説明

支持体に固定されるワイヤリングを備えるシート、シートを組み立てる方法、及びシートのワイヤリング用の平坦な導体の使用方法

シート、特に車輌用のシートに関する発明であり、このシートは、支持体内及び/又は支持体上に容易に取り付け可能な平坦なワイヤリングを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車輌用のシートと、平坦かつ簡易な方法で取り付けられ、支持体内及び/又は支持体に嵌合されるワイヤリングに関する。本発明はさらに、シートを組み立てる方法、及びシートのワイヤリング用の平坦な導体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤリング用として、ルーフライニング内或いはドアパネル上に平坦な導体を使用する車輌が、公知である。ドイツ公開特許出願明細書DE199 30 014は、ルーフライニング内或いはカーペットの下に、ワイヤハーネスを収容するのを容易化するために、すでに存在する自動車のコンポーネントに、直接ストリップ型導体を取り付ける技術を開示する。
【0003】
車輌シートは、かつてより複雑な方法で、例えば、自動シート調節用モータと、シート暖房システム或いはセンサとを装備する。これらのシートコンポーネントは、一般的に電気的に接続されるため、このタイプの車輌シートのワイヤリングは、複雑である。現在まで、固定要素によってシートの支持構造に固定される円形の導体が使用されてきた。この目的のため、支持構造は、穴を備え、これは製造の点では複雑であり、支持構造の安定性を低下させる。
【0004】
車輌シートのコンポーネントは、搭乗者の重量、搭乗者の移動、及び車輌が移動する間の動的な積載のため、加重に耐え、及び持ちこたえなければならず、搭乗者の着座快適性に負の影響を与えてはならない。
【0005】
さらに、車輌内空間は、最適に使用され、重量及びコストは最小化されなければならない。
【0006】
ドイツ公開特許出願明細書DE199 43 890 C1は、自動車シートのシート部を開示し、そのバネ支持構造上には、樹脂プレートが挟持されており、この樹脂プレートには、シート機能のため要求されるシートサブアセンブリの接続用に少なくとも1つのソケットと、車輌の給電への接続用に少なくとも1つのソケットとが、統合され、このソケット群は、相互に、樹脂プレート内に注入される導体によって接続される。この樹脂プレートは、接続されるべきコンポーネントの機能として、及びシートの形状の機能として、モデルシリーズに適合していなければならない。これにより、独立した、及び場合によっては複雑な製造が必要となり、多大な構造上空間が占有される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特に車輌用に、コスト効率のよいシート用ワイヤリングを提供することにあり、このワイヤリングは、簡易に製造され、簡易な方法で取り付けられ得、コンパクトで耐磨耗性を有し、着座快適性に負の影響を与えず、その重量が最小化される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特に車輌用のシートによって達成され、このシートは、支持構造と、支持体と、及びシート暖房システムから離隔するワイヤリングを有し、このワイヤリングは、支持体に固定される。
【0009】
本発明にかかるワイヤリングのシートの支持体への固定により、組み立て作業中に、固定要素を用いて、ワイヤリングを支持構造に固定する必要がない。固定要素のための労力及び要件に関する費用は、不要となり、これにより、アセンブリコストに好ましい効果が得られ、ワイヤリングを固定するために、支持構造内に穴を設ける必要がないため、支持構造の安定性が、維持される。
【0010】
支持体は、実質的に、弾性及び/又は樹脂設計である。これは、実質的に、シートの構造形成コンポーネントによって規定される形状に適合する。シートの構造形成コンポーネントと対照的に、支持体は、少なくともシートの快適性提供コンポーネントのすべてを具備する。本発明によれば、支持体は、特に、布張り支持体或いはシートの布張りとして説明される。当業者であれば、快適性提供支持体とは離れて、シートが、好適には平坦に、このため実質的に2次元で延設される、1つ又は複数の更なる支持体を有し得、これにより、例示的及び好適には、シートにワイヤリングが配置され得ることを、理解し得る。当業者であれば、さらに、1つ或いは複数のさらなる支持体が、快適性提供支持体上に依然残る必要がないことを、理解し得る。
【0011】
支持体は、好適には、少なくとも部分的に多層であり、ワイヤリングは、特に好適には、これら多層の1つに固定される。複数のステップによる支持体の製造がこのため、可能となり、ワイヤリングが固定される層が、支持体のさらなる単層或いはさらなる複数層に相互に結合される前に、予め製造されることを可能とする。
【0012】
当業者であれば、ワイヤリングがまた、車輌シート用のシート暖房システムの給電(電流供給ライン)を具備するが、シート暖房システム自体を含まないことを理解する。
【0013】
好適な実施形態において、多層は異なる材料から形成される。結果として、支持体は、非常に可撓性の高い方式で、シートの要件、例えば、耐熱性、通気性、防湿性、耐湿性、或いは気圧配置に適合し得る。これは、特に発泡性材料、ゴム引きヘア等から成るが、さらなる層、例えばフェルト或いはフリースマット、又はウールパッド或いはフリースで充填される層を有してよい。リサイクル可能な材料は、特に好適に使用される。
【0014】
シートは、好適には、複数の支持体を有し、ワイヤリングは、この支持体の少なくとも1つに固定される。接続されるべき民生品の位置に依存して、1つ又は複数の支持体上へのワイヤリングの配置は、短線(short line)を許容し、その結果、ワイヤリングはコスト効率的となる。それぞれの支持体上へのワイヤリングの配置は、シートのアセンブリの前に事前に製造され得、これにより、支持体は、シートのアセンブリの間、特に簡易な方法で取り付けられ得る。例えば、ワイヤリングを有する支持体は、実質的に平坦な方式で延在する構造形成コンポーネント上に配置され得、或いはその中に単純に位置付けられることすら可能となる。シートのアセンブリは、このため、非常に迅速に実行され得、非常にコスト効率的となり得る。
【0015】
特に非常に好適な実施形態において、ワイヤリングは、フェルトマットに固定される。結果として、ワイヤリングは、実質的に平坦な表面上に固定され、これは、簡易かつ迅速な方法で実行され得、特にワイヤリングは、事前に折り曲げられる。事前に折り曲げられたワイヤリングは、保管の観点から少ない空間しか占めない。フェルトマットは、耐久性に優れ、コスト効率的である。当業者であれば、フェルトマットに替えて、実質的に平坦な設計、即ち実質的に2次元設計である異なる材料のマットから成ってもよいことを理解し得る。
【0016】
特に好適な実施形態において、フェルトマットは、複数の支持体の1つを形成する。支持体は、特に好適には、実質的に平坦な方式で延設される構造形成シートコンポーネント、例えばクッションシェル上に配置される。この実施形態において、布張りを形成し、適切な場合には、少なくとも部分的にさらなる機能を含む快適性提供支持体、例えばシートエアバックは、このため、ワイヤリングの配置により変更されない。本発明によれば、支持体の配置、例えば、クッションシェルの表面上に、快適性提供支持体と反対側に位置するフェルトマットにより、ユーザのための着座快適性がワイヤリングにより影響されることが全くなく、ワイヤリングの材料がこのため、ワイヤリングが快適性提供支持体内或いはその上に配置される場合よりも、快適性の少ない設計、例えば可撓性の少ない設計で足りるという利点が得られる。従来型のワイヤリング、特に平坦な導体が、このため使用され得る。
【0017】
快適性提供支持体から離隔して、ワイヤリングを有し、フェルトマットに替えて例えば発泡性材料から成るさらなる支持体を、シートが有する実施形態も同様に有利であり、このシートの支持構造は、実質的にフレームの形式で、例えば格子の形式で提供される。
【0018】
ワイヤリングは、好適には、平坦な導体を具備し、このワイヤリングは、特にFFC(ホイル絶縁銅トラック、可撓性平坦ケーブル(Flexible Flat Cable))、FFCe(可撓性平坦押出ケーブル(Flexible Flat Cable extruded)、及び/又はFPC(プリントホイル回路、可撓性プリント回路(Flexible Printed Circuit))である。FFC材料とFFCe材料との相違は、FFC材料と対照的に、FFCe材料は、積層ではなく押出される点にある。
【0019】
当業者であれば、可能な限り薄い厚さの他の平坦な導体、有利には、1mm以下の大きさのオーダーのものが、好適であることを理解する。
【0020】
平坦な導体は、有利には、多重の導体を有してよい。結果として、複数の民生品、及び、適切な場合には、複雑な方式で接続される民生品が、ワイヤリングに接続され得る。当業者であれば、全ての導電体が好適であることを理解する。
【0021】
平坦な導体の使用により、適切な場合には、円形導体を使用するワイヤリングと比較して、ワイヤリングの重量を低減することが可能となる。これは例えば、適切な場合には、シートの支持構造に沿って実質的に案内されなければならない円形の導体よりも、平坦な導体は、接続されるべき民生品/接点の間をより直接的に案内され得るからである。
【0022】
さらに、FFC及びFPCワイヤリングは、比較的容易に再使用され得る。
【0023】
その厚さが薄いため、ワイヤリングは、実質的に2次元であり、このため、2次元的に配置するのに特に好適である。ワイヤリングは、このため、実質的に平坦に配置され得、或いは配置される表面上に、非常に簡易な方法で嵌められ得る。
【0024】
平坦な導体が使用される場合、そのごく僅かな厚さのため、より少ない構造上の空間しか必要とならない。
【0025】
特にシート表面の領域及びバックレスト表面の領域において、即ち、車輌の搭乗者と接触するそれぞれの主表面において、シートの構造形成コンポーネント及び支持体の間の接続表面は、実質的に平面設計、即ち、実質的に2次元設計である。この領域において、平坦な導体を備えるシートワイヤリングの本発明に係る使用は、特に好適である。
【0026】
本発明の好適な実施形態において、ワイヤリングは、このため、支持体内に提供され得、即ち、少なくとも部分的に支持体の層構造中に統合され得る。これにより、特に支持体構造上において、固定要素が削減され、これにより支持構造内の固定要素用に穴が提供される必要がなく、支持構造の安定性が低減されず、製造がこのためより複雑でなくなり、よりコスト効率的となる。
【0027】
支持体は、好適には、可視面及び背面を有し、ワイヤリングは、この背面に提供される。結果として、ワイヤリングは、不可視であり、シート外観は、維持される。さらに、ワイヤリングは、結果として、車輌の搭乗者から可能な限り遠くに配置されるので、このため、一方、搭乗者及び/又は他の効果、例えば、湿度、気温等により加わる力は、大幅にワイヤリングに寄せ付けられない。この点、本発明によれば、ワイヤリングは、特に支持体の背面に提供される。支持体の前面或いは可視面は、好適には、装飾層を有する。
【0028】
比較的薄い厚さのワイヤリング、及び支持体の弾性及び/又は可塑性により、着座快適性は、ワイヤリングの支持体内の、及び/又は支持体への嵌め込みにより、負の影響を受けず、同程度のシート容量/重量を前提として、布張りのためより大きい空間/重量が可能となるため、シートは、より快適になり得る。
【0029】
さらに、支持体、及び/又は支持体の層は、ワイヤリングが位置する凹部を有し、或いは、ワイヤリングは、好適には同一の材料の層内に埋め込まれる。
【0030】
特に好適には、フェルトマットは、支持体の背面を形成する。このワイヤリングはこのため、特にバネマット及び/又は更なるシートの構造形成コンポーネント上に位置する場合、フェルトマットにより保護される。
【0031】
ワイヤリングの固定は、好適には、接着及び/又はタッチ・アンド・クローズ・ストリップ(Touch-and-close strips)の手段及び/又はさらなる固定手段により、行なわれる。当業者であれば、たとえワイヤリングが、例えば搭乗者の移動、熱或いは湿気により連続的ストレスを受けた場合であっても、ワイヤリングが緩むことなく安定した接続を保証するさらなる固定手段が、好適であることを理解する。
【0032】
例えば、支持体は、ワイヤリングが固定される面で、即ち、背面で、ループ編み上げ織物から成ってもよく、或いは、ループ編み上げ織物は、支持体上に容易に縫い付けられる、及び/又は接着されてもよく、これにより、ワイヤリングは、例えばタッチ・アンド・クローズ・ファスナーで、ループ編み上げ織物上に、或いはループ編み上げ織物により、容易に固定され得る。接着、或いはワイヤリングを、タッチ・アンド・クローズ・ストリップにより、縦編み織物或いは編み上げ織物或いは特にフェルトマットに固定することは、容易かつ迅速に実行され得、これにより、ワイヤリングのこの固定は、非常にコスト効率的となる。
【0033】
好適な実施形態において、ワイヤリングの複数の層が、相互の上に配置される。ある実施形態において、ワイヤリングの層のそれぞれに、ワイヤリングが固定される支持体の層が、提供される。これによりまた、ワイヤリングが使用される機能を、モジュール式で空間的に分離することが、達成され得る。さらなる実施形態において、ワイヤリングの複数層は、支持体の層の1つに固定され、これにより、より少ない空間で足りる。
【0034】
ワイヤリングの複数層を相互に上下に配置することにより、ワイヤリングシステム全体の多数の変形例が、同一又は同様なワイヤリング層で達成され得る。ワイヤリング層を製造するための部品の数は、このため、少なくなり、ワイヤリングは、よりコスト効率的に製造され得る。最小在庫管理は、少ない部品数のため、コスト効率的となる。
【0035】
また、複数のワイヤリング層が、相互に上下に配置される場合、比較的薄い厚さとは、シートで要求される構造空間が少なく、着座快適性が負の影響を受けないことを意味する。
【0036】
シートの好適な実施形態において、回路コンポーネントは、ワイヤリングの一部である。
【0037】
本発明の脈絡における回路コンポーネントは、特にワイヤリングに(その製造中)統合される、プラグ、センサー、受動コンポーネント、能動コンポーネント、集積回路、及び/又は複合回路である。当業者であれば、回路コンポーネントはまた、電気部品を備えることを理解する。特にワイヤリングがFPC材料で設計される場合、単に導体材料或いは断面を変更することにより−例えば、抵抗が要求される場合には−、又は導体の空間上の配置により−例えば、コイルが要求される場合には−、いくつかの回路コンポーネントが、位置付けられてもよい。結果として、シートの製造に必要となる部品数が、大幅に低減され、アセンブリが大幅に簡易となり、コストが、著しく低減する。中間的接点がないため、エラー頻度、例えば緩い接続、特に車輌操作中の連続的かつ突然の荷重によるエラーの頻度は、低くなる。中間的接点の節減は、コンポーネントのみでなく、適応及びアセンブリの費用がまた省略されるため、コスト効率的である。
【0038】
ワイヤリング或いはワイヤリングの部分は、データ転送用のバスライン、及び/又はアンテナとして使用され得る。
【0039】
ワイヤリングは、好適には、前もって、ハンダ付け、プラグイン、及び/又はクランピングにより、接続コンポーネントに接続される。
【0040】
支持体の領域に配置される接続コンポーネントは、例えば、ファンモータ或いはセンサーマットである。これらは、好適には、その製造中(事前の製造)、すでにワイヤリングに接続される。支持構造コンポーネントは、支持構造上、或いはそのすぐ近くに位置するもの、例えば、モータ及び/又は制御装置である。本発明によれば、支持構造コンポーネントは、ワイヤリング及び/又は接続コンポーネントに、特にハンダ付け、プラグイン、及び/又はクランピングにより、接続される。
【0041】
当業者であれば、適切な接続安全性を提供し、少ない空間しか要求することのない、導電体を接続するためのあらゆる形式の接続が、好適であることを理解する。
【0042】
接続コンポーネントは、好適には、ワイヤリングを、支持体の層に固定する間、及び/又はその直後に、接続される。1つの支持体の層のみを備えるサブアセンブリ、及びワイヤリングは、複数の支持体の層及びワイヤリングを備えるサブアセンブリ、或いは支持体の部分が、既にシートに嵌められたサブアセンブリより、よりクリアである。より良好な透明性のため、ワイヤリングを支持体層に固定する間及び/又はその直後の、接続コンポーネントの接続は、より簡易かつ迅速に実行され得、誤った接続の頻度は、同時に低減される。さらに、支持体の個々の層の容積が、多層のサブアセンブリ或いはシートの場合と比較して、少なく、分厚くないため、整備工は、少なくとも部分的に、この製造工程で、直立して或いは着座して、接続を実行することができる。さらに、より少ない数の層は、テーブル上に載置することができる。接続は、また、アクセスが困難な領域、或いは整備工が、特にその手を負傷するリスクのある領域で実行される必要がない。結果として、取り扱いは、全体的に、整備工にとって単純化される。
【0043】
ワイヤリングは、好適には、インターレース接続及び/又は短枝接続により、支持構造コンポーネントに接続される。これは、特に、ワイヤリングは、適切な場合には、そのサブ領域の全てで支持体に固定的に接続はされず、特にその接続端で、少なくとも部分的に可撓性を有し、このため、こうしたワイヤリングのサブ領域は、それへの接続用の支持構造コンポーネントをもたらすという意味であると理解されるべきである。この場合、このタイプの接続端は、特に、ワイヤリング平面から移動し、これにより、ワイヤリング全体は、3次元構造であると見なされる。ワイヤリングが、タッチ・アンド・クローズ・ファスナーにより、支持体に固定される場合、“インターレース接続”或いは“短枝接続”が、例えば、最後の(先行する)タッチ・アンド・クローズ点から、できる限り遠くに、ワイヤリングの端部の1つにより、形成される。
【0044】
支持構造は、シートのすべての構造提供コンポーネントを具備する。支持構造コンポーネント、例えば、モータ或いは制御装置は、その近傍に据え付けられる。本発明によれば、インターレース接続及び/又は短枝接続は、ワイヤリングの部分であり、これに固定的に接続される。
【0045】
結果として、ワイヤリングの支持構造への依存は、最小となり、ワイヤリング及び支持構造は、非常に大幅に、互いに独立して開発され得る。ワイヤリング及びそのアセンブリの構造は、このため、簡易となる。
【0046】
ワイヤリングは、好適には、特にその取り付け状態において、実質的に、支持体と同程度に可撓性を有するか、支持体より高い可撓性を有する。これにより、ワイヤリングが、シートで或いはシート上で起きる移動による、支持体よりも大きな劣化に晒されることがないという効果が得られる。結果として、さらに、ワイヤリングの敷設は、まず簡易であり、さらに、ワイヤリングを支持体に固定することが可能となる。
【0047】
ワイヤリングは、すなわち、多量の力、例えば、搭乗者の重量による表面荷重、或いは角張った物体がシートに置かれた場合のスポット型荷重に晒される。ワイヤリングは、シート形状及び負荷へのその可撓性により、これに適応し、耐磨耗性を有する。
【0048】
車輌シートは、例えばシートのバックレストの調節、コクピットからのシート高さ或いは距離の調整で、頻繁に移動される。結果として、シートのコンポーネント、例えばモータ或いは制御装置、からのワイヤリングの距離は、何回も変動する。ワイヤリングの可撓性により、こうした移動が損傷効果をもたらすことが防止される。建造中、ワイヤリングを、異なるシートの異なる形状に適合させることは、その可撓性のため、より容易となる。
【0049】
本発明の目的は、さらに、支持構造と、支持体と、及びシート加熱システムと離隔するワイヤリングとを有する、特に車輌用のシートの組み立て方法により達成され、この方法は、以下のステップを含む:
a)ワイヤリングを、支持体の層に固定し、
b)支持体の多層を、シート上に嵌め込み、
c)前記支持体に共に連結する、
ここで、ステップc)は、ステップb)の前或いはステップb)の後のいずれかで実行される。結果として、ワイヤリングの固定は、そのシートへの嵌め込みと独立して実行される。
【0050】
シートのワイヤリングは、このため、その支持構造から非常に独立する。
【0051】
ワイヤリングを、車輌の支持構造に、固定要素により固定するための費用が、省略される。支持構造の安定性は、維持され、固定要素は要求されず、労力にかかる費用は、著しく低減される。
【0052】
さらに、接続コンポーネント、及び/又は支持構造のワイヤリングへの接続は、簡易となる。
【0053】
本発明の目的は、さらに、支持体を有する特に車両用のシートの、シート暖房システムから離隔する、ワイヤリング用の平坦な導体の使用により達成され、このワイヤリングは、支持体内及び/又は支持体に固定される。
【0054】
シートのワイヤリングに要求される構造上の空間は、平坦な導体の使用により、小さくなる。ワイヤリングの重量は、適切な場合には、円形導体の手段によるワイヤリングと比較して、より低い。ワイヤリングは、支持体内及び/又は支持体に、迅速かつ簡易に締結され得、シートの取り付けは、このため、簡易かつコスト効率的となる。ワイヤリングと、適切な場合には、接続コンポーネントを、サブアセンブリとして事前に製造することにより、積載、製造及び組み立てにかかる費用は、低減され、コスト効率的となる。
【0055】
説明された、シート、特に車輌用のシートのワイヤリングは、耐磨耗性があり、簡易な方法で取り付け可能であって、コスト効率的かつ省スペースである。その重量は、最小化され、シート快適性に負の効果をもたらさない。さらに、本発明に係るワイヤリングが使用される場合、必要な構造上の空間は、小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明は、図面を参照して、例示的実施形態を用い、以下説明される。
【0057】
図1は、車両用シートのバックレストのワイヤリング3の可能な配置を模式的に図示する。このワイヤリング3は、支持体1内及び/又は支持体1に固定され、本発明によれば、特に、平坦な導体を具備する。これは、接続コンポーネント2、例えば、シートに取り付けられ、正確には実質的に支持体1の領域に取り付けられるシート暖房要素或いはファン要素に接続される。この場合、シート暖房要素は、また、特に装飾的な層、例えば装飾的材料或いは革内に、取り付けられる。支持体1は、バックレスト部の支持体(参照符号によっては独立して図示されない)、及びシートの支持体1(参照符号によっては独立して図示されない)との双方を具備する。図3において図示されるシートのバックレスト部7及びシート部8は、共に、支持構造4−特に金属製形状で提供され−、及びシートの支持構造4として全体的に参照される−を有する。本発明によれば、支持構造4はまた、当然ながら、樹脂或いは他の好適な材料から成る。さらに、バックレスト部7及びシート部8の双方は、そのそれぞれの支持構造4の部分で、使用の主表面として、搭乗者或いはシートのユーザと接触する実質的に大部分が平坦である表面を有するが、支持体1は、支持構造4のこれらの表面と、ユーザとの間に据え付けられる。ワイヤリング3は、その後、支持構造4及び支持体1の間に統合され、又は、支持構造4及び支持体1(の背面)の間の接続表面の少なくとも近傍で、支持体1内に統合される。本発明によれば、この接続表面は、少なくとも支持体1或いはワイヤリング3の可撓性と比較して、大部分が平坦な形状で提供される。
【0058】
図2は、車輌用のシートのバックレストのワイヤリングの可能な配置を、図示する。支持体1上或いはその領域に配置される接続コンポーネント2が、図示される。支持構造コンポーネント5、例えばモータ或いは制御装置が、その上或いはその直ぐ近傍に据え付けられている支持構造4の部分が、また、図示される。アセンブリの間、支持構造コンポーネント5は、インターレース接続及び/又は短枝接続(参照符号によっては特に指示されない)によって、ワイヤリング3に接続される。
【0059】
ワイヤリング3を有する支持体1は、実質的に平面形状で延在する材料、例えば、フリース或いはフェルトマット6から製造され、可能な実施形態において、支持体1の層−図示される支持構造4がフレームの形状の場合−、或いは、同様に可能な実施形態において、さらなるシートの支持体1−図示される支持構造4が、少なくとも部分的に平面形状でバックレスト7上に延設される場合−を形成する。
【0060】
本発明は、多数のタイプの車輌、例えば、自動車、船舶、或いは航空機のシートで使用され得る。
【0061】
図3は、車輌用のシートの可能な実施形態を図示する。シートは、支持体1及び支持構造4とを具備する。この支持構造4は、シートの構造提供コンポーネントのすべてを具備し、支持体1は、少なくとも、シートの快適性提供コンポーネントのすべてを具備する。構造形成コンポーネント4は、フレームの形状で提供される。シートは、実質的に垂直に配置されるバックレスト7と、実質的に水平に配置されるシート部8とを有する。
【0062】
図4は、車両用シートのバックレスト7のワイヤリング3の、支持構造4上に布張りされた後のさらなる可能な配置を、模式的に示す。支持体1は、ワイヤリング3が固定されるフェルトマット6を具備する。接続コンポーネント2は、フェルトマット上に配置される。接続コンポーネント2のワイヤリング3への接続は、ワイヤリング3がフェルトマット6に固定される間、及び/又はその直後に、行なわれ、支持体1に共に接合されることとは、独立している。支持構造コンポーネント5は、インターレース接続及び/又は短枝接続により、ワイヤリング3に接続される。
【0063】
特に好適な実施形態において、シート部8でのシートのワイヤリングは、実質的に平面形状で延設されるシートの支持構造4であるクッションシェルの下に配置されるフェルト或いはフリースマット6の形状で、支持体1により行なわれる。この実施形態において、支持体1とワイヤリング3、及び実質的に快適性提供コンポーネントと少なくとも支持構造4の部分は、相互に独立して事前に製造され、これにより、事前に製造された支持体1を支持構造4上に配置することによるシートのアセンブリは、非常に迅速かつ、このためコスト効率的に、行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、車輌シートのバックレストのワイヤリングの可能な配置を、模式的に示す図である。
【図2】支持構造上に布張りをした後の、車輌シートのバックレストのワイヤリングの可能な配置を、模式的に示す図である。
【図3】車輌シートの可能な実施形態を模式的に示す図である。
【図4】支持構造上に布張りをした後の、車輌シートのバックレストのワイヤリングのさらなる可能な配置を、模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 支持体
2 接続コンポーネント
3 ワイヤリング
4 支持構造
5 支持構造コンポーネント
6 フェルトマット
7 バックレスト
8 シート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(4)と、支持体(1)と、及びシート暖房システムから離隔するワイヤリング(3)とを有する特に車輌用のシートであって、
前記ワイヤリング(3)は、前記支持体(1)に固定される
ことを特徴とするシート。
【請求項2】
前記支持体(1)は、少なくとも部分的に多層であって、
前記ワイヤリング(3)は、好適には前記多層の1つに固定される
ことを特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記多層は、異なる材料から形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート。
【請求項4】
前記シートは、複数の支持体(1)を有し、
前記ワイヤリング(3)は、少なくとも前記支持体(1)の1つに固定される
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のシート。
【請求項5】
前記ワイヤリング(3)は、フェルトマット(6)に固定される
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のシート。
【請求項6】
前記フェルトマット(6)は、前記複数の支持体(1)の1つを形成する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のシート。
【請求項7】
前記ワイヤリング(3)は、平坦な導体を具備する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載のシート。
【請求項8】
前記ワイヤリング(3)は、前記支持体(1)に嵌合される
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか記載のシート。
【請求項9】
前記支持体(1)は、可視面及び背面を有し、
前記ワイヤリングは、前記支持体(1)の前記背面に備えられる
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか記載のシート。
【請求項10】
前記フェルトマット(6)は、前記支持体(1)の前記背面を形成する
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか記載のシート。
【請求項11】
前記ワイヤリング(3)の前記固定は、接着、及び/又はタッチ・アンド・クローズ・ストリップによって、及び/又は更なる固定手段によって行われる
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか記載のシート。
【請求項12】
前記ワイヤリング(3)の複数の層は、互いに上下に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか記載のシート。
【請求項13】
回路コンポーネントが、前記ワイヤリングの部品である
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか記載のシート。
【請求項14】
前記ワイヤリング(3)は、接続コンポーネント(2)、及び/又は支持構造コンポーネント(5)に、予めハンダ付け、プラグイン、及び/又はクランピングで製造されることにより接続される
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか記載のシート。
【請求項15】
前記ワイヤリング(3)は、インターレース接続、及び/又は短枝接続により、前記支持構造(4)上に、或いはこれと直接近接して位置する前記支持構造コンポーネント(5)に接続される
ことを特徴とする請求項14に記載のシート。
【請求項16】
前記ワイヤリング(3)は、実質的に、前記支持体(1)と同程度の可撓性を有する、或いは、前記支持体(1)より高い可撓性を有する
ことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか記載のシート。
【請求項17】
支持構造(4)と、支持体(1)と、及びシート暖房システムから離隔するワイヤリング(3)とを有する、特に車両用のシートであって、以下のステップを含むことを特徴とする方法:
a)前記ワイヤリング(3)を、前記支持体(1)の層の1つに固定し、
b)前記支持体(1)の多層を、前記シート上に嵌め込み、
c)前記支持体(1)を相互に結合し、
前記ステップc)は、前記ステップb)の前或いは前記ステップb)の後のいずれかに行われる。
【請求項18】
支持体を有する、特に車両用のシートのシート暖房システムから離隔するワイヤリング(3)用の平坦な導体の使用方法であって、
前記ワイヤリング(3)は、前記支持体(1)内及び/又は前記支持体(1)に固定される
ことを特徴とする使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505790(P2007−505790A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527356(P2006−527356)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010703
【国際公開番号】WO2005/030524
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】