説明

改ざん防止シール

【課題】ホログラム層の光沢模様の自由度を確保しつつ再貼付時の真贋判定機能を備える改ざん防止シールを提供すること。
【解決手段】対象物Bに貼付した後に剥離すると、剥離したことを使用者に認識させるように構成したことで改ざんの防止をする改ざん防止シール1であって、脆性を有する基材層11と、基材層11の下部に剥離材にて形成された剥離層12と、基材層11の下部で且つ剥離層12を覆うように接着剤にて形成された接着層13と、接着層13の下部にホログラム箔にて形成されたホログラム層14と、ホログラム層14の下部に形成され対象物Bに粘着固定する粘着固定層15と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に貼付された後に剥離させる場合に貼付前の状態に戻らないように構成された改ざん防止シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改ざん防止シールは、模倣を行われないために様々な加工を施している。特に、模倣が困難となるように、脆い構造のホログラム箔を用いるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、シールの基材を被着体から剥がしたときに、基材に接着された状態となる接着部と、基材から剥離される剥離部とを有する場合において、ホログラム層と剥離層の総厚みを接着部と剥離部とで異なった断面形状にしておく。これにより、ホログラム層や剥離層が、接着部と剥離部との間で切断されやすく構成され、接着部と剥離部との間で容易に剥離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−106857
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接着部と剥離部とで総厚みを異ならせると、ホログラム層の外観が接着部と剥離部とで異なることになる。すると、接着部と剥離部との境界が明確に外観に出てしまうため、ホログラム層の光沢模様の自由度を損なってしまう。また、外観上、接着部と剥離部との境界を視認することができると模倣が容易となり、十分な真贋判定機能を持たせることが困難となる。
【0006】
本発明では、ホログラム層の光沢模様の自由度を確保しつつ再貼付時の真贋判定機能を備える改ざん防止シールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の構成は、対象物に貼付した後に剥離すると、剥離したことを使用者に認識させるように構成したことで改ざんの防止をする改ざん防止シールであって、脆性を有する基材層と、前記基材層の下部に剥離材にて形成された剥離層と、前記基材層の下部で且つ前記剥離層を覆うように接着剤にて形成された接着層と、前記接着層の下部にホログラム箔にて形成されたホログラム層と、前記ホログラム層の下部に形成され前記対象物に粘着固定する粘着固定層と、を有することを特徴とする改ざん防止シールである。
【0008】
また、対象物に貼付した後に剥離すると、剥離したことを使用者に認識させるように構成したことで改ざんの防止をする改ざん防止シールであって、脆性を有する基材層と、前記基材層の下部に剥離材にて形成された剥離層と、前記基材層の下部で且つ前記剥離層を覆うように接着剤及び前記接着剤よりも粘着力の強い粘着剤にて形成された接着粘着層と、前記接着粘着層の下部にホログラム箔にて形成されたホログラム層と、前記ホログラム層の下部に形成され前記対象物に粘着固定する粘着固定層と、を有することを特徴とする改ざん防止シールである。
【発明の効果】
【0009】
上述のように、改ざん防止シールを、接着層又は接着粘着層と粘着剤層との間にホログラム箔を積層するように構成することで、ホログラム層の模様の自由度を確保することができる。また、シールの剥離動作前にホログラム層の接着部と剥離部との境界がわからないため、模倣が困難となり、シールに十分な真贋判定機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の改ざん防止シールの剥離前の状態を示す図。
【図2】本実施形態の改ざん防止シールの剥離時の状態を示す図。
【図3】本実施形態の改ざん防止シールの剥離後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔改ざん防止シール1の構成〕
図を用いて本実施形態の構成を説明する。図1は本実施形態の改ざん防止シールの剥離前の状態を示す図であり、(a)が上面図で、(b)がA−A断面図である。
【0012】
図1に示すように、改ざん防止シール1は、基材層11と、剥離層12と、接着層13と、ホログラム層14と、粘着固定層15と、セパレータ16とを有する。各層の厚みは、基材層11が10〜500μm、剥離層12が0.1〜50μm、接着層13が1〜100μm、ホログラム層14が0.1〜20μm、粘着固定層15が1〜100μmが好ましい。
【0013】
基材層11は、多層構造の改ざん防止シール1の基材となるものであって、脆性を有し且つホログラムの偏光が視認できる透明又は半透明で厚みが1〜300μmの材質にて構成される。脆性を有する材質としては、例えば、TAC(トリアセテートフィルム)や溶剤に溶けやすいOPS(ポリスチレンフィルム)にて構成される。また、これに限るものではなく、アクリル、シクロオレフィン、ポリカーボネート、PET、OPP、CPであってもよい。
【0014】
剥離層12は、基材層11の下部において模様や文字などのデザインが施された剥離材にて形成される。ここで、図1(b)に示すように、改ざん防止シール1において、剥離層12の下部が基材層11から離間する剥離部21となる。剥離部21は後述するように剥離模様21Mを形成する。剥離層12のない部分は基材層11から剥離しない非剥離部22となる。尚、本実施形態においては部分的に剥離層12を設けた例を挙げるが、これに限るものではない。例えば、基材層11の下部全面に剥離層12を設けてもよい。
【0015】
接着層13は、基材層11の下部で且つ剥離層12を覆うように紫外線硬化型や電子線硬化型、熱硬化型、2液反応型といった塗工初期に粘着性を有し有効な活性エネルギーを与える、又は経時変化により接着剤(固体)化する各種接着剤にて形成される。
【0016】
ホログラム層14は、接着層13の下部にホログラム箔として形成される。このホログラム層は コレステリック液晶からなる偏光性を有するものであってもよい。ホログラム箔には光沢のある文字や模様が施されているため、図1(a)に示すように剥離前の改ざん防止シール1を上面から見ると、基材層11を透してホログラム箔が見える。
【0017】
粘着固定層15は、ホログラム層14の下部に形成される。粘着固定層15があることにより改ざん防止シール1は対象物に粘着固定することができる。尚、粘着固定層15は離型層としてのセパレータ16から剥がされた後に対象物に粘着固定される。
【0018】
また、ホログラム層14は、中間体としてのホログラム箔を接着層13と粘着固定層15との間に転移して形成する。
【0019】
〔改ざん防止シール1の使用状態〕
図2は本実施形態の改ざん防止シールの剥離時の状態を示す図であり、(a)が剥離中の斜視図で、(b)が剥離直後の模様を示す上面図である。図3は本実施形態の改ざん防止シールの剥離後の状態を示す図であり、(a)が本実施形態の断面図で、(b)が変形例の断面図である。
【0020】
図2(a)に示すように、いったん対象物Bに貼付された改ざん防止シール1を剥がすと、基材層11を有する基材側シート1aと剥離部21によって形成される剥離模様21Mとが分離する。具体的に説明すると、図3(a)に示すように、剥離部21においては、剥離層12から接着層13が剥離し剥離模様21Mが対象物Bに残る。一方、非剥離部22においてはホログラム層14及び粘着固定層15ごと基材側シート1a側に持って行かれる。これは、接着層13の基材層11に対する接着力は粘着固定層15の対象物Bに対する粘着力よりも強いためである。
【0021】
図2(b)に示すように、改ざん防止シール1を対象物Bから全て剥がすと、基材側シート1aのうち剥離部21のあった部分はホログラム層14が対象物Bに剥離模様21Mとして残っている。尚、基材側シート1の非剥離部22にはホログラム層14が残るものの、剥離前に比べホログラムが劣化している。
【0022】
このように、対象物に貼付した後に剥離すると、剥離模様21Mが残っていることによって、剥離したことを使用者に認識させることができる。
【0023】
以上の構成により、次のような効果がある。
【0024】
基材層11が脆性を有するため、シールを剥離したときに基材層11の表面状態が崩れるため、いったんシールを剥離するとシール表面が元の状態には戻らない。このため、いったんシールを剥離させて再貼付した場合であっても、基材層11の表面状態が崩れているため、復元することはできない。このため、再貼付したことを容易に視認することができる。
【0025】
いったんシールを剥離すると、光沢は残るもののホログラム層14は剥離部21と剥離部22により分断されている。このため、たとえ剥がした基材側シート1aを元の対象物Bに戻したとしても、分断された箇所は容易に視認でき、剥がした痕跡が明確となる。このため、高い改ざん防止機能を発揮することができる。
【0026】
また、接着層13が剥離層12を覆い、ホログラム層14は接着層13と粘着固定層15との間に形成される。このため、剥離層12の形状がいかなるものであっても、ホログラム層14は平坦なものを用いることができる。このため、ホログラム層14に他の層の形状に規制された凹凸模様を予め施す必要がなく、ホログラム層14の模様の自由度を損なうことがない。
【0027】
また、平坦なホログラム層14を用いることで、剥離部21と非剥離部22との境界が剥離前に外観に出ることはない。すると、外観上、剥離部21と非剥離部22との境界を視認することができないため、改ざん防止シールの模倣が困難となる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、いったん基材側シート1aを剥離すると脆い基材層11及びホログラム層14の形状が壊れるため、再貼付をした場合にはホログラム層14の当初の綺麗な光沢模様をみることができない。このため、再貼付時の真贋判定機能を備える改ざん防止シールを提供することができる。更に、ホログラム層14は平坦なものを用いることができるため、ホログラム層14の光沢模様の自由度を確保することができる。
【0029】
本実施形態においては、改ざん防止シール1を接着層13を有するものとしたが、これに限るものではない。例えば、図3(b)に示すように、基材層11の下部で且つ剥離層12を覆うように接着剤及びこの接着剤よりも粘着力の強い粘着剤にて形成された接着粘着層13Aを有する改ざん防止シール2としてもよい。この場合、基材側シート2aを剥離すると、接着粘着層13Aがその粘着剤の粘着力により、基材層11から剥離層12をも剥離させる。この場合、剥離模様21Mの表面が剥離層12の一部となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、対象物に貼付された後に剥離させる場合に貼付前の状態に戻らないように構成された改ざん防止シールに利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
B…対象物
1…改ざん防止シール
1a…基材側シート
2…改ざん防止シール
2a…基材側シート
11…基材層
12…剥離層
13…接着層
13A…接着粘着層
14…ホログラム層
15…粘着固定層
16…セパレータ
21…剥離部
21M…剥離模様
22…非剥離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に貼付した後に剥離すると、剥離したことを使用者に認識させるように構成したことで改ざんの防止をする改ざん防止シールであって、
脆性を有する基材層と、
前記基材層の下部に剥離材にて形成された剥離層と、
前記基材層の下部で且つ前記剥離層を覆うように接着剤にて形成された接着層と、
前記接着層の下部にホログラム箔にて形成されたホログラム層と、
前記ホログラム層の下部に形成され前記対象物に粘着固定する粘着固定層と、
を有することを特徴とする改ざん防止シール。
【請求項2】
対象物に貼付した後に剥離すると、剥離したことを使用者に認識させるように構成したことで改ざんの防止をする改ざん防止シールであって、
脆性を有する基材層と、
前記基材層の下部に剥離材にて形成された剥離層と、
前記基材層の下部で且つ前記剥離層を覆うように接着剤及び前記接着剤よりも粘着力の強い粘着剤にて形成された接着粘着層と、
前記接着粘着層の下部にホログラム箔にて形成されたホログラム層と、
前記ホログラム層の下部に形成され前記対象物に粘着固定する粘着固定層と、
を有することを特徴とする改ざん防止シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−93674(P2012−93674A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243045(P2010−243045)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(592233347)シーレックス株式会社 (19)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)