えば初回の撮影については上記合焦位置決定手段が、まず上記第1および第2のフォーカスレンズ駆動部各々に指示し上記第1および第2のフォーカスレンズ各々を光軸方向に移動させながら各々の合焦位置を探索しその第1及びその第2のフォーカスレンズ各々を各々の合焦位置に停止させる。この初回の撮影時に探索した上記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を上記偏差記憶部に記憶しておいて2回目以降の撮影については上記合焦位置決定手段が上記第1の撮影光学系については第1のフォーカスレンズを所定の第1のサーチ領域内でAFサーチを実行し、第2の撮影光学系については第2の撮影光学系と第1の撮影光学系との間の固定差を解消するように第2のフォーカスレンズを上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚させた位置に第2のフォーカスレンズを移動させ停止させる。
【0025】
その結果、どの撮影回においても第1の撮影光学系と第2の撮影光学系との間の固体差が解消され、第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置に各々配置される。初回の撮影時には、第2のフォーカスレンズをサーチさせる距離が上記第1のサーチよりも短い区間に限定されるためにさほどの時間が係ることがなく従来とほぼ同じ程度の時間でAFサーチが終了し、それ以降については、従来とほぼ同じ時間でAFサーチが終了する。
【0026】
なお上記では電源投入後の2回目以降の撮影を上記偏差記憶部に偏差が記憶されている場合の例として掲げたが、上記偏差記憶部に記憶されている場合の中には、例えばズームスイッチが操作されて焦点距離が変更された後で一度撮影が行なわれ偏差が偏差記憶部に記憶された後、同じ焦点距離で撮影が再度行なわれるような場合等も含まれる。
【0027】
また、上記偏差記憶部が例えば不揮発性のメモリで構成されている場合には、例えばリセット操作でその不揮発性メモリの内容が消去されることもある。このような構成の場合には、リセットされた後の2回目以降の撮影が、上記偏差が記憶されている場合に該当する。
【0028】
ここで、上記第1の撮影光学系および上記第2の撮影光学系双方が焦点距離可変であって互いに同一の焦点距離に調整されるものであり、
上記偏差記憶部は、上記偏差を、複数の焦点距離それぞれについて記録するものであることが好ましい。
【0029】
そうすると、ユーザによりズームスイッチが操作されて焦点距離が変更されても、焦点距離に対応した偏差を用いることで第1及び第2のフォーカスレンズが双方ともに的確な合焦位置に配置される。
【0030】
また、上記第1の撮影光学系および上記第2の撮影光学系が、並べて配置され立体視用の画像信号を生成するものであることが好ましい。
【0031】
そうすると、第1の撮影光学系と第2の撮影光学系とで、それぞれ、ピントのあった右眼用の画像信号と左眼用の画像信号とが得られる。
【0032】
また、上記目的を達成する本発明の第1の合焦位置決定方法は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、その第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部、および、第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、その第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部からなる双方の撮影部を備えた撮影装置における合焦位置決定方法であって、
上記第1のフォーカスレンズを所定の第1のサーチ領域内で移動させながら合焦位置を探索してその第1のフォーカスレンズを合焦位置に停止させる第1のステップと、
上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した第2のフォーカスレンズの合焦期待位置を含む、上記第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域内で移動させながら合焦位置を探索してその第2のフォーカスレンズを合焦位置に停止させる第2のステップとを有することを特徴とする。
【0033】
上記本発明の第1の合焦位置決定方法によれば、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した第2のフォーカスレンズの合焦期待位置を含む、上記第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域内で移動させながら合焦位置を探索する構成にすることで、第1、第2のフォーカスレンズ各々が正確な合焦位置に配置される。その結果、第1の撮影光学系と第2の撮影光学系との間の固体差が解消され、第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置に各々配置される。このときには、第2のフォーカスレンズをサーチさせる距離が上記第1のサーチよりも短い区間に限定されるためにさほど時間が係ることもなく従来とほぼ同じ程度の時間でAFサーチが終了する。
【0034】
また、上記目的を達成する本発明の第2の合焦位置決定方法は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、その第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部、および、第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、その第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部からなる双方の撮影部を備えるとともに、さらに、上記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を不揮発的に記憶しておく偏差記憶部を備えた撮影装置における合焦位置決定方法であって、
上記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索してその第1のフォーカスレンズを合焦位置に停止させる第1のステップと、
上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に移動させる第2のステップとを有することを特徴とする。
【0035】
上記本発明の第2の合焦位置決定方法によれば、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に配置することで、従来と同じ時間で第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズとの間の固体差が解消され双方のフォーカスレンズが正確な合焦位置に配置される。
【0036】
また、上記目的を達成する本発明の第3の合焦位置決定方法は、
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、その第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部、および、第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、その第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が上記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部からなる双方の撮影部を備えるとともに、さらに、上記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を記憶する偏差記憶部を備えた撮影装置における合焦位置決定方法であって、
上記第1および第2のフォーカスレンズ駆動部各々に指示し上記第1および第2のフォーカスレンズ各々を光軸方向に移動させながら各々の合焦位置を探索しその第1及びその第2のフォーカスレンズ各々を各々の合焦位置に停止させる第1のステップと、
上記第1のステップの実行により探索された上記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、上記第1のステップの実行により探索された上記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を上記偏差記憶部に記憶させる第2のステップと、
上記偏差記憶部に上記偏差が記憶されている場合に上記第1ステップおよび上記第2ステップの実行に代えて実行される、上記第1の撮影光学系について、上記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索してその第1のフォーカスレンズを合焦位置に停止させ、上記第2の撮影光学系については、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に移動させる第3のステップとを有することを特徴とする。
【0037】
上記本発明の第3の合焦位置決定方法によれば、例えば初回の撮影については、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した第2のフォーカスレンズの合焦期待位置を含む、上記第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域内で移動させながら合焦位置を探索する構成にすることで、第1、第2のフォーカスレンズ各々が正確な合焦位置に配置される。その結果、第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消され、第1のフォーレンズと第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置に各々配置される。このときには、第2のフォーカスレンズをサーチさせる距離が上記第1のサーチよりも短い区間に限定されるためにさほど時間が係ることもなく従来とほぼ同じ程度の時間でAFサーチが終了する。
【0038】
さらに初回の撮影時に取得した上記偏差を上記偏差記憶部に記憶しておいて、次回以降の撮影については、上記第2のフォーカスレンズを、上記第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した上記第2のフォーカスレンズの合焦期待位置よりも上記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置に配置することで、第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消され、第1のフォーカスレンズと第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置に各々配置される。このときには従来と同じ時間でAFサーチが終了する。
【発明の効果】
【0039】
以上説明した様に、従来と同じ程度の時間で、2つの撮影部各々の合焦位置を正確に決定することができる撮影装置、およびその撮影装置における合焦位置決定方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態である撮影装置を示す図である。
【図2】図1の撮影装置1の内部の構成を示すブロック図である。
【図3】メインCPU100が、第1のFレンズ駆動部104Aと第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第1および第2のフォーカスレンズを移動させながらAF検出部120に行なわせる合焦位置決定方法を説明する図である。
【図4】サーチ範囲設定部121の処理内容を説明する図である。
【図5】メインCPU100がAF検出部と連携して実行する合焦位置決定の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態を示す図である。
【図7】図6に示すメインCPU100が、第1のFレンズ駆動部104Aと第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第1および第2のフォーカスレンズを移動させながらAF検出部120に行なわせる合焦位置決定方法を説明する図である。
【図8】合焦位置演算部121Aの処理内容を説明する図である。
【図9】図6に示すメインCPUがAF検出部とFレンズ駆動部を構成するDSPと連携して実行する合焦位置決定の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態を説明する図である。
【図11】図10に示すメインCPU100が、第1のFレンズ駆動部104Aと第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第1および第2のフォーカスレンズを移動させながらAF検出部120に行なわせる合焦位置決定方法を説明する図である。
【図12】偏差検出部の処理内容を説明する図である。
【図13】図10に示すメインCPU100がAF検出部等を構成するDSPと連携して実行する合焦位置決定の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態である撮影装置を示す図である。
【0043】
図1(a)には、撮影装置1を斜め上方から見た斜視図が示されている。
【0044】
図1(a)に示す撮影装置1には、2つの撮影部1A,1Bが備えられている。以降においてはこの2つの撮影部を第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bと記載して区別することにする。
【0045】
この第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとは、立体視用の画像信号を生成することが可能な様に並べて配置されており、これらの撮影部1A,1Bで右眼用と左眼用の画像信号がそれぞれ生成される。図1の撮影装置1の上面にある電源スイッチ10Aが操作され、撮影モードダイヤル10Bが例えば立体モードというモードにセットされてシャッタ釦10Cが操作されると、立体視用の画像データが双方の撮影部1A,1Bで生成される。
【0046】
この実施形態の撮影装置1が備えるシャッタ釦10Cは半押しと全押しとの2つの操作態様を有しており、この撮影装置1では、そのシャッタ釦10Cが半押しされたときに露出調整やピント調整が実施され、全押しされたときに撮影が実施される。また、被写界輝度が暗いときには被写体に向けてフラッシュを発光するフラッシュ発光窓WDが撮影部1Bの上方に設けられている。
【0047】
また、図1(b)に示す様に、背面には3次元表示が可能なモニターDISPが備えられており、そのモニターDISP上には双方の撮影部1A,1Bが捉えている同一の被写体が立体画像となって表示される。さらに、ズームスイッチ10Dやメニュー/OK釦10Eや十字キー10Fなどの操作子も配備されている。以降においては、電源スイッチ10Aやシャッタ釦10Bやモードダイヤル10Cやズームスイッチ10Dやメニュー/OK釦10Eや十字キー10Fなどを総称して操作部10と記載することがある。
【0048】
図2は図1の撮影装置1の内部の構成を示すブロック図である。
【0049】
図2を参照して撮影装置1の内部の構成を説明する。
【0050】
この撮影装置1の動作は、統括的にメインCPU100によって制御される。
【0051】
メインCPU100にはバスBusを介してROM101が接続されており、そのROM101の中にはこの撮影装置1が動作するのに必要なプログラムが格納されている。このプログラムの手順にしたがってメインCPU100は、この撮影装置1の動作を統括的に制御する。
【0052】
まず、図1に示した操作部10内の電源スイッチ10Aが操作されると、メインCPU100は、電源制御部1001を制御してバッテリBTからの電力を電源制御部1001を通して図2の各部に供給させてこの撮影装置1を動作状態に移行させる。こうしてメインCPU100は撮影処理を開始する。なお、AF検出部120とサーチ範囲設定部121とAE/AWB検出部130と画像入力コントローラ114Aとデジタル信号処理部116Aと3D画像生成部117は、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサで構成されているとし、メインCPU100はそのDSPと連携して処理を実行するとする。また表示制御部119とモニターDISPは、LCDで構成されているものとする。
【0053】
ここで、先に図1で説明した第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bの内部の構成を、図2を参照して説明する。なお第1の撮影部1Aの各構成部材には‘第1の’という文言を付し、第2の撮影部1Bの各構成部材には‘第2’のという文言を付して説明する。
【0054】
第1の撮影部1Aには、第1のフォーカスレンズFLAを含む第1の撮影光学系110Aと、その第1のフォーカスレンズFLAを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部(以降第1のFレンズ駆動部という)104Aと、被写体が第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子111Aとが備えられている。この第1の撮影光学系110Aには他に第1の絞りIAが配備されており、その第1の絞りIAの開口径を変更する第1の絞り駆動部105Aが備えられている。
【0055】
また、この第1の撮影光学系100Aはズームレンズになっており、そのズームレンズを所定の焦点距離にする制御を行なうZレンズ駆動部103Aも備えられている。なお、この図2には、撮影光学系全体がズームレンズであることが1枚のレンズZLで模式的に示されている。
【0056】
一方、第2の撮影部1Bにも上記第1の撮影部1Aと同じ様に、第2のフォーカスレンズFLBを含む撮影光学系と、その第2のフォーカスレンズFLBを光軸に方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部(以降第2のFレンズ駆動部という)104Bと、被写体が第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光してその被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子111Bとが備えられている。
【0057】
これらの第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとで立体視用の画像信号、つまり第1の撮影部1Aでは右眼用の画像信号が生成され、第2の撮影部1Bでは左眼用の画像信号がそれぞれ生成される。
【0058】
第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとは右眼用の画像信号を生成するか、左眼用の画像信号を生成するかの違いだけで構成が全く同じであって、第1のA/D113Aと第2のA/D113Bで双方の撮影部の画像信号がデジタル信号に変換されてバスBusに導かれた後の処理も同じであるので、第1の撮影部1Aについて画像信号の流れに沿ってその構成を説明していく。
【0059】
まず、第1の撮影部1Aが捉えている被写体をそのままスルー画としてモニターDISP上に表示する際の動作から説明する。
【0060】
操作部10内の電源スイッチ10Aが操作されたことを受けてメインCPU100は電源制御部1001を制御して各部にバッテリBTからの電力を供給させてこの撮影装置1を動作状態に移行させる。
【0061】
メインCPU100は、まず、Fレンズ駆動部104Aと絞り駆動部105Aとを制御して露出およびピントの調整を開始する。さらにTG106Aに指示して撮像素子111Aに電子シャッタを設定させ、例えば1/60秒ごとに撮像素子111Aからアナログ信号処理部112Aに画像信号を出力させる。
【0062】
アナログ信号処理部112Aでは、TG106Aからのタイミング信号の供給を受け、撮像素子111Aからの1/60秒ごとの画像信号の供給を受けてノイズの低減処理等が行なわれノイズの低減処理が行なわれたアナログの画像信号が次段のA/D113Aへと供給される。このA/D113AにおいてもTG106Aからのタイミング信号に同期して1/60秒ごとにアナログの画像信号がデジタルの画像信号への変換処理が行なわれる。こうしてA/D113Aで変換され出力されてくるデジタルの画像信号が画像入力コントローラ114Aによって1/60秒ごとにバスBusに導かれ、このバスBusに導かれた画像信号はSDRAM115に記憶される。撮像素子111Aからは1/60秒ごとに画像信号が出力されるので、このSDRAM115の内容は1/60ごとに書き換えられることになる。
【0063】
このSDRAM115に記憶された画像信号は、AF検出部120とAE/AWB検出部130とデジタル信号処理部116Aとを構成するDSPによって1/60ごとにそれぞれ読み出される。
【0064】
AF検出部120では、メインCPU100がFレンズ駆動部104Aを制御してフォーカスレンズFLAを移動させている最中の1/60ごとにコントラストの検出が行なわれてAFサーチが実施される。このAF検出部120の検出結果に基づいてメインCPU100はFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAを合焦位置に移動させ停止させる。このため、第1の撮影部1Aがどの方向に向けられてもすぐにピントが調整されて、モニターDISP上には、ほぼいつでもピントのあった被写体が表示される。
【0065】
またAE/AWB検出部130では、輝度の検出とデジタル信号処理部116A内のホワイトバランスアンプに設定するゲインの算出が1/60ごとに行なわれる。メインCPU100は、このAE/AWB検出部130の輝度の検出結果に応じて絞り駆動部105Aを制御して絞りIの開口径を変更させる。またデジタル信号処理部116Aは、AE/AWB検出部130からの検出結果を受けてホワイトバランスアンプのゲインを設定する。
【0066】
このデジタル信号処理部116Aでは、表示に適した画像信号になるように処理が行なわれ、そのデジタル信号処理部116Aの信号処理により表示に適したものに変換された画像信号が、3D画像生成部117へと供給されてその3D画像生成部117で表示用の右眼用の画像信号が生成され、生成された右眼用の画像信号がVRAM118に記憶される。
【0067】
ここまでの動作と同じ動作が、同じタイミングで第2の撮影部1Bによっても行なわれる。
【0068】
したがってVRAM118には、右眼用と左眼用との2種類の画像信号が記憶されることになる。
【0069】
メインCPU100は、表示制御部119に、そのVRAM118内の右眼用の画像信号と左眼用の画像信号とを転送してモニターDISP上に画像を表示させる。図1のモニターDISP上に右眼用の画像信号と左眼用の画像信号とが重ねて表示されると、人の眼にはモニターDISP上の画像が立体的に見えるようになる。第1、第2の撮像素子111A,111Bからは1/60ごとに画像信号を出力させ続けているので、VRAM118内の画像信号は1/60ごとに書き換えられモニターDISP上の立体画像も1/60ごとに切り替えられて表示され立体画像が動画となって表示される。
【0070】
ここで、そのモニターDISP上の被写体が参照され操作部10の中のシャッタ釦10Aが半押し操作されると、メインCPU100は、AE/AWB検出部130でシャッタ釦10Cが全押しされる直前に検出されたAE値を受け取って第1、第2の絞り駆動部105A,105Bに指示して第1、第2の絞りIA,IBをAE値に応じた径にさせるとともに、第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAを第1のサーチ領域で移動させながらAF検出部120にコントラストの検出を行なわせる。AF検出部120でコントラストの最大が検出されると、メインCPU100はそのコントラストの最大が得られた合焦位置P1を受け取って第1のフォーカスレンズFLAをその合焦位置P1に停止させる。
【0071】
一方、第2の撮影光学系については、第2のフォーカスレンズFLBを、第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置に対応した第2のフォーカスレンズFLBの合焦期待位置を含む、第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域内で移動させながらAF検出部120に合焦位置を探索させる。メインCPU100はAF検出部120から探索結果を受け取ってその第2のフォーカスレンズFLBを探索結果が示す合焦位置に停止させる。詳細は後述するが、このときには、AF検出部120が、サーチ範囲設定部121に、第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置P1と、フラッシュROM102から読み出したサーチ領域を示すデータ(近傍側偏差Nと遠方側偏差F)とに基づいて第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した合焦期待位置を含む、第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域を算出させ、メインCPU100がその第2のサーチ領域の算出結果を受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示してその第2のサーチ領域で合焦位置を探索するAFサーチを行なわせる。
【0072】
このように第1の撮影部1AのフォーカスレンズFLAには従来どおりのAFサーチを行なわせ、第2の撮影部1Bには第2のフォーカスレンズFLBの合焦期待位置を含む、第1の範囲よりも狭い第2の範囲でAFサーチを行なわせても、第2の撮影部1Bについては合焦期待位置を挟んだ短い領域のAFサーチを行なわせるだけで済むので、従来とほぼ同じ程度の時間でAFサーチが終了する。
【0073】
そしてシャッタ釦10Cが全押しされると、メインCPU100は、第1、第2のTG106A,106Bに電子シャッタを設定させて静止画の撮影処理を開始する。メインCPU100は、電子シャッタのオフタイミングで第1、第2の撮像素子111A,111Bから画像信号を第1、第2のアナログ信号処理部112A,112Bへと出力させ、第1、第2のアナログ信号処理部112A,112Bにノイズの低減処理を行なわせる。その後、第1、第2のA/D113A,113Bでアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換させる。このときには第1、第2のデジタル信号処理部116A,116BにAE/AWB検出部130で検出された全押し直前に検出されたホワイトバランス情報に基づいて内部のホワイトバランスアンプにゲインが設定されていて適切なホワイトバランス調整が行なわれる。
【0074】
ここでメインCPU100の指示にしたがって第1、第2の画像入力コントローラ114Aが、第1、第2のA/D113A,113Bで変換されたデジタルの画像信号をバスBus側に導いてバスBusを経由して一旦すべての画像信号をSDRAM115に記憶する。その後、今度はデジタル信号処理部116A,116BがSDRAM115の画像信号を読み出して表示に適した画像信号に変換し変換した画像信号を3D画像生成部117へと転送する。こうして第1、第2のデジタル信号処理部116A,116Bで表示に適した右眼用の画像信号と左眼用の画像信号とが生成され、3D画像生成部117でモニターDISPに表示するための表示用の右眼用の画像信号と左眼用の画像信号が生成された後、メインCPU100は、3D画像生成部117内の右眼用の画像信号と左目用の画像信号を、バスBusを使って圧縮・伸長処理部150に供給する。メインCPU100は、この圧縮・伸張処理部150に画像データの圧縮を行なわせた後、その圧縮された画像データをメディア制御部にバスBusを使って転送するとともに、その圧縮や撮影に係るヘッダ情報をメディア制御部160に供給してメディア制御部160に画像ファイルを生成させメモリカード161にその画像ファイルを記録させる。
【0075】
この実施形態の構成にすると、第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとの間に固体差があっても、その固体差が解消され各々の撮影光学系の第1、第2のフォーカスレンズが的確な合焦位置にいままでとほぼ同じ時間で各々配置される。なお図2には、他にフラッシュ制御部180とそのフラッシュ制御部180からの指示を受けて図1の発光窓WDからフラッシュを発光するフラッシュ181や現在の時刻を検知するための時計部W、さらにはこの撮影装置1の姿勢を検出する姿勢検出センサ190が図示されている。
【0076】
本実施形態では、メインCPU100と第1、第2のFレンズ駆動部104A,104Bと第1、第2のフォーカスレンズFLA,FLBとフラッシュROM102とAF検出部120とサーチ範囲設定部121とで、本発明にいう合焦位置決定手段の一例が構成される。
【0077】
ここまで説明してきた動作をより分かり易くするためにメインCPU100が第1、第2のFレンズ駆動部104A,104Bに指示して第1、第2のフォーカスレンズを移動させながらAF検出部120に行なわせる合焦位置決定方法を、図3と図4を参照して分かり易く説明する。
【0078】
図3は、メインCPU100が、第1のFレンズ駆動部104Aと第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第1および第2のフォーカスレンズFLA,FLBを移動させながらAF検出部120に行なわせる合焦位置決定方法を説明する図である。また図4は、サーチ範囲設定部の処理内容を説明する図である。
【0079】
図3(a)には、第1のフォーカスレンズFLAの第1のサーチ領域が示されており、図3(b)には第2のフォーカスレンズFLBの第2のサーチ領域が示されている。
【0080】
図3(a)に示す様に、メインCPU100は第1のFレンズ駆動部104Aに第1のサーチ領域(PnからPf)で第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAF検出部120にコントラストの最大を検出させることにより合焦位置を探索させる。ここでメインCPU100はAF検出部120が検出したAF評価値(コントラスト)が最大となる合焦位置P1を受け取って第1のFレンズ駆動部104Aに指示してフォーカスレンズFLAをその合焦位置P1に移動させ停止させる。
【0081】
その後AF検出部120は、サーチ範囲設定部121に合焦位置P1を入力するとともに、フラッシュROM102から第2のサーチ領域に関する定数(近傍側偏差N、遠方側偏差F)を読み出してサーチ範囲設定部121に転送し、サーチ範囲設定部121に第2のサーチ領域を算出させる。メインCPU100は、その算出結果をバスBusを介して受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBを第2のサーチ範囲(Pn´からPf´)で移動させながらAF検出部120に合焦位置を探索させる。
【0082】
そしてメインCPU100はAF検出部120が検出した第2の撮影部1BのAF評価値(コントラスト)が最大となる合焦位置P2を受け取って第2のFレンズ駆動部104Aに指示してフォーカスレンズFLBをその合焦位置P2に停止させる。
【0083】
つまり、図4に示す様に、サーチ範囲設定部121では、AF検出部120で検出された第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置P1とフラッシュROM102内に予め記憶されていた近傍側偏差Nと遠方側偏差Fとに基づいて、第2のサーチ領域となるサーチ開始位置Pn´をPn´=Pn+Nという式から算出し、サーチ終了位置Pf´をPf´=P1−Fという式から算出する。なお、フラッシュROM102内には、近傍側偏差Nと遠方側偏差Fを表わすデータの組み合わせが、第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとの間の固体差を解消することができるように焦点距離ごと、さらに合焦位置ごとに複数記憶されているとする。
【0084】
メインCPU100はこの算出結果を受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示して、第2のフォーカスレンズFLBを第1のサーチ領域よりも狭い第2のサーチ領域(Pn´からPf´)で移動させながら合焦位置P2をAF検出部120に探索させ探索させた合焦位置を受け取って第2のレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBを配置する。
【0085】
この構成にすると、第2のフォーカスレンズFLBを第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置に対応した合焦期待位置を含んだ狭い第2のサーチ領域をAFサーチさせるだけで済むので、従来のAF時間とさほど変わらない時間で、双方の撮影部の固体差が解消された正確な合焦位置決定が行なわれる。
【0086】
最後に、メインCPU100とAF検出部120とサーチ範囲設定部121等を構成するDSPとが連携して実行する合焦位置決定処理の手順をフローチャートを参照しながら説明する。
【0087】
図5は、メインCPU100がAF検出部120やAE/AWB検出部130等を構成するDSPと連携して実行する合焦位置決定の処理手順を示すフローチャートである。
【0088】
ステップS501でメインCPU100が、シャッタ釦10Cが半押しされたかどうかを判定する。このステップS501でメインCPU100が、シャッタ釦10Cが半押しされていないと判定するとNo側へ進んでステップS501の処理を繰り返し、このステップS501でシャッタ釦10Cが半押しされたと判定するとYes側へ進む。そしてYes側へ進むとステップS502でメインCPU100からの処理開始指示を受けてDSP内のAE/AWB検出部130がAE動作を開始し、さらにステップS503へ進んで、DSP内のAF検出部120がAF動作を開始する。
【0089】
ステップS503のAF動作の開始に伴ってステップS504で、メインCPU100が、まず第1のサーチ領域(図4のPnからPf)を第1のFレンズ駆動部104Aに設定し、次のステップS505で第1撮影光学系の第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAF検出部120に合焦位置の検出を行なわせる。
【0090】
そしてステップS506で、AF検出部120が、第1の撮影部1Aが備える撮影光学系内の第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置P1を取得したことを受けてメインCPU100は第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAをその第1の合焦位置P1に停止させる。
【0091】
次のステップS507でAF検出部120がその合焦位置P1をサーチ範囲設定部121に供給するとともに、フラッシュROM102からサーチの開始位置データNとサーチの終了位置データFを読み出してサーチ範囲設定部121に供給し、サーチ範囲設定部121に第2のサーチ領域を図4に示すPn´=P1+N、Pf´=P1−Fという式を使って算出させる。メインCPU100はその算出結果を受け取って第2のFレンズ駆動部104Bにそのサーチ開始位置Pn´とサーチ終了位置Pf´とを設定して、ステップS508で第2のサーチ範囲でフォーカスレンズFLBを移動させながらAF検出部120に第2の合焦位置P2を検出させる。ステップS508で第2の合焦位置P2を検出させると、ステップS509でメインCPU100はその合焦位置P2をAF検出部120から取得して、ステップS510で第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBをその合焦位置P2に移動させ停止させる。ステップS511でAF動作を終了した後、ステップS512でメインCPU100はシャッタ釦10Cの全押しを待ち受ける。このステップS512でメインCPU100が、シャッタ釦10Cが全押しされないと判定するとNo側へ進んでステップS512の処理を繰り返し、シャッタ釦10Cが全押しされたと判定すると、Yes側へ進んで撮影処理を実行してこのフローの処理を終了する。
【0092】
本実施形態では、ステップS504からステップS506までの処理が本発明にいう第1のステップの処理の一例に相当し、ステップS507からステップS510までの処理が本発明にいう第2のステップの処理の一例に相当する。
【0093】
メインCPU100と、AF検出部120やサーチ範囲設定部121等を構成するDSPとが、図5のフローを実行すると、従来と同じ程度の時間であってしかも第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとの間の固体差が解消された正確な合焦位置決定が実施される。
【0094】
図6は、第2実施形態を示す図である。
【0095】
この第2実施形態でも図1の外観の撮影装置1が用いられるとする。この図6には、図2とほぼ同じブロック図が示されており、図2のサーチ範囲設定部121の部分が合焦位置演算部121Aに置き換えられている。
【0096】
また、図7は、メインCPU100が、第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズを移動させながらAF検出部120に行なわせた後、第2のフォーカスレンズについてはフラッシュROM102内の偏差Dfを使って第2のフォーカスレンズFLBを合焦位置に移動させ停止させる構成に変更した合焦位置決定方法を説明する図である。さらに図8は合焦位置演算部121Aの処理内容を説明する図である。
【0097】
第1実施形態では、メインCPU100が第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBを第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応する合焦期待位置を含んだ短い第2のサーチ領域でのAFサーチを行なわせることで、従来とさほど変わらない時間で、固体差を解消し、かつ正確な合焦位置決定を可能にする構成を提案した。
【0098】
これに対して第2実施形態では、この撮影装置1を市場に出荷する前の製造時に第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとの間の固体差を表わす合焦位置の偏差を予め取得しその偏差をフラッシュROM102に記憶しておいて、撮影時には第1のフォーカスレンズのみを移動させながらAF検出部120に第1の合焦位置P1の検出を行なわせ、第2のフォーカスレンズFLBについては第2のフォーカスレンズFLBを移動させながらのAFサーチを省略して合焦位置演算部121Aに偏差Dfを使って第2の合焦位置P2を算出させ算出させた位置に第2のフォーカスレンズを移動させ停止させる構成を提案している。
【0099】
この構成にすると、固体差を解消し、かつ正確な合焦位置決定を従来とほぼ同じ時間で行なうことができる。この第2の実施形態では、メインCPU100と第1、第2のFレンズ駆動部104A,104Bと第1、第2のフォーカスレンズFLA,FLBとフラッシュROM102とAF検出部120と合焦位置演算部121Aとで、本発明にいう合焦位置決定手段の一例が構成される。
【0100】
図7を参照して第2実施形態を説明する。
【0101】
図7(a)には、第1のフォーカスレンズFLAの第1のサーチ領域が示されており、図7(b)には第2のフォーカスレンズFLBをサーチさせずに合焦位置演算部121Aに算出させた第2の合焦位置P2に第2のフォーカスレンズを移動させ停止させるということが示されている。
【0102】
図7(a)に示す様にメインCPU100がFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAを第1のサーチ領域(PnからPf)で移動させながらAF検出部120に合焦位置P1を検出させるところまでは第1実施形態と同じである。
【0103】
その後の第2のフォーカスレンズFLBの合焦位置決定については、AF検出部120が第1のフォーカスレンズの上記合焦位置P1を合焦位置演算部102Aに供給するとともに上記偏差DfをフラッシュROM102から読み出しその偏差Dfをその合焦位置演算部121Aに供給して、合焦位置演算部121Aに図8に示すP2=P1−Dfという式を使って合焦位置P2を算出させた後、メインCPU100がその合焦位置演算部121Aの算出結果を受け取って第2のフォーカスレンズFLBをその算出された合焦位置に移動させ停止させる。
【0104】
この構成にすると、第2のフォーカスレンズFLBをAFサーチさせる必要がなくなるので、従来と同じ時間でAFサーチが終了し、しかも第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消されて的確な合焦位置に第1、第2のフォーカスレンズが各々配置される。
【0105】
また、この第2の実施形態では、ズームスイッチ10Dが操作されて焦点距離が変更されると、第1、第2のフォーカスレンズFLA,FLBの合焦位置が変化するということを考慮して、フラッシュROM102内には異なる焦点距離ごとの偏差が記録され、AF検出部120が、メインCPU100から現在の焦点距離情報を受け取ってその焦点距離情報に応じた偏差を読み出す構成にしてある。この構成にすると、ズームスイッチ10Dが操作され焦点距離が変更されても正確な合焦位置決定が行なわれる。
【0106】
こうしてメインCPU100が、合焦位置演算部121Aで算出された結果(P2=P1−Df)を受け取って図7(b)に示す様に、その合焦位置P2に第2のフォーカスレンズFLBをAFサーチをせずに配置する構成にしても良い。
【0107】
この第2実施形態の構成にしても第1の実施形態と同じ様に、第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消され、第1の撮影部1Aが備える第1のフォーカスレンズと第2の撮影部1Bが備える第2のフォーカスレンズ各々に的確な合焦位置が得られる。
【0108】
また、この第2の実施形態においては、第2のフォーカスレンズを移動させずに、第1の合焦位置から偏差Dfだけ偏倚した位置に第2のフォーカスレンズFLBを移動させ停止させる構成にしてあるので、従来とほぼ同じ時間でAFサーチが終了する。
【0109】
最後に、第2実施形態のメインCPU100が、AF検出部120と合焦位置演算部121Aを構成するDSPと連携して実行する合焦位置決定処理の手順を図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0110】
図9は、第2実施形態のメインCPU100が、AF検出部120等を構成するDSPと連携して処理を実行する合焦位置決定の処理手順を示すフローチャートである。
【0111】
ステップS507の処理がステップS507Aに変更され、ステップS508、ステップS509の処理が省略されている以外は、図5のフローの処理と同じであるので、処理が変更されたところを説明する。
【0112】
ステップS507Aで、AF検出部120がフラッシュROM102から偏差Dfを読み出して合焦位置演算部102Aに供給し、第2のフォーカスレンズFLBの合焦位置P2を算出させ、ステップS510でメインCPU100が合焦位置演算部121Aに算出させた合焦位置P2を受け取ってFレンズ駆動部104Bに指示してフォーカスレンズFLBを合焦位置P2に移動させ停止させる。
【0113】
本実施形態では、ステップS504からステップS506までの処理が本発明にいう第1のステップの処理の一例に相当し、ステップS507AからステップS510までの処理が本発明にいう第2のステップの処理の一例に相当する。
【0114】
メインCPU100とAF検出部120等を構成するDSPが、図9のフローを実行すると、第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとの間の固体差が解消された的確な合焦位置決定が従来とほぼ同じ時間で実施される。
【0115】
図10〜図13は、第3実施形態を説明する図である。
【0116】
この第3実施形態においても図1の外観の撮影装置1が用いられるとする。
【0117】
図10は、図2と同様に図1の撮影装置の内部構成を示す図であって、サーチ範囲設定部121が偏差検出部121Bに置き換えられている以外は、図2と同じ構成を示す図である。また、図11は、メインCPU100が、初回の撮影時には第1のFレンズ駆動部104Aと第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第1および第2のフォーカスレンズFLA,FLBを移動させながらAF検出部120に第1、第2の合焦位置P1,P2の検出を行なわせこの合焦位置の偏差DfをDRAM115に記憶しておいて、次回以降の撮影においては第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAF検出部120に第1の合焦位置P1の検出を行なわせ、偏差検出部に偏差Dfと第1の合焦位置P1を供給して第2のフォーカスレンズFLBの第2の合焦位置を算出させるという合焦位置決定方法を説明する図である。また図12は、偏差検出部121Bの処理内容を説明する図である。
【0118】
この第3実施形態では、初回の撮影時には第1実施形態の合焦位置決定方法を使って第2のフォーカスレンズを合焦位置P1に移動させ停止させると共に、その初回の撮影時に第1の撮影部1Aと第2の撮影部1Bとの固体差を示す偏差Dfを取得してSDRAM115に記憶しておいて、以降の撮影時においては第2実施形態の合焦位置決定方法を使ってAF検出部120がSDRAM115から偏差Dfを読み出して偏差検出部121Bに供給しその偏差検出部121Bに第2の合焦位置P2を算出させ、メインCPU100がその第2の合焦位置P2を偏差検出部121Bから受け取って第2の駆動部104Bに指示してその偏差Dfだけ偏倚した位置に第2のフォーカスレンズFLBを移動させ停止させる構成を提案している。
【0119】
この第3実施形態では、メインCPU100と第1、第2のFレンズ駆動部104A,104Bと第1、第2のフォーカスレンズFLA,FLBとフラッシュROM102とAF検出部120と偏差検出部121Bとで、本発明にいう合焦位置決定手段の一例が構成される。
【0120】
ここで、図11を参照してメインCPU100が、第1のFレンズ駆動部104Aと第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第1および第2のフォーカスレンズを移動させながらAF検出部120に行なわせる合焦位置決定方法を説明する。
【0121】
図11(a)、(b)には、初回の撮影においては、上記第1実施形態と同じ様に、第1のフォーカスレンズFLAおよび第2のフォーカスレンズFLBを移動させながらAFサーチが行なわれるということが示されている。また図11(c)、(d)には、2回目以降の撮影においては、第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAFサーチが行われることと、第2のフォーカスレンズFLBについては初回の撮影により得られた偏差を使って第2のフォーカスレンズが合焦位置に配置されるということが示されている。
【0122】
図11に示す様に、初回の撮影においては、第1実施形態と同様に、メインCPU100が第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のサーチ領域(PnからPf)で第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAF検出部120に合焦位置を探索させる。ここでメインCPU100はAF検出部120が検出したAF評価値(コントラスト)が最大となる合焦位置P1を受け取って第1のFレンズ駆動部104Aに指示してフォーカスレンズFLAをその合焦位置P1に停止させる。
【0123】
その後AF検出部120は、偏差検出部121に合焦位置P1を入力するとともに、フラッシュROM102から第2のサーチ領域に関する定数(近傍側偏差N、遠方側偏差F)を読み出して偏差検出部121Bに転送し、偏差検出部121Bに第2のサーチ領域を算出させる。メインCPU100は、その算出結果をバスBusを経由して受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBを第2のサーチ範囲(Pn´からPf´)で移動させながらAF検出部120に合焦位置を探索させる。
【0124】
そしてメインCPU100はAF検出部120が検出した第2の撮影部1BのAF評価値(コントラスト)が最大となる合焦位置P2を受け取って第2のFレンズ駆動部104Aに指示してフォーカスレンズFLBをその合焦位置P2に停止させる。
【0125】
このようにすると、第1実施形態と同様に、初回の撮影においては従来のAF時間とさほど変わらない時間で、2つの撮影部の間の固体差が解消された正確な合焦位置決定が行なわれる。
【0126】
ここで、本実施形態では、偏差検出部121Bが第1の合焦位置P1と第2の合焦位置P2との間の偏差DfをP1−P2という式を使って算出し偏差DfをSDRAM115に記憶する。
【0127】
そして次回以降の撮影においては、図11(c)、(d)に示す様にメインCPU100が第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAを第1のサーチ領域(PnからPf)で移動させながらAF検出部120に合焦位置P1を検出させた後、AF検出部115が、SDRAM115内の偏差Dfを読み出しその偏差Dfをその偏差検出部121Bに供給して、第2の撮影部1Bの第2のフォーカスレンズFLBの合焦位置P2を算出させ、メインCPU100がその合焦位置P2を受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBをその合焦位置P2に移動させ停止させる。
【0128】
この構成にすると、2回目以降の撮影においては、第2実施形態と同様に、AFサーチを行なわせる必要がなくなって従来のAF時間と同じ時間で第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消された正確な合焦位置決定が行なわれる。
【0129】
最後に、合焦位置決定手段を構成するメインCPU100が、AF検出部120と偏差検出部121Bを構成するDSPと連携して実行する合焦位置決定処理の手順をフローチャートを参照しながら説明する。
【0130】
図13は、メインCPU100がDSPと連携して実行する合焦位置決定の処理手順を示すフローチャートである。
【0131】
ステップS501でメインCPU100がシャッタ釦10Cが半押しされたかどうかを判定する。このステップS501でメインCPU100がシャッタ釦10Cが半押しされていないと判定するとNo側へ進んでステップS501の処理を繰り返し、このステップS501でシャッタ釦10Cが半押しされたと判定すると、Yes側へ進む。Yes側へ進むとステップS502でメインCPU100からの処理開始指示を受けてDSP内のAE/AWB検出部130がAE動作を開始し、さらにステップS503Aへ進んで初回の撮影か否かを判定する。このステップS503AでメインCPU100が初回の撮影であると判定すると、Yes側へ進んでメインCPU100からの撮影開始指示を受けてAF検出部がAF動作を開始する。なお、ステップS503Aにおける、初回の撮影か否かは、より具体的には、SDRAM115内に有効な偏差Dfの値が記憶されているか否かによって判定する。
【0132】
ステップS504で、メインCPU100が、まず第1のサーチ領域(図4のPnからPf)を第1のFレンズ駆動部104Aに設定し、次のステップS505で第1撮影光学系の第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAF検出部120に合焦位置の検出を行なわせる。
【0133】
そしてステップS506で、AF検出部120が、第1の撮影部1Aが備える撮影光学系内の第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置P1を取得したことを受けてメインCPU100は第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAをその第1の合焦位置P1に停止させる。
【0134】
ステップS507でAF検出部120がその合焦位置P1を偏差検出部121Bに供給するとともに、フラッシュROM102から近傍側偏差Nと遠方側偏差Fを読み出して偏差検出部121に供給し、偏差検出部121Bに第2のサーチ領域を図12の式を使って算出させる。ステップS507でメインCPU100がその第2のサーチ領域を偏差検出部121Bから取得してステップS508で第2のFレンズ駆動部104Bにそのサーチ開始位置Pn´とサーチ終了位置Pf´とを設定して、ステップS509で第2のサーチ範囲でフォーカスレンズFLBを移動させながらAF検出部120に合焦位置P2を検出させる。ステップS510でメインCPU100がその合焦位置P2をAF検出部120から受け取って第2のFレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズFLBをその合焦位置P2に移動させ停止させる。次のステップS5091でAF検出部120が偏差検出部121Bに合焦位置P1と合焦位置P2との偏差を算出させ、その偏差をSDRAM115に記憶する。
【0135】
ステップS511でAF動作を終了した後、ステップS512でメインCPU100はシャッタ釦10Cの全押しを待ち受ける。このステップS512でメインCPU100が、シャッタ釦10Cが全押しされないと判定するとNo側へ進んでステップS512の処理を繰り返し、シャッタ釦10Cが全押しされたと判定すると、Yes側へ進んで撮影処理を実行する。
【0136】
ここまでで初回の撮影処理が終了する。
【0137】
次回の撮影以降においては、ステップS503でNo側へ進んで、ステップS514で、まず第1のサーチ領域(図11(c)のPnからPf)を第1のFレンズ駆動部104Aに設定する。次のステップS515で第1撮影光学系の第1のフォーカスレンズFLAを移動させながらAF検出部120に合焦位置の検出を行なわせる。そしてAF検出部120に検出させた合焦位置P1に基づいて第1のFレンズ駆動部104Aに指示して第1のフォーカスレンズFLAを合焦位置P1に移動させ停止させる。
【0138】
ステップS516で、AF検出部120が、第1の撮影部1Aが備える撮影光学系内の第1のフォーカスレンズFLAの合焦位置P1を取得して、偏差検出部121Bに供給するとともに、SDRAM115内の偏差Dfを読み出して偏差検出部121Bに供給する。ステップS517で偏差検出部121Bに図12のP2=P1−Dfという式を使って第2の合焦位置P2を検出させる。メインCPU100は、その第2の合焦位置P2を偏差検出部121Bから受け取って第2のレンズ駆動部104Bに指示して第2のフォーカスレンズを第2の合焦位置P2に移動させ停止させる。
【0139】
本実施形態では、図13の右側の初回の撮影に係るフローのステップS504からステップS509までの処理が本発明にいう第1のステップの処理の一例に相当し、図13の右側の初回の撮影に係るフローのステップS5091の処理が本発明にいう第2のステップの処理の一例に相当し、図13の左側の2回目以降の撮影に係るフローのステップS514からステップS517までの処理が本発明にいう第3のステップの処理の一例に相当する。
【0140】
この構成にすると、初回の撮影においては、第1実施形態と同様に、従来とほぼ同じ程度の時間でAFサーチが終了し、かつ第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消されて正確な合焦位置決定が行なわれ、さらに次回以降の撮影においては、第2実施形態と同様に、従来と同じ時間でAFサーチが終了し、かつ第1の撮影部と第2の撮影部との間の固体差が解消されて正確な合焦位置決定が行なわれる。
【0141】
なお、上記第3の実施形態では、偏差DfをSDRAM115に記憶する構成にしたが、フラッシュROM102に記憶する構成にしても良い。フラッシュROM102に記憶する構成にすると、電源がオフされて電源がオンされた後の初回の撮影で偏差を記憶する必要がなくなる。実装された後でも書換えが自在な不揮発性のフラッシュROMを用いると、第2の実施形態のように製造時にフラッシュROMに記憶する必要がなくなって、撮影者が操作により1週間毎や1ヶ月毎等に偏差記憶部に自在に偏差を記憶する構成に拡張することができる。
【0142】
また、上記実施形態では、立体撮影を行なう撮影装置についての説明を行なったが、本発明は、2つの撮影部でパノラマ撮影を行なう撮影装置であっても良く、2つの撮影部各々で異なる感度の撮影を行なう撮影装置であっても良く、2つの撮影部各々で色味の異なる撮影を行なう撮影装置であっても良く、2つの撮影部各々で輝度の異なる撮影を行なう撮影装置であっても良い。いずれの撮影装置でも本発明の合焦位置決定方法は適用可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 撮影装置
1A 第1の撮影部
1B 第2の撮影部
100 メインCPU
101 ROM
102 フラッシュROM
104A 第1のFレンズ駆動部
104B 第2のFレンズ駆動部
110A 第1の撮影光学系
110B 第2の撮影光学系
111A 第1の撮像素子
111B 第2の撮像素子
112A 第1のアナログ信号処理部
112B 第2のアナログ信号処理部
116A 第1のデジタル信号処理部
116B 第2のデジタル信号処理部
120 AF検出部
121 サーチ範囲設定部
121A 合焦位置演算部
121B 偏差検出部
130 AE・AWB検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、該第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部と、
第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、該第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部と、
前記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、前記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を記憶する偏差記憶部と、
第1の撮影光学系については、前記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索して該第1のフォーカスレンズの合焦位置を決定し、前記第1のフォーカスレンズを決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に停止させ、前記第2の撮影光学系については、前記決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した位置よりも前記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置を前記第2のフォーカスレンズの合焦位置として決定し、前記第2のフォーカスレンズを決定した第2のフォーカスレンズの合焦位置に停止させる合焦位置決定手段とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記第1の撮影光学系および前記第2の撮影光学系双方が焦点距離可変であって互いに同一の焦点距離に調整されるものであり、
前記偏差記憶部は、前記偏差を、複数の焦点距離それぞれについて記憶するものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記第1の撮影光学系および前記第2の撮影光学系が、並べて配置され立体視用の画像信号を生成するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の撮影装置。
【請求項4】
第1のフォーカスレンズを含む第1の撮影光学系と、該第1のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第1のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第1の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第1の撮像素子とを有する第1の撮影部、および第2のフォーカスレンズを含む第2の撮影光学系と、該第2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる第2のフォーカスレンズ駆動部と、被写体が前記第2の撮影光学系で結像されてなる被写体光を受光して該被写体を表わす画像信号を生成する第2の撮像素子とを有する第2の撮影部からなる双方の撮影部を備えるとともに、さらに、
前記第2のフォーカスレンズの合焦位置の、前記第1のフォーカスレンズの合焦位置からの偏差を記憶する偏差記憶部を備えた撮影装置における合焦位置決定方法であって、
前記第1のフォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索して該第1のフォーカスレンズの合焦位置を決定する第1の決定ステップと、前記第1のフォーカスレンズを該第1の決定ステップで決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に停止させる第1の停止制御ステップと、前記第1の決定ステップで決定した第1のフォーカスレンズの合焦位置に対応した位置よりも前記偏差記憶部に記憶された偏差だけ偏倚した位置を前記第2のフォーカスレンズの合焦位置として決定する第2の決定ステップと、前記第2のフォーカスレンズを該第2の決定ステップで決定した第2のフォーカスレンズの合焦位置に停止させる第2の停止制御ステップとを有することを特徴とする合焦位置決定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−101380(P2013−101380A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−5888(P2013−5888)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2008−323339(P2008−323339)の分割
【原出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】