説明

操作装置及び画像形成装置

【課題】タッチパネルに不具合が生じた場合にも、ユーザが、容易にしかも短時間で、意図する操作を行うことができる操作装置を提案する。
【解決手段】操作ボタンB1〜B6を表示面に表示する表示部11と表示面に対するユーザの操作を検知する操作検知部12とを併せ持つタッチパネル1aと、タッチパネル1aの周囲に配された複数のハードウェアキーと、操作検知部12に異常があるとき該異常を検出する異常検出部とを備え、異常検出部が操作検知部12の一部に異常があり且つ当該異常箇所以外の正常部分は使用可能であると判断したとき、異常箇所に表示されていた不具合ボタンB2に振り当てられていた機能をハードウェアキーのいずれか(代替ボタン)によって実行させるように変更すると共に、不具合ボタンB2が表示されていた部分に、代替ボタンの案内を表示させるように表示部11を制御する操作表示制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備える操作装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルを備えた操作装置がある。タッチパネルは、特定の箇所の使用頻度が高かったり、強すぎる押圧力で操作されたり、或いはペン先等の鋭いもので操作されたりすることによって、部分的に損傷してしまうことがある。この場合には、損傷箇所への操作を検知できないがその他の箇所には異常がないという半故障状態となる。
【0003】
下記特許文献1には、上記のような半故障状態及び故障状態を検出する手法が開示されている。即ち、予め定めた所定の時期に、操作ボタン毎の押圧回数カウント値を読み出し、操作ボタン毎に設定されていた許容値と比較し、押圧回数カウント値が許容値未満か否かを判定し、許容値以上ならば当該操作ボタンに不具合が生じているおそれがあることを管理者に通知するというものである。
【0004】
また、下記特許文献2には、タッチパネルが故障中の場合等、タッチパネルが操作できない状態にあるときに、ユーザの操作を受け付けるための手法が開示されている。
即ち、操作装置が、タッチパネル画面に、操作ボタンと共にカーソルを表示し、タッチパネル近傍に設けられたハードウェアキーへの操作により、操作ボタン上をジャンプするようにカーソルを移動させ、決定ボタンを押下すると、カーソルが乗っている操作ボタンに割り当てられた機能が実行されるというものである。
【特許文献1】特開2004−220507号公報
【特許文献2】特開平2−93819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、タッチパネルに不具合が生じても管理者に通知するだけなので、修理が済むまで、ユーザは操作を行うことができないという問題がある。
また、上記特許文献2に記載の技術では、カーソルを移動させる操作のためにハードウェアキーを押下する回数が多くなってしまい、操作に時間がかかってしまうので、好ましくない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、タッチパネルに不具合が生じた場合にも、ユーザが、容易にしかも短時間で、意図する操作を行うことができる操作装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る操作装置及び画像形成装置では、以下の手段を採用した。
第1の発明としては、少なくとも操作ボタンを表示面に表示する表示部と前記表示面に対するユーザの操作を検知する操作検知部とを併せ持つタッチパネルと、該タッチパネルの周囲に配された複数のハードウェアキーと、前記操作検知部に異常があるとき該異常を検出する異常検出部とを備える操作装置であって、前記異常検出部が、前記操作検知部の一部に異常があり且つ当該異常箇所以外の正常部分は使用可能であると判断したとき、前記表示面のうち前記異常箇所に対応する位置に表示されていた不具合ボタンに振り当てられていた機能を前記ハードウェアキーのいずれか(代替ボタン)によって実行させるように変更すると共に、前記不具合ボタンが表示されていた部分に、前記代替ボタンの案内を表示させるように前記表示部を制御する操作表示制御部を備えるものを採用した。
【0008】
次に、上記発明において、前記代替ボタンは、2つ以上の前記ハードウェアキーによって構成され、該2つ以上の前記ハードウェアキーは、同時に押下されることにより前記代替ボタンとして機能するものを採用した。
【0009】
また、上記発明において、前記代替ボタンを構成する前記ハードウェアキーの少なくとも1つは、テンキーであるものを採用した。
【0010】
そして、本発明に係る画像形成装置では、第2の発明として、上記第1の発明に係る操作装置を備えることを特徴とするものを採用した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチパネルの一部に異常が発生したとき、その部分に配されていた不具合ボタンに割り振られていた機能を代替ボタンによって実行させるように変更するので、タッチパネルの異常箇所以外の部分を利用し続けながら、足りない部分を代替ボタンで補うことができる。これにより、タッチパネルが半故障状態であっても修理するまでタッチパネルによる操作を継続することができる。
また、上記代替ボタンの案内を上記不具合ボタンの位置に表示するので、ユーザは、代替ボタンとされたハードウェアキーを容易に認知することができる。
したがって、タッチパネルに不具合が生じた場合にも、ユーザが、容易にしかも短時間で、意図する操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る複写機Cの機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、本複写機C(画像形成装置)は、操作表示部1、画像読取部2、画像記憶部3、画像処理部4、印刷部5及び制御部6を備えている。
【0013】
操作表示部1(操作装置)は、図示するように、タッチパネル1a、操作キー1b、操作表示制御部1c及び異常検出部1dを備え、ユーザと本複写機Cとを関係付けるマンマシンインタフェースとして機能する。
ここで、図2は、上記タッチパネル1a及び操作キー1bの平面図である。
【0014】
タッチパネル1aは、周知のように表示パネル11の表示面に抵抗膜方式等の透明な面状押圧センサ12を設けたものである。
表示パネル11(表示部)は、操作表示制御部1cによる制御の下に、各種機能がそれぞれ割り当てられた複数の操作ボタンBを所定のレイアウトで表示する。
面状押圧センサ(操作検知部)12は、ユーザが操作ボタンBを指等で押圧したときに、押圧位置(押圧座標)を示す操作信号を操作表示制御部1cに出力する。
【0015】
操作キー1bは、タッチパネル1aに表示される操作ボタンB以外の操作キー(ハードウェアキー)であって、例えば電源キー13やコピー開始キー14、テンキー15、システムメニューキー16等である。
タッチパネル1aに表示される操作ボタンBは、操作表示制御部1cが所定のプログラムに基づいてソフトウエア的に表示パネルに表示させるものであるが、操作キー1bは、ハードウェアキーとして物理的に備えられたものであり、ユーザの操作に基づいた操作信号を操作表示制御部1cに出力する。
【0016】
操作表示制御部1cは、制御部6による制御の下で、上記タッチパネル1a及び操作キー1bを制御する制御装置であり、MPU(Micro Processing Unit)、内部メモリ並びにタッチパネル1a、操作キー1b及び制御部6と各種信号の授受を行うインタフェース回路等から構成されている。
この操作表示制御部1cは、内部メモリに記憶された操作表示制御プログラム、タッチパネル1a及び操作キー1bから入力される操作信号及び制御部6から入力される制御指令に基づいて、タッチパネル1aの操作表示制御やユーザの操作指示の制御部6への伝達を行う。
【0017】
より具体的には、操作表示制御部1cは、制御部6から入力される制御指令に基づいてタッチパネル1a上に表示する操作ボタンBの種類やレイアウトを設定すると共に、タッチパネル1aから入力される操作信号または操作キー1bから入力される操作信号に基づいて何れの操作ボタンBが操作されたかを判定し、ユーザの操作指示として制御部6に出力する。
【0018】
異常検出部1dは、タッチパネル1aの面状押圧センサ12に異常が発生した場合に、異常を検出し、異常検出を示す信号を操作表示制御部1cに出力する。
面状押圧センサ12の異常検出の手法として、具体的には様々な手法が考えられるが、例えば、以下のようなものがある。
【0019】
まず、異常検出部1dは、面状押圧センサ12の各座標について、押圧検出の都度カウント値を積算した押圧検出回数を履歴として残す。押圧検出回数は、積算し続けてもよいし、所定のタイミングでリセットしてもよい。
そして、異常検出部1dは、所定の周期で押圧検出回数を確認する。このとき、異常検出部1dは、値が他所に比して極端に少なかったり或いは多かったりする座標が所定面積内に所定割合以上存在すると、その座標範囲に異常が発生していると判断し、操作表示制御部1cに異常箇所を連絡する。
このようにして、面状押圧センサ12の異常が検出される。
【0020】
画像読取部2は、制御部6から入力される制御指令に基づいてADF(Auto Document Feeder)によって自動給紙される原稿或いはプラテンガラス上に載置された原稿の画像(原稿画像)をラインセンサで読み取って画像データ(原稿画像データ)に変換するものであり、この原稿画像データを画像記憶部3に出力する。
画像記憶部3は、半導体メモリ或いはハードディスク装置等であり、制御部6から入力される制御指令に基づいて上記原稿画像データを記憶すると共に当該原稿画像データを読み出して画像処理部4に出力する。
【0021】
画像処理部4は、制御部6から入力される制御指令に基づいて原稿画像データに必要に応じて各種画像処理を施すと共に原稿画像データを印刷部5の印刷形式の画像データに変換して印刷部5に出力する。上記画像処理には拡大縮小印刷に対応した画像処理等がある。
画像読取部2がカラー原稿を読み取った場合、画像記憶部3から画像処理部4に入力される原稿画像データは光の三原色に対応したRGB画像データ(カラー画像データ)となるが、画像処理部4は、このようなRGB画像データを印刷部5の印刷形式に対応した画像データ、例えばYMCK画像データ、つまりY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(黒)を基準色とする画像データに変換して印刷部5に出力する。
【0022】
印刷部5は、制御部6から入力される制御指令に基づいて用紙カセットから給紙された紙上に、上記画像処理部4から入力された印刷形式の画像データに基づく原稿画像を印刷する。この印刷部5は、例えば上記基準色のトナーに対応した4つの現像装置が二次転写ベルト上に配列したタンデム方式の印刷装置であり、画像処理部4から入力されたYMCK画像データに基づいて紙上に原稿画像をカラー印刷する。
【0023】
制御部6は、MPU(Micro Processing Unit)、内部メモリ並びに上記操作表示部1、画像読取部2、画像記憶部3、画像処理部4及び印刷部5と各種信号の授受を行うインタフェース回路等から構成されており、内部メモリに予め記憶された制御プログラム及び上記操作表示部1から入力される操作指示に基づいて本複写機の全体動作を制御するものである。制御部6と操作表示部1の上記操作表示制御部1cとが、所定の通信形式で各種信号を送受信することにより、制御部6は、操作表示部1の動作状態を把握すると共に制御する。
【0024】
次に、本複写機の要部動作について、図3のフローチャートに沿って説明する。
まず、異常検出部1dが異常を検出し異常検出信号を制御部6へ出力すると、異常検出信号を入力された制御部6は、異常が発生したと判断し(ステップS1)、異常箇所に配置されていた操作ボタンBの機能を操作キー1bの組み合わせに振り替える(ステップS2)と共に、異常箇所に配置されていた操作ボタンBを使用不可にして操作キー1bの組み合わせの案内を表示する(ステップS3)。
【0025】
上記の具体例について、図4を参照して更に詳細に説明する。図4は、タッチパネル1aの表示例を示す図である。
例えば、図4(a)に示すような操作ボタンB1〜B6を表示しているとき、面状押圧センサ12の「拡大・縮小」操作ボタンB2が表示された位置に異常が発生すると、異常検出部1dが異常を検出し、異常検出を示す信号を操作表示制御部1cに出力する。
当該信号を入力された操作表示制御部1cは、図4(b)に示すように、「拡大・縮小」操作ボタンB2(不具合ボタン)の機能を例えばシステムメニューキー16とテンキー15の「1」との組み合わせに振り替える。そして、操作表示制御部1cは、「拡大・縮小」操作ボタンB2を使用不可にすると共に、同位置に「システムメニュー + 1」と表示する。
【0026】
上記のように図4(b)に示す画面を表示することにより、「拡大・縮小」操作ボタンB2に不具合があっても、ユーザが「拡大・縮小」機能を設定したいときには、「拡大・縮小」操作ボタンB2への操作に代えてシステムメニューキー16とテンキー15の「1」とを同時に押下するよう、ユーザを誘導することができる。
【0027】
このように、本実施形態によれば、タッチパネル1aの一部に異常が発生したとき、その部分に配されていた操作ボタンB2に割り振られていた機能を操作キー1bの組み合わせによって実行させるように変更するので、タッチパネル1aの異常箇所以外の部分を利用し続けながら、足りない部分を操作キー1bで補うことができる。これにより、タッチパネル1aが半故障状態であっても修理するまでタッチパネル1aによる操作を継続することができる。
また、操作キー1bの組み合わせを、操作ボタンB2の位置に表示するので、ユーザは、これを案内として、操作キー1bの組み合わせを認知することができる。
したがって、タッチパネル1aに不具合が生じた場合にも、ユーザが、容易にしかも短時間で、意図する操作を行うことができる。
【0028】
なお、操作表示制御部1cは、上記処理を行うと共に制御部6にその旨を示す信号を出力し、該信号を入力された制御部6が、自動的にサービスコールを発するようにしてもよい。或いは、ユーザに対してサービスマンに連絡をするよう、表示パネル11にメッセージを表示する等の手段によって通知してもよい。
また、上記実施形態では、操作表示制御部1cは、2つの操作キー1bに、操作ボタンB2つまり不具合ボタンの機能を振り替えているが、実施にあたっては、3つ以上の操作キー1bの組み合わせで不具合ボタンの機能を実現するように変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態における複写機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態におけるタッチパネル及び操作キーの外観を示す平面図である。
【図3】上記実施形態における複写機の要部動作を示すフローチャートである。
【図4】上記実施形態におけるタッチパネルの表示例を示す図であって、(a)は正常時のもの、(b)は一部に異常があるときのものである。
【符号の説明】
【0030】
C…複写機(画像形成装置)、 1…操作表示部(操作装置)、 1a…タッチパネル、 1b…操作キー(ハードウェアキー)、 1c…操作表示制御部、 1d…異常検出部、 11…表示パネル(表示部)、 12…面状押圧センサ(操作検知部)、 15…テンキー、 B、B1〜B6…操作ボタン、 B2…不具合ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも操作ボタンを表示面に表示する表示部と前記表示面に対するユーザの操作を検知する操作検知部とを併せ持つタッチパネルと、該タッチパネルの周囲に配された複数のハードウェアキーと、前記操作検知部に異常があるとき該異常を検出する異常検出部とを備える操作装置であって、
前記異常検出部が、前記操作検知部の一部に異常があり且つ当該異常箇所以外の正常部分は使用可能であると判断したとき、前記表示面のうち前記異常箇所に対応する位置に表示されていた不具合ボタンに振り当てられていた機能を前記ハードウェアキーのいずれか(代替ボタン)によって実行させるように変更すると共に、前記不具合ボタンが表示されていた部分に、前記代替ボタンの案内を表示させるように前記表示部を制御する操作表示制御部を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記代替ボタンは、2つ以上の前記ハードウェアキーによって構成され、該2つ以上の前記ハードウェアキーは、同時に押下されることにより前記代替ボタンとして機能することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記代替ボタンを構成する前記ハードウェアキーの少なくとも1つは、テンキーであることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の操作装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−9460(P2009−9460A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171857(P2007−171857)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】