説明

操作装置及び画像形成装置

【課題】操作者が左手又は右手のいずれで操作したかに応じた表示制御を行うことで操作性を向上できるようにする。
【解決手段】操作装置10は、表示入力装置20、腕位置検出部40、身体位置検出部50、及び制御部60を備える。表示入力装置20は、操作画面を表示する表示部21及びタッチパネル22を含む。腕位置検出部40は、左右方向91の複数の位置で操作者の腕を検出する。身体位置検出部50は、左右方向91の複数の位置で操作者の身体を検出する。制御部60は、腕位置検出部40及び身体位置検出部50の検出結果に基づいて操作者が左右いずれの手で表示入力装置20にタッチしたかの左右判定を行い、左右判定の結果に基づいて表示部21の表示を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作画面を表示する表示部及び表示部に対する操作者のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部を含む表示入力装置を備える操作装置、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部及びタッチ位置検出部を含む表示入力装置を備える操作装置が、画像形成装置等の種々の処理装置に用いられている。表示入力装置として、例えば液晶タッチパネルが挙げられる。このような操作装置では、操作者が表示部を見てタッチ位置検出部に直接手でタッチすることで、設定条件や操作指示等の入力操作が行われる。また、入力操作に応じてメニュー画像等のポップアップ画像を表示することで、操作性の向上が図られる。
【0003】
このように、上述のような操作装置では、マウス等による操作に比べて直感的で分かりやすい入力操作の提供が可能な反面、タッチ位置検出部にタッチした手によってポップアップ画像が隠されてしまい、操作性が低下する虞がある。例えば、操作者はタッチ位置検出部に人差指でタッチすることが多いので、操作者がタッチ位置検出部に左手の人差指でタッチした場合にポップアップ画像がタッチ位置の左側に表示されると、ポップアップ画像が左手によって隠されてしまう。
【0004】
そこで、タッチ位置検出部によって検出した表示部における操作者のタッチ位置の分布に応じて操作者のタッチした手が左手又は右手のいずれであるかを判定し、判定結果に応じた操作画面を表示する操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この従来の操作装置では、1回のタッチ操作において表示部におけるタッチ位置分布が時間経過に伴って左から右へ移動する場合に操作者のタッチした手が左手であると判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−331092公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、操作者が左手でタッチする場合に、左手を左から右へ移動させながら表示部にタッチするとは限らない。例えば、タッチする手が左手であっても、表示部に真上からタッチすることもある。真上から表示部にタッチした場合は、時間経過に伴うタッチ位置分布の移動方向を判定不可能となるので、従来の操作装置ではタッチした手が左手又は右手のいずれであるかを正確に判定できない。
【0007】
また、操作者が左手でタッチする場合であっても、操作者が表示部に対して右寄りにずれた位置に立っている場合は、右から左へ左手を移動させながら表示部にタッチすることがある。この場合、時間経過に伴うタッチ位置分布の移動方向とタッチした手とが一致しないので、従来の操作装置では、タッチした手が左手又は右手のいずれであるかを正確に判定することができない。よって、タッチした手に応じた適切な次画面を表示できないので、操作性が低下する。
【0008】
この発明の目的は、操作者が左手又は右手のいずれでタッチしたかに応じた表示制御を行うことで操作性を向上できる操作装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の操作装置は、表示入力装置、腕位置検出部、身体位置検出部、及び制御部を備える。表示入力装置は、操作画面を表示する表示部、及び表示部における操作者のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部を含む。腕位置検出部は、左右方向の複数の位置で操作者の腕を検出する。身体位置検出部は、左右方向の複数の位置で操作者の身体を検出する。制御部は、腕位置検出部及び身体位置検出部の検出結果に基づいて操作者が左右いずれの手で表示入力装置にタッチしたかの左右判定を行い、左右判定の結果に基づいて表示部の表示を制御する。
【0010】
この構成では、身体位置と腕位置との関係に基づいて、操作者が左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかが判定される。例えば、身体位置に対して腕位置が左側にある場合は、表示入力装置にタッチした手は左手であると判定される。このため、左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかの左右判定が正確に行われる。また、この正確な左右判定の結果及びタッチ位置検出部で検出されたタッチ位置に基づいて、表示部の表示が適切に制御される。
【0011】
上述の表示制御の具体例として、制御部は、左右判定の結果に基づいて、表示部中の一部に表示される部分画像のタッチ位置に対する表示方向を制御することが挙げられる。例えば、操作者が表示入力装置にタッチした手が左手である場合は、タッチ位置の右側に部分画像が表示される。これによって、タッチした手で部分画像が隠されることがなくなる。
【0012】
また、制御部は、表示部中の一部に表示される部分画像であって互いに異なる複数の部分画像を記憶し、左右判定の結果に基づいて、複数の部分画像のうちから表示部に表示させる部分画像を選択することが好ましい。左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかに応じた部分画像を表示することで、操作性がより向上する。例えば、部分画像が複数の選択肢を含むメニュー画像である場合に、使用頻度が高い選択肢ほどタッチ位置の近傍に配置される部分画像を表示するで、表示入力装置にタッチする手の移動距離が短くなり、操作性がより向上する。
【0013】
腕位置及び身体位置の検出方法の一例として、腕位置検出部及び身体位置検出部のうち少なくともいずれか一方は、複数のセンサを含み、制御部は、複数のセンサのうち出力値が最大値となったものの位置を腕位置又は身体位置の左右方向における中心として検出することが挙げられる。これによって、簡単な処理で腕位置又は身体位置の中心が検出され、左右判定の処理の負荷が軽くなる。
【0014】
また、腕位置及び身体位置の検出方法の他の例として、腕位置検出部及び身体位置検出部のうち少なくともいずれか一方は、複数のセンサを含み、制御部は、複数のセンサのうち出力値が最小値となったものの位置を腕位置又は身体位置の左右方向における中心として検出することが挙げられる。これによって、簡単な処理で腕位置又は身体位置の中心が検出され、左右判定の処理の負荷が軽くなる。
【0015】
さらに、腕位置及び身体位置の検出方法のさらに他の例として、腕位置検出部及び身体位置検出部のうち少なくともいずれか一方は、複数のセンサを含み、制御部は、複数のセンサ毎の予め設定された基準値を保持し、複数のセンサのそれぞれの出力値と基準値とを比較することで腕位置又は身体位置の左右方向における中心を検出することが挙げられる。複数のセンサの出力値にバラツキがある場合でも、バラツキを補正する基準値との比較によって腕位置又は身体位置の中心を検出することで、腕位置又は身体位置の中心が正確に検出されるので、左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかの判定精度がより向上する。
【0016】
制御部は、タッチ位置検出部の前回検出時から所定時間経過時における複数のセンサのそれぞれの出力値に基づいて基準値を設定することが好ましい。腕位置検出部や身体位置検出部として光センサが用いられた場合に、光センサに入射する光量における、操作装置の使用時の天候や1日の中の時間帯による影響が低減される。このため、腕位置又は身体位置の中心が正確に検出される。よって、左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかの判定精度がより向上する。
【0017】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかの構成の操作装置を備える。この構成では、身体位置と腕位置との関係に基づいて、左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかが判定される。このため、左手又は右手のいずれで表示入力装置にタッチしたかの左右判定が正確に行われる。また、この正確な左右判定の結果及びタッチ位置検出部で検出されたタッチ位置に基づいて、表示部の表示が適切に制御される。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、操作者が左手又は右手のいずれで操作したかに応じた表示制御を行うことで操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施形態に係る操作装置を備える画像形成装置の外観図である。
【図2】操作装置の外観図である。
【図3】操作装置の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図4】(A)は、表示画面の一例を示す図であり、(B)は、ポップアップ画像の一例を示す図である。
【図5】表示制御の一例を示す図である。
【図6】(A)〜(D)は、操作者が右手で表示入力装置をタッチした状態を示す図である。
【図7】(A)〜(D)は、操作者が左手で表示入力装置をタッチした状態を示す図である。
【図8】(A)及び(B)は、操作者が操作装置の左部に対向するように立って右手で表示入力装置の左側端部をタッチした状態を示す図であり、(C)及び(D)は、操作者が操作装置の右部に対向するように立って左手で表示入力装置の右側端部をタッチした状態を示す図である。
【図9】(A)は、腕位置検出部の複数の第1センサのそれぞれの出力値と、左右方向の位置との関係の一例を示す図であり、(B)は、腕位置検出部の複数の第1センサのそれぞれの出力値と左右方向の位置との関係の一例、及び第1センサのそれぞれの基準値の一例を示した図であり、(C)は、第1センサのそれぞれの出力値と基準値とを比較した比較出力値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2及び操作装置10を備えている。
【0021】
装置本体2は、原稿搬送装置3、画像読取部4、画像形成部5、及び給紙部6を備えている。原稿搬送装置3は、原稿を1枚ずつ、画像読取部4を経由するように搬送する。画像読取部4は、図示しない原稿台を有し、原稿台上に載置された原稿、又は原稿搬送装置3によって原稿台上を経由するように搬送される原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0022】
給紙部6は、複数の給紙カセット6A,6B,6C,6Dを有している。給紙カセット6A,6B,6C,6Dのそれぞれは、複数の用紙を収容しており、画像形成部5へ1枚ずつ用紙を供給する。
【0023】
画像形成部5は、画像読取部4で生成された画像データ、又は外部から入力した画像データに基づいて、用紙に画像を形成する。
【0024】
図2に示すように、操作装置10は、表示入力装置20、操作キー31,32,33、腕位置検出部40、身体位置検出部50、及び制御部60(図3参照)を備えている。
【0025】
表示入力装置20は、表示部21及びタッチパネル22を含む。一例として、表示部21として、液晶表示装置が用いられている。表示部21は、種々の操作画面を表示する。タッチパネル22は、タッチ位置検出部の一例である。タッチパネル22は、表示部21の上に重ねて配置され、表示部21と一体的に構成されている。タッチパネル22は透明であり、タッチパネル22を通して表示部21に表示された操作画面が操作者によって視認される。タッチパネル22は、表示部21における操作者のタッチ位置を検出する。タッチパネル22が検出したタッチ位置と、表示部21におけるタッチ位置に相当する位置に表示された画像とに基づいて、設定条件や動作指示等の処理要求が入力される。
【0026】
操作キー31,32,33は、表示入力装置20とは別に備えられ、操作者が押下することで操作キー31,32,33のそれぞれに割り当てられた機能の処理要求が入力される。一例として、操作キー31,32,33は、それぞれスタートキー、ストップキー、及び表示部21に表示される操作画面を所定のホーム画面に戻すホームキーである。
【0027】
腕位置検出部40は、複数の第1センサ41を含む。第1センサ41として、光センサが用いられている。第1センサ41は、操作装置10の上面であって表示入力装置20の前面側において、装置本体2の左右方向91に並べられている。腕位置検出部40は、左右方向91の複数の位置で操作者の腕を検出する。
【0028】
身体位置検出部50は、複数の第2センサ51を含む。第2センサ51として、光センサが用いられている。第2センサ51は、操作装置10の前側面において、左右方向91に並べられている。身体位置検出部50は、左右方向91の複数の位置で操作者の身体を検出する。
【0029】
図3に示すように、制御部60は、CPU61、ROM62、RAM63、タイマ64、入出力部65、表示部コントローラ66、タッチパネルコントローラ67、操作キー入力部68、A/D変換器69、光センサ入力切替器70、A/D変換器71、光センサ入力切替器72を含む。
【0030】
CPU61は、ROM62に格納されたプログラムに従って、操作装置10を統括的に制御する。入出力部65は、装置本体2のメイン制御部と接続されている。一例として、CPU61は、入出力部65を介して、画像読取部4で生成された画像データの入力を受け、画像データをRAM63に記憶させる。また、CPU61は、入出力部65を介して、操作者が表示入力装置20で入力した画像についての処理要求を装置本体2のメイン制御部へ出力する。
【0031】
タイマ64は、時間をカウントしてCPU61へ出力する。一例として、タイマ64は、タッチパネル22や操作キー31〜33が操作された瞬間からの経過時間をカウントしてCPU61へ出力する。
【0032】
表示部21は、図示しないバックライトによって背面から照らされている。表示部コントローラ66は、CPU61からの指示に基づいて、表示部21の表示を制御する。一例として、CPU61は、表示部コントローラ66を介して、RAM63に記憶されている原稿画像やメニュー画像等の画像を表示部21に表示させる。
【0033】
タッチパネルコントローラ67は、タッチパネル22における操作者のタッチ位置を検出し、検出結果をCPU61へ出力する。CPU61は、タッチパネル22におけるタッチ位置と、表示部21におけるタッチ位置に相当する位置に表示された画像とに基づいて、入力された処理要求が何であるかを判定し、判定結果に基づいて、表示部21の表示の変更や、装置本体2のメイン制御部への出力等の処理を実行する。
【0034】
CPU61は、操作キー31〜33のいずれかが押下されたことを、操作キー入力部68を介して検出し、押下された操作キーに対応する処理を実行する。
【0035】
腕位置検出部40の複数の第1センサ41のそれぞれの出力値は、A/D変換器69を経由してCPU61に入力される。第1センサ41は複数備えられているので、第1センサ41の出力値は、光センサ入力切替器70によって順次切り替えられて、CPU61に入力される。これによって、CPU61には、第1センサ41のそれぞれの出力値が順次入力される。
【0036】
身体位置検出部50の複数の第2センサ51のそれぞれの出力値は、A/D変換器71を経由してCPU61に入力される。第2センサ51は複数備えられているので、第2センサ51の出力値は、光センサ入力切替器72によって順次切り替えられて、CPU61に入力される。これによって、CPU61には、第2センサ51のそれぞれの出力値が順次入力される。
【0037】
図4(A)等の図において、タッチパネル22における操作者のタッチ位置81が多重円で示されている。CPU61は、予め設定された操作画面の表示中にタッチパネル22がタッチされた旨の入力があると、直後にタッチ位置81の近傍にポップアップ画像82を表示させる。例えば、操作者が表示入力装置20に表示された画像のうちの編集したい箇所をタッチすると、タッチ位置81の近傍に、拡大や縮小等の選択肢を含む編集用メニューが表示される。このように、操作装置10は、表示入力装置20を手で直接タッチして操作するように構成されるので、マウス等による操作に比べて直感的で分かりやすい入力操作が可能である。
【0038】
図4(B)に示すように、一例として、ポップアップ画像82は、左右方向91に並べられた複数の選択肢を含む編集用のメニュー画像である。ポップアップ画像82は、RAM63に予め記憶されている。一例として、RAM63には、互いに異なる複数のポップアップ画像82,83(図7(B)参照)が記憶されている。ポップアップ画像82,83は、表示部21中の一部に表示される部分画像の一例である。部分画像の他の例として、操作画面中の操作アイコン、注意情報や案内情報等を示すメッセージ画像が挙げられる。
【0039】
CPU61は、左右判定の判定結果及び検出されたタッチ位置81に基づいて、表示部21へのポップアップ画像82の表示を制御する。具体的には、CPU61は、タッチ位置81に対するポップアップ画像82の表示方向を制御する。
【0040】
図5に、ポップアップ画像82の表示制御の一例を示す。図6(A)は、操作者が操作装置10の中央部に対向するように立って右手で表示入力装置20の右部をタッチした状態を示し、図6(B)は、図6(A)の状態で表示されるポップアップ画像82の一例を示す図であり、図6(C)は、操作者が操作装置10の左部に対向するように立って右手で表示入力装置20の中央部をタッチした状態を示し、図6(D)は、図6(C)の状態で表示されるポップアップ画像82の一例を示している。
【0041】
また、図7(A)は、操作者が操作装置10の中央部に対向するように立って左手で表示入力装置20の左部をタッチした状態を示し、図7(B)は、図7(A)の状態で表示されるポップアップ画像83の一例を示し、図7(C)は、操作者が操作装置10の右部に対向するように立って左手で表示入力装置20の中央部をタッチした状態を示し、図7(D)は、図7(C)の状態で表示されるポップアップ画像83の一例を示している。
【0042】
さらに、図8(A)は、操作者が操作装置10の左部に対向するように立って右手で表示入力装置20の左側端部をタッチした状態を示し、図8(B)は、図8(A)の状態で表示されるポップアップ画像83の一例を示し、図8(C)は、操作者が操作装置10の右部に対向するように立って左手で表示入力装置20の右側端部をタッチした状態を示し、図8(D)は、図8(C)の状態で表示されるポップアップ画像82の一例を示している。
【0043】
図6(A)及び図6(C)に示すように、操作者が画像形成装置1の前に立つと、操作者の身体の影になることで身体位置検出部50のうち斜線部分52の第2センサ51の出力値が低下する。CPU61は、複数の第2センサ51のそれぞれの出力値を常時取得している。CPU61は、操作者がタッチパネル22にタッチした時の第2センサ51のそれぞれの出力値に基づいて、身体位置を取得する。
【0044】
同様に、操作者がタッチパネル22にタッチするために腕を差し出すと、腕の影になることで腕位置検出部40のうち斜線部分42の第1センサ41の出力値が低下する。CPU61は、複数の第1センサ41のそれぞれの出力値を常時取得している。CPU61は、操作者がタッチパネル22にタッチした時の第1センサ41のそれぞれの出力値に基づいて、腕位置を取得する。
【0045】
CPU61は、身体位置と腕位置との関係に基づいて、操作者が左手又は右手のいずれでタッチパネル22にタッチしたかの左右判定を行う。具体的には、CPU61は、身体位置に対して腕位置が左側にある場合は、タッチパネル22にタッチした手は左手であると判定する。CPU61は、身体位置に対して腕位置が右側にある場合は、タッチパネル22にタッチした手は右手であると判定する。左右判定が身体位置と腕位置との関係に基づいて行われることで、正確な左右判定の判定結果が取得される。
【0046】
原則として、図6(A)及び図6(C)に示すように、CPU61は、タッチパネル22にタッチした手が右手である場合、ポップアップ画像82をタッチ位置81の左側近傍に表示させる。また、図7(A)及び図7(C)に示すように、CPU61は、タッチパネル22にタッチした手が左手である場合、ポップアップ画像83をタッチ位置81の右側近傍に表示させる。
【0047】
これによって、操作者の目とポップアップ画像82,83との間に操作者の手が入ることでポップアップ画像82,83が隠されるという事態が防止される。また、身体位置と腕位置との関係に基づいて左右判定が正確に行われるので、正確な左右判定の結果に基づいて、ポップアップ画像82,83の表示が適切に制御される。したがって、操作者がポップアップ画像82,83を見やすくなり、操作性が向上する。
【0048】
例外的に、図8(A)に示すように、CPU61は、タッチパネル22にタッチした手が右手であって、タッチ位置81が、左側にポップアップ画像82を表示するだけの領域がない左側端部であり、かつ、上側にポップアップ画像83を表示するだけの領域がある場合、ポップアップ画像83をタッチ位置81の上側近傍に表示させる。また、CPU61は、タッチパネル22にタッチした手が右手であって、タッチ位置81が、左側にポップアップ画像82を表示するだけの領域がない左側端部であり、かつ、上側にポップアップ画像83を表示するだけの領域が無い場合は、ポップアップ画像83をタッチ位置81の右側近傍に表示させる。これによって、タッチ位置81がタッチパネル22におけるいずれの箇所であっても、そのタッチ位置81における最も見やすい方向にポップアップ画像82又はポップアップ画像83が表示され、操作性が向上する。
【0049】
同様に、図8(C)に示すように、CPU61は、タッチパネル22にタッチした手が左手であって、タッチ位置81が、右側にポップアップ画像83を表示するだけの領域がない右側端部であり、かつ、上側にポップアップ画像82を表示するだけの領域がある場合、ポップアップ画像82をタッチ位置81の上側近傍に表示させる。また、CPU61は、タッチパネル22にタッチした手が左手であって、タッチ位置81が、右側にポップアップ画像83を表示するだけの領域がない右側端部であり、かつ、上側にポップアップ画像82を表示するだけの領域が無い場合は、ポップアップ画像82をタッチ位置81の左側近傍に表示させる。
【0050】
図6(A)及び図7(A)に示すように、タッチ位置81と腕位置とが左右方向91において異なる場合は、タッチ位置81と腕位置との比較によって、左右判定を行うことも可能であるが、図6(C)及び図7(C)に示すように、タッチ位置81と腕位置とが左右方向91において同じである場合は、タッチ位置81と腕位置との比較だけでは左右判定の正確な結果を取得することができない。しかし、操作装置10によれば、腕位置と身体位置との比較に基づいて左右判定が行われるので、左右判定の正確な結果を取得することができる。
【0051】
RAM63には、互いに異なる複数のポップアップ画像82,83が予め記憶され、CPU61は、左右判定の結果に基づいて、複数のポップアップ画像82,83のうちから表示部21に表示させるポップアップ画像を選択することが好ましい。
【0052】
ポップアップ画像82とポップアップ画像83とは、ともに複数の選択肢を含むメニュー画像であって、選択肢の並び順が、互いに反対である。具体的には、ポップアップ画像82は、右端から順に使用頻度が高い選択肢が配置されており、ポップアップ画像83は、左端から順に使用頻度が高い選択肢が配置されている。
【0053】
図6(B)及び図6(D)に示すように、タッチパネル22にタッチした手が右手である場合は、右端から順に使用頻度が高い選択肢が配置されたポップアップ画像82が、原則としてタッチ位置81の左側近傍に表示される。図7(B)及び図7(D)に示すように、タッチパネル22にタッチした手が左手である場合は、左端から順に使用頻度が高い選択肢が配置されたポップアップ画像83が、原則としてタッチ位置81の右側近傍に表示される。使用頻度が高い選択肢ほどタッチ位置81の近傍に配置されたポップアップ画像82,83が表示されることで、タッチパネル22にタッチする手の移動距離が短くなり、操作性がより向上する。
【0054】
但し、上述のように、タッチした手が右手である場合でも、タッチ位置81の左側にポップアップ画像82を表示するスペースが無い場合には、図8(B)に示すようにポップアップ画像83が表示される。また、タッチした手が左手である場合でも、タッチ位置81の右側にポップアップ画像83を表示するスペースが無い場合には、図8(D)に示すようにポップアップ画像82が表示される。
【0055】
次に、腕位置検出部40の複数の第1センサ41のそれぞれの出力値に基づいて腕位置を判定する処理について説明する。なお、身体位置検出部50の複数の第2センサ51のそれぞれの出力値に基づいて身体位置を判定する処理についても同様である。
【0056】
図9(A)は、腕位置検出部40の複数の第1センサ41のそれぞれの出力値と、左右方向91の位置との関係の一例を示している。
【0057】
第1の判定処理方法では、腕によって光を遮られた第1センサ41の出力値は、腕の中央部に近いほど小さくなると考え、複数の第1センサ41のうち出力値が最小値となったものの位置が腕位置の左右方向91における中心として検出される。これによって、簡単な処理で腕位置の中心が検出される。腕位置の中心と身体位置の中心とを比較することで、左右判定が行われる。
【0058】
図9(B)では、腕位置検出部40の複数の第1センサ41のそれぞれの出力値と左右方向91の位置との関係の一例を黒丸(●)で示し、第1センサ41のそれぞれの基準値の一例を黒四角(■)で示している。
【0059】
第2の判定処理方法では、複数の第1センサ41毎の予め設定された基準値が制御部60内に記憶され、複数の第1センサ41のそれぞれの出力値と基準値とを比較することで腕位置の左右方向91における中心が検出される。
【0060】
具体的には、第1センサ41のそれぞれについて、出力値と基準値とが比較され、出力値が基準値よりも小さい場合(出力値<基準値)はLOWとし、出力値が基準値以上である場合(出力値≧基準値)はHIGHとして比較出力値を取得する。図9(C)に、第1センサ41のそれぞれの比較出力値の一例を示している。
【0061】
図9(C)に示す例では、第1の判定処理方法において腕位置の中心として検出されたセンサ位置43を含む3位置43,44,45がHIGHとなり、これら以外のセンサ位置はLOWとなった。第2の判定処理方法では、HIGHとなったセンサ位置43,44,45のうち中央のセンサ位置44が、腕位置の中心として検出される。
【0062】
複数の第1センサ41の出力値にバラツキがある場合でも、バラツキを補正する基準値との比較によって腕位置又は身体位置の中心を検出することで、腕位置又は身体位置の中心を正確に検出できるので、左手又は右手のいずれで表示入力装置20にタッチしたかの判定精度がより向上する。
【0063】
一例として、基準値は、操作装置10の個体毎に、所定条件下で予め取得された第1センサ41及び第2センサ51の出力値が、ROM62に記憶されたものである。
【0064】
また、他の例として、基準値は、操作者がタッチパネル22又は操作キー31〜33を前回操作した時から所定時間経過時における複数の第1センサ41のそれぞれの出力値に基づいて設定されたものとすることができる。例えば、具体的には次のように処理される。即ち、まず、CPU61は、タッチパネル22又は操作キー31〜33が操作された時からタイマ64をスタートさせる。CPU61は、タイマ64の計時時間が所定時間を超えた場合に、操作者が操作装置10の前から去ったと判断し、その時点での第1センサ41のそれぞれの出力値を取得する。CPU61は、この出力値から所定値を差し引く等の処理をした結果を基準値としてRAM63に記憶させる。
【0065】
これによって、腕位置検出部40や身体位置検出部50として光センサが用いられた場合に、画像形成装置1の配置場所の外光等の条件が時間とともに変化し、操作者が操作装置10の前にいない状態での第1センサ41及び第2センサ51のそれぞれの出力値が変動した場合でも、変動した条件に応じた基準値を設定でき、腕位置及び身体位置の中心を正確に検出することができる。このように、光センサに入射する光量における、操作装置10の使用時の天候や1日の中の時間帯による影響が低減される。このため、左手又は右手のいずれで表示入力装置20にタッチしたかの判定精度がより向上する。
【0066】
なお、上述の実施形態では、第1センサ41として受光素子を含み発光素子を含まない光センサを用いたが、発光素子及び受光素子を含む光センサを用いることもできる。第1センサ41として発光素子及び受光素子を含む光センサを用いた場合は、腕が第1センサ41に近付くことで第1センサ41の出力値が上昇する。よって、複数の第1センサ41のうち出力値が最大値となったものの位置を腕位置の中心として検出することができる。
【0067】
同様に、第2センサ51として発光素子及び受光素子を含む光センサを用いることもできる。第2センサ51として発光素子及び受光素子を含む光センサを用いた場合は、複数の第2センサ51のうち出力値が最大値となったものの位置を身体位置の中心として検出することができる。
【0068】
また、第1センサ41及び第2センサ51の少なくとも一方に、光センサに代えて、超音波センサを用いることもできる。
【0069】
さらに、タッチパネル22にタッチした手が左手又は右手のいずれであっても同じポップアップ画像を表示するように構成した場合でも、タッチパネル22にタッチした手によってポップアップ画像が隠されるという事態が防止される点で、操作性が向上する。
【0070】
また、タッチ位置81、腕位置、及び身体位置に基づいて、左右判定を行うこともできる。例えば、左右方向91において腕位置と身体位置とが同じである場合は、腕位置及び身体位置とタッチ位置81とを比較することで、左右判定を行うことができる。例えば、操作者が操作装置10に対して左向きに斜めに立って右手でタッチパネル22にタッチした場合であって左右方向91において腕位置と身体位置とが同じになった場合でも、このような場合はタッチ位置81は腕位置よりも左側に位置することになるはずなので、腕位置及び身体位置に対してタッチ位置81が左側である場合はタッチした手は右手であると判定できる。同様に、左右方向91において腕位置と身体位置とが同じであって腕位置及び身体位置に対してタッチ位置81が右側である場合はタッチした手は左手であると判定できる。これによって、左右方向91において腕位置と身体位置とが同じである事象が発生した場合でも、正確に左右判定を行うことができる。
【0071】
さらに、腕位置検出部40は、タッチ位置81と身体位置検出部50との間において検出動作を行うが、腕位置検出部40の複数の第1センサ41は、表示入力装置20よりも前面側に配置されることに限定されない。第1センサ41は、表示入力装置20に内蔵することもできる。例えば、表示入力装置20として、光センサ内蔵液晶表示装置を用いることができる。光センサ内蔵液晶表示装置は、液晶パネル内に光センサを内蔵し、タッチパネルを必要とせずに、液晶パネル表面での指のタッチや動き等を認識するように構成される。表示入力装置20として光センサ内蔵液晶表示装置を用いることで、腕位置検出部40を別に備えることなく、表示入力装置20によってタッチ位置81及び腕位置の両方を検出することができる。また、タッチ位置81から腕が延びる方向の影が二次元的に検出され、腕位置の検出精度がより向上する。表示入力装置20として光センサ内蔵液晶表示装置を用いた場合、タッチ位置81よりも前面側に配置された光センサが、腕位置検出部40の第1センサ41の役割を果たす。
【0072】
また、表示入力装置20がタッチされる毎に操作画面を左右方向91に横スライドさせて別の操作画面へ順次切り替える表示制御を行う場合に、CPU61が左右判定に基づいて、右手でタッチされたと判定した場合は操作画面を左側から右側へスライドさせ、左手でタッチされたと判定した場合は操作画面を右側から左側へスライドさせるように構成することもできる。これによって、タッチした手で隠されない方向から次の操作画面を表示させることができるので、操作性が向上する。
【0073】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
2 装置本体
10 操作装置
20 表示入力装置
21 表示部
22 タッチパネル
31〜33 操作キー
40 腕位置検出部
41 第1センサ
50 身体位置検出部
51 第2センサ
60 制御部
61 CPU
81 タッチ位置
82,83 ポップアップ画像
91 左右方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面を表示する表示部、及び前記表示部における操作者のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部を含む表示入力装置と、
左右方向の複数の位置で操作者の腕を検出する腕位置検出部と、
前記左右方向の複数の位置で操作者の身体を検出する身体位置検出部と、
前記腕位置検出部及び前記身体位置検出部の検出結果に基づいて左右いずれの手で前記タッチ位置検出部にタッチしたかの左右判定を行い、前記左右判定の結果に基づいて前記表示部の表示を制御する制御部と、を備える操作装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記左右判定の結果に基づいて、前記表示部中の一部に表示される部分画像の前記タッチ位置に対する表示方向を制御する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部中の一部に表示される部分画像であって互いに異なる複数の部分画像を記憶し、前記左右判定の結果に基づいて、複数の前記部分画像のうちから前記表示部に表示させる部分画像を選択する、請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記腕位置検出部及び前記身体位置検出部のうち少なくともいずれか一方は、複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記複数のセンサのうち出力値が最大値となったものの位置を腕位置又は身体位置の前記左右方向における中心として検出する、請求項1から3のいずれかに記載の操作装置。
【請求項5】
前記腕位置検出部及び前記身体位置検出部のうち少なくともいずれか一方は、複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記複数のセンサのうち出力値が最小値となったものの位置を腕位置又は身体位置の前記左右方向における中心として検出する、請求項1から3のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記腕位置検出部及び前記身体位置検出部のうち少なくともいずれか一方は、複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記複数のセンサ毎の予め設定された基準値を保持し、前記複数のセンサのそれぞれの出力値と前記基準値とを比較することで腕位置又は身体位置の前記左右方向における中心を検出する、請求項1から3のいずれかに記載の操作装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記タッチ位置検出部の前回検出時から所定時間経過時における前記複数のセンサのそれぞれの出力値に基づいて前記基準値を設定する、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の操作装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3619(P2013−3619A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130807(P2011−130807)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】