説明

改善されたフィルム強度及び安定性を有する急速溶解性食用フィルム組成物

本発明は、安全且つ有効な量の繊維剤と、安全且つ有効な量のフィルム形成剤と、安全且つ有効な量の可塑剤と、安全且つ有効な量の着香剤とを含む食用フィルム組成物であって、前記フィルム組成物は口腔内で完全に及び/又は急速に溶解する、食用フィルム組成物に関する。本発明はさらに、食用フィルム組成物に繊維剤を組み込むことによって、完全な及び/又は急速なフィルム溶解性を維持しつつ、その食用フィルム組成物のフィルム強度を増大させる方法に関する。一実施形態では、食用フィルムは息フレッシュニングフィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、息フレッシュニング成分、口腔ケア活性成分、及び/又は薬学的活性成分を口腔に送達するための、繊維剤を含む食用フィルム組成物に関する。この食用フィルム組成物は、完全な及び/又は急速なフィルム溶解性を維持しながらも、改善されたフィルム強度を有し、カーリング(curling)が低減される。これらの食用フィルム組成物は、加えて、使用の前に製品を貯蔵する際の改善された着香安定性を有する。
【背景技術】
【0002】
口腔の悪臭、歯垢、歯肉炎、虫歯、歯周病及び他の口腔ケア状態は、多くの人に生じる状態である。例えば、口腔の悪臭は、口臭(halitosis)又は臭い息(bad breath)としても知られており、米国において約5,000万〜9,000万人の人々を悩ませてきた。上述の口腔ケア疾患又は状態に対抗するために、口腔リンス、歯磨き剤、歯磨きジェル(toothgels)、チューインガム、ロゼンジ及びミントなどを包含する種々の製品が開発されてきた。これらの製品、特にチューインガム及び菓子類の使用は、消費者にとっては、不便であり時間の浪費であり又は社会生活若しくはビジネスの環境において気を散らすものとなり得る長時間に渡るブラッシング動作、漱ぎ動作、なめる動作、若しくは噛む動作を必要とするので、これらは常に便利であるというわけではなく又は常に社会的に受け入れられるというわけではない。
【0003】
先行技術は、着香剤又はその他の息フレッシュニング剤を含有する、口腔内で溶解するようになされた食用の消費可能なフィルムを教示している。例えば、PCT国際公開特許WO00/18365(ワーナー・ランバート(Warner-Lambert)、2000年4月6日公開)は、プルラン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、並びにチモール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール及び/又はメントールから選択される精油からなる、消費者の口内で溶解するようになされた息フレッシュニングフィルムを教示している。加えて、米国特許第5,948,430号(LTSローマン(Lohmann)に譲渡、1999年9月7日発行)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性ポリマーから調製された治療剤及び/又は息フレッシュニング剤、及びポリアルコールを含有するフィルム組成物を開示している。この参考文献は、これらのフィルムは口腔に適用された場合に、急速な溶解性につながる即時の湿潤性を示すということを主張している。さらに、米国特許第6,419,903号(コルゲート(Colgate)に譲渡、2002年7月16日発行)は、フィルム形成剤としてのヒドロキシアルキルメチルセルロース、予めゼラチン化されたデンプン、及び着香剤を含む消費可能なフィルムを教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶解可能な食用フィルムの上記の開示にもかかわらず、こうしたフィルムにおける改良、すなわち貯蔵中又は加工(例えば、成形、裁断及び/又は包装)時のフィルムの破断若しくはカーリングを回避するために、フィルム強度を増大させることが依然として必要とされている。また、フィルム強度を増大させると、消費者がフィルムを使用のために取り出す際のフィルムの破断も回避される。本発明は、口腔内でのフィルムの完全な及び/又は急速な溶解性を維持しつつ、増大されたフィルム強度を提供する。未溶解のフィルム残部はユーザーの口蓋に受け入れがたい、味のよくない、ぬるぬるした感触を付与するので、食用フィルムは、口腔内に入れられたときに急速に及び/又は完全に溶解すると有利である。さらに、繊維剤を組み込むことで、その食用フィルム組成物の着香構成成分の貯蔵寿命もまた増大される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、安全且つ有効な量の繊維剤と、安全且つ有効な量のフィルム形成剤と、安全且つ有効な量の可塑剤と、安全且つ有効な量の着香剤とを含む食用フィルム組成物であって、前記フィルム組成物は口腔内で完全に及び/又は急速に溶解する、食用フィルム組成物に関する。本発明はさらに、繊維剤を組み込むことによって、完全な及び/又は急速なフィルム溶解性を維持しつつ、その食用フィルム組成物のフィルム強度を増大させる方法に関する。
【0006】
本発明は、安全且つ有効な量の繊維剤と、安全且つ有効な量のフィルム形成剤と、安全且つ有効な量の可塑剤と、安全且つ有効な量の着香剤とを含む食用フィルム組成物であって、その着香構成成分の貯蔵寿命を増大させるために前記繊維剤が前記着香剤を包み込んでいる食用フィルム組成物に関する。本発明はさらに、繊維剤を組み込むことによって、その食用フィルム組成物の着香構成成分の貯蔵寿命を増大させる方法に関する。一実施形態では、食用フィルムは息フレッシュニングフィルムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(定義)
本明細書で使用するとき、「抗結石」又は「抗歯石」剤は、結石又は歯石形成に関連する鉱物(例えば、リン酸カルシウム)の付着を減少、制御、抑制、予防及び/又は最小化するのに有効な材料を意味する。
【0008】
本明細書で使用するとき、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく(よい方向に)改変するのに、又は所望の効果をもたらすのに十分であるが、重篤な副作用を回避できるほど低い(妥当な利益/危険比である)、構成成分の量を意味する。構成成分の安全且つ有効な量は、治療される特定の状態(例えば息の悪臭を抑制するための)、治療される患者の年齢及び身体状態、状態の重症度、治療期間、併用療法の性質、使用する特定の形態、並びに構成成分を適用するための特定のビヒクルによって変わる。
【0009】
本明細書で使用するとき、「急速に溶解する」又は「急速な溶解」とは、被験者がその食用フィルムを口腔内に入れると、その食用フィルムが約4秒〜約100秒で、別の実施形態では約5秒〜約25秒で、また別の実施形態では約6秒〜約15秒で溶解することを意味している。
【0010】
本明細書の以下で用いる全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。本明細書で使用するとき、フィルム組成物の重量百分率は、特に指示がない限り、湿潤フィルム組成物の重量による百分率を意味する。
【0011】
本明細書の全ての測定は、他に明示されない限り25℃で行なわれる。
【0012】
特に指示がない限り、本明細書で言及する成分の百分率、比率及び濃度は全て成分の実際の量に基づき、市販製品としてその成分に混合されていることがある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0013】
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願、及び発行された特許は、全て参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求する本発明に対する従来技術としての有用性の決定に関する容認ではない。
【0014】
ここで、「含む(comprising)」とは、用語「含む(comprising)」を意味し、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含し得る。
【0015】
(繊維剤)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の繊維剤を含む。繊維剤は、難消化性デキストリン(例えば食物繊維を含有するデキストリン)、精製木材セルロース、オオバコ、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本組成物は、組成物の、一実施形態では約0.01重量%〜約25重量%、別の実施形態では約1重量%〜約15重量%、さらに別の実施形態では約5重量%〜約10重量%の繊維剤を含む。
【0016】
一実施形態では、繊維の濃度はその食用フィルムが乾燥しているときに紙の外観を有さないような濃度となされる。このことは一般に、組成物がその乾燥フィルム組成物の約4重量%〜約10重量%の繊維剤を有する場合に達成される。より高濃度の繊維が所望される場合は、平均繊維長の短い繊維剤の使用を利用することができる。
【0017】
本明細書で使用される繊維剤は、約15μm〜約700μm、別の実施形態では約15μm〜約50μm、さらに別の実施形態では約20μm〜約35μmの平均繊維長を有する。
【0018】
難消化性デキストリンは、繊維に似た消化特性を有する水溶性の加工デンプン(modified starch)材料である。難消化性デキストリンは、ジャガイモデンプン又はトウモロコシデンプンから誘導できる。デンプン類は種々多様の穀物類から得ることができるが、最も一般的なものはトウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンである。デンプン類は、酸又は酵素により、グルコース単位で構成されるさらに短い鎖長の炭化水素へと容易に加水分解される。完全に加水分解されたデンプンはグルコースを生ずる。中間生成物は、グルコースシロップ類、マルトデキストリン類、デキストリン類、及び加工デンプンである。すべてのデンプンは、グルコース単位間の大部分のα−1,4連鎖(linkages)と、相対的にごく少数のα−1,2、α−1,3、及びα−1,6結合(bonds)とで構成されている。デンプン類が、デキストリン類、マルトデキストリン類、及びグルコースシロップ類へと加水分解される場合、これらの生成物はα−1,4結合によって連結されたグルコース単位を依然として有している。理論に束縛されるものではないが、デキストリン類はマルトデキストリン類及びグルコースシロップ類と比較すると独自の様式で作ることができる。デキストリン類は、乾燥状態で酸及び熱を加えること(焙焼(roasting))によってデンプンを加水分解することにより、作ることができる。この焙焼プロセスは、加水分解によって得られるグルコースをより大きな炭化水素と再結合させて、α−1,2、α−1,3、及びα−1,6結合を形成させる。追加の焙焼は、高度に分枝した炭化水素類又はピロデキストリン類(pyrodextrins)を与える。ピロデキストリン類(pyrodextrins)は、酵素処理によりさらに加水分解されて、マルトデキストリンに似た特性を有するが実質的に難消化性である、非常に高度に分枝した生成物を作り出すことができる。こうした生成物の例は、ファイバーソル(Fibersol)(登録商標)又は難消化性デキストリンと呼ばれ、非常に水溶性であるが、繊維に似た消化特性を有する。
【0019】
難消化性デキストリンとしては、例えばパインファイバー(Pinefiber)(登録商標)及びパインファイバー(登録商標)C(ジャガイモデンプンから得られる)、及びファイバーソル1、ファイバーソル2、及びファイバーソルG(トウモロコシデンプンから得られる)が挙げられる。ファイバーソル1(デキストロース当量すなわちDE=8〜12)は高い分子量を有し、一方ファイバーソル2(DE=13〜18)は低い分子量を有する。ファイバーソル2銘柄の難消化性デキストリンは、米国食品医薬品局(USA Food and Drug Administration)からの安全食品認定(GRAS status)を獲得している。ファイバーソル1は、デキストリンとして安全食品認定(GRAS status)を付与されている。ファイバーソルGは、デキストロース、マルトース、又は他の発酵性糖類を有さないファイバーソル2と類似している。難消化性デキストリンはまた、デキシフロー(Dexflow)又はパインフロー(Pineflow)と呼ばれる低密度材料としても入手可能である。ファイバーソル銘柄は、ファイバーソルアメリカ(Fibersol America)、マツタニ・ケミカル・インダストリー事業部(a division of Matsutani Chemical Industry Co.,Ltd.)(日本、兵庫県)より入手可能である。難消化性デキストリンは、米国特許第5,458,892号(ヤトカ(Yatka)ら);EP368,451B1(マツタニ・ケミカル・インダストリーズ(Matsutani Chemical Industries Company)、1994年4月6日公開);及びEP477,089A1(マツタニ・ケミカル・インダストリーズ、1992年3月25日公開;及びEP435,656B1(マツタニ・ケミカル・インダストリーズ、1996年1月31日公開)に、さらに十分に記載されている。
【0020】
精製木材セルロースは、インターナショナル・ファイバー・コーポレーション(International Fiber Corporation)(ニューヨーク州、ノーストナウォンダ(North Tonawanda))より種々の等級、例えば、ソルカ−フロック(Solka-Floc)(登録商標)BW200(平均繊維長35μm)、ソルカ−フロック(登録商標)BW300(平均繊維長22μm)、ソルカ−フロック(登録商標)BW2030(平均繊維長35μm)、ソルカ−フロック(登録商標)BNB100(平均繊維長40μm)などで入手可能である。これらの材料は高度に精製されたセルロースであり、99%超過の食物繊維を含む。
【0021】
オオバコ材料は、プランターゴ(Plantago)属の植物からのオオバコ種子から得られる。ヘラオオバコ(Plantago lanceolate)、P.ルゲリィ(P.rugelii)、及びセイヨウオオバコ(P.major)などの様々な種類が公知である。市販のオオバコとしては、フランス産(French)(ブラック;ホソオオバコ(Plantago indica))、スペイン産(Spanish)(P.サイリウム(P.psyllium))、及びインド産(Indian)(ブロンド;P.オバタ(P.ovata))が挙げられる。一実施形態では、インド産(Indian)ブロンドサイリウム(blond psyllium)が本明細書で使用される。無傷の又は液体に浸されて柔らかくなったオオバコ種子は、通常使用の前に消毒される。しかしながら、わずかな機械圧によって種子から取り除かれた種皮のみを消毒して使用するのが望ましい場合もある。
【0022】
本発明はさらに、難消化性デキストリン(又は食物繊維を含有するデキストリン)、精製木材セルロース、オオバコ、及びこれらの混合物からなる群から選択される安全且つ有効な量の繊維剤と、安全且つ有効な量のフィルム形成剤と、安全且つ有効な量の可塑剤と、安全且つ有効な量の着香剤とを含む食用フィルム組成物であって、前記繊維剤は前記着香剤の貯蔵寿命安定性を改善する、食用フィルム組成物に関する。一実施形態では、着香構成成分の貯蔵寿命を増大させるために、繊維が着香剤を包み込んでいる。
【0023】
(フィルム形成剤)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量のフィルム形成剤を含んでいる。いずれの水溶性フィルム形成剤も本明細書で使用できる。本組成物は、組成物の、一実施形態では約2重量%〜約75重量%、別の実施形態では約10重量%〜約50重量%、さらに別の実施形態では約15重量%〜約40重量%のフィルム形成剤を含んでいる。
【0024】
いかなる水溶性の又は水分散性のフィルム形成剤も本明細書で使用できる。一実施形態では、フィルム形成剤は、水溶性セルロース誘導体類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、天然ゴム類、キサンタンガム、トラガカントゴム、グアーガム、アカシアガム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、アミロース、高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、プルラン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン(elsinan)、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質単離物、乳清タンパク質単離物、カゼイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
一実施形態では、フィルム形成剤はセルロース系フィルム形成剤であり、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択され、別の実施形態では、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択され、さらに別の実施形態では、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0026】
一般に、フィルム形成剤の濃度が増加するとフィルム強度が増大する。しかしながら、フィルム形成剤の濃度が増加するにつれ、またフィルム強度が増大するにつれ、フィルムの溶解性が減少することになる。本発明は、フィルム形成剤の濃度を溶解速度が遅すぎとなるところまで増加させる必要なしに、フィルム強度を増大させるための代替の手段を提供する。換言すれば、繊維剤を添加することで、溶解のスピードを損なうことなしに増大されたフィルム強度が提供される。
【0027】
一実施形態では、溶解速度は急速であり、例えば組成物は「急速に溶解する」。しかしながら、溶解速度はまた、フィルム形成剤の選択及びフィルム組成物の厚さによってもさらに調節できる。
【0028】
一実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つの低粘度のセルロース系フィルム形成剤と少なくとも1つの高粘度のセルロース系フィルム形成剤の、安全且つ有効な量の混合物を含む。本明細書で使用される低粘度のフィルム形成剤は、約1〜約40ミリパスカル秒(mPa.s)、別の実施形態では約2〜約20mPa.s、別の実施形態では約2〜約4mPa.sの粘度を有する。本明細書で使用される高粘度のフィルム形成剤は、約50〜約10,000ミリパスカル秒(mPa.s)、別の実施形態では約70〜1,000mPa.s、別の実施形態では約100〜約5,000mPa.sの粘度を有する。これらの粘度は、そのフィルム形成剤の2重量%水溶液として20℃で、ウベローデ管粘度計(Ubbelohde tube viscometer)を使用して決定される。一実施形態では、少なくとも1つのフィルム形成剤は、ダウ・ケミカル・カンパニー(the Dow Chemical Company)より商標名メトセル(Methocel)K4M(粘度4,000mPa.s)、メトセルK100(粘度100mPa.s)、メトセルK3(粘度3mPa.s)、メトセルE50(粘度50mPa.s)、メトセルE4M(粘度4,000mPa.s)で市販されているHPMCである。メトセル(Methocel)Kシリーズは、19〜24%メトキシ基置換及び7〜12%ヒドロキシプロプロキシル(hydroxyproproxyl)基置換を有する。メトセル(Methocel)Eシリーズは、28〜30%メトキシ基置換及び7〜12%ヒドロキシプロプロキシル(hydroxyproproxyl)基置換を有する。
【0029】
別の実施形態では、低粘度セルロース系フィルム形成剤及び/又は高粘度セルロース系フィルム形成剤のいずれかは、19〜24%メトキシ基置換及び7〜12%ヒドロキシプロプロキシル(hydroxyproproxyl)基置換を有するHPMCである。
【0030】
フィルム形成剤が低粘度セルロースフィルム形成剤と高粘度セルロースフィルム形成剤との混合物である場合、低濃度(それによりコストを削減する)のフィルム形成剤を本明細書で使用することができる。一実施形態では、本フィルム組成物は合計のフィルム形成剤(類)を、湿潤組成物の約2重量%〜約30重量%、別の実施形態では約3重量%〜約20重量%、さらに別の実施形態では約4重量%〜約7重量%含む。一実施形態では、低粘度のセルロース系フィルム形成剤の濃度は、湿潤組成物の約0.1〜約3重量%、別の実施形態では約0.5重量%〜約2重量%である。
【0031】
本明細書に記載されるようなフィルム形成剤との混合物を用いることにより、急速なフィルム溶解性を維持しつつ、また消費者による最終使用のためにフィルムを裁断して容器中に包装する際のフィルムの「カーリング」を最小限に抑えつつ、良好なフィルム強度が提供される。このことは、フィルム形成剤の濃度が比較的低いにもかかわらず達成される。
【0032】
(可塑剤)
本発明の組成物はまた、その食用フィルム組成物の可撓性を改善し脆性を低減させるために、安全且つ有効な量の可塑剤を含む。一実施形態では、可塑剤の濃度は、乾燥フィルム組成物の約0.01重量%〜約30重量%、別の実施形態では約1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約2重量%〜約5重量%の範囲である。
【0033】
本発明の好適な可塑剤としては、ポリオール類(例えば、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、水素添加デンプン加水分解産物、コーンシロップ類、及びそれらの誘導体、キシリトール、グリセロールの脂肪酸類とのモノエステル類、トリアセチン、ジアセチン、及びモノアセチン、並びにこれらの混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明の可塑剤はプロピレングリコールである。
【0034】
(着香剤)
本発明の組成物はまた、安全且つ有効な量の着香剤も含んでいる。好適な着香剤類としては、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブの芽の油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン(oxanone)、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物が挙げられる。着香剤は一般に、乾燥フィルム組成物の約0.1重量%〜約60重量%、別の実施形態では約15重量%〜約40重量%の濃度、さらに別の実施形態では約25重量%〜約35重量%の濃度で組成物中で使用される。別の実施形態では、着香料はより強い着香効果を与えるためにより高い濃度で使用され、例えば乾燥フィルム組成物の約10重量%〜約35重量%、別の実施形態では約15重量%〜約30重量%、別の実施形態では約18重量%〜約25重量%の濃度で存在する。
【0035】
別の実施形態では、着香料を安定化させるために、組成物は任意で、トウモロコシ油、大豆油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、落花生油、ヒマシ油、パーム油及びココヤシ油からなる群から選択される植物油を含み、別の実施形態ではその植物油はキャノーラ油である。
【0036】
植物油類は一般に、乾燥フィルム組成物の約0.1重量%〜約20重量%、別の実施形態では約1重量%〜約5重量%、さらに別の実施形態では約2重量%〜約4重量%の濃度で組成物中で使用される。
【0037】
(任意の活性剤)
本発明は任意で安全且つ有効な量の口腔ケア活性剤及び/又は薬学的活性剤を含んでもよい。口腔ケア活性剤及び薬学的活性剤については以下に詳細に記載する。
【0038】
(口腔ケア活性剤)
本明細書で使用するのに好適な口腔ケア活性剤は、抗結石剤、フッ化物イオン源、抗菌剤、象牙質減感剤、麻酔剤、抗真菌剤、抗炎症剤、選択的H−2拮抗剤、抗カリエス剤、栄養素、及びこれらの混合物からなる群から選択される。口腔ケア活性剤は、指導された使用の際にその活性剤が適用される口腔表面を損なうことなく着用者によって求められる効果が促進される濃度で、活性物質を含有するのが好ましい。これらの活性物質が対処する「口腔状態」の例としては、歯の外観及び構造の変化、ホワイトニング、染みの除去、歯垢除去、歯石除去、虫歯の予防及び治療、炎症を起こした歯茎及び/又は出血する歯茎、粘膜の創傷、病変、潰瘍、アフター性潰瘍、ヘルペス、歯の膿瘍、及び上記の状態及び微生物の増殖のようなその他の原因の結果として生じる口臭の除去があるが、これらに限定されない。
【0039】
好適な口腔ケア活性物質には、一般に口腔内に使用するのに安全であるとされ、口腔の全体的外観及び/又は健康に変化を与える、いかなる物質も包含される。本発明の組成物中の口腔ケア物質の濃度は一般に、特に指定しない限り、乾燥フィルム組成物の約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約1重量%〜約7重量%である。
【0040】
(抗カリエス剤及びフッ化物イオン源)
本組成物は、安全且つ有効な量の抗カリエス剤類、及びこれらの混合物を含んでいてもよい。一実施形態では、抗カリエス剤は、キシリトール、フッ化物イオン源、及びこれらの混合物からなる群より選択される。フッ化物イオン源は、組成物の使用時に遊離フッ化物イオンを提供する。一実施形態では、口腔ケア活性剤は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、アミンフッ化物のような有機フッ化物類、及びモノフルオロリン酸ナトリウムからなる群より選択されるフッ化物イオン源である。フッ化ナトリウムが、別の実施形態におけるフッ化物イオンである。米国特許第3,678,154号(ノリス(Norris)ら、1972年7月18日発行)は、こうしたフッ化物塩類並びにフッ化物イオン源として使用できるその他のものを開示している。
【0041】
本組成物は、安全且つ有効な量のフッ化物イオン源を任意に含有してもよい。別の実施形態では、遊離フッ化物イオンの濃度は、約50ppm〜約3500ppm、別の実施形態では約100ppm〜約3000ppm、別の実施形態では約200ppm〜約2,800ppm、また別の実施形態では約500ppm〜約1,500ppmである。
【0042】
(抗結石剤)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の少なくとも1つの抗結石剤を含んでもよい。この量は、一般には組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では組成物の約0.1重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では組成物の約4.5重量%〜約20重量%、さらに別の実施形態では組成物の約5重量%〜約15重量%である。抗結石剤はさらに、本質的には組成物のその他の構成成分と適合性である必要がある。
【0043】
一実施形態では、抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類;ジホスホネート類及びそれらの塩類;並びにこれらの混合物からなる群より選択される。別の実施形態では、抗結石剤は、ピロホスフェート、ポリホスフェート、及びこれらの混合物からなる群より選択される。
【0044】
(ポリホスフェート)
本発明の一実施例では、抗結石剤はポリホスフェートである。ポリホスフェートには、いくつかの環状誘導体が存在する場合もあるが、主として直鎖状構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると一般に理解されている。直鎖状ポリホスフェート類は、(XPO3nに相当し、式中、nは約2〜約125であり、好ましくはnは4よりも大きく、Xは、例えばナトリウム、カリウムなどである。(XPO3nについては、nが少なくとも3である場合、そのポリホスフェート類の性質はガラス質である。これらのホスフェート類の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、C2〜C6のアルカノールアンモニウム及び塩の混合物であってよい。ポリホスフェート類は、一般には、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩類、及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和されたそれらの水溶性アルカリ金属塩類として使用される。これらの無機ポリホスフェート塩類には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、ジナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、トリナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、普通は非晶性ガラス状物質として生じる。一実施例では、ポリホスフェート類は、FMC社(FMC Corporation)で製造され、ソダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21)として商業上知られているもの、及びこれらの混合物である。本組成物は典型的に、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、一実施形態では約4重量%〜約15重量%、さらに別の実施形態では約6重量%〜約12重量%のポリホスフェートを含む。
【0045】
上記のホスフェート源は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、18巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1996年)、685〜707頁に詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に組み込まれた全ての参考文献を含めて、それらの全てを本明細書に参考として組み込む。
【0046】
一実施形態では、ポリホスフェートは次式を有する直鎖「ガラス状」ポリホスフェート類(polyposphates)である:
XO(XPO3n
式中、Xはナトリウム又はカリウムであり、nの平均は約6〜約125である。
【0047】
一実施形態では、上記のポリホスフェートの式のいずれかにおいてnが少なくとも2である場合、抗結石剤の濃度は組成物の約4.5重量%〜約40重量%、別の実施形態では約5重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約8重量%〜約15重量%である。ポリホスフェート類は、米国特許第4,913,895号に開示されている。
【0048】
(ピロホスフェート)
本発明の組成物に有用なピロホスフェート塩類としては、アルカリ金属ピロホスフェート類、ジ−、トリ−、及びモノ−カリウム又はナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩類、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na2227)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na427)、ピロリン酸四カリウム(K427)、及びこれらの混合物からなる群より選択される。ピロホスフェート塩は、米国特許第4,515,772号(パラン(Parran)ら、1985年5月7日発行)、及び米国特許第4,885,155号、(パラン(Parran)ら、1989年12月5日発行)に記載されており、これらは、その全体に、並びにそれらに開示される引用文献も参考として本明細書に組み込まれる。ピロホスフェート塩は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley−Interscience Publishers)(1982年)、685〜707頁に詳細に記載されており、これらは、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に引用されるすべての参考文献を含めて、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0049】
一実施例では、本発明の組成物は、ピロリン酸四ナトリウムを含む。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩形態若しくは十水和物の形態、又は本組成物中で固体形態で安定な他のいかなる種類であってもよい。塩はその固体粒子状形態にあるが、その結晶性及び/又は非晶性状態であってもよく、その塩の粒径は、好ましくは審美的に受け入れ可能であるように、また使用時に容易に溶解するように十分小さい。
【0050】
本発明の組成物におけるピロホスフェート塩の濃度は、いずれかの安全且つ有効な量であり、一般には組成物の約1.5重量%〜約15重量%、別の実施形態では約2重量%〜約10重量%、さらに別の実施形態では約3重量%〜約8重量%である。
【0051】
ピロホスフェート塩に代えて、又はピロホスフェート塩と組み合わせて使用する任意の剤としては、ポリアクリレート類、及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテル(例えばガントレ(Gantrez))のコポリマーを含めて、例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載の合成アニオン性ポリマーとして知られる材料(この開示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる)、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド類(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
(抗菌剤及び抗真菌剤)
抗菌性坑歯垢剤もまた、任意に本組成物に存在してもよい。そのような剤には、これらに限定されないが、トリクロサン、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール(メルクインデックス(Merck Index)、11版(1989年)、1529頁(項目番号9573)、米国特許第3,506,720号、及び欧州特許出願第0,251,591号(ビーカム(Beecham)グループ、PLC、1988年1月7日公開)に記載);クロルヘキシジン(メルクインデックス、番号2090);アレキシジン(メルクインデックス、番号222);ヘキセチジン(メルクインデックス、番号4624);サンギナリン(メルクインデックス、番号8320);塩化ベンザルコニウム(メルクインデックス、番号1066);サリチルアニリド(メルクインデックス、番号8299);臭化ドミフェン(メルクインデックス、番号3411);塩化セチルピリジニウム(CPC)(メルクインデックス、番号2024);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロライド(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール(octapinol)及びその他のピペリジノ誘導体類;効果的な抗菌量の精油類及びそれらの組み合わせ、例えば、シトラール、ゲラニアール、及びメントールとユーカリプトールとチモールとサリチル酸メチルの組み合わせ;抗菌性金属類及びそれらの塩類、例えば、亜鉛イオン類、スズイオン類、銅イオン類、及び/又はこれらの混合物を与えるもの;ビスビグアニド類(bisbiguanides)又はフェノール樹脂類;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、及びメトロニダゾールのような抗生物質類;並びに上記の抗菌性抗歯垢剤の類似体類及び塩類;カンジダアルビカンスの治療のためのもののような抗真菌剤を挙げることができる。存在する場合、これらの剤は一般に、安全且つ有効な量で、例えば本発明の組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0053】
(抗炎症剤)
抗炎症剤も、本発明の口腔用組成物中に存在してよい。このような剤には、アスピリン、ケトロラク、フルルビプロフェンナトリウム、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ジフルニサル、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセン、インドメタシン、ケトプロフェン、トルメチンナトリウム、ピロキシカム及びメクロフェナム酸、COX−2阻害剤(バルデコキシブ、セロコキシブ及びロフェコキシブなど)、並びにこれらの混合物などの、非ステロイド性抗炎症剤を挙げてよいが、これらに限定されない。存在する場合には、抗炎症剤は一般に、本発明の組成物の約0.001重量%〜約5重量%が含まれる。ケトロラクは、米国特許第5,626,838号(1997年5月6日発行)に記載されている。
【0054】
(H−2拮抗剤)
本発明はまた、安全且つ有効な量の選択性H−2拮抗剤を包含してもよい。選択性H−2拮抗剤としては、米国特許第5,294,433号及び5,364,616号(シンガー(Singer)ら、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)に譲渡、それぞれ1994年3月15日発行及び1994年11月15日発行)に開示されている化合物類が挙げられ、これらの特許では選択性H−2拮抗剤はシメチジン、エチンチジン、ラニチジン、ICIA−5165、チオチジン、ORF−17578、ルピチジン(lupitidine)、ドネチジン(donetidine)、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン(pifatidine)、ラミチジン(lamtidine)、BL−6548、BMY−25271、ザルチジン(zaltidine)、ニザチジン、ミフェンチジン、BMY−25368(SKF−94482)、BL−6341A、ICI−162846、ラミキソチジン(ramixotidine)、Wy−45727、SR−58042、BMY−25405、ロキシチジン(loxtidine)、DA−4634、ビスフェンチジン(bisfentidine)、スフォチジン(sufotidine)、エブロチジン(ebrotidine)、HE−30−256、D−16637、FRG−8813、FRG−8701、イムプロミジン、L−643728、及びHB−408からなる群から選択される。シメチジン(SKFー92334)、N−シアノ−N’−メチル−N”−(2−(((5−メチル−1H−イミダゾールー4−イル)メチル)チオ)エチル)グアニジンが特に好ましい:
【0055】
【化1】

【0056】
シメチジンもまたメルクインデックス(Merck Index)、第11版(1989年)、354頁(項目番号2279)及び物理学者のデスクリファレンス(Physicians' Desk Reference)、第46版(1992年)、2228頁に開示されている。関連の好ましいH−2拮抗剤には、ブリマミド(burimamide)及びメチアミド(metiamide)が挙げられる。
【0057】
(栄養素)
栄養素は、口腔の状態を改善させることがあり、本発明の口腔ケア組成物に包含することができる。栄養素には、ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明の組成物に包含することができるミネラルには、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、カリウム及びこれらの混合物が挙げられる。これらのミネラルは、ドラッグ・ファクツ・アンド・コンパリソンズ(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス)、ウォルターズ・クルエル・カンパニー(Wolters Kluer Company)、(ミズーリ州セントルイス)(版権)1997年、10〜17頁に開示されている。
【0058】
ビタミンは、ミネラルとともに包含することもでき、又は別個に使用することもできる。ビタミンには、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、P−アミノ安息香酸、ビオフラボノイド類、及びこれらの混合物が包含される。そのようなビタミンは、ドラッグ・ファクツ・アンド・コンパリソンズ(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス)、ウォルターズ・クルエル・カンパニー(Wolters Kluer Company)、(ミズーリ州セントルイス)(版権)1997年、3〜10頁に開示されている。
【0059】
経口栄養補助剤としては、ドラッグ・ファクツ・アンド・コンパリソンズ(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス(loose leaf drug information service)、ウォルターズ・クルエル・カンパニー(Wolters Kluer Company)、ミズーリ州セントルイス(版権)、1997年、54〜54e頁)に開示されているような、アミノ酸類、脂肪親和物質、魚油、及びこれらの混合物が挙げられる。アミノ酸には、L−トリプトファン、L−リシン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチン又はL−カルニチン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪親和物質には、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。魚油は、大量のオメガ3(N−3)多不飽和脂肪酸類、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含有する。
【0060】
本発明の口腔ケア組成物又は物質に包含してもよい抗酸化剤としては、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロテノイド類、ビタミンA、フラボノイド類及びポリフェノール類、薬草系抗酸化剤類、メラトニン、アミノインドール類、リポ酸類及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
経腸栄養補給剤としては、ドラッグ・ファクツ・アンド・コンパリソンズ(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス)、ウォルターズ・クルエル・カンパニー(Wolters Kluer Company)、(ミズーリ州セントルイス)(版権)1997年、55〜57頁に開示されるような、タンパク質製品類、グルコースポリマー類、トウモロコシ油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリド類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
(減感剤及び麻酔剤(Anesthetic Agents))
止痛(anti-pain)若しくは減感剤及び麻酔剤(anesthetic agents)もまた、本発明の口腔ケア組成物又は物質中に存在可能である。こうした剤としては、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、天然ハーブ類、例えば没食子、アサルム、クベビン(Cubebin)、ガランガ、スクテラリア、両面針(Liangmianzhen)、白止(Baizhi)などを挙げてよいが、これらに限定されない。麻酔剤には、リドカイン、ベンゾカインなどが挙げられる。
【0063】
(薬学的活性剤)
本明細書で使用するのに好適な薬学的活性剤は、鎮静剤、睡眠剤、抗生物質、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、非鎮静性抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、去痰剤、粘液溶解剤、止瀉剤、鎮痛剤−解熱剤、プロトンポンプ阻害剤、一般的な非選択性CNS刺激剤、CNS機能を選択的に改変する薬剤、パーキンソン病治療薬、麻酔剤(narcotic)−鎮痛剤、精神薬理学的薬剤、緩下剤、ジメンヒドリナート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で活性成分として使用するのに好適な好ましい薬学的活性物質としては、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、非鎮静性抗ヒスタミン剤、鬱血除去剤、去痰剤、粘液溶解剤、鎮痛剤−解熱剤、抗炎症剤、止瀉剤、及びこれらの混合物が挙げられる。薬学的活性剤は、乾燥フィルム組成物の約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約1重量%〜約9重量%の範囲の濃度で口腔ケア組成物中に包含される。
【0064】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な鎮静剤及び睡眠剤の具体的な非限定例には、就寝疾患の処置において治療的な効果を与えることのできる鎮静剤及び/又は睡眠剤が挙げられる。好適な具体的鎮静剤及び睡眠剤としては、コハク酸ドキシルアミンを包含するドキシルアミン類、メラトニン類、ミダゾラム及びトリアゾラムを包含するベンゾジアゼピン類、ピペラジン類、クロニジン類、ニトログリセリン類、イミダゾピリジン類、ピラゾロピリミジン類、これらの薬学的塩類、及びこれらの混合物が挙げられる。ドキサルアミン類(Doxalamines)が好ましい。市販の好ましいドキシルアミン薬学的活性物質の例は、ガネス・ケミカルズ(Ganes Chemicals Ltd.)(米国、ニュージャージー州、ペンスビル(Pennsville))から市販されているコハク酸ドキシルアミンである。
【0065】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な抗生物質の具体的な非限定例としては、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
本明細書において薬学的活性成分として使用するのに好適な鎮咳剤の具体的な非限定例には、咳発作などの感冒の症状の治療において特に効果的である鎮咳化合物が挙げられる。好適な具体的な鎮咳剤としては、コデイン、デキストロメトルファン、デキストロルファン(dextrorphan)、ヒドロコドン、ノスカピン、オキシコドン、ペントキシベリン、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の薬剤送達システムが鎮咳の薬学的活性成分を含む場合、デキストロメトルファンが最も好ましい鎮咳剤である。本明細書で使用するとき、「デキストロメトルファン」とは、ラセミトルファン(racemethorphan)、(±)−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン、ジ−シス−1,3,4,9,10,10a−ヘキサヒドロ−6−メトキシ−11−メチル−2H−10,4a−イミノエタノフェナントレン(iminoethanophenanthrene)、及び臭化水素酸デキストロメトルファンを包含するそれらの薬学的塩類を意味する。デキストロメトルファン及びその製薬上許容できる塩類は、米国特許第5,196,436号(スミス、1993年3月23日発行)により十分に記載されており、この記述は本明細書に参考として組み込まれる。
【0067】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な抗ヒスタミン剤の具体的な非限定例としては、アクリバスチン(acrivastine)、マレイン酸アザタジンを包含するアザタジン、ブロムフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、デキシブロフェニラミン(dexbropheniramine)、クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸デキシクロルフェニラミン(dexchlorpheniramine maleate)、マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチンを包含するクレマスチン、サイプロヘプタジン、デキシブロムフェニラミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、クエン酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、ヒドロキシジン、メクリジン、フェニナミン(pheninamine)、フェニルトロキサミン、プロメタジン、塩酸プロメタジン、ピリラミン、マレイン酸ピリラミン、トリペレナミン、クエン酸トリペレナミン、トリプロリジン、塩酸トリプロリジン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な非鎮静性抗ヒスタミン剤の具体的な非限定例としては、アステミゾール、セチリジン、エバスチン、フェキソフェナジン、ロラチジン(loratidine)、テルフェナジン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な鬱血除去剤の具体的な非限定例としては、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、フェニレフリン、塩酸フェニレフリン、オキシメタゾリン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な去痰剤の具体的な非限定例としては、塩化アンモニウム、グアフェネシン(guafenesin)、トコン流エキス剤、ヨウ化カリウム、テルピン水和物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0071】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な粘液溶解剤の具体的な非限定例としては、アセチルシステイン(acetylcycsteine)、アンブロキソール、ブロムヘキシン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0072】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な止瀉剤の具体的な非限定例としては、ロペラミドなどが挙げられる。
【0073】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な鎮痛剤−解熱剤の具体的な非限定例としては、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、インドメタシン、フェニルブタゾン、フェナセチン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適なプロトンポンプ阻害剤の具体的な非限定例としては、オメルプラゾール(omerprazole)、オメルプラゾール(omerprazole)マグネシウム、ランソプラゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な一般の非選択性CNS刺激剤の具体的な非限定例としては、カフェイン、ニコチン、ストリキニーネ、ピクロトキシン、ペンチレンテトラゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0076】
CNS機能を選択的に改変する好適な薬剤の具体的な非限定例としては、フェニルヒダントイン(phenyhydantoin)、フェノバルビタール、プリミドン、カルバマゼピン、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、トリメタジオン、ジアゼパム、フェナセミド、フェネトリド(pheneturide)、アセタゾラミド、スルチアームブロミド、ガバペンチン、フェニトイン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適なパーキンソン病治療薬の具体的な非限定例としては、レボドパ、アマンタジン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な麻酔剤(narcotic)−鎮痛剤の具体的な非限定例としては、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルフォン、メトポン、オキシモルフォン、レボルファノール、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
本明細書で薬学的活性成分として使用するのに好適な精神薬理学的薬剤の具体的な非限定例としては、クロルプロマジン、メトトリメプラジン、ハロペリドール、クロザピン、レセルピン、イミプラミン、トラニルシプロミン、フェネイジン(pheneizine)、リチウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0080】
(その他の任意成分)
(界面活性剤)
本組成物は、任意で、安全且つ有効な量の界面活性剤を含み、別の実施形態では組成物の約0.001重量%〜約20重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約6重量%、さらに別の実施形態では約0.1重量%〜約3重量%の界面活性剤を含む。一方で、界面活性剤を全く有さないか低濃度の界面活性剤を有する食用フィルム組成物は、短期保存(1〜7日間)及び長期保存(8〜90日間)の間、改善された着香剤構成成分の貯蔵寿命を示す。この利点は部分的には環境湿分に対する食用フィルムの抵抗性の増加によるものである。したがって、別の実施形態では、本組成物は約1重量%未満、別の実施形態では約0.5重量%未満の界面活性剤を有し、また別の実施形態では本質的に界面活性剤を含まない。
【0081】
好適な界面活性剤は、適度に安定であるものであり、非イオン性、アニオン性、両性、カチオン性、双性イオン性、合成洗剤、及びこれらの混合物が挙げられる。多くの好適な非イオン性及び両性界面活性剤類が、米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))、米国特許第4,051,234号(1977年9月27日発行)に記載されており、多くの好適な非イオン性界面活性剤類が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されている。
【0082】
(甘味剤、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤)
本組成物は、任意に、スクラロース、ショ糖、グルコース、サッカリン、ブドウ糖、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩類、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン類、アセスルファム及びシクラメート塩類、特にシクラミン酸ナトリウム及びサッカリンナトリウム、並びにこれらの混合物を包含する甘味剤を含んでもよい。組成物は、好ましくはこれらの剤を組成物の約0.1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%含有する。
【0083】
本発明の組成物では、任意成分として、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤、及び局部麻酔剤を使用することができる。これらの剤は組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。
【0084】
冷却剤は、様々な物質のいかなるものであることもできる。このような物質としては、カルボキサミド類、メントール、ケタール類、ジオール類、及びこれらの混合物が挙げられる。本組成物に好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミド、及びこれらの混合物などの、パラメンタンカルボキシアミド剤である。追加の好ましい冷却剤は、メントール、高砂(Takasago)製のTK−10として既知である3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして既知であるメントングリセロールアセタール、及びハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として既知であるメンチルラクテートからなる群から選択される。本明細書で使用するとき、メントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が包含される。TK−10については、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及び他の剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されている。
【0085】
本発明の好ましい唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)製のジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。好ましい加温剤としては、トウガラシ及びベンジルニコチネートのようなニコチネートエステルが挙げられる。好ましい局部麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、及びエタノールが挙げられる。
【0086】
(フィルム組成物の製造方法)
本発明に従って使用されるフィルム組成物は、例えば製紙業及び/又はフィルム製造業などの当該技術分野で通常のプロセスによって形成される。一般には、フィルムの別個の構成成分が、混合タンク内で均質な混合物が得られるまでブレンドされる。その後、フィルムは適当な基材上で許容可能な厚さまで流し込まれ得る。このような基材の例には、マイラー(Mylar)、連続移動ステンレス鋼ベルト(最終的に乾燥セクションに入る)、リリースペーパーなどがある。次いでウェブは、例えば強制空気オーブン中で、乾燥される。使用される溶媒の性質によって決まる乾燥空気の温度及び乾燥時間の長さは、当該技術分野において認識される。しかしながら、本明細書で意図されるフィルムのほとんどは、約25℃〜140℃、別の実施形態では約60℃〜90℃の間の温度で、約20分〜約60分間、別の実施形態では約30〜約40分間で乾燥される。流し込み成形用ベルトの乾燥セクションから出た後、フィルムは衛生的条件下で保存のためにスプールに巻かれる。フィルムは5.08cm(2インチ)のロールに切り離されて、さらに2.54cm×5.08cm(1インチ×2インチ)(又はその他の所望の寸法)に裁断して重ねられ、次いで個々に包装され得る。
【0087】
当該技術分野で公知の別の通常のフィルム製造プロセスは押出成形である。この方法は、フィルム形成成分が、例えば変性食品デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、又は他の押出成形可能なポリマーなどの種々の物質を含むフィルムの場合に可能である。押出成形プロセスの機械的な部分、例えば、利用される特定の装置、押出成形力、オリフィスの形状及び温度は、当該分野の技術の範囲内であるとみなされ、本明細書に記載されるフィルムの物理特性を達成するために既知の態様で変更することができる。
【0088】
本明細書のフィルムは一般に、厚さが約0.025mm〜約0.25mm(約1〜約10ミル)、別の実施形態では約0.03mm〜約0.063mm(約1.2〜約2.5ミル)である。こうしたフィルムとして便利な幅は、約1.9〜約2.54cm(0.75〜約1インチ)であるが、フィルムの幅は本発明の実施に関し特に重要ではない。フィルムはいかなる長さに作製することもできる。しかし、本発明に従って生産される新規な剤形が高速製造に適しているということを考慮すれば、フィルムは大量に、例えば芯やスプール上で貯蔵できる、例えば4572m(15,000フィート)以上に調製される必要がある。
【0089】
繊維剤はその他の成分とともに加えられて、均質な混合物を形成することができる。加えて、繊維剤は、噴霧乾燥、流動床コーティング、噴霧冷凍(spray chilling)及びコアセルベーションによって着香剤を包み込んで、着香料の完全な又は部分的な封入を与えるために使用することができる。さらに、繊維剤及び着香料は、部分的な封入のために粒塊化されるか、又は吸収されることもできる。
【0090】
(組成物の使用)
一般に、被験者はフィルムを口腔内に入れ、その口腔内でフィルムは急速に又は1〜8時間の間にいずれかで完全に溶解する。被験者による使用の頻度は、好ましくは1週間当たり約1回から1日当たり約10回まで、別の実施形態では1週間当たり約3回から1日当たり約5回まで、さらに別の実施形態では1日当たり約1回から1日当たり約2回までである。このような治療の期間は、典型的には約1日から一生涯の範囲である。特定の口腔ケアの疾患又は状態では、治療の期間は、治療する口腔の疾患又は状態の重症度、使用する特定の送達形態、及び患者の治療に対する反応によって異なる。一実施形態では、治療の期間は約3週間〜約3ヶ月であるが、治療される状態の重症度、使用する特定の送達形態、及び患者の治療に対する反応によって、それより短いか又は長くてもよい。
【0091】
本発明の組成物は、ヒト及びその他の動物(例えば、ペット、動物園の動物又は家畜)の両方に対して有用である。
【実施例】
【0092】
以下の非限定的な実施例により、本発明の範囲内の好ましい実施形態についてさらに説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例の多くの変形形態が可能である。
【0093】
(実施例I)
次の食用フィルム組成物については下記で説明する:
【0094】
【表1】

1ダウ・ケミカル(Dow Chemical)製
【0095】
実施例1〜3のフィルム製剤を作製するために、キャノーラ油、着香剤、及びソルビトールを含有する混合物にフィルム形成剤(メトセル(Methocel)変異型)を加える。次いでこの混合物を、メトセル(Methocel)粉末の粒子が均質に分散するまで攪拌する。次に温度およそ75℃の水を添加し、少なくとも30分間攪拌を続ける。次に、着色料、甘味剤、及び難消化性デキストリンなどの残りの成分を溶液に加え、少なくとも10分間攪拌しながら混合する。この流し込み用溶液をガラスプレートに注いで延ばし、薄い単層フィルムを形成する。次いで、フィルムを70℃で10分間乾燥する。次に、フィルムをガラスプレートから取り外し、所望の寸法に裁断する。
【0096】
実施例4及び5のフィルム製剤を作製するために、水を82℃(180°F)より高く加熱する。次いで、メトセル(Methocel)変異型をその熱湯に加え、82℃(180°F)で少なくとも10分間混合する。引き続きその熱混合物に、着色料、甘味剤、及び難消化性デキストリンなどの残りの成分を添加する。次いで混合物を少なくとも5分間混合する。その流し込み用溶液を25℃に冷却しガラスプレートに注いで延ばし、薄い単層フィルムを形成する。次いで、フィルムを70℃で15分間乾燥させる。次に、フィルムをガラスプレートから取り外し、所望の寸法に裁断する。
【0097】
実施例6及び7の関しては、メトセル(Methocel)変異型をデキストリン及びアラビアゴムと完全に混合する。次いで、この乾燥混合物を水に高速攪拌しながら加える。攪拌を少なくとも30分間続ける。次に、着色料、甘味剤、及び難消化性デキストリンなどの残りの成分を溶液に加え、少なくとも10分間攪拌しながら混合する。次に、この流し込み用溶液をガラスプレートに注いで延ばし、薄い単層フィルムを形成する。次いで、このフィルムを70℃で15分間乾燥させる。次に、フィルムをガラスプレートから取り外し、所望の寸法に裁断する。
【0098】
本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかである。本発明の範囲内にあるこのような全ての修正については、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.難消化性デキストリン、精製木材セルロース、オオバコ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、安全且つ有効な量の繊維剤と;
b.安全且つ有効な量のフィルム形成剤と;
c.安全且つ有効な量の可塑剤と;
d.安全且つ有効な量の着香剤と
を含む、食用フィルム組成物。
【請求項2】
前記繊維剤が難消化性デキストリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記繊維剤の濃度が約1重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記繊維剤の濃度が約5重量%〜約10重量%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記繊維剤が約15μm〜約50μmの繊維長を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記繊維剤が約20μm〜約35μmの繊維長を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記フィルム組成物が口腔内で急速に溶解し、前記繊維剤が前記着香剤を包み込んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記フィルム形成剤が前記組成物の約2重量%〜約75重量%の濃度である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記フィルム形成剤が前記組成物の約15重量%〜約40重量%の濃度である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記フィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が安全且つ有効な量の植物油をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
a.難消化性デキストリン、精製木材セルロース、オオバコ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、安全且つ有効な量の繊維剤と;
b.安全且つ有効な量のフィルム形成剤と;
c.安全且つ有効な量の可塑剤と;
d.安全且つ有効な量の着香剤と
を含む食用フィルム組成物であって、前記フィルム組成物が口腔内で急速に溶解し、前記組成物が約1重量%未満の界面活性剤を有する、食用フィルム組成物。
【請求項13】
前記組成物が約0.5重量%未満の界面活性剤を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
食用フィルム組成物に安全且つ有効な量の繊維剤を組み込むことによって、その食用フィルム組成物のフィルム強度を増大させる方法。
【請求項15】
食用フィルム組成物に安全且つ有効な量の繊維剤を組み込むことによって、その食用フィルム組成物中の着香構成成分の貯蔵寿命又は安定性を増大させる方法。
【請求項16】
前記繊維剤が前記着香料を包み込んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
食用フィルム組成物にその組成物の約1重量%未満の界面活性剤を組み込むことによって、その食用フィルム組成物の着香構成成分の貯蔵寿命を増大させる方法。
【請求項18】
前記組成物が約0.5重量%未満の界面活性剤を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
口腔状態の治療又は予防を必要とする被験者の口腔に、安全且つ有効な量の請求項1に記載の組成物を投与することによって、口腔状態を治療又は予防する方法。

【公表番号】特表2006−515333(P2006−515333A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518914(P2005−518914)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/008963
【国際公開番号】WO2004/087089
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】