説明

改良された内部抵抗を有する薄型電池

本発明は、ギャップによって分離され、平坦基板上に互いに並んで配置され、かつイオン伝導性電解質を介して互いに接続される平面正電極と平面負電極を有する電池において、ギャップの最小幅に対する二つの電極の少なくとも一つ、好ましくは両電極の厚さの比が1:10〜10:1であることを特徴とする電池に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギャップによって分離され、平坦基板上に互いに並んで配置され、かつイオン伝導性電解質を介して互いに接続される平面正電極と平面負電極を有する電池に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広く異なる実施形態の電池が知られている。特に、いわゆる印刷電池が存在し、そこでは機能的部品、特に電極及び出力導体構造の少なくとも一部、好ましくは全部が適切な基板上に印刷することによって形成される。
【0003】
従来の印刷電池では、印刷電池の機能的部品は様々な高さで設けられる。伝統的に、二つの出力導体の高さ、二つの電極の高さ、及びセパレータの高さが与えられ、基板上に積み重ねの形態にある。積み重ね構造を有するこのような電池は、例えばUS4119770に記載されている。
【0004】
積み重ね構造を有する電池は、良好な負荷容量及び相対的に低い内部抵抗を有する。しかしながら、このような積み重ねの連続的な製造は、時間を消費する乾燥工程を含む多数の個々の工程を必要とする。さらに、積み重ねの形態で配置された電極を有し、セパレータの高さを有し、出力導体の高さを有する電池は、相対的に高い物理的形態及び少ない機械的可撓性を有する。一般に、それらは、フィルムのような薄い可撓性の基板に適合するためには適していない。
【0005】
WO2006/105966は、極めて小さい物理的な高さ及び/又は厚さ及び極めて簡単な構成を特徴とする印刷電池を開示する。これは、記載された電池が基板上に互いに並んで配置される電極を持つためである。この配置では、電池の機能的部品は、本質的に三つの高さ(出力導体の高さ、電極の高さ、及び電解質の高さ)で一つずつ互いの上に単に配置されている。それゆえ、全体として、これは比較的高い可撓性のデザインをもたらし、それは極めて平坦である。
【0006】
しかしながら、比較的薄いデザインの利点は追加のコストをもたらす。作動時に、イオンは、積み重ねの形態の電極のように薄いセパレータの高さを通って移行しなければならないだけでなく、この代わりに、ある場合には、電解質層を介して極めて長い距離にわたって移動しなければならないので、互いに並んで平行に配置される電極を有する電池の内部抵抗は、作動時にかなり上昇する。電流負荷容量はまた、もちろんこれと並行して低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、できるだけ平坦でかつ可撓性である物理的形態を特徴としながら、同時に既知の平坦電池の記載された問題を持たないか、又はそれらの問題をかなり低減する電池を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する電池によって達成される。本発明による電池の好ましい実施形態は従属請求項2〜12において特定される。全ての請求項の用語はこの明細書の内容における参照によってここに含まれる。
【0009】
本発明による電池の場合において、平面正電極及び平面負電極は平坦基板上に互いに並んで配置され、電極はギャップによって互いに分離されている。基板は電気伝導性であり、その結果として電極間に直接的な電気接続がない。しかしながら、それらはイオン伝導性電解質を介して互いに接続されている。それゆえ、例えば、リチウムイオンは電解質を介して一つの電極から別の電極へ移行することができる。
【0010】
本発明による電池は、特に、二つの電極の少なくとも一つの厚さ、好ましくは両電極の厚さがギャップの最小幅に対して特定の比であることを特徴とする。これは、本発明による電池の場合において、厚さと最小幅の比が常に1:10〜10:1、好ましくは0.5:1〜5:1、特に0.5:1〜2:1、特に好ましくは1:1〜2:1である。正電極の厚さと最小ギャップ幅の比、並びに負電極の厚さと最小ギャップ幅の比がともに、これらの範囲内であることが好ましい。
【0011】
平坦基板上に互いに並んで配置される電極を有する電池の内部抵抗は、上述のように電極厚さとギャップ幅の比を最適化することによってかなり低減されることができることを見い出した。ある場合には、三分の一より多く減少された内部抵抗が観察され、それは先験的に想起されていないことであるだろう。本発明による電池の電流負荷容量は、同等の伝統的な電池と比較して対応してかなり改良される。
【0012】
本発明による電池の電極が基板上で占有する領域は各々、周囲の境界線によって規定される。電極の各々の場合において、境界線の少なくとも一部は異極性の対応する電極に面する。この場合において異極性の電極に面する境界線の「部分」は、特に、線上の各点が直線、特にこの点の境界線に対して直角の直線によって途中で一つより多い点で境界線の一つに接触したり又は交差したりすることなく異極性の電極の境界線に接続されることができる部分を意味する。境界線のこれらの部分はまた、電極間のギャップを規定することが好ましい。より正確に言うと、平面正電極と平面負電極を互いに分離するギャップは、一つより多い点で境界線の一つに接触したり又は交差したりすることなく一つの電極の境界線上の点を他の電極の境界線上の点に接続する境界線間の直線によって含まれることができる、基板上の電極材料でカバーされない最大可能な領域として規定される。
【0013】
例示すると、一つより多い周囲境界線は例えば複数の環状又は円形電極の同心配置の場合には実行可能であるだろう。このような配置では、一つの電極の境界線が異極性の関連する電極に完全に(即ち、部分的にではなく)面することが可能であるだろう。
【0014】
上述のギャップの最小幅は、二つの電極間の最も短い可能なイオン経路の点でのギャップ幅を意味することを意図される。それゆえ、ギャップの最小幅は、電極を規定する境界線間の最も短い距離に相当する。
【0015】
好ましくは、本発明による電池の電極はそれらの全領域にわたって本質的に均一な厚さを有するが、その厚さはある状況では、おそらく製造工程によっては、わずかに変化してもよい。電極の厚さを正確に決定するための一つの好ましい方法の場合において、電極は一回縦方向又は横方向に切断されることが好ましく、もっと正確に言うと、これは最大切断長さをもたらすように切断されることが好ましい(長方形の電極の場合に、切断は例えば対角線の形であることが好ましい)。切断は次いで各場合において等しい長さの二つの領域に小分割され、その中心で電極厚さが各場合において測定される。得られた値は次いで平均化される。
【0016】
電極間のギャップは本質的に均一なギャップ幅を有することが好ましい。これは、ギャップの領域における二つの電極間の最も短い可能なイオン経路が本質的に常に同じ、好ましくはギャップの長さの少なくとも95%にわたって、特にギャップの全長さにわたって同じであることを意味することを意図される。理想的には、ギャップに沿ったギャップ幅は25%以下で、特に10%未満で、特に好ましくは5%未満で変動する(各場合において最小ギャップ幅に対する割合)。上で規定した最小幅はそのとき電極の境界線上の二つの点間だけで存在するわけではなく、実際には、電極は、ギャップを形成する境界線の相互に面する部分に沿って互いから本質的に一定の距離であることが好ましい。通常、ギャップ幅は10μm〜2mmである。この範囲内では、50μm〜1mmのギャップ幅が特に好ましく、50μm〜500μmがさらに好ましい。
【0017】
さらに、本発明による電池の正及び負の電極は本質的に同じ厚さを有することが特に好ましい。それゆえ、正電極の厚さと最小ギャップ幅の比は、負電極の厚さと最小ギャップ幅の比と同一であることが好ましい。
【0018】
正及び負の電極のために好ましい電極の厚さは好ましくは10μm〜500μm、特に好ましくは10μm〜250μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。
【0019】
しばしば、電池の負電極のための材料は正電極のための同等の材料より高いエネルギー密度を有する。対応するように、正電極は基板上の負電極より大きい領域を占有することが好ましい。特に、これは、もちろん、正電極及び負電極が同等の又は同じ厚さを有するときに当てはまる。
【0020】
特に好ましくは、電極は少なくとも小領域において、好ましくは完全にストリップの形態であり、特に長方形ストリップ又はリボンの形態のストリップである。この場合において、ストリップは本質的にそれらの全長さにわたって本質的に均一な幅を有することが好ましい。
【0021】
例示すると、電極は各々、互いに平行に配置される、ストリップの形態の複数の区域を含むことができる。これらは、例えば共通の横方向のウェブ上に一体的に形成されることができ、そのウェブはストリップに対して直交して整列され、同様にストリップ又はリボンの形態であることが好ましく、従って全体に「くし状」構成をもたらす。二つのかかる電極は、もちろん、何ら問題なく基板上に「それらが互いに係合するように」配置されることができる(もちろん互いの寸法が整合していることが前提である)。具体的には、横方向のウェブを互いに平行に配置し、その場合において異極性の電極の一つのストリップは次いで各場合において電極の平行に配置された二つのストリップ間で静止するようにすることによって配置されることができる。
【0022】
このような電極構成の利点は、電極間のギャップの長さが電極の面積に比例して鋭敏に上昇し、それが次に概してイオンが一つの電極から他の電極に進まなければならない距離を減少することを可能にする。あるいは、もっと正確に言うと、境界線の全長さに対する異極性の対応する電極に面する電極の境界線の部分の長さの比ができるだけ高いことが極めて有利でありうる。電極厚さとギャップ幅の最適な比と組み合わせると、これは、本発明による電池の電流負荷容量に関して劇的な改良が達成されることを可能にする。
【0023】
好ましくは、境界線の全長さに対する異極性の対応する電極に面する電極の境界線の部分の長さの割合は0.4より大きい。好ましくは、それは0.5より大きく、特に好ましくは0.75より大きく、特に0.9より大きい。
【0024】
本発明による電池の特に好ましい実施形態では、電極間、特にストリップの形態の電極間のギャップの幅に対するストリップの幅の比に関して最適な比が存在する。好ましくは、電極間のギャップの幅に対するストリップの幅の比は0.5:1〜20:1である。この範囲内であれば、0.5:1〜10:1の値がさらに好ましい。
【0025】
通常のストリップ幅は0.05mm〜10mm、特に0.05mm〜2mmの範囲で変化することが好ましい。
【0026】
ストリップの幅に対するストリップの長さの比は2:1〜10000:1、特に10:1〜1000:1の範囲であることが好ましい。換言すれば、ストリップの長さはそれらの幅より2〜10000倍大きいことが好ましい。
【0027】
好ましい実施形態によれば、本発明による電池は一つより多い正電極又は一つより多い負電極を含むことができ、特に好ましい実施形態では一つより多い正電極及び一つより多い負電極を含むことができる。境界線の全長さに対する異極性の対応する電極に面する電極の境界線の部分の長さの及びギャップの最小幅に対する電極厚さの上で規定された比は、これらの電極の全てに適用することが好ましい。
【0028】
従って、特に、ストリップの形態の複数の正及び負電極が基板上に互いに並んで配置されること、特に互いに平行に配置されることが可能である。正電極が負電極に対して常に少なくとも隣接しているか、その逆であるような交互配置が好ましい。隣接する電極間のギャップ幅はこの場合において本質的に一定であることが好ましい。例示すると、ストリップの形態の二つの負電極及びストリップの形態の一つの正電極は基板上で互いに平行に配置され、正電極は負電極ストリップの間に配置され、正電極の両側上のギャップはその全長さにわたって本質的に均一な幅を有することができる。
【0029】
もし本発明による電池が同極の電極を一つより多く含むなら、そのときこれらの電極は好ましい実施形態では導体トラック(conductor tracks)を介して互いに接続される。これらのような導体トラックは出力導体/コレクタとして使用され、平坦基板と電極の間で好ましい態様でそれらを配置することが賢明である。これらのような導体トラックは例えば印刷によって製造されることができる。もちろん導体トラックを製造するために基板を特に金属化することも可能である。例えば、導体トラックは電気化学的に又はスパッタリングにより基板に適用されることができる。
【0030】
既に述べたように、電極は電解質層を介して互いに接続される。好適な電解質は当業者に知られている。本発明によれば、イオン伝導性電解質としてゲル状電解質を使用することが好ましい。もし適切なら、これはまた、印刷により基板に適用されることができる。理想的には、適切な伝導性を与えるためにそれは電極を少なくとも部分的にカバーするべきである。好ましくは、電解質は、基板上で完全に正電極及び負電極をカバーし、電極の対応する境界線をカバーして突出することがあってもよい。
【0031】
(基板から測定した)電解質層の最大厚さは10μm〜500μm、特に50μm〜500μmの範囲で変化することが好ましい。
【0032】
特に、本発明による電池の電極は、好ましい実施形態では、基板上に印刷される。それゆえ、本発明による電池は、機能的部品の少なくとも一部、好ましくは全部、特に電極、出力導体及び/又は電解質が対応する基板上に印刷することによって形成される印刷電池であることが好ましい。
【0033】
印刷されることができるペーストの形態の通常の電極材料は、当業者に知られている。これらは、標準的な方法を使用して、例えばスクリーン印刷法を使用して、特に上の文章に対応する本質的に均一な厚さを有する薄い層として、比較的容易に適切な基板に適用されることができる。
【0034】
本発明は、幅広く異なる電気化学システムに移転されることができる。好ましい実施形態では、本発明による電池は、例えば亜鉛/二酸化マンガン電池又はニッケル/金属水素化物電池である。対応するように、本発明による電池は一次電池及び二次電池であることができる。
【0035】
例示すると、本発明による電池の基板はプラスチックフィルムであることができる。しかしながら、原則として、例えば紙又は木材を含む全ての電気的に非伝導性の材料を使用することができる。
【0036】
好ましい実施形態では、本発明による電池は特にカバー層として第二基板を含むことができ、それは好ましくは電解質の高さの上で配置され、電解質及び電極を少なくとも部分的にカバーする。このカバー層は例えばプラスチックフィルムであることができ、電解質及び電極のための保護機能を有する。さらに、本発明による電池におけるカバー層は改良された全体的な機械的頑健性を与える。第一及び第二基板は同じ材料から構成されることができる。
【0037】
上で既に述べたように、基板上の電極の領域は各々、周囲境界線によって規定され、その場合において、二つの電極の各々について、境界線の少なくとも一部は異極性の少なくとも一つの対応する電極に面する。特に本発明による電池が印刷電池の形態であるとき、二つの電極のうちの少なくとも一つ、好ましくは両電極について、境界線の少なくともこの部分が非直線状の輪郭を持つことが好ましい。これは、特に本発明による電池の電極又は電極の少なくとも一部が上で記載したようにストリップの形態であるときに当てはまる。この場合において、「非直線状の輪郭」は、(実在物として)境界線の部分が直線ではないことを意味することを意図されるが、それは実際には直線の小区域を持ってもよい。
【0038】
特にこれらの実施形態では、境界線の全長さに対する異極性の対応する電極に面する電極の境界線の部分の長さの比は、上で既に述べた限界値より上である。
【0039】
原則として、電池を印刷するとき、電極はいかなる所望の形状を持ってもよい。いかなる問題もなく複雑なパターン及び構造を製造することができる。伝統的な電極の幾何学的形状は例えばWO2006/105966に記載されている。そこでは、簡単な長方形の電極が、ギャップによって分離されて互いに平行に並んで基板に適合される。しかしながら、電流が流れるとき、イオンのほとんどが極めて長い距離にわたって進まなければならず、従って電流を抑制する。イオンの少ない割合だけがギャップを通る短い経路を持つにすぎず、ほとんどが電極を介して電解質を通ってかなり長い経路にわたって進まなければならない。しかしながら、もしギャップ形成境界線が非直線であるように設計されるなら、この割合はかなり増加させることができ、従って、これはまた、電極の領域と比較して電極間のギャップの長さの増加をもたらし、それは次に、イオンが一つの電極から他の電極へ進まなければならない距離を平均して減少することを可能にする。これはまた、図面から明らかである。
【0040】
好ましくは、少なくとも一つの、好ましくは両方の電極の境界線の少なくとも一部は、長方形、三角形、波状、螺旋状又は鋸歯状の輪郭を有する。特に好ましくは、これらの部分は、得られる電極間のギャップが本質的に均一なギャップ幅を有するように互いに係合する。それらが互いに係合する一つの前提条件は、もちろん、対応する電極のそれぞれの寸法がまた互いに適合されることである。
【0041】
特に好ましくは、電極又は電極の少なくとも一部、特にストリップの形態である電極の部分は、対応するように長方形、三角形、波状、螺旋状又は鋸歯状の輪郭を有する。
【0042】
述べられたパターンの組み合わせももちろん実施可能である。しかしながら、好ましくは、電極はそれらについて述べられた輪郭の一つを持つ。
【0043】
本発明のさらなる特徴は、従属請求項と組み合わせて、好ましい実施形態の以下の記載から及び図面から明らかになるだろう。この場合において、個々の特徴は各々、本発明の実施形態においてそれら自身で又はグループで実施されることができ、互いに組み合わされることができる。記載された好ましい実施形態は、説明目的のため及び本発明の理解を助けるためにのみなされ、いかなる場合でも限定して考慮されるべきではない。以下の明細書に記載された図面はまた、本明細書の一部であり、それらは明白な参照によってここに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図面において:
【0045】
【図1】図1は、従来技術による、平面図の形態の、平坦基板上に互いに並んで適合された二つの長方形電極(正電極及び負電極)を示す。
【0046】
【図2】図2は、櫛の形態のパターンを有する、本発明による電池の電極の一実施形態を示す(概略図)。
【0047】
【図3】図3は、ストリップの形態の構成を有する、本発明による電池の電極の一実施形態を示す(概略図)。
【0048】
【図4a−4b】図4a−4bは、本発明による電池の実施形態を示す(断面図、概略図)。
【0049】
【図5】図5は、三角形、鋸歯状、波状及び螺旋状の幾何学的形状を有する、本発明による電池のストリップの形態の電極の実施形態を示す(概略図)。
【0050】
【図6】図6は、櫛の形態のパターンを有する、本発明による電池の電極のさらなる実施形態を示す(概略図)。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、例えばWO2006/105966によって記載されるような従来技術による平面図の形態の互いに並んで平坦基板上に印刷された二つの電極101及び102(正電極及び負電極)を示す。正電極101は白色で示され、負電極102は黒色で示される。電極の領域は各々、周囲境界線によって規定される。電極は各々は長方形であり、ギャップ103によって分離される。定義によれば、ギャップは、一つの電極の境界線上の点を他の電極の境界線上の点に接続する電極の境界線間の直線によって、この場合には一つより多い点で境界線の一つに接触したり又は交差したりすることなく、包囲されることができる、電極材料でカバーされない最大可能な領域である。
【0052】
電極は、電極を完全にカバーする電解質層を介して接続される(図示せず)。作動中、ギャップのすぐ近くのイオンがまず一つの電極から他の電極へ移行する。これは、電極内で電荷勾配をもたらす。電池が長く作動されるほど、イオンが進まなければならない距離が遠くなる。それゆえ、正電極101の境界線上の点104から負電極102までの最も短いイオン経路は、正電極の幅bとギャップ幅sの合計に相当する。電池の内部抵抗は鋭く上昇する。
【0053】
図2は、櫛の形態のパターンを有する、本発明による電池の電極201及び202の実施形態を示す(概略図)。電極201及び202は各々、複数の区域203a〜203d及び204a〜204dを含み、それらはストリップの形態であり、互いに平行に配置されている。これらは各々の場合において共通の横方向ウェブ205及び206上に一体的に形成され、それはストリップに直交して配列され、同様にストリップ又はリボンの形態である。全体として、これはそれゆえ「櫛状」構成をもたらす。電極は基板上で「互いに係合して」配置されている。この場合において、横方向ウェブ205及び206は互いに平行に配置され、異極性の電極のストリップは各場合において一つの電極の平行に配置される二つのストリップ間で静止するようになる。電極201及び202はギャップ207によって分離される。これは、電極201及び202の境界線の相互に面する部分によって規定される。ギャップ幅はギャップの全長さにわたって本質的に一定である。その全体において、及びそれを規定する境界線のように、ギャップ自体は長方形の輪郭を有し、それゆえ非直線状輪郭を有するが、それは複数の直線状小区域を含む(5区域が長さlを持ち、各場合において4区域が長さb及びbを持つ)。
【0054】
図1に示されたもののような電池の電極と比較すると、このような電極の構成の利点は、電極の領域に対する電極201と202の間のギャップ207の長さの比が大きく増加され、それが次に、イオンが一つの電極から他の電極へ進まなければならない平均距離を減少することを可能にすることである。
【0055】
正電極及び負電極は各々同じ厚さを有する。しかしながら、正電極は負電極より大きい領域を占める。ストリップの形態の区域203a〜203d及び204a〜204dは全て同じ長さを有するが、異なる幅を有する(b<b)。ギャップの幅に対する二つの電極201及び202の厚さの比は1:10〜10:1である。
【0056】
図3は、ストリップの形態の構成の本発明による電池の電極の一実施形態を示す(概略図)。四つの正電極301a〜301d及び四つの負電極302a〜302dが各々、互いに平行に配置され、交互の配列になっている(正電極及び負電極を交互)。同極性の電極は各々、出力導体303及び304を介して接続される。隣接電極の各々の間に一定のギャップ幅sを持つギャップ305がある。正電極及び負電極は各々同じ厚さを有する。ギャップの幅に対する電極の厚さの比は1:10〜10:1である。
【0057】
正電極は負電極より大きい領域を占める。ストリップの形態の区域301a〜301d及び302a〜302dは全て同じ長さを有するが、異なる幅を有する(b<b)。
【0058】
この実施形態はまた、電極の領域に対する電極間のギャップ305の全長さの比が大きく増加されることを確実にする。
【0059】
図4は、本発明による電池の二つの実施形態A及びBを示す(断面図、概略図)。実施形態Aによる電池は正電極401a〜401c及び負電極402a〜402cを含む。実施形態Bによる電池は正電極403a〜403e及び負電極404a〜404eを含む。電極は、この場合において、図3に示されたように、即ち互いに平行に配置されたストリップの形態で基板405及び406上に配置される。一定のギャップ幅sを有するギャップは電極の各々の間に位置される。電極は電解質407及び408によってカバーされ、それは各場合において電極間のギャップも満たす。電極401a〜c及び402a〜cは電極403a〜e及び404a〜eとはそれらの厚さにおいて異なる。それゆえ、実施形態Aにおける電極の厚さはほぼギャップ幅sに相当するが、対照的に、実施形態Bにおける電極の厚さはギャップの幅より2倍厚い。
【0060】
一般に、実施形態Bにおける電池は、実施形態Aにおける電池より高い電流負荷能力、並びに作動時の比較的低い内部抵抗を有する。これは、特に、実施形態Bにおいて、イオンの大多数が電極間のギャップにおける電解質を介して移行することができることによる。
【0061】
図5は、本発明による電池の電極の可能な改良を示す。上述のように、電池を印刷するときに電極の形状に全く制限がない。対応するように、何ら問題なく、ストリップの形態の電極が三角形(A)、鋸歯状(B)、波状(C)又は螺旋状(D)の幾何学的形状を有するパターンを生成することが可能である。
【0062】
図6は、櫛の形態のパターンの本発明による電池の電極のさらなる実施形態を示す(概略図)。図は、正電極601(白色)及び負電極602を示す。電極はギャップ603によって分離されている。図2の櫛の形態の電極パターンとは対照的に、水平に整列された電極ストリップ並びに垂直方向のウェブは均一な幅を持たず、代わりにそれらはくさび形状又は台形形状である。これは同様に内部抵抗に対してプラスの影響を持つ。
【実施例】
【0063】
実施例
【0064】
以下の手順は、図4Bに示された本発明による電池システムを製造するために使用された。
【0065】
まず最初に、プラスチックフィルムが基板として与えられ、さらなるプラスチックフィルムがカバーフィルムとして与えられた。原則として、低いガス及び水蒸気の拡散速度を有するプラスチックフィルムがこの目的のために好ましく、即ち、特にPET,PP又はPEから構成されるフィルムが好ましい。特に好適なフィルムは、WO2009/135621の公開番号を持つ国際特許出願に記載されている。もしこれらのフィルムを互いに続いて熱シールすることを意図するなら、与えられるベースフィルムはさらに、低い融点を持つさらなる材料で被覆されることができる。好適な溶融接着剤は当業者に知られている。
【0066】
出力導体構造は次にまず基板に適用された。銀を含む導電性ラッカーがこの目的のために印刷された。代替的に、例えばニッケル又はグラファイトに基づいた導電性接着剤も使用することができ、それは同様に印刷されることができる。さらに、もちろん電気化学的に又はガス相からの蒸着によって必要な出力導体を製造することも可能である。これらの方法の全ては従来技術から知られている。
【0067】
正電極のための電極材料が次いで適切なコレクタ/出力導体上に印刷された。この印刷はスクリーン印刷機によって行なわれる。使用された電極材料は、MnOのような電気的に活性な材料(308mAh/g)、結合剤、導電材料(グラファイト又はカーボンブラック)、及び溶剤から構成されるペーストであった。負電極もまた、類似した方法で作られた。これは、亜鉛粉末のような電気的に活性な材料(820mAh/g)、結合剤、及び溶剤からなるペーストを使用してなされた。
【0068】
電極は、30mmの長さを持つ均一なストリップに印刷され、正電極は0.23mmの幅を有し、負電極は0.07mmの幅を有していた。電極間のギャップは0.1mmの幅を有していた。乾燥後、電極(正及び負)は約190μmの厚さを有していた。
【0069】
最後に、電解質はさらなる方法工程において適用された。電解質は導電性塩の水性(KOH,ZnCl)又は有機溶液であることが好ましく、それは電流のためにイオンを与える。電解質は同様に印刷法によって適用された。電解質は図4Bに示された電極を完全にカバーした。電極間のギャップは電解質で完全に満たされ、電極上の電解質層の厚さは10μmであった。
【0070】
このようにして製造された単一セルは次いでさらなるプラスチックフィルムでカバーされた。即ち、ハウジングの形態で閉じられた。これはホットシール法を使用してなされた。
【0071】
得られた電池は2オームの初期内部抵抗を有していた。作動時、この抵抗は13オームまで上昇した。50μmだけの厚さを有する電極と、電極上に150μmの厚さを有する電解質層(これらのパラメータ以外は上述の電池と同一のパラメータ)とを持つ電池は最初2オームの内部抵抗を有していたが、これは作動時に18オームまで上昇した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギャップによって分離され、平坦基板上に互いに並んで配置され、かつイオン伝導性電解質を介して互いに接続される平面正電極と平面負電極を有する電池において、ギャップの最小幅に対する二つの電極の少なくとも一つ、好ましくは両電極の厚さの比が1:10〜10:1であることを特徴とする電池。
【請求項2】
電極間のギャップが本質的に均一なギャップ幅を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
正電極と負電極は本質的に同じ厚さを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
正電極が負電極より基板上で大きい領域を占有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池。
【請求項5】
電極が少なくとも小領域で、好ましくは完全にストリップの形態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電池。
【請求項6】
ストリップが本質的に均一な幅を有することを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
電極が基板上で占有する領域が各々、周囲の境界線によって規定されること、及び電極の各々について、境界線の少なくとも一部が異極性の電極に面し、境界線の全長さに対する異極性の電極に面する電極の境界線の部分の長さの割合が0.25〜0.5、好ましくは0.3〜0.5、特に好ましくは0.35〜0.5、特に0.4〜0.5であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電池。
【請求項8】
電極間のギャップの幅に対するストリップの幅の比が0.5:1〜20:1、好ましくは0.5:1〜10:1であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電池。
【請求項9】
ストリップの幅に対するストリップの長さの比が2:1〜10000:1、好ましくは10:1〜1000:1であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の電池。
【請求項10】
電池が一つより多い正電極及び/又は一つより多い負電極を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電池。
【請求項11】
電極が基板上に印刷されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電池。
【請求項12】
ストリップが少なくとも一つの小領域において長方形、三角形、波状、螺旋状又は鋸歯状の輪郭を有することを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a−4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−507727(P2013−507727A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532565(P2012−532565)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064801
【国際公開番号】WO2011/042418
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(511240210)ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【Fターム(参考)】