説明

改変された致死遺伝子及び該遺伝子を含むベクター

【課題】
ベクターの自己環状化や、制限酵素による未消化により生じた外来遺伝子が挿入されていないベクターを効率的に除去可能で、遺伝子ライブラリー構築に使用するのに好適な、マーカーを有するベクターを提供する。
【解決手段】
致死遺伝子内に、終止コドン及び外来遺伝子挿入部位を有する変異致死遺伝子をマーカーとし、該マーカーを挿入して組換えベクターを得る。該組換えベクターは、遺伝子断片が外来遺伝子挿入部位に正しく挿入されていない場合には、形質転換体を死滅させ、一方、正しく挿入されている場合にはもれなく生育させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローニングベクターとしてあるいは遺伝子ライブラリーの構築に最適な、変異致死遺伝子を含有するベクター及び該ベクターの構成材料としての変異致死遺伝子、並びにその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
外来遺伝子を導入した形質転換体の作製において、制限酵素とリガーゼの組み合わせによる外来遺伝子断片のベクターへ連結する手法は、すでに確立した技術ではあるが、このような遺伝子組換え技術においては、制限酵素による未消化、ベクターの自己環状化の問題があり、このため、過去においては、目的の遺伝子断片が含まれる組換えベクターを選択するために、多くの形質転換体からベクターを精製し、その一つ一つについて外来遺伝子の挿入の有無を検討するという手間を要した。このことは、単一の遺伝子断片を挿入するときのみならず、様々な遺伝子断片からなるライブラリーを作成するときなど、遺伝子組換え実験を行うあらゆる局面において、大きな問題であり、その解決法として、β―ガラクトシダーゼ等のマーカー遺伝子を使用する方法がある。この方法は、マーカー遺伝子の発現の有無で、外来遺伝子断片が保持されたベクターを保有する形質転換体を識別し、選択するもので、マーカー遺伝子が発現したか否かを検出するための指示薬を培地に加える必要がある点、マーカー遺伝子が発現した形質転換体をそれ以外の形質転換体とを培地上で選別、採取する等の手間を要する点で問題がある。
【0003】
一方、これとは別に、マーカー遺伝子として、宿主にたいし致死性を示す遺伝子をベクターに使用する方法があり、例えば、ベクター中の致死遺伝子の末端に位置するプロモーターに外来遺伝子挿入部位を設けるものがある。この方法は、外来遺伝子が該挿入部位に正しく挿入されたべクターを保持する形質転換体においては、プロモーターが機能せず致死遺伝子は発現しないので、形質転換体は生育できるが、挿入されなかった場合には致死遺伝子が発現して形質転換体は死滅することで、形質転換体の選別を行うもので(ポジティブ選別)、生育した形質転換体のみが選別の対象となるという点で、簡便な方法である。しかし、致死遺伝子の末端に挿入部位を融合させる方法では、正しく挿入が起きた場合にもかかわらず、例えば、挿入配列にプロモーター活性を有するものが挿入された場合などにおいては、毒性遺伝子が発現し、細胞を死に至らしめることがあり、特にベクターに挿入する外来遺伝子が未知の遺伝子場合には問題があり、例えば、メタゲノムライブラリー等の作製において、有用な遺伝子を見逃す恐れがあった。
【0004】
本出願人も、マーカー遺伝子として致死遺伝子を使用する手法について出願しており(特許文献1)、この方法は、致死遺伝子の上流側に終止コドンを1乃至複数設け、宿主に応じて、設ける終止コドンの数を調整することにより、宿主に応じて致死遺伝子の毒性を調節して、使用する宿主に対して最適なマーカー遺伝子を提供するものではあるが、この出願においては、上記未知のプロモーター活性に起因する問題点の検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004―57063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、ベクターの自己環状化や、制限酵素による未消化により生じた外来遺伝子が挿入されていないベクターを効率的に除去するとともに、外来遺伝子が正しく挿入されたベクターを保持する形質転換体は、もれなく選別できる、簡便かつ効率的な手段を提供することにあり、あるいはさらに該手段を利用して高性能の遺伝子ライブラリーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、外来遺伝子を含まないベクターを効率的に除去する方法を鋭意検討した結果、その発現により宿主を死滅させる致死遺伝子(lethal gene)を使用し、該致死遺伝子中に、外来遺伝子を挿入するための制限酵素切断部位及び終止コドンを設けて、形質転換体選択用マーカーとすることにより上記課題を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)致死遺伝子中に終止コドン及び外来遺伝子挿入部位を設けたことを特徴とする、変異致死遺伝子。
(2)上記(1)に記載の変異致死遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
(3)終止コドンサプレス能を有しない宿主が、上記(2)に記載のベクターにより形質転換されていることを特徴とする、形質転換体。
(4)上記(2)に記載のベクターにおける変異致死遺伝子の外来遺伝子挿入部位に外来遺伝子断片が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
(5)終止コドンサプレス能を有しない宿主が、上記(4)に記載の組換えベクターにより形質転換されていることを特徴とする、形質転換体。
(6)複数の遺伝子断片を含有する試料から作製された遺伝子ライブラリーであって、該試料中の各遺伝子断片が、上記(2)のベクターにおける変異致死遺伝子の外来遺伝子挿入部位に、それぞれ挿入されてなる各組換えベクターの集合体からなることを特徴とする、上記遺伝子ライブラリー。
(7)上記(1)の変異致死遺伝子、あるいは該遺伝子を作製するための終止コドンを有する致死遺伝子を、ベクターに導入し、宿主を形質転換して選別し、上記変異致死遺伝子、あるいは該遺伝子を作製するための終止コドンを有する致死遺伝子をクローニングする方法であって 宿主が、終止コドンサプレス能を有しない細胞であることを特徴とする、上記クローニング方法。
(8)上記(3)に記載の形質転換体を培養することを特徴とする、致死遺伝子中に外来遺伝子挿入部位及び終止コドンが設けられたベクターの増幅方法。
(9)上記(2)に記載のベクターと複数の遺伝子断片を含有する試料とをリガーゼの存在下、接触させて連結反応を行い、得られた反応液を終止コドンサプレス能を有する宿主に導入して形質転換させ、得られた形質転換体を培養し、生育した形質転換体中の組換えベクターを採取することを特徴とする、遺伝子ライブラリーの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来法にみられる制限酵素とライゲーションの組み合わせにより起こるインサートを含まない自己環状化されたベクターの出現を抑え、またインサートを含むクローン含まないクローンを選別するための実験を行うことなく、ベクターに対し外来遺伝子断片を含むクローンのみを簡便に選択することができ、これにより遺伝子を確実、正確にクローニングすることが可能となる。また、特に本発明においては、外来遺伝子の挿入部位を致死遺伝子の本体内に設けたことにより、従来の致死遺伝子をマーカー遺伝子として有するクローニングベクターに比べ優れた効果を発揮する。すなわち致死遺伝子をマーカー遺伝子として有する従来のクローニングベクターは、クローニング部位を致死遺伝子の5’末端に外側に設けており、この場合、クローニングする遺伝子断片が正しく挿入が起きた場合であっても、例えば、挿入配列にプロモーター活性を有するものが挿入された場合などにおいては、致死遺伝子の毒性が発現し、細胞を死に至らしめることがある。
【0010】
これに対して、本件発明のように致死遺伝子本体内にクローニング部位を設ける場合は、遺伝子断片が正しく挿入された場合には完全に致死遺伝子を破壊することができるため、遺伝子断片が正しく挿入された組換えベクターは、宿主細胞中でもれなく生育し、上記のような問題を生ずることがない。したがって、本件発明は、クローニング・エラーを効果的に排除するものであって、このことは、遺伝子ライブラリーあるいはこれを翻訳ないしは発現させた変異タンパク質ライブラリーを作成する際にとりわけ有益であり、特にメタゲノムライブラリー等の大規模な遺伝子ライブラリーの形成においては極めて有効である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
〔変異致死遺伝子〕
本発明は、致死遺伝子配列中に、外来遺伝子挿入部位及び終止コドンを設けて、形質転換体選択用マーカーとするものであり、この致死遺伝子の毒性を、宿主細胞の違いにより制御して、外来遺伝子が正しく挿入された場合にのみ形質転換体を選択的に生育させて選別させるものである。使用する致死遺伝子としては特に制限はなく、例えば、ccdB、sacB、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、プロテアーゼ、コリシンのE1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E9,Ia,Ib,D,B,A,M,N,K,クロアシンDF13、クレビシンのA1,A2,A3、ピオシンのAP41,S1,S2,S3,S4、barnase、pemK等の致死遺伝子を用いることができる。
上記致死遺伝子には終止コドン(TAA、TAG、TGA)をその配列中に配置するが、その位置は、元のコドンを終止コドンに置き換えることで致死性が消失する部位に設置する必要がある。また、終止コドンの種類としては、終止コドン部位に適切なアミノ酸を挿入し、致死性を回復するためのサプレッサーtRNAが利用できるものを使用すれば良い。
【0012】
また、外来遺伝子挿入部位は、制限酵素切断部位の配列を致死遺伝子中に設けることにより作製する。本発明においては、どのような制限酵素切断部位にするかについて特に制限はなく、SmaI、HincII、AfeI、DraI、EcoRV、FspI、MscI、NruI、PsiI、PvuII等の平滑末端を有する遺伝子を挿入する配列、あるいはBamHI、EcoRI、HindIII、XhoI、PstI、SphI等の粘着末端を有する遺伝子を右挿入する配列を致死遺伝子中に導入することができる。
【0013】
このような制限酵素切断部位の配列の配置は、致死遺伝子中の塩基配列を制限酵素切断部位の配列に変更することにより行うことができるが、この場合、変更する致死遺伝子の塩基配列としては、致死遺伝子のアミノ酸配列の変更が必要最小限の変更ですむ配列を選択することが、致死性を損なう可能性が低いという点で好ましい。ただし、致死性が維持されるのであれば、最適な塩基数を規定するものではなく、あるいは置換変異のみならず、挿入変異、欠失変異であっても構わない。また、外来遺伝子を挿入することが目的であるため、配置する制限部位は、ベクター上の他の部位に存在しないことが望ましい。これを例示すると、野生型致死遺伝子中には存在しないSmaI認識部位を新たに致死遺伝子中に配置する場合、SmaIの認識配列は、5’−CCCGGG−3’であるので、例えば、致死遺伝子の配列の中から、5’−CCCGGG−3’に類似する配列を選択し、5’−CCCGGG−3’に変更する。
【0014】
アミノ酸置換を伴わない変異とは、例えば、以下のとおりである。すなわち、野生型致死遺伝子中に、プロリン−グリシンをコードする部分配列が存在し、その塩基配列が5’−CCGGGG−3’であるとする。この部位を選択し、SmaI制限酵素部位を新たに配置する際には、一塩基置換のみで5’−CCCGGG−3’というSmaI配列に変換することができる。またこの場合、塩基置換によりコードするアミノ酸プロリンに変化がないため、SmaI部位を配置した後の変異遺伝子も野生型同様、致死性を維持することは自明である。一方、制限酵素部位の導入によりアミノ酸置換を伴う場合には、生成した変異致死遺伝子の致死性が維持されるかどうかを実験的に検証しなければ、外来遺伝子断片を挿入し損ねた自己環状化ベクター、未消化ベクターを除去することにはつながらない。この場合、所望の制限酵素配列の導入については、上記ケース同様に部位特異的塩基置換により行うが、制限酵素配列の導入が行われたか否かを確認するとともに、アミノ酸配列の変化により致死性が消失しないことを確認しなければならない。
【0015】
本発明においては、変異致死遺伝子を作製するに際して、致死遺伝子をマーカー遺伝子として含有する既存のベクターを鋳型として、終止コドン及び外来遺伝子挿入部位を導入するためのプライマーを用い、部位特異的変異導入法により、終止コドン及び外来遺伝子挿入部位の配列をこれらベクターの致死遺伝子中の配列内に設けてもよい。この場合使用するベクターとしては、例えば、DNAジャイレースに対する致死遺伝子ccdB遺伝子をマーカー遺伝子として含有するプラスミドベクターpCR Blunt-II TOPO、pCR-Blunt等が挙げられる。
上記部位特異的変異導入法としては、例えば、クイックチェンジ法(ストラタジーン社)、Transformer Site-Directed Mutagenesis(クロンテック社)等、すでにキット化されているような、それ自体周知の方法を用いることができる。
【0016】
〔変異致死遺伝子挿入組み換えベクター〕
本発明の変異致死遺伝子挿入組換えベクターは、マーカーとして変異致死遺伝子を有するベクターであり、特にクローニングベクターあるいは遺伝子ライブラリー作成用ベクターとして有用である。
上記したように、本発明の変異致死遺伝子挿入組換えベクターは、致死遺伝子の配列中に終止コドン及び外来遺伝子挿入部位を設けた変異致死遺伝子をベクターに組込むことにより得られるが、使用するベクターとしては、プラスミド、コスミド、フォスミド、ファージ等が使用でき、この点についても格別の制限はなく、対象とする宿主等に応じて好適なものを適宜選択すればよい。
【0017】
〔宿主細胞〕
本発明における変異致死遺伝子挿入組換えベクターは、致死遺伝子配列中に終止コドンを含有しており、これにより、通常、致死遺伝子の毒性は消失している。しかし、原核生物やある種の真核生物では終止コドンによっても、ペプチド鎖の合成が停止しないことがあり、これは、終止コドンに対応するアンチコドンをもつ異常なサプレッサtRNAを有しているからであり、このサプレッサtRNAは、3’末端にアミノ酸を有しており、該アミノ酸を終止コドン対応部位に取り込ませる。したがって、このようなサプレッサtRNAを有し、終止コドンをサプレスする機能を有する細胞を宿主として用いて、上記変異致死遺伝子挿入組換えベクターによる形質転換を行う場合には、導入された上記変異致死遺伝子挿入組換えベクターにおける致死遺伝子中の終止コドンは無効化し、致死遺伝子の毒性は回復し、宿主細胞は死滅する。このような終止コドンをサプレスする機能を有する細胞は、上記変異致死遺伝子挿入組換えベクターの外来遺伝子挿入部位に外来遺伝子が正しく挿入され、これにより致死遺伝子の機能は消失している場合に限りその生育が可能となる。
【0018】
本発明において細胞としては、例えばsupE, supF, supB, supC, supG, supL, supM, supN, supO, supDなどの遺伝子型を有する細胞が挙げられる。
一方、終止コドンサプレス能を有していない細胞を宿主として用いた場合には、上記変異致死遺伝子挿入組換えベクターを導入しても、該ベクター中の致死遺伝子は終止コドンでそのペプチド合成は中断するから、毒性は発揮されず、得られる形質転換体は生育可能である。このような終止コドンをサプレスする機能を有しない細胞としては、例えばsupE, supF, supB, supC, supG, supL, supM, supN, supO, supDなどの遺伝子を欠損した細胞が挙げられ、本発明の変異致死遺伝子挿入ベクターを細胞内に維持する必要のある場合は、この終止コドンをサプレスする機能を有しない細胞を用いる。
【0019】
使用する宿主細胞は、終止コドンをサプレスする機能を有するもの、及び有しないものであれば、その分類学上の種類に限定されず、大腸菌、枯草菌、酵母等種々の細胞を用いることができる。
例えば、本発明の変異致死遺伝子挿入組換えベクター作製工程においては、致死遺伝子に終止コドンを導入し、更に外来遺伝子導入部位を導入するか、あるいはその逆の順序で変異致死遺伝子を作製する。あるいは同時に導入されても良い。また外来遺伝子挿入部位が野生型遺伝子に既に存在する場合は、それを活用しても良い。
【0020】
これら各作成工程で得られる終止コドンを有する致死遺伝子あるいは終止コドン及び外来遺伝子挿入部位を有する変異致死遺伝子のクローニングにおいては、これらの変異遺伝子をカナマイシン、クロラムフェニコール、ゼオシン、アンピシリンなど、一般的に用いられる薬剤耐性遺伝子等の他のマーカー遺伝子を有するベクターに挿入して組換ベクターを得て、該組換えベクターを宿主細胞に導入して、スクリーニングするが、この際の宿主細胞としては、該組換えバクター中の終止コドンを無効化しない終止コドンサプレス能を有していない細胞を用いる。
すなわち、終止コドンサプレス能を有していない宿主細胞においては、致死遺伝子中に設けた終止コドンは無効化せず、形質転換体は、生育、増殖できる。また、これにより、変異致死遺伝子あるいは終止コドン挿入致死遺伝子を導入した組換えベクターも増幅できる。
【0021】
上記において明らかなように、本発明の変異致死遺伝子挿入組換えベクターは、使用する宿主に依存して、毒性を発揮するので、変異致死遺伝子挿入組換えベクター作製ないしは該ベクターを導入した形質転換体の作成工程と、作製された上記組換えベクターを使用する遺伝子クローニング工程とにおいては、使用する宿主細胞として、終止コドンサプレス能を有する細胞と有しない細胞とを使い分ける。
【0022】
〔変異致死遺伝子挿入組換えベクターの使用〕
本発明の変異致死遺伝子挿入組み換えベクターの使用に際しては、まず、該組換えベクターにおける致死遺伝子中に設けた外来遺伝子挿入部位を制限酵素で切断し、該外来遺伝子挿入部位と対応する制限酵素認識配列をその両端に有する遺伝子断片を連結する操作を行う。連結操作はリガーゼを使用する常法の手段でよい。得られた組み換えベクターは宿主に導入し、宿主を形質転換する。このとき使用する宿主は、終止コドンサプレス能を有する細胞であり、上述したように、上記致死遺伝子配列中の終止コドンは該宿主中では無効化し、上記外来遺伝子挿入部位に、外来遺伝子が正しく挿入され、これにより致死遺伝子の機能は消失している場合に限りその生育が可能となる。
【0023】
これに対して、ベクターが自己環状化を起こしたり、あるいは制限酵素処理において外来遺伝子若しくは上記該外来遺伝子挿入部位が未消化である場合等により、外来遺伝子が変異致死遺伝子における外来遺伝子挿入部位に正しく挿入されていない場合には、このようなベクターを含む形質転換体は致死遺伝子の毒性により死滅するから、生育する形質転換体のみスクリーニングすればよい。
このような本発明の手法は、特に遺伝子のクローニング手段として有用であるが、特に遺伝子ライブラリーの作製において特に有用である。
【0024】
本発明の変異致死遺伝子挿入組換えベクターを用いて遺伝子ライブラリーを作製するには、例えば、種々の生物から採取した染色体あるいはプラスミド、コスミド、フォスミド、ファージを、変異致死遺伝子挿入組換えベクターの外来遺伝子挿入部位を認識する制限酵素で切断し断片化して、複数の遺伝子断片を有する断片化試料を得る。一方、変異致死遺伝子挿入組換えベクターを、その外来遺伝子挿入部位で上記断片化に使用した制限酵素と同一酵素で切断しておき、上記断片化試料とリガーゼの存在下反応させる。反応後、反応液は終止コドンサプレス能を有する宿主細胞と接触させ、該断片化試料中の各遺伝子断片がそれぞれ連結された変異致死遺伝子挿入組換えベクターの導入操作を行い、形質転換体を得る。次いで、得られた形質転換体を培地で培養するが、このとき変異致死遺伝子挿入組み換えベクターが自己環状化を起こしたり、あるいは制限酵素処理において上記遺伝子断片若しくは上記該外来遺伝子挿入部位が未消化である場合等により、遺伝子断片が変異致死遺伝子の上記外来遺伝子挿入部位に正しく挿入されていないベクターを有する形質転換体は、致死遺伝子が毒性を発揮して、死滅する。
【0025】
一方、生育する形質転換体は、各断片化遺伝子により正しく組み換えられた組み換えベクターをそれぞれ有するものであり、該形質転換体から各断片化遺伝子を含む組み換えベクターを採取することにより、各遺伝子断片を有するベクターの集合体である遺伝子ライブラリーを構築できる。

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
実施例1
(1) 致死遺伝子の改変
致死遺伝子としては、ccdB遺伝子(配列番号1)を利用した。該遺伝子を含む市販プラスミドベクターpCR Blunt-II-TOPO(インビトロジェン社)の外来遺伝子の挿入部位に外来遺伝子を含んだプラスミドを鋳型として、ccdB遺伝子の21番目のアミノ酸(野生型ではグルタミン)をアンバー終止コドンに置き換えた。部位特異的塩基置換はクイックチェンジ法に準じて行った。反応溶液(総量20μl)は、1xKOD-plus version 2バッファー(東洋紡社)、1.5mM 硫酸マグネシウム、各0.2mM デオキシリボヌクレオチド混合物、鋳型プラスミド1 ng、1ユニット KOD-plus version 2 DNAポリメラーゼ(東洋紡社)、各10pmolの上流(配列番号2)及び下流(配列番号3)プライマーである。本溶液を98℃にて2分間の保温後、98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 4分の温度サイクルを18回繰り返した。
【0027】
配列番号2:5’−CGTCTGTTTGTGGATGTATAGAGTGATATTATTGACACG−3’
配列番号3:5’−CGTGTCAATAATATCACTCTATACATCCACAAACAGACG−3’
反応終了後、溶液に対し、10ユニットの制限酵素DpnI(NEB社)を加え、37℃で2時間反応させ鋳型を消失させた。反応後、1μLを分取し、タカラバイオ社製大腸菌コンピテントセルMV1184に加え、製品マニュアルに従い、形質転換した。菌体を50μg/mlのカナマイシンの入ったLB寒天培地に塗布し、37℃にて一晩培養した。生育したコロニーをつつき、キアゲン社製プラスミド精製キットによりプラスミドを精製し、該プラスミドに含まれる変異ccdB遺伝子の配列をDNAシーケンシングにより確認した。
【0028】
(2)次に、21番目のグルタミンがアンバーコドンに置換された変異ccdB遺伝子を増幅するため、PCRを行った。
反応溶液(総量20μl)は、1xKOD-plus version 2バッファー(東洋紡社)、1.5mM 硫酸マグネシウム、各0.2mM デオキシリボヌクレオチド混合物、上記(1)で得た21番目のグルタミンがアンバーコドンに置換された変異ccdB遺伝子を含む鋳型プラスミド1 ng、1ユニット KOD-plus version 2 DNAポリメラーゼ(東洋紡社)、各10pmolの上流(配列番号4)及び下流(配列番号5)プライマーである。本溶液を98℃にて2分間の保温後、98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 30秒の温度サイクルを25回繰り返した。
【0029】
配列番号4:5’−TTTTCATATGCAGTTTAAGGTTTACACCTATAAAAG−3’
配列番号5:5’−TTTTTAAGCTTATATTCCCCAGAACATCAGGTTAA−3’
増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、約400塩基対のバンドを切り出し、QIAprepスピンカラム(キアゲン社)によりDNAを精製し、ついでNEB社制限酵素NdeI(10ユニット)及びHindIII(10ユニット)により37℃、2時間消化した。
【0030】
(3) 変異ccdB遺伝子のクローニング
こうして得られたアンバーコドンを含む変異ccdB遺伝子をpTD-tacNd(Miyazaki
K. Isocitrate dehydrogenase from Thermus aquaticus YT1: purification of the
enzyme and cloning, sequencing, and expression of the gene. Appl Environ Microbiol. 1996 Dec;62(12):4627-31.)のNdeI‐HindIII部位に挿入した。この目的で、pTD-tacNdをNdeI及びHindIIIにより37℃、2時間消化し、アガロースゲル電気泳動により分離し、約2600塩基対のバンドを切り出し、QIAprepスピンカラム(キアゲン社)によりDNAを精製した。モル比でほぼ等量となるように、ベクターと変異ccdB遺伝子断片を混合し、T4 DNAリガーゼ(NEB社)の存在下、連結反応を室温にて一晩行った。反応溶液のうち1μL分取し、タカラバイオ社製大腸菌コンピテントセルMV1184 100μLに加え、製品マニュアルに従い、形質転換した。菌体を34μg/mlのクロラムフェニコールの入ったLB寒天培地に塗布し、37℃にて一晩培養した。生育したコロニーをつつき、キアゲン社製プラスミド精製キットによりプラスミドを精製し、アンバー変異を含む変異ccdB遺伝子の配列をDNAシーケンシングにより再度確認した。
【0031】
(4) SmaI制限酵素部位の導入
アンバー変異を含む変異ccdB遺伝子を含むpTD-tacNdプラスミドを鋳型に、ccdB遺伝子内に外来遺伝子を挿入するためのクローニング部位を設けることを行った。まず、配列番号6及び配列番号7のプライマーを用いて28番目−29番目のアミノ酸位置(Pro(CCG)-Gly(GGG))に一塩基置換によりSmaI制限部位(-CCCGGG−)を導入した。なお元のアミノ酸配列はプロリン−グリシンであるが、本実験による塩基配列の変異により、コードされるアミノ酸配列に変化はない。方法は、上述と同様、クイックチェンジ法により行った。PCRは鋳型、プライマーの種類が異なる以外は、組成、温度サイクルともに同一条件である。反応終了後、溶液をDpnIにより37℃、2時間処理し、反応溶液のうち1μL分取し、タカラバイオ社製大腸菌コンピテントセルMV1184 100μLに加え、製品マニュアルに従い、形質転換した。菌体を34μg/mlのクロラムフェニコールの入ったLB寒天培地に塗布し、37℃にて一晩培養した。生育したコロニーをつつき、キアゲン社製プラスミド精製キットによりプラスミドを精製し、アンバー変異およびSmaI部位を含む変異ccdB遺伝子の配列をDNAシーケンシングにより再度確認した。
【0032】
配列番号6:5’−GATATTATTGACACGCCCGGGCGACGGATG−3’
配列番号7:5’−CATCCGTCGCCCGGGCGTGTCAATAATATC−3’
【0033】
(5) BamHI制限酵素部位の導入
上記(4)で合成されたプラスミドを鋳型に、さらにccdB遺伝子内にBamHI制限部位(−GGATCC−)を設けるための部位特異的置換を行った。この際、制限酵素部位を導入することで、アミノ酸の置換を伴うため、ひとつのアミノ酸置換のみでBamHI部位を設定できるような部位を遺伝子内に検索した。その結果、Val33、Val46、Ala69のアミノ酸を置換することを許容することで、BamHI部位を導入可能なことを見出した。
すなわち、アミノ酸位置33〜35番目のVal-Ile-Proに対応する塩基配列は−GTGATCCCC−であり、VAL33に対応するコドン(GTG)を2文字目、3文字目が−GG−である他のアミノ酸のコドンに置換することで、BamHI制限部位を導入できる(−NGGATCCCC−;下線部BamHI部位)。Val33については、変異させるアミノ酸として3種類(Trp(TGG),Arg(CGG,AGG),Gly(GGG)の可能性があったため、そのすべてのパターンをカバーするプライマー(配列番号8,9)を設計した。
【0034】
また、アミノ酸位置46、47番目のVal-Serの対応塩基配列は-GTCTCC-であるため、Val46のコドンをGlyのコドン(GGA)に置換すればよく、そのためのプライマー(配列番号10.11)を設計した。
一方、アミノ酸位置69、70番目のAla−Serの対応塩基配列は−GCCAGT−であるが、BamHIの切断部位中のTCCはSerのコドンでもあるから、アミノ酸置換は、Ala69(GCC)をGly(GGA)に置換するのみでよい。上記Ala−Serの対応塩基配列(−GCCAGT−)をBamHIの切断部位(−GAATCC−)の配列に置換するプライマーは配列番号12.13に示される。
これらのBamHI制限部位の導入は、上述のSmaIの場合とは異なり、アミノ酸置換を伴う変異であり、このためccdB遺伝子の致死性が保持されるかどうかは自明ではない。そのため、部位ごとに致死性の有無の検証が必要であったため、並行して実験を行った。
【0035】
部位特異的置換に用いたプライマーの組み合せは、以下の配列番号8及び配列番号9、配列番号10及び配列番号11、配列番号12及び配列番号13の3通りで用いた。方法は、上述と同様、クイックチェンジ法により行った。PCRは鋳型、プライマーの種類が異なる以外は、組成、温度サイクルともに同一条件である。反応終了後、溶液をDpnIにより37℃、2時間処理し、反応溶液のうち1μL分取し、タカラバイオ社製大腸菌コンピテントセルMV1184 100μLに加え、製品マニュアルに従い、形質転換した。菌体を34μg/mlのクロラムフェニコールの入ったLB寒天培地に塗布し、37℃にて一晩培養した。生育したコロニーをつつき、キアゲン社製プラスミド精製キットによりプラスミドを精製し、アンバー変異、SmaI部位、BamHIを含む変異ccdB遺伝子の配列をDNAシーケンシングにより再度確認した。とくに、アミノ酸位置33番目の変異については、配列番号8と9のプライマーを用いれば、Trp(TGG),Arg(CGG,AGG),Gly(GGG)のすべてがライブラリー中に生まれるが、複数個のコロニーを選択し、プラスミドを抽出、精製し、実際に塩基配列を決定することで、いかなる塩基置換、アミノ酸置換が起きているかを確定した。こうして3種すべての置換パターンを得た。
【0036】
配列番号8:5’−GGGCGACGGATGNGGATCCCCCTGGCCA−3’
配列番号9:5’−TGGCCAGGGGGATCCNCATCCGTCGCCC−3’
配列番号10:5’−CGTCTGCTGTCAGATAAAGGATCCCGTGAACTTTACCC−3’
配列番号11:5’−GGGTAAAGTTCACGGGATCCTTTATCTGACAGCAGACG−3’
配列番号12:5’−ATGATGACCACCGATATGGGATCCGTGCCGGTCTCCGT−3’
配列番号13:5’−ACGGAGACCGGCACGGATCCCATATCGGTGGTCATCAT−3’

【0037】
実施例2
(1) ライブラリーの調製
実施例1(5)で調製された各種プラスミドを含む溶液を、エシェリシア コリーJM109のコンピテントセル(東洋紡社製)に導入し、形質転換体を34μg/Lのクロラムフェニコール、0.05mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを含むLB寒天プレート上に播種した。上記変異ccdB遺伝子のうち、Val33Trpを含む遺伝子については、既報より、温度感受性となることが知られている(Chakshusmathi G, Mondal K, Lakshmi GS, Singh G, Roy A, Ch RB, Madhusudhanan S, Varadarajan R.Design of temperature-sensitive mutants solely from amino acid sequence. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 May 25;101(21):7925-30.)。すなわち高温では毒性が現れずに37℃ではコロニー形成をすることも考えられた。しかし実験の結果、30℃、37℃のいずれにおいてもすべての場合において形質転換体を得ることはできなかった。このことは、外来遺伝子を挿入しない場合、(4)で得られたベクターのいずれもが生育できず、挿入断片を有するクローンと選別できることを示唆した。

【0038】
(2) ライブラリーの作成
上記のプラスミドのうち、ccdB遺伝子内にSmaI及びBamHI(Val33Argタイプのもの)を含むpTDtacNdベクター(以後pCm-Ccd1Rとする)を利用して、外来遺伝子断片を挿入させ、ライブラリー作成に用いた。
約10kb長からなる未知遺伝子断片を含むプラスミドベクターを基質として、該プラスミドをAluIあるいはSau3AIで部分消化し、1〜3kbのDNA断片をpCm-Ccd1RベクターのそれぞれSmaI、BamHI部位に挿入した。まず基質となるプラスミド1μgを1ユニットの制限酵素AluI(NEB社)またはSau3AI(タカラバイオ社)と混合し、室温にて4分間反応させた。反応を終濃度10 mMのエチレンジアミン四酢酸を添加し終結させ、反応液を70℃にて10分間保温した。次に、反応液をアガロースゲル電気泳動にかけ、1〜3kbのDNA断片を切り出し、QIAquick spinキット(キアゲン社)により精製した。精製した遺伝子断片は30μLの水により溶出した。一方、pCm-Ccd1R 1μgを10ユニットのSmaIあるいは10ユニットのBamHIにて半塗させた。SmaIについては室温にて2時間、BamHIについては37℃にて2時間反応させた。その後、2ユニットのアルカリホスファターゼ(NEB社)を反応液に直接追加し、室温にて1時間反応させた。
【0039】
(3) 各0.2 μgずつのインサート及びベクター遺伝子断片を混合し10μLの反応系で、T4 DNAリガーゼ(NEB社)存在下で連結反応を室温にて行った。6時間の反応後、1μLを分取し、JM109コンピテントセル(タカラバイオ社)20μL添加した。形質転換細胞を34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天培地に播種し、37℃にて一晩静置培養した。
【0040】
各ライブラリーより生育したクローンの10個を無作為に選択し、34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB液体培地に植え、37℃一晩培養後にプラスミドを抽出し、SmaI、BamHI部位を挟むように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーによりインサートの増幅を試みた。反応溶液(総量20μl)は、1xKOD-plus version 2バッファー(東洋紡社)、1.5mM 硫酸マグネシウム、各0.2mM デオキシリボヌクレオチド混合物、鋳型プラスミド1 ng、1ユニット KOD-plus version 2 DNAポリメラーゼ(東洋紡社)、各10pmolの上流(配列番号14)及び下流(配列番号15)プライマーである。本溶液を98℃にて2分間の保温後、98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 3分の温度サイクルを25回繰り返した。
【0041】
配列番号14:5’−CTATAAAAGAGAGAGCCGTTATCGTCTG−3’
配列番号15:5’−ATATCGGTGGTCATCATGCGCCA−3’

反応液をアガロースゲル電気泳動により分析し、すべてのクローンにおいて1〜3kbの断片が得られ、ベクターに対し、正しくクローニングされていることが確認された。
また、各ライブラリーより96個ずつのクローンをランダムに選択し、インサート領域に隣接するプライマーを用いてシーケンス解析したところ、すべてのクローンについてインサートの存在が確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
致死遺伝子中に終止コドン及び外来遺伝子挿入部位を設けたことを特徴とする、変異致死遺伝子。
【請求項2】
上記(1)に記載の変異致死遺伝子が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
【請求項3】
終止コドンサプレス能を有しない宿主が、請求項2に記載のベクターにより形質転換されていることを特徴とする、形質転換体。
【請求項4】
請求項2に記載のベクターにおける変異致死遺伝子の外来遺伝子挿入部位に外来遺伝子断片が挿入されていることを特徴とする、組換えベクター。
【請求項5】
終止コドンサプレス能を有しない宿主が、請求項4に記載の組換えベクターにより形質転換されていることを特徴とする、形質転換体。
【請求項6】
複数の遺伝子断片を含有する試料から作製された遺伝子ライブラリーであって、該試料中の各遺伝子断片が、請求項2に記載のベクターにおける変異致死遺伝子の外来遺伝子挿入部位に、それぞれ挿入されてなる各組換えベクターの集合体からなることを特徴とする、上記遺伝子ライブラリー。
【請求項7】
請求項1の変異致死遺伝子、あるいは該遺伝子を作製するための終止コドンを有する致死遺伝子を、ベクターに導入し、宿主を形質転換して選別し、上記変異致死遺伝子、あるいは該遺伝子を作製するための終止コドンを有する致死遺伝子をクローニングする方法であって 宿主が、終止コドンサプレス能を有しない細胞であることを特徴とする、上記クローニング方法。
【請求項8】
請求項3に記載の形質転換体を培養することを特徴とする、致死遺伝子中に外来遺伝子挿入部位及び終止コドンが設けられたベクターの増幅方法。
【請求項9】
請求項2に記載のベクターと複数の遺伝子断片を含有する試料とをリガーゼの存在下、接触させて連結反応を行い、得られた反応液を終止コドンサプレス能を有する宿主に導入して形質転換させ、得られた形質転換体を培養し、生育した形質転換体中の組換えベクターを採取することを特徴とする、遺伝子ライブラリーの製造方法。



【公開番号】特開2011−200125(P2011−200125A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67817(P2010−67817)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】