説明

支持体、特に自動車のヘッドレストにカバーを固締するための形材

カバー(4)に結合され得る形材(9)は、支持体(2)にカバー(4)を固締するためのものである。本発明によれば、形材が、少なくとも2つの部品からなるカバーのカバー分割部分(5.1、5.2)の結合領域、特に縫い目(6)を受容するための窪み(17)を有することが提供される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体にカバーを固締するための、カバーに結合され得る形材と、前記形材を備えた固締装置と、前記装置が設けられたヘッドレストとに関する。
【背景技術】
【0002】
問題とする種類の形材が、独国特許発明第19916542C1号明細書に開示されており、これは、車両シートのカバーを固締するためのものである。車両シートには、ほぼ長方形の断面を有する、周りを取り囲むような形のU形の鈎付きチャネルが設けられる。鈎付きチャネル内に挿入され、かつカバーに縫い付けられる形材の後ろで係合するよう、またこのような形で車両シートにカバーを固定するよう、前記断面内に突出する掛止突起部が設けられる。形材は全体に薄肉の設計であり、後ろで係合されるその区間は湾曲した形で形成され、したがって、挿入方向と反対の形材の自由端が掛止突起部に支えられる。カバーは、形材と重なる領域を有し、結合するための縫い目は、この中を案内され、形材側の端部でほぼ直角に曲がる。
【0003】
この種の装置は、外観の点において、かつ取り付けの点において、特に、一般にいくつかの部品からなる(たとえば革製の)硬いカバーを複雑な形状の支持体に固締する場合、満足できるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、多くの部品からなる複雑な形状のカバーを固締するのに適した仕様で、問題とする種類の形材を開発するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項1の前文に記載の形材によって解決される。この形材は、少なくとも2つの部品からなるカバーのカバー分割部分の結合領域、特に縫い目を受容するための窪みを有する。
【0006】
形材は、支持体のチャネル内に掛止する形で挿入され得る第1の区間と、形材をカバーに縫い付けるための、前記第1の区間に隣接する第2の区間と、窪みを有する第3の区間とを有することが好ましい。本発明の特定の発展形態によれば、支持体のチャネル内に掛止する形で挿入され得る第1の形材区間は、チャネル内で回転固定するように配置され、チャネルの多角形の断面の、互いに、たとえば対角線上に、向かい合った少なくとも2つの隅の領域で支えられることが好ましい。これにより、形材がチャネル内で正確に位置合わせされる。この位置合わせは、第1の形材区間がチャネルの割り当てられた領域をほぼ満たす場合に、特に正確なものとなる。
【0007】
第2の区間は、第1の区間及び第3の区間と比べて薄肉の設計であり、したがって、カバーに縫い付けることが容易となることが好ましい。
【0008】
窪みは、第3の区間の隅の領域内に形成されることが好ましく、この隅の領域は、支持体に面しており、したがってカバー分割部分の縫い目は、形材及び支持体の表面の2つの互いに隣接した表面によってU形に囲まれる。
【0009】
この場合、第3の区間には、特に90°〜130°の角度で、カバーを曲げるための、窪みと第2の区間との間に配置された領域が設けられることが好ましい。
【0010】
形材は、好ましくは押出成形された継ぎ目のないプラスチック糸の形態で、好ましくは発泡プラスチック、特にポリエチレン又はポリプロピレンから有利に製造される。この材料は、値段が比較的手ごろであり、その弾性特性により、カバーを縫い付ける時にちぎれるようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図は、本発明の実施形態の例を概略的に示している。
【0012】
図1に例示されている布張り本体1は、車両ヘッドレストの一部であり、支持体2と、発泡樹脂部3と、(たとえば革製の)カバー4とを備えており、カバー4は、外から見える側で発泡樹脂部3を覆う。設計が複雑であるために、カバー4は、外側のカバー分割部分5.1と、内側のカバー分割部分5.2とからなり、これらは、周りを取り囲むような形の縫い目6により互いに結合される。縫い目6により、カバー4上に、内側に突出するカバー分割部分5.1と5.2との重なり部7が生じる。
【0013】
支持体2の縁は、長方形の形でかつフレームの形で周りを取り囲むチャネル8を形成し、内側のカバー分割部分5.2に縫い付けられた形材9が、この中で掛止される。形材9は、カバーの円周全体を取り囲むような形でチャネル8内に挿入されるのではなく、チャネル8によって形成されたフレームの隅の領域を残した区間内でのみカバー上に配置される。したがって、形材9の個々の区間は、チャネル8内に挿入された場合、長手方向に、たとえ曲がったとしても、ほんのわずかしか曲がらない。
【0014】
押出し成形により発泡ポリプロピレンから製造された形材9は、図2から明らかなように、わずかに丸みのある縁10(半径R1、R2)を有する、第1の長方形の区間A、即ちほぼ正方形の区間を有し、この区間は、発泡構造の細孔を除いて、即ちさらなる空洞を有さず、高密度に形成される。したがって、比較的耐変形性を有する。この区間Aは、チャネル8内で掛止するためのものである。区間Aは、同様に高密度の、帯状の区間Bに隣接し、この1つの表面側11は、区間Aの側面12と同一平面上にあり、区間Bのこれに平行な表面側13は、区間Aの他の側面14に対してオフセット部15を有する。したがって、区間Bの領域内の材料厚さdは、区間Aの材料厚さD1より小さい。例示的実施形態においては、材料厚さdは、材料厚さD1の約55%である。
【0015】
区間Bの延在部として、形材9は区間Cを形成し、この側面16は、最初に区間Bの表面側11の延在部を構成するが、その後再び元に戻り、長方形の窪み17を形成する。長方形の窪み17は、区間Cの隅の領域内に段の形で(側面16’、16’’)配置され、この隅の領域は側面16に割り当てられ、側面16’’は、区間Bの表面側13の仮想延在部としてほぼ窪み17の領域内を走る。
【0016】
形材の反対側で、区間Cが区間Bに突出し、側面18が形成される。この側面18は、反対側の表面16に平行に走り、第1の凹状の半径R3及び隣接する凸状の半径R4の配置により、区間Bの、同様に平行な表面側13に結合される。側面18は、区間Aの側面14に対して、これも平行に、外方にオフセットしており、したがって、区間Cの最大の材料厚さD2は、材料厚さD1より大きい。例示的実施形態においては、材料厚さD2は、材料厚さD1の約1.3倍である。窪み17と反対の領域において、側面18は、窪み17の方向に外方に走り、かつ窪み17に開口している斜面19に隣接する。したがって、斜面19は、端面20の反対側にあり、これは、区間Aの側面12、14を結合し、前記端面に対して傾斜した形で走る。傾斜角αは、約25°である。区間Cも、発泡構造の細孔は別にして、高密度に形成される
【0017】
形材9を受容するための、好ましくは射出成形により、支持体2の端部側に成形されたチャネル8は、ほぼU形の設計であり、短い方のリム21(図3)には、チャネル8内の内方に突き出た掛止突起部22が付けられる。掛止突起部22は、形材9のオフセット部15の後ろで、掛止突起部22のこの側に置かれたリム21の一部と係合し、U形チャネル8の基部23及び他のリム24が、わずかな応力で、形材9の側面12、14及び端面20の横に寄り添う形となる。形材9の区間Aは、その隅の領域は別として、チャネル8の該当する約正方形の断面を満たす。このような手段により、形材9は、その挿入方向に、かつチャネル8内に回転固定するような形で保持される。
【0018】
短い方のリム21は、掛止突起部22のその側部上を、形材9の区間Bを越えるまで延在するが、これに平行な、長い方のリム24は、さらに、表面側11及び側面16に沿って区間Cの端部まで走る。ここには、形材9から逆に湾曲した形で走り、かつ発泡樹脂部3内で細くなる、曲がった部分25が設けられる。したがって、外方に開放された窪み17は、3つの互いに隣接した壁、即ち、形材9の側面16’及び16’’と支持体2のリム24とによって境界づけられる。
【0019】
内側のカバー分割部分5.2は、区間Bの領域内で形材9に縫い付けられ、カバー4は形材9に接し、リム21から間隔が置かれる。形材9の発泡ポリプロピレンは、この過程で損傷することはない。カバー分割部分5.2は、半径R3及びR4に沿って区間Bとリム21との間の隙間から出て、その後、形材9の側面18及び斜面19に接する。この領域内で、カバー4は、発泡樹脂部3の方向に約115°の角度で曲がる。カバー分割部分5.1と5.2とを互いに結合する縫い目6は、重なり部7が窪み17内に突出するように配置される。したがって、縫い目6の外から見える領域内に、煩わしい、外方に突き出たビードが形成されず、したがって、チャネル8によって形成された周りを取り囲むような形のフレームの隅の領域においても、魅力的な外観が維持される。さらに、ほぼ回転固定するように形材9を固定することにより、カバー4内の波しわが回避される(弾性変形については無視することとする)。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従って設計された形材を使用する、カバーが設けられた布張り本体の断面図。
【図2】図1に例示されている形材の別の拡大断面図。
【図3】装着された状態の、図2の形材を示す。
【符号の説明】
【0021】
1 布張り本体
2 支持体
3 発泡樹脂部
4 カバー
5.1、5.2 カバー分割部分
6 縫い目
7 重なり部
8 チャネル
9 形材
10 縁
11 表面側
12 側面
13 表面側
14 側面
15 オフセット部
16 側面
17 窪み
18 側面
19 斜面
20 端面
21 リム
22 掛止突起部
23 基部
24 リム
25 曲がった部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(2)にカバー(4)を固締するための、前記カバー(4)に結合され得る形材(9)であって、前記形材(9)が、少なくとも2つの部品からなるカバー(4)のカバー分割部分(5.1、5.2)の結合領域、特に縫い目(6)を受容するための窪み(17)を有することを特徴とする形材。
【請求項2】
前記形材(9)が、前記支持体(2)のチャネル(8)内に掛止する形で挿入され得る第1の区間(A)と、前記形材を前記カバー(4)に縫い付けるための、前記第1の区間に隣接する区間(B)と、前記窪み(17)を有する区間(C)とを有することを特徴とする請求項1に記載の形材。
【請求項3】
前記支持体(2)の前記チャネル(8)内に掛止する形で挿入され得る前記区間(A)が、前記チャネル内で回転固定するように配置されることを特徴とする請求項1の前文に記載の、特に請求項2に記載の形材。
【請求項4】
前記区間(A)が、前記チャネル(8)の多角形の断面の、少なくとも2つの隅の領域内で支えられることを特徴とする請求項3に記載の形材。
【請求項5】
前記区間(A)が、前記チャネル(8)の割り当てられた領域をほぼ満たすことを特徴とする請求項4に記載の形材。
【請求項6】
前記区間(B)が、前記区間(A)及び(C)と比べて、薄肉の設計であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の形材。
【請求項7】
前記窪み(17)が、前記区間(C)の隅の領域内に形成され、該隅の領域が、前記支持体(2)に面することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の形材。
【請求項8】
前記区間(C)に、特に90°〜130°の角度で、前記カバーを曲げるための、前記窪み(17)と前記区間(B)との間に配置された領域が設けられることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の形材。
【請求項9】
前記形材(9)が、好ましくは発泡プラスチック、特にポリエチレン又はポリプロピレンから製造される、好ましくは押出し成形されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の形材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の、支持体(2)のチャネル(8)内に掛止する形で挿入され得る形材(9)を備えた、前記支持体(2)に少なくとも2つの部分からなるカバー(4)を固締するための装置。
【請求項11】
前記チャネル(8)が、ヘッドレストの前記支持体(2)の縁に配置され、該縁が、フレームの形で前記支持体の周りを取り囲む請求項10に記載の装置を備えたヘッドレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−543454(P2008−543454A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517348(P2008−517348)
【出願日】平成18年5月20日(2006.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004795
【国際公開番号】WO2006/136250
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)