改良されたインペラー形状を有する真空ポンプ
【課題】扱われる圧力範囲全体を通じて効率的に作動する真空ポンプを提供する。
【解決手段】吸気ポート14および排気ポート16を有するハウジング10と、ハウジング10内で吸気ポート14と排気ポート16との間に配置された複数の真空ポンピングステージ30,32、・・46と、モーター52とを含む真空ポンプ。真空ポンピングステージはそれぞれ固定子とインペラーとを含む気体引きずりステージを含む。気体引きずりステージの連続する各ステージのインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような形状にされている。気体引きずりステージのインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような表面形状のポンピング面を有していてもよい。モーター52は、気体が吸気ポート14から排気ポート16にポンピングされるようにインペラーを回転させる。
【解決手段】吸気ポート14および排気ポート16を有するハウジング10と、ハウジング10内で吸気ポート14と排気ポート16との間に配置された複数の真空ポンピングステージ30,32、・・46と、モーター52とを含む真空ポンプ。真空ポンピングステージはそれぞれ固定子とインペラーとを含む気体引きずりステージを含む。気体引きずりステージの連続する各ステージのインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような形状にされている。気体引きずりステージのインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような表面形状のポンピング面を有していてもよい。モーター52は、気体が吸気ポート14から排気ポート16にポンピングされるようにインペラーを回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ分子真空ポンプおよびハイブリッド真空ポンプに関し、さらに詳しくは、従来の真空ポンプと比べて、1種以上のコンパクトなポンプ構造、高い排気圧力および低減された作動電力の実現を補助するインペラー形状を有する真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のターボ分子真空ポンプは、吸気ポートを有するハウジングと、複数の軸流ポンピングステージを含む内部チャンバーと、排気ポートとを含む。排気ポートは、典型的には粗引き真空ポンプに取り付けられている。各軸流ポンピングステージは、傾斜した翼を有する固定子と傾斜した翼を有する回転子とを含む。回転子および固定子の翼は互いに逆方向に傾斜している。動翼はモーターによって高速で回転させられ、吸気ポートと排気ポートとの間で気体のポンピングを行う。典型的なターボ分子ポンプには、9ないし12個の軸流ポンピングステージが含まれることがある。
【0003】
従来のターボ分子真空ポンプの変形でハイブリッド型真空ポンプと呼ばれることの多いものが開示されている。従来技術の1つの構成では、軸流ポンピングステージの1つ以上が分子引きずりステージで置き換えられて分子引きずりコンプレッサーを構成している。この構成は1993年8月24日にヴァリアンインコーポレーテッド(Varian Inc.)に交付された特許に係る下記特許文献1に開示されている。ヴァリアンインコーポレーテッドは共通のハウジングに収めた軸流ターボ分子コンプレッサーと分子引きずりコンプレッサーとを含むハイブリッド真空ポンプを販売している。ハイブリッド真空ポンプの分子引きずりステージおよび再生ステージは、1994年10月25日にヴァリアンインコーポレーテッドに交付された特許に係る下記特許文献2に開示されている。軸流ポンピングステージの固定子の設計を少しずつ変えた構成も下記特許文献2に開示されている。その他のハイブリッド真空ポンプが1990年1月18日に公開された下記特許文献3、1998年12月15日に交付された特許に係る下記特許文献4、および2000年10月24日に交付された特許に係る下記特許文献5に開示されている。開示されたハイブリッド真空ポンプは既存のタイプのインペラーを使用しており、1つのタイプのインペラーから他のインペラーへと突然切り替わる。
【0004】
分子引きずりステージは回転ディスクすなわちインペラーと固定子とを含む。固定子は接線流チャンネルと、接線流チャンネルの入り口および出口を規定する。接線流チャンネル内に配置され、ストリッパーと呼ばれることも多い固定バッフルが、入り口と出口とを分離している。本技術分野で周知のように、回転ディスクの運動量は接線流チャンネル内で気体分子に移転され、それにより分子を出口に向かって送る。分子真空引きずりステージは分子流条件のために開発された。
【0005】
別のタイプの分子引きずりステージは、回転する円筒形ドラムを含み、これは、この回転ドラムに近接した円筒形の内壁を有するハウジング内で回転する。円筒形ドラムすなわち壁の外面には螺旋形の溝が形成されている。ドラムが回転すると、気体は、分子引きずりによって溝を通ってポンピングされる。
再生(リジェネレイティブ)真空ポンピングステージは再生インペラーを含むが、これは接線流チャンネルを規定する固定子内で作動する。再生インペラーは、その外周上またはその近くに間隔を開けて設けられた半径方向のリブを有する回転ディスクを含む。再生真空ポンピングステージは粘性流条件のために開発された。
【0006】
分子流においては、ポンピング動作は高速で移動して分子を運動方向に引きずる平坦な表面によって発生させられる。設計によっては、平坦な表面を有する1つのディスクインペラーによって非常に高い1ステージ当たりの圧力比が実現可能である。
流れが粘性流に近づくと、分子密度の勾配というよりむしろ圧力の勾配が形成されることによる逆流が増大するので、単純な運動量移転はうまく機能しない。圧力範囲の上限近くでは、大気圧近くにおいて高い周速で1ステージ当たり2を超える圧力比を実現する周知技術である再生ステージすなわちブロワーがある。
【0007】
しかし分子引きずりステージのインペラーも、また再生ブロワーのインペラーも、高真空ポンプで扱われる圧力範囲全体を通じて効率的に作動することはない。中程度の大きさのポンプでは、平坦面インペラーは約1Torrまでの圧力ではそこそこの働きをする。その圧力を超えると、平坦面インペラーは達成可能な圧縮比が低下するだけでなく、効率が落ちて過大な電力を消費し、また望ましくない熱を発生する。平面型の設計の適用範囲を大気圧まで伸ばそうとする試みは、移動面と固定面との間に非常に小さな間隙を必要とするために、成功していない。再生ブロワーは約20Torrよりも高い圧力で最も良好に作動し、十分な圧力比を実現する。ある特定の設計は通常、効率的な動作を行う狭い範囲を有する。そのため、回転子の加熱を低減するには電力の節約に関してインペラーを設計することが重要である。
【特許文献1】米国特許第5,238,362号明細書
【特許文献2】米国特許第5,358,373号明細書
【特許文献3】独国特許発明第3,919,529号明細書
【特許文献4】米国特許第5,848,873号明細書
【特許文献5】米国特許第6,135,709号明細書
【非特許文献1】Mardbed H. Hablanian「高真空技術、実用ガイド」Marcel Dekker, Inc.1997年、271〜277ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常は分子引きずりステージを利用するハイブリッド真空ポンプは、約1000分の8インチの回転子−固定子間隙を有する。間隙をこの寸法よりも小さくするには、極めて厳しい許容度が要求され、コスト高となる。この間隙寸法は、全体の圧縮比を所望のレベルにするために比較的多くのステージ数を必要とする。しかしこの方法ではコストと寸法とが大きくなり、実際上不可能なほど長い回転子シャフトが必要となる。
【0009】
そのため、上記の問題点のいずれかを解消するインペラー形状を有する真空ポンプが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の局面によれば、真空ポンプが提供される。この真空ポンプは吸気ポートおよび排気ポートを有するハウジングと、このハウジング内に位置し、吸気ポートと排気ポートとの間に配置された複数の真空ポンピングステージと、モーターとを含む。真空ポンピングステージは分子引きずりステージと転移流引きずりステージとを含み、各々の真空ポンピングステージは固定子とインペラーとを含む。連続する気体引きずりステージの各々のインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような形状に構成されている。モーターは、気体が吸気ポートから吸い込まれて排気ポートから排出されるように、インペラーを回転させる。
【0011】
気体引きずりステージは、インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージとを含んでもよい。気体引きずりステージは、インペラーが溝つきのポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージを更に含んでもよい。真空ポンピングステージは1つ以上の再生ステージを更に有してもよい。
【0012】
連続する分子引きずりステージの各々のインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような表面形状とされたポンピング面を有していてもよい。インペラーのポンピング面は、ディスクの外周上またはその近くの環状の領域であってもよい。ポンピング面はインペラーの前面の全部もしくは一部、背面の全部もしくは一部、および/または側面の全部もしくは一部を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明をより良く理解するために、引用によりここに組み込まれている以下の添付図面を参照する。
本発明の一実施形態による高真空ポンプの単純化した断面図を図1に示す。ハウジング10は、吸気ポート14と排気ポート16とを有する内部チャンバー12を規定している。ハウジング10は、真空に引くべき真空チャンバー(図示せず)への吸気ポート14を塞ぐ真空フランジ18を含む。排気ポート16は粗引き真空ポンプ(図示せず)に接続されていてもよい。真空ポンプが大気圧に対する排気を行うことが可能である場合は、粗引きポンプは必要がない。
【0014】
ハウジング10内には、真空ポンピングステージ30,32、・・46が配置されている。各真空ポンピングステージは固定部材すなわち固定子と、インペラーまたは回転子とも呼ばれる回転部材とを含む。各真空ポンピングステージの回転部材は、駆動シャフト50によりモーター52に結合されている。シャフト50はモーター52によって高速で回転させられ、回転部材を中心軸の周りに回転させ、気体を吸気ポート14から排気ポート16に送る。図1の実施形態は9ステージの構成となっている。真空引きに対する要求によって、異なるステージ数を使用できることが理解されるであろう。
【0015】
本発明の1つの局面によれば、真空ポンピングステージ30,32、・・46は特定の圧力範囲内で効率的に作動するように構成されている。例として、作動中の吸気ポート14での圧力を10-5Torr〜10-6Torrの程度として、排気ポート16での圧力を大気圧またはそれに近い圧力とすることができる。真空ポンプを通しての圧力は吸気ポート14から排気ポート16に向かってしだいに増加する。各真空ポンピングステージの特性は、そのステージの予想作動圧力範囲にわたって効率的に作動するように選択することができる。例として、真空ポンピングステージ30,32および34を図2に示し、また以下に説明するように軸流ステージとすることができる。真空ポンピングステージ36,38,40および42を図3〜図5および図9A〜図12Bを参照して以下説明するように、分子引きずりステージとすることができる。分子引きずりステージ36,38,40および42は、以下説明するように、順次高くなる圧力で作動するように構成されたインペラーを有してもよい。真空ポンピングステージ44および46は図6〜図8、図13Aおよび図13Bを参照して以下説明するように、再生真空ポンピングステージとすることができる。
【0016】
軸流ステージのある実施形態を図2に示す。ポンプハウジング10は吸気ポート12を有する。軸流ステージは回転子104と固定子110とを含む。回転子104はシャフト50に結合されていて、中心軸の周りに高速で回転する。固定子110はハウジング10に関して固定した位置に設置されている。回転子104および固定子110は、各々複数の傾斜した翼を有している。回転子104の翼は固定子110の翼とは反対の向きに傾斜している。従来の軸流ステージの変形例が、ここに引用により組み込まれた前述の上記特許文献2に開示されている。
【0017】
分子引きずり真空ポンピングステージの一例を図3〜図5に示す。分子引きずりステージでは、回転子すなわちインペラーはディスクを有し、固定子にはディスクに関して小さな間隔で対向配置されたチャンネルが形成されている。ディスクが高速で回転すると、回転するディスクによって生じた分子引きずり作用により、気体は固定子のチャンネルを通って流れる。後で説明するように、インペラーは様々な圧力で効率的に作動するように、様々な形状を有していてもよい。
【0018】
図3〜図5を参照して、分子引きずりステージはハウジング10内に取り付けられたディスク200、上部固定子部202および下部固定子部204を含む。上部固定子部202はディスク200の上面に近接して配置されており、下部固定子部204はディスク200の下面に近接して配置されている。上部および下部固定子部202および204は、共に分子引きずりステージの固定子を構成している。ディスク200はシャフト50に結合されていて、真空ポンプの中心軸の周りに高速で回転する。
【0019】
上部固定子部202は上部チャンネル210を備えている。チャンネル210はディスク200の上面に対して対向関係に配置されている。下部固定子部204にはディスク200の下面に対して対向配置された下部チャンネル212が形成されている。図3〜図5の実施形態では、チャンネル210および212は円形であり、ディスク200と同心円関係にある。上部固定子部202は1つの円周位置にチャンネル210の阻止部214を含む。チャンネル210は阻止部214の一方の側で前のステージから流路216を通ってきた気体を受ける。この気体は回転するディスク200によって発生した分子引きずり作用によりチャンネル210を通ってポンピングされる。阻止部214の反対側では、固定子部202および204内に形成された流路220がディスク200の外周縁あたりでチャンネル210と212とを互いにつなげている。下部固定子部204は1つの円周位置にある下部チャンネル212の阻止部222を含む。下部チャンネル212はディスク200の上面から流路220を通ってきた気体を阻止部222の一方の側で受け取り、阻止部222の他方の側で流路224を通して次のステージに気体を排出する。
【0020】
作動中は、ディスク200はシャフト50の周りに高速で回転する。気体は前のステージから流路216を通って来る。前ステージは分子引きずりステージ、軸流ステージ、または他の任意の適切な真空ポンピングステージであってもよい。気体はディスク200の回転によって発生した分子引きずり作用により上部チャンネル210の円周を回ってポンピングされる。気体は次にディスク200の外周回りの流路220を通過して下部チャンネル212に送られる。そして気体は分子引きずり作用により下部チャンネル212の円周に沿ってポンピングされ、流路224を通って次のステージまたはポンプの排気ポートに排出される。このようにして、上部チャンネル210と下部チャンネル212とは、それらを気体が直列に通過して流れるようにつながっている。他の実施形態では、上部チャンネルと下部チャンネルとは並列につながっていてもよい。2つ以上の同軸状のポンピングチャンネルを直列に接続して使用できる。分子引きずりステージの別の実施形態が前述の上記特許文献2に開示されている。
【0021】
再生真空ポンピングステージの一例を図6〜図8に示す。再生真空ポンピングステージは、再生インペラー300の上面に隣接する上部固定子部302と、再生インペラー300の下面に隣接する下部固定子部304とを有する固定子と共に作動する再生インペラー300を含む。図6ではわかりやすくするために上部固定子部302は省略してある。再生インペラー300はその上面に互いに間隔を開けて形成された半径方向のリブ308とその下面に互いに間隔を開けて形成された半径方向のリブ310とを有するディスク305を備えている。リブ308および310は好適には、ディスク305の外周上またはその近くに配置される。リブ308の各対の間には空洞312が規定されており、リブ310の各対の間には空洞314が規定されている。図6〜図8の実施形態では、空洞312および314は各リブ308の間と各リブ310の間とでディスク305の材料を除去することにより形成された曲面を有する。空洞312および314の横断面形状は四角形、三角形、またはその他の適切な形状とすることができる。ディスク305はシャフト50に取り付けられており、真空ポンプの中心軸の周りに高速で回転する。
【0022】
上部固定子部302は、リブ308および空洞312と対向する関係に形成された円形の上部チャンネル320を有する。下部固定子部304は、リブ310および空洞314と対向する関係に形成された円形の下部チャンネル322を有する。上部固定子部302は1つの円周位置にあるチャンネル320の阻止部(図示せず)を更に含む。下部固定子部304は1つの円周位置にあるチャンネル322の阻止部326を含む。固定子部302および304は、ディスク305の縁に沿って上部チャンネル320と下部チャンネル322とを互いにつなげ、阻止部326に隣接する流路330を規定している。上部チャンネル320は前ステージから流路(図示せず)を通って来る気体を受ける。下部チャンネル322は流路334を通して気体を次のステージに排出する。
【0023】
動作中は、ディスク305はシャフト50の周りに高速で回転する。前ステージから上部チャンネル320に入る気体は上部チャンネル320を通ってポンピングされる。ディスク305およびリブ308の回転により、気体は空洞312と上部チャンネル320とを通る概略螺旋形の経路に沿ってポンピングされる。気体は次に流路330を通って下部チャンネル322に入り、ディスク305およびリブ310の回転によりチャンネル322を通して排出される。同様にして、リブ310は空洞314と下部チャンネル322とを通る概略螺旋形の経路に沿って気体をポンピングする。気体は次に流路334を通して次のステージに排出される。
【0024】
リブ308および310の寸法、形状および間隔、ならびに対応する空洞312および314の寸法および形状は変更可能であることが理解されるであろう。更にまた、チャンネル320と322とは直列または並列に接続できる。再生真空ポンピングステージの様々な形状が前述の上記特許文献2に開示されている。
図1の真空ポンプにおける分子引きずりステージは、様々なインペラー形状を有することができ、それらは異なる圧力での作動に応じて最適化される。各インペラーは大略的に円板状で、その外周上またはその近くに少なくとも1つのポンピング面を有する。典型的には、ポンピング面は円板状のインペラーの前面もしくは背面上、またはその両方の上にある環状領域である。それに加えて、ポンピング面は前面と背面とをつなぐ外縁を含んでもよい。
【0025】
図9(図9Aおよび図9B)に、分子引きずりステージのための円板状のインペラー400を示す。動作中は、インペラー400は軸402の周りを高速で回転する。図9Aで破線で示されているポンピングチャンネル404を有する固定子が、インペラー400に非常に近接して配置されている。ポンピングチャンネル404は、典型的にはインペラー400の外周上またはその近くに配置されている。ポンピングチャンネル404に対面しているインペラー400の部分は、真空ポンピング面410として機能する。従って真空ポンピング面410は、ポンピングチャンネル404に露出したインペラー400の部分である。真空ポンピング面410は典型的には、インペラー400の外周上またはその近くに位置するインペラーの環状領域である。真空ポンピング面410はインペラー400の前面400aもしくは背面400b、またはその両方の上に位置していてもよい。更に真空ポンピング面410は、円板状のインペラー400の側面400c上に位置していてもよい。インペラー400は、固定子の形状に依存するが、前面400aもしくは背面400b、またはその両方の上に2つ以上の同軸状の真空ポンピング面を含んでもよい。
【0026】
本発明のある局面によれば、真空ポンプの気体引きずりステージ中におけるインペラーは、真空ポンプの吸気ポート14から排気ポート16に向かって圧力が増加するに従って真空ポンプの動作を強化するために、様々な圧力で効率的な作動を行うような形状に構成されている。特にインペラー400の真空ポンピング面410は、真空ポンプ内のそのステージで予想される圧力範囲にわたって効率的に作動するような形状とされる。真空ポンプ内におけるインペラーの真空ポンピング面は、その真空ポンピングステージで予想される圧力範囲で効率的な真空ポンピング動作をするように選択された表面形状を有する。好適には真空ポンピング面は、比較的低い圧力における動作に対しては比較的滑らかで、高い圧力での動作に対しては表面粗度が大きくされる。これにより真空ポンプは、順次増加する圧力においてインペラーの表面粗度が順次高くなるような一連の真空ポンピングステージを利用できる。
【0027】
本発明の1つの実施形態による1組のインペラーを図9A〜図13Bに示す。これらのインペラーは、図1の真空ポンプまたはその他任意の多ステージ真空ポンプにおける異なるステージで使用できる。これらのインペラーの真空ポンピング特性は本発明の範囲内において、個別にまたは組全体としてとして変更することができる。更にこの組にはもっと多く、または少ないインペラーが含まれてもよい。
【0028】
図9Aおよび図9Bを参照して、インペラー400は真空ポンプ10の真空ポンピングステージ36において利用できる。インペラー400の真空ポンピング面410は比較的平坦かつ滑らかであり、比較的低い圧力で動作するように設計されている。平坦なインペラーは分子流および初期転移流における圧力、すなわち中程度の大きさのポンプにおける約1Torrよりも低い圧力で最も効率的に作動する。
【0029】
図10(図10Aおよび図10B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ38においてインペラー500を使用できる。インペラー500は図9Aおよび図9Bのインペラー400よりも高い圧力で作動するように構成されており、粗面化された真空ポンピング面510を有する。表面粗度は予想される作動圧力範囲に依存するものであり、インペラー表面に隣接する境界層を増加させる、すなわち流れのより厚い部分を引きずりメカニズムに引き込むのに十分なものであるべきである。
【0030】
図11(図11Aおよび図11B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ40においてインペラー600を使用できる。インペラー600の真空ポンピング面610は、図10Aおよび図10Bのインペラー500よりも高い圧力で作動するように構成されており、真空ポンピング面610内に一連の半径方向の溝を有していてもよい。溝の間隔および深さは予想される作動圧力範囲に依存する。好適には、溝612は中程度の大きさのポンプでは約1mm〜2mmの範囲の深さとすることができる。同じ圧力範囲で作動するための別の実施形態では、真空ポンピング面610はインペラー500の場合よりも大きな表面粗度を有していてもよく、あるいは予想される圧力範囲内で効率的な動作をするような任意の表面形状を有していてもよい。
【0031】
図12(図12Aおよび図12B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ42においてインペラー700を使用できる。インペラー700は、図11Aおよび図11Bのインペラー600よりも高い圧力で作動するように構成された真空ポンピング面710を有する。インペラー700の真空ポンピング面710はインペラー600の溝612よりも深くかつ/またはより狭い間隔を有する溝712を有していてもよい。あるいは、真空ポンピング面710は予想される圧力範囲内で効率的な動作をするように選択された別の表面形状を有していてもよい。
【0032】
図13(図13Aおよび図13B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ44および46において再生インペラー900を使用できる。インペラー900は、空洞914を規定する間隔を開けて配列された一連の半径方向のリブ912を有する真空ポンピング面910を含む。リブ912およびそれに対応する空洞914の寸法および形状は、予想される作動圧力範囲にわたって効率的な動作をするように選択される。例えば、リブ912の半径方向の長さは変更可能である。真空ポンピングステージ44および46における再生インペラーは、様々な圧力範囲にわたって効率的な動作をするように構成することができる。いくつかの実施形態では、真空ポンプ10は単独の再生真空ポンピングステージ、または順次高くなる圧力で作動するように構成されたインペラーをそれぞれ有する2つよりも多い再生真空ポンピングステージを含んでもよい。リブおよび空洞の形状は予想される動作圧力範囲内で効率的な動作をするように選択することができる。他の実施形態では、2つ以上の再生真空ポンピングステージが同じインペラー形状を利用することができる。
【0033】
図9Aおよび図9B、図10Aおよび図10B、図11Aおよび図11B、図12Aおよび図12B、ならびに図13Aおよび図13Bにそれぞれ示したインペラー400,500,600,700および900は共に、順次高くなる圧力において効率的な動作をするように、累進的な特性を有する1組のインペラーを構成する。従って、1つ以上のインペラーは分子流条件において効率的に作動するように選択された特性を有していてもよく、1つ以上のインペラーは転移流条件において効率的に作動するように選択された特性を有していてもよく、1つ以上のインペラーは粘性流条件において効率的に作動するように選択された特性を有していてもよく、この組に含まれる各インペラーは漸次変化するポンピング特性を有するように構成できる。各インペラーは予想される圧力範囲にわたって効率的な動作をするように構成された表面形状にされた真空ポンピング面を有する。この組に含まれる各インペラーはしだいに変化するポンピング特性を有するが、そのことは2つ以上のインペラーが同一であることを排除するものではない。上で述べたように、各インペラーの真空ポンピング面は前面の全てもしくは一部、背面の全てもしくは一部、および/または側面の全てもしくは一部を任意の組み合わせで含むことができる。
【0034】
ここに述べる原理は、分子引きずりポンプおよび再生ポンプの様々な構成に適用することができる。例えば上記非特許文献1で述べているように、ホルウェック型のポンプおよびシーグバーン型ポンプに本発明を適用できる。
図面に示し本明細書で述べた実施形態に対して、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに様々な変形および変更を行うことが可能である。従って上記の記載および添付図面に図示した全ての内容は、例示的なものであり限定的でないものとして解釈すべきである。本発明は特許請求の範囲で定義されたものおよびそれと均等のものとしてのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による真空ポンプの単純化した断面の模式図である。
【図2】図1の真空ポンプで使用できる軸流ステージの破断した斜視図である。
【図3】分子引きずり真空ポンピングステージを利用する真空ポンプの部分的な断面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った面での分子引きずりステージの平面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った面での分子引きずりステージの部分的な断面図である。
【図6】再生真空ポンピングステージの分解斜視図であって、再生インペラーと下部固定子部とを示す。
【図7】図6の再生真空ポンピングステージの部分断面図である。
【図8】図7の8−8線に沿った面での再生真空ポンピングステージの部分的な平面図である。
【図9】滑らかなポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図9A)および側面図(図9B)である。
【図10】粗面化されたポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図10A)および側面図(図10B)である。
【図11】比較的浅い溝を備えたポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図11A)および側面図(図11B)である。
【図12】比較的深い溝を備えたポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図12A)および側面図(図12B)である。
【図13】再生真空ポンピングステージ用インペラーの平面図(図13A)および側面図(図13B)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ分子真空ポンプおよびハイブリッド真空ポンプに関し、さらに詳しくは、従来の真空ポンプと比べて、1種以上のコンパクトなポンプ構造、高い排気圧力および低減された作動電力の実現を補助するインペラー形状を有する真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のターボ分子真空ポンプは、吸気ポートを有するハウジングと、複数の軸流ポンピングステージを含む内部チャンバーと、排気ポートとを含む。排気ポートは、典型的には粗引き真空ポンプに取り付けられている。各軸流ポンピングステージは、傾斜した翼を有する固定子と傾斜した翼を有する回転子とを含む。回転子および固定子の翼は互いに逆方向に傾斜している。動翼はモーターによって高速で回転させられ、吸気ポートと排気ポートとの間で気体のポンピングを行う。典型的なターボ分子ポンプには、9ないし12個の軸流ポンピングステージが含まれることがある。
【0003】
従来のターボ分子真空ポンプの変形でハイブリッド型真空ポンプと呼ばれることの多いものが開示されている。従来技術の1つの構成では、軸流ポンピングステージの1つ以上が分子引きずりステージで置き換えられて分子引きずりコンプレッサーを構成している。この構成は1993年8月24日にヴァリアンインコーポレーテッド(Varian Inc.)に交付された特許に係る下記特許文献1に開示されている。ヴァリアンインコーポレーテッドは共通のハウジングに収めた軸流ターボ分子コンプレッサーと分子引きずりコンプレッサーとを含むハイブリッド真空ポンプを販売している。ハイブリッド真空ポンプの分子引きずりステージおよび再生ステージは、1994年10月25日にヴァリアンインコーポレーテッドに交付された特許に係る下記特許文献2に開示されている。軸流ポンピングステージの固定子の設計を少しずつ変えた構成も下記特許文献2に開示されている。その他のハイブリッド真空ポンプが1990年1月18日に公開された下記特許文献3、1998年12月15日に交付された特許に係る下記特許文献4、および2000年10月24日に交付された特許に係る下記特許文献5に開示されている。開示されたハイブリッド真空ポンプは既存のタイプのインペラーを使用しており、1つのタイプのインペラーから他のインペラーへと突然切り替わる。
【0004】
分子引きずりステージは回転ディスクすなわちインペラーと固定子とを含む。固定子は接線流チャンネルと、接線流チャンネルの入り口および出口を規定する。接線流チャンネル内に配置され、ストリッパーと呼ばれることも多い固定バッフルが、入り口と出口とを分離している。本技術分野で周知のように、回転ディスクの運動量は接線流チャンネル内で気体分子に移転され、それにより分子を出口に向かって送る。分子真空引きずりステージは分子流条件のために開発された。
【0005】
別のタイプの分子引きずりステージは、回転する円筒形ドラムを含み、これは、この回転ドラムに近接した円筒形の内壁を有するハウジング内で回転する。円筒形ドラムすなわち壁の外面には螺旋形の溝が形成されている。ドラムが回転すると、気体は、分子引きずりによって溝を通ってポンピングされる。
再生(リジェネレイティブ)真空ポンピングステージは再生インペラーを含むが、これは接線流チャンネルを規定する固定子内で作動する。再生インペラーは、その外周上またはその近くに間隔を開けて設けられた半径方向のリブを有する回転ディスクを含む。再生真空ポンピングステージは粘性流条件のために開発された。
【0006】
分子流においては、ポンピング動作は高速で移動して分子を運動方向に引きずる平坦な表面によって発生させられる。設計によっては、平坦な表面を有する1つのディスクインペラーによって非常に高い1ステージ当たりの圧力比が実現可能である。
流れが粘性流に近づくと、分子密度の勾配というよりむしろ圧力の勾配が形成されることによる逆流が増大するので、単純な運動量移転はうまく機能しない。圧力範囲の上限近くでは、大気圧近くにおいて高い周速で1ステージ当たり2を超える圧力比を実現する周知技術である再生ステージすなわちブロワーがある。
【0007】
しかし分子引きずりステージのインペラーも、また再生ブロワーのインペラーも、高真空ポンプで扱われる圧力範囲全体を通じて効率的に作動することはない。中程度の大きさのポンプでは、平坦面インペラーは約1Torrまでの圧力ではそこそこの働きをする。その圧力を超えると、平坦面インペラーは達成可能な圧縮比が低下するだけでなく、効率が落ちて過大な電力を消費し、また望ましくない熱を発生する。平面型の設計の適用範囲を大気圧まで伸ばそうとする試みは、移動面と固定面との間に非常に小さな間隙を必要とするために、成功していない。再生ブロワーは約20Torrよりも高い圧力で最も良好に作動し、十分な圧力比を実現する。ある特定の設計は通常、効率的な動作を行う狭い範囲を有する。そのため、回転子の加熱を低減するには電力の節約に関してインペラーを設計することが重要である。
【特許文献1】米国特許第5,238,362号明細書
【特許文献2】米国特許第5,358,373号明細書
【特許文献3】独国特許発明第3,919,529号明細書
【特許文献4】米国特許第5,848,873号明細書
【特許文献5】米国特許第6,135,709号明細書
【非特許文献1】Mardbed H. Hablanian「高真空技術、実用ガイド」Marcel Dekker, Inc.1997年、271〜277ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常は分子引きずりステージを利用するハイブリッド真空ポンプは、約1000分の8インチの回転子−固定子間隙を有する。間隙をこの寸法よりも小さくするには、極めて厳しい許容度が要求され、コスト高となる。この間隙寸法は、全体の圧縮比を所望のレベルにするために比較的多くのステージ数を必要とする。しかしこの方法ではコストと寸法とが大きくなり、実際上不可能なほど長い回転子シャフトが必要となる。
【0009】
そのため、上記の問題点のいずれかを解消するインペラー形状を有する真空ポンプが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の局面によれば、真空ポンプが提供される。この真空ポンプは吸気ポートおよび排気ポートを有するハウジングと、このハウジング内に位置し、吸気ポートと排気ポートとの間に配置された複数の真空ポンピングステージと、モーターとを含む。真空ポンピングステージは分子引きずりステージと転移流引きずりステージとを含み、各々の真空ポンピングステージは固定子とインペラーとを含む。連続する気体引きずりステージの各々のインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような形状に構成されている。モーターは、気体が吸気ポートから吸い込まれて排気ポートから排出されるように、インペラーを回転させる。
【0011】
気体引きずりステージは、インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージとを含んでもよい。気体引きずりステージは、インペラーが溝つきのポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージを更に含んでもよい。真空ポンピングステージは1つ以上の再生ステージを更に有してもよい。
【0012】
連続する分子引きずりステージの各々のインペラーは、順次高くなる圧力で効率的に作動するような表面形状とされたポンピング面を有していてもよい。インペラーのポンピング面は、ディスクの外周上またはその近くの環状の領域であってもよい。ポンピング面はインペラーの前面の全部もしくは一部、背面の全部もしくは一部、および/または側面の全部もしくは一部を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明をより良く理解するために、引用によりここに組み込まれている以下の添付図面を参照する。
本発明の一実施形態による高真空ポンプの単純化した断面図を図1に示す。ハウジング10は、吸気ポート14と排気ポート16とを有する内部チャンバー12を規定している。ハウジング10は、真空に引くべき真空チャンバー(図示せず)への吸気ポート14を塞ぐ真空フランジ18を含む。排気ポート16は粗引き真空ポンプ(図示せず)に接続されていてもよい。真空ポンプが大気圧に対する排気を行うことが可能である場合は、粗引きポンプは必要がない。
【0014】
ハウジング10内には、真空ポンピングステージ30,32、・・46が配置されている。各真空ポンピングステージは固定部材すなわち固定子と、インペラーまたは回転子とも呼ばれる回転部材とを含む。各真空ポンピングステージの回転部材は、駆動シャフト50によりモーター52に結合されている。シャフト50はモーター52によって高速で回転させられ、回転部材を中心軸の周りに回転させ、気体を吸気ポート14から排気ポート16に送る。図1の実施形態は9ステージの構成となっている。真空引きに対する要求によって、異なるステージ数を使用できることが理解されるであろう。
【0015】
本発明の1つの局面によれば、真空ポンピングステージ30,32、・・46は特定の圧力範囲内で効率的に作動するように構成されている。例として、作動中の吸気ポート14での圧力を10-5Torr〜10-6Torrの程度として、排気ポート16での圧力を大気圧またはそれに近い圧力とすることができる。真空ポンプを通しての圧力は吸気ポート14から排気ポート16に向かってしだいに増加する。各真空ポンピングステージの特性は、そのステージの予想作動圧力範囲にわたって効率的に作動するように選択することができる。例として、真空ポンピングステージ30,32および34を図2に示し、また以下に説明するように軸流ステージとすることができる。真空ポンピングステージ36,38,40および42を図3〜図5および図9A〜図12Bを参照して以下説明するように、分子引きずりステージとすることができる。分子引きずりステージ36,38,40および42は、以下説明するように、順次高くなる圧力で作動するように構成されたインペラーを有してもよい。真空ポンピングステージ44および46は図6〜図8、図13Aおよび図13Bを参照して以下説明するように、再生真空ポンピングステージとすることができる。
【0016】
軸流ステージのある実施形態を図2に示す。ポンプハウジング10は吸気ポート12を有する。軸流ステージは回転子104と固定子110とを含む。回転子104はシャフト50に結合されていて、中心軸の周りに高速で回転する。固定子110はハウジング10に関して固定した位置に設置されている。回転子104および固定子110は、各々複数の傾斜した翼を有している。回転子104の翼は固定子110の翼とは反対の向きに傾斜している。従来の軸流ステージの変形例が、ここに引用により組み込まれた前述の上記特許文献2に開示されている。
【0017】
分子引きずり真空ポンピングステージの一例を図3〜図5に示す。分子引きずりステージでは、回転子すなわちインペラーはディスクを有し、固定子にはディスクに関して小さな間隔で対向配置されたチャンネルが形成されている。ディスクが高速で回転すると、回転するディスクによって生じた分子引きずり作用により、気体は固定子のチャンネルを通って流れる。後で説明するように、インペラーは様々な圧力で効率的に作動するように、様々な形状を有していてもよい。
【0018】
図3〜図5を参照して、分子引きずりステージはハウジング10内に取り付けられたディスク200、上部固定子部202および下部固定子部204を含む。上部固定子部202はディスク200の上面に近接して配置されており、下部固定子部204はディスク200の下面に近接して配置されている。上部および下部固定子部202および204は、共に分子引きずりステージの固定子を構成している。ディスク200はシャフト50に結合されていて、真空ポンプの中心軸の周りに高速で回転する。
【0019】
上部固定子部202は上部チャンネル210を備えている。チャンネル210はディスク200の上面に対して対向関係に配置されている。下部固定子部204にはディスク200の下面に対して対向配置された下部チャンネル212が形成されている。図3〜図5の実施形態では、チャンネル210および212は円形であり、ディスク200と同心円関係にある。上部固定子部202は1つの円周位置にチャンネル210の阻止部214を含む。チャンネル210は阻止部214の一方の側で前のステージから流路216を通ってきた気体を受ける。この気体は回転するディスク200によって発生した分子引きずり作用によりチャンネル210を通ってポンピングされる。阻止部214の反対側では、固定子部202および204内に形成された流路220がディスク200の外周縁あたりでチャンネル210と212とを互いにつなげている。下部固定子部204は1つの円周位置にある下部チャンネル212の阻止部222を含む。下部チャンネル212はディスク200の上面から流路220を通ってきた気体を阻止部222の一方の側で受け取り、阻止部222の他方の側で流路224を通して次のステージに気体を排出する。
【0020】
作動中は、ディスク200はシャフト50の周りに高速で回転する。気体は前のステージから流路216を通って来る。前ステージは分子引きずりステージ、軸流ステージ、または他の任意の適切な真空ポンピングステージであってもよい。気体はディスク200の回転によって発生した分子引きずり作用により上部チャンネル210の円周を回ってポンピングされる。気体は次にディスク200の外周回りの流路220を通過して下部チャンネル212に送られる。そして気体は分子引きずり作用により下部チャンネル212の円周に沿ってポンピングされ、流路224を通って次のステージまたはポンプの排気ポートに排出される。このようにして、上部チャンネル210と下部チャンネル212とは、それらを気体が直列に通過して流れるようにつながっている。他の実施形態では、上部チャンネルと下部チャンネルとは並列につながっていてもよい。2つ以上の同軸状のポンピングチャンネルを直列に接続して使用できる。分子引きずりステージの別の実施形態が前述の上記特許文献2に開示されている。
【0021】
再生真空ポンピングステージの一例を図6〜図8に示す。再生真空ポンピングステージは、再生インペラー300の上面に隣接する上部固定子部302と、再生インペラー300の下面に隣接する下部固定子部304とを有する固定子と共に作動する再生インペラー300を含む。図6ではわかりやすくするために上部固定子部302は省略してある。再生インペラー300はその上面に互いに間隔を開けて形成された半径方向のリブ308とその下面に互いに間隔を開けて形成された半径方向のリブ310とを有するディスク305を備えている。リブ308および310は好適には、ディスク305の外周上またはその近くに配置される。リブ308の各対の間には空洞312が規定されており、リブ310の各対の間には空洞314が規定されている。図6〜図8の実施形態では、空洞312および314は各リブ308の間と各リブ310の間とでディスク305の材料を除去することにより形成された曲面を有する。空洞312および314の横断面形状は四角形、三角形、またはその他の適切な形状とすることができる。ディスク305はシャフト50に取り付けられており、真空ポンプの中心軸の周りに高速で回転する。
【0022】
上部固定子部302は、リブ308および空洞312と対向する関係に形成された円形の上部チャンネル320を有する。下部固定子部304は、リブ310および空洞314と対向する関係に形成された円形の下部チャンネル322を有する。上部固定子部302は1つの円周位置にあるチャンネル320の阻止部(図示せず)を更に含む。下部固定子部304は1つの円周位置にあるチャンネル322の阻止部326を含む。固定子部302および304は、ディスク305の縁に沿って上部チャンネル320と下部チャンネル322とを互いにつなげ、阻止部326に隣接する流路330を規定している。上部チャンネル320は前ステージから流路(図示せず)を通って来る気体を受ける。下部チャンネル322は流路334を通して気体を次のステージに排出する。
【0023】
動作中は、ディスク305はシャフト50の周りに高速で回転する。前ステージから上部チャンネル320に入る気体は上部チャンネル320を通ってポンピングされる。ディスク305およびリブ308の回転により、気体は空洞312と上部チャンネル320とを通る概略螺旋形の経路に沿ってポンピングされる。気体は次に流路330を通って下部チャンネル322に入り、ディスク305およびリブ310の回転によりチャンネル322を通して排出される。同様にして、リブ310は空洞314と下部チャンネル322とを通る概略螺旋形の経路に沿って気体をポンピングする。気体は次に流路334を通して次のステージに排出される。
【0024】
リブ308および310の寸法、形状および間隔、ならびに対応する空洞312および314の寸法および形状は変更可能であることが理解されるであろう。更にまた、チャンネル320と322とは直列または並列に接続できる。再生真空ポンピングステージの様々な形状が前述の上記特許文献2に開示されている。
図1の真空ポンプにおける分子引きずりステージは、様々なインペラー形状を有することができ、それらは異なる圧力での作動に応じて最適化される。各インペラーは大略的に円板状で、その外周上またはその近くに少なくとも1つのポンピング面を有する。典型的には、ポンピング面は円板状のインペラーの前面もしくは背面上、またはその両方の上にある環状領域である。それに加えて、ポンピング面は前面と背面とをつなぐ外縁を含んでもよい。
【0025】
図9(図9Aおよび図9B)に、分子引きずりステージのための円板状のインペラー400を示す。動作中は、インペラー400は軸402の周りを高速で回転する。図9Aで破線で示されているポンピングチャンネル404を有する固定子が、インペラー400に非常に近接して配置されている。ポンピングチャンネル404は、典型的にはインペラー400の外周上またはその近くに配置されている。ポンピングチャンネル404に対面しているインペラー400の部分は、真空ポンピング面410として機能する。従って真空ポンピング面410は、ポンピングチャンネル404に露出したインペラー400の部分である。真空ポンピング面410は典型的には、インペラー400の外周上またはその近くに位置するインペラーの環状領域である。真空ポンピング面410はインペラー400の前面400aもしくは背面400b、またはその両方の上に位置していてもよい。更に真空ポンピング面410は、円板状のインペラー400の側面400c上に位置していてもよい。インペラー400は、固定子の形状に依存するが、前面400aもしくは背面400b、またはその両方の上に2つ以上の同軸状の真空ポンピング面を含んでもよい。
【0026】
本発明のある局面によれば、真空ポンプの気体引きずりステージ中におけるインペラーは、真空ポンプの吸気ポート14から排気ポート16に向かって圧力が増加するに従って真空ポンプの動作を強化するために、様々な圧力で効率的な作動を行うような形状に構成されている。特にインペラー400の真空ポンピング面410は、真空ポンプ内のそのステージで予想される圧力範囲にわたって効率的に作動するような形状とされる。真空ポンプ内におけるインペラーの真空ポンピング面は、その真空ポンピングステージで予想される圧力範囲で効率的な真空ポンピング動作をするように選択された表面形状を有する。好適には真空ポンピング面は、比較的低い圧力における動作に対しては比較的滑らかで、高い圧力での動作に対しては表面粗度が大きくされる。これにより真空ポンプは、順次増加する圧力においてインペラーの表面粗度が順次高くなるような一連の真空ポンピングステージを利用できる。
【0027】
本発明の1つの実施形態による1組のインペラーを図9A〜図13Bに示す。これらのインペラーは、図1の真空ポンプまたはその他任意の多ステージ真空ポンプにおける異なるステージで使用できる。これらのインペラーの真空ポンピング特性は本発明の範囲内において、個別にまたは組全体としてとして変更することができる。更にこの組にはもっと多く、または少ないインペラーが含まれてもよい。
【0028】
図9Aおよび図9Bを参照して、インペラー400は真空ポンプ10の真空ポンピングステージ36において利用できる。インペラー400の真空ポンピング面410は比較的平坦かつ滑らかであり、比較的低い圧力で動作するように設計されている。平坦なインペラーは分子流および初期転移流における圧力、すなわち中程度の大きさのポンプにおける約1Torrよりも低い圧力で最も効率的に作動する。
【0029】
図10(図10Aおよび図10B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ38においてインペラー500を使用できる。インペラー500は図9Aおよび図9Bのインペラー400よりも高い圧力で作動するように構成されており、粗面化された真空ポンピング面510を有する。表面粗度は予想される作動圧力範囲に依存するものであり、インペラー表面に隣接する境界層を増加させる、すなわち流れのより厚い部分を引きずりメカニズムに引き込むのに十分なものであるべきである。
【0030】
図11(図11Aおよび図11B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ40においてインペラー600を使用できる。インペラー600の真空ポンピング面610は、図10Aおよび図10Bのインペラー500よりも高い圧力で作動するように構成されており、真空ポンピング面610内に一連の半径方向の溝を有していてもよい。溝の間隔および深さは予想される作動圧力範囲に依存する。好適には、溝612は中程度の大きさのポンプでは約1mm〜2mmの範囲の深さとすることができる。同じ圧力範囲で作動するための別の実施形態では、真空ポンピング面610はインペラー500の場合よりも大きな表面粗度を有していてもよく、あるいは予想される圧力範囲内で効率的な動作をするような任意の表面形状を有していてもよい。
【0031】
図12(図12Aおよび図12B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ42においてインペラー700を使用できる。インペラー700は、図11Aおよび図11Bのインペラー600よりも高い圧力で作動するように構成された真空ポンピング面710を有する。インペラー700の真空ポンピング面710はインペラー600の溝612よりも深くかつ/またはより狭い間隔を有する溝712を有していてもよい。あるいは、真空ポンピング面710は予想される圧力範囲内で効率的な動作をするように選択された別の表面形状を有していてもよい。
【0032】
図13(図13Aおよび図13B)を参照して、真空ポンプ10の真空ポンピングステージ44および46において再生インペラー900を使用できる。インペラー900は、空洞914を規定する間隔を開けて配列された一連の半径方向のリブ912を有する真空ポンピング面910を含む。リブ912およびそれに対応する空洞914の寸法および形状は、予想される作動圧力範囲にわたって効率的な動作をするように選択される。例えば、リブ912の半径方向の長さは変更可能である。真空ポンピングステージ44および46における再生インペラーは、様々な圧力範囲にわたって効率的な動作をするように構成することができる。いくつかの実施形態では、真空ポンプ10は単独の再生真空ポンピングステージ、または順次高くなる圧力で作動するように構成されたインペラーをそれぞれ有する2つよりも多い再生真空ポンピングステージを含んでもよい。リブおよび空洞の形状は予想される動作圧力範囲内で効率的な動作をするように選択することができる。他の実施形態では、2つ以上の再生真空ポンピングステージが同じインペラー形状を利用することができる。
【0033】
図9Aおよび図9B、図10Aおよび図10B、図11Aおよび図11B、図12Aおよび図12B、ならびに図13Aおよび図13Bにそれぞれ示したインペラー400,500,600,700および900は共に、順次高くなる圧力において効率的な動作をするように、累進的な特性を有する1組のインペラーを構成する。従って、1つ以上のインペラーは分子流条件において効率的に作動するように選択された特性を有していてもよく、1つ以上のインペラーは転移流条件において効率的に作動するように選択された特性を有していてもよく、1つ以上のインペラーは粘性流条件において効率的に作動するように選択された特性を有していてもよく、この組に含まれる各インペラーは漸次変化するポンピング特性を有するように構成できる。各インペラーは予想される圧力範囲にわたって効率的な動作をするように構成された表面形状にされた真空ポンピング面を有する。この組に含まれる各インペラーはしだいに変化するポンピング特性を有するが、そのことは2つ以上のインペラーが同一であることを排除するものではない。上で述べたように、各インペラーの真空ポンピング面は前面の全てもしくは一部、背面の全てもしくは一部、および/または側面の全てもしくは一部を任意の組み合わせで含むことができる。
【0034】
ここに述べる原理は、分子引きずりポンプおよび再生ポンプの様々な構成に適用することができる。例えば上記非特許文献1で述べているように、ホルウェック型のポンプおよびシーグバーン型ポンプに本発明を適用できる。
図面に示し本明細書で述べた実施形態に対して、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに様々な変形および変更を行うことが可能である。従って上記の記載および添付図面に図示した全ての内容は、例示的なものであり限定的でないものとして解釈すべきである。本発明は特許請求の範囲で定義されたものおよびそれと均等のものとしてのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による真空ポンプの単純化した断面の模式図である。
【図2】図1の真空ポンプで使用できる軸流ステージの破断した斜視図である。
【図3】分子引きずり真空ポンピングステージを利用する真空ポンプの部分的な断面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った面での分子引きずりステージの平面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った面での分子引きずりステージの部分的な断面図である。
【図6】再生真空ポンピングステージの分解斜視図であって、再生インペラーと下部固定子部とを示す。
【図7】図6の再生真空ポンピングステージの部分断面図である。
【図8】図7の8−8線に沿った面での再生真空ポンピングステージの部分的な平面図である。
【図9】滑らかなポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図9A)および側面図(図9B)である。
【図10】粗面化されたポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図10A)および側面図(図10B)である。
【図11】比較的浅い溝を備えたポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図11A)および側面図(図11B)である。
【図12】比較的深い溝を備えたポンピング面を有する分子引きずりインペラーの平面図(図12A)および側面図(図12B)である。
【図13】再生真空ポンピングステージ用インペラーの平面図(図13A)および側面図(図13B)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ポートおよび排気ポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置し前記吸気ポートと前記排気ポートとの間に配置された複数の真空ポンピングステージであって、各々が固定子およびインペラーを含む気体引きずりステージを備え、再生気体引きずりステージの一連のインペラーの各々が先行するものよりもポンピング気体を大きく巻き込む表面を有して、順次高くなる圧力で効率的に動作するようになされた真空ポンピングステージと、
気体が前記吸気ポートから前記排気ポートにポンピングされるように前記インペラーを回転させるモーターとを含む真空ポンプ。
【請求項2】
前記気体引きずりステージが、前記インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、前記インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージとを含む、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記気体引きずりステージが、前記インペラーが溝のついたポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージを更に含む、請求項2記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記真空ポンピングステージが1つ以上の再生ステージを更に有する、請求項3記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記真空ポンピングステージが、異なる圧力で効率的に動作するように構成された少なくとも2つの再生ステージを更に有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項6】
前記真空ポンピングステージが回転子および固定子を有する少なくとも1つの軸流ステージを更に有し、前記回転子および前記固定子は傾斜翼を有する、請求項3記載の真空ポンプ。
【請求項7】
前記気体引きずりステージが、前記インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、前記インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージと、前記インペラーが浅い溝のあるポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージと、前記インペラーが深い溝のあるポンピング面を有するディスクを備えた第四ステージとを含む、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項8】
前記気体引きずりステージの一連のインペラーが、表面粗度が順次大きくなるポンピング面を有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項9】
前記気体引きずりステージのインペラーがそれぞれの前面にポンピング面を有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項10】
前記気体引きずりステージのインペラーがそれぞれの背面にポンピング面を有する、請求項9記載の真空ポンプ。
【請求項11】
前記気体引きずりステージのインペラーがそれぞれの側面にポンピング面を有する、請求項10記載の真空ポンプ。
【請求項12】
前記気体引きずりステージのインペラーが環状のポンピング面を有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項13】
吸気ポートおよび排気ポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置し前記吸気ポートと排気ポートとの間に配置された複数の真空ポンピングステージであって、前記真空ポンピングステージは分子引きずりステージを備え、各々が固定子とインペラーとを含み、前記分子引きずりステージの一連のインペラーの各々が順次高くなる圧力で効率的に動作するような表面形状のポンピング面を有するようになされた真空ポンピングステージと、
気体が前記吸気ポートから前記排気ポートにポンピングされるように前記インペラーを回転させるモーターとを含む真空ポンプ。
【請求項14】
前記分子引きずりステージが、前記インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、前記インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージとを含む、請求項13記載の真空ポンプ。
【請求項15】
前記分子引きずりステージが、前記インペラーが浅い溝のあるポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージを更に含む、請求項14記載の真空ポンプ。
【請求項16】
前記真空ポンピングステージが少なくとも1つの再生ステージを更に有する、請求項15記載の真空ポンプ。
【請求項17】
前記真空ポンピングステージが回転子および固定子を有する少なくとも1つの軸流ステージを更に有し、前記回転子および前記固定子は傾斜翼を有する、請求項15記載の真空ポンプ。
【請求項18】
前記分子引きずりステージの前記インペラーが環状のポンピング面を有するディスクを備えた、請求項13記載の真空ポンプ。
【請求項1】
吸気ポートおよび排気ポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置し前記吸気ポートと前記排気ポートとの間に配置された複数の真空ポンピングステージであって、各々が固定子およびインペラーを含む気体引きずりステージを備え、再生気体引きずりステージの一連のインペラーの各々が先行するものよりもポンピング気体を大きく巻き込む表面を有して、順次高くなる圧力で効率的に動作するようになされた真空ポンピングステージと、
気体が前記吸気ポートから前記排気ポートにポンピングされるように前記インペラーを回転させるモーターとを含む真空ポンプ。
【請求項2】
前記気体引きずりステージが、前記インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、前記インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージとを含む、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記気体引きずりステージが、前記インペラーが溝のついたポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージを更に含む、請求項2記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記真空ポンピングステージが1つ以上の再生ステージを更に有する、請求項3記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記真空ポンピングステージが、異なる圧力で効率的に動作するように構成された少なくとも2つの再生ステージを更に有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項6】
前記真空ポンピングステージが回転子および固定子を有する少なくとも1つの軸流ステージを更に有し、前記回転子および前記固定子は傾斜翼を有する、請求項3記載の真空ポンプ。
【請求項7】
前記気体引きずりステージが、前記インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、前記インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージと、前記インペラーが浅い溝のあるポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージと、前記インペラーが深い溝のあるポンピング面を有するディスクを備えた第四ステージとを含む、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項8】
前記気体引きずりステージの一連のインペラーが、表面粗度が順次大きくなるポンピング面を有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項9】
前記気体引きずりステージのインペラーがそれぞれの前面にポンピング面を有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項10】
前記気体引きずりステージのインペラーがそれぞれの背面にポンピング面を有する、請求項9記載の真空ポンプ。
【請求項11】
前記気体引きずりステージのインペラーがそれぞれの側面にポンピング面を有する、請求項10記載の真空ポンプ。
【請求項12】
前記気体引きずりステージのインペラーが環状のポンピング面を有する、請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項13】
吸気ポートおよび排気ポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置し前記吸気ポートと排気ポートとの間に配置された複数の真空ポンピングステージであって、前記真空ポンピングステージは分子引きずりステージを備え、各々が固定子とインペラーとを含み、前記分子引きずりステージの一連のインペラーの各々が順次高くなる圧力で効率的に動作するような表面形状のポンピング面を有するようになされた真空ポンピングステージと、
気体が前記吸気ポートから前記排気ポートにポンピングされるように前記インペラーを回転させるモーターとを含む真空ポンプ。
【請求項14】
前記分子引きずりステージが、前記インペラーが滑らかなポンピング面を有するディスクを備えた第一ステージと、前記インペラーが粗面化されたポンピング面を有するディスクを備えた第二ステージとを含む、請求項13記載の真空ポンプ。
【請求項15】
前記分子引きずりステージが、前記インペラーが浅い溝のあるポンピング面を有するディスクを備えた第三ステージを更に含む、請求項14記載の真空ポンプ。
【請求項16】
前記真空ポンピングステージが少なくとも1つの再生ステージを更に有する、請求項15記載の真空ポンプ。
【請求項17】
前記真空ポンピングステージが回転子および固定子を有する少なくとも1つの軸流ステージを更に有し、前記回転子および前記固定子は傾斜翼を有する、請求項15記載の真空ポンプ。
【請求項18】
前記分子引きずりステージの前記インペラーが環状のポンピング面を有するディスクを備えた、請求項13記載の真空ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2006−500497(P2006−500497A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−576819(P2003−576819)
【出願日】平成15年2月24日(2003.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/005621
【国際公開番号】WO2003/078845
【国際公開日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年2月24日(2003.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/005621
【国際公開番号】WO2003/078845
【国際公開日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】
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