説明

操作パネルのシールド構造

【課題】液晶を搭載した操作パネルにおいて、静電気の印加による液晶表示部の誤動作を防ぐ事を目的とする。
【解決手段】液晶モジュール2を搭載した操作パネルにおいて、操作パネルの外装と、操作パネルの各種電子部品を実装したプリント基板1と、外装とプリント基板の間に配置した電子部品を覆うシールド部材11と、液晶モジュール2および液晶ドライバICの周囲に静電気の印加に伴う電流が流れ難い様にシールド部材11の一部にスリット19を入れた操作パネルのシールド構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から印加される静電気から操作パネルを保護するためのシールド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操作パネルは、液晶、LED等の表示手段と、タクトスイッチ等の操作手段と、を搭載した操作パネル基板と、操作パネルの外装と、操作パネル基板と外装の間に配置される金属筐体で構成され、金属筐体をGNDと接続して静電シールドを構成している。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2001−68863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例では、外部から金属筐体に静電気が印加され場合に、金属筐体近傍に電子部品が配置されていると、電磁誘導ノイズにより電子部品が誤動作するため、金属筐体と電子部品との間を近づける事が難しかった。
【0004】
また、近年、液晶のガラスと同一面に液晶ドライバICをCOG(Chip On Glass)実装した液晶モジュールが使用される様になり、液晶モジュール上の液晶ドライバICと金属筐体の間の空間を広げる事が難しくなっていた。
【0005】
本出願に係る発明の目的は、金属筐体で構成したシールド板に静電気が印加された場合に、静電気の印加電流により誘起される電磁誘導ノイズを液晶表示部の周囲に発生させない事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、液晶モジュールを含む各種電子部品を搭載したプリント基板と、前記電子部品およびプリント基板の周囲を覆う装置本体のフレームアースに接続された金属筐体と、前記金属筐体の一部のインピーダンスを高くして電流を規制する電流規制手段と、を設け、前記電流規制手段により特定の電子部品周囲に電流を流れ難くした事を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、シールド板の一部のインピーダンスを高くすることで液晶表示部の周辺に電流が流れ難くい構成とする事で、静電気の印加電流による電磁誘導で発生する液晶表示部の誤動作を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施例1)
図1および図2は本発明の特徴を最もよく表す図画であり、同図において1は操作パネルのプリント基板、2は液晶表示モジュール、3は液晶表示モジュール2に内蔵された液晶駆動ドライバICで、液晶モジュールのガラス上に実装され、透明電極で各画素の液晶等と接続される。4は液晶表示モジュール2の表示エリア、5a, 5bは点/消灯する事で状態を表示するLED、6a, 6b, 6c, 6dはプッシュスイッチ(以下SWと記す)、7,8はプリント基板1を取り付けるための取り付け穴、9はコネクタで図示しない制御部との間で操作パネルインタフェース信号束線が接続される。操作パネルインタフェース信号束線は、液晶表示モジュール2の制御信号と、LED5の駆動信号と、SW6の検出信号と、電源とから構成される。10は操作パネルの外装、11は図示しない装置本体のフレームグランドと同電位の金属で、操作パネル上の各部品の周囲を囲っているシールド板金、12,13はシールド板金11と板ばね14,15とプリント基板1を止めるビス、板ばね14,15は図示しない本体に操作パネルを取り付けた時に、本体のフレームグランドに接触し、シールド板金11のグランド経路となる。16a,16bはライトガイドで、LED5の光を集光する。17a,17b,17c,17d,はSW6を押すスイッチガイドボタン、18は液晶表示モジュール2の表示エリア4を覆う透明の保護シート、19は液晶表示モジュール2の液晶駆動ドライバIC3周辺を覆うシールド板金11に開けられたスリットである。
【0009】
操作パネルは、図2に示す様に外装10の下にフレームグランドと同電位のシールド板金11を設け、シールド板金11で覆われる様にプリント基板1を配置している。この様な構成において、液晶モジュール2の表示エリア4上は保護シート18で覆われており、外部から静電気が印加されないものの、ライトガイド16周囲やスイッチガイドボタン17周囲には外装10との間に隙間が出来るため、外部から静電気が印加される可能性がある。
【0010】
ライトガイド16b部分に静電気ノイズN1が印加された場合、静電気ノイズN1によって発生した瞬時電流I1は、インピーダンスの高いスリット19部分を避けて、主に矢印I1で示したフレームグランドに接続された板ばね14方向へ流れる。
【0011】
また、スイッチガイドボタン17b部分に静電気ノイズN2が印加された場合、静電気ノイズN2によって発生した瞬時電流I2は、インピーダンスの高いスリット19部分を避けて、主に矢印I2で示したフレームグランドに接続された板ばね15方向へ流れる。
【0012】
以上説明したように、液晶駆動ドライバIC3周辺を覆うシールド板金11にスリットを設ける事で、液晶駆動ドライバIC3の上面を覆うシールド板金に静電気ノイズによって発生した瞬時電流が流れ難くなるため、電流により誘起される電磁誘導ノイズで液晶駆動ドライバIC3が誤動作する事を防ぐ効果がある。
【0013】
(実施例2)
図3は本発明の第2の実施例を表す図であり、同図において、第1の実施例と同様の物には同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0014】
同図において、20は図示しない装置本体のフレームグランドと同電位の金属で、操作パネル上の各部品の周囲を囲っているシールド板金、21はシールド板金20の液晶駆動ドライバIC3周辺とLED16周辺との間を分離する切り込み、22はシールド板金20の液晶駆動ドライバIC3周辺とSW6a,6b周辺との間を分離する切り込みである。
【0015】
この様な構成において、液晶モジュール2の表示エリア4上は保護シート18で覆われており、外部から静電気が印加されないものの、ライトガイド16周囲やスイッチガイドボタン17周囲には外装10との間に隙間が出来るため、外部から静電気が印加される可能性がある。
【0016】
ライトガイド16b部分に静電気ノイズN3が印加された場合、静電気ノイズN3によって発生した瞬時電流I3は、切り込み21部分には流れないため、主に矢印I3で示したフレームグランドに接続された板ばね14方向へ流れる。
【0017】
また、スイッチガイドボタン17b部分に静電気ノイズN4が印加された場合、静電気ノイズN4によって発生した瞬時電流I4は、切り込み22部分には流れないため、主に矢印I4で示したフレームグランドに接続された板ばね15方向へ流れる。
【0018】
以上説明したように、シールド板金11に液晶駆動ドライバIC3周辺を覆う部分と静電気が印加されやすい部分との間に切り込みを設ける事で、液晶駆動ドライバIC3の上面を覆うシールド板金に静電気ノイズによって発生した瞬時電流が流れ難くなるため、電流により誘起される電磁誘導ノイズで液晶駆動ドライバIC3が誤動作する事を防ぐ効果がある。
【0019】
(実施例3)
図4は本発明の第3の実施例を表す図であり、同図において、第1の実施例と同様の物には同じ符号を付けてその説明は省略する。
【0020】
同図において、23は図示しない装置本体のフレームグランドと同電位の金属で、操作パネル上の各部品の周囲を囲っているシールド板金、24はシールド板金23の液晶駆動ドライバIC3周辺とSW6a,6b周辺との間を分離する切り込み、25は重ね合わせて液晶駆動ドライバIC3周辺を2重にシールドする部分で、2重に重ねた上側に静電気が印加されても、切り込み24で分離されているため下側のシールドに瞬時電流は流れない。26は重ね合せ部分を作るための折り曲げ位置である。
【0021】
なお、第1および第2の実施例では、外部から印加される静電気に対して放電が発生しない沿面距離となるサイズに表示エリア4の保護シート18を構成していた。
【0022】
本実施例では、保護シート18を放電が発生しないサイズまで大きくする事ができない構成となっており、表示エリア4近傍から静電気が印加される可能性がある。
【0023】
この様な構成において、表示エリア4部分に静電気ノイズN5が印加された場合、静電気ノイズN5によって発生した瞬時電流I5は、切り込み24部分には流れないため、主に矢印I5で示したフレームグランドに接続された板ばね15方向へ流れる。
【0024】
以上説明したように、シールド板金11の液晶駆動ドライバIC3周辺を覆う部分を重ね合せ構成とし、かつ、重ね合せ部分に流れる電流を規制する事で、液晶駆動ドライバIC3を覆うシールド板金の上側に静電気ノイズによって発生した瞬時電流が流れても、下面側に電流は流れないため、電流により誘起される電磁誘導ノイズで液晶駆動ドライバIC3が誤動作する事を防ぐ効果がある。
【0025】
また、重ね合せ部分と電流規制部分を組み合わせる事で、静電気の印加で放電が発生しない規制を必要とする部分を少なくする事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例に係る操作パネルの構成を説明する構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るシールド構成を説明する構成図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係るシールド構成を説明する構成図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係るシールド構成を説明する構成図である。
【符号の説明】
【0027】
1 プリント基板
2 液晶モジュール
3 液晶ドライバ
11 シールド板金
19 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶モジュールを含む各種電子部品を搭載したプリント基板と、
前記電子部品およびプリント基板の周囲を覆う装置本体のフレームアースに接続された金属筐体と、
前記金属筐体の一部のインピーダンスを高くして電流を規制する電流規制手段と、
を設け、前記電流規制手段により特定の電子部品周囲に電流を流れ難くした事を特徴とする操作パネルのシールド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−27397(P2007−27397A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207162(P2005−207162)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】