説明

撮影装置用スタンド

【課題】例えばカメラ付の携帯電話等を手軽にセルフタイマー撮影等を行えるようにする携帯性に優れた撮影装置用スタンドを提供する。
【解決手段】長手方向Yと短手方向Xを有する可撓性のシート状部材3からなり、長手方向の略中央部に、カメラ付携帯電話5を差し込むための差込開口部2が形成され、上記差込開口部2が形成された部分を境にしてシート状部材3を二つ折りにするよう撓めた状態で、二つ折りの各片3a,3b同士を連結する連結構造部7,8と、2つの穴部6が設けられている。このため、両穴部6によってペットボトル16に取り付けて使用でき、持ち歩くときはシート状に広げた状態で手帳に挟むなどして携帯することができ、極めて軽量で嵩張らず、可撓性であるために鞄のなかでゴツゴツせず、極めて形態性に優れているうえ、使用感も柔らかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカメラ付の携帯電話等を手軽にセルフタイマー撮影等を行えるようにする携帯性に優れた撮影装置用スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付携帯電話が爆発的に普及し、このような携帯電話に付属のカメラも、画質が向上し、多種多様な機能が付属しており、写真撮影装置として極めて普通に使用されるようになってきた。当然、カメラ付携帯のカメラでも、セルフタイマー機能が付属した物がほとんどで、セルフポートレートや集合写真を撮影できるようになっている。
【0003】
ところが、本来は携帯電話であってカメラではないことから、多くの機種では、カメラのように三脚用のねじ穴を持っていない。また、携帯電話機としてダイヤルボタン部分を有するという機能上の必要性から、二つ折りやスライド式になったものが多い。このため、セルフタイマー撮影をしようと思っても、三脚は使用できず、机等の台上に置こうと思っても、撮影対象にレンズを向けた状態で安定して置くことができない。したがって、セルフタイマー機能はついていても結局それが使われることはなく、セルフポートレートはカメラ付携帯を片手でかざして自分にレンズを向けて撮影し、集合写真ではシャッター操作を誰かに頼む意外に方法がなかった。
【0004】
そこで、カメラ付携帯電話用の支持装置として、下記の特許文献1〜4に示すようなものが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−062578号公報
【特許文献2】特開2003−210291号公報
【特許文献3】特開2003−319050号公報
【特許文献4】特開2004−317578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のカメラ撮影用ホルダでは、ボックス状のホルダに携帯電話を収容し、ホルダを卓上等に載置して撮影を行うものである。
しかしながら、このホルダでは、携帯電話を横から収納するボックス状になっている。一方、携帯電話の機種は極めて多品種で、スライド方式や二つ折り方式など、構造もまちまちである。このため、携帯電話の機種ごとにそれにあったホルダを作らねばならず、コスト的に極めて不利である。また、携帯電話を収容するボックス状の形状であることは、収容する携帯電話より確実に大型になり、携帯電話以外にそれ以上の大きさのホルダを持ち歩くことは現実的でない。
【0007】
上記特許文献2に記載の物品支持装置は、携帯電話を収容するポケット状の箱体の下部に三脚が取り付けられて構成されている。
特許文献3に記載の携帯電話の支持具は、携帯電話に吸着させる吸盤の下部に三脚が取り付けられて構成されている。
特許文献4に記載の携帯電話用三脚は、携帯電話の充電端子部に差し込むコネクタ部の下部に三脚が取り付けられて構成されている。
しかしながら、これらの装置では、小型の三脚を使用するのが前提となっているため、コスト的に高くなることが避けられないうえ、形態性や気軽に使用できるという面でも十分なものではない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、例えばカメラ付の携帯電話等を手軽にセルフタイマー撮影等を行えるようにする携帯性に優れた撮影装置用スタンドを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の撮影装置用スタンドは、長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材からなり、
長手方向の略中央部に、撮影装置を差し込むための差込開口部が形成され、
上記差込開口部が形成された部分を境にしてシート状部材を二つ折りにするよう撓めた状態で、二つ折りの各片同士を連結する連結構造部が設けられていることを要旨とする。
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の第2の撮影装置用スタンドは、長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材からなり、
長手方向の略中央部に、撮影装置を差し込むための差込開口部が形成され、
上記長手方向の両端近傍部に、上記差込開口部が形成された部分を境にしてシート状部材を二つ折りにして二つ折りの各片同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部がそれぞれ設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の撮影装置用スタンドは、差込開口部が形成された部分を境にしてシート状部材を二つ折りにするよう撓めた状態で、二つ折りの各片同士を連結構造部によって連結し、長手方向の略中央部に形成された差込開口部に撮影装置を差し込むことが行われる。この状態で、差込開口部周辺のシート状部材の剛性が、二つ折りとなることにより向上し、差し込んだ撮影装置の安定度が向上する。そして、たとえば、二つ折りの各片の遊端を外側に撓めて卓上に載置したり、クリップで適当な部材に固定したりすることにより、撮影装置を撮影用にセットし、セルフタイマー撮影等を行うことができる。
そして、長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材からなることから、持ち歩くときはシート状に広げた状態で手帳に挟むなどして携帯することができ、極めて軽量で嵩張らず、可撓性であるために鞄のなかでゴツゴツせず、極めて形態性に優れているうえ、使用感も柔らかである。また、差込開口部や連結構造部を、シート状部材を打ち抜いて形成することが可能で、従来の三脚等に比べてコスト面でも極めて有利である。
【0012】
本発明において、上記連結構造部は、二つ折りの一片に形成された切り起し片と、二つ折りの他片に形成されて上記切り起し片の先端部を嵌合させる嵌合部とを含んで構成されている場合には、
連結構造部を構成する切り起し片および嵌合部を、シート状部材を打ち抜いて形成することが可能で、従来の三脚等に比べてコスト面で極めて有利である。
【0013】
本発明において、上記連結構造部として、二つ折りの第1片の短手方向の略中央部に形成された第1の切り起し片と、二つ折りの第2片の上記第1の切り起し片に対応する部分に形成された第1の嵌合部とを含む、第1の連結構造部を備えている場合には、
第1の連結構造部により、シート状部材を短手方向の略中央部で連結することにより、差込開口部周辺のシート状部材の剛性が、二つ折りとなって向上し、差し込んだ撮影装置が安定する。また、第1片と第2片の間でブリッジした切り起し片の上に、差し込んだ撮影装置を当接させることにより、差し込んだ撮影装置の安定度がさらに向上し、撮影装置を少し傾けた状態でも摩擦力で撮影装置が保持され、撮影角度の調整も可能となる。
【0014】
本発明において、上記連結構造部として、二つ折りの第2片の短手方向の両端部にそれぞれ形成された第2の切り起し片と、二つ折りの第1片の上記第2の切り起し片に対応する部分に形成された第2の嵌合部とを含む、第2の連結構造部を備えている場合には、
第2の連結構造部により、シート状部材を短手方向の両端部で連結することにより、差込開口部周辺のシート状部材の剛性が、二つ折りとなって向上し、差し込んだ撮影装置が安定する。このとき、第1片と第2片で挟み込む力を作用させ、差し込んだ撮影装置の安定度がさらに向上する。
さらに、第2の切り起し片を、第1の切り起し片が形成された片とは反対側の片に形成することとなるため、第1の連結構造部と第2の連結構造部を並設したときに、シート状部材の全面を有効に活用し、いたずらに強度が弱くなるような打ち抜きパターンとならず、強度を確保できる。この場合また、両片の間をブリッジして相手片を引き付ける方向が、第1の切り起し片と第2の切り起し片とで逆になって、組み上げたときの力学的バランスが安定し、撮影装置をセットしたときの安定度も向上する。
【0015】
本発明において、上記長手方向の両端近傍部に、二つ折りの各片同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部がそれぞれ設けられている場合には、
両穴部が同心状となるよう二つ折りの各片の両端部を重ね、例えばペットボトルのキャップ部や瓶の口部を差し込んで安定させ、撮影装置をセットすることができる。このとき、例えば、高さが異なるペットボトルや瓶を用いることにより、撮影装置の高さ調節も可能となる。
【0016】
本発明の第2の撮影装置用スタンドは、差込開口部が形成された部分を境にしてシート状部材を二つ折りにするよう撓めた状態で、長手方向の略中央部に形成された差込開口部に撮影装置を差し込むことが行われる。この状態で、二つ折りのシート状部材の各片同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部がそれぞれ設けられている。したがって、両穴部が同心状となるよう二つ折りの各片の両端部を重ね、例えばペットボトルのキャップ部や瓶の口部を差し込んで安定させ、撮影装置をセットすることができ、セルフタイマー撮影等を行うことができる。このとき、例えば、高さが異なるペットボトルや瓶を用いることにより、撮影装置の高さ調節も可能となる。また、差込開口部周辺のシート状部材の剛性が、二つ折りとなることにより向上し、差し込んだ撮影装置の安定度が向上する。そして、長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材からなることから、持ち歩くときはシート状に広げた状態で手帳に挟むなどして携帯することができ、極めて軽量で嵩張らず、可撓性であるために鞄のなかでゴツゴツせず、極めて形態性に優れているうえ、使用感も柔らかである。また、差込開口部や連結構造部を、シート状部材を打ち抜いて形成することが可能で、従来の三脚等に比べてコスト面でも極めて有利である。
【0017】
本発明において「同心状」とは、丸円と丸円が同心状であるだけでなく、丸穴の中心が長穴の軸心上に存在したり、長穴の軸心同士が重なったりする場合も含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における撮影装置用スタンドを示す図である。
【図2】差込開口部を示す斜視図である。
【図3】第1の連結構造部と第2の連結構造部を説明するための斜視図である。
【図4】上記撮影装置用スタンドの使用状態の第1例を示す図である。
【図5】上記撮影装置用スタンドの使用状態の第2例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態における撮影装置用スタンドを示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態における撮影装置用スタンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の撮影装置用スタンドの実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の撮影装置用スタンド1の全体構造を示す図である。
【0021】
この撮影装置用スタンド1は、長手方向Yと短手方向Xを有する可撓性のシート状部材3から形成されている。
【0022】
上記可撓性のシート状部材3としては、ある程度の厚みで可撓性を有するもの、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン等、シート状にした状態で手指で容易に撓ませることができる樹脂材料を用いることができる。この例では、厚み2mmのポリ塩化ビニルシートを採用した。
【0023】
上記可撓性のシート状部材3が、まず、長手方向Yと短手方向Xを有する平面形状にカットされる。この例では、略長方形状にカットされている。長手方向Yと短手方向Xを有する形状であれば、例えば、トラック形状、ひし形、楕円形など、各種の平面形状を採用することができる。
【0024】
所定の平面形状にカットされたシート状部材3の長手方向Yの略中央部に、撮影装置を差し込むための差込開口部2が形成されている。上記差込開口部2は、この例では、短手方向Xに沿って延びる長い切れ込み2aと、その両端において長手方向Yに沿って延びる短い切れ込み2bと、短い切れ込み2bの両端部に穿設された裂け止めのための丸穴2cとから構成され、全体として「I」字状の切れ込みによって形成されている。
【0025】
図2は、上記差込開口部2を開口させた状態を示す図である。
【0026】
図示のように、シート状部材3を、上記差込開口部2が形成された部分を境にして長手方向Yの両端部を近づけるように二つ折りになるよう撓める。このようにすることにより、長い切れ込み2aとその両端の短い切れ込み2bに囲われる帯状の舌片4が、湾曲したシート状部材3の頂部よりも上方に起立し、それらの間に差込開口部2が開口する。この差込開口部2に、カメラ付携帯電話機5(撮影装置;図4、図5参照)を差し込むことが行われる。
【0027】
この撮影装置用スタンド1は、上記差込開口部2が形成された部分を境にしてシート状部材3を二つ折りにするよう撓めた状態で、二つ折りの各片同士を連結する第1の連結構造部7および第2の連結構造部8が設けられている。
【0028】
上記第1の連結構造部7は、二つ折りの一片に形成された切り起し片と、二つ折りの他片に形成されて上記切り起し片の先端部を嵌合させる嵌合部とを含んで構成されている。上記第2の連結構造部8も同様に、二つ折りの一片に形成された切り起し片と、二つ折りの他片に形成されて上記切り起し片の先端部を嵌合させる嵌合部とを含んで構成されている。以下に第1および第2の連結構造部7,8をそれぞれ詳しく説明する。
【0029】
上記第1の連結構造部7は、二つ折りの第1片3aの短手方向の略中央部に形成された第1の切り起し片11と、二つ折りの第2片3bの上記第1の切り起し片11に対応する部分に形成された第1の嵌合部13とを含んで構成されている。
【0030】
上記第1の切り起し片11は、第1片3aに大略匙形状となる切れ目11bを入れることにより形成されている。切れ目11bの根元端部には、裂け止めのための丸穴11aが穿設されている。上記第1の切り起し片11の匙形状の先端近傍には、先端部をストッパ15として機能させて抜け止めするための切れ込み部11cが両側から内側に向かって対向するよう横方向に形成されている。
【0031】
上記第1の嵌合部13は、第2片3bに形成された「T」字状の貫通部として形成されている。「T」字状の縦線に対応する部分は長手方向Yに沿って、「T」字状の横線に対応する部分は短手方向Xに沿うよう、形成されている。
【0032】
上記第2の連結構造部8は、二つ折りの第2片3bの短手方向の両端部にそれぞれ形成された第2の切り起し片12と、二つ折りの第1片3aの上記第2の切り起し片12に対応する部分に形成された第2の嵌合部14とを含んで構成されている。
【0033】
上記第2の切り起し片12は、第2片3bに大略鎌形状となる切れ目12bを入れることにより形成されている。上記第2の切り起し片12の鎌形状は、鎌状部12cの先端が、第2片3bの両側から内側に向かって対向するよう形成されている。切れ目12bの根元端部には、裂け止めのための丸穴12aが穿設されている。
【0034】
上記第2の嵌合部14は、第2片3bに形成されたスリット状の切れ込み部として形成されている。上記第2の嵌合部14は、切れ込み部11cが第2片3bの両側から内側に向かって対向するよう横方向に形成されることにより設けられている。
【0035】
また、この撮影装置用スタンド1は、シート状部材3の上記長手方向Yの両端近傍部に、二つ折りの各片3a,3b同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部6がそれぞれ設けられている。
【0036】
図3は、上記第1および第2の連結構造部7、8を詳しく説明するための図である。
【0037】
第1の連結構造部7は、図示のように、シート状部材3を、差込開口部2を境にして長手方向Yの両端部を近づけるように二つ折りになるよう撓め、第1の切り起し片11と第1の嵌合部13を嵌合させることにより、連結される。このとき、上記第1の切り起し片11先端のストッパ15を第1の嵌合部13の縦開口に差し込み、ストッパ15が横向けになるよう捻り、ストッパ15が反対側に突き抜けた状態で連結される。
【0038】
第2の連結構造部8は、シート状部材3を同様に二つ折りに撓め、第2の切り起し片12と第2の嵌合部14を嵌合させることにより、連結される。このとき、上記第2の切り起し片12先端の鎌状部12cを第2の嵌合部14のスリットに差し込み、鎌状部12cが反対側に突き出た状態で連結される。
【0039】
このように、第2の連結構造部8は、第1の連結構造部7よりも、差込開口部2に近い位置で二つ折りの各片3a,3b同士を連結している。これにより、差込開口部2周辺のシート状部材3の剛性が、二つ折りとなって向上し、差し込んだカメラ付携帯電話機5が安定する。このとき、第1片3aと第2片3bでカメラ付携帯電話機5を挟み込む力が作用し、カメラ付携帯電話機5の安定度がさらに向上する。
【0040】
図4は、上記構成の撮影装置用スタンド1の使用状態の第1例を示す図である。
【0041】
上述したように、上記差込開口部2が形成された部分を境にしてシート状部材3を二つ折りにするよう撓め、二つ折りの各片3a,3b同士を第1の連結構造部7および第2の連結構造部8で連結する。
【0042】
そして、開口した差込開口部2にカメラ付携帯電話機5を差し込んで、たとえば、二つ折りの各片3a,3bの遊端を外側に撓めて卓上に載置することにより、カメラ付携帯電話機5を撮影用にセットし、セルフタイマー撮影等を行うことができる。また、二つ折りの各片3a,3bの遊端を、クリップで適当な部材に固定してもよい。
【0043】
図5は、上記構成の撮影装置用スタンド1の使用状態の第2例を示す図である。
【0044】
この例でも同様に、上記差込開口部2が形成された部分を境にしてシート状部材3を二つ折りにするよう撓め、二つ折りの各片3a,3b同士を第1の連結構造部7および第2の連結構造部8で連結する。
【0045】
そして、両穴部6が同心状となるよう二つ折りの各片3a,3bの両端部を重ね、例えばペットボトル16のキャップ部17や瓶の口部を重ねた両穴部6に差し込んで安定させ、カメラ付携帯電話機5をセットすることができる。
【0046】
このとき、両穴部6は、キャップ部17を通り越した首の位置に位置決めするのが好ましい。キャップ部17の外周部で両穴部6を止めると、ふとした拍子に穴部6がキャップ部17から外れてしまい、カメラ付携帯電話機5を落下させる恐れがあるが、両穴部6をキャップ部17を通り越した首の位置に位置決めすることにより、両穴部6は簡単には外れなくなり、そのようなトラブルを防げるからである。また、両穴部6をキャップ部17を通り越した首の位置に位置決めすると、撮影装置用スタンド1がペットボトル16の上で多少ぐらぐらしやすいが、各片3a,3bの間でブリッジした第1の切り起し片11の下面がキャップ部17の頂面に当接することにより、ペットボトル16の上に取り付けたときの撮影装置用スタンド1の安定性を飛躍的に向上させることができる。
【0047】
以上のように、本実施形態の撮影装置用スタンド1は、差込開口部2が形成された部分を境にしてシート状部材3を二つ折りにするよう撓めた状態で、二つ折りの各片3a,3b同士を連結構造部7,8によって連結し、長手方向の略中央部に形成された差込開口部2にカメラ付携帯電話機5を差し込むことが行われる。この状態で、差込開口部2周辺のシート状部材3の剛性が、二つ折りとなることにより向上し、差し込んだカメラ付携帯電話機5の安定度が向上する。そして、たとえば、二つ折りの各片3a,3bの遊端を外側に撓めて卓上に載置したり、クリップで適当な部材に固定したりすることにより、カメラ付携帯電話機5を撮影用にセットし、セルフタイマー撮影等を行うことができる。
そして、長手方向Yと短手方向Xを有する可撓性のシート状部材3からなることから、持ち歩くときはシート状に広げた状態で手帳に挟むなどして携帯することができ、極めて軽量で嵩張らず、可撓性であるために鞄のなかでゴツゴツせず、極めて形態性に優れているうえ、使用感も柔らかである。また、差込開口部2や連結構造部7,8を、シート状部材3を打ち抜いて形成することが可能で、従来の三脚等に比べてコスト面でも極めて有利である。
【0048】
また、上記連結構造部7,8は、二つ折りの一片に形成された切り起し片と、二つ折りの他片に形成されて上記切り起し片の先端部を嵌合させる嵌合部とを含んで構成されているため、
連結構造部7,8を構成する切り起し片および嵌合部を、シート状部材3を打ち抜いて形成することが可能で、従来の三脚等に比べてコスト面で極めて有利である。
【0049】
また、連結構造部として、二つ折りの第1片3aの短手方向Xの略中央部に形成された第1の切り起し片11と、二つ折りの第2片3bの上記第1の切り起し片11に対応する部分に形成された第1の嵌合部13とを含む、第1の連結構造部7を備えているため、
第1の連結構造部7により、シート状部材3を短手方向Xの略中央部で連結することにより、差込開口部2周辺のシート状部材3の剛性が、二つ折りとなって向上し、差し込んだカメラ付携帯電話機5が安定する。また、第1片3aと第2片3bの間でブリッジした切り起し片の上に、差し込んだカメラ付携帯電話機5を当接させることにより、差し込んだカメラ付携帯電話機5の安定度がさらに向上し、カメラ付携帯電話機5を少し傾けた状態でも摩擦力でカメラ付携帯電話機5が保持され、撮影角度の調整も可能となる。
【0050】
また、上記連結構造部として、二つ折りの第2片3bの短手方向Xの両端部にそれぞれ形成された第2の切り起し片12と、二つ折りの第1片3aの上記第2の切り起し片12に対応する部分に形成された第2の嵌合部14とを含む、第2の連結構造部8を備えているため、
第2の連結構造部8により、シート状部材3を短手方向Xの両端部で連結することにより、差込開口部2周辺のシート状部材3の剛性が、二つ折りとなって向上し、差し込んだカメラ付携帯電話機5が安定する。このとき、第1片3aと第2片3bで挟み込む力を作用させ、差し込んだカメラ付携帯電話機5の安定度がさらに向上する。
さらに、第2の切り起し片12を、第1の切り起し片11が形成された片とは反対側の片に形成することとなるため、第1の連結構造部7と第2の連結構造部8を並設したときに、シート状部材3の全面を有効に活用し、いたずらに強度が弱くなるような打ち抜きパターンとならず、強度を確保できる。この場合また、両片3a,3bの間をブリッジして相手片を引き付ける方向が、第1の切り起し片11と第2の切り起し片12とで逆になって、組み上げたときの力学的バランスが安定し、カメラ付携帯電話機5をセットしたときの安定度も向上する。
【0051】
また、上記長手方向Yの両端近傍部に、二つ折りの各片3a、3b同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部6がそれぞれ設けられているため、
両穴部6が同心状となるよう二つ折りの各片3a,3bの両端部を重ね、例えばペットボトル16のキャップ部17や瓶の口部を差し込んで安定させ、カメラ付携帯電話機5をセットすることができる。このとき、例えば、高さが異なるペットボトル16や瓶を用いることにより、カメラ付携帯電話機5の高さ調節も可能となる。
【0052】
図6は、本発明の第2実施形態の撮影装置用スタンド1を示す。
【0053】
この例では、第1の連結構造部7が設けられ、第2の連結構造部8が設けられていない。そして、上記第1の連結構造部7において、第1の嵌合部13は、ストッパ15を抜け止めとして位置決めする位置決め部13aが3箇所設けられており、第1片3aと第2片3bを連結したときの両片3a,3b間の距離を3段階に調節できるようになっている。さらに、二つ折りの各片3a、3b同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる第1の穴部6aと第2の穴部6bが設けられ、第2片3bに設けられた第2の穴部6bは、上記3段階の調節幅をカバーしうるよう長穴に形成されている。このように、本発明において「同心状」とは、丸円と丸円が同心状であるだけでなく、丸穴の中心が長穴の軸心上に存在したり、長穴の軸心同士が重なったりする場合も含む趣旨である。
【0054】
図7は、本発明の第3実施形態の撮影装置用スタンド1を示す。
【0055】
この例では、第1の連結構造部7と第2の連結構造部8が設けられていない。そして、二つ折りの各片3a、3b同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部6が設けられている。
【0056】
この撮影装置用スタンドでは、差込開口部2が形成された部分を境にしてシート状部材3を二つ折りにするよう撓めた状態で、長手方向の略中央部に形成された差込開口部2にカメラ付携帯電話機5を差し込むことが行われる。この状態で、二つ折りのシート状部材3の各片3a、3b同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部6がそれぞれ設けられている。したがって、両穴部6が同心状となるよう二つ折りの各片3a,3bの両端部を重ね、例えばペットボトル16のキャップ部17や瓶の口部を差し込んで安定させ、カメラ付携帯電話機5をセットすることができ、セルフタイマー撮影等を行うことができる。このとき、例えば、高さが異なるペットボトル16や瓶を用いることにより、カメラ付携帯電話機5の高さ調節も可能となる。また、差込開口部2周辺のシート状部材3の剛性が、二つ折りとなることにより向上し、差し込んだカメラ付携帯電話機5の安定度が向上する。そして、長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材3からなることから、持ち歩くときはシート状に広げた状態で手帳に挟むなどして携帯することができ、極めて軽量で嵩張らず、可撓性であるために鞄のなかでゴツゴツせず、極めて形態性に優れているうえ、使用感も柔らかである。また、差込開口部2を、シート状部材3を打ち抜いて形成することが可能で、従来の三脚等に比べてコスト面でも極めて有利である。
【0057】
なお、上述した各実施形態では、第1の連結構造部7を構成する第1の切り起し片11を大略匙形状に形成し、第1の嵌合部13を「T」字状の貫通部として形成したが、これに限定するものではなく、第1の嵌合部13を各種形状の貫通部とし、第1の切り起し片11は上記貫通部に抜け止めされる各種の形状とすることができる。
【0058】
また、第2の連結構造部8を構成する第2の切り起し片12を大略鎌形状に形成し、第2の嵌合部14をスリット状の切れ込み部として形成したが、これに限定するものではなく、第2の嵌合部14を各種形状の切れ込み部や貫通部とし、第2の切り起し片12は上記貫通部に抜け止めされる各種の形状とすることができる。
【0059】
また、上述した各実施形態では、撮影装置の一例としてカメラ付携帯電話機5を取り上げて説明したが、これに限定するものではなく、デジタルカメラやレンズ付フィルムの使いきりカメラ等、各種の撮影装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1:撮影装置用スタンド
2:差込開口部
2a:長い切れ込み
2b:短い切れ込み
2c:丸穴
3:シート状部材
3a:第1片
3b:第2片
4:舌片
5:カメラ付携帯電話機
6:穴部
6a:第1の穴部
6b:第2の穴部
7:第1の連結構造部
8:第2の連結構造部
11:第1の切り起し片
11a:丸穴
11b:切れ目
11c:切れ込み部
12:第2の切り起し片
12a:丸穴
12b:切れ目
12c:鎌状部
13:第1の嵌合部
13a:位置決め部
14:第2の嵌合部
15:ストッパ
16:ペットボトル
17:キャップ部
X:短手方向
Y:長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材からなり、
長手方向の略中央部に、撮影装置を差し込むための差込開口部が形成され、
上記差込開口部が形成された部分を境にしてシート状部材を二つ折りにするよう撓めた状態で、二つ折りの各片同士を連結する連結構造部が設けられている
ことを特徴とする撮影装置用スタンド。
【請求項2】
上記連結構造部は、二つ折りの一片に形成された切り起し片と、二つ折りの他片に形成されて上記切り起し片の先端部を嵌合させる嵌合部とを含んで構成されている請求項1記載の撮影装置用スタンド。
【請求項3】
上記連結構造部として、二つ折りの第1片の短手方向の略中央部に形成された第1の切り起し片と、二つ折りの第2片の上記第1の切り起し片に対応する部分に形成された第1の嵌合部とを含む、第1の連結構造部を備えている請求項2記載の撮影装置用スタンド。
【請求項4】
上記連結構造部として、二つ折りの第2片の短手方向の両端部にそれぞれ形成された第2の切り起し片と、二つ折りの第1片の上記第2の切り起し片に対応する部分に形成された第2の嵌合部とを含む、第2の連結構造部を備えている請求項2または3記載の撮影装置用スタンド。
【請求項5】
上記長手方向の両端近傍部に、二つ折りの各片同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部がそれぞれ設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮影装置用スタンド。
【請求項6】
長手方向と短手方向を有する可撓性のシート状部材からなり、
長手方向の略中央部に、撮影装置を差し込むための差込開口部が形成され、
上記長手方向の両端近傍部に、上記差込開口部が形成された部分を境にしてシート状部材を二つ折りにして二つ折りの各片同士を重ねるように撓めた状態で、同心状となる穴部がそれぞれ設けられている
ことを特徴とする撮影装置用スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−37831(P2012−37831A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180196(P2010−180196)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(510219707)
【Fターム(参考)】