撹拌タンクバイオリアクタ
【課題】従来技術に伴う欠陥を克服する使い捨て可能なタンクライナのようなデバイスを提供する。
【解決手段】本発明は、成形プラスチックから形成される使い捨て可能なバイオリアクタである。バイオリアクタは、予め滅菌されるとともに、互いにシールされる上端部と本体とを有する。上端部およびハウジングの側面には1つ以上のポートが形成される。少なくとも1つのポートは、ハウジングにおける液体/空気の高さよりも下側にあることが好ましい。液体/空気界面高さよりも下側にある1つ以上のポートは、サンプリングポート、または、プローブ或いはドレインのためのアクセスポート、または、液体或いは気体のための供給ポートとして使用されてもよい。バイオリアクタは、既存の支持構造および制御を利用する既存のガラスアセンブリまたはスチールアセンブリのための直接的な改良を提供する。
【解決手段】本発明は、成形プラスチックから形成される使い捨て可能なバイオリアクタである。バイオリアクタは、予め滅菌されるとともに、互いにシールされる上端部と本体とを有する。上端部およびハウジングの側面には1つ以上のポートが形成される。少なくとも1つのポートは、ハウジングにおける液体/空気の高さよりも下側にあることが好ましい。液体/空気界面高さよりも下側にある1つ以上のポートは、サンプリングポート、または、プローブ或いはドレインのためのアクセスポート、または、液体或いは気体のための供給ポートとして使用されてもよい。バイオリアクタは、既存の支持構造および制御を利用する既存のガラスアセンブリまたはスチールアセンブリのための直接的な改良を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる2008年6月11日に出願された米国仮特許出願第61/131,640号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、使い捨て可能な撹拌タンクバイオリアクタに関する。特に、本発明は、1つ以上のポートが成形されて成る成形プラスチックから形成される撹拌タンクバイオリアクタに関する。
【背景技術】
【0003】
約1リットルから約200リットルのサイズの多くの小型のバイオリアクタは、ガラスまたはスチール、好ましくはステンレススチールから形成される。卓上版用の一般的な容積は2から10リットルである。これらの全ては、固体本体と、Oリングによって本体にシールされる取り外し可能な上端部とを有する。上端部は、プローブ、サンプリング、空気散布、媒体交換、および、循環用の撹拌ロッドのためのポートを含む。これらは、一般に、植物、バクテリア(例えば、大腸菌)、動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、酵母、菌などの様々な有機体を培養し或いは発酵させるために使用される。
【0004】
それぞれの使用後(一般的に3から15日後)、リアクタおよびその構成要素を、分解して、洗浄し、再び組み立てて再構成しなければならないとともに、再使用前にオートクレーブ滅菌しなければならない。これは、多くの重い、および/または小さくて壊れ易い構成要素の分解および移動を必要とする時間がかかる面倒なプロセスである。また、一般に、同じ一貫した結果を伴って洗浄手続きが、繰り返し正確に行なわれるようにするために、洗浄手続きを確認する必要がある。よくても全ての作業が完了した後に、リアクタおよびその構成要素を無菌洗浄するため、残存する有機体または無菌アセンブリを通じて入る有利な有機体によって汚染が依然として生じる可能性がある。
【0005】
多くの構造は、ガラスまたはステンレスタンク内で使い捨て可能なライナを使用することにより、これらの問題を克服しようとしてきた。
【0006】
米国特許第6,245,555号明細書は、既存のタンク内に挿入されるプラスチックライナを使用して、洗浄量を減らすとともに、無菌のレベルを高めることを提案している。しかしながら、それも多くの限界を有している。
【0007】
ライナは、デバイス内の循環の任意の不連続性を防止し、或いは材料が捕捉されてシステム全体にわたって流れを悪化させ、或いは不均一な流れを形成するデッドスポットまたはポケットの形成を防止するために、タンクの内面に適合しなければならない。しかしながら、ライナの皺が依然として生じて前記した問題を生み出す。全てのポートは上端部に装着されており、そのため、バイオリアクタで使用される様々な構成要素(供給ライン、空気ライン、撹拌シャフト、モータおよびジャーナル、サンプリングポート、プローブポートなど)のための利用可能領域が制限される。更に、上端プレートは、無菌接続のみを形成するようにライナに対して解放可能にシールされる。多くの場合、ライナシステムは、ガス移送および循環の両方のための空気散布システムに制限される。インペラシャフトの使用は、輸送、保管、または、組み立て中にシャフトまたはインペラがライナを引き裂く場合があるという懸念があるため、避けられてきた。更に、全てのプローブサンプラは、蓋または上端部を通じて入り、また、所望の高さまで下がって液中へと延びるチューブを有する。このことは、正確なサンプルが得られるようにするために、サンプリングの前後に洗い流され或いは除去される必要がある材料の長いデッドレッグがしばしば存在することを意味する。最後に、脂質およびコレステロールは、そのようなライナのために使用される多くのプラスチックに結合することでよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,245,555号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
望まれることは、従来技術に伴う欠陥を克服する使い捨て可能なタンクライナである。本発明はそのようなデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、それが硬質または少なくとも半硬質となり得るように、且つスタンド内で保持され或いは自立され得るように成形プラスチックから形成される使い捨て可能なバイオリアクタである。バイオリアクタは、予め滅菌されるとともに、互いにシールされる上端部と本体とを有する。上端部およびハウジングの側面には1つ以上のポートが形成される。少なくとも1つのポートは、ハウジングにおける液体/空気の高さよりも下側にあることが好ましい。液体/空気界面高さよりも下側にある1つ以上のポートは、サンプリングポート、または、プローブのためのアクセスポートとして使用されてもよい。そのようなポートを用いると、従来技術のディップチューブを必要とすることなく、サンプルを取得でき、デッドレッグおよび不適切なサンプルまたは汚染サンプルの危険が排除される。更に、容器内の所望の高さまで下げて取り付けるためにプローブを長くする必要がない。プローブは、所望の高さで液体中へと横向きに延びているだけでよい。液体高さよりも下側のポートは、使い捨て可能な光センサの付加にとって理想的な位置であり、検出機器を取り付けるための手段を与える。
【0011】
本発明は、既存の支持構造、温度およびpHなどの異なるパラメータを測定するためのプローブ、および、制御を利用する既存のガラスアセンブリまたはスチールアセンブリのための直接的な改良(retrofit)を提供する。成形構造は、成形プロセスによって組み入れられるその固定された寸法に起因する不連続性やデッドスポットなどの問題を克服する。成形されたポート特徴形態の使用により、再生可能なプローブおよび他の機器の場所も保証される。更に、硬質ボウルは、ガラス上で使用される加熱ブランケットを受け入れることができ、したがって、外部支持体または加熱ジャケットが不要となる。成形プラスチックは、脂質結合またはコレステロール結合を減少し、或いは排除するための材料選択の自由度を大きくすることができる。好ましくは、システムは、空気散布ガス/循環システム、および/または、ガス移送のための空気散布、および、容器への損傷の恐れを伴わない循環のための撹拌器/インペラを可能にする。成形容器は、自己支持的であり、柔軟な直線構造をとるため支持ハウジングを必要としない。また、成形プラスチック構造を用いると、加熱または冷却ブランケットを成形本体に対して直接に取り付けることができる。これに対し、柔軟なバッグでは、ブランケットを支持ハウジングの内部または外部に設置しなければならない。最後に、1つ以上のポートが液体/空気高さよりも下側に形成されることにより、望まれるときにすべての液体を簡単に且つほぼ完全に除去することができるドレインを有することができる。
【0012】
本発明の目的は、バイオマスを培養し、あるいは、処理するためのバイオリアクタであって、半硬質プラスチックおよび硬質プラスチックからなるグループから選択されるプラスチックで作られる予め滅菌された使い捨て可能なハウジングから形成され、前記ハウジングが互いに一体にシールされる上端部と本体とを有し、本体が内部空間を有し、ハウジングの上端部および本体のそれぞれにはハウジングの内部と流体連通する1つ以上のポートが形成され、本体の内部空間を環境から分離するために1つ以上のポートがキャップを有する、バイオリアクタを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、2つ以上のポートを有し、少なくとも1つのポートがハウジングの液体/空気界面よりも下側の高さで本体に成形されるバイオリアクタを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、1つ以上のポートが上端部および本体に成形されるバイオリアクタを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトを更に備えるバイオリアクタを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが本体の内部に選択的に保持される散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが本体の外部部分のガスラインに対して接続される、バイオリアクタを提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、1つ以上のポートを有するバイオリアクタであって、本体の1つ以上のポートがルアー管継手に接続されるバイオリアクタを提供することである。
【0018】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトと、シャフトを保持して中心付けるためにバイオリアクタ本体の底部に位置する保持ハブとを有するバイオリアクタを提供することが目的である。
【0019】
これらの利点および他の利点は、以下の開示内容から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態を斜視図で示している。
【図2】本発明の本体の第1の実施形態を断面図で示している。
【図3】本発明の第1の実施形態を断面図で示している。
【図4a】本発明の別の撹拌機構を断面図で示している。
【図4b】本発明の別の撹拌機構を断面図で示している。
【図4c】本発明の別の撹拌機構を断面図で示している。
【図5】本発明の本体の別の実施形態を斜視図で示している。
【図6】本発明に係る上端部の一実施形態を斜視図で示している。
【図7a】1つのタイプの管継手および本発明の1つのタイプのポートに対する管継手の取り付け態様を斜視図で示している。
【図7b】1つのタイプの管継手および本発明の1つのタイプのポートに対する管継手の取り付け態様を斜視図で示している。
【図7c】1つのタイプの管継手および本発明の1つのタイプのポートに対する管継手の取り付け態様を斜視図で示している。
【図8】本発明の別の実施形態を示している。
【図9】本発明に係る上端部の一実施形態を斜視図で示している。
【図10】本発明に係るバイオリアクタの底部の一実施形態を斜視図で示している。
【図11】本発明に係る図10に示されるバイオリアクタの底部と結合する異なる支持体の一実施形態を斜視図で示している。
【図12】図11のベースに接続される図10のバイオリアクタを斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の一実施形態を示している。バイオリアクタ2は、幾つかの脚部6(本実施形態では3つの脚部であるが、1つの連続する脚部、または、2つの大きな脚部、または、4つ以上の脚部を使用することもできる)と支持リム8とから構成されるスタンド4内に保持される。図示のように、脚部6は、バイオリアクタ2が満たされてスタンド4内にあるときに脚部6が広がらないように底部またはその近傍に随意的な支持片10を有してもよい。
【0022】
使用される循環システムのタイプに応じて、スタンド4は、以下で更に詳しく説明されるように一般に撹拌器またはパドルアセンブリ14である循環機構のための(図示のような)駆動機構12を支持してもよい。この特定の実施形態において、駆動機構12は、モータであり、幾つかのアーム18(3つ示されているが、他の個数が使用されてもよい)によってバイオリアクタ2の上端部16よりも上側の中心上部に装着される。駆動機構12を支持するために装着ブロック(図示せず)などの他の特徴形態が、上端部16または支持リム8上に形成されてもよい。図示のように、駆動機構12は、本明細書中で後述するように撹拌器に取り付けることができるシャフト20を有する。前記した構造の代わりに他のスタンドを使用することができ、そのようなスタンドも同様に良好に機能する。
【0023】
バイオリアクタ本体22は内部空間を有しており、内部空間内には、流体、セル、プローブ、および、バイオリアクタの他のデバイスが少なくとも部分的に収容される。本体22は上端部16に対してシール状態で取り付けられる。これは、ゴムガスケットおよび(図示のような)クリップ24などの機械的なシールによって成されてもよく、または、バンドクランプまたはLadish或いはTriCloverクランプなどのクランプ、上端部16および本体22の螺合ネジなどによって成されてもよい。あるいは、本体および上端部は、接着剤によってシールされてもよく、または、本体22に対する上端部16の熱融着によってシールされてもよく、または、例えばロトモールディング(rotomolding)装置で互いに一体に形成されてもよい。
【0024】
本体22は、上端部16から下方へ延び且つ好ましくは半球形状を有する閉じられた底部28で終端する1つ以上の側壁26を有する。図示のように、既存のガラス体よび金属体における改良である円形構造からなる1つの側壁26が存在する。あるいは、必要に応じて3つ、4つ、あるいは、それ以上の側壁が存在し得る(図示せず)。
【0025】
本体は、成形プラスチックの単一品からなることが好ましい。あるいは、本体は、例えば熱、接着剤、または、ガスケット(図示せず)によって互いにシールされる2つ以上のプラスチック片から形成されてもよい。
【0026】
図5に示される他の別の構成では、上端部16aおよび底部28aだけが成形プラスチックから形成され、また、本実施形態における1つの側壁26aがプラスチックフィルムなどの柔軟なプラスチックから形成される。これは、依然として、液体/空気の高さよりも下側のデバイスにおいて1つ以上のポートの使用を可能にする。また、必要に応じて、32などのポートがホースバーブ(hose barb)または他の接続機構で終端してもよいことに留意されたい。
【0027】
また、本実施形態のバイオリアクタ2には、上端部16に形成される1つ以上のポート30(本実施形態では、3つのタイプ30aから30cがある(全部で5ポート))と、本体22の1つ以上のポート32(本実施形態では、少なくとも2つの異なるタイプ32aから32bがある(本実施形態では、全体的に全部で7ポート))とが形成される。バイオリアクタ2の全体にわたって所望の位置に所望のタイプのポート数を設けるために、上端部16および本体22は、同様のおよび/または異なるスタイルの複数のポートを有してもよい。これらのポート30、32またはこれらの少なくとも一部は、上端部16および/または本体22の一部として形成される。これらのポートには、閉塞キャップ、ガスケット内に貫通孔を有するガスケット付きキャップ、または、様々なルアー管継手などのシール可能なカバーに螺合するネジが形成されてもよい。あるいは、ポートのうちの1つ以上は、穴をドリル加工し或いは焼成した後に、穴を通じて或いは穴の周囲でポートを所定位置に(例えば、熱接合または接着剤によって)装着することによりプラスチック上端部16および/または本体22に形成することができる。本発明では、多くの異なるポートスタイルおよびサイズに対応できる。
【0028】
ポート30aは、液体または気体の入口または出口のために使用されてもよく、あるいは、pHプローブ、温度計、または、熱電対などのプローブのために使用されてもよい。ポート30bも同様の目的で使用されてもよい。ポート30cは、本明細書中で更に詳しく説明される撹拌シャフトのためのものである。あるいは、バイオリアクタがエアリフト構造であり撹拌ロッドを使用しない場合、ポート30cは、本体の底部またはその近傍のスパージャーへのエアラインを収容するために使用されてもよく、あるいは、任意の他の所望の目的のために使用されてもよい。ポート32aは、液体のサンプリングのために使用されてもよく、あるいは、そのようなバイオリアクタにおいて一般的なpH、温度、溶存酸素、乳糖レベルなどのプローブのために使用されてもよい。ポート32aは、側壁26に形成されるように示されているが、図2に示されるように必要に応じて底部に形成されてもよい。ポート32bは、本体22へガスを供給するために使用でき、および/または本体からのドレインまたは出口として使用できる弁付きポートである。ポートは、3位置弁を取り付けて或いはYの各アームにピンチ弁などの弁を有するY形状チューブを取り付けて、流れを制御することによって両方の機能を果たしてもよい(図示せず)。ポート32bの弁に適した1つのシステムは、マサチューセッツ州のビレリカのMillipore社から入手できる米国特許第2005/0016620号明細書に示されるようなLYNX(R)コネクタである。
【0029】
本体の1つ以上のポート32は、バイオリアクタの通常の液体/気体界面高さよりも下側の位置に形成されることが好ましい。
【0030】
必要に応じて、図1および/または図2のポート32aまたは32bのうちの1つ以上は、本体の内部へガスを供給するために使用されてもよい。所望のサイズの気泡を供給するために、POREX(R)微小孔膜またはセラミック石または焼結金属フィルタなどのプラスチックフリットが、本体内のポートの内側に取り付けられてもよい。あるいは、上端部16のポート30aは、ガス供給を行なうために本体内へと下方に延びるチューブを保持するために使用されてもよい。この場合も先と同様に、ポートは、所望の気泡サイズを与えるためにフリットまたはセラミック石または焼結金属フィルタを使用してもよい。
【0031】
図3は、互いにシールされた上端部16および本体22と所定位置の撹拌機構14とを有するバイオリアクタ2を示している。撹拌機構は、シャフト40と1つ以上のパドル42とから形成される。シャフト40は、ポート30cを貫通して延びて、駆動機構12のシャフト20(図示せず)に接続される。ポート30c内の1つ以上のOリングが、本体22内のシールの完全性を損なうことなくシャフト40の動きを可能にすることが好ましい。
【0032】
図4aは、撹拌器14と、本体22の底部に形成された保持ハブ50とを示している。保持ハブ50は、輸送中、保管中、または、使用中にシャフトが外れないようにシャフトの一部を位置決めして保持する。また、随意的な要素であるベーン43も図4aに示されている。これらのベーンは、本体22の内面に成形することができ、また、内部へ向けて外側へ延びることができ、あるいは、成形後に個別に加えられてもよい。ベーン43は、流れを方向付けるのに役立つとともに、適切な混合がバイオリアクタ2内で生じるようにする。
【0033】
図4bおよび図4cは、撹拌器14に代わる構造を示している。本実施形態では、撹拌シャフト40にガス供給ラインが組み込まれる。シャフト40は、シャフトの少なくとも一部を貫通して延びる中空の中心孔44を有する。シャフト40の底部またはその近傍には、所望の気泡サイズを形成するためにフリット、セラミック石、または、焼結金属フィルタ52を含んでもよいガス出口46がある。ガスは、ポート30aのガスポート48を通じて孔44内に入る。1つ以上のガス管路54がポート30aの内部と孔44とを接続する。この場合、ガスがポート48を通じて、管路54を通り抜けて孔44内へと流れるようにするため、また、ガスが大気へと逃げないように或いは本体の完全性を損なわないようにするため、Oリングなどの1つ以上の、この例では2つのガスケット56がガスポート48よりも上側および/または下側に装着される。使用時、ガスは、供給源からポート48へと流れた後、管路54へ流れ込んでシャフト内でガス出口46へ向けて中心孔44を下降し、次いで、本体22の内容積へと流れ込む。
【0034】
図6は、本発明を用いてなし得る様々なポート構造およびスタイルの一部を伴う上端部16の一実施形態を示している。例えば、ポート30aは、液密シールを形成するために適合する螺合ネジを有するガスラインまたは液体ライン或いはプローブが捩じ込まれるネジ山スタイルのポートであってもよい。
【0035】
図7aから図7cは他のポート/管継手スタイルを示している。図7cに示される管継手31はカムロック33を有する。このカムロックは、ポート30内の相手側のカムロックホルダ35(図7b)と嵌合する。管継手31は、管継手31のカムロック33をポート30のカム開口35と最初に位置合わせすることによって、ポート30内に挿入される。次いで、管継手は、カム斜面37を乗り越えてポート30のカムロックリテーナ39に到達して載置するように下方へ押し下げられて回転される。
【0036】
図8は、本体14の外面に位置する磁気ドライブ100から遠隔的に駆動される磁気ミキサ101を本体14内に組み込む本発明の別の実施形態を示している。
【0037】
図9は、上端部16の少なくとも1つ以上の部分がシステムの様々なチューブを組織的で且つ規則的な配列で保持できるチューブクリップ202を組み込むという点で、図6に示される上端部に代わる本発明の上端部16を示している。チューブクリップ202は上端部16の外縁200上に形成されるのが好ましいが、必要に応じて、チューブクリップの一部または全てが上端部の上面に取り付けられてもよい(図示せず)。図示の実施形態では4つのクリップ202が示されているが、必要に応じてそれよりも多い或いは少ないクリップが使用されてもよい。クリップは上端部16の一部として成形されることが好ましい。あるいは、クリップは、必要に応じて、溶融結合、溶剤結合、または、接着剤によって個別に取り付けられてもよい。同様に、ポート30b’、30b”の一部または全ては、ネジポート30ではなく図示のようにホースバーブ、または、図6に示されるようなルアータイプ管継手、図7cのカムロック、または、当業者によって一般に使用される後述する他のタイプの管継手の形態を成すことができる。30b’などのホースバーブ管継手に対して取り付けられるチューブは、結合ラップ、米国特許公開第2008/0284163号明細書によって教示されるコネクタなどのコネクタ、または、他のデバイスを有することができ、あるいは、システム内で起こり得る任意の圧力下にあるときであってもチューブを所定位置に保持するためにホースバーブに対して付着させることができる。
【0038】
図10は、図1から図3に示される底部に代わるバイオリアクタ2の底部28を示している。本実施形態では、スタンド6を使用する代わりに、底部外壁204が、底部外壁204の特徴形態として成形され或いは個別に形成されて熱接合、溶剤結合または接着剤などによって底部外壁204に取り付けられる2つ以上、好ましくは3つ或いは4つのロッキングタブ206を有する。
【0039】
底部外壁204のロッキングタブ206は、図11に示される底部支持体210の対応するロッキング特徴形態208と結合する。バイオリアクタが支持体210中に置かれると、底部外壁204のロッキングタブ206が支持体210のロッキング特徴形態208と係合する。これがバイオリアクタ2を支持体210に対して固定し、それにより、図12に示されるような安定した態様でバイオリアクタ2が直立状態で保持される。また、必要に応じて、1つ以上の開放スロット212を支持体210に形成することができ、それにより、バイオリアクタおよび支持体が嵌め合わされるときに、バイオリアクタ2から延出する任意のチューブまたは他の特徴形態を除去することなく或いは挟圧することなく収容することができる。図示のように、タブおよび特徴形態206、208はネジ状スタイルのデバイスである。しかしながら、タブおよび特徴形態は、前記したポート実施形態の一部で使用されたカムロックおよびカムロックホルダなどの他の形態であってもよい。ロッキング特徴形態により、エンドユーザは、ボウルからベースを除去して容易にリサイクルすることができる。これは、ベースが培地と接触せず、したがって、殺菌する必要がないからである。
【0040】
圧縮管継手などの管継手およびチューブ溶接、ホースバーブおよびパイプのネジは、本体に直接に成形される場合、ホールドアップ体積を減少させ、システムを簡略化させる。そのような構成要素はよく知られており、また、カバー、コネクタ、サンプリング用のセプタム(穿刺可能なニードルポートとも呼ばれる)、チェックまたは、他の弁などは、ルアータイプであるか否かにかかわらず(Luer Lok(R)管継手など)、これらのポートと結合するために、コロラド州のフォートコリンズのValue Plastics社などの様々な会社から容易に入手できる。
【0041】
上端部および本体を形成するために使用できる適した高分子としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、PTFE樹脂および他のフッ素重合体、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂並びに共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABSおよびその混合物、ポリオレフィン、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および、超高分子量ポリエチレンおよびその共重合体などのポリエチレン、ポリプロピレンおよびその共重合体、および、メタロセン生成ポリオレフィンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
好ましい高分子は、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびそれらの共重合体、ポリスチレン、および、ポリカーボネートである。
【0043】
上端部および本体は、要望どおり、同じ高分子または異なる高分子から形成されてもよい。
【0044】
同様に、高分子は、透明であってもよく、あるいは、光学的に不透明にされてもよく、または、光を透過しなくてもよい。不透明の或いは光不透過性の高分子を使用する場合には、バイオリアクタ内の液体の様々なパラメータを検出するために底部上でオプティカルスキャナまたはリーダーを使用できるように、それらの高分子の使用が側壁に限定されることが好ましい。
【0045】
本発明のバイオリアクタの大部分は、射出成形されるが、ジャケット付き本体が必要とされ或いはロトモールディング技術によって最良に達成される固有の特徴形態が加えられる場合には、ロト成形することができる。
【0046】
成形され或いは硬質形成されるプラスチック本体の更なる利点は、加熱または冷却ブランケットをそれらの本体に対して容易に取り付けることができるという点である。
【0047】
実際には、本体は、好ましくは略平坦な開放リムを伴い、図1に示されるように1つの円形側壁がリムから下方へ延びて丸みを帯びた底部で終端する状態で、要望どおりに形成される。本体は、好ましくは側壁に形成される1つ以上のポートを含む所望のポートの一部または全てを伴って、より好ましくは予期される液体/空気の高さよりも下側の高さで側壁に形成される1つ以上のポートを伴って、ポリスチレンなどの成形プラスチックから形成されるのが好ましい。上端部は、その所望のポートの一部または全部が所定位置に成形された状態で別個に成形される。多くの成形用途では、ポートは、実際には、フラッシュを含み、あるいは、ポートを開放するために除去される必要がある薄いプラスチック層によって閉じられる。あるいは、前記したように、ポートは、適切な場所に穴をドリル加工してポート管継手を液密態様で所定位置に加えることによって、成形後に形成されてもよい。
【0048】
ネジ付きキャップを含む様々なルアー管継手などのキャップ、ルアー式セプタムカバー、Luer Lokキャップ、閉塞ルアーまたは他のネジ付きキャップ、プラグ、ホースバーブ管継手が形成されたポートに取り付けられるチューブなどが、1つ以上のポートに対して取り付けられる。
【0049】
インペラ42を有する撹拌シャフト40は、使用される場合には、上端部16のポート30内に挿入され、また、シャフト40の底部が中心付けられてハブ50内に保持される。次いで、上端部16は、例えばクリップ24によって或いはヒートシールまたは接着剤によって本体22に対してシールされる。
【0050】
プローブのタイプおよび選択される滅菌技術に応じて、プローブのうちの1つ以上が加えられてこの時に所定位置にシールされてもよい。
【0051】
次いで、閉じられたバイオリアクタは、滅菌されて包装され、ユーザへ送られる。
【0052】
バイオリアクタは、多くの異なる技術によって滅菌されてもよい。最も一般的なものは、特にガンマ線放射、および少ない度合いでのベータ線放射によるものである。本実施形態において、多くのプローブは、ガンマ線に対して安定ではなく、ユーザの設備でバイオリアクタ内に無菌状態で組み付けられる必要がある。
【0053】
他の方法は、エチレンオキシドなどのガスを使用することである。このタイプの滅菌では、様々なポートを使用して、ガスを供給した後に、そのガスをバイオリアクタの内部から除去することができる。これは、専用のポートであってもよく、あるいは、ドレインまたは液体/空気移動などの他の目的のためにその後に使用されてもよい。
【0054】
あるいは、デバイスは、蒸気、好ましくは過熱蒸気および圧力を用いてオートクレーブ滅菌することによって滅菌されてもよい。本実施形態において、蒸気を除去するための通気孔(図示せず)は、ポート(30または32)のうちの1つに対する有用な付加である。
【0055】
滅菌デバイスがスタンド内に配置され、また、空気、液体、プローブ、サンプリングなどのための様々なコネクタが適切なポートでデバイスに取り付けられる。デバイスは、そのようなデバイスでは一般的であるガスのヘッドスペースを残すため、上端部16が本体22に対して取り付けられる場所よりも下側のある場所で液体/空気界面を形成する所望の高さまで媒体で満たされる。少なくとも1つのポート32は界面の高さよりも下側にある。
【0056】
次いで、媒体には、それが成長して植物、動物細胞(例えば、CHOまたはNSO細胞)ウイルス、酵母、菌、または、バクテリア(例えば大腸菌)となるように有機体が与えられ、また、培養液を内部で効果的に成長させる態様で、液体が循環され且つ空気/ガスおよび液体がデバイス内へと或いはデバイスから移動する。
【0057】
適切な時間の後、液体を取り除いて細胞を残すことによって、あるいは、細胞を破裂させて所望の生成物を回収する必要がある場合には細胞を取り除いた後に細胞を破裂させまたは細胞をデバイス内で破裂させ、次いで、破裂された塊を更なる処理のために除去することによって、細胞が採取されてもよい。また、膨大な数の利用可能なポートを用いると、デバイスを使用して、デバイス内の細胞が成長して所望の生成物を形成し続ける間に、少量の細胞または発現生成物が更なる処理のために連続的に除去される潅流リアクタを実行することができる。
【0058】
プロセスが完了すると、デバイスが排液されて、全ての接続が外されるとともに、デバイスポートがシールされる。次いで、デバイスは、例えば焼却によって適切に廃棄される。
【符号の説明】
【0059】
2 バイオリアクタ
4 スタンド
6 脚部
8 支持リム
10 支持片
12 駆動機構
16 上端部
20 シャフト
22 バイオリアクタ本体
24 クリップ
30、32 ポート
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる2008年6月11日に出願された米国仮特許出願第61/131,640号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、使い捨て可能な撹拌タンクバイオリアクタに関する。特に、本発明は、1つ以上のポートが成形されて成る成形プラスチックから形成される撹拌タンクバイオリアクタに関する。
【背景技術】
【0003】
約1リットルから約200リットルのサイズの多くの小型のバイオリアクタは、ガラスまたはスチール、好ましくはステンレススチールから形成される。卓上版用の一般的な容積は2から10リットルである。これらの全ては、固体本体と、Oリングによって本体にシールされる取り外し可能な上端部とを有する。上端部は、プローブ、サンプリング、空気散布、媒体交換、および、循環用の撹拌ロッドのためのポートを含む。これらは、一般に、植物、バクテリア(例えば、大腸菌)、動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、酵母、菌などの様々な有機体を培養し或いは発酵させるために使用される。
【0004】
それぞれの使用後(一般的に3から15日後)、リアクタおよびその構成要素を、分解して、洗浄し、再び組み立てて再構成しなければならないとともに、再使用前にオートクレーブ滅菌しなければならない。これは、多くの重い、および/または小さくて壊れ易い構成要素の分解および移動を必要とする時間がかかる面倒なプロセスである。また、一般に、同じ一貫した結果を伴って洗浄手続きが、繰り返し正確に行なわれるようにするために、洗浄手続きを確認する必要がある。よくても全ての作業が完了した後に、リアクタおよびその構成要素を無菌洗浄するため、残存する有機体または無菌アセンブリを通じて入る有利な有機体によって汚染が依然として生じる可能性がある。
【0005】
多くの構造は、ガラスまたはステンレスタンク内で使い捨て可能なライナを使用することにより、これらの問題を克服しようとしてきた。
【0006】
米国特許第6,245,555号明細書は、既存のタンク内に挿入されるプラスチックライナを使用して、洗浄量を減らすとともに、無菌のレベルを高めることを提案している。しかしながら、それも多くの限界を有している。
【0007】
ライナは、デバイス内の循環の任意の不連続性を防止し、或いは材料が捕捉されてシステム全体にわたって流れを悪化させ、或いは不均一な流れを形成するデッドスポットまたはポケットの形成を防止するために、タンクの内面に適合しなければならない。しかしながら、ライナの皺が依然として生じて前記した問題を生み出す。全てのポートは上端部に装着されており、そのため、バイオリアクタで使用される様々な構成要素(供給ライン、空気ライン、撹拌シャフト、モータおよびジャーナル、サンプリングポート、プローブポートなど)のための利用可能領域が制限される。更に、上端プレートは、無菌接続のみを形成するようにライナに対して解放可能にシールされる。多くの場合、ライナシステムは、ガス移送および循環の両方のための空気散布システムに制限される。インペラシャフトの使用は、輸送、保管、または、組み立て中にシャフトまたはインペラがライナを引き裂く場合があるという懸念があるため、避けられてきた。更に、全てのプローブサンプラは、蓋または上端部を通じて入り、また、所望の高さまで下がって液中へと延びるチューブを有する。このことは、正確なサンプルが得られるようにするために、サンプリングの前後に洗い流され或いは除去される必要がある材料の長いデッドレッグがしばしば存在することを意味する。最後に、脂質およびコレステロールは、そのようなライナのために使用される多くのプラスチックに結合することでよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,245,555号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
望まれることは、従来技術に伴う欠陥を克服する使い捨て可能なタンクライナである。本発明はそのようなデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、それが硬質または少なくとも半硬質となり得るように、且つスタンド内で保持され或いは自立され得るように成形プラスチックから形成される使い捨て可能なバイオリアクタである。バイオリアクタは、予め滅菌されるとともに、互いにシールされる上端部と本体とを有する。上端部およびハウジングの側面には1つ以上のポートが形成される。少なくとも1つのポートは、ハウジングにおける液体/空気の高さよりも下側にあることが好ましい。液体/空気界面高さよりも下側にある1つ以上のポートは、サンプリングポート、または、プローブのためのアクセスポートとして使用されてもよい。そのようなポートを用いると、従来技術のディップチューブを必要とすることなく、サンプルを取得でき、デッドレッグおよび不適切なサンプルまたは汚染サンプルの危険が排除される。更に、容器内の所望の高さまで下げて取り付けるためにプローブを長くする必要がない。プローブは、所望の高さで液体中へと横向きに延びているだけでよい。液体高さよりも下側のポートは、使い捨て可能な光センサの付加にとって理想的な位置であり、検出機器を取り付けるための手段を与える。
【0011】
本発明は、既存の支持構造、温度およびpHなどの異なるパラメータを測定するためのプローブ、および、制御を利用する既存のガラスアセンブリまたはスチールアセンブリのための直接的な改良(retrofit)を提供する。成形構造は、成形プロセスによって組み入れられるその固定された寸法に起因する不連続性やデッドスポットなどの問題を克服する。成形されたポート特徴形態の使用により、再生可能なプローブおよび他の機器の場所も保証される。更に、硬質ボウルは、ガラス上で使用される加熱ブランケットを受け入れることができ、したがって、外部支持体または加熱ジャケットが不要となる。成形プラスチックは、脂質結合またはコレステロール結合を減少し、或いは排除するための材料選択の自由度を大きくすることができる。好ましくは、システムは、空気散布ガス/循環システム、および/または、ガス移送のための空気散布、および、容器への損傷の恐れを伴わない循環のための撹拌器/インペラを可能にする。成形容器は、自己支持的であり、柔軟な直線構造をとるため支持ハウジングを必要としない。また、成形プラスチック構造を用いると、加熱または冷却ブランケットを成形本体に対して直接に取り付けることができる。これに対し、柔軟なバッグでは、ブランケットを支持ハウジングの内部または外部に設置しなければならない。最後に、1つ以上のポートが液体/空気高さよりも下側に形成されることにより、望まれるときにすべての液体を簡単に且つほぼ完全に除去することができるドレインを有することができる。
【0012】
本発明の目的は、バイオマスを培養し、あるいは、処理するためのバイオリアクタであって、半硬質プラスチックおよび硬質プラスチックからなるグループから選択されるプラスチックで作られる予め滅菌された使い捨て可能なハウジングから形成され、前記ハウジングが互いに一体にシールされる上端部と本体とを有し、本体が内部空間を有し、ハウジングの上端部および本体のそれぞれにはハウジングの内部と流体連通する1つ以上のポートが形成され、本体の内部空間を環境から分離するために1つ以上のポートがキャップを有する、バイオリアクタを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、2つ以上のポートを有し、少なくとも1つのポートがハウジングの液体/空気界面よりも下側の高さで本体に成形されるバイオリアクタを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、1つ以上のポートが上端部および本体に成形されるバイオリアクタを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトを更に備えるバイオリアクタを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが本体の内部に選択的に保持される散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが本体の外部部分のガスラインに対して接続される、バイオリアクタを提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、1つ以上のポートを有するバイオリアクタであって、本体の1つ以上のポートがルアー管継手に接続されるバイオリアクタを提供することである。
【0018】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトと、シャフトを保持して中心付けるためにバイオリアクタ本体の底部に位置する保持ハブとを有するバイオリアクタを提供することが目的である。
【0019】
これらの利点および他の利点は、以下の開示内容から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態を斜視図で示している。
【図2】本発明の本体の第1の実施形態を断面図で示している。
【図3】本発明の第1の実施形態を断面図で示している。
【図4a】本発明の別の撹拌機構を断面図で示している。
【図4b】本発明の別の撹拌機構を断面図で示している。
【図4c】本発明の別の撹拌機構を断面図で示している。
【図5】本発明の本体の別の実施形態を斜視図で示している。
【図6】本発明に係る上端部の一実施形態を斜視図で示している。
【図7a】1つのタイプの管継手および本発明の1つのタイプのポートに対する管継手の取り付け態様を斜視図で示している。
【図7b】1つのタイプの管継手および本発明の1つのタイプのポートに対する管継手の取り付け態様を斜視図で示している。
【図7c】1つのタイプの管継手および本発明の1つのタイプのポートに対する管継手の取り付け態様を斜視図で示している。
【図8】本発明の別の実施形態を示している。
【図9】本発明に係る上端部の一実施形態を斜視図で示している。
【図10】本発明に係るバイオリアクタの底部の一実施形態を斜視図で示している。
【図11】本発明に係る図10に示されるバイオリアクタの底部と結合する異なる支持体の一実施形態を斜視図で示している。
【図12】図11のベースに接続される図10のバイオリアクタを斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の一実施形態を示している。バイオリアクタ2は、幾つかの脚部6(本実施形態では3つの脚部であるが、1つの連続する脚部、または、2つの大きな脚部、または、4つ以上の脚部を使用することもできる)と支持リム8とから構成されるスタンド4内に保持される。図示のように、脚部6は、バイオリアクタ2が満たされてスタンド4内にあるときに脚部6が広がらないように底部またはその近傍に随意的な支持片10を有してもよい。
【0022】
使用される循環システムのタイプに応じて、スタンド4は、以下で更に詳しく説明されるように一般に撹拌器またはパドルアセンブリ14である循環機構のための(図示のような)駆動機構12を支持してもよい。この特定の実施形態において、駆動機構12は、モータであり、幾つかのアーム18(3つ示されているが、他の個数が使用されてもよい)によってバイオリアクタ2の上端部16よりも上側の中心上部に装着される。駆動機構12を支持するために装着ブロック(図示せず)などの他の特徴形態が、上端部16または支持リム8上に形成されてもよい。図示のように、駆動機構12は、本明細書中で後述するように撹拌器に取り付けることができるシャフト20を有する。前記した構造の代わりに他のスタンドを使用することができ、そのようなスタンドも同様に良好に機能する。
【0023】
バイオリアクタ本体22は内部空間を有しており、内部空間内には、流体、セル、プローブ、および、バイオリアクタの他のデバイスが少なくとも部分的に収容される。本体22は上端部16に対してシール状態で取り付けられる。これは、ゴムガスケットおよび(図示のような)クリップ24などの機械的なシールによって成されてもよく、または、バンドクランプまたはLadish或いはTriCloverクランプなどのクランプ、上端部16および本体22の螺合ネジなどによって成されてもよい。あるいは、本体および上端部は、接着剤によってシールされてもよく、または、本体22に対する上端部16の熱融着によってシールされてもよく、または、例えばロトモールディング(rotomolding)装置で互いに一体に形成されてもよい。
【0024】
本体22は、上端部16から下方へ延び且つ好ましくは半球形状を有する閉じられた底部28で終端する1つ以上の側壁26を有する。図示のように、既存のガラス体よび金属体における改良である円形構造からなる1つの側壁26が存在する。あるいは、必要に応じて3つ、4つ、あるいは、それ以上の側壁が存在し得る(図示せず)。
【0025】
本体は、成形プラスチックの単一品からなることが好ましい。あるいは、本体は、例えば熱、接着剤、または、ガスケット(図示せず)によって互いにシールされる2つ以上のプラスチック片から形成されてもよい。
【0026】
図5に示される他の別の構成では、上端部16aおよび底部28aだけが成形プラスチックから形成され、また、本実施形態における1つの側壁26aがプラスチックフィルムなどの柔軟なプラスチックから形成される。これは、依然として、液体/空気の高さよりも下側のデバイスにおいて1つ以上のポートの使用を可能にする。また、必要に応じて、32などのポートがホースバーブ(hose barb)または他の接続機構で終端してもよいことに留意されたい。
【0027】
また、本実施形態のバイオリアクタ2には、上端部16に形成される1つ以上のポート30(本実施形態では、3つのタイプ30aから30cがある(全部で5ポート))と、本体22の1つ以上のポート32(本実施形態では、少なくとも2つの異なるタイプ32aから32bがある(本実施形態では、全体的に全部で7ポート))とが形成される。バイオリアクタ2の全体にわたって所望の位置に所望のタイプのポート数を設けるために、上端部16および本体22は、同様のおよび/または異なるスタイルの複数のポートを有してもよい。これらのポート30、32またはこれらの少なくとも一部は、上端部16および/または本体22の一部として形成される。これらのポートには、閉塞キャップ、ガスケット内に貫通孔を有するガスケット付きキャップ、または、様々なルアー管継手などのシール可能なカバーに螺合するネジが形成されてもよい。あるいは、ポートのうちの1つ以上は、穴をドリル加工し或いは焼成した後に、穴を通じて或いは穴の周囲でポートを所定位置に(例えば、熱接合または接着剤によって)装着することによりプラスチック上端部16および/または本体22に形成することができる。本発明では、多くの異なるポートスタイルおよびサイズに対応できる。
【0028】
ポート30aは、液体または気体の入口または出口のために使用されてもよく、あるいは、pHプローブ、温度計、または、熱電対などのプローブのために使用されてもよい。ポート30bも同様の目的で使用されてもよい。ポート30cは、本明細書中で更に詳しく説明される撹拌シャフトのためのものである。あるいは、バイオリアクタがエアリフト構造であり撹拌ロッドを使用しない場合、ポート30cは、本体の底部またはその近傍のスパージャーへのエアラインを収容するために使用されてもよく、あるいは、任意の他の所望の目的のために使用されてもよい。ポート32aは、液体のサンプリングのために使用されてもよく、あるいは、そのようなバイオリアクタにおいて一般的なpH、温度、溶存酸素、乳糖レベルなどのプローブのために使用されてもよい。ポート32aは、側壁26に形成されるように示されているが、図2に示されるように必要に応じて底部に形成されてもよい。ポート32bは、本体22へガスを供給するために使用でき、および/または本体からのドレインまたは出口として使用できる弁付きポートである。ポートは、3位置弁を取り付けて或いはYの各アームにピンチ弁などの弁を有するY形状チューブを取り付けて、流れを制御することによって両方の機能を果たしてもよい(図示せず)。ポート32bの弁に適した1つのシステムは、マサチューセッツ州のビレリカのMillipore社から入手できる米国特許第2005/0016620号明細書に示されるようなLYNX(R)コネクタである。
【0029】
本体の1つ以上のポート32は、バイオリアクタの通常の液体/気体界面高さよりも下側の位置に形成されることが好ましい。
【0030】
必要に応じて、図1および/または図2のポート32aまたは32bのうちの1つ以上は、本体の内部へガスを供給するために使用されてもよい。所望のサイズの気泡を供給するために、POREX(R)微小孔膜またはセラミック石または焼結金属フィルタなどのプラスチックフリットが、本体内のポートの内側に取り付けられてもよい。あるいは、上端部16のポート30aは、ガス供給を行なうために本体内へと下方に延びるチューブを保持するために使用されてもよい。この場合も先と同様に、ポートは、所望の気泡サイズを与えるためにフリットまたはセラミック石または焼結金属フィルタを使用してもよい。
【0031】
図3は、互いにシールされた上端部16および本体22と所定位置の撹拌機構14とを有するバイオリアクタ2を示している。撹拌機構は、シャフト40と1つ以上のパドル42とから形成される。シャフト40は、ポート30cを貫通して延びて、駆動機構12のシャフト20(図示せず)に接続される。ポート30c内の1つ以上のOリングが、本体22内のシールの完全性を損なうことなくシャフト40の動きを可能にすることが好ましい。
【0032】
図4aは、撹拌器14と、本体22の底部に形成された保持ハブ50とを示している。保持ハブ50は、輸送中、保管中、または、使用中にシャフトが外れないようにシャフトの一部を位置決めして保持する。また、随意的な要素であるベーン43も図4aに示されている。これらのベーンは、本体22の内面に成形することができ、また、内部へ向けて外側へ延びることができ、あるいは、成形後に個別に加えられてもよい。ベーン43は、流れを方向付けるのに役立つとともに、適切な混合がバイオリアクタ2内で生じるようにする。
【0033】
図4bおよび図4cは、撹拌器14に代わる構造を示している。本実施形態では、撹拌シャフト40にガス供給ラインが組み込まれる。シャフト40は、シャフトの少なくとも一部を貫通して延びる中空の中心孔44を有する。シャフト40の底部またはその近傍には、所望の気泡サイズを形成するためにフリット、セラミック石、または、焼結金属フィルタ52を含んでもよいガス出口46がある。ガスは、ポート30aのガスポート48を通じて孔44内に入る。1つ以上のガス管路54がポート30aの内部と孔44とを接続する。この場合、ガスがポート48を通じて、管路54を通り抜けて孔44内へと流れるようにするため、また、ガスが大気へと逃げないように或いは本体の完全性を損なわないようにするため、Oリングなどの1つ以上の、この例では2つのガスケット56がガスポート48よりも上側および/または下側に装着される。使用時、ガスは、供給源からポート48へと流れた後、管路54へ流れ込んでシャフト内でガス出口46へ向けて中心孔44を下降し、次いで、本体22の内容積へと流れ込む。
【0034】
図6は、本発明を用いてなし得る様々なポート構造およびスタイルの一部を伴う上端部16の一実施形態を示している。例えば、ポート30aは、液密シールを形成するために適合する螺合ネジを有するガスラインまたは液体ライン或いはプローブが捩じ込まれるネジ山スタイルのポートであってもよい。
【0035】
図7aから図7cは他のポート/管継手スタイルを示している。図7cに示される管継手31はカムロック33を有する。このカムロックは、ポート30内の相手側のカムロックホルダ35(図7b)と嵌合する。管継手31は、管継手31のカムロック33をポート30のカム開口35と最初に位置合わせすることによって、ポート30内に挿入される。次いで、管継手は、カム斜面37を乗り越えてポート30のカムロックリテーナ39に到達して載置するように下方へ押し下げられて回転される。
【0036】
図8は、本体14の外面に位置する磁気ドライブ100から遠隔的に駆動される磁気ミキサ101を本体14内に組み込む本発明の別の実施形態を示している。
【0037】
図9は、上端部16の少なくとも1つ以上の部分がシステムの様々なチューブを組織的で且つ規則的な配列で保持できるチューブクリップ202を組み込むという点で、図6に示される上端部に代わる本発明の上端部16を示している。チューブクリップ202は上端部16の外縁200上に形成されるのが好ましいが、必要に応じて、チューブクリップの一部または全てが上端部の上面に取り付けられてもよい(図示せず)。図示の実施形態では4つのクリップ202が示されているが、必要に応じてそれよりも多い或いは少ないクリップが使用されてもよい。クリップは上端部16の一部として成形されることが好ましい。あるいは、クリップは、必要に応じて、溶融結合、溶剤結合、または、接着剤によって個別に取り付けられてもよい。同様に、ポート30b’、30b”の一部または全ては、ネジポート30ではなく図示のようにホースバーブ、または、図6に示されるようなルアータイプ管継手、図7cのカムロック、または、当業者によって一般に使用される後述する他のタイプの管継手の形態を成すことができる。30b’などのホースバーブ管継手に対して取り付けられるチューブは、結合ラップ、米国特許公開第2008/0284163号明細書によって教示されるコネクタなどのコネクタ、または、他のデバイスを有することができ、あるいは、システム内で起こり得る任意の圧力下にあるときであってもチューブを所定位置に保持するためにホースバーブに対して付着させることができる。
【0038】
図10は、図1から図3に示される底部に代わるバイオリアクタ2の底部28を示している。本実施形態では、スタンド6を使用する代わりに、底部外壁204が、底部外壁204の特徴形態として成形され或いは個別に形成されて熱接合、溶剤結合または接着剤などによって底部外壁204に取り付けられる2つ以上、好ましくは3つ或いは4つのロッキングタブ206を有する。
【0039】
底部外壁204のロッキングタブ206は、図11に示される底部支持体210の対応するロッキング特徴形態208と結合する。バイオリアクタが支持体210中に置かれると、底部外壁204のロッキングタブ206が支持体210のロッキング特徴形態208と係合する。これがバイオリアクタ2を支持体210に対して固定し、それにより、図12に示されるような安定した態様でバイオリアクタ2が直立状態で保持される。また、必要に応じて、1つ以上の開放スロット212を支持体210に形成することができ、それにより、バイオリアクタおよび支持体が嵌め合わされるときに、バイオリアクタ2から延出する任意のチューブまたは他の特徴形態を除去することなく或いは挟圧することなく収容することができる。図示のように、タブおよび特徴形態206、208はネジ状スタイルのデバイスである。しかしながら、タブおよび特徴形態は、前記したポート実施形態の一部で使用されたカムロックおよびカムロックホルダなどの他の形態であってもよい。ロッキング特徴形態により、エンドユーザは、ボウルからベースを除去して容易にリサイクルすることができる。これは、ベースが培地と接触せず、したがって、殺菌する必要がないからである。
【0040】
圧縮管継手などの管継手およびチューブ溶接、ホースバーブおよびパイプのネジは、本体に直接に成形される場合、ホールドアップ体積を減少させ、システムを簡略化させる。そのような構成要素はよく知られており、また、カバー、コネクタ、サンプリング用のセプタム(穿刺可能なニードルポートとも呼ばれる)、チェックまたは、他の弁などは、ルアータイプであるか否かにかかわらず(Luer Lok(R)管継手など)、これらのポートと結合するために、コロラド州のフォートコリンズのValue Plastics社などの様々な会社から容易に入手できる。
【0041】
上端部および本体を形成するために使用できる適した高分子としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、PTFE樹脂および他のフッ素重合体、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂並びに共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABSおよびその混合物、ポリオレフィン、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および、超高分子量ポリエチレンおよびその共重合体などのポリエチレン、ポリプロピレンおよびその共重合体、および、メタロセン生成ポリオレフィンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
好ましい高分子は、ポリオレフィン、特にポリエチレンおよびそれらの共重合体、ポリスチレン、および、ポリカーボネートである。
【0043】
上端部および本体は、要望どおり、同じ高分子または異なる高分子から形成されてもよい。
【0044】
同様に、高分子は、透明であってもよく、あるいは、光学的に不透明にされてもよく、または、光を透過しなくてもよい。不透明の或いは光不透過性の高分子を使用する場合には、バイオリアクタ内の液体の様々なパラメータを検出するために底部上でオプティカルスキャナまたはリーダーを使用できるように、それらの高分子の使用が側壁に限定されることが好ましい。
【0045】
本発明のバイオリアクタの大部分は、射出成形されるが、ジャケット付き本体が必要とされ或いはロトモールディング技術によって最良に達成される固有の特徴形態が加えられる場合には、ロト成形することができる。
【0046】
成形され或いは硬質形成されるプラスチック本体の更なる利点は、加熱または冷却ブランケットをそれらの本体に対して容易に取り付けることができるという点である。
【0047】
実際には、本体は、好ましくは略平坦な開放リムを伴い、図1に示されるように1つの円形側壁がリムから下方へ延びて丸みを帯びた底部で終端する状態で、要望どおりに形成される。本体は、好ましくは側壁に形成される1つ以上のポートを含む所望のポートの一部または全てを伴って、より好ましくは予期される液体/空気の高さよりも下側の高さで側壁に形成される1つ以上のポートを伴って、ポリスチレンなどの成形プラスチックから形成されるのが好ましい。上端部は、その所望のポートの一部または全部が所定位置に成形された状態で別個に成形される。多くの成形用途では、ポートは、実際には、フラッシュを含み、あるいは、ポートを開放するために除去される必要がある薄いプラスチック層によって閉じられる。あるいは、前記したように、ポートは、適切な場所に穴をドリル加工してポート管継手を液密態様で所定位置に加えることによって、成形後に形成されてもよい。
【0048】
ネジ付きキャップを含む様々なルアー管継手などのキャップ、ルアー式セプタムカバー、Luer Lokキャップ、閉塞ルアーまたは他のネジ付きキャップ、プラグ、ホースバーブ管継手が形成されたポートに取り付けられるチューブなどが、1つ以上のポートに対して取り付けられる。
【0049】
インペラ42を有する撹拌シャフト40は、使用される場合には、上端部16のポート30内に挿入され、また、シャフト40の底部が中心付けられてハブ50内に保持される。次いで、上端部16は、例えばクリップ24によって或いはヒートシールまたは接着剤によって本体22に対してシールされる。
【0050】
プローブのタイプおよび選択される滅菌技術に応じて、プローブのうちの1つ以上が加えられてこの時に所定位置にシールされてもよい。
【0051】
次いで、閉じられたバイオリアクタは、滅菌されて包装され、ユーザへ送られる。
【0052】
バイオリアクタは、多くの異なる技術によって滅菌されてもよい。最も一般的なものは、特にガンマ線放射、および少ない度合いでのベータ線放射によるものである。本実施形態において、多くのプローブは、ガンマ線に対して安定ではなく、ユーザの設備でバイオリアクタ内に無菌状態で組み付けられる必要がある。
【0053】
他の方法は、エチレンオキシドなどのガスを使用することである。このタイプの滅菌では、様々なポートを使用して、ガスを供給した後に、そのガスをバイオリアクタの内部から除去することができる。これは、専用のポートであってもよく、あるいは、ドレインまたは液体/空気移動などの他の目的のためにその後に使用されてもよい。
【0054】
あるいは、デバイスは、蒸気、好ましくは過熱蒸気および圧力を用いてオートクレーブ滅菌することによって滅菌されてもよい。本実施形態において、蒸気を除去するための通気孔(図示せず)は、ポート(30または32)のうちの1つに対する有用な付加である。
【0055】
滅菌デバイスがスタンド内に配置され、また、空気、液体、プローブ、サンプリングなどのための様々なコネクタが適切なポートでデバイスに取り付けられる。デバイスは、そのようなデバイスでは一般的であるガスのヘッドスペースを残すため、上端部16が本体22に対して取り付けられる場所よりも下側のある場所で液体/空気界面を形成する所望の高さまで媒体で満たされる。少なくとも1つのポート32は界面の高さよりも下側にある。
【0056】
次いで、媒体には、それが成長して植物、動物細胞(例えば、CHOまたはNSO細胞)ウイルス、酵母、菌、または、バクテリア(例えば大腸菌)となるように有機体が与えられ、また、培養液を内部で効果的に成長させる態様で、液体が循環され且つ空気/ガスおよび液体がデバイス内へと或いはデバイスから移動する。
【0057】
適切な時間の後、液体を取り除いて細胞を残すことによって、あるいは、細胞を破裂させて所望の生成物を回収する必要がある場合には細胞を取り除いた後に細胞を破裂させまたは細胞をデバイス内で破裂させ、次いで、破裂された塊を更なる処理のために除去することによって、細胞が採取されてもよい。また、膨大な数の利用可能なポートを用いると、デバイスを使用して、デバイス内の細胞が成長して所望の生成物を形成し続ける間に、少量の細胞または発現生成物が更なる処理のために連続的に除去される潅流リアクタを実行することができる。
【0058】
プロセスが完了すると、デバイスが排液されて、全ての接続が外されるとともに、デバイスポートがシールされる。次いで、デバイスは、例えば焼却によって適切に廃棄される。
【符号の説明】
【0059】
2 バイオリアクタ
4 スタンド
6 脚部
8 支持リム
10 支持片
12 駆動機構
16 上端部
20 シャフト
22 バイオリアクタ本体
24 クリップ
30、32 ポート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを培養し、発酵させ、あるいは、処理するためのバイオリアクタであって、半硬質プラスチックおよび硬質プラスチックからなるグループから選択されるプラスチックから形成される予め滅菌された使い捨て可能なハウジングを備え、前記ハウジングが互いにシールされる上端部と本体とを有し、本体が内部空間を有し、ハウジングの上端部および本体のそれぞれにはハウジングの内部と流体連通する1つ以上のポートが形成され、本体の内部空間を環境から分離するために1つ以上のポートがキャップを有する、バイオリアクタ。
【請求項2】
1つ以上のポートが上端部および本体に成形される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項3】
1つ以上のポートが上端部および本体に成形され、本体の少なくとも1つのポートがハウジングの液体/空気界面よりも下側の高さにある、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項4】
2つ以上のポートが存在し、少なくとも1つのポートがハウジングの液体/空気界面よりも下側の高さで本体に成形される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項5】
上端部が一連の第1のポートを有し、本体が一連の第2のポートを有する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項6】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトを更に備える、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項7】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着され且つ磁気要素を含む撹拌シャフトを更に備え、磁気要素が、撹拌シャフトの磁気要素と略平行な位置で本体の外部であるが本体に隣接して位置する磁気ドライブと相互作用する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項8】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトを更に備え、シャフトが、ポートを介してハウジングの上端部を貫通して延びるとともに、1つ以上のガスケットによってポートで液密シールされる、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項9】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが散気装置を含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項10】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成される散気装置を含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項11】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、本体の内部に散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが、本体の外部部分のガスラインに対して接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項12】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、本体の内部に成形される散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが、本体の外部部分のガスラインに対して接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項13】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、本体の内部に対して選択的に保持される散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが、本体の外部部分のガスラインに対して接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項14】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、ルアー管継手およびホースバーブからなるグループから選択される管継手に接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項15】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、管継手に接続されるとともに、逆止弁およびサンプリングデバイスからなるグループから選択されるデバイスを含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項16】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、管継手に接続されるとともに、サンプリング用のセプタムと、セプタムを穿刺するためのニードルとを有し、ニードルが前穿刺部と後部とを有し、ニードルが前穿刺部から後部へと延びる中空ルーメンを有し、後部がチューブに接続され、チューブがサンプル容器に接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項17】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、管継手に接続されるとともに、サンプリング用のセプタムと、セプタムを穿刺するためのニードルとを有し、ニードルが前穿刺部と後部とを有し、ニードルが前穿刺部から後部へと延びる中空ルーメンを有し、後部がチューブに接続され、チューブがサンプル容器に接続され、容器がバッグおよびシリンジからなるグループから選択される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項18】
複数のポートが存在し、少なくとも1つのポートがパラメータプローブを含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項19】
複数のポートが存在し、少なくとも1つのポートがパラメータプローブを含み、プローブが、pH、温度、溶存酸素、乳糖濃度、および、圧力からなるグループから選択される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項20】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトと、撹拌シャフトの下端を保持するために本体の内部空間の底面に位置する保持ハブとを更に備える、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項21】
ハウジングの本体内に装着される磁気結合要素を有するインペラと、本体内でインペラを遠隔的に駆動させるためにインペラに隣接する本体の外面上に位置する磁気駆動要素とを更に備える、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項22】
上端部が、バイオリアクタの上端部に取り付けられる1つ以上のチューブクリップを有する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項23】
ハウジングの底部の外壁が2つ以上のロッキングタブを有し、2つ以上のロッキング特徴形態を有するスタンドを更に備え、ロッキング特徴形態が、スタンド内にハウジングを直立に安定した態様で保持するためにハウジングのロッキングタブと相互作用する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項1】
バイオマスを培養し、発酵させ、あるいは、処理するためのバイオリアクタであって、半硬質プラスチックおよび硬質プラスチックからなるグループから選択されるプラスチックから形成される予め滅菌された使い捨て可能なハウジングを備え、前記ハウジングが互いにシールされる上端部と本体とを有し、本体が内部空間を有し、ハウジングの上端部および本体のそれぞれにはハウジングの内部と流体連通する1つ以上のポートが形成され、本体の内部空間を環境から分離するために1つ以上のポートがキャップを有する、バイオリアクタ。
【請求項2】
1つ以上のポートが上端部および本体に成形される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項3】
1つ以上のポートが上端部および本体に成形され、本体の少なくとも1つのポートがハウジングの液体/空気界面よりも下側の高さにある、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項4】
2つ以上のポートが存在し、少なくとも1つのポートがハウジングの液体/空気界面よりも下側の高さで本体に成形される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項5】
上端部が一連の第1のポートを有し、本体が一連の第2のポートを有する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項6】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトを更に備える、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項7】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着され且つ磁気要素を含む撹拌シャフトを更に備え、磁気要素が、撹拌シャフトの磁気要素と略平行な位置で本体の外部であるが本体に隣接して位置する磁気ドライブと相互作用する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項8】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトを更に備え、シャフトが、ポートを介してハウジングの上端部を貫通して延びるとともに、1つ以上のガスケットによってポートで液密シールされる、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項9】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが散気装置を含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項10】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成される散気装置を含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項11】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、本体の内部に散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが、本体の外部部分のガスラインに対して接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項12】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、本体の内部に成形される散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが、本体の外部部分のガスラインに対して接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項13】
本体が、上端部から最も離れた本体の部分に隣接するポートを含み、上端部から最も離れたポートが、本体の内部に対して選択的に保持される散気装置を含み、散気装置が、プラスチック、セラミック、および、金属フリットからなるグループから選択されるフリットにより形成され、ポートが、本体の外部部分のガスラインに対して接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項14】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、ルアー管継手およびホースバーブからなるグループから選択される管継手に接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項15】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、管継手に接続されるとともに、逆止弁およびサンプリングデバイスからなるグループから選択されるデバイスを含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項16】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、管継手に接続されるとともに、サンプリング用のセプタムと、セプタムを穿刺するためのニードルとを有し、ニードルが前穿刺部と後部とを有し、ニードルが前穿刺部から後部へと延びる中空ルーメンを有し、後部がチューブに接続され、チューブがサンプル容器に接続される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項17】
本体の1つ以上のポートがそれぞれ、管継手に接続されるとともに、サンプリング用のセプタムと、セプタムを穿刺するためのニードルとを有し、ニードルが前穿刺部と後部とを有し、ニードルが前穿刺部から後部へと延びる中空ルーメンを有し、後部がチューブに接続され、チューブがサンプル容器に接続され、容器がバッグおよびシリンジからなるグループから選択される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項18】
複数のポートが存在し、少なくとも1つのポートがパラメータプローブを含む、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項19】
複数のポートが存在し、少なくとも1つのポートがパラメータプローブを含み、プローブが、pH、温度、溶存酸素、乳糖濃度、および、圧力からなるグループから選択される、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項20】
1つ以上のパドルを有してハウジングの本体内に装着される撹拌シャフトと、撹拌シャフトの下端を保持するために本体の内部空間の底面に位置する保持ハブとを更に備える、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項21】
ハウジングの本体内に装着される磁気結合要素を有するインペラと、本体内でインペラを遠隔的に駆動させるためにインペラに隣接する本体の外面上に位置する磁気駆動要素とを更に備える、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項22】
上端部が、バイオリアクタの上端部に取り付けられる1つ以上のチューブクリップを有する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【請求項23】
ハウジングの底部の外壁が2つ以上のロッキングタブを有し、2つ以上のロッキング特徴形態を有するスタンドを更に備え、ロッキング特徴形態が、スタンド内にハウジングを直立に安定した態様で保持するためにハウジングのロッキングタブと相互作用する、請求項1に記載のバイオリアクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−297025(P2009−297025A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−128573(P2009−128573)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128573(P2009−128573)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】
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