説明

改修用サッシ窓枠装置

【課題】 特に構成各部の厚さ寸法を大きくしなくても、引戸障子が屋外側に引かれた場合に新規下枠6bに加わる力を十分に支承できる構造を実現する。
【解決手段】 既存下枠2bの上面に突設された屋内側下部案内レール11の上部と、下部アタッチメント17の下面に垂下された垂下壁部31とを係合させて、この下部アタッチメント17が上記既存下枠2bに対し、屋外側に変位するのを阻止する。更に、この下部アタッチメント17に対して上記新規下枠6bを、第二、第三各下部タッピングねじ39、40により結合固定する。この構成により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般家屋やマンションの如きビルディング等の開口部に設けた窓装置を新規構造のものに改修する際、この開口部の内周に固定されている既設の窓枠の内側に新規のサッシ窓枠を固定する、改修用サッシ窓枠装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
防音性能や気密性能等の点で性能が劣る古い窓装置を、優れた性能を有する新規な窓装置に改修する際、窓開口を設けた壁に手を加えずにこの新規な窓装置を組み込む工法が、特許文献1等に記載され、且つ、従来から広く実施されている。この工法では、既存の引戸障子を取り外した既存のサッシ窓枠の内側に、改修用サッシ窓枠装置である新規のサッシ窓枠を固定し、この新規のサッシ窓枠の内側に、新規の引戸障子を建て込む。図6〜9は、上記特許文献1に記載された、従来から知られている改修用サッシ窓枠装置の構造の2例を示している。
【0003】
先ず、図6〜7に示した第1例の構造では、既存上枠1と既存下枠2と左右の既存竪枠3とから成る既存のサッシ窓枠4の内側に、新規上枠5と新規下枠6と左右の新規竪枠7とから成る新規のサッシ窓枠8を、上記既存のサッシ窓枠4の内周面から大きく突出する状態で固定している。この様な従来構造の第1例の場合、上記新規のサッシ窓枠8の開口面積が狭くなり、採光、通風等の面から不利になる。又、上記新規下枠6が、上記既存下枠2の上面から上方に大きく突出するので、窓開口が掃き出し窓であった場合、上記新規下枠6が、この掃き出し窓を通行する者や、この掃き出し窓から出し入れする物に対する障害になり易い。
【0004】
これに対して、図8〜9に示した第2例の構造では、新規のサッシ窓枠8aを構成する新規上枠5aと新規下枠6aと左右の新規竪枠7a、7aとの、既存のサッシ窓枠4aを構成する既存上枠1aと既存下枠2aと左右の既存竪枠3a、3aとの内側面からの突出量を小さく抑えている。この様な第2例の構造は、採光、通風等の確保、人間の通行や物の出し入れに対する障害防止の面からは有利になるが、新規下枠6aの取付強度確保の面からは、必ずしも十分とは言えない。この点に就いて、図8の下半部を参照しつつ説明する。
【0005】
上記新規下枠6aは上記既存下枠2aに対し、下方が開口した断面コ字形の屋内側アタッチメント9と、断面L字形の屋外側アタッチメント10とを介して、結合固定している。このうちの屋内側アタッチメント9は、その一部屋内側面(図1、2、4、6、8の右側面、図3、5、7、9の下側面)を上記既存下枠2aの上面に突設した屋内側下部案内レール11の屋外側面に突き当てた状態で、屋外側(図1、2、4、6、8の左側、図3、5、7、9の上側)から螺入したねじ12aにより、この屋内側下部案内レール11に対し結合固定している。又、上記屋外側アタッチメント10は、その一部下面を上記既存下枠2aの上面に突設した屋外側下部案内レール15よりも屋外側部分で、この既存下枠2aの屋外側端部上面に当接させ、上方から螺入したねじ12bにより、この既存下枠2aの屋外側端部上面に結合固定している。
【0006】
更に、上記新規下枠6aは、屋内側、屋外側両端部を、上記屋内側、屋外側両アタッチメント9、10に対しねじ止めにより結合固定している。即ち、上記新規下枠6aの屋内側端部の下面を屋内側アタッチメント9の上面に当接させた状態で、上方から螺入したねじ13aにより、この屋内側アタッチメント9に結合固定している。上記新規下枠6aの屋外側端部を上記屋外側アタッチメント10に、シール材14を介して突き当てた状態で、屋外側から螺入したねじ13bにより、この屋外側アタッチメント10に結合固定している。
【0007】
上述の様な図8の下部に示した、既存下枠2aに対する新規下枠6aの結合構造の場合、新規のサッシ窓枠8aに建て込んだ引戸障子に風が吹き付ける等により、この新規下枠6aに対し屋内側に向いた(図8で右向きの)力が加わった場合には、特に強度上の問題を生じる事はない。これに対して、風が上記引戸障子に沿って吹く等により、この引戸障子の屋外側面に負圧が加わり、上記新規下枠6aに対し屋外側に向いた(図8で左向きの)力が加わった場合には、上記屋外側から螺入したねじ12a、13bによる結合固定部で強度上の問題を生じる。
【0008】
即ち、上記負圧によって上記引戸障子が屋外側に引かれ、この引戸障子の下部に設けられた戸車と上記新規下枠6aの上面に設けられた、屋内側、屋外側両下部案内レール11a、15aとの係合によりこの新規下枠6aに屋外側に向いた力が加わった場合、この力を、上記各ねじ12a、13bが支承する事になる。このうち、上記屋外側アタッチメント10に螺合したねじ13bの螺合部の強度は、この屋外側アタッチメント10の厚さ寸法を大きくする事により、或る程度確保できる。
【0009】
これに対して、前記屋内側アタッチメント9を前記屋内側下部案内レール11に結合固定する為、この屋内側下部案内レール11に螺合したねじ12aの螺合部の強度を確保する事は難しい。この理由は、この屋内側下部案内レール11は、元々、引戸障子側に設けた戸車を案内する為に設けたものであって、上記ねじ12aの螺合部の強度を確保する事に就いては考慮していない為である。即ち、上記屋内側下部案内レール11の厚さ寸法は、上記引戸障子の重量を支えられる強度を確保できるだけで、例えば、タッピングねじである、上記ねじ12aの2ピッチ分にも満たない値である。この為、上記新規下枠6a及び上記屋内側アタッチメント9を介して、上記ねじ12aが屋外側に引っ張られると、このねじ12aが、上記屋内側下部案内レール11に形成した(タッピング)ねじ孔を破損して、このねじ孔から抜け出られる状態になる可能性がある。そして、抜け出られる状態になった場合には、上記新規下枠6aが前記既存下枠2aに対して屋外側に変位する事を、上記屋外側アタッチメント10に螺合したねじ13bの螺合部のみで阻止する状態になる為、この螺合部に大きな力が加わる。この様な大きな力に拘らず、この螺合部が損傷するのを防止する為には、上記屋外側アタッチメント10として、相当に厚さ寸法が大きなものを使用する必要があり、低コスト化等の面から好ましくない。
【0010】
【特許文献1】特開2003−328645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、特に構成各部の厚さ寸法を大きくしなくても、引戸障子が屋外側に引かれた場合に新規下枠に加わる力を十分に支承できる改修用サッシ窓枠装置の構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の改修用サッシ窓枠装置は、前述した従来から知られている改修用サッシ窓枠装置と同様に、建造物の開口部の内周縁に固定された、既存上枠と既存下枠と左右の既存竪枠とから成る既存のサッシ窓枠の内側に、新規上枠と新規下枠と左右の新規竪枠とから成る新規のサッシ窓枠を固定して成る。
特に、本発明の改修用サッシ窓枠装置に於いては、上記既存下枠の上面に突設された下部案内レールの上部と、上記新規下枠、又は、この新規下枠に結合固定される、アタッチメント等の他の部材の下面に垂下された垂下壁部とを、この新規下枠又はこの他の部材が上記既存下枠に対し、屋外側に変位するのを阻止する状態で係合させる。又、この新規下枠をこの既存下枠に対し、直接、又は上記他の部材を介して、ねじ止め固定する。
【発明の効果】
【0013】
上述の様に構成する本発明の改修用サッシ窓枠装置によれば、引戸障子が屋外側に引かれた場合に新規下枠に加わる力を十分に支承できる。即ち、新規下枠、又は、この新規下枠に結合固定される、アタッチメント等の他の部材の下面に垂下された垂下壁部と、既存下枠の上面に突設された下部案内レールの上部との係合に基づき、上記新規下枠又は上記他の部材が屋外側に変位する事を阻止できる。上記垂下壁部と上記下部案内レールとの係合部の長さは十分に確保できる為、この係合部による、上記新規下枠又は上記他の部材が屋外側に変位する事を阻止する力は、十分に大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様に、既存下枠の上面に突設された下部案内レールの上部と、この既存下枠の上面に配設された、新規下枠に結合固定される他の部材であるアタッチメントの下面に垂下された垂下壁部とを、このアタッチメントが屋外側に変位するのを阻止する状態で係合させる。又、このアタッチメントを上記既存下枠に対しねじ止め固定する。更に、上記新規下枠を上方から下方に貫通する状態で設けた結合ねじを、上記アタッチメントの一部に、このアタッチメントの一部を上方から下方に貫通する状態で螺合する。この構成により、上記新規下枠をこのアタッチメントを介して、上記既存下枠に結合固定する。
【0015】
本発明を実施する場合には、アタッチメントを省略して、新規下枠の下面に直接垂下壁部を形成し、この垂下壁部と既存下枠の上面に突設された下部案内レールとを係合させる事もできる。この場合には、新規下枠をアタッチメントに結合固定する為の結合ねじが不要になる。但し、このアタッチメントを省略する分、上記新規下枠の断面積が大きくなると同時に、この新規下枠の断面形状が複雑になり、この新規下枠の製造が難しくなる。上記請求項2に記載した構造の様に、別個に構成した新規下枠とアタッチメントとを結合ねじにより結合固定する構造を採用すれば、これら新規下枠及びアタッチメントの断面積を小さくすると同時に断面形状を単純化できる。そして、これら新規下枠及びアタッチメントの製造を容易に行なえる様にできる。又、上記結合ねじは、引戸障子が屋外側に引かれた場合に新規下枠に加わる力の方向に対し直角方向に配設するものであり、十分に外径が大きなものを使用できる。又、上記アタッチメントのうちで上記結合部を螺合させる部分の厚さも、十分に大きくできる。この為、上記結合ねじによる、上記新規下枠とアタッチメントとの結合強度は、上記力を十分に支承できる程度に大きくできる。
【0016】
又、本発明を実施する場合に、例えば、請求項3に記載した様に、既存下枠の屋内側端部に形成された立ち上がり板部の上面を、建造物の床面と実質的に(高齢者の歩行や車椅子の移動を妨げない程度に)同じ高さ位置に存在させる。そして、新規下枠の上面に形成された、下部案内レールを含む複数本の突条の上端縁を、上記立ち上がり板部の上面と同じ高さ位置に存在させる。
この様な構造を掃き出し窓に関して実施すれば、窓開口部の下辺部分に大きな段差を有する既存の窓装置を、高齢者の歩行や車椅子の移動を妨げない、所謂バリアフリーの窓装置に改修できる。
【実施例】
【0017】
図1〜5は、全請求項に対応する、本発明の実施例を示している。本実施例の改修用サッシ窓枠装置は、各図に鎖線で示した既存のサッシ窓枠4bの内側に、各図に実線で示した新規のサッシ窓枠8bを組み込んで成る。このうちの既存のサッシ窓枠4bは、それぞれがアルミニウム合金の押し出し型材製である、既存上枠1bと、既存下枠2bと、左右の既存竪枠3b、3bとを、矩形枠状に組み合わせて成る。この様な既存のサッシ窓枠4bは、建造物の開口部16の内周縁に、予め(上記建造物の建設時に)固定されている。又、上記新規のサッシ窓枠8bは、それぞれがアルミニウム合金の押し出し型材製である、新規上枠5bと、新規下枠6bと、左右の新規竪枠7b、7bとを、矩形枠状に組み合わせて成る。
【0018】
この様な新規のサッシ窓枠8bは、上記新規上枠5bを上記既存上枠1bの下面に、上記新規下枠6bを上記既存下枠2bの上面に、上記両新規竪枠7b、7bを上記両既存竪枠3b、3bの内側面に、それぞれアタッチメントを介して結合固定する事により、上記既存のサッシ窓枠4bの内側に建て込んでいる。尚、上記新規上枠5bと、上記新規下枠6bと、上記両新規竪枠7b、7bとは、上記既存のサッシ窓枠4bの内側に建て込む以前に矩形枠状に組み合わせて、上記新規のサッシ窓枠8bとしておく。従って、この新規のサッシ窓枠8b外形寸法は、上記既存のサッシ窓枠4bの内側に挿入可能な寸法にしている。又、この新規のサッシ窓枠8bをこの既存のサッシ窓枠4bの内側に挿入した状態での、これら両サッシ窓枠8b、4b同士の位置決めは、これら両サッシ窓枠8b、4bの下辺部分で図っている。即ち、上記新規下枠6bを上記既存下枠2bの上面に、後述する下部アタッチメント17を介して載置している。この下部アタッチメント17の上下両面は、上記新規下枠6bの下面及び上記既存下枠2bの上面に、それぞれ当接している。従って、これら両下枠6b、2b同士の間には、組み付け隙間は存在しない。これに対して、上記両サッシ窓枠8b、4bの他の(下辺以外の残りの)3辺部分には組み付け隙間が存在するので、これら各組み付け隙間を、適切な厚さ寸法を有するスペーサにより塞いで、上記3辺部分でがたつきが発生するのを防止している。
【0019】
先ず、上記既存上枠1bの下面には上部アタッチメント18を、図1の上部に示す様に、複数本の上部タッピングねじ19により結合固定している。この上部アタッチメント18は、必ずしも上記既存上枠1bの全長に亙って設ける必要はなく、それぞれがピース状のものを複数個所に設けても良い。但し、組み付け作業の容易化と強度確保との面から、好ましくは、アルミニウム合金の押し出し型材製のものを、上記既存上枠1bの下面の全長に亙って設ける。何れの構造を採用した場合でも、上記上部アタッチメント18の下面に上記新規上枠5bの上面(上端縁)を、上部スペーサ20を介して突き当てている。そして、この新規上枠5bの屋内側端部を下方から上方に挿通した、各第二上部タッピングねじ21を、上記上部アタッチメント18の屋内側端部に螺合し更に緊締する事により、上記新規上枠5bをこの上部アタッチメント18の下面側に結合固定している。
【0020】
尚、上記上部スペーサ20は、上記上部アタッチメント18の下面側に全長に亙って設けても良いが、ピース状のものを、上記各第二上部タッピングねじ21の近傍部分に設置しても良い。全長に亙って設ける場合には、これら各第二上部タッピングねじ21を挿通する為の通孔を形成しておく。何れにしても、上記上部スペーサ20は、厚さ寸法が異なる複数種類のもののうちから選択した、適切な厚さ寸法を有するものを使用する。そして、上記各第二上部タッピングねじ21の緊締に伴って、上記新規上枠5bを上記上部アタッチメント18の下面に、がたつきなく結合固定する。この新規上枠5bの屋内側端部と上記既存上枠1bの屋内側端部との間には、上記各第二上部タッピングねじ21を緊締した後、上部カバー22を被せて、これら各第二タッピングねじ21の頭部等を覆い隠す。
【0021】
前記両既存竪枠3b、3bの内側面に前記両新規竪枠7b、7bを結合固定する部分に就いても、上述した、既存上枠1bの下面に新規上枠5bを結合する部分とほぼ同様に構成している。即ち、図3に示す様に、上記両既存竪枠3b、3bの内側面に側部アタッチメント23、23を、それぞれ複数本の側部タッピングねじ24、24により結合固定している。又、これら両側部アタッチメント23、23の内側面に上記両新規竪枠7b、7bを、それぞれ側部スペーサ25、25を介して突き当てている。そして、これら両新規竪枠7b、7bを上記両側部アタッチメント23、23に対し、それぞれ第二側部タッピングねじ26、26の螺合及び緊締により、がたつきなく結合固定している。そして、上記両既存竪枠3b、3bの内端部と上記両新規竪枠7b、7bの内端部との間に被せた側部カバー27、27により、上記各第二側部タッピングねじ26、26の頭部等を覆い隠している。
【0022】
上述の様に、上記既存上枠1bの下面に上記新規上枠5bを、上記両既存竪枠3b、3bの内側面に上記両新規竪枠7b、7bを、それぞれ結合固定した状態で、互いに対向する既存、新規各枠の屋外側端部同士の間には、屋外側パッキング28を挟持して、当該部分の水密保持を図っている。尚、この屋外側パッキング28は、自由状態で描いている。又、同様に、上部、側部各カバー22、27と、既存上枠1b及び既存竪枠3b、3bとの間には、屋内側パッキング29を挟持して、当該部分の水密保持を図っている。これら、屋外側、屋内側両パッキング28、29を屋内外方向から見た形状は、それぞれ下方に開口したコ字形であり、上辺の両端部と左右両竪辺の上端部とが連続している。尚、上記新規上枠5bの屋外側端部上面及び上記両新規竪枠7b、7bの屋外側端部外側面に基端部を係止したシールリップ30の先端縁は、前記建造物の外壁面を覆う、タイル等の表層材の内周縁に弾性的に当接し、上記各枠5b、7bとこの表層材との間をシールするものである。
【0023】
更に、前記既存下枠2bの上面には前記新規下枠6bを、図1の下部及び図2に示す様に、前記下部アタッチメント17を介して結合固定している。この下部アタッチメント17は、アルミニウム合金の押し出し型材製で、上記既存下枠2bの上面にがたつきなく載置自在な下面形状と、上記新規下枠6bとほぼ同じ長さ寸法とを有する。この様な下部アタッチメント17の下面の幅方向中間部で、上記既存下枠2bの上面に設けた屋内側下部案内レール11よりも僅かに屋内寄り部分に、垂下壁部31を形成している。又、上記下部アタッチメント17の屋内側端縁部にはあり溝状の係止溝32を形成し、この係止溝32に、下部屋内側パッキング33を、上記下部アタッチメント17の全長に亙って保持している。この下部屋内側パッキング33に就いても、自由状態で描いている。又、上記下部アタッチメント17の屋外側端縁部には、下方に向け鉛直方向に折れ曲がった折れ曲がり板部34を形成している。この折れ曲がり板部34の下半部の厚さ寸法は、同じく上半部の厚さ寸法に比べて大きくしている。
【0024】
上述の様な下部アタッチメント17を、上記既存下枠2bに対し結合固定するには、幅方向中間部屋内寄り部分と屋外寄り部分との複数個所位置を、上記既存下枠2bの上面に当接させる事で、上記下部アタッチメント17を上記既存下枠2bの上面に載置する。又、この下部アタッチメント17の屋内側端縁部をこの既存下枠2bの屋内側端部に形成した立ち上がり板部35の屋外側面に突き当てると共に、上記折れ曲がり板部34の上半部屋内側面を、上記既存下枠2bの屋外側端縁に当接させる。又、上記垂下壁部31の屋外側面を、上記屋内側下部案内レール11の上端部屋内側面に当接若しくは近接対向させる。そして、この状態で、上記下部アタッチメント17の中間部に形成した段差板部36を屋外側から屋内側に挿通した下部タッピングねじ37を、上記既存下枠2bの上面の屋外側下部案内レール15に螺合し、更に緊締する。そして、上記下部アタッチメント17を、上記既存下枠2bの上面に結合固定する。この状態で、これら下部アタッチメント17の屋内側端縁と既存下枠2bの立ち上がり板部35の屋外側面との突き合わせ部は、上記下部屋内側パッキング33によりシールされる。
【0025】
上述の様にして、上記既存下枠2bの上面に結合固定した、上記下部アタッチメント17の上面には、前記新規下枠6bを結合固定する。この為にこの新規下枠6bの下面は、上記下部アタッチメント17の上面にがたつきなく載置自在な形状としている。又、上記新規下枠6bの屋内側端縁を、上記下部アタッチメント17の屋内側端部で前記係止溝32の反対側部分に突き当てた状態で、上記新規下枠6bの下面屋外寄り部分に形成した取付板部38の屋内側面が、上記下部アタッチメント17の折れ曲がり板部34の屋外側面に当接する様にしている。
【0026】
上記新規下枠6bを上記下部アタッチメント17に結合固定するには、上述の様に上記下部アタッチメント17の上面に載置した状態で、上記取付板部38の下部を屋外側から屋内側に挿通した、第二下部タッピングねじ39を、上記折れ曲がり板部34の下半部に螺合し、更に緊締する。又、上記新規下枠6bの幅方向中間部を上方から下方に挿通した、特許請求の範囲に記載した結合ねじである、第三下部タッピングねじ40を、上記下部アタッチメント17の幅方向中間部に螺合し、更に緊締する。この様に上記新規下枠6bはこの下部アタッチメント17の上面に、それぞれが複数本ずつの、第二、第三各下部タッピングねじ39、40により結合固定する。この様にして、上記新規下枠6bを上記既存下枠2bの上面に、上記下部アタッチメント17を介して結合固定した状態で、これら両下枠6b、2bの屋内側端部同士の間の隙間は、この新規下枠6bの屋内側端縁部に係止した、第二下部屋内側パッキング41により塞いでいる。尚、上記折れ曲がり板部34の下半部で上記第二下部タッピングねじ39を螺合する部分だけでなく、上記下部アタッチメント17の幅方向中間部で上記第三下部タッピングねじ40を螺合させる部分も、他の部分よりも厚肉にしている。
【0027】
上述の様に、上記下部アタッチメント17を介して上記既存下枠2bの上面に結合固定した、上記新規下枠6bの上面、即ち、屋内側、屋外側両下部案内レール11b、15bを含め、複数本の突条の上端縁の高さ位置を、上記既存下枠2bの屋内側端部に形成された立ち上がり板部35の上面の高さ位置に合わせている。この立ち上がり板部35の上面は、建造物の建築時(既存のサッシ窓枠4bの設置時)から、この建造物の床面と一致している。従って、上記新規下枠6bの上面の高さ位置は、実質的に(高齢者の歩行や車椅子の移動を妨げない程度に)、上記建造物の床面と同じ高さ位置に存在する事になる。又、本実施例の場合には、上記新規下枠6bの屋外側面にグレーチング42を結合固定し、この新規下枠6bの上面と、ベランダ等の上面に設置した嵩上げ床43の上面とを滑らかに連続させている。即ち、互いに同じ高さ位置に存在する、この嵩上げ床43の上面と上記建造物の床面とを、上記新規下枠6及び上記グレーチング42の上面により、滑らかに連続させている。
【0028】
上述の様に構成する本実施例の構造によれば、前記新規のサッシ窓枠8bに建て込んだ引戸障子44a、44bが屋外側に引かれた場合に上記新規下枠6bに加わる力を十分に支承できる。即ち、前述した通り、強風時に風向きによっては、上記各引戸障子44a、44bが屋外側に引かれる。そして、これら各引戸障子44a、44bに加えられた力は、これら各引戸障子44a、44bの下辺部分に設けられた戸車45、45と屋内側、屋外側両下部案内レール11b、15bを介して、上記新規下枠6bに伝わる。更に、この新規下枠6bに伝わった力は、前記第二、第三各下部タッピングねじ39、40を介して、前記下部アタッチメント17に伝達される。
【0029】
上記新規下枠6bと上記下部アタッチメント17とを結合している、上記第三下部タッピングねじ40は、上記各引戸障子44a、44bが屋外側に引かれた場合に上記新規下枠6bに加わる力の方向に対し直角方向である、上下方向に配設するものであり、十分に外径が大きなものを使用できる。又、上記下部アタッチメント17の一部で上記第三下部タッピングねじ40を螺合させる部分の厚さも、十分に大きくできる。この為、上記第三下部タッピングねじ40による、上記新規下枠6bと上記下部アタッチメント17との結合強度は、上記力を十分に支承できる程度に大きくできる。又、本実施例の場合には、上記下部アタッチメント17の屋外側端部に設けた折れ曲がり板部34の下半部で、上記第二下部タッピングねじ39を螺合する部分の厚さ寸法を大きくしている。この為、この第二下部タッピングねじ39による結合強度も、或る程度確保できる。従って、上記下部アタッチメント17に対する上記新規下枠6bの支持強度及び支持剛性は、十分に大きくできる。
【0030】
尚、上記屋外側に向いた力に対する、上記新規下枠6bと上記下部アタッチメント17との結合強度をより一層向上させる為には、図2に鎖線で示す様に、この下部アタッチメント17の一部上面に突条46a、46bを設け、この突条46a、46bの屋内側面と、上記新規下枠6bの一部屋外側面とを係合させても良い。但し、この場合には、上記新規下枠6bと上記下部アタッチメント17とに設けた水平突条47a、47bを短縮乃至は省略する等により、これら新規下枠6bと下部アタッチメント17とを組み合わせ可能にする。
【0031】
更に、上記新規下枠6bから上記下部アタッチメント17に伝達された、屋外側に向いた力は、このアタッチメント17の下面に垂下された前記垂下壁部31の屋外側面と、前記既存下枠2bの上面屋内寄り部分に突設された、前記屋内側下部案内レール11の上部屋内側面との係合に基づき、上記既存下枠2bに伝達される。この既存下枠2bは前記開口部16の下縁部上面に強固に結合固定されているので、この既存下枠2bが屋外側に変位する事はなく、結果として、上記新規下枠6b及び上記下部アタッチメント17が屋外側に変位する事を阻止できる。又、上記垂下壁部31と上記屋内側下部案内レール11とは、上記下部アタッチメント17及び上記既存下枠2bの全長に亙って設けられており、上記垂下壁部31と上記屋内側下部案内レール11との係合部の長さは十分に大きい。この為、この係合部による、上記下部アタッチメント17が屋外側に変位する事を阻止する力は十分に大きくできる。尚、図2に鎖線で示す様に、上記下部アタッチメント17の幅方向中間部下面に第二垂下壁部48を設け、この第二垂下壁部48の屋外側面と、上記既存下枠2bの上面に形成した屋外側下部案内レール15の上部屋内側面とを係合させる事もできる。
【0032】
又、本実施例の場合には、図4に示す様に、本発明を掃き出し窓に関して実施して、上記新規下枠6bの上面と、ベランダ等の上面に設置した嵩上げ床43の上面とを滑らかに連続させている為、上記開口部16の下辺部分に大きな段差を有する既存の窓装置を、高齢者の歩行や車椅子の移動を妨げない、所謂バリアフリーの窓装置に改修できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例を示す縦断側面図。
【図2】図1の下部拡大図。
【図3】本発明の実施例を示す横断平面図。
【図4】本実施例の構造により構成したバリアフリーの窓装置を示す、下部縦断側面図。
【図5】同じく横断平面図。
【図6】従来構造の第1例を示す縦断側面図。
【図7】同じく横断平面図。
【図8】従来構造の第2例を示す縦断側面図。
【図9】同じく横断平面図。
【符号の説明】
【0034】
1、1a、1b 既存上枠
2、2a、2b 既存下枠
3、3a、3b 既存竪枠
4、4a、4b 既存のサッシ窓枠
5、5a、5b 新規上枠
6、6a、6b 新規下枠
7、7a、7b 新規竪枠
8、8a、8b 新規のサッシ窓枠
9 屋内側アタッチメント
10 屋外側アタッチメント
11、11a、11b 屋内側下部案内レール
12a、12b ねじ
13a、13b ねじ
14 シール材
15、15a、15b 屋外側下部案内レール
16 開口部
17 下部アタッチメント
18 上部アタッチメント
19 上部タッピングねじ
20 上部スペーサ
21 第二上部タッピングねじ
22 上部カバー
23 側部アタッチメント
24 側部タッピングねじ
25 側部スペーサ
26 第二側部タッピングねじ
27 側部カバー
28 屋外側パッキング
29 屋内側パッキング
30 シールリップ
31 垂下壁部
32 係止溝
33 下部屋内側パッキング
34 折れ曲がり板部
35 立ち上がり板部
36 段差板部
37 下部タッピングねじ
38 取付板部
39 第二下部タッピングねじ
40 第三下部タッピングねじ
41 第二下部屋内側パッキング
42 グレーチング
43 嵩上げ床
44a、44b 引戸障子
45 戸車
46a、46b 突条
47a、47b 水平突条
48 第二垂下壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の開口部の内周縁に固定された、既存上枠と既存下枠と左右の既存竪枠とから成る既存のサッシ窓枠の内側に、新規上枠と新規下枠と左右の新規竪枠とから成る新規のサッシ窓枠を固定して成る改修用サッシ窓枠装置に於いて、上記既存下枠の上面に突設された下部案内レールの上部と、上記新規下枠又はこの新規下枠に結合固定される他の部材の下面に垂下された垂下壁部とを、この新規下枠又はこの他の部材が上記既存下枠に対し、屋外側に変位するのを阻止する状態で係合させると共に、この新規下枠をこの既存下枠に対し、直接又は上記他の部材を介してねじ止め固定した事を特徴とする改修用サッシ窓枠装置。
【請求項2】
既存下枠の上面に突設された下部案内レールの上部と、この既存下枠の上面に配設された、新規下枠に結合固定される他の部材であるアタッチメントの下面に垂下された垂下壁部とを、このアタッチメントが屋外側に変位するのを阻止する状態で係合させると共に、このアタッチメントを上記既存下枠に対しねじ止め固定し、更に、上記新規下枠を上方から下方に貫通する状態で設けた結合ねじをアタッチメントの一部に、このアタッチメントの一部を上方から下方に貫通する状態で螺合する事により、上記新規下枠をこのアタッチメントを介して上記既存下枠に結合固定している、請求項1に記載した改修用サッシ窓枠装置。
【請求項3】
既存下枠の屋内側端部に形成された立ち上がり板部の上面が、建造物の床面と実質的に同じ高さ位置に存在し、新規下枠の上面に形成された、下部案内レールを含む複数本の突条の上端縁が、上記立ち上がり板部の上面と同じ高さ位置に存在する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した改修用サッシ窓枠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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