撮影補助装置
【課題】簡単な構成で安価に製作でき、使い勝手にも優れた美容関連施設向けの撮影補助装置を提供する。
【解決手段】撮影補助装置100は、第1フレーム11と、第2フレーム12と、第1フレーム11に取り付けられた光源15a,15bと、第1フレーム11と第2フレーム12とにまたがって張設された柔軟な光拡散性のカバー22と、第1フレーム11を第2フレーム12に対して回動可能に取り付けるための取付部材13a,13bとを備える。第1、第2フレーム11,12とカバー22とにより、前面が開放した撮影空間Sが形成され、光源15a,15bが発する光を、カバー22を通して撮影空間S内へ照射する。
【解決手段】撮影補助装置100は、第1フレーム11と、第2フレーム12と、第1フレーム11に取り付けられた光源15a,15bと、第1フレーム11と第2フレーム12とにまたがって張設された柔軟な光拡散性のカバー22と、第1フレーム11を第2フレーム12に対して回動可能に取り付けるための取付部材13a,13bとを備える。第1、第2フレーム11,12とカバー22とにより、前面が開放した撮影空間Sが形成され、光源15a,15bが発する光を、カバー22を通して撮影空間S内へ照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物撮影を好適に行うための撮影環境を整える撮影補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エステティックサロン(ビューティーサロン)や美容外科等の美容関連施設では、美容に関する種々の処置や施術が行われている。
【0003】
このような施設では、処置や施術の対象となる人体の部位(以下、「対象部位」という)の撮影が定期的に行われる。例えば、施術前と施術後に対象部位(例えば顔)の撮影を行うほか、施術から一定期間が経過した後も、適当な時期に対象部位の撮影を行う。そして、前回撮影された画像と今回撮影された画像とを比較することで、対象部位における美容効果を検証し、施術を受けた利用者に対して経過説明を行っている。
【0004】
ところで、人物の上半身の画像を容易かつ安価に撮影する手段の1つとして、例えば、駅や街角等に設置されている自動証明写真撮影装置がある。
【0005】
また、人物の画像を美しく撮影する手段の1つとしては、例えば、高機能な撮影設備が備わっていて、専門の撮影者(プロカメラマン)による撮影が行われる撮影スタジオがある。
【0006】
しかしながら、上述した自動証明写真撮影装置には、肌の状態(肌のはり具合等)を精緻に撮影することが出来る機能が備わっていないため、美容関連施設においてこのような設備を導入しても、撮影された画像には、対象部位の状態が鮮明に写らない。よって、前回撮影した画像と、今回撮影した画像を比較しても、対象部位における美容効果を十分に検証することが困難であり、利用者に対して十分な経過説明を行うことが出来ない。
【0007】
これに対して、上述した撮影スタジオで使用される撮影設備を利用した場合は、対象部位の状態を鮮明に撮影することができる。よって、前回撮影された画像と今回撮影された画像を比較することで、美容効果を十分に検証することが出来、利用者に対して十分な経過説明を行うことが可能である。しかしながら、このような撮影スタジオ用の撮影設備を美容関連施設が導入しようとすれば、経済的負担が増大するとともに、設置場所の制約も受けることになる。
【0008】
また、人物撮影を行うための撮影装置としては、上に挙げたもののほか、例えば、後掲の特許文献1〜3に記載されているような撮影装置も知られている。
【0009】
特許文献1には、キャスタにより移動自在な前枠および後枠と、後枠を前枠と接離可能に連結する連結手段とを備えた人物撮影装置が記載されている。前枠には、複数のライトからなる照明手段と、そのコントロール手段とが設けられており、後枠には、背景を形成するスクリーンを巻回したスクリーンロールを架設する軸受手段が設けられている。また、下部に配置したライトの光を、乳白色半透明の散光板を通して人物に照射し、拡散されたやわらかい光線によって顎の下に生じる影を和らげるようにしている。
【0010】
特許文献2には、壁面に取り付けたり、搬送用コンテナの上に取り付けて使用できる身元証明写真撮影用の装置が記載されている。この装置は、ベース、モータユニット、摺動ブロックに固定された直立部材、水平に延在するフレーム、および少なくとも3台のデジタルビデオカメラを備えている。モータユニットは、ベースに固定されていて、摺動ブロックをガイドに沿って移動させる。水平フレームは、直立部材によって支持されており、シートホルダおよび対応する垂直の背景シートを支持して、撮影空間を作り出す。各デジタルビデオカメラは、撮影空間に向けられていて、被写体の顔面を、前方および両側方から同時に撮影するとともに、同時に撮影した3つの画像をデジタル形式で記録する。
【0011】
特許文献3には、肌の状態の診断等に使用される顔撮影装置が記載されている。この装置では、筐体の内部に、顔を照明するための光源、顔を撮影するためのカメラ、あご載せ台、額押さえなどが配置されており、また、光源から照射される光を均一に拡散するための拡散板が光源と顔の間に配置されている。カメラは、顔位置を中心として回転可能に設けられており、複数個所で顔画像を撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−206595号公報
【特許文献2】特表2007−519008号公報
【特許文献3】特開2009−10634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示されている人物撮影装置は、顎の下に生じる影を和らげる効果が期待できるので、ポートレート用の撮影装置には適している。しかし、散光板を通った拡散光は下方から照射されるので、拡散光を利用して顔全体の肌の状態を精緻に撮影することは難しい。したがって、美容関連施設において処置や施術の対象部位を撮影する装置としては適さない。また、特許文献1の撮影装置では、前枠と後枠とをガイドレールとパイプレールにより前後に進退自在に連結する機構が必要となり、構造が複雑化するという欠点がある。
【0014】
特許文献2に開示されている撮影装置は、身元証明写真撮影用の装置であり、照明に特に工夫がされているわけではないので、やはり肌の状態を精緻に撮影することは難しく、美容関連施設における撮影装置には適さない。また、特許文献2の撮影装置は、モータユニット、摺動ブロック、搬送用コンテナ等を含むため、装置が大掛かりとなってコストも高くなる。
【0015】
特許文献3に開示されている顔撮影装置は、拡散板を通った均一な拡散光により肌の状態を精緻に撮影することはできるが、顔の画像しか撮影出来ないため、顔以外の部位の撮影も必要とする撮影装置には適さない。また、特許文献3の撮影装置は、筐体内にあらかじめ顔撮影用のカメラやカメラの回転機構が備え付けられたユニットとして構成されるため、コストが高くなることに加えて、コンパクトに折りたたんで収納することができないという問題がある。
【0016】
本発明は、上述した問題点に鑑み、簡単な構成で安価に製作でき、使い勝手にも優れた美容関連施設向けの撮影補助装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る撮影補助装置は、前側に設けられる第1フレームと、後側に設けられる第2フレームと、第1フレームまたは第2フレームに取り付けられた光源と、第1フレームと第2フレームとにまたがって張設された柔軟な光拡散性のカバーと、第1フレームを第2フレームに対して回動可能に取り付けるための取付部材とを備える。本装置では、第1および第2フレームが、取付部材を介して前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、第1および第2フレームとカバーとにより、前面が開放した撮影空間が形成される。そして、光源が発する光は、カバーを通して撮影空間内へ照射される。
【0018】
このような構成によると、取付部材を介して結合された2つのフレームに、光拡散性のカバーと光源とを付設するだけの簡単な構成により、撮影補助装置を安価に製作することができる。また、光源の光が光拡散性のカバーを通って均一な拡散光となって撮影空間内に照射されるため、撮影補助装置の前方に設置したカメラによって、撮影空間内の人物の肌の状態を精緻に撮影することができる。したがって、この装置は美容関連施設における撮影装置として最適である。また、第1フレームと第2フレームとが取付部材により回動可能に連結されていて、かつ、光拡散性のカバーが柔軟な材質からなるため、不使用時には本装置をコンパクトに折りたたむことができ、保管や収納のためのスペースが少なくて済む。
【0019】
本発明では、撮影補助装置を椅子に着脱可能に支持するための支持部材が、第1フレームまたは第2フレームに設けられていてもよい。このようにすれば、撮影補助装置を椅子に簡単に取り付けることができるとともに、既製の椅子をそのまま撮影用の椅子として利用することができる。
【0020】
また、本発明では、光源が、第1フレームまたは第2フレームに回動可能に取り付けられたアームに支持されていてもよい。このようにすれば、光源から撮影空間内に照射される光の角度を、アームの角度を変えることによって容易に調整することができる。これにより、最適の照明状態で撮影を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単な構成で安価に製作でき、使い勝手にも優れた美容関連施設向けの撮影補助装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る撮影補助装置の斜視図である。
【図2】同撮影補助装置の正面図である。
【図3】支持部材の側面図である。
【図4】同撮影補助装置を椅子に取り付けた状態を示す正面図である。
【図5】同撮影補助装置を用いて撮影を行う様子を示した図である。
【図6】第2実施形態に係る撮影補助装置の斜視図である。
【図7】同撮影補助装置の正面図である。
【図8】第3実施形態に係る撮影補助装置の斜視図である。
【図9】第4実施形態に係る撮影補助装置の左側面図である。
【図10】同撮影補助装置の右側面図である。
【図11】支持部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下の図では、 同一部分または対応する部分に同一符号を付してある。また、図の右上に示されている矢印のうち、Uは上方向、Dは下方向、Lは左方向、Rは右方向、Fは前方向、Bは後方向をそれぞれ表している。したがって、U−Dは高さ方向、L−Rは幅方向、F−Bは奥行方向であり、これら3方向は互いに直交している。
【0024】
第1実施形態に係る撮影補助装置を図1および図2に示す。図1は撮影補助装置100を斜め上から見た図、図2は撮影補助装置100を正面から見た図である。撮影補助装置100は、第1フレーム11、第2フレーム12、取付部材13a,13b、光源15a,15b、アーム16a,16b、取付部材17a,17b、支持部材19a,19b、カバー22、背面シート23を備えている。
【0025】
第1フレーム11は前側(前方向F)に設けられるフレームであって、左フレーム11aと、右フレーム11bと、上部フレーム11cからなる。この第1フレーム11は、例えばアルミニウム製の金属パイプを逆U字状に成型したものである。
【0026】
第2フレーム12は後側(後方向B)に設けられるフレームであって、左フレーム12aと、右フレーム12bと、上部フレーム12cからなる。この第2フレーム12も、第1フレーム11と同様に、例えばアルミニウム製の金属パイプを逆U字状に成型したものである。なお、第2フレーム12の幅と高さは、第1フレーム11の幅と高さよりも小さくなっている。ここでは、左右のフレーム12a,12bが直線状になっているが、各フレームを適当な位置で折り曲げて、折曲部より上の部分が垂直(U−D方向)となるようにしてもよい。
【0027】
第1フレーム11の左フレーム11aと、第2フレーム12の左フレーム12aとは、取付部材13aによって連結される。取付部材13aは、例えば、つまみ部14aを有するネジ部材からなる。つまみ部14aを時計回り方向に回転させると、左フレーム11a,12aが締め付けられて固定され、つまみ部14aを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んで左フレーム11a,12aの固定が解除される。
【0028】
同様に、第1フレーム11の右フレーム11bと、第2フレーム12の右フレーム12bとは、取付部材13bによって連結される。取付部材13bは、例えば、つまみ部14bを有するネジ部材からなる。つまみ部14bを時計回り方向に回転させると、右フレーム11b,12bが締め付けられて固定され、つまみ部14bを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んで右フレーム11b,12bの固定が解除される。
【0029】
したがって、左右の取付部材13a,13bによって、第1フレーム11を第2フレーム12に対して回動可能に取り付けることができ、第1フレーム11と第2フレーム12とを、両者が前後方向(F−B方向)に所定角度を保った状態で互いに固定することができる。
【0030】
第1フレーム11の左フレーム11aの上部には、アーム16aが取付部材17aによって回動可能に取り付けられている。取付部材17aは、取付部材14aと同様に、つまみ部18aを有するネジ部材からなる。つまみ部18aを時計回り方向に回転させると、アーム16aが左フレーム11aに締付固定され、つまみ部18aを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んでアーム16aが回動可能となる。
【0031】
第1フレーム11の右フレーム11bの上部には、アーム16bが取付部材17bによって回動可能に取り付けられている。取付部材17bは、取付部材17aと同様に、つまみ部18bを有するネジ部材からなる。つまみ部18bを時計回り方向に回転させると、アーム16bが右フレーム11bに締付固定され、つまみ部18bを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んでアーム16bが回動可能となる。
【0032】
光源15a,15bは、それぞれアーム16a,16bの上部に、クリップ24a,24bで支持されており、アーム16a,16bを介して第1フレーム11に取り付けられている。クリップ24a,24bを上下させることにより、光源15a,15bをアーム16a,16bの任意の位置に支持することができる。これらの光源15a,15bには、例えば、蛍光ランプやLEDランプのような市販のランプを用いることができる。
【0033】
第2フレーム12の左フレーム12aの下部と、右フレーム12bの下部には、それぞれ支持部材19a,19bが設けられている。これらの支持部材19a,19bは、図4のように撮影補助装置100を椅子30に支持するための部材であって、金属または樹脂から形成されている。以下、支持部材19a,19bの詳細について説明する。
【0034】
図3(a)は、一方の支持部材19aの側面図を示している。支持部材19aは、一対の支持板26a,26bと、軸26cと、つまみ26dとを有している。支持板26aの内側には、凹部26e,26fが形成されており、支持板26bの内側には、凹部26g,26hが形成されている。
【0035】
凹部26eと凹部26gとは対向していて、撮影補助装置100の左フレーム12aの一部が収容されるように、円弧状の窪みに形成されている。また、凹部26fと凹部26hとは対向していて、椅子30の左フレーム30aの一部が収容されるように、円弧状の窪みに形成されている。
【0036】
支持板26aには、貫通孔26iが形成されており、軸26cの一方の端部が、この貫通孔26iから突出している。軸26cの他方の端部は、支持板26bに埋設されている。貫通孔26iの内径は軸26cの外径より若干大きいので、支持板26aは、軸26cの軸方向(X−Y方向)に移動自在となっている。貫通孔26iから突出している軸26cの端部には、つまみ26dを取り付けるための雄ネジ部26jが形成されている。つまみ26dには、この雄ネジ部26jに対応する雌ネジ部(図示省略)が形成されている。
【0037】
図3(a)において、つまみ26dを図中のP方向(時計回り方向)に回転させると、つまみ26dはY方向、すなわち支持板26a,26bによるフレーム12a,30aの挟持力が強くなる方向に移動する。また、つまみ26dをQ方向(反時計回り方向)に回転させると、つまみ26dはX方向、すなわち支持板26a,26bによるフレーム12a,30aの挟持力が弱くなる方向に移動する。
【0038】
図3(b)は、他方の支持部材19bの側面図を示している。図3(b)は、図3(a)を左右対称にしたものであって、図3(a)の左フレーム12aが図3(b)では右フレーム12bに置き換わっており、図3(a)の左フレーム30aが図3(b)では右フレーム30bに置き換わっている点を除いて、図3(a)と同じである。したがって、支持部材19bについての詳細な説明は省略する。
【0039】
図1、図2に戻り、次はカバー22について説明する。カバー22は、柔軟で光拡散性(光を拡散する性質)をもった材質からなり、例えば、白色のアクリルやナイロンなどの布から構成されている。このカバー22は、第1フレーム11と第2フレーム12とにまたがって張設される。カバー22の前端は、第1フレーム11の上部フレーム11cに固定されており、カバー22の後端は、第2フレーム12の上部フレーム12cに固定されている。この固定手段としては、例えば、カバー22に付設された紐を上部フレーム11c,12cにくくり付ける方法、カバー22に穿孔された孔を上部フレーム11c,12cのフック(図示省略)に嵌める方法、カバー22を上部フレーム11c,12cに接着剤や熱溶着で固着する方法など、種々の手段を用いることができる。
【0040】
図1のように、第1フレーム11と第2フレーム12とが前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、第1フレーム11と、第2フレーム12と、カバー22とによって、前面(F方向側)が開放した撮影空間Sが形成される。ここでは、カバー22が撮影空間Sのほぼ上方のみを覆っているが、カバー22により撮影空間Sの両側も覆うようにしてもよい。
【0041】
背面シート23は、第2フレーム12の上部フレーム12cから、左フレーム12aおよび右フレーム12bの下端付近にわたって張設されている。この背面シート23は、例えば、背景が透けないやや厚めの布からなり、カバー22と同様の固定手段により第2フレーム12に固定されている。なお、背面シート23の材質としては、布に限らず、樹脂プレートや紙などを用いることも可能である。
【0042】
次に、以上の構成からなる撮影補助装置100の組立方法および使用方法について説明する。
【0043】
まず最初に、取付部材13aのつまみ部14aを反時計回り方向に回転させるとともに、取付部材13bのつまみ部14bを反時計回り方向に回転させて、左フレーム11a,12aの締付状態を解除するとともに、右フレーム11b,12bの締付状態を解除する。これにより、第1フレーム11は第2フレーム12に対して、取付部材13a,13bを中心として前方向Fおよび後方向Bへ回動自在となる。
【0044】
続いて、第1フレーム11を第2フレーム12に対して所定角度(例えば60°)だけ前方向Fに傾斜させると、第1フレーム11、第2フレーム12、カバー22により、前述した撮影空間Sが形成される。この撮影空間Sは、被撮影者の上半身を収容できるスペースを有している。なお、第1フレーム11の傾斜角度を規制するためのストッパ部(図示省略)を、第2フレーム12(または第1フレーム11)に設けてもよい。
【0045】
第1フレーム11を傾斜させた後、今度は上記とは逆に、取付部材13aのつまみ部14aを時計回り方向に回転させて、左フレーム11a,12aを締め付けて固定するとともに、取付部材13bのつまみ部14bを時計回り方向に回転させて、右フレーム11b,12bを締め付けて固定する。
【0046】
これにより、第1フレーム11と第2フレーム12は、取付部材13a,13bを中心として前方向Fおよび後方向Bへ回動できなくなるため、第1フレーム11は、第2フレーム12に対して図1の状態で固定され、撮影補助装置100の組み立てが終了する。
【0047】
次に、このようにして組み立てた撮影補助装置100を、図4のように椅子30へ取り付ける。椅子30は、ここではパイプ椅子であって、左フレーム30a、右フレーム30b、座部30c、背もたれ部30dを備えている。撮影補助装置100の椅子30への取付作業は、以下のような手順に従って行われる。
【0048】
まず、支持部材19a,19bのつまみ26dを図3のQ方向に回転させて、つまみ26dをX方向に退避させるとともに、支持板26aをX方向に移動させて、支持板26a,26b間にスペースを確保する。
【0049】
続いて、一方の支持部材19aの凹部26e,26gに、撮影補助装置100の左フレーム12aの一部を収容するとともに、凹部26f,26hに、椅子30の左フレーム30aの一部を収容する(図3(a)の状態)。この状態で、つまみ26dを図3のP方向に回転させると、つまみ26dはY方向に移動し、支持板26aに当接する。このため、各フレーム12a,30aが支持板26a,26bによって挟持され、つまみ26dの回転に伴ってこの挟持力は強くなる。この結果、撮影補助装置100の左フレーム12aが、支持部材19aを介して、椅子30の左フレーム30aに支持される。
【0050】
また、他方の支持部材19bの凹部26e,26gに、撮影補助装置100の右フレーム12bの一部を収容するとともに、凹部26f,26hに、椅子30の右フレーム30bの一部を収容する(図3(b)の状態)。この状態で、つまみ26dを図3のP方向に回転させると、上記と同様にして、各フレーム12b,30bが支持板26a,26bにより挟持され、撮影補助装置100の右フレーム12bが、支持部材19bを介して、椅子30の右フレーム30bに支持される。
【0051】
以上の要領により、図4のように、撮影補助装置100が椅子30に取り付けられて支持される。その後、光源15a,15bからの光がカバー22を通して撮影空間Sに照射されるように、光源15a,15bの角度を調整する。この調整にあたっては、アーム16a,16bの取付部材17a,17bを緩めて、アーム16a,16bを回動させ、各アームが第1フレーム11に対して所定の角度になったときに、取付部材17a,17bを締めて、アーム16a,16bを固定する。また、必要に応じてクリップ24a,24bを動かして、光源15a,15bの上下位置を調整する。
【0052】
図5は、椅子30に取り付けた撮影補助装置100を用いて撮影を行う様子を示している。ここでは、撮影補助装置100や椅子30を簡略化して描いてある。撮影補助装置100の前方には、カメラ51と支持脚52を備えた撮影器具200が設置される。被撮影者40が椅子30の座部30cに着座すると、被撮影者40の上半身の一部が撮影空間Sに収容される。この状態で光源15a,15bを点灯し、各光源からの光をカバー22を通して撮影空間Sに照射する。カバー22は光拡散性を有する白色の布からなるので、光源15a,15bからの光は、カバー22で拡散されて均一な柔らかい光となり、被撮影者40の上半身を斜め上方から照射する。この状態でカメラ51により撮影を行うと、被撮影者40の顔などにおける肌の状態を精緻に撮影することができる。
【0053】
撮影補助装置100を使用しないときは、撮影補助装置100を椅子30に取り付けたままの状態で、取付部材13a,13bのつまみ部14a,14b(図1参照)を反時計回り方向に回転させて締め付けを緩め、第1フレーム11を後方(図1のB方向)に倒して第2フレーム12の位置まで回動させる。すると、前述のように第2フレーム12の幅と高さは、第1フレーム11の幅と高さより小さいので、第2フレーム12が第1フレーム11の内側に隣接し、両フレーム11,12はフラットな状態となる。また、カバー22も柔軟な布であるため、第1フレーム11の後方への回動とともに折り畳まれる。そして次に、取付部材13a,13bのつまみ部14a,14bを時計回り方向に回転させて、第1フレーム11と第2フレーム12とを締め付けて固定する。最後に、椅子30の脚部30e(図5参照)を畳んで、椅子30と撮影補助装置100の一体物を収納庫に収納したり、壁などに立て掛けておく。なお、撮影補助装置100を椅子30から取り外して、別に保管するようにしてもよい。
【0054】
このように、第1実施形態においては、取付部材13a,13bを介して結合された2つのフレーム11,12に、光拡散性のカバー22と光源15a,15bとを付設するだけの簡単な構成により、撮影補助装置100を安価に製作することができる。また、光源15a,15bの光が光拡散性のカバー22を通って均一な拡散光となって撮影空間S内に照射されるため、撮影補助装置100の前方に設置したカメラ51によって、撮影空間S内の人物40の肌の状態を精緻に撮影することができる。したがって、この装置は、美容関連施設における撮影装置として最適である。また、第1フレーム11と第2フレーム12とが取付部材13a,13bにより回動可能に連結されていて、かつ、光拡散性のカバー22が柔軟な材質からなるため、不使用時には撮影補助装置100をコンパクトに折りたたむことができ、保管や収納のためのスペースが少なくて済む。
【0055】
また、撮影補助装置100を椅子30に着脱可能に支持するための支持部材19a,19bが、第2フレーム12に設けられているので、撮影補助装置100を椅子30に簡単に取り付けることができるとともに、パイプ椅子のような既製の椅子30をそのまま撮影用の椅子として利用することができる。
【0056】
さらに、光源15a,15bが、第1フレーム11に回動可能に取り付けられたアーム16a,16bに支持されているので、光源15a,15bから撮影空間S内に照射される光の角度を、アーム16a,16bの角度を変えることによって容易に調整することができる。これにより、最適の照明状態で撮影を行うことが可能となる。
【0057】
図6および図7は、第2実施形態に係る撮影補助装置100を示している。図6は撮影補助装置100を斜め上から見た図、図7は撮影補助装置100を正面から見た図である。前記の第1実施形態では、撮影補助装置100を椅子30に取り付けた例を挙げたが、第2実施形態は、撮影補助装置100に脚部となる4本のフレームを連結したものである。
【0058】
図6において、撮影補助装置100の構成は、図1に示した撮影補助装置100と基本的に同じである。但し、ここでは背面シート23が下方へ延びて、第2フレーム12と第1フレーム12とにまたがって設けられている。第1フレーム11の左フレーム11aの下端部には、後方左脚を構成するフレーム27aが連結されており、右フレーム11bの下端部には、後方右脚を構成するフレーム27bが連結されている。また、第2フレーム12の左フレーム12aの下端部には、前方左脚を構成するフレーム28aが連結されており、右フレーム12bの下端部には、前方右脚を構成するフレーム28bが連結されている。これらの4本のフレームは、例えばアルミニウム製の金属パイプからなる。なお、ここでは図1と同様に、撮影補助装置100に支持部材19a,19bが備わっているが、第2実施形態においては、これらの支持部材はなくてもよい。
【0059】
脚部を構成する4本のフレーム27a,27b,28a,28b(以下「連結フレーム」という)と、撮影補助装置100のフレーム11a,11b,12a,12b(以下「本体フレーム」という)とは、例えばネジ結合により固定される。この場合、連結フレームの上端部に雄ネジが形成されているとともに、本体フレームの下端部に雌ネジが形成されており、連結フレームの雄ネジを本体フレームの雌ネジにねじ込むことにより、連結フレームが本体フレームに着脱可能に固定される。なお、本体フレームに連結フレームを固定する手段としては、ネジ結合に限らず、他の手段を用いてもよい。例えば、連結フレームを本体フレームに嵌合させて固定してもよいし、別の固定部材を用いて両者を固定してもよい。
【0060】
以上のような第2実施形態によれば、撮影補助装置100を取り付ける適当な椅子がない場合でも、撮影補助装置100に4本のフレーム27a,27b,28a,28bを連結することにより、図5と同様の撮影環境で撮影を行うことができる。この場合は、被撮影者40が着座する椅子が別途用意される。また、被撮影者40が着座した状態だけでなく、被撮影者40が立った状態でも撮影が可能なので、顔以外の部位を撮影する場合にも対応することができる。さらに、撮影補助装置100を使用しないときは、4本のフレーム27a,27b,28a,28bを連結したままの状態で、第1フレーム11を折り畳んでコンパクトにすることができる。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る撮影補助装置100を示している。前記の第2実施形態では、撮影補助装置100に脚部となる4本のフレームを連結したが、第3実施形態は、撮影補助装置100に脚部となる2本のフレームを連結したものである。
【0062】
図8において、撮影補助装置100の構成は、図1に示した撮影補助装置100と基本的に同じである。但し、ここでは図1の支持部材19a,19bは備わっていない。また、背面シート23は下方へ延びて、第2フレーム12とL字形フレーム61,62とにまたがって設けられている。L字形フレーム61は、左脚を構成するフレームであり、L字形フレーム62は、右脚を構成するフレームである。これらのL字形フレーム61,62は、例えばアルミニウム製の金属パイプからなる。
【0063】
L字形フレーム61は、垂直片61aと水平片61bとからなる。垂直片61aの上端部を左フレーム12aの下端部に嵌合させることにより、L字形フレーム61と第2フレーム12とが固定される。固定手段としては、嵌合以外にネジ結合や固定部材などを用いてもよい。水平片61bは、垂直片61aに対して直角に折曲されており、床面上に載置される。
【0064】
L字形フレーム62は、垂直片62aと水平片62bとからなる。垂直片62aの上端部を右フレーム12bの下端部に嵌合させることにより、L字形フレーム62と第2フレーム12とが固定される。この場合も、固定手段としてはネジ結合や固定部材などを用いてもよい。水平片62bは、垂直片62aに対して直角に折曲されており、床面上に載置される。
【0065】
このようにしてL字形フレーム61,62が連結された第3実施形態の撮影補助装置100では、図8からわかるように、第2フレーム12が垂直な姿勢を保っている。
【0066】
以上のような第3実施形態によれば、撮影補助装置100を取り付ける適当な椅子がない場合でも、撮影補助装置100に2本のL字形フレーム61,62を連結することにより、図5と同様の撮影環境で撮影を行うことができる。この場合も、被撮影者40が着座する椅子が別途用意される。また、第2実施形態と同様に、被撮影者40が着座した状態だけでなく、被撮影者40が立った状態でも撮影が可能なので、顔以外の部位を撮影する場合にも対応することができる。さらに、第2実施形態に比べて連結するフレームの数が少なくて済む。
【0067】
図9および図10は、第4実施形態に係る撮影補助装置100を示している。図9は撮影補助装置100を左側から見た図、図10は撮影補助装置100を右側から見た図である。第4実施形態は、第3実施形態(図8)を発展させたものである。
【0068】
第4実施形態の撮影補助装置100では、カバー22が幌状に形成されており、撮影空間Sの上方と左右両側がカバー22で覆われている。L字形フレーム61,62の水平片61b,62bは、軸63を中心として回動可能となっていて、不使用時にc方向に折りたたむことができる。64a,64bは、垂直片61a,62aと水平片61b,62bとを連結するリンク部材である。フレーム12a,12bと垂直片61a,62aとの連結部には、高さ調節用のハンドル65a,65bが設けられている。このハンドル65a,65bを回して、フレーム12a,12bと垂直片61a,62aとの締め付けを緩め、フレーム12a,12bを垂直片61a,62aに対してa,b方向に相対的に伸縮させることにより、撮影補助装置100の高さを調節することができる。これによって、様々な背丈の被撮影者に対応することができる。また、垂直片61a,62aの下部には、キャスター66a,66bが設けられており、撮影補助装置100を容易に移動させることができる。その他の構成については、第3実施形態(図8)と同様である。
【0069】
本発明では、上述した実施形態のほかにも、種々の実施形態を採用することができる。
【0070】
例えば、前記各実施形態においては、光源15a,15bをアーム16a,16bを介して第1フレーム11に取り付けた例を挙げたが、光源15a,15bをアーム16a,16bを介して第2フレーム12に取り付けてもよい。また、必要に応じて、撮影時にアーム16a,16bの角度を調整することにより、光源15a,15bの一方または両方が発する光を、撮影空間Sの正面から照射することもできる。さらに、光源は2つに限らず、1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0071】
また、前記各実施形態においては、取付部材13a,13bとして、つまみ部14a,14bを有するネジ部材を例に挙げたが、取付部材としてボルトとナットなどを用いることも可能である。また、第1および第2実施形態では、支持部材19a,19bを第2フレーム12に取り付けた例を挙げたが、支持部材19a,19bは第1フレーム11に取り付けてもよい。
【0072】
また、支持部材19a,19bの構造は、図3に示したものに限らず、例えば図11(a)のように、椅子のフレーム30aを収容する凹部26f,26hを複数設けてもよい。これによると、サイズ(幅)の異なる椅子に、共通の支持部材を用いて撮影補助装置100を取り付けることができる。また、凹部26f,26hの形状は円弧状に限らず、例えば図11(b)のように、椅子のフレーム30aの形状にあわせて方形としてもよい。さらに、凹部26f,26h内に図のようなゴム等の弾性部材25を埋設し、フレーム30aを弾性的に挟持するようにしてもよい。なお、図11では一方の支持部材19aのみ図示されているが、他方の支持部材19bについても同様である。
【0073】
また、前記各実施形態においては、第1フレーム11と第2フレーム12をアルミニウム製の金属パイプから構成したが、アルミニウム以外の金属(例えば鉄)から構成してもよい。また、その形状も円柱状、角柱状など任意に選定することができる。第2実施形態のフレーム27a,27b,28a,28bや、第3および第4実施形態のL字形フレーム61,62についても同様である。
【0074】
また、第1実施形態においては、撮影補助装置100を取り付ける椅子30としてパイプ椅子を例に挙げたが、椅子30はパイプ椅子以外の椅子であってもよい。さらには、撮影補助装置100を椅子以外の専用の基台に取り付けてもよい。また、第1実施形態においては、第1フレーム11を傾斜させた後に、撮影補助装置100を椅子30に取り付けたが、撮影補助装置100を椅子30に取り付けた後に、第1フレーム11を傾斜させてもよい。
【0075】
また、第1実施形態においては、第1および第2フレーム11,12の幅(図1のL−R方向の幅)は固定であったが、第1フレーム11と第2フレーム12をそれぞれ左右に分割し、それぞれの左右のフレームを幅方向にスライド可能に連結することにより、フレーム11,12の幅を調整できるようにしてもよい。これにより、種々のサイズの椅子に撮影補助装置100を取り付けることができる。
【0076】
また、第2実施形態においては、撮影補助装置100に4本のフレーム27a,27b,28a,28bを連結して脚部を構成したが、第1フレーム11と第2フレーム12を下方に延長することにより、脚部を一体に形成してもよい。
【0077】
同様に、第3および第4実施形態においては、撮影補助装置100にL字形フレーム61,62を連結して脚部を構成したが、第2フレーム12の左右フレーム12a,12bを下方に延長して折り曲げることにより、脚部を一体に形成してもよい。
【0078】
さらに、前記各実施形態においては、光源15a,15bが発する光を、カバー22の上方からカバーを通して撮影空間S内へ照射したが、第4実施形態のように撮影空間Sの側方もカバー22で覆われている場合は(図9、図10)、光源15a,15bの光をカバー22の側方からカバーを通して撮影空間S内へ照射してもよい。
【符号の説明】
【0079】
11 第1フレーム
12 第2フレーム
13a,13b 取付部材
15a,15b 光源
16a,16b アーム
19a,19b 支持部材
22 カバー
30 椅子
100 撮影補助装置
S 撮影空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物撮影を好適に行うための撮影環境を整える撮影補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エステティックサロン(ビューティーサロン)や美容外科等の美容関連施設では、美容に関する種々の処置や施術が行われている。
【0003】
このような施設では、処置や施術の対象となる人体の部位(以下、「対象部位」という)の撮影が定期的に行われる。例えば、施術前と施術後に対象部位(例えば顔)の撮影を行うほか、施術から一定期間が経過した後も、適当な時期に対象部位の撮影を行う。そして、前回撮影された画像と今回撮影された画像とを比較することで、対象部位における美容効果を検証し、施術を受けた利用者に対して経過説明を行っている。
【0004】
ところで、人物の上半身の画像を容易かつ安価に撮影する手段の1つとして、例えば、駅や街角等に設置されている自動証明写真撮影装置がある。
【0005】
また、人物の画像を美しく撮影する手段の1つとしては、例えば、高機能な撮影設備が備わっていて、専門の撮影者(プロカメラマン)による撮影が行われる撮影スタジオがある。
【0006】
しかしながら、上述した自動証明写真撮影装置には、肌の状態(肌のはり具合等)を精緻に撮影することが出来る機能が備わっていないため、美容関連施設においてこのような設備を導入しても、撮影された画像には、対象部位の状態が鮮明に写らない。よって、前回撮影した画像と、今回撮影した画像を比較しても、対象部位における美容効果を十分に検証することが困難であり、利用者に対して十分な経過説明を行うことが出来ない。
【0007】
これに対して、上述した撮影スタジオで使用される撮影設備を利用した場合は、対象部位の状態を鮮明に撮影することができる。よって、前回撮影された画像と今回撮影された画像を比較することで、美容効果を十分に検証することが出来、利用者に対して十分な経過説明を行うことが可能である。しかしながら、このような撮影スタジオ用の撮影設備を美容関連施設が導入しようとすれば、経済的負担が増大するとともに、設置場所の制約も受けることになる。
【0008】
また、人物撮影を行うための撮影装置としては、上に挙げたもののほか、例えば、後掲の特許文献1〜3に記載されているような撮影装置も知られている。
【0009】
特許文献1には、キャスタにより移動自在な前枠および後枠と、後枠を前枠と接離可能に連結する連結手段とを備えた人物撮影装置が記載されている。前枠には、複数のライトからなる照明手段と、そのコントロール手段とが設けられており、後枠には、背景を形成するスクリーンを巻回したスクリーンロールを架設する軸受手段が設けられている。また、下部に配置したライトの光を、乳白色半透明の散光板を通して人物に照射し、拡散されたやわらかい光線によって顎の下に生じる影を和らげるようにしている。
【0010】
特許文献2には、壁面に取り付けたり、搬送用コンテナの上に取り付けて使用できる身元証明写真撮影用の装置が記載されている。この装置は、ベース、モータユニット、摺動ブロックに固定された直立部材、水平に延在するフレーム、および少なくとも3台のデジタルビデオカメラを備えている。モータユニットは、ベースに固定されていて、摺動ブロックをガイドに沿って移動させる。水平フレームは、直立部材によって支持されており、シートホルダおよび対応する垂直の背景シートを支持して、撮影空間を作り出す。各デジタルビデオカメラは、撮影空間に向けられていて、被写体の顔面を、前方および両側方から同時に撮影するとともに、同時に撮影した3つの画像をデジタル形式で記録する。
【0011】
特許文献3には、肌の状態の診断等に使用される顔撮影装置が記載されている。この装置では、筐体の内部に、顔を照明するための光源、顔を撮影するためのカメラ、あご載せ台、額押さえなどが配置されており、また、光源から照射される光を均一に拡散するための拡散板が光源と顔の間に配置されている。カメラは、顔位置を中心として回転可能に設けられており、複数個所で顔画像を撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−206595号公報
【特許文献2】特表2007−519008号公報
【特許文献3】特開2009−10634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示されている人物撮影装置は、顎の下に生じる影を和らげる効果が期待できるので、ポートレート用の撮影装置には適している。しかし、散光板を通った拡散光は下方から照射されるので、拡散光を利用して顔全体の肌の状態を精緻に撮影することは難しい。したがって、美容関連施設において処置や施術の対象部位を撮影する装置としては適さない。また、特許文献1の撮影装置では、前枠と後枠とをガイドレールとパイプレールにより前後に進退自在に連結する機構が必要となり、構造が複雑化するという欠点がある。
【0014】
特許文献2に開示されている撮影装置は、身元証明写真撮影用の装置であり、照明に特に工夫がされているわけではないので、やはり肌の状態を精緻に撮影することは難しく、美容関連施設における撮影装置には適さない。また、特許文献2の撮影装置は、モータユニット、摺動ブロック、搬送用コンテナ等を含むため、装置が大掛かりとなってコストも高くなる。
【0015】
特許文献3に開示されている顔撮影装置は、拡散板を通った均一な拡散光により肌の状態を精緻に撮影することはできるが、顔の画像しか撮影出来ないため、顔以外の部位の撮影も必要とする撮影装置には適さない。また、特許文献3の撮影装置は、筐体内にあらかじめ顔撮影用のカメラやカメラの回転機構が備え付けられたユニットとして構成されるため、コストが高くなることに加えて、コンパクトに折りたたんで収納することができないという問題がある。
【0016】
本発明は、上述した問題点に鑑み、簡単な構成で安価に製作でき、使い勝手にも優れた美容関連施設向けの撮影補助装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る撮影補助装置は、前側に設けられる第1フレームと、後側に設けられる第2フレームと、第1フレームまたは第2フレームに取り付けられた光源と、第1フレームと第2フレームとにまたがって張設された柔軟な光拡散性のカバーと、第1フレームを第2フレームに対して回動可能に取り付けるための取付部材とを備える。本装置では、第1および第2フレームが、取付部材を介して前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、第1および第2フレームとカバーとにより、前面が開放した撮影空間が形成される。そして、光源が発する光は、カバーを通して撮影空間内へ照射される。
【0018】
このような構成によると、取付部材を介して結合された2つのフレームに、光拡散性のカバーと光源とを付設するだけの簡単な構成により、撮影補助装置を安価に製作することができる。また、光源の光が光拡散性のカバーを通って均一な拡散光となって撮影空間内に照射されるため、撮影補助装置の前方に設置したカメラによって、撮影空間内の人物の肌の状態を精緻に撮影することができる。したがって、この装置は美容関連施設における撮影装置として最適である。また、第1フレームと第2フレームとが取付部材により回動可能に連結されていて、かつ、光拡散性のカバーが柔軟な材質からなるため、不使用時には本装置をコンパクトに折りたたむことができ、保管や収納のためのスペースが少なくて済む。
【0019】
本発明では、撮影補助装置を椅子に着脱可能に支持するための支持部材が、第1フレームまたは第2フレームに設けられていてもよい。このようにすれば、撮影補助装置を椅子に簡単に取り付けることができるとともに、既製の椅子をそのまま撮影用の椅子として利用することができる。
【0020】
また、本発明では、光源が、第1フレームまたは第2フレームに回動可能に取り付けられたアームに支持されていてもよい。このようにすれば、光源から撮影空間内に照射される光の角度を、アームの角度を変えることによって容易に調整することができる。これにより、最適の照明状態で撮影を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単な構成で安価に製作でき、使い勝手にも優れた美容関連施設向けの撮影補助装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る撮影補助装置の斜視図である。
【図2】同撮影補助装置の正面図である。
【図3】支持部材の側面図である。
【図4】同撮影補助装置を椅子に取り付けた状態を示す正面図である。
【図5】同撮影補助装置を用いて撮影を行う様子を示した図である。
【図6】第2実施形態に係る撮影補助装置の斜視図である。
【図7】同撮影補助装置の正面図である。
【図8】第3実施形態に係る撮影補助装置の斜視図である。
【図9】第4実施形態に係る撮影補助装置の左側面図である。
【図10】同撮影補助装置の右側面図である。
【図11】支持部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下の図では、 同一部分または対応する部分に同一符号を付してある。また、図の右上に示されている矢印のうち、Uは上方向、Dは下方向、Lは左方向、Rは右方向、Fは前方向、Bは後方向をそれぞれ表している。したがって、U−Dは高さ方向、L−Rは幅方向、F−Bは奥行方向であり、これら3方向は互いに直交している。
【0024】
第1実施形態に係る撮影補助装置を図1および図2に示す。図1は撮影補助装置100を斜め上から見た図、図2は撮影補助装置100を正面から見た図である。撮影補助装置100は、第1フレーム11、第2フレーム12、取付部材13a,13b、光源15a,15b、アーム16a,16b、取付部材17a,17b、支持部材19a,19b、カバー22、背面シート23を備えている。
【0025】
第1フレーム11は前側(前方向F)に設けられるフレームであって、左フレーム11aと、右フレーム11bと、上部フレーム11cからなる。この第1フレーム11は、例えばアルミニウム製の金属パイプを逆U字状に成型したものである。
【0026】
第2フレーム12は後側(後方向B)に設けられるフレームであって、左フレーム12aと、右フレーム12bと、上部フレーム12cからなる。この第2フレーム12も、第1フレーム11と同様に、例えばアルミニウム製の金属パイプを逆U字状に成型したものである。なお、第2フレーム12の幅と高さは、第1フレーム11の幅と高さよりも小さくなっている。ここでは、左右のフレーム12a,12bが直線状になっているが、各フレームを適当な位置で折り曲げて、折曲部より上の部分が垂直(U−D方向)となるようにしてもよい。
【0027】
第1フレーム11の左フレーム11aと、第2フレーム12の左フレーム12aとは、取付部材13aによって連結される。取付部材13aは、例えば、つまみ部14aを有するネジ部材からなる。つまみ部14aを時計回り方向に回転させると、左フレーム11a,12aが締め付けられて固定され、つまみ部14aを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んで左フレーム11a,12aの固定が解除される。
【0028】
同様に、第1フレーム11の右フレーム11bと、第2フレーム12の右フレーム12bとは、取付部材13bによって連結される。取付部材13bは、例えば、つまみ部14bを有するネジ部材からなる。つまみ部14bを時計回り方向に回転させると、右フレーム11b,12bが締め付けられて固定され、つまみ部14bを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んで右フレーム11b,12bの固定が解除される。
【0029】
したがって、左右の取付部材13a,13bによって、第1フレーム11を第2フレーム12に対して回動可能に取り付けることができ、第1フレーム11と第2フレーム12とを、両者が前後方向(F−B方向)に所定角度を保った状態で互いに固定することができる。
【0030】
第1フレーム11の左フレーム11aの上部には、アーム16aが取付部材17aによって回動可能に取り付けられている。取付部材17aは、取付部材14aと同様に、つまみ部18aを有するネジ部材からなる。つまみ部18aを時計回り方向に回転させると、アーム16aが左フレーム11aに締付固定され、つまみ部18aを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んでアーム16aが回動可能となる。
【0031】
第1フレーム11の右フレーム11bの上部には、アーム16bが取付部材17bによって回動可能に取り付けられている。取付部材17bは、取付部材17aと同様に、つまみ部18bを有するネジ部材からなる。つまみ部18bを時計回り方向に回転させると、アーム16bが右フレーム11bに締付固定され、つまみ部18bを反時計回り方向に回転させると、締め付けが緩んでアーム16bが回動可能となる。
【0032】
光源15a,15bは、それぞれアーム16a,16bの上部に、クリップ24a,24bで支持されており、アーム16a,16bを介して第1フレーム11に取り付けられている。クリップ24a,24bを上下させることにより、光源15a,15bをアーム16a,16bの任意の位置に支持することができる。これらの光源15a,15bには、例えば、蛍光ランプやLEDランプのような市販のランプを用いることができる。
【0033】
第2フレーム12の左フレーム12aの下部と、右フレーム12bの下部には、それぞれ支持部材19a,19bが設けられている。これらの支持部材19a,19bは、図4のように撮影補助装置100を椅子30に支持するための部材であって、金属または樹脂から形成されている。以下、支持部材19a,19bの詳細について説明する。
【0034】
図3(a)は、一方の支持部材19aの側面図を示している。支持部材19aは、一対の支持板26a,26bと、軸26cと、つまみ26dとを有している。支持板26aの内側には、凹部26e,26fが形成されており、支持板26bの内側には、凹部26g,26hが形成されている。
【0035】
凹部26eと凹部26gとは対向していて、撮影補助装置100の左フレーム12aの一部が収容されるように、円弧状の窪みに形成されている。また、凹部26fと凹部26hとは対向していて、椅子30の左フレーム30aの一部が収容されるように、円弧状の窪みに形成されている。
【0036】
支持板26aには、貫通孔26iが形成されており、軸26cの一方の端部が、この貫通孔26iから突出している。軸26cの他方の端部は、支持板26bに埋設されている。貫通孔26iの内径は軸26cの外径より若干大きいので、支持板26aは、軸26cの軸方向(X−Y方向)に移動自在となっている。貫通孔26iから突出している軸26cの端部には、つまみ26dを取り付けるための雄ネジ部26jが形成されている。つまみ26dには、この雄ネジ部26jに対応する雌ネジ部(図示省略)が形成されている。
【0037】
図3(a)において、つまみ26dを図中のP方向(時計回り方向)に回転させると、つまみ26dはY方向、すなわち支持板26a,26bによるフレーム12a,30aの挟持力が強くなる方向に移動する。また、つまみ26dをQ方向(反時計回り方向)に回転させると、つまみ26dはX方向、すなわち支持板26a,26bによるフレーム12a,30aの挟持力が弱くなる方向に移動する。
【0038】
図3(b)は、他方の支持部材19bの側面図を示している。図3(b)は、図3(a)を左右対称にしたものであって、図3(a)の左フレーム12aが図3(b)では右フレーム12bに置き換わっており、図3(a)の左フレーム30aが図3(b)では右フレーム30bに置き換わっている点を除いて、図3(a)と同じである。したがって、支持部材19bについての詳細な説明は省略する。
【0039】
図1、図2に戻り、次はカバー22について説明する。カバー22は、柔軟で光拡散性(光を拡散する性質)をもった材質からなり、例えば、白色のアクリルやナイロンなどの布から構成されている。このカバー22は、第1フレーム11と第2フレーム12とにまたがって張設される。カバー22の前端は、第1フレーム11の上部フレーム11cに固定されており、カバー22の後端は、第2フレーム12の上部フレーム12cに固定されている。この固定手段としては、例えば、カバー22に付設された紐を上部フレーム11c,12cにくくり付ける方法、カバー22に穿孔された孔を上部フレーム11c,12cのフック(図示省略)に嵌める方法、カバー22を上部フレーム11c,12cに接着剤や熱溶着で固着する方法など、種々の手段を用いることができる。
【0040】
図1のように、第1フレーム11と第2フレーム12とが前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、第1フレーム11と、第2フレーム12と、カバー22とによって、前面(F方向側)が開放した撮影空間Sが形成される。ここでは、カバー22が撮影空間Sのほぼ上方のみを覆っているが、カバー22により撮影空間Sの両側も覆うようにしてもよい。
【0041】
背面シート23は、第2フレーム12の上部フレーム12cから、左フレーム12aおよび右フレーム12bの下端付近にわたって張設されている。この背面シート23は、例えば、背景が透けないやや厚めの布からなり、カバー22と同様の固定手段により第2フレーム12に固定されている。なお、背面シート23の材質としては、布に限らず、樹脂プレートや紙などを用いることも可能である。
【0042】
次に、以上の構成からなる撮影補助装置100の組立方法および使用方法について説明する。
【0043】
まず最初に、取付部材13aのつまみ部14aを反時計回り方向に回転させるとともに、取付部材13bのつまみ部14bを反時計回り方向に回転させて、左フレーム11a,12aの締付状態を解除するとともに、右フレーム11b,12bの締付状態を解除する。これにより、第1フレーム11は第2フレーム12に対して、取付部材13a,13bを中心として前方向Fおよび後方向Bへ回動自在となる。
【0044】
続いて、第1フレーム11を第2フレーム12に対して所定角度(例えば60°)だけ前方向Fに傾斜させると、第1フレーム11、第2フレーム12、カバー22により、前述した撮影空間Sが形成される。この撮影空間Sは、被撮影者の上半身を収容できるスペースを有している。なお、第1フレーム11の傾斜角度を規制するためのストッパ部(図示省略)を、第2フレーム12(または第1フレーム11)に設けてもよい。
【0045】
第1フレーム11を傾斜させた後、今度は上記とは逆に、取付部材13aのつまみ部14aを時計回り方向に回転させて、左フレーム11a,12aを締め付けて固定するとともに、取付部材13bのつまみ部14bを時計回り方向に回転させて、右フレーム11b,12bを締め付けて固定する。
【0046】
これにより、第1フレーム11と第2フレーム12は、取付部材13a,13bを中心として前方向Fおよび後方向Bへ回動できなくなるため、第1フレーム11は、第2フレーム12に対して図1の状態で固定され、撮影補助装置100の組み立てが終了する。
【0047】
次に、このようにして組み立てた撮影補助装置100を、図4のように椅子30へ取り付ける。椅子30は、ここではパイプ椅子であって、左フレーム30a、右フレーム30b、座部30c、背もたれ部30dを備えている。撮影補助装置100の椅子30への取付作業は、以下のような手順に従って行われる。
【0048】
まず、支持部材19a,19bのつまみ26dを図3のQ方向に回転させて、つまみ26dをX方向に退避させるとともに、支持板26aをX方向に移動させて、支持板26a,26b間にスペースを確保する。
【0049】
続いて、一方の支持部材19aの凹部26e,26gに、撮影補助装置100の左フレーム12aの一部を収容するとともに、凹部26f,26hに、椅子30の左フレーム30aの一部を収容する(図3(a)の状態)。この状態で、つまみ26dを図3のP方向に回転させると、つまみ26dはY方向に移動し、支持板26aに当接する。このため、各フレーム12a,30aが支持板26a,26bによって挟持され、つまみ26dの回転に伴ってこの挟持力は強くなる。この結果、撮影補助装置100の左フレーム12aが、支持部材19aを介して、椅子30の左フレーム30aに支持される。
【0050】
また、他方の支持部材19bの凹部26e,26gに、撮影補助装置100の右フレーム12bの一部を収容するとともに、凹部26f,26hに、椅子30の右フレーム30bの一部を収容する(図3(b)の状態)。この状態で、つまみ26dを図3のP方向に回転させると、上記と同様にして、各フレーム12b,30bが支持板26a,26bにより挟持され、撮影補助装置100の右フレーム12bが、支持部材19bを介して、椅子30の右フレーム30bに支持される。
【0051】
以上の要領により、図4のように、撮影補助装置100が椅子30に取り付けられて支持される。その後、光源15a,15bからの光がカバー22を通して撮影空間Sに照射されるように、光源15a,15bの角度を調整する。この調整にあたっては、アーム16a,16bの取付部材17a,17bを緩めて、アーム16a,16bを回動させ、各アームが第1フレーム11に対して所定の角度になったときに、取付部材17a,17bを締めて、アーム16a,16bを固定する。また、必要に応じてクリップ24a,24bを動かして、光源15a,15bの上下位置を調整する。
【0052】
図5は、椅子30に取り付けた撮影補助装置100を用いて撮影を行う様子を示している。ここでは、撮影補助装置100や椅子30を簡略化して描いてある。撮影補助装置100の前方には、カメラ51と支持脚52を備えた撮影器具200が設置される。被撮影者40が椅子30の座部30cに着座すると、被撮影者40の上半身の一部が撮影空間Sに収容される。この状態で光源15a,15bを点灯し、各光源からの光をカバー22を通して撮影空間Sに照射する。カバー22は光拡散性を有する白色の布からなるので、光源15a,15bからの光は、カバー22で拡散されて均一な柔らかい光となり、被撮影者40の上半身を斜め上方から照射する。この状態でカメラ51により撮影を行うと、被撮影者40の顔などにおける肌の状態を精緻に撮影することができる。
【0053】
撮影補助装置100を使用しないときは、撮影補助装置100を椅子30に取り付けたままの状態で、取付部材13a,13bのつまみ部14a,14b(図1参照)を反時計回り方向に回転させて締め付けを緩め、第1フレーム11を後方(図1のB方向)に倒して第2フレーム12の位置まで回動させる。すると、前述のように第2フレーム12の幅と高さは、第1フレーム11の幅と高さより小さいので、第2フレーム12が第1フレーム11の内側に隣接し、両フレーム11,12はフラットな状態となる。また、カバー22も柔軟な布であるため、第1フレーム11の後方への回動とともに折り畳まれる。そして次に、取付部材13a,13bのつまみ部14a,14bを時計回り方向に回転させて、第1フレーム11と第2フレーム12とを締め付けて固定する。最後に、椅子30の脚部30e(図5参照)を畳んで、椅子30と撮影補助装置100の一体物を収納庫に収納したり、壁などに立て掛けておく。なお、撮影補助装置100を椅子30から取り外して、別に保管するようにしてもよい。
【0054】
このように、第1実施形態においては、取付部材13a,13bを介して結合された2つのフレーム11,12に、光拡散性のカバー22と光源15a,15bとを付設するだけの簡単な構成により、撮影補助装置100を安価に製作することができる。また、光源15a,15bの光が光拡散性のカバー22を通って均一な拡散光となって撮影空間S内に照射されるため、撮影補助装置100の前方に設置したカメラ51によって、撮影空間S内の人物40の肌の状態を精緻に撮影することができる。したがって、この装置は、美容関連施設における撮影装置として最適である。また、第1フレーム11と第2フレーム12とが取付部材13a,13bにより回動可能に連結されていて、かつ、光拡散性のカバー22が柔軟な材質からなるため、不使用時には撮影補助装置100をコンパクトに折りたたむことができ、保管や収納のためのスペースが少なくて済む。
【0055】
また、撮影補助装置100を椅子30に着脱可能に支持するための支持部材19a,19bが、第2フレーム12に設けられているので、撮影補助装置100を椅子30に簡単に取り付けることができるとともに、パイプ椅子のような既製の椅子30をそのまま撮影用の椅子として利用することができる。
【0056】
さらに、光源15a,15bが、第1フレーム11に回動可能に取り付けられたアーム16a,16bに支持されているので、光源15a,15bから撮影空間S内に照射される光の角度を、アーム16a,16bの角度を変えることによって容易に調整することができる。これにより、最適の照明状態で撮影を行うことが可能となる。
【0057】
図6および図7は、第2実施形態に係る撮影補助装置100を示している。図6は撮影補助装置100を斜め上から見た図、図7は撮影補助装置100を正面から見た図である。前記の第1実施形態では、撮影補助装置100を椅子30に取り付けた例を挙げたが、第2実施形態は、撮影補助装置100に脚部となる4本のフレームを連結したものである。
【0058】
図6において、撮影補助装置100の構成は、図1に示した撮影補助装置100と基本的に同じである。但し、ここでは背面シート23が下方へ延びて、第2フレーム12と第1フレーム12とにまたがって設けられている。第1フレーム11の左フレーム11aの下端部には、後方左脚を構成するフレーム27aが連結されており、右フレーム11bの下端部には、後方右脚を構成するフレーム27bが連結されている。また、第2フレーム12の左フレーム12aの下端部には、前方左脚を構成するフレーム28aが連結されており、右フレーム12bの下端部には、前方右脚を構成するフレーム28bが連結されている。これらの4本のフレームは、例えばアルミニウム製の金属パイプからなる。なお、ここでは図1と同様に、撮影補助装置100に支持部材19a,19bが備わっているが、第2実施形態においては、これらの支持部材はなくてもよい。
【0059】
脚部を構成する4本のフレーム27a,27b,28a,28b(以下「連結フレーム」という)と、撮影補助装置100のフレーム11a,11b,12a,12b(以下「本体フレーム」という)とは、例えばネジ結合により固定される。この場合、連結フレームの上端部に雄ネジが形成されているとともに、本体フレームの下端部に雌ネジが形成されており、連結フレームの雄ネジを本体フレームの雌ネジにねじ込むことにより、連結フレームが本体フレームに着脱可能に固定される。なお、本体フレームに連結フレームを固定する手段としては、ネジ結合に限らず、他の手段を用いてもよい。例えば、連結フレームを本体フレームに嵌合させて固定してもよいし、別の固定部材を用いて両者を固定してもよい。
【0060】
以上のような第2実施形態によれば、撮影補助装置100を取り付ける適当な椅子がない場合でも、撮影補助装置100に4本のフレーム27a,27b,28a,28bを連結することにより、図5と同様の撮影環境で撮影を行うことができる。この場合は、被撮影者40が着座する椅子が別途用意される。また、被撮影者40が着座した状態だけでなく、被撮影者40が立った状態でも撮影が可能なので、顔以外の部位を撮影する場合にも対応することができる。さらに、撮影補助装置100を使用しないときは、4本のフレーム27a,27b,28a,28bを連結したままの状態で、第1フレーム11を折り畳んでコンパクトにすることができる。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る撮影補助装置100を示している。前記の第2実施形態では、撮影補助装置100に脚部となる4本のフレームを連結したが、第3実施形態は、撮影補助装置100に脚部となる2本のフレームを連結したものである。
【0062】
図8において、撮影補助装置100の構成は、図1に示した撮影補助装置100と基本的に同じである。但し、ここでは図1の支持部材19a,19bは備わっていない。また、背面シート23は下方へ延びて、第2フレーム12とL字形フレーム61,62とにまたがって設けられている。L字形フレーム61は、左脚を構成するフレームであり、L字形フレーム62は、右脚を構成するフレームである。これらのL字形フレーム61,62は、例えばアルミニウム製の金属パイプからなる。
【0063】
L字形フレーム61は、垂直片61aと水平片61bとからなる。垂直片61aの上端部を左フレーム12aの下端部に嵌合させることにより、L字形フレーム61と第2フレーム12とが固定される。固定手段としては、嵌合以外にネジ結合や固定部材などを用いてもよい。水平片61bは、垂直片61aに対して直角に折曲されており、床面上に載置される。
【0064】
L字形フレーム62は、垂直片62aと水平片62bとからなる。垂直片62aの上端部を右フレーム12bの下端部に嵌合させることにより、L字形フレーム62と第2フレーム12とが固定される。この場合も、固定手段としてはネジ結合や固定部材などを用いてもよい。水平片62bは、垂直片62aに対して直角に折曲されており、床面上に載置される。
【0065】
このようにしてL字形フレーム61,62が連結された第3実施形態の撮影補助装置100では、図8からわかるように、第2フレーム12が垂直な姿勢を保っている。
【0066】
以上のような第3実施形態によれば、撮影補助装置100を取り付ける適当な椅子がない場合でも、撮影補助装置100に2本のL字形フレーム61,62を連結することにより、図5と同様の撮影環境で撮影を行うことができる。この場合も、被撮影者40が着座する椅子が別途用意される。また、第2実施形態と同様に、被撮影者40が着座した状態だけでなく、被撮影者40が立った状態でも撮影が可能なので、顔以外の部位を撮影する場合にも対応することができる。さらに、第2実施形態に比べて連結するフレームの数が少なくて済む。
【0067】
図9および図10は、第4実施形態に係る撮影補助装置100を示している。図9は撮影補助装置100を左側から見た図、図10は撮影補助装置100を右側から見た図である。第4実施形態は、第3実施形態(図8)を発展させたものである。
【0068】
第4実施形態の撮影補助装置100では、カバー22が幌状に形成されており、撮影空間Sの上方と左右両側がカバー22で覆われている。L字形フレーム61,62の水平片61b,62bは、軸63を中心として回動可能となっていて、不使用時にc方向に折りたたむことができる。64a,64bは、垂直片61a,62aと水平片61b,62bとを連結するリンク部材である。フレーム12a,12bと垂直片61a,62aとの連結部には、高さ調節用のハンドル65a,65bが設けられている。このハンドル65a,65bを回して、フレーム12a,12bと垂直片61a,62aとの締め付けを緩め、フレーム12a,12bを垂直片61a,62aに対してa,b方向に相対的に伸縮させることにより、撮影補助装置100の高さを調節することができる。これによって、様々な背丈の被撮影者に対応することができる。また、垂直片61a,62aの下部には、キャスター66a,66bが設けられており、撮影補助装置100を容易に移動させることができる。その他の構成については、第3実施形態(図8)と同様である。
【0069】
本発明では、上述した実施形態のほかにも、種々の実施形態を採用することができる。
【0070】
例えば、前記各実施形態においては、光源15a,15bをアーム16a,16bを介して第1フレーム11に取り付けた例を挙げたが、光源15a,15bをアーム16a,16bを介して第2フレーム12に取り付けてもよい。また、必要に応じて、撮影時にアーム16a,16bの角度を調整することにより、光源15a,15bの一方または両方が発する光を、撮影空間Sの正面から照射することもできる。さらに、光源は2つに限らず、1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0071】
また、前記各実施形態においては、取付部材13a,13bとして、つまみ部14a,14bを有するネジ部材を例に挙げたが、取付部材としてボルトとナットなどを用いることも可能である。また、第1および第2実施形態では、支持部材19a,19bを第2フレーム12に取り付けた例を挙げたが、支持部材19a,19bは第1フレーム11に取り付けてもよい。
【0072】
また、支持部材19a,19bの構造は、図3に示したものに限らず、例えば図11(a)のように、椅子のフレーム30aを収容する凹部26f,26hを複数設けてもよい。これによると、サイズ(幅)の異なる椅子に、共通の支持部材を用いて撮影補助装置100を取り付けることができる。また、凹部26f,26hの形状は円弧状に限らず、例えば図11(b)のように、椅子のフレーム30aの形状にあわせて方形としてもよい。さらに、凹部26f,26h内に図のようなゴム等の弾性部材25を埋設し、フレーム30aを弾性的に挟持するようにしてもよい。なお、図11では一方の支持部材19aのみ図示されているが、他方の支持部材19bについても同様である。
【0073】
また、前記各実施形態においては、第1フレーム11と第2フレーム12をアルミニウム製の金属パイプから構成したが、アルミニウム以外の金属(例えば鉄)から構成してもよい。また、その形状も円柱状、角柱状など任意に選定することができる。第2実施形態のフレーム27a,27b,28a,28bや、第3および第4実施形態のL字形フレーム61,62についても同様である。
【0074】
また、第1実施形態においては、撮影補助装置100を取り付ける椅子30としてパイプ椅子を例に挙げたが、椅子30はパイプ椅子以外の椅子であってもよい。さらには、撮影補助装置100を椅子以外の専用の基台に取り付けてもよい。また、第1実施形態においては、第1フレーム11を傾斜させた後に、撮影補助装置100を椅子30に取り付けたが、撮影補助装置100を椅子30に取り付けた後に、第1フレーム11を傾斜させてもよい。
【0075】
また、第1実施形態においては、第1および第2フレーム11,12の幅(図1のL−R方向の幅)は固定であったが、第1フレーム11と第2フレーム12をそれぞれ左右に分割し、それぞれの左右のフレームを幅方向にスライド可能に連結することにより、フレーム11,12の幅を調整できるようにしてもよい。これにより、種々のサイズの椅子に撮影補助装置100を取り付けることができる。
【0076】
また、第2実施形態においては、撮影補助装置100に4本のフレーム27a,27b,28a,28bを連結して脚部を構成したが、第1フレーム11と第2フレーム12を下方に延長することにより、脚部を一体に形成してもよい。
【0077】
同様に、第3および第4実施形態においては、撮影補助装置100にL字形フレーム61,62を連結して脚部を構成したが、第2フレーム12の左右フレーム12a,12bを下方に延長して折り曲げることにより、脚部を一体に形成してもよい。
【0078】
さらに、前記各実施形態においては、光源15a,15bが発する光を、カバー22の上方からカバーを通して撮影空間S内へ照射したが、第4実施形態のように撮影空間Sの側方もカバー22で覆われている場合は(図9、図10)、光源15a,15bの光をカバー22の側方からカバーを通して撮影空間S内へ照射してもよい。
【符号の説明】
【0079】
11 第1フレーム
12 第2フレーム
13a,13b 取付部材
15a,15b 光源
16a,16b アーム
19a,19b 支持部材
22 カバー
30 椅子
100 撮影補助装置
S 撮影空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に設けられる第1フレームと、
後側に設けられる第2フレームと、
前記第1フレームまたは前記第2フレームに取り付けられた光源と、
前記第1フレームと前記第2フレームとにまたがって張設された柔軟な光拡散性のカバーと、
前記第1フレームを前記第2フレームに対して回動可能に取り付けるための取付部材とを備え、
前記第1および第2フレームが、前記取付部材を介して前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、前記第1および第2フレームと前記カバーとにより、前面が開放した撮影空間が形成され、
前記光源が発する光を、前記カバーを通して前記撮影空間内へ照射するようにしたことを特徴とする撮影補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影補助装置において、
当該撮影補助装置を椅子に着脱可能に支持するための支持部材が、前記第1フレームまたは前記第2フレームに設けられていることを特徴とする撮影補助装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮影補助装置において、
前記光源が、前記第1フレームまたは前記第2フレームに回動可能に取り付けられたアームに支持されていることを特徴とする撮影補助装置。
【請求項1】
前側に設けられる第1フレームと、
後側に設けられる第2フレームと、
前記第1フレームまたは前記第2フレームに取り付けられた光源と、
前記第1フレームと前記第2フレームとにまたがって張設された柔軟な光拡散性のカバーと、
前記第1フレームを前記第2フレームに対して回動可能に取り付けるための取付部材とを備え、
前記第1および第2フレームが、前記取付部材を介して前後方向に所定角度を保って互いに固定された状態において、前記第1および第2フレームと前記カバーとにより、前面が開放した撮影空間が形成され、
前記光源が発する光を、前記カバーを通して前記撮影空間内へ照射するようにしたことを特徴とする撮影補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影補助装置において、
当該撮影補助装置を椅子に着脱可能に支持するための支持部材が、前記第1フレームまたは前記第2フレームに設けられていることを特徴とする撮影補助装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮影補助装置において、
前記光源が、前記第1フレームまたは前記第2フレームに回動可能に取り付けられたアームに支持されていることを特徴とする撮影補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−138014(P2011−138014A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298198(P2009−298198)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(505351566)ルーヴルドージャパン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(505351566)ルーヴルドージャパン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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