説明

改善された接着性を有するホットメルト接着剤

本発明は、メタロセン触媒の重合によって得られる少なくとも1つのエチレンおよび/またはプロピレン/C〜C20α-オレフィンコポリマー;少なくとも1つの粘着付与樹脂;および、少なくとも0.1〜15重量%の、C〜Cオレフィンと低分子量アルカノールの(メタ)アクリル酸エステルとに基づくコポリマーまたはターポリマー(このコポリマーはCOOH基または無水基を含む);さらに所望により、ワックスおよび添加剤;に基づくホットメルト接着剤、ならびに、仕上げした基材表面を結合するための該接着剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのポリエチレンおよび/またはポリプロピレン(コ)ポリマー;エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/不飽和カルボン酸ターポリマーに基づくさらなる熱可塑性ポリマー;少なくとも1つの粘着付与樹脂;さらに所望により、ワックスおよび添加剤;に基づくホットメルト接着剤に関する。また本発明は、パッケージおよび板紙物品の接着結合、特に仕上げ表面、例えばプラスチックまたは金属被覆および他の被覆を有する基材の、ならびに、特別のワニスを有する基材の接着結合のための、該ホットメルト接着剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「ホットメルト接着剤」は、接着結合すべき部品に溶融物として適用され、冷却時に固化および硬化する接着剤であると理解されている。ホットメルト接着剤は工業的に広く使用されている。例えば、包装および紙工業において、該接着剤は、カートンおよび折り畳み箱の封止、閉鎖および組立のために、または多層紙の積層のために使用されている。このような様々な適用のために、ホットメルト接着剤は、多くの要求を満たさなければならない。
【0003】
例えば、ホットメルト接着剤は、程々ないし長い開放時間(接着剤適用と結合される部品の組立の間の時間と定義される)を保持していなければならないが、結合される部品の固定化の後には、十分に迅速に硬化して、特に高速包装機において、適切な品質の接着結合が確保されなければならない。硬化速度に加えて、粘度がホットメルト接着剤の選択のための重要な基準である。自動化した加工のためには、特に、均一なホットメルト接着剤の適用のためには、粘度は、対応する適用温度において十分に低いものであるべきである。冷凍食品分野におけるパッケージの接着結合のためには、適切な低温柔軟性が存在しているべきである。換言すると、低温において、接着結合は高い強度を示すべきであり、接着剤は脆くなったり破壊されたりすべきではない。他方において、食品または飲料パッケージは、暖かいかまたは熱い状態で充填されることが多いので、この場合には、対応して高い高温強度が接着剤に要求される。「十分な高温強度」とは、一旦硬化すると、高温によって再び作動するときに、即ち接着結合の解放および/または接着結合した部品の互いに対する移動を引き起こすときに、接着剤が直ちに軟化しないことを意味するものと理解されるべきである。
【0004】
他方において、包装材料基材は広範囲の表面特性を保持している。例えば、基材表面を、プラスチック、金属または他の被覆によって、あるいはワニスによって仕上げることができる。このような表面仕上げは、良好な結合強度を達成するために、特別の接着特性を要求する。ホットメルト接着剤の汎用使用を可能にするためには、上記基材に対して広スペクトルの接着性を保持していなければならない。ホットメルト接着剤は、適用時に長時間にわたって高い熱ストレスを受ける。従って、1つの重要な要件は、適用温度における良好な熱安定性である。ホットメルト接着剤の熱安定性は、他の要因の中で特に、該ホットメルト接着剤の基礎をなす成分の相溶性に依存する。不相溶性は、特に接着性を高める成分の場合に、特に非極性のポリエチレンまたはポリプロピレン(コ)ポリマーに基づくホットメルト接着剤を用いて存在することが多い。特に食品工業のためのさらなる要求は、できるだけ臭いのないホットメルト接着剤または臭いの少ないホットメルト接着剤を提供しなければならないということである。
【0005】
ポリエチレンまたはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーに基づくホットメルト接着剤が既知である。例えば、特許文献1は、構成成分として、少なくとも1つのエチレン/アクリル酸n-ブチルコポリマー、コロフォンエステル粘着付与樹脂、微結晶性ワックスまたはパラフィンワックス、およびポリマー添加剤(これはエチレンまたはプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーであることもできる)を含有する包装用ホットメルト接着剤を記載している。
【0006】
特許文献2は、0.850〜0.895g/cmの比重を有する少なくとも1つの直鎖の均一なエチレン/C〜C20α-オレフィンコポリマーを含有するホットメルト接着剤を記載している。このコポリマーは、2000〜18,000mPasの粘度を有することが意図される。遊離のカルボキシル基を有する追加のエチレン/アクリレートコポリマーは記載されていない。
【0007】
また知られているのは特許文献3であり、これは、実質的にエチレンとC〜C20α-オレフィンに基づくコポリマーからなり、70〜130℃の軟化点を有する炭化水素粘着付与樹脂を含有するホットメルト接着剤を記載している。このエチレン/α-オレフィンコポリマーは、メタロセン触媒作用によって製造され、ホットメルト接着剤中に30〜70重量%の割合で含有される。カルボキシル基を有するエチレン/アクリレートエステルに基づく追加のポリマーは記載されていない。
【0008】
特許文献4は、30〜70重量%の実質的に無定形のポリ-α-オレフィンコポリマー(これは、<0.90g/cmの比重および1000〜20,000mPasの溶融粘度を有すると言及されている)を含有する噴霧可能なホットメルト接着剤を記載している。特に、ポリ-α-オレフィンのラジカル分解によって製造することができるポリオレフィンが記載されている。また、相溶性を改善するために記載されているのは、不飽和カルボン酸またはその無水物による該ポリ-α-オレフィンの修飾である。
【0009】
特許文献5は、メタロセン触媒作用に基づいて製造したホットメルト接着剤を記載している。添加剤として記載されているのは、特に、エチレン/アクリル酸メチルエステル(予め決めたアクリル酸メチル含量を有する)、エチレン/アクリル酸(特定濃度のカルボキシル基を含む)、またはエチレン/アクリル酸ブチルに基づくコポリマーである。ターポリマーは記載されていない。
【0010】
先行技術のホットメルト接着剤に対して確認される欠点は、良好な加工特性が可能であるが、困難な基材への接着および困難な基材の永久接着結合が不利に影響を受けることである。
【0011】
プラスチック、金属、撥グリース物質またはワニスで仕上げられた基材表面に対する、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン(コ)ポリマーに基づくホットメルト接着剤の特定の接着特性による、遭遇する様々な貯蔵温度における良好な結合強度の保証は、限定された程度でのみ存在するにすぎない。
【0012】
また、先行技術に基づけば、対応する添加剤を含むポリエチレンおよび/またはポリプロピレン(コ)ポリマーに基づくホットメルト接着剤が、適用温度において十分に良好な熱安定性(特に、ホットメルト接着剤成分の良好な相溶性によって達成される熱安定性)を保持するとの保証も存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許発明第69602035号明細書
【特許文献2】米国特許第6107430号明細書
【特許文献3】米国特許第5530054号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19944225号明細書
【特許文献5】国際公開第2005/028584号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、迅速な硬化挙動および良好な加工挙動を有するポリエチレンまたはポリプロピレン(コ)ポリマーに基づくホットメルト接着剤であって、プラスチック、金属、撥グリース物質、またはワニスで仕上げした基材に対して特定の接着特性を保持して様々な貯蔵温度において高い結合強度を達成し、溶融物において優れた熱安定性を確実にするホットメルト接着剤を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、10〜80重量%の、メタロセン触媒の重合によって得られるエチレンおよび/またはプロピレンとC〜C20α-オレフィンに基づく少なくとも1つのコポリマー;5〜60重量%の、少なくとも1つの粘着付与樹脂;0.1〜15重量%の、C〜Cオレフィンおよび(メタ)アクリル酸エステルに基づくCOOH基または無水基を含む少なくとも1つの重合体;および0〜45重量%の添加剤;を含有するホットメルト接着剤が利用可能になることにより達成される。
【0016】
本発明のさらなる対象は、接着結合する表面がプラスチック、金属、撥グリース物質、またはワニスで仕上げられているパッケージおよび板紙物品の接着結合のための、該ホットメルト接着剤の使用である。本発明のさらなる対象は、プラスチック造形部品(例えば、閉じ口、注ぎ口など)を有するパッケージの結合のための、該接着剤の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のホットメルト接着剤は、エチレンおよび/またはプロピレンならびに所望によりさらなる共重合可能なモノマーに基づく少なくとも1つのホモポリマーまたはコポリマーを含有する。エチレンおよび/またはプロピレンに加えて使用することができるモノマーは、エチレン/プロピレンと共重合することができる既知のオレフィン性不飽和モノマーである。これは、特に、直鎖または分岐鎖のC〜C20α-オレフィン、例えば、ブテン、ヘキセン、メチルペンテン、オクテン;環式不飽和化合物、例えば、ノルボネンまたはノルボナジエン;対称または非対称置換したエチレン誘導体(置換基としてC〜C12アルキル基が適する)を指す。これらは、ホモポリマーまたはコポリマーであることができ、さらなるモノマーを含有することもできる。また、以下において、「ホモ/コポリマー」は、2つを超えるモノマーからなるポリマーであると理解されるべきである。コモノマーの量は、好ましくは30%以下であるべきである。これらは、無定形のアタクチックポリオレフィンであることが多い。本発明の1つの態様は、CとC〜C20のα-オレフィンに基づくコポリマーを使用する。別の態様は、CとC〜C20のα-オレフィンのポリマーを使用する。また、エチレン/プロピレンに基づくコポリマーも適している。
【0018】
このようにして得られる(コ)ポリマーは、1000〜200,000g/モル、特に1000〜50,000g/モル、特に好ましくは30,000g/モルまでの分子量を有する[GPC法で測定した数平均分子量(Mn)]。下限は1000g/モル、好ましくは1500g/モルである。特に適するのは、メタロセン化合物を用いる触媒作用によって製造したポリマーである。これらポリマーのメルトインデックスは、5g/10分間以上、好ましくは30g/10分間以上、特に100g/10分間以上であることが意図される(190℃、2.16kgで測定;DIN ISO 1133)。通常、このようなポリマーの粘度は低い。ポリマーの軟化点は、200℃以下、特に160℃以下であるべきである。該コポリマーの量は、10〜80重量%、特に10〜60重量%であるべきである。
【0019】
これらのポリマーは、文献において知られており、様々な製造元から市販品として入手することができる。(コ)ポリマーは、1つのポリマーであることができるが、3つまでのポリマーの混合物を使用することもできる。
【0020】
さらなる構成成分として、本発明のホットメルト接着剤は、少なくとも1つの粘着付与樹脂を含有する。この樹脂は追加の粘着性を与える。これは、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の量で使用する。これは、特に、70〜140℃の軟化点を有する樹脂を指す(ASTM E28に従って測定)。これらは、例えば、芳香族、脂肪族または脂環式の炭化水素樹脂、ならびに、修飾または水素化された誘導体である。本発明において使用しうるさらなる樹脂は、例えば、ポリテルペン樹脂、フェノール修飾または芳香族修飾したポリテルペン樹脂、修飾した天然樹脂、例えばバルサム樹脂からの樹脂酸、トールロジン、またはウッドロジン、所望によりそれらのヒドロアビエチルアルコールおよびエステル、アクリル酸コポリマー、例えばスチレン/アクリル酸コポリマー、および官能性炭化水素樹脂に基づく樹脂である。部分的または完全に水素化した炭化水素樹脂およびコロフォン樹脂を使用するのが好ましい。
【0021】
オレフィンおよび(メタ)アクリル酸エステルに基づく、カルボキシル基および/または無水基を含む少なくとも1つの重合体が、ホットメルト接着剤中に含有されていることが、本発明にとって必須である。オレフィンモノマーは、既知のC〜Cオレフィンから、特にエチレンまたはプロピレンから選択することができる。(メタ)アクリル酸エステルは、低分子量C〜Cアルカノールとのエステルから選択され、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルまたは(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのそれぞれまたは混合物が特に適している。また、コポリマーは、カルボキシル基および/または無水基を含んでいなければならない。これは、後のコポリマー修飾によって、または重合によって行うことができる。例えば、酸化によってCOOH基を導入することができる。さらに、例えば無水マレイン酸を用いてラジカルグラフト化反応により、ポリマー中にCOOH基または無水基を導入することが知られている。
【0022】
しかし、重合体の好ましい態様において、それは、オレフィンおよび(メタ)アクリル酸エステルと、酸基または無水基を含む不飽和モノマーとに基づくターポリマーである。これらのモノマーは、例えば、共重合可能な不飽和モノカルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸;不飽和ジカルボン酸、例えば、マレイン酸またはフマル酸、マレイン酸/フマル酸とC〜Cアルカノールとの半エステル;これら酸の無水物;から選択することができる。マレイン酸の誘導体が特に適している。酸基または無水基を含むモノマーの量は、0.1〜7.5重量%であるべきである。
【0023】
コポリマーは、3000〜50,000g/モル、特に8000〜25,000g/モルの分子量(Mn)を有することが意図される。COOH/無水基の価数は、1〜100mg KOH/g、特に5〜50mg KOH/gであるべきである。カルボキシル基の価数が高いと、ホットメルト接着剤の構成成分の相溶性が臨界的であり、カルボキシル基の価数が低いと、接着性が低下する。分子量とは無関係に、良好な加工性を得るためには、重合体のメルトインデックスは高いことが有用である。重合体のメルトインデックスは、1〜1000g/10分間、特に100g/10分間以上、好ましくは200g/10分間以上であることが意図される(DIN ISO 1133に従って190℃、2.16kgで測定)。軟化点は、70〜140℃であるべきである。COOH基を保持する重合体の量は、0.1〜15重量%、特に1〜10重量%であるべきである。
【0024】
重合体は、(メタ)アクリル酸エステルまたはその誘導体の濃度が0.1〜60重量%、特に1〜35重量%であり、酸基または無水基を含むモノマーの濃度が0.1〜7.5重量%、特に0.2〜5重量%であるべきである。好ましい重合体の融点は、50〜150℃、特に80〜120℃であるべきである(DSC法)。カルボキシル基を含む適する重合体は、市販されており、当業者に知られている。
【0025】
また、本発明のホットメルト接着剤は、上記した構成成分に加えて、ホットメルト接着剤において添加剤として普通に使用されるさらなる成分を含有することができる。これらには、例えば、可塑剤、安定剤、ワックス、接着プロモーターおよび酸化防止剤が含まれる。これらにより、特定の適用に合わせた特性(例えば、凝集強度、粘度、軟化点など)に影響を与えることができる。さらに、充填剤を用いて強度を高めることができ、また適用可能であれば、コストを下げることができる。
【0026】
上記した構成成分に加えて、適用可能であれば、ホットメルト接着剤は、弾性熱可塑性ポリマーを含有することができる。このような弾性ポリマーは、特に、弾性またはゴム弾性特性を示すことができるスチレンブロックコポリマーであると理解されるべきである。これらは、少なくとも1つのスチレンブロックを含むことができる2ブロックまたは3ブロックコポリマーであってよい。その例は、SBR、SAN、スチレン-イソプレンコポリマー(SIS)、スチレン-エチレン/ブチレンコポリマー(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー(SEPS)、スチレン-イソプレン-ブチレンコポリマー(SIBS)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBS)、水素化スチレン-ブチレン-ブタジエンコポリマー(SBBS)である。この種のブロックコポリマーは、当業者に知られており、市販されている。ブロックコポリマーの特性は、スチレンブロックの長さにより影響される。
【0027】
ポリマーは、ホットメルト接着剤の他の構成成分との良好な相溶性が存在するように、当業者により選択されるべきである。コポリマーの量は、0.1〜25重量%であってよく、特に、0.5〜15重量%の少なくとも1つの熱可塑性エラストマーが含まれるべきである。
【0028】
適用可能であれば、ホットメルト接着剤は、それに添加して0〜45重量%、好ましくは5〜30重量%の量でワックスを含有することができる。その量は、一方において粘度が所望の範囲まで低下するが、他方において接着性が悪い方に影響を受けないような量である。ワックスは、天然起源のもの、所望により化学的に修飾された形態のもの、または合成起源のものであってよい。植物ワックスおよび動物ワックスを天然ワックスとして使用することができ、さらに、無機ワックスまたは石油化学ワックスを使用することもできる。化学的に修飾されたワックスとして、硬ワックス、例えばモンタンエステルワックス、サゾール(sasol)ワックスなどを使用することができる。ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが合成ワックスとして利用される。石油化学ワックス、例えばペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、および合成ワックスを使用するのが好ましい。
【0029】
粘度または柔軟性を調節するために可塑剤を使用するのが好ましく、該可塑剤は、本発明のホットメルト接着剤中に、通常は0〜20重量%の濃度で、好ましくは1〜10重量%の濃度で含有される。適する可塑剤は、医学グレードの白色鉱油、ナフテン系鉱油、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、植物油および動物油、およびこれらの誘導体である。水素化した可塑剤は、例えば、パラフィン系炭化水素油の群から選択される。また、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールならびにポリメチレングリコールも適している。可塑剤としてエステルも使用され、例えば、液体ポリエステルおよびグリセロールエスエル、または芳香族ジカルボン酸エステルに基づく可塑剤も使用される。同様に、アルキルモノアミンおよび脂肪酸(好ましくは8〜36個の炭素原子を有する)を使用することもできる。
【0030】
安定剤の目的は、加工中の分解から接着剤組成物を保護することである。ここで特に、酸化防止剤、さらには光保護剤を挙げるべきである。これらは、ホットメルト接着剤に、通常は3重量%までの量で、好ましくは約0.1〜1.0重量%の量で添加される。
【0031】
特定の特性を変えるために、ホットメルト接着剤に、さらなる添加剤を導入することもできる。これらは、例えば、染料または充填剤、例えば二酸化チタン、タルク、クレーなどであってよい。
【0032】
本発明のホットメルト接着剤は、さらに接着プロモーターを含有することができる。接着プロモーターは、接着結合しようとする基材に対するホットメルト接着剤の接着性を改善する物質である。接着プロモーターは、特に、湿った大気の影響下での接着結合の老化挙動を改善することが意図される。通常の接着プロモーターは、例えば、エチレン/アクリルアミドコモノマー、ポリマーイソシアネート、反応性有機ケイ素化合物、またはリン誘導体である。同様に、基材上の接着剤の湿潤特性に影響を与えることもできる。
【0033】
可塑剤、安定剤または接着プロモーターなどの添加剤は、当業者に知られている。これらは市販製品であり、当業者は、所望の特性に応じて選択することができる。この場合、ポリマー混合物との相溶性が存在することに注意しなければならない。
【0034】
通常、本発明のホットメルト接着剤は、混合によって製造される。この場合、全ての成分を準備し、加熱し、次いで均一化することができる。あるいは、最初に比較的容易に溶融する成分を準備および混合し、次いでさらなる接着剤構成成分を添加し、最後に温度感受性であるさらなる添加剤を添加する。また、ホットメルト接着剤を押出機において連続的に製造することもできる。完全に均一化した混合物を移すかまたは分配した後、それを冷却すると、それが固化する。本発明のホットメルト接着剤は、固体稠度であり、(汚染物質の他に)溶媒を含まない。本発明のホットメルト接着剤を製造し、移し、そして包装する方法は、当業者に知られている。該接着剤は、固相および液相において均一である。即ち、溶融物は透明であり、不透明ではないかまたは曇っていない。溶融した状態が長時間にわたって続くときであっても、ホットメルト接着剤の構成成分の分離は観察されるべきではない。
【0035】
適用方法は、接着結合する基材の性質ならびにそのために適する機械に依存する。スポット適用、平面適用またはストリップ適用を含むことができる。噴霧ノズル適用によって、押出被覆によって、またはローラー適用系を使用して適用することができる。
【0036】
本発明のホットメルト接着剤は、適用方法に合わせた粘度を有する。本ホットメルト接着剤は、160℃の温度で、100〜30,000mPas、好ましくは400〜20,000mPas、特に500〜5000mPasの粘度を有する[ブルックフィールド・サーモセル(Brookfield Thermosel)、スピンドル27を用いて表示した温度で測定]。
【0037】
利用に関して、適用温度において最低可能粘度を有するホットメルト接着剤を使用するのが望ましい。これは、ホットメルト接着剤のより良好な適用可能性およびより容易な供給を確実にする。またこれにより、基材の湿潤が促進される。1つの基材表面に適用した後、空気に面するホットメルト接着剤の側面は、できるだけ長く粘着性のままであり、接着可能でなければならない。この「開放時間」は、ホットメルト接着剤の溶融挙動および結晶化挙動に依存する。良好な適用特性が、本発明のホットメルト接着剤を用いて達成される。個々の構成成分の分離または相分離は、溶融相で比較的長時間保たれるときであっても観察されるべきではない。合成表面または仕上げ表面への接着は良好である。基材と接着剤の結合は、異なる温度であっても存在する。
【0038】
本発明のホットメルト接着剤は、基材、例えば被覆紙または板、フィルム、プラスチック、あるいは、金属処理表面、撥グリース表面またはワニス処理表面の接着結合のために使用される。これら接着剤は、特に、柔軟性フィルムとして、被覆紙または板として、固体基材(例えば、ビンまたはコップ)としてポリエチレンおよびポリプロピレンから作製されたプラスチック表面の接着結合のために、あるいは、アルミニウム被覆された表面のために適している。本発明のホットメルト接着剤は、多層フィルム、容器、例えば、折り畳み箱、カートン、トレーの接着結合のために、あるいは、造形基材上に接着結合するために使用することができる。また、本発明のホットメルト接着剤を用いて、プラスチック部品をパッケージに固定することもできる。例えば、閉じ口、注ぎ口、または他の造形部品を、パッケージに接着結合することができる。接着結合は固定のために働くが、接着継目を封止することもできる。良好な加工性が、長い開放時間および優れた溶融安定性によって保証される。本発明のホットメルト接着剤は、特に、上記した基材における非常に良好な接着の点で注目に値する。該接着剤によって得られる結合は、低温であっても柔軟なままであるが、高温でも良好な安定性を示す。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。
実施例1(比較):
【表1】

【0040】
実施例2
【表2】

実施例3(比較):
【表3】

【0041】
実施例4
【表4】

実施例5
【表5】

【0042】
方法
市販の実験室撹拌装置において、構成成分を160℃で溶融し、均一になるまで撹拌した。次いで、これらを適当な容器に移して冷却した。
【0043】
結果
【表6】

【表7】

【0044】
試験方法
粘度:表示した温度において;ブルックフィールド・サーモセル(Brookfield Thermosel)、スピンドル27。
開放時間:ドクターブレードを用いて170℃で接着剤ストリップを塗布し、連続した時間間隔で、軽い圧力下に紙ストリップを被覆した。これらを引き剥がし、接着結合がもはや不可能になる時間を測定した。
相溶性:170℃で透明な溶融物。
溶融安定性:170℃で75時間後に相分離がないこと。
接着性:− 欠陥接着(接着破壊);+ 良好な接着;○ 十分な接着;表示した条件下で、2つの基材ストリップを互いに接着結合し、25℃または−10℃で3日間保存した;次いで、表示した温度で試料の接着性を試験した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含有するホットメルト接着剤:
・10〜80重量%の、メタロセン触媒の重合によって得られるエチレンおよび/またはプロピレンとC〜C20α-オレフィンに基づく少なくとも1つのコポリマー;
・5〜60重量%の、少なくとも1つの粘着付与樹脂;
・0.1〜15重量%の、C〜Cオレフィンおよび(メタ)アクリル酸エステルに基づくCOOH基または無水基を含む少なくとも1つの重合体;
・0〜45重量%の添加剤。
【請求項2】
〜Cオレフィン/(メタ)アクリル酸エステルの重合体が、α,β-不飽和カルボン酸またはその無水物を含むターポリマーである請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
ターポリマーが、0.1〜7.5重量%、特に0.2〜5重量%のα,β-不飽和モノもしくはジカルボン酸またはその無水物を含有する請求項2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
ターポリマーが、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸もしくはフマル酸とC〜Cアルカノールとのモノエステル、シトラコン酸、またはこれらの無水物から選択されるモノマーを含有する請求項3に記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
〜Cオレフィン/(メタ)アクリル酸エステルに基づく重合体が、1000〜25,000g/モルの分子量を有する請求項1〜4のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
重合体が1〜10重量%で含まれる請求項1〜5のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
エチレン/プロピレンに基づくコポリマーが、10〜60重量%で含まれ、1500〜50,000の分子量(Mn)を有する請求項1〜6のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
5〜30%のワックスを添加剤として含有する請求項1〜7のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項9】
0.1〜25重量%の弾性熱可塑性ポリマーをさらに含有する請求項1〜8のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項10】
仕上げ表面、例えばプラスチックおよび金属被覆、撥グリース物質による処理、またはワニスを有する基材の接着結合のための、請求項1〜9のいずれかに記載のホットメルト接着剤の使用。
【請求項11】
パッケージおよび板紙物品の接着結合のための、請求項10に記載のホットメルト接着剤の使用。
【請求項12】
パッケージへのプラスチック造形部品の接着結合のための、請求項10に記載のホットメルト接着剤の使用。

【公表番号】特表2010−501691(P2010−501691A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525996(P2009−525996)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056341
【国際公開番号】WO2008/022828
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】