説明

支線保護カバ−用留具の着脱工具

【課題】本発明は、支線保護カバ−を係着部材でもって容易に、しかも、迅速かつ確実に作業能率よく開閉自在に着脱せしめることができる、支線保護カバ−用留具の着脱工具を提供するものである。
【解決手段】長手方向に沿って開口部14が形成されてなる筒状の支線保護カバ−13を係着部材12・15でもって開閉自在に着脱せしめる支線保護カバ−用留具10の着脱工具1であって、上記着脱工具1は支線保護カバ−13の開口部14内に挿入自在とされた所要長の基板2と、該基板2上に所定間隔をおいて可動自在に立設されたレバ−4とよりなり、上記基板2の一端には一方の開口部14端縁に係着部材12・15を介して係着せしめた留具10を嵌合掛止せしめるべく嵌合部8が切欠き形成されると共に、レバ−4の先部には同留具10の自由端に他方の開口部14端縁を押圧して係着部材12・15より係着せしめるべく押圧部6が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支線保護カバ−を係着部材でもって開閉自在に着脱せしめる支線保護カバ−
用留具の着脱工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱には、ケ−ブルの張力、風圧、電柱に備えられた各種機器の荷重等が加わるため、
かかる電柱の傾斜や倒壊を防ぐべく支線が採用されている。そして、かかる支線は、電柱
に対して傾斜状に施工されると共に、地中に埋設された支線ロッドに繋留されている。こ
のような支線及び支線ロッドには、それ自身を外部からの衝撃から保護すると共に、通行
人に支線等の存在を知らせるべく支線及び支線ロッドの地上側には長手方向に沿って開口
部を有する円筒状の合成樹脂製支線保護カバ−が外嵌状に装着されている。
【0003】
ところで、上記の支線保護カバ−を支線及び支線ロッドに装着せしめるさいには、支線
保護カバ−の長手方向に沿って形成された開口部に沿って拡開せしめつつ支線等に外嵌す
ると共に、開口部端縁を留具により連結して閉作動せしめるものとされている。
このさい、留具としては、略方形体状とされた小形基板の両端部に一対の係合突起が突
設されたものが知られており、一方の係合突起を支線保護カバ−の一方の開口部端縁に形
成された係合孔に係合すると共に、他方の係合突起を他方の開口部端縁に形成された係合
孔に係合せしめ、支線及び支線ロッドから容易に外れないように固定せしめるものとされ
ている(実用新案登録第2504788号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2504788号公報(第2−3頁、第4図及び第5図)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来よりかかる留具を支線保護カバ−に係着せしめるさいの着脱工具は全く
知られていない。このため、基板の背面から手でもって押圧せしめつつ係合突起を対応す
る支線保護カバ−の係合孔に係合せしめるものとされている。このさい、支線保護カバ−
が撓んで係合孔の逃げを生じやすいものであって、ひいては、係着作業が非常に面倒で手
間がかかり、極めて作業能率の悪いものとなっていた。
【0006】
なお、細径状とされた支線保護カバ−用として、両端に係合突起と係合孔とが形成され
たバンド状の留具が知られているが、留具を手でもって引張せしめつつ支線保護カバ−の
外周に巻付け、その係合突起を係合孔に係着せしめるものであるから、上記従来例と同様
に係着作業が非常に面倒で手間がかかり、作業能率の悪いものとなっていた。
【0007】
本発明は従来の課題を解決し、支線保護カバ−を係着部材でもって容易に、しかも、迅
速かつ確実に作業能率よく開閉自在に着脱せしめることができる、支線保護カバ−用留具
の着脱工具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本願請求項1記載の発明は、長手方向に沿って開口部が形
成されてなる筒状の支線保護カバ−を係着部材でもって開閉自在に着脱せしめる支線保護
カバ−用留具の着脱工具であって、上記着脱工具は支線保護カバ−の開口部内に挿入自在
とされた所要長の基板と、該基板上に所定間隔をおいて可動自在に立設されたレバ−とよ
りなり、上記基板の一端には一方の開口部端縁に係着部材を介して係着せしめた留具を嵌
合掛止せしめるべく嵌合部が切欠き形成されると共に、レバ−の先部には同留具の自由端
に他方の開口部端縁を押圧して係着部材により係着せしめるべく押圧部が形成されてなる
ことを特徴とする、支線保護カバ−用留具の着脱工具を要旨とするものである。
【0009】
本願請求項2記載の発明は、レバ−は付勢バネが介装された枢着ピンを介して上下左右
に可動自在とされてなることを特徴とする、請求項1記載の支線保護カバ−用留具の着脱
工具を要旨とするものである。
【0010】
本願請求項3記載の発明は、押圧部はレバ−に対して斜上向き状に形成されてなること
を特徴とする、請求項1または2記載の支線保護カバ−用留具の着脱工具を要旨とするも
のである。
【0011】
本願請求項4記載の発明は、基板の他端には係着部材を嵌合掛止せしめるべく嵌合部が
切欠き形成されると共に、該嵌合部の基端側に隣接してバンド状留具の挿通掛止口が形成
されてなり、上記掛止口にバンド状留具の一端を挿通掛止して同他端方向に折曲せしめつ
つ係着部材により支線保護カバ−を開閉自在に着脱せしめることを特徴とする、請求項1
〜3のいづれか1項に記載の支線保護カバ−用留め具の着脱工具を要旨とするものである

【発明の効果】
【0012】
本願請求項1記載の発明は、上述のように構成されているから、一方の係合部材を対応
する開口部端縁の係合部材に係合せしめると共に、他方の係合部材を対応する開口部端縁の係合部材に臨ませつつ開口部端縁上に掛止せしめたのち、開口部内に基板の一端を挿入せしめつつ、嵌合部に留具を嵌合掛止せしめると共に、レバ−を可動してその押圧部を留具の背面に当てがいつつ押圧せしめ、係合部材を対応する開口部端縁の係合部材に係合せしめることにより支線保護カバ−を閉作動せしめることが出来るものであって、常に支線及び支線ロッドを外嵌せしめる支線保護カバ−を容易に、しかも、迅速、かつ確実に作業能率よく着脱せしめることが出来るものである。また、逆に支線保護カバ−を開作動せしめるさいには、留具と支線保護カバ−の開口部端縁との間に基板の先部を強制的に差込んで留具を上方に押上げつつ係合部材の係合を解除せしめるとよい。
【0013】
本願請求項2記載の発明は、上述のように構成されているから、枢着ピンを中心として
レバ−を上下左右に自由に可動せしめつつ押圧部を適正に作動せしめ、その押圧作動を常
に容易に、しかも確実に行うことが出来るものである。
【0014】
本願請求項3記載の発明は、上述のように構成されているから、留具の背面に当てがい
つつスム−ズに押圧せしめることが出来るものであって、常に押圧作動を確実に、しかも
容易に行うことが出来るものである。
【0015】
本願請求項4記載の発明は、上述のように構成されているから、支線保護カバ−の外周
面に留具を巻付けると共に、基板の掛止口に留具の一端を挿通掛止せしめつつ同他端方向
に向けて折曲せしめ、同他端に係着部材を介して係着せしめることが出来るものであって
、常に支線等に外嵌せしめる支線保護カバ−を容易に、しかも迅速かつ確実に作業能率よ
く取付けることが出来るものである。なお、逆に係合部材の係合を解除せしめるさいには
、留具の両端間に基板の他端を差込んで押上げつつ容易に係合を解除せしめることが出来
るものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す側面図である。
【図2】実施例の使用状態を示す分解斜視図である。
【図3】実施例の使用状態を示す一部拡大断面図である。
【図4】留具10により支線保護カバ−13を閉作動せしめた状態を示す側面図である。
【図5】実施例の他の使用状態を示す断面図である。
【図6】バンド状の留具16により支線保護カバ−20を閉作動せしめた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に示す一実施例に基づいて詳細に説明する

【0018】
本発明の一実施例を示す図1乃至図6中、1は後記する支線保護カバ−用留具10の着
脱工具、2は該着脱工具1を構成する所要の幅と長さを備えた細長な方形状の基板で、該
基板2の一端部には後記する支線保護カバ−13の開口部14端縁内に挿入せしめつつ留
具10を嵌合掛止せしめるべく略コ字形状の嵌合部3が切欠き形成されると共に、該嵌合
部3部位は若干斜上向き状に折曲形成されている。4は上記嵌合部3に対応すべく基板2上に枢着ピン5を介して上下左右に可動自在に枢着された略方形板状のレバ−で、該レバ−4の先部には嵌合部3に嵌合掛止せしめる留具10自由端に支線保護カバ−13の開口部14端縁を押圧せしめるべく押圧部6が斜上向き状に延設されると共に、枢着ピン5に介装された付勢バネ7により常時上方に付勢せしめられている。8は後記するバンド状留具16一端部の係合突起18を嵌合掛止せしめるべく前記基板2の他端部に切欠き形成された略コ字形状の嵌合部、9は上記留具16の他端部を挿通掛止せしめるべく該嵌合部8の基端側に隣接して形成された略方形状の掛止口である。
【0019】
その他、10は略方形状とされた留具本体11下面に両側一対の係合突起12が突設さ
れた留具、13は支線及び支線ロッドに外嵌せしめる大径筒状の支線保護カバ−で、該支
線保護カバ−13はその長手方向に沿ってスリット状の開口部14が開閉自在に形成され
ると共に、該開口部14の両端縁には各々前記留具10の係合突起12に係合せしめるべ
く係合孔15が形成されている。
16は他の留具を示すもので、バンド状とされた留具本体17の一端部に係合突起18
が突設されると共に、同他端部に係合孔19が形成され、かつ、係合孔19側の留具本体
17端部には前記着脱工具1の掛止口9に確実に掛止せしめるべく所要条の掛止突条が形
成されている。20は支線等を外嵌せしめる細径筒状の開口部付き支線保護カバ−、21は支線を各々示す。
【0020】
次に、上述の如く構成された着脱工具1の使用例について説明する。
例えば、図3に図示するように、大径筒状の支線保護カバ−13を支線21及び支線ロッドに外嵌せしめつつ閉作動せしめるさいには、先ず、留具10の一方の係合突起12を対応する支線保護カバ−13の係合孔15に係合すると共に、留具10の他方の係合突起12を対応する支線保護カバ−13の係合孔15に臨ませつつ開口部14端縁上に掛止せしめる(図3A参照)。次いで、開口部14端縁内に基板2の一端を挿入せしめつつ、嵌合部8に留具10を嵌合掛止せしめる(図3B参照)と共に、レバ−4を可動してその押圧部6を留具10の背面に当てがう(図3C参照)。しかるのち、付勢バネ7の付勢に抗してレバ−4を下方に可動して留具10を押圧せしめ、その係合突起12を係合孔15に係合し、支線保護カバ−13の開口部14を閉作動せしめ(図3D参照)、支線21および支線ロッドに外嵌状に取付ける(図4参照)。
【0021】
なお、逆に、支線保護カバ−13を開作動せしめるさいには、基板2の一端を支線保護
カバ−13の開口部14端縁内に強制的に挿入せしめ、留具10に嵌合掛止せしめつつ上
方に押上げて係合突起12と係合孔15との係合を解除せしめて留具10を取外し、支線保護カバ−13を開作動せしめるとよい。
【0022】
また、図5に図示するように、細径筒状の支線保護カバ−20を支線等に外嵌せしめつ
つ閉作動せしめるさいには、先ずバンド状の留具16を支線保護カバ−20の外周面に巻
付けつつ、その一端を基板2の掛止口9に挿通掛止せしめる。しかるのち、基板2を上方
に可動せしめつつ挿通掛止個所を支点として留具16の係止孔19を係合突起18側へ折
曲せしめ、係合突起18に係合して支線保護カバ−20の開口部を閉作動せしめる(図6
参照)。
【0023】
なお、逆に支線保護カバ−20を開作動せしめるさいには、重り合う留具16の両端間
に基板2の一端を強制的に挿入せしめつつ上方に押圧せしめ、係合突起18と係合孔19
との係合を解除して留具16を取外し、支線保護カバ−20を開作動せしめるとよい。
【0024】
なお、上記実施例において、係合部材として留具10には係合突起12が突設されると
共に、支線保護カバ−13の開口部14両端縁に各々係合孔15が形成され、また、バン
ド状留具16の一端に係合突起18が突設されると共に同他端部に係合孔19が形成され
ているが、かかる形状に限定されるものではなく、他の公知の係合部材を採用することが
出来るものである。
【符号の説明】
【0025】
1 着脱工具
2 基板
3 嵌合部
4 レバ−
5 枢着ピン
6 押圧部
7 付勢バネ
8 嵌合部
9 掛止口
10 留具
11 留具本体
12 係合突起
13 支線保護カバ−
14 開口部
15 係合孔
16 留具
17 留具本体
18 係合突起
19 係合孔
20 支線保護カバ−

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って開口部が形成されてなる筒状の支線保護カバ−を係着部材でもって開
閉自在に着脱せしめる支線保護カバ−用留具の着脱工具であって、上記着脱工具は支線保護カバ−の開口部内に挿入自在とされた所要長の基板と、該基板上に所定間隔をおいて可動自在に立設されたレバ−とよりなり、上記基板の一端には一方の開口部端縁に係着部材を介して係着せしめた留具を嵌合掛止せしめるべく嵌合部が切欠き形成されると共に、レバ−の先部には同留具の自由端に他方の開口部端縁を押圧して係着部材により係着せしめるべく押圧部が形成されてなることを特徴とする、支線保護カバ−用留具の着脱工具。
【請求項2】
レバ−は付勢バネが介装された枢着ピンを介して上下左右に可動自在とされてなること
を特徴とする、請求項1記載の支線保護カバ−用留具の着脱工具。
【請求項3】
押圧部はレバ−に対して斜上向き状に形成されてなることを特徴とする、請求項1また
は2記載の支線保護カバ−用留具の着脱工具。
【請求項4】
基板の他端には係着部材を嵌合掛止せしめるべく嵌合部が切欠き形成されると共に、該
嵌合部の基端側に隣接してバンド状留具の挿通掛止口が形成されてなり、上記掛止口にバ
ンド状留具の一端を挿通掛止して同他端方向に折曲せしめつつ係着部材により支線保護カ
バ−を開閉自在に着脱せしめることを特徴とする、請求項1〜3のいづれか1項に記載の
支線保護カバ−用留め具の着脱工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131351(P2011−131351A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294403(P2009−294403)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(394008880)大和電設工業株式会社 (1)
【出願人】(000207311)大東電材株式会社 (14)