説明

改良された光抽出効果を有する発光ダイオード

【課題】改良された光抽出効率を有する発光デバイスの提供。
【解決手段】発光デバイスは活性領域12を備える半導体層を含む層のスタックを有する。スタックは、活性領域12により放射される光について約1.5より大きく好ましくは約1.8より大きい屈折率を有する光学素子2に結合される。透明光学素子(例えばレンズ又は光学濃縮器)を発光デバイスに結合させる方法は、光学素子及びスタックの温度を上昇させる工程と、光学素子と発光デバイスを共に押し付けるための圧力を加える工程とを含む。光学素子材料のブロックについては、発光デバイスに結合させた後、光学素子として形成させることができる。高屈折率の光学素子を発光デバイスに結合させることができ、全内部反射に起因する損失を低減させて、発光デバイスの光抽出効率を改良できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは発光ダイオードに関し、より詳細には高められた光抽出効率を有する発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)の光抽出効率は、LEDの内部量子効率に対するLEDの外部量子効率の比率として定義される。典型的には、実装されたLEDの光抽出効率は大幅に1より小さく、すなわち、LEDの活性領域で発生された光の多くは外部環境に到達しない。
【0003】
光抽出効率は、LEDと周囲の材料との間の界面における全内部反射とこれに引続くその全内部反射した光のLEDでの再吸収により低下する。例えば、エポキシ中に包み込まれた透明基層上の立方体の幾何形態であるLEDについては、放射波長での屈折率(n)は、例えば、LEDの半導体におけるnsemiの〜3.5から、エポキシにおけるnepoxyの〜1.5まで変化する。この例における、LED半導体からエポキシ封入材に入射する光の全内部反射についての対応する臨界角θcは、θc=arcsin(nepoxy/nsemi)〜25゜である。散乱及び多重反射を無視すれば、立方体のLEDの活性領域中の一点から4πステラジアンで放射された光は、半導体/エポキシ封入材の界面を、この光が、各界面に1つあり各光円錐の有する角度の半分が臨界角に等しい、6つの狭い光円錐の1つに放射されたときのみ通過する。全内部反射に起因する付加的な損失は、エポキシ/空気の界面でも起こりうる。したがって、エポキシに包み込まれた、有効通常幾何形態(例えば、直方体)の透明基板のAlInGaPのLEDは、100%近い内部量子効率を有するにも拘らず、例えば、〜40%の外部量子効率を有しうるのみである。
【0004】
LEDの光抽出効率に対する全内部反射の影響は、本明細書に引用により組み込まれた米国特許第5,779,924号、第5,793,062号、および、第6,015,719号中で更に論じられている。
【0005】
光抽出効率を改良するための1つの手法においては、LEDが半球形状に削り落とされる。半球形状とされたLEDの活性領域中の点から放射された光は、ほぼ垂直入射で半球表面を横断する。これにより、全内部反射が低減される。しかし、この技術は、面倒であり、材料を無駄にする。加えて、この削り落としの間に発生する欠陥が、LEDの信頼性や性能を劣化させる可能性がある。
【0006】
別の手法においては、LEDは、ドームまたは半球形状の表面を有する材料で包み込まれる(収納される)。例えば、上述の例のエポキシ封入材をドームに形作ることができ、エポキシ封入材/空気の界面における全内部反射に起因する損失が低減される。しかし、エポキシのような低屈折率の封入材の表面を形作ることは、半導体/低屈折率封入材の界面の全内部反射に起因する損失を低減しない。さらに、エポキシ封入材は、LED中の半導体材料の熱膨張係数との整合性に乏しい熱膨張係数を有する。したがって、エポキシ封入材は、加熱または冷却によりLEDに機械的応力を加え、LEDを損傷させることがある。LEDはまた、ドームに形作られた高屈折率のガラスに封入されるので、半導体/封入材の界面の臨界角が増大される。不運にも、高屈折率ガラス中での光の吸収、および、機械的応力は、そのようなガラス中へ封入されたLEDの性能を典型的に低下させる。
【0007】
上記方法の欠点を有しない、発光ダイオードの光抽出効率を高める方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,779,924号
【特許文献2】米国特許第5,793,062号
【特許文献3】米国特許第6,015,719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改良された光抽出効率を有する発光デバイスが提供される。発光デバイスは、活性領域を備える半導体層を含む層のスタックを有する。該スタックは透明な光学素子に結合される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態では、光学素子は、例えば、半球体のレンズ、または、フレネルレンズである。別の実施形態では、光学素子は、例えば、全内部反射器(TIR)を用いた光学濃縮器である。光学素子は、例えば、光学ガラス、III−V族半導体、II−VI族半導体、IV族半導体および化合物、金属酸化物、金属フッ化物、ダイアモンド、サファイア、酸化ジルコニウム、イットリウムアルミニウムガーネット、または、これらの組合せにより形成される。活性領域により放射される光についての光学素子の屈折率は、好ましくは約1.5より大きく、より好ましくは約1.8より大きい。
【0011】
一実施形態では、透明光学素子は、上記スタックの半導体層のうちの少なくとも1つに直接結合される。別の実施形態では、透明光学素子は、半導体層の上に配置される透明上層に直接結合される。透明上層は、活性領域により放射される光について好ましくは約1.8より大きい屈折率を有する。
【0012】
他の実施形態では、発光デバイスは、光学素子と上記スタックの表面との間に配置される透明結合層を含む。この透明結合層は、上記スタックの表面に光学素子を結合させる。一実施形態では、該表面は半導体層の1つの表面を含む。別の実施形態では、上記表面は半導体層の上に配置される透明上層の表面を含む。この透明結合層は、例えば、金属、リン化物系化合物、ヒ化物系化合物、アンチモン化物系化合物、窒化物系化合物、または、透明光学素子について上記のように列挙した材料のいずれかにより形成される。一実施形態では、透明結合材料は、活性領域により放射された光について約1.5より大きい、好ましくは約1.8より大きい屈折率を有する。
【0013】
活性領域を備える半導体層を含む層のスタックを有する発光デバイスに対して透明光学素子を結合させる方法が提供される。この方法は、光学素子およびスタックの温度を上昇させる工程と、光学素子とスタックとをともに押し付けるために圧力を加える工程と、を含む。一実施形態では、この方法は、さらにスタックと光学素子との間に透明結合材料の層を配置する工程を含む。この結合方法については、予め作製された光学素子に対してか、または、後に形成されるか、もしくは、レンズもしくは光学濃縮器のような光学素子として形成される、光学素子材料のブロックに対して、適用することができる。
【0014】
発光デバイスに対して高屈折率の光学素子を結合を結合させることにより、全内部反射に起因する損失を低減させて、発光デバイスの光抽出効率を改良することができる。封入材を使用することなくこのような改良を達成できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の一実施形態にかかる互いに結合される光学素子および発光ダイオードの概略図
【図1B】本発明の一実施形態にかかる結合層を用いて発光ダイオードに結合される光学素子の概略図
【図1C】本発明の別の実施形態にかかる発光ダイオードに結合される光学素子の概略図
【図1D】本発明の別の実施形態にかかる発光ダイオードに結合される光学濃縮器の概略図
【図2】本発明の別の実施形態にかかる発光ダイオードに直接に結合される光学素子の概略図
【図3】本発明の一実施形態にかかる結合層を用いて傾斜した側部を有する発光ダイオードに結合される光学素子の概略図
【図4】本発明の一実施形態にかかる結合層を用いて基層および上層を有する発光ダイオードに結合される光学素子の概略図
【図5】本発明の一実施形態にかかる基層および上層を有する発光ダイオードに直接に結合される光学素子の概略図
【図6】本発明の一実施形態にかかる結合層を用いて「フリップチップ」幾何形態を有する発光ダイオードに結合される光学素子の概略図
【図7】本発明の一実施形態にかかる「フリップチップ」幾何形態を有する発光ダイオードに直接に結合される光学素子の概略図
【図8】光学素子にほぼ垂直な活性領域を有する発光ダイオードに対して結合層を用いて結合される該光学素子の概略図
【図9】光学素子にほぼ垂直な活性領域を有する発光ダイオードに対して直接に結合される該光学素子の概略図
【図10】光学素子の表面における凹部内に配置され、かつ、該光学素子に直接に結合される発光ダイオードの概略図
【図11】光学素子の表面における凹部内に配置され、かつ、結合層を用いて該光学素子に結合される発光ダイオードの概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aには、本発明の実施形態にかかる、互いに結合される透明な光学素子2および発光ダイオード(LED)ダイ4が示されている。図1Bでは、本発明の一実施形態に基づいて、透明光学素子2が、透明結合層6を用いてLEDダイ4に結合される。
【0017】
本明細書においては、「透明」という用語は、「透明光学素子」、「透明結合層」、「透明基層」または「透明上層」のように記述される光学素子が、吸収や散乱に起因する単一経路損失が約50%未満、好ましくは10%未満であるLEDの放射波長で、光を透過させることを示すために用いられる。LEDの放射波長は、電磁スペクトルの、赤外、可視または紫外領域にあってよい。当業者は、伝達経路長や吸収定数を種々組合せることによって、「50%未満の単一経路損失」および「10%未満の単一経路損失」である条件を満しうることを理解できるであろう。本明細書で用いているような「光学濃縮器(optical concentrator)」は、全内部反射器に限定することなくこれを含み、かつ、入射光を反射または再指向(redirect)させる反射金属または誘電体材料によりコーティングされた壁(wall)を有する光学素子を含む。
【0018】
図1Aおよび図1Bに示されるLEDダイ4は、n−型伝導性(n−層)の第1の半導体層8およびp−型伝導性(p-層)の第2の半導体層10を含む。半導体層8および10は、活性領域12に電気的に接続される。活性領域12は、例えば、層8と層10との界面におけるp−nダイオード接合である。これに代えて、活性領域12は、ドーピングされたn−型もしくはp−型の、または、ドーピングされない、1つ以上の半導体層を含む。n−接点14およびp−接点16は、それぞれ半導体層8および10に電気的に接続される。接点14と16との間に適切な電圧を印加することにより、活性領域12は光を放射する。別の実施例では、層8、10および接点14および16の伝導性の型が逆になる。すなわち、層8はp−型層であり、接点14はp−接点であり、層10はn−型層であり、そして接点16はn−接点である。
【0019】
半導体層8と10、および活性領域12は、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSbをこれらに限定されずに含むIII−V族半導体、ZnS、ZnSe、CdSe、CdTeをこれらに限定されずに含むII−VI族半導体、Ge、Si、SiCをこれらに限定されずに含むIV族半導体、およびこれらの混合物またはアロイから形成される。これらの半導体は、それら半導体が存在するLEDの典型的な放射波長において、約2.4〜約4.1の範囲の屈折率を有する。例えば、GaNのようなIII族窒化物半導体は、500nmで約2.4の屈折率を有し、InGaPのようなIII族リン化物は、600nmで約3.7の屈折率を有している。
【0020】
接点14および16は、一実施例では、金、銀、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、ルテニウム、タングステン、およびこれらの混合物または合金を、これらに限定されずに含む金属から形成される。他の実施例では、接点14および16の一方または両方が、インジウム錫酸化物のような透明な伝導体により形成される。
【0021】
図1Aおよび図1Bは特定のLED構造を示しているが、本発明は、LEDダイ4中の半導体層の数とは無関係であり、活性領域12の細部の構造と無関係である。また、LEDダイ4は、例えば、図1Aおよび図1Bで示されない透明基層および透明上層を含むことができる。種々の数字で示されたLEDダイ4の種々の構成要素の寸法が一定の縮尺となっていないことに、留意されたい。
【0022】
一実施形態では、結合材料の層が、LEDダイ4の上部表面18に付与されて透明結合層6(図1B)が形成され、この結合層で光学素子2とLEDダイ4が結合される。透明結合層6の厚さは、例えば、約10オングストローム(Å)〜約100ミクロン(μm)である。結合材料は、例えば、従来の堆積技術、これらに限定するものではないが、スピニング、スパッタリング、蒸発法、化学気相蒸着法(CVD)、または、材料成長法の一部として、例えば、有機金属気相蒸着法(MOCVD)、気相エピタキシー(VPE)、液相エピタキシー(LPE)または分子線エピタキシー(MBE)による方法などを含む技術により、付与される。透明結合層6は、例えば、従来のフォトリソグラフィおよびエッチング技術により選択的にパターン付けられ、接点14を結合材で覆わないようにし、これにより、接点14が、光学素子2上の選択的な金属化層20に電気的に接触できるようにする。金属化層20は、一実施形態では、網状であり、他の実施形態では、連続的なまたはパターン付けされた層であって、例えば、約2Å〜約5000Åの厚さを有し、入射光を約10%より多く、好ましくは約50%より多く透過させ、接点14に接続された、物理的に利用できる電気的接触を提供する。
【0023】
金属化層20は、例えば、金属、または、インジウム錫酸化物のような透明な伝導体により形成される。
【0024】
別の実施形態では、透明結合層6は、光学素子2のほぼ平坦な表面22の上に、または、金属化層20の上に形成され、例えば、従来のフォトリソグラフィおよびエッチング技術を用いて選択的にパターン付けされ、接点14と金属化層20との間に電気的接触を設けることができる。他の実施形態では、結合層6のような透明結合層は、LEDダイ4の表面18と光学素子2の表面22の両方の上に形成される。他の実施形態では、接点14は分離して設けられず、結合層6はがパターン付けされて、金属化層20とn−層8との間に電気的接触が設けられる。図1Cに示す実施形態では、接点14も結合層12も、分離して設けられず、金属化層20が付加的に結合層として機能する。他の実施形態では、接点14が表面18の上に設けられず、金属化層20は用いられない。
【0025】
以下の説明では、結合層6は、LEDダイ4上に形成されていて、光学素子2の表面22の上、または、LEDダイ4および表面22の両方の上に形成されていないとみなすが、以下に記載される工程については、後者の実施形態を実現するために簡単に修正することができる。
【0026】
一実施例では、透明結合層6を形成する結合材料は、高屈折率を有する光学ガラス、すなわち、活性領域12により放射された波長範囲において約1.5より大きい屈折率を有する光学ガラスである。その屈折率は、好ましくは、約1.8より大きい。透明結合層6は、例えばショットガラスSF59、すなわち、屈折率の大きいフリントガラス(flint glass)により形成される。このフリントガラスは、波長〜600ナノメートル(nm)において〜1.95の屈折率(n)を有し、ガラス転移温度(TG)として〜362℃を有する。これに代えて、透明結合層6は、〜600nmにおけるnとして〜1.81およびTGとして630℃を有するショットガラスLaSF3と、〜600nmにおけるnとして〜1.91およびTGとして660℃を有するショットガラスLaSF N18と、これらの混合物とを、これらに限定されずに含む、高屈折率光学ガラスにより形成される。これらのガラスは、ペンシルバニア州・ジュリアにあるショット・グラス・テクノロジーズ・インコーポレーテッドより入手できる。結合層6については、また、例えば、(Ge,Sb,Ga)(S,Se)カルゴゲナイドガラスのような高屈折率カルゴゲナイドガラスにより形成することができる。
【0027】
他の実施例では、結合層6は、GaP(500nmでn〜3.3)、InGaP(600nmでn〜3.7)、GaAs(500nmでのn〜3.4)およびGaN(500nmでn〜2.4)を、これらに限定されずに含むIII−V族半導体;ZnS(500nmでn〜2.4)、ZnSe(500nmでn〜2.6)、ZnTe(500nmでn〜3.1)、CdS(500nmでn〜2.6)、CdSe(500nmでn〜2.6)およびCdTe(500nmでn〜2.7)を、これらに限定されずに含むII−VI族半導体;Si(500nmでn〜3.5)およびGe(500nmでn〜4.1)を、これらに限定されずに含むIV族半導体および化合物;有機半導体、ならびに、酸化タングステン、酸化チタン(500nmでn〜2.9)、酸化ニッケル(500nmでn〜2.2)、酸化ジルコニウム(500nmでn〜2.2)、インジウム錫酸化物および酸化クロムを、これらに限定されずに含む金属酸化物;フッ化マグネシウム(500nmでn〜1.4)、およびフッ化カルシウム(500nmでn〜1.4)を、これらに限定されずに含む金属フッ化物;Zn、In、MgおよびSnを、これらに限定されずに含む金属;イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、リン化物系化合物、ヒ化物系化合物、アンチモン化物系化合物、窒化物系化合物、高屈折率有機化合物;およびそれらの混合物およびアロイ、により形成される。
【0028】
一実施例では、結合層6は、活性領域12から放射された光の波長を他の波長に変換するルミネセンス材料を含む。ルミネセンス材料は、例えば、従来の蛍光体粒子、有機半導体、II−VIまたはIII−V族半導体、II−VもしくはIII−V族半導体量子ドットまたはナノクリスタル、染料、ポリマー、および欠陥中心からルミネセンスを示すGaNのような材料を含む。結合層6が従来の蛍光体粒子を含むならば、結合層6は、典型的には約5ミクロン〜約50ミクロンの寸法を有する蛍光体粒子を収容するのに十分な厚みを有しなければならない。
【0029】
一実施例では、結合層6は、LEDダイ4の上部層、例えば、半導体層8の屈折率より小さい屈折率を有する、高屈折率材料(LEDの放射波長で、約1.5より大きく、好ましくは1.8より大きい屈折率の)から形成される。LEDダイ4内から半導体層8/結合層6の界面への入射光の全内部反射の臨界角が存在する。しかし、この臨界角は、LEDダイ4とエポキシまたは空気との間の怪異面についての臨界角に比べれば増大され、エポキシ封入材または空気中に抽出されるよりも多くの光が表面18を通過して結合層6中に抽出される。他の実施形態では、結合層6(例えば、ZnSまたはZんSe)の屈折率は、半導体層8(例えばGaN)より大きいかまたは等しく、LEDダイ4の内側から結合層6への入射光は、全内部反射されない。フレネル反射損失は、結合層6とLEDダイ4との屈折率をほぼマッチさせることにより最小にすることができるものではあるが、フレネル反射損失を無視すれば、後者の場合にもまた、エポキシ封入材または空気中に抽出されるものよりも多くの光が表面18を通過して結合層6中に抽出される。
【0030】
他の実施例では、透明結合層6は、低屈折率の結合材料、すなわち、LEDの放射波長で、約1.5未満の屈折率を有する結合材料により形成される。例えば、フッ化マグネシウムが、このような結合材料の1つである。低屈折率光学ガラス、エポキシ、およびシリコーンも、好適な低屈折率結合材料となりうる。低屈折率の材料から形成された透明結合層をわたる、LEDダイ4から光学素子2への効率的な光の透過については、結合層6の厚さが十分に薄ければ、達成できる、ということを当業者は理解するであろう。したがって、この実施例では、LEDダイ4/結合層6の界面での全内部反射に起因する損失は、結合層6の厚さを約500Å未満、好ましくは約100Å未満とすることにより低減される。表面18もしくは表面22の粗さ、または、表面18もしくは表面22上の不規則性の代表的な高さが、結合層6の厚さを超えるならば、光学素子2はLEDダイ4に十分には結合しないであろう。この実施形態では、表面18および22は、選択的に研磨され、結合層6の厚さ以下の程度の表面厚さが得られる。
【0031】
LEDダイ4が、活性領域12により放射された光を吸収する材料を含み、結合層6が低屈折率の材料から形成され、上記のように薄くされてはいなければ、活性領域12から放射された光の大部分がLEDダイ4内に典型的に閉じ込められ、結合層自身に吸収がなくても、その光は吸収されて失われるであろう。対照的に、高屈折率の材料から形成された結合層6は、その高屈折率の結合材料が、例えば、放射光の一部を吸収するカルコゲナイドガラスのような材料であっても、典型的には、活性領域12によりLEDダイ4から放射された光のうちのより大きい部分を光学素子2に結合することになる。
【0032】
透明結合層6がLEDダイ4に付与された後、光学素子2のほぼ平坦な表面22は結合層6へ向けて配置される。次いで、結合層6の温度は、ほぼ室温と約1000℃との間の温度にまで上昇され、光学素子2とLEDダイ4は、約1秒〜約6時間の間、約1ポンド/平方インチ(psi)〜約6000psiの圧力で、一緒に押付けられる。本発明者らは、この工程において、剪断応力、蒸発−凝縮、液化(または溶融または軟化)、およびそれに続く固体化、拡散または合金化を経た物質移動により、例えば、光学素子2と結合層6(LEDダイ4上に形成された)との間にもたらされた接合によって、光学素子2がLEDダイ4に結合されると信じている。本発明者らは、別の実施例では、例えば、光学素子2とLEDダイ4の各々の上に同様に形成された結合層の間、または、結合層6(光学素子2の上に形成された)とLEDダイ4との間の物質移動により同様にもたらされた結合により、光学素子2がLEDダイ4に結合されると信じている。よって、物質移動により特徴付けられた結合界面を、結合素子2とLEDダイ4の間に配置することができる。一実施例では、例えば、n−層8と結合層6の界面での表面18がそのような結合界面である。他の実施例では、光学素子2およびLEDダイ4それぞれの上に形成された結合層の界面が結合界面である。他の実施例では、光学素子2と結合層6との界面が、結合界面である。
【0033】
例えば、透明結合層6が、LEDダイ4の上に光学ガラスにより形成されると、一実施例では、結合層6の温度が光学ガラスの歪み点温度付近にまで上昇される。歪み点温度は、ガラス転移温度に近いがそれより低く、光学ガラスの粘度が約1014.5ポアズとなる温度である。歪み点温度は、また、光学ガラスについての温度対膨張のプロットにおける最初の非線形性に対応し、、アニーリング範囲の下限を表すものである。歪み点温度の近くまたはその上の温度で得られた、層6の光学ガラスの柔軟性および低下した表面張力が、光学ガラスを表面22に顕微鏡的に整合させ、光学素子2と結合層6との間の結合をもたらす。
【0034】
光学素子2をLEDダイ4に結合させる上記の工程については、本明細書に引用により組み込まれた米国特許第5,502,316号および第5,376,580号に開示され、従来、半導体ウェハを高温高圧のもとで互いに結合するために用いられた装置を用いて実行することができる。これら特許に開示された装置については、必要に応じLEDダイおよび光学素子を設けるよう変更することができる。これに代えて、上記の結合工程については、通常の垂直加圧機を用いて行うことができる。
【0035】
透明光学素子2は、例えば、SiC(500nmでn〜2.7)、酸化アルミニウム(サファイア、500nmでn〜1.8)、ダイアモンド(500nmでn〜2.4)、または、透明結合層6における結合材料としての使用のために上記で列挙されたもののうち、金属を除く何れかの材料から形成される。光学素子2と、該光学素子2が結合されるLEDダイ4の熱膨張係数の間の不整合が大きいと、加熱または冷却に際して光学素子2がLEDダイ4から分離することが起こりうる。また、熱膨張係数をほぼ整合させることにより、結合層6および光学素子2によりLEDダイ4に引起される応力が低減される。よって、一実施例では、光学素子2は、光学素子2が結合されるLEDダイ4の熱膨張係数にほぼ整合する熱膨張係数を有する材料により形成される。
【0036】
一実施形態では、透明光学素子2は、LEDダイ4から光学素子2に入射する光が垂直入射に近い入射角で光学素子2の表面24を横断するような、形状と寸法を有する。表面24と周囲の媒体、典型的には空気との界面での全内部反射は、これにより低減される。加えて、入射角の範囲が狭いので、表面24でのフレネル反射損失については、表面24に対して通常の反射防止コーティングを付与することにより低減できる。光学素子2の形状は、例えば、半球、ワイエルストラス球(上部を切り取られた球)、または、半球より小さい球の一部のような、球体の一部分である。これに代えて、光学素子2の形状は、上部を切り取られた楕円面のような楕円面の一部である。LEDダイ4から光学素子2に入射する光についての表面24での入射角は、光学素子2の寸法が大きくなるにつれて、垂直入射により近づいていく。よって、LEDダイ4の表面18の長さに対する透明光学素子2の基部の長さの最少比率は、好ましくは、約1より大きく、約2よより好ましくは、約2より大きい。
【0037】
特定の材料の光学素子2が上記で定義されるような透明であり続ける最大の寸法が、LEDの放射波長での光学素子材料の吸収係数により定められることは、当業者に理解されるであろう。一実施例では、光学素子2はフレネルレンズである。フレネルレンズは、例えば、比較できる焦点距離の球面光学素子よりも典型的に薄いので、吸収が少ない。
【0038】
いくつかの実施例では、光学素子2は、光学濃縮器、例えば全内部反射器(TIR)を用いた光学濃縮器を含むことができる。図1Dは、LEDダイ4に接続される光学濃縮器の一例を示す。図1Dは、放物形状を有する光学濃縮器(光学素子2)の表面23を描いているが、表面23については、錐体形状または傾斜形状のような、濃縮された光に対してデザインされた任意の形状とすることができ、かつ、金属化材料または誘電体材料によりコーティングすることができる。LEDダイ4の活性層12については、表面24での全内部反射を経験する光の量を低減するように配置する。例えば、活性層12は、光学素子2の焦点のあたりに配置される。表面23がない場合に臨界角より大きい角で表面24を横切った部分は、この部分が最初に表面23に反射すれば、上記臨界角内の角度で表面24を横切る。したがって、表面23は、光子がLEDダイ4を逃れる見込みを増加させる。
【0039】
他の実施例では、光学素子2は、例えば、表面22に直交する方向において減少する、または、表面22の中心近くの最大値から放射状に減少する屈折率を有する、屈折率勾配レンズである。
【0040】
一実施例では、光学素子2は、活性領域12により放射された光の波長を他の波長に変換するルミネセンス材料を含む。他の実施例では、表面22上のコーティングは、例えば、ルミネセンス材料を含む。ルミネセンス材料は、例えば、通常の蛍光体粒子、有機半導体、II−VIまたはIII−V族半導体、II−VIまたはIII−V族半導体量子ドットまたはナノクリスタル、染料、ポリマー、および、欠陥中心からルミネセンス発光するGaNのような材料、を含む。これに代えて、光学素子2の表面22に近い領域が、例えば、ルミネセンス材料でドーピングされる。
【0041】
光学素子2、結合層6、およびLEDダイ4の上部層の屈折率の大きさ(それぞれnoptical element、nbond、およびnLED)は、6つの順列に並べることができる。nLED≦nbond≦noptical elementまたはnLED≦noptical element≦nbondであれば、全内部反射に起因する損失は除かれるが、フレネル損失が発生しうる。特に、nLED=nbond=noptical elementであれば、フレネルまたは全内部反射に起因する損失なしに、LEDダイ4からの光が光学素子2に入射する。これに代えて、nbond≦nLED≦noptical elementではあるが、nbond>nepoxyであるかまたは結合層6が上述のように薄ければ、フレネル損失が無視され、エポキシ封入材または空気中に抽出されるであろうよりも多くの光が光学素子2中に抽出される。同様に、nbond≦noptical element≦nLEDではあるが、nbond>nepoxyであるか、または、結合層6が上述のように薄く、かつ、noptical element>nepoxyであれば、フレネル損失が無視され、エポキシ封入材または空気中に抽出されるであろうよりも多くの光が光学素子2中に抽出される。noptical element≦nbond≦nLEDまたはnoptical element≦nLED≦nbondではあるが、noptical element>nepoxyであれば、フレネル損失が無視され、エポキシ封入材または空気中に抽出されるよりも多くの光が光学素子2中に抽出される。よって、透明光学素子2は、LEDダイ4の放射波長で、好もしくは、約1.5より大きい屈折率を有し、より好ましくは、約1.8より大きい屈折率を有する。周囲の媒体がエポキシ封入材でなく空気(nair〜1)であれば、nepoxyにnairを代入して、同様な解析が適用される。
【0042】
結合層6が蛍光体粒子を含み、かつ、好ましくは高屈折率のカルコゲナイズドガラスである結合材料の屈折率が、蛍光体の屈折率とほぼ一致すれば、活性領域または蛍光体粒子により放射された光の蛍光体粒子による散乱は無視できるであろう。蛍光体粒子、結合材材料、LEDダイ4の上部層(例えばn−層8)、および、光学素子の屈折率が、全てほぼ等しいことが好ましい。これは、LEDダイ4の上部層がInGaNである場合において、蛍光体粒子がSrS:Euおよび/またはSrGaS:Euであり、光学素子がZnSである場合に相当する。
【0043】
図2を参照すれば、別の実施形態において、透明光学素子2が、分離された結合層を用いることなく、LEDダイ4の上部表面18に、直接結合されている。本発明者らは、剪断応力、蒸発−凝縮、液化(または溶融または軟化)、およびそれに続く固体化、拡散または合金化を経た物質移動により、光学素子2とLEDダイ4との間に結合がもたらされたものと信じている。金属化層20を設ける場合には、この金属化層は、パターン付けされ、光学素子2の表面22が直接表面18に接触できるようにされる。表面22もまた、選択的に、例えばエッチングによりパターン付けされる。本実施形態における一実施例では、透明光学素子2は、分離された結合層を形成するために用いられる、上記で列挙されたような材料により形成される。別の実施例では、LEDダイ4の上部層(例えば、図2におけるn−層8)を形成する材料は、結合材料として好適である。よって、光学素子2またはLEDダイ4の上部層のいずれかは、付加的に結合層として機能し、分離された結合層は不用である。一実施例では、表面18における光学素子2とLEDダイ4の界面は、例えば、光学素子2とLEDダイ4との間の物質移動により特徴付けられた結合界面である。
【0044】
LEDダイ4に直接結合された光学素子2については、nLED≦noptical elementであるか、または、noptical element<nLEDではあるがnoptical element>nepoxyであれば、フレネル反射損失が無視され、エポキシ封入材中に抽出されるであろうよりもより多くの光が光学素子2中に抽出される。周囲の媒体が、エポキシ封入材でなく空気(nair〜1)であれば、nepoxyにnairを代入して同様な解析が適用される。
【0045】
透明光学素子2は、結合層6を用いる結合工程について上述したような温度と圧力で、LEDダイ4に直接結合される。一実施例では、LEDダイ4の表面18または光学素子2の表面22は、例えばZnまたはSiのような高い拡散率を示す材料でドーピングされる。このようなドーピングは、例えば、MOCVD、VPE、LPEもしくはMBEによる材料成長の間に、または、例えば注入による材料成長の後で行われる。他の実施例では、高拡散率の材料の薄層が、表面18および22の少なくとも1つの表面上に堆積されることにより、光学素子2とLEDダイ4との間に配置される。堆積は、例えば、蒸発法またはスパッタリング法のような従来の方法により実行される。発明者らは、結合工程の間に、高拡散率の材料が光学素子2とLEDダイ4との界面を越えて拡散し、光学素子2とLEDダイ4との間の物質移動を促進させると考えている。ここで用いる高拡散率材料の量は、例えば、光学素子2とLEDダイ4の上部層の透明度を維持するのに十分少なければならない。例えば、光学素子2とLEDダイ4の上部層の透明度を維持するのに十分少なくなければならない。
【0046】
結合方法を適用することは、予め作製された光学素子に限定されない。透明光学素子2は、上述した方法によりLEDダイ4に結合され、かつ、この後、光学素子2として形成される、透明光学素子材料のブロックでありうる。光学素子2については、おそらく、フォトリソグラフィもしくは他のリソグラフィ技術、電子ビームリソグラフィ、イオンビームリソグラフィ、X線リソグラフィ、または、ホログラフィックリソグラフィとともに、エッチングを用いて形成することができる。プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)および化学援用イオンビームエッチング(CAIBE)のような、ウェットエッチングまたはドライエッチング技術についても、同様に用いることができる。また、光学素子2は、イオンビームミリング(milling)もしくは極細イオンビームミリング(FIB)を用いて透明光学素子材料の表面にミリングされるか、走査型電子ビームもしくはレーザビームを用いて表面中に除去(ablate)されるか、または、のこ引き、ミリングもしくはスクライビングにより表面中に機械的に切削される。加えて、光学素子2は、本明細書中で引用することにより組み込まれる米国特許第09/823,841号に開示された方法を用いて、透明光学素子材料のブロック中にダイス型で圧断(stamp)される。
【0047】
LEDダイ4を光学素子2に結合することは、従来のLEDダイ4を封入材に収納することに比べて好都合である。例えば、結合層を用いまたは用いずに、上述のように光学素子2に結合されたLEDダイ4の表面18を通過する光の抽出効率は、従来のエポキシ封入されたLEDに比較して改良されている。例えば、結合層を用いまたは用いずに、上述のように光学素子2に結合されたLEDダイ4の表面18を通過する光の抽出効率は、通常のエポキシ封入されたLEDに比較して改良されている。加えて、LEDダイ4は、エポキシ封入(収納)されたLEDにより経験される有害な応力を受けることを要しない。さらに、比較的低い温度で劣化するエポキシ封入材がないときには、LEDダイ4をより高い温度で作動させることができる。この結果、LEDダイ4の光出力については、高い電流密度でLEDを作動させることにより、増加させることができる。
【0048】
しかしながら、所望とあらば、光学素子2に結合されたLEDダイ4については、付加的に例えばエポキシまたはシリコーンの中に封入することができる。光学素子2に結合されたLEDダイ4のこのような封入は、光学素子2へのLEDダイ4の表面18を通過する光の抽出効率に影響を与えない。表面24と封入材との界面での全内部反射については、上述したような光学素子2の形状および寸法により、最小化することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、LEDダイ4は、例えば、高い温度で劣化する電気的接点のための金属化部位を含む。他の実施例では、LEDダイ4は、はんだ、または、銀を有しかつ高音で劣化するダイ接着エポキシを用いて、図示しないサブマウントに結合される。(ダイ接着エポキシは、エポキシ封入材と区別されることに留意せよ)。この結果、一実施例では、LEDダイ4に光学素子2を、結合層6を用いてまたは用いずに結合させる工程は、例えば、金属化部位またはダイ接着エポキシの劣化を避けるために、約500℃未満の温度で行われる。他の実施例では、光学素子2は、未完成のLEDダイ、例えば、金属化の一部または全部が行われていないLEDダイに結合される。後者の実施例では、LEDダイ4の製作は光学素子結合工程の後に完了される。
【0050】
図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10および図11に示すように、LEDダイ4の構造は、図1A、図1B、図1Cおよび図2に表された構造と異なるものでもよい。図1A、図1B、図1C、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10および図11における同様の参照符号は、種々の実施形態において同一部分を示す。
【0051】
図3の実施形態において、LEDダイ4の側部26および28は傾斜しているので、それらは結合層6に対してそれぞれ90度未満の角αおよび角βで交差し、活性領域12に対してそれぞれ90度を超える角γおよび角δで交差する。図3には、2つの斜めの側部が示されるが、他の実施形態では、LEDダイ4は、2つより多いか、または少ない斜めの側部を有し、例えば、実質的に円錐形または角錐形である。2つより多いかまたは少ない傾斜した側部を有し、例えば、実質的に円錐形または角錐形である。
【0052】
傾斜した側部26および28は、活性領域から放射した光を結合層6の方向に反射する。傾斜した側部26および28がない場合には、LEDダイ4内に閉じ込められたまたはダイの側部から外へ失われる光が、これにより、都合よく結合層6および光学素子2を通じて抽出される。一実施形態では、LEDダイ4は、空気のような低屈折率の媒体により取り囲まれており、活性領域12から傾斜した側部26および28に入射した光の一部は全内部反射して結合層6へ向かう。他の実施形態では、傾斜した側部26および28は、結合層6の方向に光を反射させる反射性のコーティング、すなわち、一実施例では金属層、他の実施例では誘電体層を用いて、コーティングされる。
【0053】
一実施形態では、接点16は高度に反射性である。したがって、この実施形態では、接点16に入射した光は、直接または側部26もしくは28からの付加的な反射の後、結合層6の方向に反射される。この結果、LEDダイ4の光抽出効率は、増加する。
【0054】
図4および図5に示した実施形態では、LEDダイ4は、金属化層20に電気的に接続され、かつ、n−層8に電気的に接続された伝導性の透明な上層30と、p−層10および接点16に電気的に連結された、伝導性を有する、選択的に設けられる透明な基層32とを含む。上層30および(選択的に設けられる)基層32は、例えば、LEDダイ4により放射される光子のエネルギーより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体により形成される。上層30は、好ましくは約1.5より大きく、より好ましくは約1.8より大きい、活性領域12の放射波長での屈折率を有する材料により形成される。他の実施例では、上述のように、LEDダイ4の側部26および28は、傾斜しており、かつ、高度に反射性であり、接点16は高度に反射性である。図4に示した実施形態では、透明光学素子2は、結合層6により上層30に結合され、n-層8は、n−接点14により金属化層20に電気的に接続される。図5に示した実施形態では、透明光学素子2は、上層30に直接結合され、n−接点14は、分離しては設けられない。
【0055】
図6および図7に示した「フリップチップ」実施形態では、接点14および接点16は、LEDダイ4の同一側に配置される。光学素子2は、LEDダイ4において接点14および16の反対側に結合されるので、これらの実施形態では、光学素子2の上には金属化層が不要となる。金属化層がないことにより、光学素子2への光抽出効率が向上する。他の実施例では、上述したように、LEDダイ4における側部26および28は、傾斜しており、かつ、高度に反射性を有する。接点16は高度に反射性である。透明上層34は、例えば、サファイア、SiC、GaNまたはGaPのような、活性領域12の放射波長で、好ましくは約1.5より大きく、より好ましくは約1.8より大きい屈折率を有する材料により形成される。図6に示した実施形態では、光学素子2は、結合層6を用いて透明上層34に結合される。図7に示した実施形態では、光学素子2は、透明上層34に直接に結合される。
【0056】
図6および図7に示した実施形態のうちの一実施例では、光学素子2はZnSにより形成され、上層34はSiCまたはGaNにより形成され、n-層8はGaNのようなIII族窒化物半導体により形成される。他の実施例では、光学素子2はGaPから形成され、上層34はGaPにより形成され、n-層8はAlInGaPアロイのようなIII族リン化物半導体により形成される。結合層6を設ける場合には、この結合層は、例えばZnSにより形成される。
【0057】
図8および図9に示した実施形態では、n-層8、p−層10および活性領域12の方向は、光学素子2とほぼ直交する。図6および図7に示した実施形態と同様に、光学素子2の上には、金属化層は必要とされない。図8に示した実施形態では、光学素子2は、結合層6を用いてLEDダイ4に結合される。図9に示した実施形態では、光学素子2は、LEDダイ4に直接に結合される。一実施例では、LEDダイ4は、層8と層10に、かつ、活性領域12に対してほぼ直交する方向に作られた切片を用いて、ウェハから切り出される(「ダイスされる」)。この実施例では、光学素子2に結合されるLEDダイ4の表面は、選択的に研磨され、その粗さが低減される。他の実施例では、LEDダイ4の側部26および28は傾斜しており、接点14および接点16は高度に反射性を有し、光を光学素子2に反射させるために反射層36が配置される。
【0058】
図10および図11の実施形態では、LEDダイ4は、LEDダイ4が結合される光学素子2の表面22中の凹部38に配置される。図10に示した実施形態では、光学素子2は、LEDダイ4に直接に結合される。図11の実施形態では、光学素子2は、結合層6を用いてLEDダイ4に結合される。
【0059】
詳細な実施形態を用いて本発明を説明しているが、本発明は、添付した請求項の範囲に含まれる変形および変更のすべてを包含するものである。
【0060】
本明細書は、2000年9月12日に出願された米国特許一部継続出願第09/660317号に基づくものであり、この出願の内容については、引用することにより本明細書に含めておく。
【符号の説明】
【0061】
2 光学素子
4 LEDダイ
6 透明結合層
8、10 半導体層
12 活性層
14 n−接点
16 p−接点
18 上部表面
20 金属化層
22、23、24 表面
26、28 傾斜した側部
30 上層
32 基層
34 透明上層
36 反射層
38 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性領域を備える半導体層を含む層のスタックを有するLEDダイと、
前記LEDダイに結合される透明な光学素子と、
前記透明光学素子を前記LEDダイに結合する結合層と、を具備し、
前記結合層は、前記活性領域によって放出された波長の光を他の波長に変換するルミネセンス材料を含む
ことを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記ルミネセンス材料は、蛍光体粒子、有機半導体、II−VI族半導体、III−V族半導体、量子ドット、ナノクリスタル、染料及びポリマーのうちの一つである、
ことを特徴とする請求項1記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記ルミネセンス材料は、蛍光体粒子であり、
前記結合層は、5ミクロン〜50ミクロンの寸法を有する粒子を収容するのに十分な厚みを有する
ことを特徴とする請求項1記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記結合層は、1.5より大きい屈折率を有する材料から形成される
ことを特徴とする請求項1記載の発光デバイス。
【請求項5】
活性領域を備える半導体層を含む層のスタックを有するLEDダイと、
前記LEDダイに結合される透明な光学素子と、
結合における、高い拡散率を示す材料でドーピングされた表面と、
を具備する
ことを特徴とする発光デバイス。
【請求項6】
前記透明な光学素子は、前記LEDダイに直接結合され、
高い拡散率を示す材料でドーピングされた前記表面は、前記LEDダイの表面である
ことを特徴とする請求項5記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記透明な光学素子は、前記LEDダイに直接結合され、
高い拡散率を示す材料でドーピングされた前記表面は、前記透明な光学素子の表面である
ことを特徴とする請求項5記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記高い拡散率を示す材料は、Zn又はSiである
ことを特徴とする請求項5記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記高い拡散率を示す材料は、前記透明な光学素子と前記LEDダイとの間に配置される
ことを特徴とする請求項5記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記高い拡散率を示す材料は、蒸着及びスパッタリングの一方によって、前記LEDダイ及び前記透明な光学素子の一方に配置される
ことを特徴とする請求項5記載の発光デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−256899(P2012−256899A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158925(P2012−158925)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2001−321214(P2001−321214)の分割
【原出願日】平成13年9月12日(2001.9.12)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】