改良マネキンシステム
【課題】ヒトの運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステムを提供する。
【解決手段】吸収性物品を含む衣類の性能試験のための運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステム。システムは、組み立てたフレームワーク及び組立フレームワーク内に固定されたマネキンを含むことができる。マネキンの運動は、空気圧シリンダ及びモータ駆動アセンブリの統合システムによって発生される。マネキンは、強化エラストマー複合材料で製造することができる。
【解決手段】吸収性物品を含む衣類の性能試験のための運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステム。システムは、組み立てたフレームワーク及び組立フレームワーク内に固定されたマネキンを含むことができる。マネキンの運動は、空気圧シリンダ及びモータ駆動アセンブリの統合システムによって発生される。マネキンは、強化エラストマー複合材料で製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本特許出願は、2004年5月18日出願の「物品を評価するための改良マネキン」という名称の米国特許仮出願出願番号第60/572,372号の出願日に基づく優先権を主張するものである。
本発明は、ヒトの運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品、特に使い捨て吸収性物品は、これらが初めて市販されてから進化してきた。新しい技術によって利用可能になった材料及び特徴は、吸収性物品の機能及びフィット性を改善させた。新しい設計及び特徴が商品に対して利用可能になる前に、その製品が期待通りに機能することになることを保証するために、十分な研究及び開発の努力が必要である。開発努力には、一般的に、強度、可撓性、又は通気性のような特徴及び性能を測定する「ベンチトップ」実験室試験が含まれる。ベンチトップ試験は、信頼できて有用であるが、吸収性物品の通常の使用中に受ける条件を説明することはできない。望ましくは、吸収性物品は、消費者による使用を通じて試験され、彼らは、後でフィードバックを提供する。
【0003】
消費者使用試験は、その結果は極めて有用であるが、それには欠点がある。例えば、消費者使用試験は、高価で時間がかかる。更に、消費者フィードバックは、主観的であり、変動の程度が高いことがある。ベンチトップ試験法と消費者使用試験の間のギャップを埋めるために、実物そっくりのモデルによる製品試験を使用して吸収性物品の設計及び性能を試験することができる。マネキン又はロボットのような実物そっくりのモデルは、消費者試験に要する時間及び発生するコストなしに、より実際的な条件の下で吸収性物品を試験するのに使用することができる。
【0004】
この10年間にロボットの技術の躍進があった。殆どのロボットは、組立工程で用いるために何度も機械的機能を繰り返すように設計される。技術の発展は、部分的にはコンピュータ制御及び優秀な材料の進歩に起因している。アンドロイドは、ロボット工学の特殊セグメントである。アンドロイドは、擬人化ロボットであり、すなわち、ヒトのように見え又はヒトのように動くロボットである。以下に説明するのは、擬人化ロボットの分野の顕著で公知の努力の例である。(1)ASIMO(革新的モビリティの高度な段階)は、日本の東京所在の本田技研工業によって開発された歩くアンドロイドである。本田は、100MMドルを越える費用をASIMOの開発に使ったと報告している。本田は、助けが必要なヒトのヘルパーとして行動するようにASIMOを開発している。(2)「衝突試験ダミー」は、衝突における車の安全性を測定するために自動車業界の使用のために50年間を超えて開発中である。ジェネラル・モーターズ・カンパニーによって開発された「ハイブリッドIII」は、衝突試験の業界標準を表すものである。(3)ADAM(高度自動車用マネキン)は、世界最先端の熱的快適性マネキンになると考えられる。ADAMは、発汗及び呼吸のようなヒトの反応を模倣するために「米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所(NREL)」によって開発されている。ADAMは、自動車に見られる一時的で不均一な熱的環境に対するヒトの生理的かつ心理的な反応を測定、予測、及び確認することになる。マネキン試験に対する多くの産業用途が益々特定されているが、依然としてマネキンに基づく試験法の開発及び実施に関連したコストが存在する。より実物そっくりのマネキンシステム、特に吸収性物品の設計及び性能を評価するためのマネキンシステムの必要性が依然として存在する。
【0005】
マネキンシステムは、吸収性物品の試験のために特別に開発されてきた。吸収性物品は、乳児用おむつ、おむつパンツ、幼児用トレーニングパンツ、女性用ケア物品、並びに成人用失禁パッド及びブリーフのような使い捨て吸収性物品を含むことができる。例えば、フランスのドゥエ所在のコートレー・コンサルティングは、乳児用おむつの尿漏れを測定するための静的ベビーマネキンのシステムを販売している。このようなシステムは、性能試験を実施するのに有用であるが、これらには一部の制限がある。例えば、既存のマネキンシステムは、ヒトの皮膚及び組織適合性に必ずしも合っておらず、システムは、あまり耐久性がなく、実物そっくりの動きをもたらさず、また、非常に高価である。
【0006】
【特許文献1】米国特許仮出願出願番号第60/572,372号
【非特許文献1】ヘイズ、WC、キール、LM、ヘルマン、G、及びモックロス、LF.著の論文「関節軟骨の圧入試験のための数学的解析」、Journal of Biomechanics、1972、5:541−551
【発明の開示】
【0007】
本発明は、ヒトの運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステムに関する。このマネキンシステムは、衣類の着用特性及び性能を試験するために用いることができる。マネキンシステムは、組み立てたフレームワークを含む。組立フレームワークの重量を軽減するために、組立フレームワークは、アルミニウムで構成して陽極酸化処理することができる。マネキンシステムはまた、組立フレームワーク内に固定されたマネキンを含む。マネキンは、人体の全体又は一部分を表すように成形することができる。マネキンシステムが吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ)の着用性及び性能を試験するために用いられる場合、マネキンは、小さな子供の下部胴体及び脚を表すように成形することができる。マネキンは、強化エラストマー複合材料で形成することができる。強化エラストマー複合材料は、ニットナイロンで強化されたシリコーン材料を含むことができる。強化エラストマー複合材料は、マネキンの耐久性、特に反復運動を受けるマネキンの「関節」での引き裂き抵抗を増大する。マネキンシステムはまた、マネキンの運動を調整及び制御するプログラマブル論理制御装置を含む。マネキンの運動は、一組の空気圧シリンダとモータ駆動アセンブリとの統合作用によってもたらされる。
【0008】
別の態様では、本発明は、衣類の着用性及び性能を評価するための評価システムに関する。評価システムは、少なくとも2つのマネキンシステムを制御するパーソナルコンピュータ及びコンピュータインタフェース基板を含む。各マネキンシステムは、組立フレームワーク及び組立フレームワーク内に固定されたマネキンを含む。マネキンの形状は、評価される衣類の種類に基づいて選択することができる。マネキンは、強化エラストマー複合材料で形成することができる。各マネキンシステムはまた、プログラマブル論理制御装置を含む。プログラマブル論理制御装置は、マネキンの運動を調整して制御する。マネキンの運動は、マネキンシステムの一部でもある一組の空気圧シリンダとモータ駆動アセンブリとの組合せによって提供される。
【0009】
本発明のこれらの態様及び付加的な態様は、本明細書でより詳細に説明されることになる。更に、上述の一般的説明及び以下の詳細説明の両方は例示的であり、特許請求する本発明の更なる説明を提供する意図であることは理解されるものとする。本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明のマネキンシステム及び評価システムを示して更なる理解を提供するために含まれている。図面は、説明と共に本発明の様々な態様を説明する役目を果たすものである。
本発明の以下の詳細説明及び同じ数字が同じ要素を表す添付図面を参照すると、本発明が更に完全に理解され、更なる利点が明らかになるであろう。図面は、単に代表的なものであり、特許請求の範囲を限定しないものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の本開示は、その様々な構成要素、要素、構造、構成、配置、及び他の特徴によって以下に表され、これらはまた、本発明の用語「態様」又は他の同様の用語によって個々に又は集合的に言及することができる。開示される本発明の様々な形態は、その様々な特徴及び態様の1つ又はそれよりも多くを組み込むことができ、かつこのような特徴及び態様は、そのあらゆる望ましく作動的な組合せで用いることができるように考えられている。
【0011】
また、本発明の開示に用いられる時に用語「comprises」、「comprising」、及び基本用語「comprise」からの他の派生語は、あらゆる説明された特徴、要素、完全体、段階、又は構成要素の存在を指定する非制限的用語であるものとし、1つ又はそれよりも多くの他の特徴、要素、完全体、段階、構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除しないものとすることにも注意すべきである。
本発明は、被験者の軟組織特性、特に乳児及び幼児の軟組織特性をより良く模擬することができる衣類試験のためのマネキンシステムの提供に関連した問題を解決することに関する。更に、本発明のマネキンシステムは、現在利用可能なマネキンよりもあまりコストがかからず、より耐久性があり、実物そっくりの動きをより良く模擬するものである。
【0012】
本発明のマネキンシステムの説明
本発明の改良マネキンシステム100の例を図1に代表的に示す。図1のマネキンシステム100は、人体の運動及び機能をより良く模擬するためのコンピュータ制御による低コスト機械設計である。マネキンシステムは、組立フレームワーク300に取り付けられて支持された人体の下部胴体を表すマネキン200を含む。マネキン200は、代表的な吸収性物品250を着用しているように示されている。組立フレームワーク300は、マネキン200にヒトのような動きをもたらすように空気及び電気構成要素を含む。空気圧シリンダ及び電気モータの使用により、組立フレームワーク300は、マネキン200が調節可能な速度での歩行運動及び這う運動を行うように準備し、並びにマネキン200が横たわる運動及び起き上がる運動を完了するように準備する。組立フレームワーク300は、構成要素区域450の上にある作業面又は作業台400に取り付けられる。作業面400は、マネキン200の各脚に対して1つの2つのスロット410を含む。作業面400はまた、一端上にソフトパッド150を含み、ソフトパッド150は、乳児/幼児が腹這い(寝かせた)姿勢中に横になると考えられるようなマットレスを表す/模擬する。
【0013】
マネキン200が静止した状態であっても運動中であっても、組立フレームワーク300は、マネキン200を所定の位置に保持し、それは、マネキン200のヒトのような運動を容易にする。組立フレームワーク300は、重くなくて陽極酸化処理することができるようにアルミニウムで構成することができる。組立フレームワーク300に適切な構成要素は、米国インディアナ州コロンビア・シティ所在の80/20インコーポレーテッドから購入することができる。組立フレームワーク300は、安定性のために作業面400及び構成要素区域450に固定される。組立フレームワーク300は、この組立フレームワーク300の上部部分が組立フレームワーク300の下部部分に対してピボット回転することを可能にする2つのヒンジピン310を含む。マネキンは、図2に示すように上向きシャフト510により及び2つの脚ソケット520により組立フレームワークに固定される。各脚ソケット520は、マネキン脚接続部525にピボット的に取り付けられる。各マネキン脚接続部525は、作業面400のスロット410の下に位置決めされたレールに沿って移動する直線スライドに取り付けられる(直線スライド及びレールは、図では目に見えない)。スロット410の下に位置決めされたレールは、マネキン200の脚の運動のための軌道として機能する。直線スライドは、一方の直線スライドが前方に移動している時に他方の直線スライドが後方に移動するように互いに反対に設定される。
【0014】
マネキン200は、いくつかの空気圧シリンダの協調作動によって動く。図に描かれたマネキンシステム100は、4つの空気圧シリンダを含み、そのうちの3つは目に見えている。マネキン200にそれが歩行運動を行っている時の「フィット性」を与えるために、上向きシャフト510を上及び下に移動させる空気圧シリンダがある。この空気圧シリンダは、図1及び図2に見ることができる上向きシャフト510の部分の上に位置決めされる。更に、上向きシャフト510は、位置決めピンによってカラー内に固定され、カラー及び位置決めピンは、マネキン200を左右に捩ることを防止する。カラー及び位置決めピンは、図1及び図2では見えていない。図1及び図2に描かれたマネキンシステム100はまた、側面空気圧シリンダ530及び2つの側面支持空気圧シリンダ540を含む。側面空気圧シリンダ530は、マネキン200を座っている姿勢から横たわる(又は腹這い)姿勢、及び横たわる姿勢から座っている姿勢にする。側面空気圧シリンダ530はまた、マネキン200を立っている姿勢から這う姿勢、及び這う姿勢から立っている姿勢にする。側面支持空気圧シリンダ540は、マネキン200を横たわる姿勢から立っている姿勢へ、及び立っている姿勢から横たわる姿勢にする。2つの側面支持空気圧シリンダ540を有することにより、組立フレームワーク300及びマネキン200の重量の支持が助けられる。適切な空気圧シリンダは、米国イリノイ州モニー所在のビンバ・マニファクチャリング・カンパニーから入手可能な複作動式空気圧シリンダを含む。
【0015】
構成要素区域450は、マネキン200の動きに動力を与えて制御する様々な要素を含むことができる。図1は、構成要素区域450内のモータ駆動アセンブリ600、プログラマブル論理制御装置700、4つの空気電磁弁810を含むマニホルド800、空気圧調節器820、及びコンピュータインタフェース基板900の位置を代表的に示している。スロット410の下のレール上に設けられた直線スライドは、インタフェース部分545に接続され、例示的インタフェース部分545が図1に示されている。インタフェース部分545は、モータ駆動アセンブリ600によって駆動される直線クランクアーム550にベアリングによって取り付けられる。モータ駆動アセンブリ600は、マネキン200を歩行させて這わせるために用いられる。モータ駆動アセンブリ600は、モータの速度及び方向を制御する0−90VDC直角歯車モータ及び関連モータ駆動装置を含む。適切なモータの例は、米国アーカンソー州フォートスミス所在のボルドー・エレクトリック・カンパニーから入手可能なカタログ番号SP7401を有する1/8HP、22.5.1ギヤ比、及び78RPM@60lbs./in.の−90VDC直角歯車駆動装置である。適切なモータ駆動コントローラは、米国カルフォルニア州グレンデール所在のミナリク・コーポレーションから入手可能な「ミナリク・コーポレーション型番XPO2−115AC−Q」である。
【0016】
空気圧シリンダ530及び540は、空気電磁弁810によって作動される。適切な空気電磁弁810は、米国ミシガン州カラマズー所在のハンフリー・プロダクツ・カンパニーから入手可能であり、型番M41E1を有し、24VDC作動コイルを有する。空気電磁弁810は、個々の空気電磁弁810のための付属品を有する必要がないマニホルド800内に設置することができる。空気電磁弁810の各々のための付属品は、マニホルド800から出て、4つのそれぞれの空気シリンダに接続される。空気電磁弁810は、機械的な結果をもたらすためにプログラマブル論理制御装置700から24VDCの固定電圧を受け取るように構成される。空気電磁弁は、空気圧調節器820と関連している。
【0017】
マネキンシステム100はまた、意図するようにマネキン200を機能させるロジック及びインターロック相を制御する電子プログラマブル論理制御装置(PLC)700を含む。PLC700は、空気電磁弁810に固定24VDC電圧信号を送ることにより、空気圧シリンダ530及び540の作用を調整して制御する。マネキン200は、歩行、這うこと、起き上がること、座ること、及び横たわることなどの論理機能を行うことができる。論理機能は、「オン」の状態又は「オフ」の状態のバイナリ状機能である。適切なPLC700の例は、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のロックウェル・オートメーションから入手可能な型番1761−L32BWAを有する「アラン・ブラッドレー(ロックウェル・オートメーション所有)マイクロロジックス1000」シリーズプログラマブル論理制御装置である。PLC700は、マネキンシステム100によって運動を実施することができるか又はされることになる前に「指令」が整列する(例えば、マネキン200が腹這い姿勢にあると、動的機能は作動されないことになる)ことを保証するためのツールとしてPLC700を用いることを可能にするそれ自体の「梯子形論理」ソフトウエアを含む。更に、マネキンシステム100は、低圧電源を含むことができる。マネキンシステム100は、一般的に共通の120VAC及び24VDCから作動する。低圧電源は、120VACを24VDCに変換して空気電磁弁810のような論理項目を作動させる。適切な低圧電源の例は、米国イリノイ州ローズモント所在のEGS・エレクトリカル・グループのソラ/ヘビ−デューティから入手可能な24VDC@12.0ampを有する型番SLS−24−120Tである。
【0018】
PLC700は、それ自体でマネキンシステム100を作動させるように用いることができるが、マネキンシステム100のための望ましい指令をコンピュータによってPLC700に入力し、千差万別の運動ルーチンのプログラミングを可能にすることができる。パーソナルコンピュータは、マネキンシステム100が5分間歩行に続いて5分間這う等の連続機能を実行することを可能にする。マネキン制御を容易にするために、信号は、アナログ形式からデジタルコンピュータ形式に変換すべきである。信号を変換するために、コンピュータインタフェース基板920を含めることができる。コンピュータインタフェース基板920の例は、米国テキサス州オースチン所在のナショナル・インスツルメンツ・コーポレーションから入手可能な型番PCI−6036Eである。このようなコンピュータインタフェース基板920は、デスクトップパーソナルコンピュータの拡張スロット内にインストールすることができる。1つのパーソナルコンピュータは、4つまでのマネキンシステム100を一度に実行するのに用いることができる。マネキンシステム100は、望ましい運動ルーチンを確立するために用いることができて望ましい一連の運動をPLC700に通信するソフトウエアを含む。マネキンシステム100を作動するための例示的ソフトウエアは、「MICROSOFT VISUAL BASIC 6」ソフトウエア開発環境(米国ワシントン州レドモンド所在のマイクロソフト・コーポレーションから入手可能)内で開発することができる。また、「MEASUREMENT STUDIO」開発ソフトウエアとして公知のナショナル・インスツルメンツ・コーポレーション(米国テキサス州オースチン)から入手可能な支援ソフトウエアのような支援ソフトウエアもあるであろう。本発明の1つの態様では、PLC700からの高電圧信号をコンピュータインタフェースによって使用される共通5ボルト信号に変換するために、マネキンインタフェースカードを用いることができる。マネキン200の動きをモニタして制御することができるように、マネキンシステム100に信号を送ってこのマネキンシステム100から信号を受け取るようにソフトウエアを構成することができる。従って、ソフトウエアは、ディスプレイがオペレータにマネキン200の現在の状態(例えば、横たわっている、立っている、座っている、這っている、及び歩いている等)を知らせることを可能にする。ソフトウエアはまた、マネキン200の手足が動くことになる望ましい実際の速度(例えば、1分間当たりの歩数)をディスプレイに提供する。「MEASUREMENT STUDIO」開発ソフトウエアを使用して、ソフトウエアシステムのユーザインタフェースのためのノブ、スライドコントロール、及び表示灯を生成することができる。この支援ソフトウエアはまた、例えば、同じくナショナル・インスツルメンツ・コーポレーションから入手可能なデータ取得カード型番PCI−6036Eのようなデータ取得カードと共に高レベルインタフェースを提供する。
【0019】
図3は、這う姿勢のマネキン200を代表的に示している。図4は、腹這いで寝かされた姿勢で組立フレームワーク300によって支持されたマネキン200を示している。図5は、起き上がった姿勢のマネキン200を代表的に示している。図6は、じっと立った姿勢のマネキン200を代表的に示している。
生まれた時から、人間は、動いたり移動する姿勢が多い動的な生き物である。これらの動きは、我々の身体に付加されて着用される物品に影響を与える。吸収性物品、特に使い捨て吸収性物品に対しては、体外排泄物の適度な閉じ込め及び制御には、身体運動が使用中にこのような物品のフィット性、一体性、及び姿勢に影響を与える方法の理解が必要である。本発明の改良マネキンシステム100は、吸収性物品が使用中に受ける力学の制御されたシミュレーションを可能にする。更に、試験されている物品内への流体の供給を模擬するために、ポンプシステムをマネキンシステム100と統合することができる。試験されている吸収性物品の周囲の連続モニタは、温度、相対湿度、及び圧力を測定するためにセンサを統合することによって達成することができる。着用中及び漏れが起こる時の製品内部の流体の動き又は流れをモニタするために、他のセンサシステムを用いることができる。マネキンシステム100を使用して、フィット性の変化又は使用中の材料応力及び/又は破損に対して吸収性物品を評価することができる。製品の使用後分析は、ファスナ、ガスケット、又は吸収性物品の吸収性コアのような様々な構成要素の構造に対して行うことができると考えられる変化を特定することができる。複数のマネキンシステム100を統合して単一のパーソナルコンピュータから実行し(連続して)、より大きなサンプルサイズのより効率的な試験を可能にすることができる。様々なサイズの吸収性物品の評価を可能にするために、ある一定範囲の身体測定サイズのマネキン200を組立フレームワーク300上で相互に交換することができる。
【0020】
本発明の別の態様では、マネキン200は、引き裂き抵抗を有する強化エラストマー複合材料で構成することができる。多くの現在利用可能なマネキンは、シリコーンの様々な処方で構成されるように設計されている。シリコーンは、ヒト組織と同様の特性を提供することができ、容易に型の中に流し込むことができる。しかし、シリコーンは、引き裂きに対してあまり抵抗性がない。ヒトの子供の動きを現実的に模倣するために、マネキン200は、ヒトの子供がすると考えられる同じ運動を行うことができる。マネキン200が反復運動ルーチンを受けると、その動きによりマネキン200材料、特にマネキン200の「関節」で反復伸縮が起こる。反復伸縮は、結果的にマネキン200を形成するために用いた材料の引き裂きを生じる。本発明のマネキン200は、同じく引き裂きに対する高い抵抗性を有する軟組織から作ることができる。引き裂きに対する高い抵抗性は、強化又は複合構造体を用いることによって達成される。複合構造体は、軟組織を補強材料上に成形する段階と、軟組織を補強材料上に押し出す段階又は軟組織と補強材料を互いの間に挟む段階と、いずれかの伸縮性材料を用いて互いにそれらを結合する段階とを含む様々な方法で達成することができる。強化エラストマー複合材料で形成されたマネキン200は、引き裂きに対してより抵抗性があり、一般的により耐久性がある。マネキン200のシリコン基材は、女性用靴下を形成するために用いられるニットナイロン材料のようなニットナイロン材料で強化することができる。ニットナイロン材料は、伸縮性があり、従って、シリコーンの延伸を制限しないだけでなく、引き裂きに対しても抵抗性がある。
【0021】
軟組織特性の測定
既に本明細書で説明したように、マネキンの恩典の1つは、これらが乳児及び幼児のための使い捨ておむつのような吸収性物品を含む衣類に対して完成させることができる研究のペースを加速させることである。マネキンが被験者に緊密に似れば似るほど、マネキンに対する吸収性物品の性能は、物品が被験者に対して機能すると考えられる方法に関してより類似する。乳児及び幼児のための使い捨ておむつを製造する会社により、研究におけるかなりの投資が為されている。従って、マネキンシステムの1つの有利な用途は、使い捨ておむつの試験用及び評価用である。マネキンに対する試験おむつの性能をヒトの子供に対する同じ試験おむつの性能に比較することになる方法を知るためには、乳児軟組織の機械的反応を知る必要がある。機械的反応は、使い捨ておむつの着用者の脚を囲む脚弾性の力のような既知の力に応答して皮膚及び下にある軟組織がどの程度までくぼむことになるかを知ることを含む。乳児の軟組織特性は、特に使い捨ておむつによって覆われた身体の全体にわたって良く理解されていない。実際に、乳児に使用中の使い捨ておむつのコンピュータシミュレーションは、文献で報告された成人軟組織特性範囲に基づいている。成人軟組織特性範囲の殆どは、使い捨ておむつと接触することになる身体区域の外側の成人組織区域に基づいて得られたものである。従って、小さな子供の軟組織特性を知ることは、それらをマネキン、特に強化エラストマー複合材料で形成されたマネキンの「組織」特性と比較することができるためには望ましいことである。
【0022】
圧入装置(圧入器)は、子供のおむつ区域内の軟組織の圧縮特性を測定するために開発及び使用されている。一般的に、圧入器は、それらを皮膚に対して垂直に位置決めすることによって機能する。特定の力(すなわち、変位)が皮膚に対して装置を押すと、対応する変形(すなわち、力)が記録される。多くの場合に、組織厚みに関する超音波情報と共に、得られたデータは、組織のヤング率を測定するために用いられ、次に有限要素モデルのための入力として用いられる。このデータの変換は、剛性半空間(骨のような)に結合された材料の薄く弾性の均一な層(軟組織の単純表現)の圧入に対する数学的な解を提供するヘイズの方程式を用いることによって行われることが最も多い。ヘイズの方程式は、成人ヒトの軟組織特性を評価するために用いられている。子供の軟組織特性を測定するための圧入器は、組織圧入から得られた反作用を測定する速度制御圧入及びロードセルを用いる。逆に、それは、軟組織の荷重を制御し、得られた圧入深さを測定することができる。圧入器は、可搬式圧入器装置並びにハードウエア及び支援電子機器を収納するキャビネットの2つの部分を含む。圧入器の可搬部分の寸法は、全長5.40cm、全体外径6.65cm、及び全重量1.11kgの通りとすることができる。計器の可搬部分の内部には、移動ベッドアセンブリを移動させるモータ駆動ダブテールスライドアセンブリがある。1kgロードセル及び変位電位差計に接続した約7.94mm外径の平面圧入器プローブが、封入容器から延びて引っ込む。計器の可搬部分は、圧入器が電力供給される12VDC充電式バッテリ電源を含む支援電子計器及び関連ハードウエアを収納するキャビネットにケーブル接続されている。最後に、計器は、作動及びデータ収集のためにコンピュータにインタフェースで接続されている。
【0023】
上述のように、超音波測定は、ヤング率を計算するために必要な組織厚みデータを得るように行われる。これらの測定のための満足できる超音波機器の例は、7MHz−12MHz内で作動する線形変換器を備えたフィリップス・メディカル・システムズによって製造された「HDI 5000」である。圧入器及び超音波測定結果を用いて、ヘイズの方程式によって機械的特性を計算することができる。軟組織特性は、個体間及び同じ個体の身体部位の間でも異なる。例えば、臀部及び大腿部内側の軟組織は、腰部及び大腿部の前部の軟組織よりも軟らかく/剛性が低い。子供の圧入器測定結果は、コンピュータシミュレーションで乳児の特性を示すために用いることができる。圧入器測定結果はまた、マネキンを形成するために用いた強化エラストマー複合材料に基づいて行われた圧入器測定結果と比較するために用いることができる。このような比較は、強化エラストマー複合材料で形成されたマネキンの圧縮特性が実際の子供に対して如何に代表的であるかを示すことになる。
【0024】
上述の圧入装置は、乳児の変位圧縮性応答に対する力を測定するために用いられた。測定結果は、臀部(「部位1」)、大腿部の前部(「部位2」)、内側大腿部(「部位4」)、及び腰部(「部位6」)を含む多数の部位で得られた。更に、超音波測定は、その部位の軟組織の厚みを測定するために各身体位置で行われた。このデータから、ヘイズの方程式を用いて各部位で各子供に対して有効ヤング率が計算された。圧入荷重変形データからヤング率を計算するための特定の方程式は、以下の通りである。
【0025】
【0026】
ここで、
E=ヤング率、
υ=ポアソン比、
a=圧入器プローブの半径、
κ=常数、
h=組織厚み、
P=荷重、及び
w=圧入深さ、
である。この方程式を解くために、所定の圧入深さwでの圧入器曲線の勾配をP/w変数としてこの方程式に入れる。次に、圧入器プローブの半径が測定され、3.97mmとして方程式に入力される。次に、常数κは、ヘイズ、WC、キール、LM、ヘルマン、G、及びモックロス、LF.著の論文「関節軟骨の圧入試験のための数学的解析」、Journal of Biomechanics、1972、5:541−551から得られる。この論文において、ヘイズは、ポアソン比、圧入器半径、及び組織厚みの関数として変化する一連のκ値を定めている。ポアソン比は、この研究では測定することができず、従って、ヒトの軟組織が多くの場合に殆ど非圧縮性として特徴付けられるので、0.49であると仮定されている。同じくκを定めるのに必要であった組織厚みhは、超音波試験から得られた。超音波は、最初は特に組織厚みを測定するために設計されたものではなかったが、この目的に用いて成功している。臨床的には、機器のソフトウエアは、超音波画像上のいずれの2点間の距離も計算するためのアルゴリズムを含んでいる。この研究では、認定超音波検査士が、皮膚の表面と、組織厚みを計算するために超音波プローブと一線に並んだ皮膚に最も近い骨の表面とを選択した。上述のように、ヘイズの方程式は、軟組織が弾性かつ均一であると仮定している。軟組織は、実際には、粘弾性の不均一材料として挙動するが、この方程式は、依然として、ヒトにおける軟組織特性の特徴付け及びモデリングに対する現在の標準であり、その理由でこの解析に用いられた。これは、ヒト軟組織をモデル化する際に、特に、製品性能が主に問題になる時のヒトと製品の間の相互作用をモデル化する時に頻繁に行われる簡略化である。
【0027】
各身体部位に対して本研究によって得られた50%有効ヤング率値及び95%信頼区間を以下の表1及び図7に示す。有効係数値は、0、2、4、6、及び8ミリメートル(mm)の圧入深さで計算された。これらの結果は、19−24月齢の子供12人を代表している。
【0028】
(表1)
【0029】
これは、数が増加する時に身体組織が剛性になることを示している(例えば、筋肉の収縮)。身体部位が最初に圧入されると、そこにはより脂肪の多い表面の組織があり、更に身体部位が圧入されると、より剛性である筋肉に近づく。図7では、グラフは、各部位での50%有効ヤング率を示している。部位1は臀部であり、部位2は大腿部の前部であり、部位4は内側大腿部であり、部位6は腰部である。臀部及び内側大腿部は、大腿部の前部及び腰部よりも常に小さな剛性である。また、全ての位置で、圧入が深くなればなるほど組織はより剛性になる。
【0030】
1人の子供の有効ヤング率は、次に有限要素シミュレーション内に入力され、共に以前のおむつ−乳児シミュレーションに使用されてきた成人並びに剛性発泡材料を表す軟組織特性と比較された。シミュレーションは、吸収性パッドを圧縮する2つの大腿部から構成された(図8)。図8(左)は、2つの大腿部(白色)及び吸収性パッド(青色)のシミュレーション初期設定を示している。図は、大腿部の横断面図であり、吸収性パッドの縦方向/横方向を示している。図8(右)は、シミュレーションが完了する時点の大腿部及び製品変形の拡大図である。この図は、乳児の軟組織特性の結果を示している。全ての構成要素の幾何学形状及び吸収性パッドの材料特性は、シミュレーション全体にわたって変化しなかった。大腿部の軟組織特性のみが変更された(表2)。吸収性パッドは、成人又は発泡体大腿部で接触された時に変形するよりも、幼児大腿部で接触された時にあまり変形しないことをシミュレーションの結果は示している(図9)。図9は、軟組織特性を変えることに起因する圧縮パッド幅変化を示す図である。大腿部変位は、模擬した運動、この場合は脚を閉じる運動である。大腿部と製品の間で受けた接触力は、他の場合よりも乳児軟組織特性のシミュレーションにおいて有意に低いことも見出された(図10)。図10は、軟組織特性を変えることに起因する吸収性パッドと大腿部の間の接触力変化を示すグラフである。接触力は、吸収性パッドと大腿部の間の力である。軟組織の大腿部では、組織は、より力を消散させることができ、従って、乳児軟組織データの接触力曲線は、剛性発泡体又は成人組織よりも遥かに低い勾配を有する。「剛性発泡体」又は「成人」組織特性が乳児軟組織を表すように選択され、そのデータが吸収性物品の「快適性」を予測するシミュレーションのために用いられる場合、結果は、物品が実際に恐らくそうであると考えられるよりも、幼児に対してあまり快適でないということを意味するであろう。「普通の」マネキン(軟らかい強化エラストマー複合材料で構成されていない)に対して接触圧を測定する場合、結果に対して同じ影響が生じると考えられる。最後に、変形した製品内部の応力の存在は、他のモデル内よりも幼児軟組織特性のモデル内で有意に低い(図11)。これらの結果は、乳児とおむつ又はおむつ構成要素との間の相互作用を模擬する時に、乳児軟組織特性を正確に指定する必要性を強調している。
【0031】
(表2)
【0032】
別の研究において、望ましくは乳児/幼児の軟組織特性を表すマネキンを形成するために用いることができると考えられる異なる材料に対して圧入器及び超音波測定が行われた。可能なマネキン材料のヤング率値の範囲は、22KPaから121KPaであった。6つの異なるマネキン材料のヤング率値を図12に示す。図12のグラフはまた、ヒトの幼児に関して行われた圧入器/超音波測定結果に基づく幼児軟組織のヤング率値の範囲を示している。マネキン材料の3つは、ヒトの幼児の値の範囲内にあった。マネキンサンプルとヒト幼児軟組織とのヤング率値の間の相関関係は、3つのマネキン材料が、幼児軟組織よりも剛性であることを示している(図12)。図12に表したサンプルの1つではないが、使い捨ておむつのような衣類の試験用マネキン200を構成するのに用いることができると考えられる強化エラストマー複合材料に対してヤング率値が判断された。強化エラストマー複合材料のヤング率は、約5−10kPaであり、強化エラストマー複合材料は、ニットナイロン材料で強化されたシリコーン基材を含んでいた。このヤング率の範囲は、乳児軟組織に対するヤング率の範囲内である。
【0033】
衣類性能を測定するためのマネキンシステムの使用の例
本発明のマネキンシステム100を使用して製品性能を測定することができる方法を例示的に明らかにするために以下の評価が実施された。3つの市販されている種類の使い捨ておむつにマネキン運動の同じルーチンを受けさせて、次に、マネキン上の元の位置からの変化が各使い捨ておむつに対して測定された。マネキン200は、より滑らかでヒトの皮膚により典型的である表面をそれに与えるために、ナイロン/スパンデックできつく覆われた。試験された各使い捨ておむつに対して、マネキン200は立っている姿勢で始めた。使い捨ておむつは、運動ルーチンを始める前に食塩液140ミリリットル(ml)で充填された。マネキン運動ルーチンは、5秒間の歩行、這う姿勢をとるために腰を曲げる運動、5秒間の這う運動、及び立っている姿勢に戻る運動から構成された。この運動ルーチンは、マネキン200が立っている姿勢に戻る前に15回反復された。最後に、おむつの前部腰部(「前部ドループ」)、おむつの背部腰部(「背部ドループ」)、腰部におけるおむつの側部(「側部ドループ」)、機械的ファスナを含む耳部分(おむつの長さ方向の圧縮)(「耳MD」)、及びおむつの股のたるみ部(「股のたるみ」)における使い捨ておむつの変位が測定された。「入れ子にした」耳部分を含む「HUGGIES Supreme」おむつ(米国ウィスコンシン州ニーナー所在のキンバリー−クラーク・コーポレーションから入手可能)(ステップサイズ4)に対する測定結果を以下の表3に示す。
【0034】
(表3)
【0035】
より幅の広い(すなわち、より大きい)耳部分を含む「HUGGIES Supreme」おむつ(米国ウィスコンシン州ニーナー所在のキンバリー−クラーク・コーポレーションから入手可能)(ステップサイズ4)に対する測定結果を以下の表4に示す。
【0036】
(表4)
【0037】
「PAMPERS」おむつ(米国オハイオ州シンシナティ所在のプロクター・アンド・ギャンブル・カンパニーから入手可能)(ステップサイズ4)に対する測定結果を以下の表5に示す。
【0038】
(表5)
【0039】
図13は、変位が測定された様々な位置での3つの使い捨ておむつ製品の相対変位を比較するものである。結果は、この特定のマネキン運動ルーチンに関しては、着用中に最も低い変位を有した使い捨ておむつ製品は、より幅の広い耳部分を有する「HUGGIES Supreme」おむつであったことを示している。
本発明のマネキンシステムをその特定的な態様に関連して詳細に説明したが、以上の理解に達すると、当業者が、これらのシステムに対する変更、その変形、及びそれに対する均等物を容易に想起することができることが認められるであろう。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物の範囲として判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】マネキンシステムが、ヒトの乳児又は幼児の下部胴体を表すように成形されたマネキンを含み、マネキンが、試験される代表的な衣類(例えば、使い捨ておむつ)を着用して示されている本発明の例示的マネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図2】図においてマネキン及び衣類の背面が目に見え、マネキンの足が歩行姿勢にある図1のマネキンシステムの別の斜視図を代表的に示す図である。
【図3】マネキンが這う姿勢にある図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図4】マネキンが腹這いの寝かせた姿勢にある図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図5】マネキンが座っている姿勢にある図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図6】図2と同様であるがここではマネキンが歩行する姿勢ではない図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図7】「身体部位1」が臀部、「身体部位2」が大腿部の前部、「身体部位4」が内側大腿部、及び「身体部位6」が腰部である、使い捨ておむつのような吸収性物品によって覆われると考えられる身体の区域における4つの異なる身体部位に対する圧入深さ(ミリメートル単位)に対するヤング率(キロパスカル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図8】シミュレーションの左側が初期設定を示し(2つの円は大腿部を表し、中央の矩形区域は吸収性パッドを表す)、シミュレーションの右側が、シミュレーションが完了した状態の大腿部の拡大図及び吸収性パッドの変形を示す、幼児軟組織特性のコンピュータシミュレーションを代表的に示す図である。
【図9】グラフが軟組織特性の違いに起因する圧縮吸収性パッド幅の変動を示し、大腿部変位が模擬され、この場合には脚を一緒にする運動が模擬された、大腿部変位(ミリメートル単位)に対する吸収性パッド幅(ミリメートル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図10】グラフが軟組織特性の違いに起因する吸収性パッドと大腿部の間の接触力の変動を示し、大腿部変位が模擬され、この場合には脚を一緒にする運動が模擬された、大腿部変位(ミリメートル単位)に対する接触力(ニュートン単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図11】グラフが軟組織特性の違いに起因する吸収性パッドと大腿部の間の最大応力特性を示し、大腿部変位が模擬され、この場合には脚を一緒にする運動が模擬された、大腿部変位(ミリメートル単位)に対する「ミーゼス応力」(キロパスカル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図12】ヤング率値が一部は圧入測定結果に基づき、各マネキン材料に対して圧入測定が3つの異なる圧入装置で行われ、2本の水平線が1人のヒトの子供に対して行われた圧入測定に基づくヤング率値の範囲を表す、マネキンを形成するのに用いることができると考えられる異なる種類の材料に対するヤング率(キロパスカル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図13】図1に示すマネキンシステムのような本発明のマネキンシステムを用いて物品が一連の反復運動を受けた後の物品の異なる位置で測定された3つの異なる使い捨て吸収性物品の変位(ミリメートル単位での「差」)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【符号の説明】
【0041】
100 改良マネキンシステム
200 マネキン
300 組立フレームワーク
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本特許出願は、2004年5月18日出願の「物品を評価するための改良マネキン」という名称の米国特許仮出願出願番号第60/572,372号の出願日に基づく優先権を主張するものである。
本発明は、ヒトの運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品、特に使い捨て吸収性物品は、これらが初めて市販されてから進化してきた。新しい技術によって利用可能になった材料及び特徴は、吸収性物品の機能及びフィット性を改善させた。新しい設計及び特徴が商品に対して利用可能になる前に、その製品が期待通りに機能することになることを保証するために、十分な研究及び開発の努力が必要である。開発努力には、一般的に、強度、可撓性、又は通気性のような特徴及び性能を測定する「ベンチトップ」実験室試験が含まれる。ベンチトップ試験は、信頼できて有用であるが、吸収性物品の通常の使用中に受ける条件を説明することはできない。望ましくは、吸収性物品は、消費者による使用を通じて試験され、彼らは、後でフィードバックを提供する。
【0003】
消費者使用試験は、その結果は極めて有用であるが、それには欠点がある。例えば、消費者使用試験は、高価で時間がかかる。更に、消費者フィードバックは、主観的であり、変動の程度が高いことがある。ベンチトップ試験法と消費者使用試験の間のギャップを埋めるために、実物そっくりのモデルによる製品試験を使用して吸収性物品の設計及び性能を試験することができる。マネキン又はロボットのような実物そっくりのモデルは、消費者試験に要する時間及び発生するコストなしに、より実際的な条件の下で吸収性物品を試験するのに使用することができる。
【0004】
この10年間にロボットの技術の躍進があった。殆どのロボットは、組立工程で用いるために何度も機械的機能を繰り返すように設計される。技術の発展は、部分的にはコンピュータ制御及び優秀な材料の進歩に起因している。アンドロイドは、ロボット工学の特殊セグメントである。アンドロイドは、擬人化ロボットであり、すなわち、ヒトのように見え又はヒトのように動くロボットである。以下に説明するのは、擬人化ロボットの分野の顕著で公知の努力の例である。(1)ASIMO(革新的モビリティの高度な段階)は、日本の東京所在の本田技研工業によって開発された歩くアンドロイドである。本田は、100MMドルを越える費用をASIMOの開発に使ったと報告している。本田は、助けが必要なヒトのヘルパーとして行動するようにASIMOを開発している。(2)「衝突試験ダミー」は、衝突における車の安全性を測定するために自動車業界の使用のために50年間を超えて開発中である。ジェネラル・モーターズ・カンパニーによって開発された「ハイブリッドIII」は、衝突試験の業界標準を表すものである。(3)ADAM(高度自動車用マネキン)は、世界最先端の熱的快適性マネキンになると考えられる。ADAMは、発汗及び呼吸のようなヒトの反応を模倣するために「米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所(NREL)」によって開発されている。ADAMは、自動車に見られる一時的で不均一な熱的環境に対するヒトの生理的かつ心理的な反応を測定、予測、及び確認することになる。マネキン試験に対する多くの産業用途が益々特定されているが、依然としてマネキンに基づく試験法の開発及び実施に関連したコストが存在する。より実物そっくりのマネキンシステム、特に吸収性物品の設計及び性能を評価するためのマネキンシステムの必要性が依然として存在する。
【0005】
マネキンシステムは、吸収性物品の試験のために特別に開発されてきた。吸収性物品は、乳児用おむつ、おむつパンツ、幼児用トレーニングパンツ、女性用ケア物品、並びに成人用失禁パッド及びブリーフのような使い捨て吸収性物品を含むことができる。例えば、フランスのドゥエ所在のコートレー・コンサルティングは、乳児用おむつの尿漏れを測定するための静的ベビーマネキンのシステムを販売している。このようなシステムは、性能試験を実施するのに有用であるが、これらには一部の制限がある。例えば、既存のマネキンシステムは、ヒトの皮膚及び組織適合性に必ずしも合っておらず、システムは、あまり耐久性がなく、実物そっくりの動きをもたらさず、また、非常に高価である。
【0006】
【特許文献1】米国特許仮出願出願番号第60/572,372号
【非特許文献1】ヘイズ、WC、キール、LM、ヘルマン、G、及びモックロス、LF.著の論文「関節軟骨の圧入試験のための数学的解析」、Journal of Biomechanics、1972、5:541−551
【発明の開示】
【0007】
本発明は、ヒトの運動を模擬するのに用いることができるマネキンシステムに関する。このマネキンシステムは、衣類の着用特性及び性能を試験するために用いることができる。マネキンシステムは、組み立てたフレームワークを含む。組立フレームワークの重量を軽減するために、組立フレームワークは、アルミニウムで構成して陽極酸化処理することができる。マネキンシステムはまた、組立フレームワーク内に固定されたマネキンを含む。マネキンは、人体の全体又は一部分を表すように成形することができる。マネキンシステムが吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ)の着用性及び性能を試験するために用いられる場合、マネキンは、小さな子供の下部胴体及び脚を表すように成形することができる。マネキンは、強化エラストマー複合材料で形成することができる。強化エラストマー複合材料は、ニットナイロンで強化されたシリコーン材料を含むことができる。強化エラストマー複合材料は、マネキンの耐久性、特に反復運動を受けるマネキンの「関節」での引き裂き抵抗を増大する。マネキンシステムはまた、マネキンの運動を調整及び制御するプログラマブル論理制御装置を含む。マネキンの運動は、一組の空気圧シリンダとモータ駆動アセンブリとの統合作用によってもたらされる。
【0008】
別の態様では、本発明は、衣類の着用性及び性能を評価するための評価システムに関する。評価システムは、少なくとも2つのマネキンシステムを制御するパーソナルコンピュータ及びコンピュータインタフェース基板を含む。各マネキンシステムは、組立フレームワーク及び組立フレームワーク内に固定されたマネキンを含む。マネキンの形状は、評価される衣類の種類に基づいて選択することができる。マネキンは、強化エラストマー複合材料で形成することができる。各マネキンシステムはまた、プログラマブル論理制御装置を含む。プログラマブル論理制御装置は、マネキンの運動を調整して制御する。マネキンの運動は、マネキンシステムの一部でもある一組の空気圧シリンダとモータ駆動アセンブリとの組合せによって提供される。
【0009】
本発明のこれらの態様及び付加的な態様は、本明細書でより詳細に説明されることになる。更に、上述の一般的説明及び以下の詳細説明の両方は例示的であり、特許請求する本発明の更なる説明を提供する意図であることは理解されるものとする。本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明のマネキンシステム及び評価システムを示して更なる理解を提供するために含まれている。図面は、説明と共に本発明の様々な態様を説明する役目を果たすものである。
本発明の以下の詳細説明及び同じ数字が同じ要素を表す添付図面を参照すると、本発明が更に完全に理解され、更なる利点が明らかになるであろう。図面は、単に代表的なものであり、特許請求の範囲を限定しないものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の本開示は、その様々な構成要素、要素、構造、構成、配置、及び他の特徴によって以下に表され、これらはまた、本発明の用語「態様」又は他の同様の用語によって個々に又は集合的に言及することができる。開示される本発明の様々な形態は、その様々な特徴及び態様の1つ又はそれよりも多くを組み込むことができ、かつこのような特徴及び態様は、そのあらゆる望ましく作動的な組合せで用いることができるように考えられている。
【0011】
また、本発明の開示に用いられる時に用語「comprises」、「comprising」、及び基本用語「comprise」からの他の派生語は、あらゆる説明された特徴、要素、完全体、段階、又は構成要素の存在を指定する非制限的用語であるものとし、1つ又はそれよりも多くの他の特徴、要素、完全体、段階、構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除しないものとすることにも注意すべきである。
本発明は、被験者の軟組織特性、特に乳児及び幼児の軟組織特性をより良く模擬することができる衣類試験のためのマネキンシステムの提供に関連した問題を解決することに関する。更に、本発明のマネキンシステムは、現在利用可能なマネキンよりもあまりコストがかからず、より耐久性があり、実物そっくりの動きをより良く模擬するものである。
【0012】
本発明のマネキンシステムの説明
本発明の改良マネキンシステム100の例を図1に代表的に示す。図1のマネキンシステム100は、人体の運動及び機能をより良く模擬するためのコンピュータ制御による低コスト機械設計である。マネキンシステムは、組立フレームワーク300に取り付けられて支持された人体の下部胴体を表すマネキン200を含む。マネキン200は、代表的な吸収性物品250を着用しているように示されている。組立フレームワーク300は、マネキン200にヒトのような動きをもたらすように空気及び電気構成要素を含む。空気圧シリンダ及び電気モータの使用により、組立フレームワーク300は、マネキン200が調節可能な速度での歩行運動及び這う運動を行うように準備し、並びにマネキン200が横たわる運動及び起き上がる運動を完了するように準備する。組立フレームワーク300は、構成要素区域450の上にある作業面又は作業台400に取り付けられる。作業面400は、マネキン200の各脚に対して1つの2つのスロット410を含む。作業面400はまた、一端上にソフトパッド150を含み、ソフトパッド150は、乳児/幼児が腹這い(寝かせた)姿勢中に横になると考えられるようなマットレスを表す/模擬する。
【0013】
マネキン200が静止した状態であっても運動中であっても、組立フレームワーク300は、マネキン200を所定の位置に保持し、それは、マネキン200のヒトのような運動を容易にする。組立フレームワーク300は、重くなくて陽極酸化処理することができるようにアルミニウムで構成することができる。組立フレームワーク300に適切な構成要素は、米国インディアナ州コロンビア・シティ所在の80/20インコーポレーテッドから購入することができる。組立フレームワーク300は、安定性のために作業面400及び構成要素区域450に固定される。組立フレームワーク300は、この組立フレームワーク300の上部部分が組立フレームワーク300の下部部分に対してピボット回転することを可能にする2つのヒンジピン310を含む。マネキンは、図2に示すように上向きシャフト510により及び2つの脚ソケット520により組立フレームワークに固定される。各脚ソケット520は、マネキン脚接続部525にピボット的に取り付けられる。各マネキン脚接続部525は、作業面400のスロット410の下に位置決めされたレールに沿って移動する直線スライドに取り付けられる(直線スライド及びレールは、図では目に見えない)。スロット410の下に位置決めされたレールは、マネキン200の脚の運動のための軌道として機能する。直線スライドは、一方の直線スライドが前方に移動している時に他方の直線スライドが後方に移動するように互いに反対に設定される。
【0014】
マネキン200は、いくつかの空気圧シリンダの協調作動によって動く。図に描かれたマネキンシステム100は、4つの空気圧シリンダを含み、そのうちの3つは目に見えている。マネキン200にそれが歩行運動を行っている時の「フィット性」を与えるために、上向きシャフト510を上及び下に移動させる空気圧シリンダがある。この空気圧シリンダは、図1及び図2に見ることができる上向きシャフト510の部分の上に位置決めされる。更に、上向きシャフト510は、位置決めピンによってカラー内に固定され、カラー及び位置決めピンは、マネキン200を左右に捩ることを防止する。カラー及び位置決めピンは、図1及び図2では見えていない。図1及び図2に描かれたマネキンシステム100はまた、側面空気圧シリンダ530及び2つの側面支持空気圧シリンダ540を含む。側面空気圧シリンダ530は、マネキン200を座っている姿勢から横たわる(又は腹這い)姿勢、及び横たわる姿勢から座っている姿勢にする。側面空気圧シリンダ530はまた、マネキン200を立っている姿勢から這う姿勢、及び這う姿勢から立っている姿勢にする。側面支持空気圧シリンダ540は、マネキン200を横たわる姿勢から立っている姿勢へ、及び立っている姿勢から横たわる姿勢にする。2つの側面支持空気圧シリンダ540を有することにより、組立フレームワーク300及びマネキン200の重量の支持が助けられる。適切な空気圧シリンダは、米国イリノイ州モニー所在のビンバ・マニファクチャリング・カンパニーから入手可能な複作動式空気圧シリンダを含む。
【0015】
構成要素区域450は、マネキン200の動きに動力を与えて制御する様々な要素を含むことができる。図1は、構成要素区域450内のモータ駆動アセンブリ600、プログラマブル論理制御装置700、4つの空気電磁弁810を含むマニホルド800、空気圧調節器820、及びコンピュータインタフェース基板900の位置を代表的に示している。スロット410の下のレール上に設けられた直線スライドは、インタフェース部分545に接続され、例示的インタフェース部分545が図1に示されている。インタフェース部分545は、モータ駆動アセンブリ600によって駆動される直線クランクアーム550にベアリングによって取り付けられる。モータ駆動アセンブリ600は、マネキン200を歩行させて這わせるために用いられる。モータ駆動アセンブリ600は、モータの速度及び方向を制御する0−90VDC直角歯車モータ及び関連モータ駆動装置を含む。適切なモータの例は、米国アーカンソー州フォートスミス所在のボルドー・エレクトリック・カンパニーから入手可能なカタログ番号SP7401を有する1/8HP、22.5.1ギヤ比、及び78RPM@60lbs./in.の−90VDC直角歯車駆動装置である。適切なモータ駆動コントローラは、米国カルフォルニア州グレンデール所在のミナリク・コーポレーションから入手可能な「ミナリク・コーポレーション型番XPO2−115AC−Q」である。
【0016】
空気圧シリンダ530及び540は、空気電磁弁810によって作動される。適切な空気電磁弁810は、米国ミシガン州カラマズー所在のハンフリー・プロダクツ・カンパニーから入手可能であり、型番M41E1を有し、24VDC作動コイルを有する。空気電磁弁810は、個々の空気電磁弁810のための付属品を有する必要がないマニホルド800内に設置することができる。空気電磁弁810の各々のための付属品は、マニホルド800から出て、4つのそれぞれの空気シリンダに接続される。空気電磁弁810は、機械的な結果をもたらすためにプログラマブル論理制御装置700から24VDCの固定電圧を受け取るように構成される。空気電磁弁は、空気圧調節器820と関連している。
【0017】
マネキンシステム100はまた、意図するようにマネキン200を機能させるロジック及びインターロック相を制御する電子プログラマブル論理制御装置(PLC)700を含む。PLC700は、空気電磁弁810に固定24VDC電圧信号を送ることにより、空気圧シリンダ530及び540の作用を調整して制御する。マネキン200は、歩行、這うこと、起き上がること、座ること、及び横たわることなどの論理機能を行うことができる。論理機能は、「オン」の状態又は「オフ」の状態のバイナリ状機能である。適切なPLC700の例は、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のロックウェル・オートメーションから入手可能な型番1761−L32BWAを有する「アラン・ブラッドレー(ロックウェル・オートメーション所有)マイクロロジックス1000」シリーズプログラマブル論理制御装置である。PLC700は、マネキンシステム100によって運動を実施することができるか又はされることになる前に「指令」が整列する(例えば、マネキン200が腹這い姿勢にあると、動的機能は作動されないことになる)ことを保証するためのツールとしてPLC700を用いることを可能にするそれ自体の「梯子形論理」ソフトウエアを含む。更に、マネキンシステム100は、低圧電源を含むことができる。マネキンシステム100は、一般的に共通の120VAC及び24VDCから作動する。低圧電源は、120VACを24VDCに変換して空気電磁弁810のような論理項目を作動させる。適切な低圧電源の例は、米国イリノイ州ローズモント所在のEGS・エレクトリカル・グループのソラ/ヘビ−デューティから入手可能な24VDC@12.0ampを有する型番SLS−24−120Tである。
【0018】
PLC700は、それ自体でマネキンシステム100を作動させるように用いることができるが、マネキンシステム100のための望ましい指令をコンピュータによってPLC700に入力し、千差万別の運動ルーチンのプログラミングを可能にすることができる。パーソナルコンピュータは、マネキンシステム100が5分間歩行に続いて5分間這う等の連続機能を実行することを可能にする。マネキン制御を容易にするために、信号は、アナログ形式からデジタルコンピュータ形式に変換すべきである。信号を変換するために、コンピュータインタフェース基板920を含めることができる。コンピュータインタフェース基板920の例は、米国テキサス州オースチン所在のナショナル・インスツルメンツ・コーポレーションから入手可能な型番PCI−6036Eである。このようなコンピュータインタフェース基板920は、デスクトップパーソナルコンピュータの拡張スロット内にインストールすることができる。1つのパーソナルコンピュータは、4つまでのマネキンシステム100を一度に実行するのに用いることができる。マネキンシステム100は、望ましい運動ルーチンを確立するために用いることができて望ましい一連の運動をPLC700に通信するソフトウエアを含む。マネキンシステム100を作動するための例示的ソフトウエアは、「MICROSOFT VISUAL BASIC 6」ソフトウエア開発環境(米国ワシントン州レドモンド所在のマイクロソフト・コーポレーションから入手可能)内で開発することができる。また、「MEASUREMENT STUDIO」開発ソフトウエアとして公知のナショナル・インスツルメンツ・コーポレーション(米国テキサス州オースチン)から入手可能な支援ソフトウエアのような支援ソフトウエアもあるであろう。本発明の1つの態様では、PLC700からの高電圧信号をコンピュータインタフェースによって使用される共通5ボルト信号に変換するために、マネキンインタフェースカードを用いることができる。マネキン200の動きをモニタして制御することができるように、マネキンシステム100に信号を送ってこのマネキンシステム100から信号を受け取るようにソフトウエアを構成することができる。従って、ソフトウエアは、ディスプレイがオペレータにマネキン200の現在の状態(例えば、横たわっている、立っている、座っている、這っている、及び歩いている等)を知らせることを可能にする。ソフトウエアはまた、マネキン200の手足が動くことになる望ましい実際の速度(例えば、1分間当たりの歩数)をディスプレイに提供する。「MEASUREMENT STUDIO」開発ソフトウエアを使用して、ソフトウエアシステムのユーザインタフェースのためのノブ、スライドコントロール、及び表示灯を生成することができる。この支援ソフトウエアはまた、例えば、同じくナショナル・インスツルメンツ・コーポレーションから入手可能なデータ取得カード型番PCI−6036Eのようなデータ取得カードと共に高レベルインタフェースを提供する。
【0019】
図3は、這う姿勢のマネキン200を代表的に示している。図4は、腹這いで寝かされた姿勢で組立フレームワーク300によって支持されたマネキン200を示している。図5は、起き上がった姿勢のマネキン200を代表的に示している。図6は、じっと立った姿勢のマネキン200を代表的に示している。
生まれた時から、人間は、動いたり移動する姿勢が多い動的な生き物である。これらの動きは、我々の身体に付加されて着用される物品に影響を与える。吸収性物品、特に使い捨て吸収性物品に対しては、体外排泄物の適度な閉じ込め及び制御には、身体運動が使用中にこのような物品のフィット性、一体性、及び姿勢に影響を与える方法の理解が必要である。本発明の改良マネキンシステム100は、吸収性物品が使用中に受ける力学の制御されたシミュレーションを可能にする。更に、試験されている物品内への流体の供給を模擬するために、ポンプシステムをマネキンシステム100と統合することができる。試験されている吸収性物品の周囲の連続モニタは、温度、相対湿度、及び圧力を測定するためにセンサを統合することによって達成することができる。着用中及び漏れが起こる時の製品内部の流体の動き又は流れをモニタするために、他のセンサシステムを用いることができる。マネキンシステム100を使用して、フィット性の変化又は使用中の材料応力及び/又は破損に対して吸収性物品を評価することができる。製品の使用後分析は、ファスナ、ガスケット、又は吸収性物品の吸収性コアのような様々な構成要素の構造に対して行うことができると考えられる変化を特定することができる。複数のマネキンシステム100を統合して単一のパーソナルコンピュータから実行し(連続して)、より大きなサンプルサイズのより効率的な試験を可能にすることができる。様々なサイズの吸収性物品の評価を可能にするために、ある一定範囲の身体測定サイズのマネキン200を組立フレームワーク300上で相互に交換することができる。
【0020】
本発明の別の態様では、マネキン200は、引き裂き抵抗を有する強化エラストマー複合材料で構成することができる。多くの現在利用可能なマネキンは、シリコーンの様々な処方で構成されるように設計されている。シリコーンは、ヒト組織と同様の特性を提供することができ、容易に型の中に流し込むことができる。しかし、シリコーンは、引き裂きに対してあまり抵抗性がない。ヒトの子供の動きを現実的に模倣するために、マネキン200は、ヒトの子供がすると考えられる同じ運動を行うことができる。マネキン200が反復運動ルーチンを受けると、その動きによりマネキン200材料、特にマネキン200の「関節」で反復伸縮が起こる。反復伸縮は、結果的にマネキン200を形成するために用いた材料の引き裂きを生じる。本発明のマネキン200は、同じく引き裂きに対する高い抵抗性を有する軟組織から作ることができる。引き裂きに対する高い抵抗性は、強化又は複合構造体を用いることによって達成される。複合構造体は、軟組織を補強材料上に成形する段階と、軟組織を補強材料上に押し出す段階又は軟組織と補強材料を互いの間に挟む段階と、いずれかの伸縮性材料を用いて互いにそれらを結合する段階とを含む様々な方法で達成することができる。強化エラストマー複合材料で形成されたマネキン200は、引き裂きに対してより抵抗性があり、一般的により耐久性がある。マネキン200のシリコン基材は、女性用靴下を形成するために用いられるニットナイロン材料のようなニットナイロン材料で強化することができる。ニットナイロン材料は、伸縮性があり、従って、シリコーンの延伸を制限しないだけでなく、引き裂きに対しても抵抗性がある。
【0021】
軟組織特性の測定
既に本明細書で説明したように、マネキンの恩典の1つは、これらが乳児及び幼児のための使い捨ておむつのような吸収性物品を含む衣類に対して完成させることができる研究のペースを加速させることである。マネキンが被験者に緊密に似れば似るほど、マネキンに対する吸収性物品の性能は、物品が被験者に対して機能すると考えられる方法に関してより類似する。乳児及び幼児のための使い捨ておむつを製造する会社により、研究におけるかなりの投資が為されている。従って、マネキンシステムの1つの有利な用途は、使い捨ておむつの試験用及び評価用である。マネキンに対する試験おむつの性能をヒトの子供に対する同じ試験おむつの性能に比較することになる方法を知るためには、乳児軟組織の機械的反応を知る必要がある。機械的反応は、使い捨ておむつの着用者の脚を囲む脚弾性の力のような既知の力に応答して皮膚及び下にある軟組織がどの程度までくぼむことになるかを知ることを含む。乳児の軟組織特性は、特に使い捨ておむつによって覆われた身体の全体にわたって良く理解されていない。実際に、乳児に使用中の使い捨ておむつのコンピュータシミュレーションは、文献で報告された成人軟組織特性範囲に基づいている。成人軟組織特性範囲の殆どは、使い捨ておむつと接触することになる身体区域の外側の成人組織区域に基づいて得られたものである。従って、小さな子供の軟組織特性を知ることは、それらをマネキン、特に強化エラストマー複合材料で形成されたマネキンの「組織」特性と比較することができるためには望ましいことである。
【0022】
圧入装置(圧入器)は、子供のおむつ区域内の軟組織の圧縮特性を測定するために開発及び使用されている。一般的に、圧入器は、それらを皮膚に対して垂直に位置決めすることによって機能する。特定の力(すなわち、変位)が皮膚に対して装置を押すと、対応する変形(すなわち、力)が記録される。多くの場合に、組織厚みに関する超音波情報と共に、得られたデータは、組織のヤング率を測定するために用いられ、次に有限要素モデルのための入力として用いられる。このデータの変換は、剛性半空間(骨のような)に結合された材料の薄く弾性の均一な層(軟組織の単純表現)の圧入に対する数学的な解を提供するヘイズの方程式を用いることによって行われることが最も多い。ヘイズの方程式は、成人ヒトの軟組織特性を評価するために用いられている。子供の軟組織特性を測定するための圧入器は、組織圧入から得られた反作用を測定する速度制御圧入及びロードセルを用いる。逆に、それは、軟組織の荷重を制御し、得られた圧入深さを測定することができる。圧入器は、可搬式圧入器装置並びにハードウエア及び支援電子機器を収納するキャビネットの2つの部分を含む。圧入器の可搬部分の寸法は、全長5.40cm、全体外径6.65cm、及び全重量1.11kgの通りとすることができる。計器の可搬部分の内部には、移動ベッドアセンブリを移動させるモータ駆動ダブテールスライドアセンブリがある。1kgロードセル及び変位電位差計に接続した約7.94mm外径の平面圧入器プローブが、封入容器から延びて引っ込む。計器の可搬部分は、圧入器が電力供給される12VDC充電式バッテリ電源を含む支援電子計器及び関連ハードウエアを収納するキャビネットにケーブル接続されている。最後に、計器は、作動及びデータ収集のためにコンピュータにインタフェースで接続されている。
【0023】
上述のように、超音波測定は、ヤング率を計算するために必要な組織厚みデータを得るように行われる。これらの測定のための満足できる超音波機器の例は、7MHz−12MHz内で作動する線形変換器を備えたフィリップス・メディカル・システムズによって製造された「HDI 5000」である。圧入器及び超音波測定結果を用いて、ヘイズの方程式によって機械的特性を計算することができる。軟組織特性は、個体間及び同じ個体の身体部位の間でも異なる。例えば、臀部及び大腿部内側の軟組織は、腰部及び大腿部の前部の軟組織よりも軟らかく/剛性が低い。子供の圧入器測定結果は、コンピュータシミュレーションで乳児の特性を示すために用いることができる。圧入器測定結果はまた、マネキンを形成するために用いた強化エラストマー複合材料に基づいて行われた圧入器測定結果と比較するために用いることができる。このような比較は、強化エラストマー複合材料で形成されたマネキンの圧縮特性が実際の子供に対して如何に代表的であるかを示すことになる。
【0024】
上述の圧入装置は、乳児の変位圧縮性応答に対する力を測定するために用いられた。測定結果は、臀部(「部位1」)、大腿部の前部(「部位2」)、内側大腿部(「部位4」)、及び腰部(「部位6」)を含む多数の部位で得られた。更に、超音波測定は、その部位の軟組織の厚みを測定するために各身体位置で行われた。このデータから、ヘイズの方程式を用いて各部位で各子供に対して有効ヤング率が計算された。圧入荷重変形データからヤング率を計算するための特定の方程式は、以下の通りである。
【0025】
【0026】
ここで、
E=ヤング率、
υ=ポアソン比、
a=圧入器プローブの半径、
κ=常数、
h=組織厚み、
P=荷重、及び
w=圧入深さ、
である。この方程式を解くために、所定の圧入深さwでの圧入器曲線の勾配をP/w変数としてこの方程式に入れる。次に、圧入器プローブの半径が測定され、3.97mmとして方程式に入力される。次に、常数κは、ヘイズ、WC、キール、LM、ヘルマン、G、及びモックロス、LF.著の論文「関節軟骨の圧入試験のための数学的解析」、Journal of Biomechanics、1972、5:541−551から得られる。この論文において、ヘイズは、ポアソン比、圧入器半径、及び組織厚みの関数として変化する一連のκ値を定めている。ポアソン比は、この研究では測定することができず、従って、ヒトの軟組織が多くの場合に殆ど非圧縮性として特徴付けられるので、0.49であると仮定されている。同じくκを定めるのに必要であった組織厚みhは、超音波試験から得られた。超音波は、最初は特に組織厚みを測定するために設計されたものではなかったが、この目的に用いて成功している。臨床的には、機器のソフトウエアは、超音波画像上のいずれの2点間の距離も計算するためのアルゴリズムを含んでいる。この研究では、認定超音波検査士が、皮膚の表面と、組織厚みを計算するために超音波プローブと一線に並んだ皮膚に最も近い骨の表面とを選択した。上述のように、ヘイズの方程式は、軟組織が弾性かつ均一であると仮定している。軟組織は、実際には、粘弾性の不均一材料として挙動するが、この方程式は、依然として、ヒトにおける軟組織特性の特徴付け及びモデリングに対する現在の標準であり、その理由でこの解析に用いられた。これは、ヒト軟組織をモデル化する際に、特に、製品性能が主に問題になる時のヒトと製品の間の相互作用をモデル化する時に頻繁に行われる簡略化である。
【0027】
各身体部位に対して本研究によって得られた50%有効ヤング率値及び95%信頼区間を以下の表1及び図7に示す。有効係数値は、0、2、4、6、及び8ミリメートル(mm)の圧入深さで計算された。これらの結果は、19−24月齢の子供12人を代表している。
【0028】
(表1)
【0029】
これは、数が増加する時に身体組織が剛性になることを示している(例えば、筋肉の収縮)。身体部位が最初に圧入されると、そこにはより脂肪の多い表面の組織があり、更に身体部位が圧入されると、より剛性である筋肉に近づく。図7では、グラフは、各部位での50%有効ヤング率を示している。部位1は臀部であり、部位2は大腿部の前部であり、部位4は内側大腿部であり、部位6は腰部である。臀部及び内側大腿部は、大腿部の前部及び腰部よりも常に小さな剛性である。また、全ての位置で、圧入が深くなればなるほど組織はより剛性になる。
【0030】
1人の子供の有効ヤング率は、次に有限要素シミュレーション内に入力され、共に以前のおむつ−乳児シミュレーションに使用されてきた成人並びに剛性発泡材料を表す軟組織特性と比較された。シミュレーションは、吸収性パッドを圧縮する2つの大腿部から構成された(図8)。図8(左)は、2つの大腿部(白色)及び吸収性パッド(青色)のシミュレーション初期設定を示している。図は、大腿部の横断面図であり、吸収性パッドの縦方向/横方向を示している。図8(右)は、シミュレーションが完了する時点の大腿部及び製品変形の拡大図である。この図は、乳児の軟組織特性の結果を示している。全ての構成要素の幾何学形状及び吸収性パッドの材料特性は、シミュレーション全体にわたって変化しなかった。大腿部の軟組織特性のみが変更された(表2)。吸収性パッドは、成人又は発泡体大腿部で接触された時に変形するよりも、幼児大腿部で接触された時にあまり変形しないことをシミュレーションの結果は示している(図9)。図9は、軟組織特性を変えることに起因する圧縮パッド幅変化を示す図である。大腿部変位は、模擬した運動、この場合は脚を閉じる運動である。大腿部と製品の間で受けた接触力は、他の場合よりも乳児軟組織特性のシミュレーションにおいて有意に低いことも見出された(図10)。図10は、軟組織特性を変えることに起因する吸収性パッドと大腿部の間の接触力変化を示すグラフである。接触力は、吸収性パッドと大腿部の間の力である。軟組織の大腿部では、組織は、より力を消散させることができ、従って、乳児軟組織データの接触力曲線は、剛性発泡体又は成人組織よりも遥かに低い勾配を有する。「剛性発泡体」又は「成人」組織特性が乳児軟組織を表すように選択され、そのデータが吸収性物品の「快適性」を予測するシミュレーションのために用いられる場合、結果は、物品が実際に恐らくそうであると考えられるよりも、幼児に対してあまり快適でないということを意味するであろう。「普通の」マネキン(軟らかい強化エラストマー複合材料で構成されていない)に対して接触圧を測定する場合、結果に対して同じ影響が生じると考えられる。最後に、変形した製品内部の応力の存在は、他のモデル内よりも幼児軟組織特性のモデル内で有意に低い(図11)。これらの結果は、乳児とおむつ又はおむつ構成要素との間の相互作用を模擬する時に、乳児軟組織特性を正確に指定する必要性を強調している。
【0031】
(表2)
【0032】
別の研究において、望ましくは乳児/幼児の軟組織特性を表すマネキンを形成するために用いることができると考えられる異なる材料に対して圧入器及び超音波測定が行われた。可能なマネキン材料のヤング率値の範囲は、22KPaから121KPaであった。6つの異なるマネキン材料のヤング率値を図12に示す。図12のグラフはまた、ヒトの幼児に関して行われた圧入器/超音波測定結果に基づく幼児軟組織のヤング率値の範囲を示している。マネキン材料の3つは、ヒトの幼児の値の範囲内にあった。マネキンサンプルとヒト幼児軟組織とのヤング率値の間の相関関係は、3つのマネキン材料が、幼児軟組織よりも剛性であることを示している(図12)。図12に表したサンプルの1つではないが、使い捨ておむつのような衣類の試験用マネキン200を構成するのに用いることができると考えられる強化エラストマー複合材料に対してヤング率値が判断された。強化エラストマー複合材料のヤング率は、約5−10kPaであり、強化エラストマー複合材料は、ニットナイロン材料で強化されたシリコーン基材を含んでいた。このヤング率の範囲は、乳児軟組織に対するヤング率の範囲内である。
【0033】
衣類性能を測定するためのマネキンシステムの使用の例
本発明のマネキンシステム100を使用して製品性能を測定することができる方法を例示的に明らかにするために以下の評価が実施された。3つの市販されている種類の使い捨ておむつにマネキン運動の同じルーチンを受けさせて、次に、マネキン上の元の位置からの変化が各使い捨ておむつに対して測定された。マネキン200は、より滑らかでヒトの皮膚により典型的である表面をそれに与えるために、ナイロン/スパンデックできつく覆われた。試験された各使い捨ておむつに対して、マネキン200は立っている姿勢で始めた。使い捨ておむつは、運動ルーチンを始める前に食塩液140ミリリットル(ml)で充填された。マネキン運動ルーチンは、5秒間の歩行、這う姿勢をとるために腰を曲げる運動、5秒間の這う運動、及び立っている姿勢に戻る運動から構成された。この運動ルーチンは、マネキン200が立っている姿勢に戻る前に15回反復された。最後に、おむつの前部腰部(「前部ドループ」)、おむつの背部腰部(「背部ドループ」)、腰部におけるおむつの側部(「側部ドループ」)、機械的ファスナを含む耳部分(おむつの長さ方向の圧縮)(「耳MD」)、及びおむつの股のたるみ部(「股のたるみ」)における使い捨ておむつの変位が測定された。「入れ子にした」耳部分を含む「HUGGIES Supreme」おむつ(米国ウィスコンシン州ニーナー所在のキンバリー−クラーク・コーポレーションから入手可能)(ステップサイズ4)に対する測定結果を以下の表3に示す。
【0034】
(表3)
【0035】
より幅の広い(すなわち、より大きい)耳部分を含む「HUGGIES Supreme」おむつ(米国ウィスコンシン州ニーナー所在のキンバリー−クラーク・コーポレーションから入手可能)(ステップサイズ4)に対する測定結果を以下の表4に示す。
【0036】
(表4)
【0037】
「PAMPERS」おむつ(米国オハイオ州シンシナティ所在のプロクター・アンド・ギャンブル・カンパニーから入手可能)(ステップサイズ4)に対する測定結果を以下の表5に示す。
【0038】
(表5)
【0039】
図13は、変位が測定された様々な位置での3つの使い捨ておむつ製品の相対変位を比較するものである。結果は、この特定のマネキン運動ルーチンに関しては、着用中に最も低い変位を有した使い捨ておむつ製品は、より幅の広い耳部分を有する「HUGGIES Supreme」おむつであったことを示している。
本発明のマネキンシステムをその特定的な態様に関連して詳細に説明したが、以上の理解に達すると、当業者が、これらのシステムに対する変更、その変形、及びそれに対する均等物を容易に想起することができることが認められるであろう。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物の範囲として判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】マネキンシステムが、ヒトの乳児又は幼児の下部胴体を表すように成形されたマネキンを含み、マネキンが、試験される代表的な衣類(例えば、使い捨ておむつ)を着用して示されている本発明の例示的マネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図2】図においてマネキン及び衣類の背面が目に見え、マネキンの足が歩行姿勢にある図1のマネキンシステムの別の斜視図を代表的に示す図である。
【図3】マネキンが這う姿勢にある図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図4】マネキンが腹這いの寝かせた姿勢にある図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図5】マネキンが座っている姿勢にある図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図6】図2と同様であるがここではマネキンが歩行する姿勢ではない図1のマネキンシステムの斜視図を代表的に示す図である。
【図7】「身体部位1」が臀部、「身体部位2」が大腿部の前部、「身体部位4」が内側大腿部、及び「身体部位6」が腰部である、使い捨ておむつのような吸収性物品によって覆われると考えられる身体の区域における4つの異なる身体部位に対する圧入深さ(ミリメートル単位)に対するヤング率(キロパスカル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図8】シミュレーションの左側が初期設定を示し(2つの円は大腿部を表し、中央の矩形区域は吸収性パッドを表す)、シミュレーションの右側が、シミュレーションが完了した状態の大腿部の拡大図及び吸収性パッドの変形を示す、幼児軟組織特性のコンピュータシミュレーションを代表的に示す図である。
【図9】グラフが軟組織特性の違いに起因する圧縮吸収性パッド幅の変動を示し、大腿部変位が模擬され、この場合には脚を一緒にする運動が模擬された、大腿部変位(ミリメートル単位)に対する吸収性パッド幅(ミリメートル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図10】グラフが軟組織特性の違いに起因する吸収性パッドと大腿部の間の接触力の変動を示し、大腿部変位が模擬され、この場合には脚を一緒にする運動が模擬された、大腿部変位(ミリメートル単位)に対する接触力(ニュートン単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図11】グラフが軟組織特性の違いに起因する吸収性パッドと大腿部の間の最大応力特性を示し、大腿部変位が模擬され、この場合には脚を一緒にする運動が模擬された、大腿部変位(ミリメートル単位)に対する「ミーゼス応力」(キロパスカル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図12】ヤング率値が一部は圧入測定結果に基づき、各マネキン材料に対して圧入測定が3つの異なる圧入装置で行われ、2本の水平線が1人のヒトの子供に対して行われた圧入測定に基づくヤング率値の範囲を表す、マネキンを形成するのに用いることができると考えられる異なる種類の材料に対するヤング率(キロパスカル単位)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【図13】図1に示すマネキンシステムのような本発明のマネキンシステムを用いて物品が一連の反復運動を受けた後の物品の異なる位置で測定された3つの異なる使い捨て吸収性物品の変位(ミリメートル単位での「差」)のグラフ表示を代表的に示す図である。
【符号の説明】
【0041】
100 改良マネキンシステム
200 マネキン
300 組立フレームワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てたフレームワークと、
強化エラストマー複合材料で形成されて前記組立フレームワーク内に固定されたマネキンと、
プログラマブル論理制御装置と、
一組の空気圧シリンダと、
モータ駆動アセンブリと、
を含むことを特徴とするマネキンシステム。
【請求項2】
前記強化エラストマー複合材料は、シリコーン及びニットナイロンを含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項3】
前記マネキンは、上向きシャフトによって前記組立フレームワークに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項4】
空気圧シリンダが、前記上向きシャフトを垂直方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載のマネキンシステム。
【請求項5】
前記空気圧シリンダの組は、側面空気圧シリンダ及び側面支持空気圧シリンダを含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項6】
前記モータ駆動アセンブリは、モータ及びモータ駆動コントローラを含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項7】
一組の空気電磁弁を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項8】
前記空気電磁弁の組は、マニホルド内に収納されていることを特徴とする請求項7に記載のマネキンシステム。
【請求項9】
パーソナルコンピュータ及びコンピュータインタフェース基板を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項10】
前記マネキンを制御するために前記パーソナルコンピュータ上で実行可能なソフトウエアを更に含むことを特徴とする請求項9に記載のマネキンシステム。
【請求項11】
パーソナルコンピュータと、
コンピュータインタフェース基板と、
少なくとも2つのマネキンシステムと、
を含み、
各マネキンシステムが、組み立てたフレームワーク、強化エラストマー複合材料で形成されて該組立フレームワーク内に固定されたマネキン、プログラマブル論理制御装置、一組の空気圧シリンダ、及びモータ駆動アセンブリを含む、
ことを特徴とする評価システム。
【請求項1】
組み立てたフレームワークと、
強化エラストマー複合材料で形成されて前記組立フレームワーク内に固定されたマネキンと、
プログラマブル論理制御装置と、
一組の空気圧シリンダと、
モータ駆動アセンブリと、
を含むことを特徴とするマネキンシステム。
【請求項2】
前記強化エラストマー複合材料は、シリコーン及びニットナイロンを含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項3】
前記マネキンは、上向きシャフトによって前記組立フレームワークに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項4】
空気圧シリンダが、前記上向きシャフトを垂直方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載のマネキンシステム。
【請求項5】
前記空気圧シリンダの組は、側面空気圧シリンダ及び側面支持空気圧シリンダを含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項6】
前記モータ駆動アセンブリは、モータ及びモータ駆動コントローラを含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項7】
一組の空気電磁弁を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項8】
前記空気電磁弁の組は、マニホルド内に収納されていることを特徴とする請求項7に記載のマネキンシステム。
【請求項9】
パーソナルコンピュータ及びコンピュータインタフェース基板を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のマネキンシステム。
【請求項10】
前記マネキンを制御するために前記パーソナルコンピュータ上で実行可能なソフトウエアを更に含むことを特徴とする請求項9に記載のマネキンシステム。
【請求項11】
パーソナルコンピュータと、
コンピュータインタフェース基板と、
少なくとも2つのマネキンシステムと、
を含み、
各マネキンシステムが、組み立てたフレームワーク、強化エラストマー複合材料で形成されて該組立フレームワーク内に固定されたマネキン、プログラマブル論理制御装置、一組の空気圧シリンダ、及びモータ駆動アセンブリを含む、
ことを特徴とする評価システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−513734(P2008−513734A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527410(P2007−527410)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017399
【国際公開番号】WO2005/114617
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017399
【国際公開番号】WO2005/114617
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]