説明

改竄防止機能付き包装箱

【課題】包装した商品の抜き取り等の改竄を防止し、開封されてもその痕跡が残る機能を備えた包装箱を提供する。
【解決手段】周壁8から延びる内フラップ4と外フラップ5とを重ね、これらを接着剤を塗布した接着部7で貼り合わせて封緘する包装箱において、前記周壁8に、内フラップ4への切込により突起6を設け、この突起6が接着部7に近接して内フラップ4と外フラップ5の隙間を覆うようにし、接着部7の付近では、内フラップ4と外フラップ5との間にカッターナイフの刃が入らず、突起6を切り取ったり、潰したりしなければ開封できないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開封の痕跡を残すことにより、包装した商品の抜き取り等の改竄を防止する機能を備えた包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種商品の配送に使用する包装箱として、図13に示すように、側板51と端板52とを連設して周壁50を形成し、端板52から延びる内フラップ53に、側板51から延びる外フラップ54を重ね、これらをホットメルト等の接着剤を塗布した接着部55で貼り合わせて封緘するものが使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような包装箱では、流通過程で内フラップ53と外フラップ54との間にカッターナイフの刃を差し入れ、接着部55を切り離して開封し、商品を抜き取った後、再度封緘する改竄が行なわれても、発見が難しいという問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、包装した商品の抜き取り等の改竄を防止し、開封されてもその痕跡が残る機能を備えた包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明は、周壁から延びる内フラップと外フラップとを重ね、これらを接着剤を塗布した接着部で貼り合わせて封緘する包装箱において、前記周壁に、内フラップへの切込により突起を設け、この突起が接着部に近接して内フラップと外フラップの隙間を覆うようにし、接着部の付近では、内フラップと外フラップの間にカッターナイフの刃が入らず、突起を切り取ったり、潰したりしなければ開封できないようにしたのである。
【0006】
ここで、前記内フラップと外フラップが周壁の直角をなす辺から延出されている場合、周壁の突起が外フラップの側縁に沿うようにし、内フラップと外フラップが周壁の対向する辺から延出されている場合、周壁の突起が外フラップの先端縁に沿うようにする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る包装箱では、内フラップと外フラップの間にカッターナイフの刃を差し入れ、接着部を切り離して開封しようとした場合、突起が障害となって、接着部を切り離すことができず、突起を切り取ったり、潰したりしなければ開封できないので、流通過程での商品の抜き取り等の改竄を防止でき、仮に開封されても、その痕跡が残るので、改竄の事実を容易に発見することができる。
【0008】
また、前記突起の位置を、周壁の上下で交互にずらすことにより、輸送や保管に際し、複数の包装箱を積み上げた時、突起同士が噛み合うようにして、積ずれによる荷崩れを防止することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、この発明の第1実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0010】
この包装箱は、各種商品の輸送に使用される段ボール製のものであり、図1に示すブランクから形成される。このブランクでは、各一対の側板1及び端板2が交互に連設され、一方の側板1の外側に継代片3が連設されている。端板2及び側板1の上下端には内フラップ4及び外フラップ5がそれぞれ連設されている。
【0011】
上方の外フラップ5には、両端部にジッパ型切目を有する正規開封用の切目線5aが設けられ、先端中間部に開封時の撓みを許容する一対の切目5bが入れられている。上方の内フラップ4には、先端中間部に、一対の切込に挟まれた差込片4aが設けられ、その先端及び基端側に再封緘時の撓みを許容する切目4bが入れられている。
【0012】
端板2の上端部には、上方の内フラップ4への切込により、端板2の下端部には、下方の内フラップ4への切込により、それぞれ2個及び3個の突起6が設けられ、これらの突起6の位置は、端板2の上下で交互にずらされている。
【0013】
このブランクを組み立てて商品を包装するには、図2に示すように、各一対の側板1及び端板2を角筒状に折り曲げ、継代片3を反対側の端板2の内面に貼り付けて周壁8を形成し、下方の内フラップ4及び外フラップ5を順次内側へ折り曲げて貼り合わせることにより、底面を閉止する。
【0014】
次に、箱内に商品を収納し、上方の内フラップ4及び外フラップ5を順次内側へ折り曲げて重ね、この内フラップ4と外フラップ5とを、切目線5aの外側のホットメルト接着剤を塗布した接着部7で貼り合わせる。
【0015】
このようにブランクを組み立てて封緘すると、内フラップ4の折り曲げに伴い、突起6が内フラップ4から起立し、接着剤の接着部7に近接して、外フラップ5の側縁に沿い、内フラップ4と外フラップ5の隙間が突起6で覆われる。
【0016】
そして、この包装箱を正規に開封する際には、包装箱の天面において、外フラップ5の切目5bの間の部分を押して撓ませ、外フラップ5の先端間に生じた隙間に指を入れ、図3に示すように、外フラップ5を引き起こして、切目線5aを切断し、この外フラップ5の切目線5aより外側の部分が内フラップ4に貼り付いた状態で、内フラップ4を引き起こして、天面を開口させる。
【0017】
また、このように開封した包装箱を再封緘する際には、図4に示すように、外フラップ5及び内フラップ4を順次閉じて重ね、内フラップ4を切目4bに沿って撓ませつつ、差込片4aを外フラップ5の切目線5aに臨む端部の下方へ押し込むと、内フラップ4及び外フラップ5の反発が抑制され、包装箱の再封緘状態が維持される。
【0018】
一方、図2に示す封緘状態において、流通過程で商品を抜き取ろうとした者が、図5に示すように、切目線5aを切断することなく、内フラップ4と外フラップ5との間にカッターナイフCの刃を差し入れ、接着部7を切り離して開封しようとした場合には、突起6が障害となって、接着部7を切り離すことができず、突起6を切り取ったり、潰したりしなければ開封できない。このため、流通過程での商品の抜き取り等の改竄を防止でき、仮に開封されても、その痕跡が残るので、改竄の事実を容易に発見することができる。
【0019】
次に、この発明の第2実施形態を図6乃至図10に基づいて説明する。
【0020】
この包装箱もまた、各種商品の輸送に使用される段ボール製のものであり、図6に示すブランクから形成される。このブランクにおいて、外フラップ5には、切目線5aの中間部分に差入切込5c及び抜止片5dが設けられ、内フラップ4には、両側の傾斜縁に差込片4aが設けられている。差込片4aは、先端側から基端側へテーパー状に幅が大きくなり、その基端部には、切込により段差が形成されている。
【0021】
このようなブランクを、図7に示すように、組み立てた状態で商品を収納して封緘し、図8に示すように、包装箱の天面において、外フラップ5の切目線5aを切断して正規に開封すると、外フラップ5の切目線5aより外側の部分が内フラップ4に貼り付いた状態で、外フラップ5及び内フラップ4を開くことができる。
【0022】
また、このように開封した包装箱を再封緘する際には、図9に示すように、外フラップ5及び内フラップ4を順次閉じて重ね、内フラップ4の両側の差込片4aを下方へ折り曲げて、差入切込5cに差し入れると、差込片4aの基端部の段差が抜止片5dに係合し、差入切込5cから差込片4aが抜け止めされて、包装箱の再封緘状態が維持される。
【0023】
そして、この包装箱においても、図7に示す封緘状態において、流通過程で商品を抜き取ろうとした者が、図10に示すように、切目線5aを切断することなく、カッターナイフCにより接着部7を切り離して開封しようとした場合、突起6が障害となって、接着部7を切り離すことができず、突起6を切り取ったり、潰したりしなければ開封できないので、商品の抜き取り等の改竄を防止でき、仮に開封されても、改竄の事実を容易に発見することができる。
【0024】
また、上記第1及び第2実施形態の包装箱は、図11に示すように、封緘状態で積み上げると、上下の包装箱の突起6同士が噛み合うので、積ずれによる荷崩れを防止することができる。
【0025】
次に、この発明の第3実施形態を図12に基づいて説明する。
【0026】
この包装箱は、菓子等の包装に使用される板紙製のものであり、対向する一方の側板1に内フラップ4が、他方の側板1に外フラップ5が連設され、一対の端板2に折曲片2aが連設されている。上方の外フラップ5には、2本の切目線5aに挟まれた引裂帯5eが幅方向に設けられている。一方の側板1の上下端部には、内フラップ4への切込により突起6が設けられている。
【0027】
この包装箱の封緘に際しては、折曲片2aを内側へ折り曲げた後、対向する内フラップ4及び外フラップ5を順次折り曲げて重ね、底面を閉止し、天面側では、外フラップ5の引裂帯5eより先端側において、ホットメルト接着剤を線状に塗布した接着部7で内フラップ4と外フラップ5とを貼り合わせる。この状態で、突起6は、内フラップ4から起立し、接着剤の接着部7に近接して、外フラップ5の先端縁に沿い、内フラップ4と外フラップ5の隙間が突起6で覆われる。
【0028】
このように封緘した包装箱を正規に開封する際には、引裂帯5eを引き裂いて外フラップ5を切断し、外フラップ5の引裂帯5eより先端側の部分が内フラップ4に貼り付いた状態で、外フラップ5の引裂帯5eより基端側の部分及び内フラップ4を開き、折曲片2aを開いて、天面を開口させる。
【0029】
また、再封緘する際には、外フラップ5及び内フラップ4を順次閉じて重ね、内フラップ4の先端の差込片4aを、外フラップ5の差入切込5cに差し入れると、包装箱の再封緘状態が維持される。
【0030】
そして、この包装箱においても、封緘状態において、流通過程で商品を抜き取ったり、異物混入等のいたずらをしようとした者が、引裂帯5eを引き裂くことなく、カッターナイフにより接着部7を切り離して開封しようとした場合、突起6が障害となって、接着部7を切り離すことができず、突起6を切り取ったり、潰したりしなければ開封できないので、商品の抜き取り等の改竄を防止でき、仮に開封されても、改竄の事実を容易に発見することができる。
【0031】
なお、上記各実施形態では、周壁が四角筒状の包装箱を例示したが、周壁のコーナー部分に面取状の傾斜部を設けた包装箱においても、同様の構成を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態に係る段ボール製包装箱のブランクを示す図
【図2】同上の封緘状態を示す斜視図
【図3】同上の正規開封状態を示す斜視図
【図4】同上の再封緘状態を示す部分斜視図
【図5】同上の不正開封の過程を示す部分斜視図
【図6】第2実施形態に係る段ボール製包装箱のブランクを示す図
【図7】同上の封緘状態を示す斜視図
【図8】同上の正規開封状態を示す斜視図
【図9】同上の再封緘状態を示す部分斜視図
【図10】同上の不正開封の過程を示す部分斜視図
【図11】第1及び第2実施形態に係る包装箱の積上状態を示す側面図
【図12】第3実施形態に係る板紙製包装箱の封緘状態を示す斜視図
【図13】従来の包装箱の不正開封の過程を示す部分斜視図
【符号の説明】
【0033】
1 側板
2 端板
3 継代片
4 内フラップ
4a 差込片
4b 切目
5 外フラップ
5a 切目線
5b 切目
5c 差入切込
5d 抜止片
5e 引裂帯
6 突起
7 接着部
8 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁から延びる内フラップと外フラップとを重ね、これらを接着剤を塗布した接着部で貼り合わせて封緘する包装箱において、前記周壁に、内フラップへの切込により突起を設け、この突起が接着部に近接して内フラップと外フラップの隙間を覆うようにしたことを特徴とする改竄防止機能付き包装箱。
【請求項2】
前記内フラップと外フラップが周壁の直角をなす辺から延出され、周壁の突起が外フラップの側縁に沿うことを特徴とする請求項1に記載の改竄防止機能付き包装箱。
【請求項3】
前記内フラップと外フラップが周壁の対向する辺から延出され、周壁の突起が外フラップの先端縁に沿うことを特徴とする請求項1に記載の改竄防止機能付き包装箱。
【請求項4】
前記突起の位置を、周壁の上下で交互にずらし、積上時に突起同士が噛み合うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の改竄防止機能付き包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−149355(P2009−149355A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330529(P2007−330529)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】