説明

改良された垂直ウィッキングとリウェット能力を有する吸収性製品

【課題】液体透過性トップシート;液体不透過性バックシート;及びトップシートとバックシートの間に配置された吸収体コアから形成された、増大した柔らかさと液体処理能力を有する吸収性製品とその製造方法を提供する。
【解決手段】吸収体コア15は、連続的なエアレイド機械で作製され、トップシート10と連続し、トップシートの下部に配置された有効な液体授受可能である獲得層11;獲得層に接触し、獲得層の下部に配置された、吸収能力を有する貯蔵層12;並びに貯蔵層と接触し、貯蔵層の下部に配置された、0.1g/ccから0.3g/ccの間の密度を有するウィッキング層13を含み、ウィッキング層は圧縮可能な木材繊維から形成され、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比は、1.25より大きいが、好ましくは約3.0である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2000年1月31日に出願された米国出願第09/495,530号、及び2000年6月12日に出願された米国特許第60 211,091号の出願日の利益を享受し、これらの特許のそれぞれは完全にここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、ダイヤパー、生理用ナプキン、外科手術用ドレープ、傷用包帯等の使い捨て吸収性衛生製品、及びそれらでの使用のための吸収体コア、及び増大した柔らかさと液体処理能力を有するこれらの製品の製造方法に関する。とりわけ本発明は、水分不透過性バックシートと液体貯蔵層の間に配置された圧縮可能な繊維質ウィッキング材料の離散層を有する、複層のエアレイド吸収性構造体、及びその生産のための連続的エアレイド方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高価な幼児用おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用具、及び女性用ナプキンのような使い捨て吸収性衛生製品は、液体透過性トップシートと低密度獲得またはサージ層の間に挟まれたセルロース繊維フラフベースの吸収体コアで典型的に製造され、トップシートの機能は、一時的な貯蔵と吸収体コアへの液体の妨げられない通過を可能にする一方で、ユーザーの皮膚に液体が戻るように再移動することに対するバリアとして機能し、獲得またはサージ層の機能は、吸収した液体を含み、その液体が吸収体コアを通じて通過したり、吸収性製品の着用者の下着を汚したりすることを妨げることである。獲得層は典型的に、化学的に硬化されたセルロースフラフまたは結合された合成繊維を含み、ここで当該結合は、熱可塑性バインダー繊維またはパウダーの媒体を通じて、またはラテックスバインダーの適用を介してなされている。
【0004】
これらの吸収性製品の吸収体コアは、超吸収性ポリマー顆粒を有するまたは有さない、非繊維分解化ウッドパルプより通常構築されている。前記吸収体コアは、加工を容易にするためにキャリアー組織上で運搬機械のパッド形成ユニットに典型的に形成される。吸収体コア形成ユニットのあるものは、層状化能力を装備しており、そこでは第二の別個のフラフ層が、第一のフラフベースの吸収層に重ねられて、複層吸収体コアを形成してもよい。これらの吸収体コアでは、第一の層は、超吸収性ポリマー顆粒を含んでもよい。従来生産されている吸収体コアに関しては、米国特許第5,378,528号、第5,128,082号、第5,607,414号、第5,147,343号、第5,149,335号、第5,522,810号、第5,041,104号、第5,176,668号、第5,389,181号、及び第4,596,567号が参照される。吸収体コアの超吸収性ポリマー成分に関しては、米国特許第3,669,103号及び第3,670,731号から、カルボン酸多電解質を架橋して、一般的に超吸収性材料として称されているヒドロゲル形成材料を作製すること、及び使い捨て吸収性製品の吸収性を促進するためにそのような材料を使用することが知られている。
【0005】
水平及び垂直平面の両者でウィッキングとして定義される液体分配は、他の因子の中で有効な毛管直径に依存的である。繊維構造体における隣接した繊維の間に形成される毛管の有効な大きさは、繊維構造体の区画の大きさ及び密度または程度によって決定されることが周知である。米国特許第5,647,863号では、吸収体コアの貯蔵部材と分配部材の組み合わせが開示されており、それは液体獲得部材と染色認識部材よりも高い毛管吸収性を有する。貯蔵/分配層は、獲得層の外側へ液体を排水するだけでなく、外側よりもコアの縦方向の向きにより汚物を好ましくは分配する。この液体の選択的な移動は、湿潤の進行の間の機械の方向性における繊維材料の整列の結果である。米国特許第5,549,589号、第5,800,416号及び第5,843,055号に開示されたような、ユーカリのような繊維といった高い非常面積を有する、化学的に硬化され、堅固化されたバルキング繊維、及び化学的バインダーまたは熱的結合繊維の湿潤層三成分の集合体は、米国特許第5,647,863号の分配/貯蔵層にとって特に好ましい。米国特許第5,009,650号では、複層化セルロース繊維吸収構造体が開示され、そこではセルロース性繊維の層は、密度または平均孔サイズについて異なっている。米国特許第5,009,650号の開示の一つの特徴点は、別個に形成されたより高い密度またはより小さい孔サイズの層が、液体排泄標的領域から液体を追い出し、より低い密度層に液体のある部分を戻すためのより低い密度層の少なくとも一部で存在する。当然、より高い密度層にすぐ隣接し、より高い密度層における最も大きい孔よりも小さい孔サイズを有するより低い密度層における孔のみが、より高い密度層から液体を受け取るであろう。より低い密度層は、主に液体を含まないため、リウェットの問題は低減している。液体がダイヤパーのトップシートを通じて戻る圧力にさらされ、着用者の皮膚と接触する際に、リウェットが生じる。このウィッキング/貯蔵層は、単純にウィッキング層の密度を増大することによってより低い密度層におけるものと同様の繊維を使用して達成できる一方で、繊維の間の孔のサイズが密度を増大することなく小さいように、より小さい密度の繊維を使用することによっても得ることができる。ユーカリを含む各種の硬材フラフ繊維が、より下部の(ウィ
ッキング/貯蔵)層について示唆されている。米国特許第5,009,650号の別の特徴点では、超吸収性顆粒を含むより高密度層が、低密度フラフ層の下部に配置されている。
【0006】
ウィッキング/貯蔵層は、繊維と混合され高密度フラフ層の間で挟まれている超吸収性ポリマー顆粒を含む。米国特許第5,009,650号は、吸収性製品における液体分配を達成するために企図されたいくつかの製品デザインを説明している。しかしながら各場合において、液体分配及び最終的な液体貯蔵はより高密度層で生じ、それは超吸収性ポリマーを含んでいるであろう。
【0007】
毛管サイズを制御するための各種の方法として、トップでの大きなサイズからボトムでの小さなサイズまで繊維サイズの勾配が、使い捨てダイヤパー内への液体輸送について米国特許第4,223,677号に開示されている。完全に異なるアプローチでは、米国特許第5,188,624号は、吸収体コアと裏打ちシートの間の液体分配層を教示し、そこでは液体分配層は、挿入部よりも小さい密度を有している。増大した垂直ウィッキング速度が、そのような構造体について主張されている。同様な態様で、米国特許第5,401,267号は、二つの高ウィッキング層の間により低密度の非ウィッキング層を挿入しており、内部層が第一の層から第三の層へ液体を移動させることを示唆している。しかしながら第二層は、第三層が飽和した場合のみ液体を維持する。米国特許第4,573,988号は、超薄切片と光波長(136gsmまたは4oz/yd2未満)を教示し、その吸収体コアにおいては、合成短繊維から形成された第一の吸収層が、製品の湿潤によって放出されるまで安定化された圧縮状態を維持している。x、y平面での液体分配は、より高密度のウィッキング層で主に生じ、それはセルロース繊維から構成されてもよい。第一の吸収層は、圧縮された合成繊維に対する一時的なバインダーとして機能するように、加工の間で粘着性にされた超吸収性ポリマーを含む。超吸収性材料が液体の排泄の後に膨潤を始めた際に、第一の層がはじけて開き、超吸収性材料の膨潤が妨げられずに、第一の層の毛管吸水が、第二の層よりも有意に低くなる。
【0008】
吸収性製品における有効なウィッキング層は、パターン化されて浮き出し処理され、全体的により低い見かけの密度の材料内により高い密度の別個の領域を形成しても良い。参考として完全にここに取り込まれる米国特許第3,938,522号では、繊維のバットを湿らせ、それから重い圧密化によって、高密度化紙様層をウッドパルプ繊維のセルロース性バット上に形成している。水分と圧力で作製された高密度化層は、参考として完全にここに取り込まれる米国特許第3,017,304号の発明者の名前に従って、一般的に"Burgeni"と称される。参考として完全にここに取り込まれる米国特許第3,938,522号に開示された"Burgeni"層は、任意に溝を有する圧密ロールで形成され、紙様層の利用可能な表面領域を増大し、平らな層で可能なものより液体のより大きな体積を輸送するための高密度化材料の厚くなったリブを提供する。参考として完全にここに取り込まれる米国特許第4,443,512号では、完全な吸収性製品を、一方または両方の側面に浮き出して、空間を有する高密度化領域を形成し、液体の広がりを増大する。参考として完全にここに取り込まれる米国特許第4,612,231号におけるウッドパルプ繊維の乾層及び湿層繊維ウェブを水で湿らせ、二つの過熱化シリンダーの間でプレスし、その一方を繊維状ウェブ内でグリッドパターンで衝撃を与えて加工する。低密度で、柔らかく、嵩が大きく、且つ吸収性である、しぼ寄せの後にダイアモンドパターンを有するペーパーシートは、参考としてここで完全に取り込まれる米国特許第3,905,863号に記載されており、そこでは湿層シートが、所望の生地のポリマー状生地に対してプレスされている。パターン中の高密度化領域は、液体保持を補助する。垂直ウィッキングは、米国特許第3,905,863号で言及されていない。同様に、参考として完全にここに取り込まれる米国特許第3,994,771号では、長い軟材繊維と短い硬材繊維の別個の層を含む湿層吸収性ペーパー構造が、オープンメッシュ乾燥/型押し生地に対してプレスされて、柔らかさと嵩の大きさを得ている。これらの加工を使用して、材料の密度または圧密の度合いが増大するにつれ、材料の曲げ係数または剛性も増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国出願第09/495,530号
【特許文献2】米国特許第60 211,091号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
材料の圧密による柔らかさの損失を生じることなく、垂直ウィッキングを提供する必要性が、産業上存在する。材料の密度または圧密の度合いが増大するにつれて、材料の曲げ係数または剛性も増大する。本発明の一つの重要性は、おそらく水分不透過性外側カバーの近傍に位置する、有効なウィッキングのための密度伝導性の繊維層を、比較的低密度の製品において含むことによって、高レベルで垂直に液体を導く製品の能力から、製品全体の密度と柔らかさを解離させる点である。本発明のウィッキング層の必須の特徴は、垂直に導かれた液体を隣接する液体貯蔵層に有効に移動させる能力である。
【0011】
本発明は、液体透過性トップシート;液体不透過性バックシート;及びトップシートとバックシートの間に配置された吸収体コアから形成された吸収性製品に向けられる。吸収体コアは、連続的なエアレイド機械で作製され、トップシートと連続し、トップシートの下部に配置された有効な液体授受可能である獲得層;獲得層に接触し、獲得層の下部に配置された、吸収能力を有する貯蔵層;並びに貯蔵層と接触し、貯蔵層の下部に配置された、0.1g/ccから0.3g/ccの間の密度を有するウィッキング層を含み、前記ウィッキング層は圧縮可能な木材繊維から形成され、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比は、1.25より大きいが、好ましくは約3.0である。さらに本発明は、垂直に導かれた液体を隣接する液体貯蔵層に有効に移動する能力を有するウィッキング層を有する吸収性製品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のもの:(1)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層;
(2)獲得層の下部にあり接触して配置された吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)圧縮可能な硬材パルプを含み、約0.05から約0.4g/ccの密度を有する、貯蔵層の下部にあり接触して配置されたウィッキング層であって、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層;
を含む、吸収体コアを提供する。
【0013】
本発明の前述の特徴点の範囲内で、以下のもの:(A)液体透過性トップシート;
(B)液体不透過性バックシート;並びに(C)トップシートとバックシートの間に配置された吸収体コア;
を含む吸収性製品が提供され、ここで吸収体コアは、以下のもの(1)トップシートの下部に配置され、トップシートと有効な液体授受可能であり、且つ貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層;
(2)獲得層の下部にあり接触して配置された吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)圧縮可能な硬材パルプを含み、約0.05から約0.4g/ccの密度を有する、貯蔵層の下部にあり接触して配置されたウィッキング層であって、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層;
を含む吸収性製品が提供される。
【0014】
本発明は、以下の工程:(A)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(B)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮し、任意にウィッキング層に圧縮パターンを型押しする工程;
(C)ウィッキング層と有効な液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;並びに(D)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層を形成する工程;
を含み、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層を含む、吸収体コアの製造方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、以下の工程:(A)液体不透過性バックシートを提供する工程;
(B)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(C)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮し、任意にウィッキング層に圧縮パターンを型押しする工程;
(D)ウィッキング層と有効な液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;
(E)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層を形成する工程;並びに(F)獲得層と有効な液体授受可能である液体透過性トップシートを提供する工程:を含み、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層を含む、吸収性製品の製造方法を提供する。本発明のこの特徴点の範囲内で、前記の方法によって製造されたコアが提供される。
【0016】
本発明はまた、以下の工程:(A)液体不透過性バックシートを提供する工程;
(B)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(C)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮し、任意にウィッキング層に圧縮パターンを型押しする工程;
(D)ウィッキング層と有効な液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;
(E)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層を形成する工程;並びに(F)獲得層と有効な液体授受可能である液体透過性トップシートを提供する工程:を含み、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層を含む、吸収性製品の製造方法を提供する。本発明のこの特徴点の範囲内で、前記の方法によって製造された吸収性製品が提供される。
【0017】
別の実施態様として、本発明は、以下のもの:(1)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層;
(2)獲得層の下部にあり接触して配置された吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)貯蔵層の下部にあり接触して配置され、圧縮可能な硬材パルプを含むウィッキング層;
を含む、吸収体コアを提供する。前記コアは、以下の工程:(A)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(B)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮し、任意にウィッキング層に圧縮パターンを型押しする工程;
(C)ウィッキング層と有効な液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;並びに(D)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層を形成する工程;
を含む、吸収体コアの製造方法によって製造される。
【0018】
さらに別の実施態様として、本発明は、以下のもの:(1)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層;
(2)獲得層の下部にあり接触して配置された吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)貯蔵層の下部にあり接触して配置され、圧縮可能なウッドパルプを含むウェブ型押しウィッキング層;
を含む吸収体コアであって、ここで繊維状ウェブにおいて高密度化領域と比較的高密度化されていない領域のパターンが存在する吸収体コアを提供する。前記コアは、以下の工程:(A)圧縮可能な木材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(B)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮する工程であって、ウィッキング層の高密度化は、形成または輸送生地と圧密ロールの間、またはパターン化圧密ロールとスムースロールの間、または二つのパターン化圧密ロールの間で実施され、繊維状ウェブにおいて高密度化領域と比較的高密度化されていない領域を有するウェブ型押しウィッキング層を形成する工程;
(C)ウィッキング層と有効な液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;
(D)貯蔵層と有効な液体授受可能である獲得層を形成する工程;
を含む、吸収体コアの製造方法によって製造される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施態様の吸収性構造体の断面図を示す図である。
【図2】本発明の実施態様のウェブ型押しウィッキング部材の上面図を示す図である。
【図3】本発明の実施態様のウェブ型押し側面部材の側面図を示す図である。
【図4】ウィッキングの高さと密度のグラフを表す図である。
【図5】リウェットの結果のグラフを表す図である。
【図6】リウェットの結果のグラフを表す図である。
【図7】リウェットの結果のグラフを表す図である。
【図8】リウェットの結果のグラフを表す図である。
【図9A】本発明の部分的に高密度化された実施態様の遠近図を示す図である。
【図9B】本発明の部分的に高密度化された実施態様の遠近図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この明細書に引用される全ての特許、特許出願、及び文献は、参考として完全にここに取り込まれる。用語において矛盾ある場合は、ここでの開示が優先する。
【0021】
独立のウィッキング層を、使い捨て吸収性製品に取り込ませることによって、ウィッキングの高さ、液体の保持、及びリウェットが、製品の柔らかさを損なうことなく改良できることがここで発見された。このウィッキング層は、匹敵する全体の密度の単体または同質構造体において可能なものより、より大きな距離について液体を垂直に効率よく移動し、さらに隣接する液体貯蔵層内に液体を横方向に分配し、並びに製品の剛性について、製品を装着した際に柔らかさ、柔軟性、及び快適性を維持する。ウィッキング層は、吸収体コアの外側層とは物理的に独立しているが、隣接する貯蔵層とは未だ液体授受可能である。貯蔵層中の超吸収性材料の浸透圧(液体吸水力)は、より高い密度またはより小さい孔サイズのウィッキング層から、より低い密度の貯蔵層内に、縦方向に導かれた液体の有効な移動を生ずる推進力であることが仮説付けられている。典型的に、ポリ(アクリル酸)のナトリウム塩である超吸収性ポリマーは、非常にイオン性であり、その結果高い浸透圧を示す。この高い浸透圧の推進力は、液体がより小さい孔サイズの毛管の領域に維持される自然な傾向を解消する。
【0022】
本発明の一つの実施態様では、ユーカリによって代表される硬材パルプのような圧縮可能なウッドパルプ繊維から、または容易に圧縮可能であるように処理された軟材パルプから、ウィッキング層を構築することによって達成できる。硬材及び化学的に処理された軟材の繊維を含む繊維、並びに少量の合成繊維の混合物を使用しても良いことに注意すべきである。ウィッキング層は、約50から約99.9または100重量パーセントまでの圧縮可能なウッドパルプ繊維と、任意に約0.1から約50重量パーセントの合成繊維、より望ましくは約0.1から約20重量パーセント、好ましくは約0.1から約10重量パーセントの合成繊維を典型的に含む。ウィッキング層はまた、例えばラテックスバインダーのようなバインダーを含んでも良く、または結合が、例えば生体繊維のような一つ以上の少量の合成繊維で、または例えばポリエチレンパウダーのようなパウダーで、熱的に達成されても良い。
【0023】
別の実施態様として、各種の合成繊維で、ウィッキング層の木材繊維を置換することができる。望ましくはこれらは、約5ミクロンから約15ミクロンの直径と、約0.55mmから約2.5mmの長さを有する湿潤可能な繊維である。レーヨン(登録商標)、アクリル、ポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレンの繊維が適切であろう。界面活性剤処理は、繊維の湿潤特性を改良するであろう。
【0024】
本発明のさらなる実施態様では、ウィッキング層の上の製品の残りの層を形成する前に、より優れた垂直ウィッキングのために所望の程度にウィッキング層を高密度化し、それによって製品全体により達成されるウィッキング高さを増大する。ウィッキング層の測定された密度は、測定の間で適用される圧力に依存するであろう。高密度化の後、4g/cm2の適用圧の下でのウィッキング層の密度は、適切には約0.05g/ccから約0.4g/cc、より適切には0.06から0.3g/cc、さらにより適切には0.1から0.3g/ccまたは0.1から0.3g/ccの間の範囲である。とりわけ、ユーカリのような硬材パルプ繊維では、ウィッキング層の密度は、好ましくは約0.05から約0.2g/cc、とりわけ約0.15である。圧縮可能な軟材繊維では、密度は望ましくは、約0.20から約0.40であり、より好ましくは約0.25である。これらの密度範囲では、ウィッキング層は、制限された吸収能力を有する。さらに別の実施態様では、11g/cm2の適用圧の下でのウィッキング層の密度は、約0.08g/ccから約0.4g/cc、より望ましくは0.08から0.2g/ccの範囲である。
【0025】
本発明のまた別の実施態様では、ウィッキング層の高密度化は、形成または輸送生地と圧密ロールの間、またはパターン化圧密ロールとスムースロールの間、または二つのパターン化圧密ロールの間で実施され、繊維ウェブに高密度化領域と比較的高密度化されていない領域のパターンを型押しする。この実施態様では、非処理軟材繊維が使用できることが、驚くべきことに見出された。図2及び3は、ウェブ型押しウィッキング層の外観を示す。圧密化されているウィッキング層の部分は、たくさんの溝22として示されており、ウィッキング層の非圧密化部分は、24として示されている。ウェブ圧密化断片の密度は、約0.1g/ccから0.5g/ccの範囲である。
【0026】
これらの方法のほとんどは、湿層セルロースパルプシートで有効であるが、連続的なエアレイドウェブ形成方法が、本発明の全ての実施態様の実施に理想的には適している。湿層シート形成では、水中の繊維の非常に希釈されたスラリーが、迅速に移動するスクリーンに沈着される。エアレイドシート形成では、ここの繊維が気流中に分散され、移動スクリーンに乾燥して沈着される。エアレイド方法の各種の態様が、米国特許第5,068,079号、第5,269,049号、第5,693,162号、第5,922,163号、第6,007,653号、第5,927,051号、第5,956,926号、第5,966,905号、第5,921,064号、第5,987,851号、第6,009,689号、第6,067,775号、第5,885,516号、第5,028,224号、第5,227,107号、第5,316,601号、第4,908,175号、第4,927,582号、第5,429,788号、第5,445,777号、第5,558,832号において開示されており、それらの全てが、参考として完全にここに取り込まれる。
【0027】
本発明の好ましい実施態様では、吸収体コアは、連続的方法、好ましくはエアレイド方法での一連の単位操作で生産された単体吸収体コアである。
【0028】
ウィッキングは、高密度レーンをウェブ内に浮き出させることによって繊維状ウェブの機械的な方向に沿って改良できる。この方法は、ウェブに交差的な機械的密度勾配を与える。この方法は、ウェブ全体を高密度化する方法ほどウェブの剛性に負に影響するものではない。しかしながらこの方法はまた、この方法がウェブ全体を通じて浮き出させることを目的とする点で、ウェブの中空の体積を有意に減少する。
【0029】
本発明は、複数のヘッドとヘッド間の浮き出しを有するエアレイド方法を使用して、改良されたウィッキングを有する繊維状ウェブを生産することを目的とする。ウィッキングは、大量のウェブの中空の体積を犠牲にすることなく、本発明で改良できる。かくして、本発明を使用して、ウィッキングと液体分配が、液体獲得速度に大きな負の影響を与えることなく改良できる。
【0030】
本発明に係るウェブは、例えば二つの形成ヘッドを有するエアレイドラインを使用して製造できる。第一の形成ヘッドは、二層の単体吸収体コアの下部層を均一に形成するために使用できる。次に浮き出しロールは、エアレイドラインの形成ワイヤに対して下部の層を浮き出すために使用でき、かくして下部層内に高密度ウィッキングラインを配置する。次に第二の形成ヘッドは、二層の単体吸収体コアの上部層を均一に形成するために使用できる。最後に、ウェブ全体が、均一な厚さにカレンダにおいて高密度化できる。二層の単体吸収体コアを最終の均一な厚さに高密度化することは、下部層の高密度のウィッキングレーンの直接的な上部で、比較的低密度のチャンネルがコアの上部層に存在することを確保する。かくして、高密度ウィッキングレーンが、単体吸収体コアに配置できると同時に、中空の体積を保存して、比較的低密度のチャンネルを提供する。図9AおよびB参照。
【0031】
さらに、ウッドパルプ繊維は、加熱されても良い圧密ロールを使用して形成または輸送生地のパターンでウィッキング層を型押しすることによって、またはパターン化され、任意に加熱された圧密ロールでウィッキング層を浮き出すことによって処理できる。この処理は、ウェブ処理と称される。過熱化圧密ロールは典型的に、内部熱源と、別のスチールまたは硬いゴムのロールに対して圧密ロールに圧力を提供する水力手段を装備した、滑面化スチールドラムである。圧密ロールが、加圧下で圧密化されるウェブに移されるパターンで刻まれている場合、刻まれたロールは典型的に、浮き出しロールとして知られており、加熱されても良い。かくして、パルプのタイプ及び/またはウェブ処理の選択は、本発明の材料が、製品の快適性に対する剛性の制限による同質の(非層状の)構造において実践的ではない程度に、液体を垂直に物理的に移動させることを可能にする。本発明のさらなる特徴は、最終吸収性製品の柔らかさと、それ故快適性が、優れた垂直ウィッキングに対して必要とされる密度によって損なわれないことである。
【0032】
ここで図1を参照すると、エアレイド吸収性製品の断面図は、水分透過性トップシート10、獲得層11、貯蔵層12、ウィッキング層13、及び水分不透過性バックシート14で示される。トップシート10は液体透過性であり、柔軟で皮膚に対して非刺激性であるべきである。獲得層11、貯蔵層12、及びウィッキング層13は、吸収体コア15を形成する。吸収体コア15は、生理または尿のような体液を回収するために使用される。
【0033】
トップシート10は、使用された場合、着用者の皮膚に対して自由に動くことができ、柔らかい感触で、非刺激性である身体接触表面を提供する。さらにトップシート10は、液体が透過できるように十分に多孔性であり、液体はトップシートの厚みを通過して容易に浸透できる。適切なトップシート10は、多孔性フォーム、網目状フォーム、孔有プラスチックフィルム、天然繊維、例えばウッドまたはコットン繊維、合成繊維、例えばポリエステルまたはポリプロピレン繊維、あるいは天然繊維と合成繊維の組み合わせといった広範囲の材料から製造されても良い。トップシート10は、吸収性構造体において保持された液体から着用者の皮膚を隔離して機能するように典型的に使用される。
【0034】
トップシート10は、約10.0gsmから約100gsmの範囲の坪量、及び約0.05g/ccから約0.5g/ccの間の密度を有することができる。トップシート10は、選択された量の界面活性剤で処理することができ、または所望のレベルの湿潤性と親水性を与えるように加工することができる。界面活性剤を使用する場合、それは内部添加剤であることができ、またはスプレー処理、ブラシコーティング等のようないずれかの従来技術によって層に適用することができる。
【0035】
各種の織布及び不織布が、トップシート10として使用できる。例えばトップシートは、ポリオレフィン繊維のメルトブローまたはスパンボンドされたウェブからなっても良い。トップシートはまた、天然繊維及び/または合成繊維からなるボンドカードウェブであっても良い。
【0036】
吸収体コアは、各種の形状に製造されても良い。コア15は好ましくは皮膚に快適で非刺激性である。獲得層11は、トップシート10と貯蔵層12の間で配置される。獲得層11は、そこに沈着してきた、またはトップシート10を通過して移動してきた体液を正確に一時的に迅速に保持するように機能する。さらに獲得層11は、下部に存在する貯蔵層12にその体液を輸送するように機能する。かくして、獲得層11と貯蔵層12は、有効な液体授受可能である。獲得層11は、トップシート11を通じて体液を引き出すように十分な毛管吸水を有するが、獲得層11の下部に配置された貯蔵層12が、獲得層11を脱吸収することを困難にするような過度の液体維持は有さない。獲得層についての適切な材料は、架橋セルロース繊維、合成繊維、またはそれらの組み合わせを含んでも良い。獲得層の密度は、0.01から0.1g/ccの間である。
【0037】
貯蔵層12は、獲得層11を通過した体液を受け取って最終的に保持するように機能する。かくして、獲得層11と貯蔵層12は、有効な液体授受可能である。貯蔵層の密度は、0.05から0.25g/ccの間である。貯蔵層12についての適切な材料の例は、合成または化学的に処理されたセルロース性繊維及びウッドパルプ、並びに前述の材料を含む。ウィッキング層13は、貯蔵層12の下部で水分不透過性バックシート14の上部に配置される。ウィッキング層13は、貯蔵層の外に液体を引き出し、それを別のあまり飽和していない領域に運び、次いで貯蔵層12に液体の実質的な部分を戻すように機能する。かくして、貯蔵層12とウィッキング層13は、有効な液体授受可能である。
【0038】
本発明における使用に適した各種の獲得層と貯蔵層が開示されており、例えばPCT/US00/16001に対応する米国特許出願09/325,764の獲得層と貯蔵層が挙げられ、その両者が参考として完全にここに取り込まれる。獲得層と貯蔵層の構築、及び層の生成した特性と特徴において、各種の材料が、米国特許第5,147,343号、第5,378,528号、第5,795,439号、第5,807,916号、第5,849,211号、第2,929,154号、第3,224,986号、第3,332,909号、第4,076,673号において開示されており、これらの全てが参考として完全にここに取り込まれる。
【0039】
バックシート14は、液体に対して実質的に不透過性であり、薄いプラスチックフィルム、または他の柔軟な液体不透過性材料から典型的に製造される。この明細書で使用される用語、「柔軟な」は、柔軟で、着用者の身体の一般的な形状及び輪郭に容易に構造変化するであろう材料を指す。バックシート14は、吸収性構造体中に含まれた滲出液が、最終製品と接触するベッドシーツ及びオーバーコートのような製品に湿潤することを妨げる。バックシート14は、例えば約0.012mm(0.5mil)から0.051mm(2.0mil)の厚さを有するポリエチレンフィルムであっても良い。別法としてバックシートは、所望のレベルの液体不透過性を与えるように構築または処理されている織布または不織布の繊維状ウェブ層であっても良い。バックシート14の他の代替的な構築物は、織布または不織布と熱可塑性フィルムから形成されたラミネートを含む。
【0040】
バックシート14は、水蒸気が吸収性構造体から離散することを可能にする一方で、液体滲出物がバックシートを通過することを妨げる「呼吸性」材料から任意になっても良い。バックシートはまた、より美的に好ましい外観を提供するように、浮き出し及び/またはつや消し仕上げすることができる。
【0041】
本発明の好ましい実施態様では、ウィッキング層は、硬材繊維、例えばユーカリ、カバノキ、ポプラ、カエデ、コットンウッド、コガラ、オーク、ブナ、アメリカヤマナラシ及びシナノキを含み、好ましくは数種のユーカリの一つ以上を含む。本発明の別の実施態様では、ウィッキング層は、羽毛パルプ、硬材パルプまたは化学的に処理された軟材パルプのいずれかを含み、それは変性されていないパルプ繊維よりも本質的に圧縮可能であるように軟化または可塑化されている軟材パルプとして定義される。可塑化羽毛パルプウェブに適用された同圧は、非変性羽毛パルプウェブに適用された場合より高密度を生じるであろう。さらに、可塑化セルロース繊維の高密度化ウェブは、同じウッドタイプの非変性繊維の同じ密度のウェブより固有に柔軟である。軟材パルプは、繊維内会合を破壊する脱結合剤としてカチオン性界面活性剤を使用して、より圧縮可能にされても良い。脱結合剤の例は、米国特許第4,432,833号、第4,425,186号、第5,776,308号に開示されており、これらの全てが参考としてここに完全に取り込まれる。
【0042】
湿層シートを形成する前にパルプスラリーに加えることができるセルロースに対する可塑剤は、パルプを軟化するために使用することもできるが、それらは脱結合剤とは異なるメカニズムによって機能する。可塑剤は、セルロース分子で繊維内で機能し、非晶性領域を柔軟にまたは軟化する。生成した繊維は、リンプとして特徴とする。可塑化繊維は剛性を欠いているため、粉砕したパルプは、可塑剤で処理されていない繊維と比較して高密度化が容易である。
【0043】
可塑剤は、グリコールのような多価アルコール;低分子量ポリグリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリヒドロキシ化合物を含む。これら及び他の可塑剤は、米国特許第4,098,996号、第5,547,541号及び第4,731,269号に例示されており、これらの全てが参考としてここで完全に取り込まれる。アンモニア、ウレア、及びアルキルアミンもまた、主にセルロースを含む木材製品を可塑化することが周知である(A.J.Stamm, Forest Products Journal 5(6): 413, 1955、参考として完全にここに取り込まれる)。
【0044】
望ましくは、ウィッキング層のウィッキング高さと貯蔵層のウィッキング高さの比(均一な構築物)は、1.25以上であり、より適切には1.50以上であり、好ましくは1.75以上であり、より好ましくは2.0以上であり、さらにより好ましくは3.0以上である。
【0045】
吸収性構造体の下で硬材パルプウィッキング層を使用する予期せぬ利点は、リウェット能力の改良にある。リウェットまたはフローバックは、吸収性構造体に保持された間質性の液体であり、圧力の下でトップシートを通過して戻って放出されるであろう。下部のリウェットは、製品のユーザーに対してより快適な乾いた感じに関連する。ずっと重い液体貯蔵層の下部の繊維の薄層が、獲得層とトップシートを通過して出現する液体の量に影響できることは驚くべきことである。リウェット試験は飽和条件未満で実施されるため、低坪量のウィッキング層のより強い毛管吸水力は、部分的に飽和した隣接する液体貯蔵層においてより大きな毛管現象を引き出し、それによってリウェット試験の穏やかな圧力の下で構造体からの発現について利用可能な液体の体積を減少する。
【0046】
本発明の吸収体コアは望ましくは、約2.5g以下、より適切には約2.0g以下、好ましくは約1.5g以下、より好ましくは約1.0g以下、さらにより好ましくは約0.5g以下のリウェットを有する。
【実施例】
【0047】
ウィッキング実施例のための試験方法 特別な試験方法において記載されたものを除いて、全ての試験は、23℃(華氏73)で50%の相対湿度で実施されるべきであり、全てのサンプルは、この温度と湿度で試験の少なくとも2時間前に調製されるべきである。
【0048】
A.密度
密度(グラム/立方センチメートル−g/cc)は、以下の式を使用して所定の与えられた圧力の下で計算された坪量(グラム/平方メートル−gsm)及び厚さ(センチメートル−cm)から計算されて良い: 密度(g/cc)=坪量(g/m2)/[10,000cm2/m2×厚さ(cm)]坪量(BW)はグラム/平方メートルで表され、密度はグラム/立方メートルで表される。
【0049】
B.厚さ
厚さまたは厚量は、以下のように測定される:Waltham, MassのAMESに作製されたデジタルまたはアナログの厚さゲージを使用して、サンプルの異なる部分で少なくとも3の測定を実施する。測定値を平均化する。ゲージは4vmの直径の基部を有し、サンプルに適用される圧力は4g/cm2であるように、50グラムの重量を備える。厚さはインチで測定され、計算の必要のためセンチメートルに変換される。
【0050】
C.垂直ウィッキング
垂直ウィッキングは、吸収性製品またはコアを垂直につるし、0.9%の食塩水の浅い皿に浸すことによって測定される。塩水の水面を維持するために、皿は定常水面装置を備える。水面の上部への塩水の垂直な上昇を、30分後に測定する。サンプルを二重に測定し、結果を平均化する。垂直ウィッキングの単位は、ミリメーターである。
【0051】
本発明は、ダイヤパー及び他の同様な製品を製造し試験した一連の実験によって説明される。実験の変数は、製品全体の密度、ウィッキング層の密度、ウィッキング層に使用されるセルロース繊維のタイプ、及びウィッキング層における高密度化パターンの創案であった。獲得層と貯蔵層のような吸収性構造体全体における他のエレメントは、本発明の特定のウィッキング層の利点を説明する目的のため、一定に維持した。
【0052】
ウィッキング層、吸収体コア、及び獲得層を、7.6cm×22.9cm(3×9インチ)の4の試験サンプル、または7.6cm×25.4cm(3×10インチ)の3のサンプルをトリミングの後に生産するのに十分である、35.6cm(14インチ)のパッドを生産する、従来の研究室的なエア形成手すき装置で連続的に調製した。この研究室的な調製は、少なくとも3の形成ヘッドを有する従来のエアレイド装置に対する一回の通過において、連続的に生産できるタイプの製品を擬態した。吸収性製品全体を構成するいくつかの層は別個に形成し、ラミネーション法によって集合させて同等な製品を達成することができると解される。しかしながらそのような製品は、連続的なエアレイド方法における複層製品の調製で得られる特定の利点を欠く。第一の工程では、エアレイドラインの第一の形成ヘッドを擬態し、ウィッキング層をキャリアー組織に、または形成ワイヤに直接沈着する。もしウィッキング層がこの時点で高密度化されているのであれば、ヘッド間の圧密ロールの使用が擬態される。さもなければ、液体貯蔵層を第二の形成ヘッドによって積層し、その後第三の形成ヘッドによって獲得層を積層する。製品全体をラテックスバインダーでスプレー処理し、乾燥し、ウィッキング測定のため最終密度に加圧する。最終密度は0.1から0.3g/ccの間である。
【0053】
以下の実験では、獲得層は84gsmのけん縮ポリエステル短繊維(Hoechst-Trevira, Salisbury, NC社製のType T-224)を含み、それに対してラテックスバインダー(Air Products and Chemicals, Allentown PA社製のAirflex AF-181)を適用する。獲得層が形成されている吸収体コアは、全て161gsmのSouthern軟材クラフトセルロースフラフ(Buckeye Technologies Inc, Memphis, TN社製のFoleyフラフ)と、375gsmのStockhausen Inc, Greensboro, NCから入手可能な市販のアクリル酸ベースの超吸収剤(FAVOR SXM70)を含んだ。以下の作動実施例において使用されるウィッキング層は、少なくとも150gsmの標的坪量で調製された。圧縮可能なパルプND416は、Weyerhaeuser Corporation, Tocoma, EAから入手可能である。シート上の漂白したユーカリ繊維は、Sappi Saiccor, Johannerburg, South Africa及びAracruz Celulose (USA) Inc, Raleigh, NCから入手可能である。
【0054】
均一な構成では、貯蔵層は他の製品と同じであり、獲得層が存在するが、別個のウィッキング層は存在しない。第一の形成ヘッドと第二の形成ヘッドの間のウィッキング層の高密度化が研究室で擬態される場合(実施例1−3)、ウィッキング層は0.30g/ccに形成されて事前高密度化され、構造物の残りの部分はその上に形成されて、最終の全体の密度に圧縮される。以下のサンプルを調製し、垂直ウィッキングの結果が表1に示されている。
【0055】
表1の実施例1−3は、本発明のウィッキング層の垂直ウィッキング能力と、吸収性製品を表す液体貯蔵層と液体獲得層と組み合わせた本発明のウィッキング層の垂直ウィッキング能力を示す。本発明のウィッキング層を有さない製品の能力は、獲得層と液体貯蔵層のみを含む同一の構成によって与えられる。連続的な形成は、ヘッドの後にウェブ圧縮を有する3の形成ヘッドでのエアレイドラインで生産された種類の製品の擬態である。事前高密度化ウィッキング構造は、3の形成ヘッドと、ウィッキング層に他の層を形成する前にウィッキング層を0.3g/ccの密度にするための第一のヘッドと第二のヘッドの間の圧縮ロールを有するエアレイドラインを擬態する。表1の密度の値は、単一層、二重層、または三重層のいずれかである構成物全体についてのものである。
【0056】
【表1】

【0057】
表1の実施例は、与えられた層または構成について必須に同じ密度では、垂直ウィッキング高さは、以下の順序で繊維タイプに基づいて増大することを示す:Foleyフラフ<ND416<ユーカリ。実施例1−3では、貯蔵層のウィッキング高さ(同一の構成物)に対するウィッキング層のウィッキング高さの比は、それぞれ1.27、1.49、及び1.64である。
【0058】
製品を組み立てるための擬態化事前高密度化方法は、単純な連続的形成アプローチより高い垂直ウィッキング高さを生産し、そこではウィッキング層の密度は制御されないが、構造物の全体の密度を確立するために適用された圧縮によって決定される。最も低いウィッキング能力は、別個のウィッキング層を欠いた同等な構成物によって示された。
【0059】
表2(実施例4−15)は、垂直ウィッキング測定値に対するウィッキング層の密度の効果をさらに説明する。圧縮可能なフラフはそのままで作製され、実施例13−15では、繊維化の直前に4重量%のグリセリンでFoleyパルプシートをスプレー処理することによって作製された。研究室のエアレイド手すき装置をサンプル調製のため再び使用し、その後研究室のプレスで圧密した。
【0060】
【表2】

【0061】
表2は、非変性のFoleyフラフでさえ、高密度で高い垂直ウィッキング値を達成できることを示す。残念ながら、0.3g/ccの密度より大きいウィッキング層の剛性は、ヒトの身体に快適であることを企図した使い捨て製品には許容できないものである。これらの材料の剛性の順位は、Foleyフラフ>ND416〜パルプ/グリセリン>ユーカリである。
【0062】
Weyerhaeuser社から入手可能な圧縮可能なパルプND416を使用する、高密度化したウィッキング層のパターン処理の影響が表3に示されている。エアレイドパイロットラインで、150gsmのウェブを、18gsmのキャリアー組織で形成し、90℃に加熱したスムース圧密ロールを使用して0.3g/ccの初期密度に圧密にかけた。移動生地の編み込みを、セルロースウェブ内に型押しした。このウェブを、375gsmの超吸収剤を含む研究室で作製された800gsmのダイヤパー製品においてウィッキング層として使用した(実施例16)。実施例17では、同じ型押しウィッキング層を、0.25インチの断片に切断し、同じダイヤパー構成物内で貯蔵層の0.25インチ離れた下部に配置した。実施例18では、同じ型押しウィッキング層を、0.5インチの断片に切断し、貯蔵層の0.5インチ離れた下部に配置した。実施例19では、150gsmのウィッキング層を研究室で作製し、0.375インチの幅の溝で0.25インチの深さで0.25インチの間隔を有する溝化プレートを装備した研究室のプレスにおいて、0.3の見かけの密度にパイロットプレートから移動生地の断片に対してプレスした(図2及び3参照)。サンプルとプレートを150℃にオーブンで事前加熱した。ウィッキング層は、前述のような800gsmのダイヤパー製品に含まれた。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例16−19は、層の間の界面領域が、全体の液体獲得のために重要であることを示す。実施例16における平面のウィッキング層は、10インチのサンプルの全体の長さを運んだ。6.4mm(0.25インチ)及び13mm(0.5インチ)のウィッキング断片を有する実施例17及び18は、実施例16のウィッキング層と貯蔵層の間で一定の領域の半分を有する。この断片単独では、200mmを超えて塩水の水面を上昇したが、貯蔵層における低い垂直高さと低いグラム数の維持された塩水によって明らかなように、貯蔵層にこの液体は十分には移動しなかった。高密度化レーンの間に中間的な密度の領域を有する実施例19は、148mmのかなりの高さに貯蔵層内に液体を効率的に移動させた。実施例17−19では、貯蔵層のウィッキング高さに対するウィッキング層のウィッキング高さの比は、それぞれ1.58、2.19及び1.51である。
【0065】
実施例20では、研究室で調製されたスムースなウィッキング層を各種の密度の垂直ウィッキング測定値にプレスした場合、ウィッキング層におけるパターンの型押しの効果は非常に明らかである。図4における3点を結んだ直線を外挿すると、約0.5g/ccの密度は30分で300mmのウィッキング高さに到達する必要があることが示される。実施例16のダイヤパーの構成で使用されたパイロットラインで生産されたウィッキング層は、0.25g/ccの密度で単独で試験された場合300mmに運んだ。この垂直ウィッキング高さは、生地のパターンの高密度化領域において、密度は見かけ上0.5g/cc以上であることを示唆する。型押しされたウェブは、驚くべきことに柔らかく快適であった。
【0066】
特定の密度で作製されたサンプルについての製品開発物を迅速に試験することは重要である一方、実践的な意味では、長い貯蔵の後、特に吸収性製品がある期間身体に着用された後、材料は所望の特性を発揮しなければならない。吸収性製品の使用の間、必要とされる密度はもはや存在しないように、着用者の動きは注意深く操作された構造を破壊する傾向を有するであろう。実施例21では、5.1cm×46cm(2インチ×18インチ)の実施例16の生地型押し型150gsmウィッキング層の断片を、手による破砕の繰り返しにかけ、このように扱われていない同じウェブの断片と共に、見かけの密度とウィッキング能力をチェックする。時間に対するウィッキング高さの結果が、表4に示されている。
【0067】
【表4】

【0068】
表4は、「柔軟化された」型押し型圧縮可能なパルプウィッキング層でさえ、0.9%のNaClを30分で210mmの高さに上昇させるように機能することを明らかに示す。見かけの密度がわずか0.12g/ccであり、機械的作用から極端に柔軟であるにも関わらず、こうすることができた。
【0069】
これらは、本発明に従って形成された製品の代表物であるが、本発明が、水性物質の吸収のための他の用具においても取り込ませることができることは、当業者に明らかであろう。
【0070】
リウェット実施例のための試験方法 特別な試験方法において記載されたものを除いて、全ての試験は、23℃(華氏73)で50%の相対湿度で実施されるべきである。全てのサンプルは、この温度と湿度で試験の少なくとも2時間前に調製されるべきである。
【0071】
A.坪量
坪量は、ユニット当たりのサンプルの重量であり、グラム/平方メートル(g/m2またはgsm)で表される。
【0072】
B.厚さ
厚さはアナログ厚さゲージ(B.C. Ames Co., Waltham, MA)を使用して測定される。ゲージは4.1cmの直径の基部を有し、サンプルに適用される圧力が11.4g/cm2であるように150gsmの重量を備える。厚さはインチで測定され、計算の必要のためセンチメートルに変換される。
【0073】
C.密度
密度は、以下の式を使用して所定の与えられた圧力の下で坪量及び厚さから計算できる: 密度(g/cc)=坪量(g/m2)/[10,000cm2/m2×厚さ(cm)]密度はグラム/立方メートルで表される。
【0074】
D.合成月経液
この実験で使用される合成月経液は、以下の成分を示された量で含む:・脱イオン水 903.3g・塩化ナトリウム 9.0g・ポリビニルピロリドン 122.0g・Biebrich Scarlet 4.0g 全体溶液体積 1リットル
【0075】
Biebrich Scarlet(赤色色素)は、Sigma Chemical Co., St. Louis, MOから得ることができる。ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量は約55,000)は、Aldrich, Milwaukee, WIから得ることができる。塩化ナトリウム(ACSグレード)は、J.T. Baker, Phillipsburg, NJから得ることができる。乾燥成分を、少なくとも2時間水中に混合し、完全な溶解を得る。溶液の温度は正確に22℃に調製する。16ミリリットルの溶液をBrookfield Model DV-II+粘度計(Brookfield Engineering Laboratories, Inc., Stoughton, MA)のULアダプターチェンバー内にピペットで加える。ULスピンドルをチェンバー内に配置し、粘度計の速度を30rpmにセットする。目標粘度は9から10センチポアズの間である。粘度はさらなる水またはPVPで調節できる。
【0076】
E.組み合わせた獲得、リウェット、着色サイズの試験装置:
・電子天秤(±0.01gの精度)
・液体取り込みテスター(FIT, Buckeye "BU144-97"デザイン)
・グレードS22ブロッターペーパー、10.16cm×24.13cm(4インチ×9.5インチ)
・重量、8408.5g、10.16cm×24.13cm(4インチ×9.5インチ)
・ラテックスフォーム、10.16cm×24.13cm×3.81cm(4インチ×9.5インチ×1.5インチ)
・ミリメータースケールの定規・合成月経液トップシートはスパンボンデッドのポリプロピレン、22gsm、25.4cm×10.16cm(10インチ×4インチ)
【0077】
ラテックスフォームは、Scott Fabrics, Memphis, TNから得ることができる。ブロッターペーパーは、Buckeye Technologies, Memphis, TNから得ることができる。トップシート材料は、Avgol Nonwoven Industries, Holon, Israelから得ることができる。Buckeyeデザインの液体取り込みテスター(FIT)は、チッププレートとボトムプレートからなる。トッププレートは、ポリカーボナートプラスチックの29.7cm×19.0cm×1.3cmのプレートである。そのプレートは、中央に孔が切り出されており、中空の取り込みシリンダーが孔に搭載されている。取り込みシリンダーの内部直径は2.5cmであり、トッププレート全体の重さは872グラムである。FITのボトムプレートは、必須にポリカーボナートプラスチックの29.7cm×19.0cm×1.3cmの一体化したプレートである。
【0078】
サンプルを、機械の方向においてより長い寸法を有するように7cm×20cmに切断する。サンプルの重量と厚さを測定して記録する。「X」の印を、マーキングするペンでサンプルの上部の中央に配置する。サンプルを、FITボトムプレートの中央に配置する。トップシートをサンプルの中央に配置し、FITトッププレートをトップシートの上部に配置する。取り込みシリンダーがサンプルにマークされた「X」の中央に配置されるように、トッププレートをサンプルの中央に配置する。10mlの試験液体を取り込みシリンダー内に注ぎ、サンプルが液体を獲得するために要した時間の量を測定して記録する。秒単位で記録されるこの時間は、サンプルについての獲得時間である。獲得時間の最後と同時に、20秒間の待機期間が開始する。待機期間の最後で、サンプルのトップとボトムの両者での長さ(機械の方向)で染色サイズを測定して記録する。染色サイズはミリメーター(mm)で記録される。染色サイズがプラスチックを通じて観察できるように、ポリカーボナートプラスチックは透明である。ボトムプレートが表面にくるようにFITに対して一時的に迅速に逆さまにすることによって、ボトムの染色を測定できる。トップFITプレートを除去し、サンプルのトップシートに8のS22ブロッターペーパーの事前に計量したスタックを配置することによって、リウェットを測定する。フォームをペーパーに配置し、重しを2分間フォームのトップに配置する(重し、フォーム及びペーパーは、サンプルに対して3.4kPa(0.5)psiの圧力を構成する)。グラム(g)単位で報告されるリウェットは、ペーパーのスタックの最終重量からペーパーのスタックの初期重量を差し引くことによって計算される。この組み合わせ試験は、通常三重で実施され、その結果が平均化される。
【0079】
実施例AからH:湿潤性の測定のための研究室システム 本発明は、吸収性構造体を構築して試験する一連の実験を実施することによって、ここで説明される。実験の変数は、構造体のウィッキング層で使用されるセルロース性繊維のタイプ、ウィッキング層の坪量、及びウィッキング層に対するウェブ処理の使用である。全体の密度、全体の坪量、獲得層の組成、及び貯蔵層の組成といった、吸収性構造体全体の他のエレメントは、本発明の特定のウィッキング層の利点を説明する目的のため、一定に維持される。ここで使用される用語、「ユニコア」は、連続的な形成機械で製造可能な複層吸収性構造体を意味する。とりわけ、本発明のユニコア構造体は、液体獲得、貯蔵、及び分配(ウィッキング)のための別個の層を有し、それらの層は接触して層の間で液体の輸送を可能にする。そのようなユニコア構造体はまた、ここに調製された層の材料から組み立てることもできる。
【0080】
実施例AからHでは、トップ獲得層は35gsmのポリエステル短繊維(15dpf×6mm、グレード376X2, Wellman, Inc., Johnsonville, SC)を含み、それがラテックスバインダー(Airflex 192, Air Products and Chemicals, Allentown, PA)に適用される。ミドル層は、90gsmのHPF繊維(BuckeyeTechnologies,Memphis, TNから入手可能なマーセル加工化Southern軟材繊維)及び約9gsmの二成分バインダー繊維(グレードAL-Adhesion-C, 1.7dtex×6mm, Fiber Visions, Covington, GA)を含む。これらの二つの層は、エアレイドパイロット機械で別個に製造された。最小の圧密を、これらの二つの層の構築において使用した。これらの実施例では、構築物は全て同じトップ及びミドル層を含んだ。
【0081】
実施例AからHのボトムウィッキング層は、研究室用エアレイド手すき装置を使用して作製された。ウィッキング層については、3種の効果を調べた。第一の効果は、ウィッキング層に使用されるセルロース性繊維のタイプである。ウィッキング層の半分は、Weyerhaeuser Co., Tacoma WAから入手可能なグレードND-416で作製された。ウィッキング層の残りの半分は、Aracruz Celulose (USA), Raleigh, NCから入手可能な漂白クラフトユーカリ繊維で作製された。ウィッキング層は、約10重量%の二成分バインダー繊維を含んだ。第二の効果は、ウィッキング層の坪量であり、50または70gsmのセルロースのいずれかで固定化された。第三の効果は、ウェブ処理の仕様であった;サンプルの半分はウェブ処理を受けた。ウェブ処理は、ウィッキング層の事前高密度化に関与し、そこでウィッキング層は、手すき装置で形成されて、研究室用のプレスで高密度化された。形成ワイヤ生地の断片を、プレスのボトム圧盤に配置し、ウィッキング層に高密度化領域と比較的高密度化されていない領域を型押しした。ウェブ処理を受けるウィッキング層(実施例EからH)については、平均して全体に約0.06から0.07g/ccの見かけの密度で事前高密度化し、形成ワイヤ生地によって型押しされたパターンにおける密度は、0.10g/ccよりずっと高いようであった。
【0082】
ユニコア構造体を、研究室において手で組み立てた。これらの実施例における構造体は、全て0.09g/ccの全体の見かけの密度に高密度化された。これらの構造体は、同一のトップ層とミドル層を含んだ。ウィッキング層に焦点を当てると、3の効果の全ての考え得る組み合わせを使用して8の構造体を作製した。表5は、実施例AからHの8の構造体についての試験データを示す。図5は、これらの実施例についてのリウェットデータのグラフである。実施例AからHは、ユーカリ及びND-416の4のヘッドからヘッドの圧密に分割できる。これらの圧密は、図5における棒グラフについて使用される異なる生地によって示される。各圧密において、ユーカリ繊維は、ND-416と比較して低いリウェットを提供する。図5に示されたデータの統計学的な分析は、この研究室の実験の効果の全てが、有意にリウェットに影響することを示す。効果の相対的な強さの順位は、ウェブ処理(有が無より優れる)<坪量(高が低より優れる)<<繊維の選択(ユーカリがND-416よりずっと優れる)である。
【0083】
【表5】

【0084】
実施例IからK;リウェット測定のためのエアレイドパイロットサンプル 実施例IからKは、同一のトップ層とミドル層を有する。トップ層は、35gsmのWellman PETと、結合のための約6gsmのAirflex 192ラテックスを含む。ミドル層は、70gsmのHPF繊維、56gsmのFavor 1180超吸収性パウダー(Stockhausen, Inc., Greensboro, NC)及び約9.5gsmのFiberVisions二成分繊維、AL-Adhesion-C, 1.7dtex×4mmを含む。ボトム層は、70gsmのセルロース性繊維、及び約5.3gsmの同じFiberVisions二成分繊維を含む。実施例IからKは、0.6メーターの幅の三ヘッドパイロットラインで単体構造体として作製される。実施例Iは、ND-416繊維で作製され、約2.5gsmのAirflex 192ラテックスが、散粉を制御するためにウェブのワイヤ側に適用された。実施例Jは、ユーカリ繊維がND-416繊維に置換され、組織キャリアー(18gsm, Cellu Tissue Co., East Hartford, CT)がワイヤ側ラテックスに置換されることを除き、実施例Iと同一で作製された。実施例Kは、ウェブ処理がユーカリ(ボトム)層について使用されることを除き、実施例Jと同一に作製された。
【0085】
表6は、実施例IからKの3種のサンプルについての試験データーを示す。実施例Iと実施例J、Kの間で坪量が異なることに注意すべきである。これはキャリアー組織に寄与することができ、サンプルに対する能力の利点には必須に影響しない。図6は、実施例IからKについてのリウェットの結果を示す。研究室の実験を確認して、パイロットサンプルは、ユーカリとウェブ処理の両者が、リウェットの改良に役立つことを示す。
【0086】
【表6】

【0087】
実施例LからW:硬材パルプの測量 これらの実験では、実験的変数は、構造体のウィッキング層において使用される硬材繊維のタイプ、及びウィッキング層の坪量である。ウィッキング層における軟材繊維ND-416を使用する実施例は、圧密目的のため含まれる。全体の密度、全体の坪量、獲得層の組成、及び貯蔵層の組成といった、吸収性構造体全体の他のエレメントは、本発明のウィッキング層の利点を説明する目的のため一定に保持される。
【0088】
実施例LからWでは、トップ獲得層は、35gsmのポリエステル短繊維(15dpf×6mm、グレード376×2, Wellman, Inc., Johnsonville, SC)及び約6gsmのラテックスバインダー(Airflex 192, Air Products and Chemicals, Allentown, PA)を含む。ミドル層は、60gsmのHPF繊維(Buckeye Technologies, Mamphis, TNから入手可能なマーセル加工化Southern軟材繊維)及び約7gsmの二成分バインダー繊維(グレードAL-Adhesion-C, 1.7dtex×4mm, FiberVisions, Covington, GA)を含む。これらの二つの層は、エアレイドパイロット機械で別個に作製された。最小の圧密を、これらの二つの層の構築において使用した。これらの実施例では、構造物は全て同じトップ層とミドル層を含んだ。
【0089】
実施例LからWのボトムウィッキング層は、研究室のエアレイド手すき装置を使用して作製された。これらの実施例については、二つの効果を調べた。第一の効果は、ウィッキング層において使用されるセルロース性繊維のタイプであった。5の硬材と1の軟材の6のセルロース性繊維を使用した。
【0090】
硬材
・Aracruz Celulose (USA), Raleigh, NCから得た漂白クラフトユーカリパルプ (Aracruz)
・Kalbin Bacell, Camacari, Brazilから得た溶解ユーカリパルプ (Solucell)・Riocell, Gusiba, Brazilから得た漂白クラフトユーカリパルプ (Primacell)
・Kaukas Mill, UPM-Kymmene, Finlandから得た漂白クラフトシラカバパルプ (Birch)
・Sappi Saiccor, Johannesburg, South Africaから得た溶解ユーカリパルプ (Saiccor)
【0091】
軟材
・Weyerhaeuser Co., Tacoma, WAから得た漂白Southern軟材クラフトパルプ、グレードND-416 (ND-416)
【0092】
ウィッキング層は、約10重量%の二成分バインダー繊維を含んだ(グレードAL-Adhesion-C, 1.7dtex×4mm, FiberVisions, Covington, GA)。調べられる第二の効果は、ウィッキング層の坪量であり、それは50または80gsmのセルロース性繊維のいずれかに固定された。ユニコア構造物は、研究室で組み立てられた。実施例LからWにおける構造物は、0.085g/ccの全体の見かけの密度目標に高密度化された。12の構造物を作製した(2種類の坪量で6のパルプ)。4/4/00開示において詳細に記載した方法を使用して、試験を三重で実施した。
【0093】
表7は、実施例LからWについての試験データを示す。図7は、これらの実施例についてのリウェットデータのグラフである。50gsmと80gsmの両者の坪量についてのリウェットの結果が、図7にプロットされている。各坪量では、硬材パルプは一般的に、軟材パルプと比較して低いリウェットを提供する。
【0094】
図8は、これらの実施例についてのボトム染色サイズのプロットである。データにおいてはいくつかのばらつきが存在するが、各坪量で、軟材パルプについてのボトム染色サイズは一般的に、硬材パルプについてのボトム染色サイズより短い。硬材パルプは、排泄部位から離れて液体を運ぶのにより成功している。
【0095】
リウェットとボトム染色サイズの間の関係を考慮すると、改良されたウィッキング(より大きいボトム染色サイズ)は、構造物の比較的飽和した部分(排泄部位)から、構造物の比較的飽和していない部分(排泄部位から離れている)へ液体を逃がすように移動させることによって、増大した液体の保持(リウェットによって測定される)を引き起こすと仮説付けられる。かくして、格別なウィッキングを有する構造物は、排泄部位から離れて液体を事実上吸水できるであろう。そのような構造物は、「高吸水」コアと記載することができよう。
【0096】
【表7】

【符号の説明】
【0097】
10:水分透過性トップシート
11:獲得層
12:貯蔵層
13:ウィッキング層
14:水分不透過性バックシート
15:吸収体コア
22:圧密化部分
24:非圧密化部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)獲得層;
(2)獲得層の下部に配置されて液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)圧縮可能な硬材パルプを含み、約0.05から約0.4g/ccの密度を有する、貯蔵層の下部に配置されて液体授受可能であるウィッキング層であって、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層;
を含む、吸収体コア。
【請求項2】
ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が3.0以上である、請求項1記載の吸収体コア。
【請求項3】
前記圧縮可能な硬材パルプが、ユーカリ、カバノキ、ポプラ、カエデ、コットンウッド、コガラ、オーク、ブナ、アメリカヤマナラシ、シナノキ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2記載の吸収体コア。
【請求項4】
前記圧縮可能な硬材パルプがユーカリである、請求項3記載の吸収体コア。
【請求項5】
前記ウィッキング層が軟材繊維をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項記載の吸収体コア。
【請求項6】
前記ウィッキング層が圧縮パターンで型押しされている、請求項1から5のいずれか一項記載の吸収体コア。
【請求項7】
前記コアが約3.0g以下のリウェット値を有する、請求項1から6のいずれか一項記載の吸収体コア。
【請求項8】
前記コアが約2.0g以下のリウェット値を有する、請求項7記載の吸収体コア。
【請求項9】
前記コアが約1.0g以下のリウェット値を有する、請求項8記載の吸収体コア。
【請求項10】
前記ウィッキング層が、0.1から0.3g/ccの間の密度を有する、請求項1から9のいずれか一項記載の吸収体コア。
【請求項11】
前記吸収体コアが、連続的な工程で一連の単位操作で生産された単体吸収体コアである、請求項1から10のいずれか一項記載の吸収体コア。
【請求項12】
(A)液体透過性トップシート;
(B)液体不透過性バックシート;並びに(C)トップシートとバックシートの間に配置された吸収体コア;
を含む吸収性製品であって、吸収体コアが(1)トップシートの下部に配置されて液体授受可能である獲得層;
(2)獲得層の下部に配置され液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)圧縮可能な硬材パルプを含み、約0.05から約0.4g/ccの密度を有する、貯蔵層の下部に配置されて液体授受可能であるウィッキング層であって、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層;
を含む。吸収性製品。
【請求項13】
幼児用おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用ブリーフ、女性用衛生パッド、外科手術用ドレープ、及び傷用包帯からなる群から選択される、請求項12記載の製品。
【請求項14】
(A)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(B)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮する工程;
(C)ウィッキング層と有効な液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;並びに(D)貯蔵層と液体授受可能である獲得層を形成する工程;
を含み、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層を含む、吸収体コアの製造方法。
【請求項15】
ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が3.0以上である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記圧縮可能な硬材パルプが、ユーカリ、カバノキ、ポプラ、カエデ、コットンウッド、コガラ、オーク、ブナ、アメリカヤマナラシ、シナノキ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
前記圧縮可能な硬材パルプがユーカリである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ウィッキング層が軟材繊維をさらに含む、請求項14から17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記軟材繊維が化学的に処理されている、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記コアが約3.0g以下のリウェット値を有する、請求項14から19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記コアが約2.0g以下のリウェット値を有する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記コアが約1.0g以下のリウェット値を有する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記吸収体コアが、連続的な工程で一連の単位操作で生産された単体吸収体コアである、請求項14から22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記工程がエアレイド工程である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記ウィッキング層が圧縮パターンで型押しされている、請求項14から24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
請求項14から25のいずれか一項記載の方法によって作製された吸収体コア。
【請求項27】
(A)液体不透過性バックシートを提供する工程;
(B)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(C)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮する工程;
(D)ウィッキング層と液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;及び(E)貯蔵層と液体授受可能である獲得層を形成する工程;並びに(F)獲得層と液体授受可能である液体透過性トップシートを提供する工程:を含み、ウィッキング層の垂直ウィッキング高さと貯蔵層の垂直ウィッキング高さの比が1.25以上であるウィッキング層を含む、吸収性製品の製造方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法によって製造された吸収性製品。
【請求項29】
(1)獲得層;
(2)獲得層の下部に配置されて液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)圧縮可能な硬材パルプを含む、貯蔵層の下部に配置されて液体授受可能であるウィッキング層;
を含む、吸収体コア。
【請求項30】
ウィッキング層が、約50から約99.9重量パーセントの硬材繊維と、約0.1から約50重量パーセントの合成繊維を含み、貯蔵層が、合成繊維、化学的に処理されたセルロース性繊維、ウッドパルプ、超吸収性材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含み、0.05から0.25g/ccの間の密度を有し、並びに獲得層が、架橋セルロース繊維、合成繊維、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含み、0.04から0.1g/ccの間の密度を有する、請求項29記載の吸収体コア。
【請求項31】
(A)圧縮可能な硬材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(B)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮する工程;
(C)ウィッキング層と液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;並びに(D)貯蔵層と液体授受可能である獲得層を形成する工程;
を含む、吸収体コアの製造方法。
【請求項32】
前記吸収体コアが、連続的な工程で一連の単位操作で生産された単体吸収体コアである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記工程がエアレイド工程である、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記ウィッキング層が圧縮パターンで型押しされている、請求項31記載の方法。
【請求項35】
(1)獲得層;
(2)獲得層の下部に配置されて液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層;並びに(3)貯蔵層の下部に配置されて液体授受可能であり、高密度化領域と比較的高密度化されていない領域のパターンが存在する圧縮可能なウッドパルプを含むウェブ型押しウィッキング層;
を含む吸収体コア。
【請求項36】
ウィッキング層が、約50から約99.9重量パーセントのウッドパルプと、約0.1から約50重量パーセントの合成繊維を含み、貯蔵層が、合成繊維、化学的に処理されたセルロース性繊維、ウッドパルプ、超吸収性材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含み、0.05から0.25g/ccの間の密度を有し、並びに獲得層が、架橋セルロース繊維、合成繊維、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含み、0.04から0.1g/ccの間の密度を有する、請求項31記載の吸収体コア。
【請求項37】
(A)圧縮可能な木材繊維を含むウィッキング層を形成する工程;
(B)0.05から0.4g/ccの間の密度にウィッキング層を圧縮する工程であって、前記圧縮は、形成または輸送生地と圧密ロールの間で実施され、高密度化領域と比較的高密度化されていない領域を有するウェブ型押しウィッキング層を形成する工程;
(C)ウィッキング層と液体授受可能である、吸収能力を有する貯蔵層を形成する工程;
(D)貯蔵層と液体授受可能である獲得層を形成する工程;
を含む、吸収体コアの製造方法。
【請求項38】
前記吸収体コアが、連続的な工程で一連の単位操作で生産された単体吸収体コアである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記工程がエアレイド工程である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記圧縮が、パターン化圧密ロールとスムースロールの間で実施される、請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記圧縮が、二つのパターン化圧密ロールの間で実施される、請求項37記載の方法。
【請求項42】
請求項31または37記載の方法によって製造された吸収体コア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2013−46817(P2013−46817A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242612(P2012−242612)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2001−555621(P2001−555621)の分割
【原出願日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願人】(500562215)ビーケイアイ・ホールディング・コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】