説明

改良型毛管力気化器

本発明は、液体の気化と加圧蒸気の放出に使用する毛管力気化器に関する。一実施形態では、本発明毛管力気化器は多孔質部材と多孔質部材に熱を運ぶヒータ素子と蒸気閉じ込め領域とを含む。多孔質部材はさらに、毛管網と液体を受容する面と液体から蒸気を生成する気化領域とを含む。蒸気は収集され、ゼロを上回る速度での蒸気放出用の1以上の開口を含む蒸気閉じ込め領域内で加圧される。毛管力気化器と毛管力気化器を備えるシステムに関する幾つかの異なる実施形態が、それらの用途方法と共に開示してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛管力気化器内の液体の気化と蒸気の加圧に関する。より具体的には、本発明は様々な用途に向け蒸気を生成する毛管力気化器モジュール及びシステムのみならず、改良された毛管力気化器にも関するものである。
【0002】
本発明は、本出願人に譲渡された2003年10月21日出願の同時係属米国特許出願第10/691,067号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
多くの応用例が、液体源から生成されたガスを利用している。噴霧装置は、液体を気化させ、圧力のかかった生成蒸気を放出するよう設計されてきた。被加圧蒸気流が所望される応用例にあっては、先行技術装置は一般に圧力をかけて液体を装置へ供給するか或いはさもなくば蒸気を外部手段により加圧する必要がある。例えば、被加圧ボイラーシステムでは、液体は通常生成蒸気と少なくとも同程度の圧力をかけて供給する必要がある。被加圧液体源は通常使用するに不便であり、移送するに重く、潜在的に爆発性であり、漏洩しがちである。多くの応用例にあっては、大気圧か又はそれに近いかのいずれかである液体から被加圧蒸気流を直接生成することが望ましい。この目標を達成する一つの装置分類が、当該分野では毛管ポンプや毛管気化器モジュールや毛管力気化器として知られている。これらの装置は全て毛管部材内で液体を沸騰させるのに熱を印加し、少なくとも一部放出された蒸気を拘束して圧力を増大させ、1以上のオリフィスを介して高速噴流として装置から排出させることで、非加圧液体から被加圧蒸気を直接生成している。これらの装置が共通に有する他の特徴は、それらが全て熱エネルギを供給され、コンパクトで概ね可動部を一切有しておらず、それによって液体の気化と蒸気の加圧に用いられている他の技法を上回る幾つかの利点を提供する点にある。毛管ポンプや毛管気化器モジュールや毛管力気化器やこれらをその中に見出すことのできる装置が、特許文献1(米国特許第5,692,095号)や特許文献2(米国特許第5,870,525号)や特許文献3(米国特許第6,162,046号)や特許文献4(米国特許第6,347,936号)や特許文献5(米国特許第6,585,509号)や特許文献6(米国特許第6,634,864号)に様々に説明されている。
【特許文献1】米国特許第5,692,095号明細書
【特許文献2】米国特許第5,870,525号明細書
【特許文献3】米国特許第6,162,046号明細書
【特許文献4】米国特許第6,347,936号明細書
【特許文献5】米国特許第6,585,509号明細書
【特許文献6】米国特許第6,634,864号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した幾つかの先行技術装置は代替液体気化技術を上回る利点を提供するが、その装置は幾つかの限界を有することが分かっている。先ず、一部の先行技術毛管力気化器の機械的信頼性が貧弱なものであった。この装置は、不浸透性の周縁シール部材用の典型的に肉薄で脆弱な被覆材料に頼っていた。その中で気化が行われる液体を充填した多孔質部材に関連するシール部材が装置内での圧力の増大を可能にし、各種部品を緊密な接触状態に併せ保持する構造的な一体性もまた備えている。幾つかの装置の動作期間中に経験する温度勾配や内部圧力や温度循環の下で、周縁シール部品は亀裂を生じやすく、性能が時として低減し、早い時期の装置故障を招きがちである。大きさと共に熱応力が増大しようとすると、より大きな装置ほど亀裂はより一般的となる。一部用途向けに必要とされるより大きな出力流量要件に合致するより大きな毛管力気化器を生成する試みは、かくして制約された成功しか収められないものであった。
【0005】
幾つかの先行技術毛管力気化器の他の欠点は、入力熱或いは電力における変化への対応において経験する比較的緩慢な応答と、制限されたエネルギ効率とにあった。緩慢な応答時間と制限されたエネルギ効率は、装置外部にあって気化領域から離れた熱源から熱を伝えねばならない結果であると考えられる。このことが、気化率における変化が生起し得る前に加熱或いは冷却しなければならない気化部材に接触する過剰な質量を有し、かくして周囲環境に対し望まぬエネルギ損失を引き起こす結果を招いていた。過大なヒータ温度、短い寿命、追加の面を平滑とする必要がある製造問題、追加部品を必要とする余計な複雑さは、先行技術の毛管力気化器に関連する他の欠点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体の気化と蒸気の加圧に向け改善された毛管力気化器を提供することで、先行技術の幾つかの制約を克服し、改善を果たすことを目指すものである。本発明の毛管力気化器は、下記により詳しく説明する如く、先行技術装置を上回る他の利点を提供することに加え、入力される熱と電力における変化に対しより優れた機械的信頼性と改善された応答時間とを提供する新規の構成を特徴とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の毛管力気化器は、毛管ポンプや毛管気化モジュール等の装置や先行技術の同様の装置を踏まえた幾つかの改善点を特徴とするものである。或る種の驚きではあるが、しかるべき環境下にあっては、この種先行技術装置の周縁を取り囲むシールに対する必要性を取り除くだけでなく、絶縁部品に対する必要性を排除することも可能である。
【0008】
先行技術毛管ポンプにおいて特徴付けられた絶縁層すなわち絶縁体部品は、或る形の液体貯槽内に通常含まれていた装置への液体給送に熱が及ばないよう遮断するのに用いられていた。この種の先行技術毛管ポンプは外部ヒータ或いは装置外面へ熱を給送する或る種の方法を必要としており、それ故に装置の蒸気発生部分と熱源とを物理的に一体化していなかった。これらの先行技術装置用の幾つかの用途には大流量が必要とされ、生成蒸気が或る種外部システム圧力に打ち勝つ必要のある状況があった。この組み合わせは、より厚肉のより大きな寸法の絶縁体部品との組み合わせにおいて薄肉の小孔寸法の気化器部品を採用する必要があった。毛管力気化器が生成する蒸気により想定され或いは経験する外部背圧が低く、例えば約3ポンド/平方インチ(0.21kg/cm)未満である事例にあっては、多くの重要な商用用途があるが、多孔質材料の特性と寸法の慎重な選択と適切な組み合わせにより、気化器部品と絶縁体層の両方として機能させて気化器部品及び個別絶縁体部品の両方に対する必要性を取り除くのに役立つ一体型の多孔質部材を用いることで、大流量装置を首尾よく機能させ得ることが現在意外にも判明した。
【0009】
本発明では、この気化及び絶縁の二重の機能性を備える一体型部品を、ここでは単純に多孔質部材と呼ぶものとする。多孔質部材用の適切な材料は、0.5μm〜100μmの間、好ましくは1μm〜50μmの間、最も好ましくは2μm〜30μmの間の平均孔寸法を有する。多孔質部材の多孔率は、好ましくは25%〜95%の間、好ましくは30%〜90%の間、最も好ましくは35%〜85%の間にある。本発明の一実施形態では、多孔質部材の多孔率は約50%である。多孔質部材は液体を一つの面に流入させて蒸気を発生させ、別の面から放出させる任意の有用な形状にて配設され、例えばディスクやプレートやチューブが用いられている。多孔質部材の肉厚は慎重に制御し、適切な熱的絶縁と液体浸透性の両方が達成されるよう保証する。大半の用途では、多孔質部材の肉厚は0.05cmと5cmの間で変化する。多孔質部材は、好ましくは孔寸法と多孔率全体のこの独特な組み合わせを生成することのできる業界公知のあらゆる製法により作成される低熱伝導性セラミックである。付き固めた粉末や真空形成した真空形成粉末やファイバ及び結合剤混合物の部分焼結によるか、或いは発泡構造体生成に用いる何らかの一過性孔形成工程により生成するアルミナやジルコニアが、その例である。
【0010】
さらに、しかるべき状況にあっては、装置を適切に機能させるべく以前は毛管ポンプを取り囲んでいた周縁シールを持たせる必要性を取り除くことが可能である。先行技術装置では、装置内の蒸気生成領域を少なくとも一部封止するため、周縁シール或いはシール部材が必要であった。周縁に装置を囲繞するシールを持たせることは、蒸気が装置を離脱する際にその圧力損失を低減するのに役立つだけでなく、装置からの液体や蒸気や液体と蒸気の組み合わせの漏洩防止に役立つものである。
【0011】
先行技術装置と共に採用されていたシール部材は、少なくとも一部、そしてより普通に気化領域の実質封入体を備えていた。先行技術の周縁シール或いはシール部材に使用されていた技法は、ステンレス鋼やチタン合金等の剛性材料や、ガラスシールや焼結セラミック被覆等、加えてそれらの組み合わせから構成した側板等の低熱伝導性を呈する材料を含んでいた。対照的に、本発明では驚くべきことに、オリフィス部品や放射面や他の適当なハウジングや閉じ込め領域に対し機械手段を介して十分な圧縮力を作用させることで、毛管力気化器の周縁からの液体や蒸気の損失を実質防止できることが判明した。すなわち、毛管力気化器の気化領域を一部或いは実質封入する周縁シール手段を取り除くことができる。
【0012】
それ故に簡潔には、本発明の一実施形態になる毛管力気化器は非加圧流体から加圧蒸気を生成する装置又は方法であって、それは
1.毛管網と液体を受容する面と液体から蒸気を生成する気化領域とをさらに備える多孔質部材と、
2.多孔質部材に熱を伝えるヒータ部品と、
3.蒸気を収集し加圧し、ゼロを上回る速度で蒸気を放出する1以上の開口を有する蒸気閉じ込め領域とを備えるものである。
【0013】
本発明の毛管力気化器の蒸気閉じ込め領域は、蒸気を収集し蒸気圧力が増大し、被加圧蒸気が1以上のオリフィスから放出される容積である。この容積は、ハウジング部品の壁内部に形成することができる。それ故、本発明の他の実施形態によれば、毛管力気化器は無加圧液体から被加圧蒸気を生成する装置又は方法で、それは
1. 毛管網と液体を受容する面と液体から蒸気を生成する気化領域をさらに備える多孔質材料と、
2. 多孔質材料へ熱を伝えるヒータ部品と、
3. 蒸気放出用の1以上のオリフィスを備え、蒸気を収集して加圧する容積をさらに画成するハウジング部品と、を備えるものである。
【0014】
先行技術装置では、前記した如く、毛管ポンプはしばしば周縁シール部材に対する典型的な薄肉で脆弱な被覆材料に頼ることが原因で機械的信頼性が貧弱となっている。本発明では、周縁シール手段の必要性は圧縮機械力の使用によって驚くほど取り除かれている。本発明の毛管力気化器の各種部品を係合させる機械的手段を用いることで、装置内で圧力を増大させ、装置周縁での液体或いは圧力の損失を防止し、構造的一体性と装置の故障率を改善することが可能になった。
【0015】
圧縮機械力を印加して本発明の毛管力気化器の部品を係合させる一つの技術は、クランプ或いはばね等の適当な種の機械力発生体を使用することにある。その結果、この種機械力生成器の一つの説明はそれが弾性部材の撓みにより機械力を生成することとなる筈である。すなわち、毛管力気化器は1以上のばね或いはクランプの集合体で構成することができる。毛管力気化器内には、1以上の機械力生成部品を存在させることができる。本発明の好適な実施形態によれば、ばねの形をとる二つの機械力部品を毛管力気化器の径方向両端に使用する。
【0016】
理論に束縛されないが、先行技術装置と共に使用されている周縁シールに代えて、本発明の毛管力気化器に機械力を首尾よく使用できる理由は、材料と幾何構造の適切な選択によりクランプ部品或いはばね部品を内部蒸気閉じ込め部品に対し十分な機械力を作用させるよう設計し、事実上、多孔質部材と内部蒸気閉じ込め部品との間の境界から液体と蒸気が漏洩するのを実質排除されるよう機能させられるからであると推測される。従って、圧縮機械力の生成からなると考えることのできる数多くの技術が考えられた。実際の機械ばねやクランプ装置に加え、内部蒸気封じ込め部品と多孔質部材との間或いは本発明の毛管力気化器の他の部品間の他の機械力手段が、摩擦嵌合体やスナップクロージャーや差し込み式装着品やネジ式クロージャーや捩りロッククロージャー、加えて円錐座金や波形座金や屈曲板ばねやコイルばねを含む当業者には公知の各種ばね系、溶着や、化学的、物理的または機械的な接着や、焼結や、化学反応、加えてそれらの任意の組み合わせとを含むものと理解されたい。本発明において、機械力の発生に使用する方法の特性に関係なく、本発明と先行技術装置との間の重要な差異は先行技術装置が装置部品周縁のシール部材や被覆或いは側板を特徴付けている点にある。対照的に、本発明の機械力機構は漏洩防止と圧力増大目的の単一の手段としての装置の各種部品どうし或いはその間の圧縮力の印加に関するものである。
【0017】
従って、他の実施形態では、本発明の液体気化及び蒸気加圧装置は、
1.毛管網と液体を受容する面と液体から蒸気を生成する気化領域とを備える多孔質部材と、
2.多孔質部材へ熱を伝えるヒータ部品と、
3.蒸気の収集と加圧用の蒸気閉じ込め領域と機械力発生体と蒸気放出用の少なくとも一つのオリフィスとを含む蒸気封じ込め部品とを備えるものである。
本発明の追加の実施例と他の実施形態を、下記の説明を通じかつ添付図面の参照を通じてさらに解明することにする。
【0018】
図1は、100に示す本発明になる毛管力気化器の一実施形態を示す。装置100には、多孔質部材102と加熱部品104と蒸気閉じ込め領域106とが含まれる。本発明の他の実施形態が図2に示してあり、それは多孔質部材102とヒータ部品104とハウジング部品202とを備える装置200を示すものである。ハウジング部品202はさらに1以上のオリフィス116を備え、また蒸気閉じ込め領域106における蒸気の収集と加圧のための境界付けられた容積を画成、換言するならば配設してある。本発明の各種実施形態になる毛管力気化器の動作を、以下の図面を参照して説明することにする。
【0019】
図3の毛管力気化器300の動作中、液体は液体給送面302から装置へ流入し、装置からは1以上のオリフィス116にて蒸気が放出される。流体、すなわち液体或いは蒸気の流れの方向に、装置300は、任意に加えることができる液体供給部品306と任意に加えることができる絶縁体部品308と多孔質部材102とヒータ部品104と任意に加えることができる支持体絶縁器326と任意に加えることができるばね部品318と蒸気封じ込め領域106とハウジング部品202とオリフィス116とを備える。任意に加えることができる液体供給部品306と任意に加えることができる断熱部品308は、本実施形態に含めて任意選択的に示した多孔質材料部品であり、それらは先に説明した如く一体的な多孔質部材だけで所望の装置性能を達成するに十分である事例では取り除いてある。任意に加えることができる液体供給部品306は、例えば液体供給源との遣り取りに別個の要素を配設するのが望ましいときや、気化させる前に装置内に追加の機能性を取り込むのが望ましいときに使用し、それは関連分野の知識豊富な当業者が理解できるように、液体の前処理や濾過や追加部品の導入、加えてそれらの組み合わせ等である。同様に、液体や蒸気の熱−物理特性だけでなく、大流量と出力圧力要件とのしかるべき組み合わせもまた原因で、気化部品用により薄肉でより小さな孔寸法の多孔質部材を用いる必要があるときに、先に説明した如く、任意に加えることができる断熱部品308を含める。任意に加えることができる液体供給部品306或いは任意に加えることができる断熱部品308のいずれかに使用する適切な材料が、特許文献6(米国特許第6,634,864号)と特許文献5(米国特許第6,585,509号)及び特許文献7(米国特許出願第10/691,067号)に説明されている。
【特許文献7】米国特許出願第10/691,067号明細書
【0020】
図3中、多孔質部材102に直接熱交換接触する装置300の内部へ向いて配置したヒータ部品104により多孔質部材102へ熱が供給される。液体の気化は、多孔質部材102とヒータ部品104の境界又はその近傍で多孔質部材102の領域内で発生する。生成蒸気は、領域106内に閉じ込められる。ハウジング部品202の周縁壁と積層部品102の間の摩擦により生成される圧縮性機械力と、任意に加えることができるばね部品318による絶縁体308と液体供給部品306が本発明毛管力気化器300からの蒸気と液体の漏洩を効果的に阻止し、それによって蒸気圧力が領域106において増大できるようにする。そこで蒸気はゼロを上回る速度でもってオリフィス116から放出され、ここで得られる実際の速度は気化率と領域106の容積と1以上のオリフィス116の形状と断面積とに依存する。
【0021】
本発明の好適な実施形態によれば、ヒータ部品104は電気抵抗ヒータを備える。任意に加えることができるばね部品318と任意に加えることができる支持絶縁体326が、ヒータ104と多孔質材料102との間の完全かつ緊密な物理的接触を保証するのに用いることができる。任意に加えることができるばね部品318は、本発明の教示に従って使用することのできる機械力生成部品の唯一の例である。当業者には公知の任意に加えることができるばね部品318を受容可能な幾つかの構成は、前記してある。ばね部品は、好ましくは一般に少なくとも約2×10kg/m−s(約2.9×10ポンド/平方インチ)の大きな弾性係数を有する材料である高剛性材料で構成する。ばね部品用の適当な材料には、必ずしも限定はしないが、鉄鋼やチタンを含む他の金属材料、合金やアルミニウム、セラミック、プラスチック、加えてそれらの任意の組み合わせ等の材料を含む。
【0022】
任意に加えることができる支持体絶縁器326は、好ましくは剛性のある極めて多孔性の低熱伝導性材料で構成する。この材料の熱伝導率は、好ましくはほぼ50W/m−°K、好ましくはほぼ30/m−°K未満とする。多孔率は、好ましくは約30体積%、より好ましくは約40体積%を上回り、最も好ましくは約50体積%を上回る。任意に加えることができる支持体絶縁器326の使用に適した材料には、任意に加えることができるばね部品318が生成する圧縮力を均一に分散させ、ヒータ104と多孔質材料102からの熱の伝導離散を防止し、その一方で動作期間中に多孔質部材102からの蒸気の流出に対する何らも実質的抵抗も提示しない一部焼結させ或いは剛性のある発泡体セラミックやガラス等が含まれる。任意に加えることができる支持絶縁体326用に適当な材料の例には、アルミナとジルコニア、加えてそれらの組み合わせとが含まれる。
【0023】
電気貫通部品324を介してハウジング部品202を挿通すると共にヒータ104に接続するリード322により、ヒータ104へ電気接続が供給される。電気的貫通部品324は、当業者には公知の方法により形成することができ、その例にはエポキシシールやガラスシール、O−リング等の機械的シール、加えてそれらの任意の組み合わせが含まれる。誘電体材料とも呼ぶ電気絶縁材料でハウジング部品202を構成した場合、短絡を生ずることなく、リード322をハウジング部品202に当接させることができる。この種の場合、電気的貫通部品324はハウジング部品202内に、単純で許容ぎりぎりの穴を含むことができる。ヒータ104が電気抵抗ヒータである場合、交流(AC)或いは直流(DC)のいずれかとして特徴付けた電力を供給することのできる外部電源(図示せず)へ接続リード322を接続することでそれに給電することができる。
【0024】
先行技術毛管ポンプ装置と異なり、装置300のハウジング部品202はもはや熱伝導部品として機能させる必要はない。先行技術装置では、装置外部から装置ハウジングを介して気化器部品へ熱が伝わる。対照的に、本発明では、ヒータ104は気化部材に熱交換接触させて配置してあり、ハウジング202に直接当接することはない。それ故、先行技術毛管ポンプの第1のすなわち多孔質部材102の表面へ熱を伝えるのに役立つフィンやポストは、本発明内から完全に除去してある。ハウジング部品202は、かくして液体気化温度を著しく上回る温度を経験することもなく、またハウジング部品202のための製造材料に先行技術のオリフィス部品とは対照的に良好な熱伝導性を持たせる必要もない。このことがハウジング部品202の製造の複雑さとコストを低減するのに役立ち、アルミニウムやプラスチック、加えてそれらの組み合わせ等のより廉価な材料の使用を可能にする。ハウジング部品202用の他の受容可能な材料をもまた、当業者が認識する如く使用することができる。
【0025】
符号300にて示す本発明の実施形態の別の利点は、多孔質部材102に対し直接熱が印加される点にある。その結果は、装置の応答時間が先行技術毛管ポンプに比べ改善されたという付随する効果を奏すると共に、不必要な熱量が最小となることである。符号300に示す実施形態の別の利点は、ヒータ104がヒートシンク、すなわち毛管力により多孔質部材102内に保持された液体により緊密に接している点にある。その結果は、所与の電力密度、すなわち所与の出力流量について、装置300の動作中に達する最大のヒータ温度が先行技術毛管ポンプに比べ低減されることになる。このことで、ヒータの信頼性と寿命が改善され、装置300全体のエネルギ効率が増す。下記の表1の比較対照例とデータを、参照されたい。
【0026】
ヒータ104を電気抵抗ヒータで構成した場合、それは異なる仕方で形成することができる。本発明の一実施形態では、蛇行するコイル状或いはジグザグ状、加えてそれらの任意の組み合わせとして特徴付けることのできる構成をもつ金属導線或いは蝕刻金属箔でヒータ104を構成する。ヒータ104と共に使用するのに適した材料は、必ずしも限定するものではないが、当業者には公知の遷移金属合金等の多くの他の電気抵抗加熱素子材料に加え、ニクロムとして知られるニッケルとクロムの合金や、黒鉛や、サーメットとも呼ぶ肉厚フィルムヒータや、チタンや、ステンレス鋼や他のニッケル母材合金、加えてそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、ヒータ104は多孔質材料102と直接熱交換接触状態にある。他の実施形態では、ヒータ104と多孔質部材102は直接の熱交換接触状態には置かれていないが、下記により詳しく説明するように、任意に加えることができる熱交換機の左右の側に交互に配置してある。多孔質部材102に対するヒータ104の近傍とは無関係に、多孔質部材102の表面全体に出来る限り均一に熱を給送するか、或いは毛管力気化器の部品にヒータ104が熱交換接触をなすことが望ましい。同時に、ヒータ104が蒸気閉じ込め領域106内の圧力の増加或いはオリフィス116における蒸気の流出に対し抵抗しないこともまた望ましい。これは、成形しコイル化しパターン化し屈曲し或いはさもなくば多孔質材料102の表面全体に均一に分散させた幅狭の断面積を有する熱伝導体を含むヒータ部品を用いることで達成することができる。本発明の別の実施形態によれば、性能目的に合わせヒータ部品104が多孔質部材102の表面積の特定の一部を覆うようにすることが望ましい。ヒータ部品104で覆うべき多孔質部材102の表面積の百分比は、好ましくは20%〜80%の間、より好ましくは25%〜75%の間、最も好ましくは30%〜70%の間とする。これらの範囲は、ヒータ技術の当該分野での豊富な知識を有する者が理解している如くヒータ種に依存する傾向がある。
【0028】
改善された効率を得るため、ヒータ部品104を多孔質部材102内に一部或いは完全にまで埋設し、ヒータ部品104が多孔質部材102と一体化するようにすることもまた望ましい。これは、例えばヒータ部品104の加熱コイルのパターンに合わせ多孔質部材102内に溝を機械加工するか、或いは製造中に予め製造されたヒータ素子周りに多孔質部材材料を直接鋳造することにより、達成することができる。これに代えて、本発明の別の実施形態によれば、ヒータ104は多孔質部材102の全表面を横切る蒸気流出を可能にする一方で、より均一な熱分布をもたらす多孔質加熱素子材料層で構成することができる。本発明の異なる実施形態では、ヒータ104はサーミスタ等の正温度係数ペーストの多孔質部材102の表面への直接蒸着と焼成により生成した厚肉のフィルムヒータで構成する。この種厚肉のフィルムヒータの多孔質材料への接着は、当業者には公知のステンシル刷りやスクリーン印刷や他の線又はパターン印刷技術により実施できる。
【0029】
本発明の毛管力気化器用の多くの用途は、最も小さく可能な装置からの大きな出力を必要とするものである。従って、ヒータ部品104の電力密度能力を最大化することもまた望ましい。残念ながら、より大きなヒータ電力密度はしばしばヒータの信頼性とヒータの寿命とを損ない、それ故に最適範囲の電力密度が存在する。本発明の毛管力気化器は好ましくは、1ワット/平方インチから500ワット/平方インチ(0.16ワット/cmから77.5ワット/cm),より好ましくは5ワット/平方インチから400ワット/平方インチ(0.78ワット/cmから62ワット/cm)、最も好ましくは10ワット/平方インチから350ワット/平方インチ(1.55ワット/cmから54.3ワット/cm)の信頼に足る動作電力密度範囲を有する電気抵抗ヒータで構成する。
【0030】
図4は、符号400で示す本発明の別の実施形態を示すものである。装置400は、先行技術の周縁シールが完全に取り除かれている点で装置300に類似するものである。しかしながら、装置300と異なり、実施形態400のハウジング部品414,418は積層多孔質部品400、すなわち最適な液体供給部品306や最適な断熱部品308や多孔質部材102を囲繞するが、それに対する機械的圧縮力は必ずしも必要としない。ハウジング部品の少なくとも一つ、例えば装置400内のハウジング部品418は1以上のオリフィス116を含むが、ハウジング部品414,418はもはや蒸気閉じ込め機能を備えていない。任意に加えることができる熱交換器408が、ヒータ104と多孔質部材102との間に追加してある。任意に加えることができるばね部品318を用いて熱交換機部品408と多孔質部材102との間に十分な圧縮機械力を持たせ、これにより装置400からの蒸気或いは液体の漏洩を効果的に防止するようにしてある。任意に加えることができる支持体絶縁器326を用い、ヒータ104と任意に加えることができる熱交換器408と多孔質部材102との間の完全で緊密な接触を保証することができる。任意に加えることができる熱交換器408はさらに接点406を備え、これが片やフィンやポストやベーンやティースや類似の特徴をもつ構成体、加えてそれらの任意の組み合わせもまた含み、それらは当接してヒータ部品104から多孔質部材102と熱交換器408との間の境界へ熱を伝える。任意に加えることができる熱交換器408はまたさらに、装置400が生成する蒸気を収集して加圧することで蒸気閉じ込め領域として機能する流路410と、被加圧蒸気を多孔質部材102からハウジング部品418のオリフィス116へ向けて導き出す1以上のオリフィス412とを備える。
【0031】
蒸気閉じ込め領域106が隣接多孔質部材102とヒータ部品104との間の空隙を生成していた図3の装置300とは対照的に、装置400内の蒸気閉じ込め領域は任意に加えることができる熱交換器408と多孔質部材102との間に位置する蒸気閉じ込め領域410の形で存在する点に留意されたい。装置300内のヒータ104に当接する多孔質部材102の表面積の百分比に関する先の説明を、任意に加えることができる熱交換器408と多孔質部材102との接点406の表面積に代えてここで適用する。同じことが、それぞれ図5A,6,7の装置500,600,700内の任意に加えることができる熱交換器408と多孔質材料102についても当てはまる。すなわち、例えば装置500,600,700内の任意に加えることができる熱交換器408の接点406が占有する多孔質部材102の表面積の百分比は、好ましくは20%〜80%の間、より好ましくは25%〜75%の間、最も好ましくは30%〜70%の間とする。ここでも、ヒータ部品の当業者には分かるように、これらの範囲はヒータ種別や任意に加えることができる熱交換器408や多孔質材料102の特性に依存する傾向がある。
【0032】
本発明装置300と本発明装置400の間の別の相違点は、切り離し可能な部品、言い換えれば第1のすなわち上部ハウジング418と第2のすなわち下部ハウジング414を有する毛管力気化器400の存在である。切り離し可能なハウジング設計により、製造中、装置部品の組み立てが容易になり、また組み立てを促進し、装置400を必要に応じて現場での保守や修理や部品交換に合わせ分解し再組み立てできるようにもしている。このことが、先行技術の毛管ポンプを上回る利点をもたらす。先の装置は多層化構造に京成され、層は製造中、周縁シールにより併せ恒久的に接着され、それ故に一旦装置を製造すると切り離し得なくなる。その結果、個々の内部部品の全てを万一それらが汚染されたり或いは動作不能となったような場合に交換することは不可能であり、その場合には装置全体を交換しなければならなかった。嵌合境界416で上部ハウジング418と下部ハウジング414を係合させる多くの公知の手段は、本発明と共に使用するようことができる。この種の技術は、これらに限定はされないが、関連技術における知識豊富な者には理解されるように、摩擦嵌合体やスナップクロージャーや差し込み式装着品やネジ式クロージャーや捩れロック閉塞体、加えてそれらの任意の組み合わせを含む。
【0033】
任意に加えることができる熱交換器408の使用が極めて大きな電力密度ヒータを可能にし、先に説明したそれらの好適な出力範囲(前記段落0029を参照)を本発明の毛管力気化器400の内部に使用する。任意に加えることができる熱交換器部品408と組み合わせ前記した好ましくは大電力密度ヒータの使用が、多孔質部材102の表面に対する極めて均一な熱分布をもたらし、同時に装置400内で発生した被加圧蒸気が流出期間中に上部ハウジング418と下部ハウジング414から都合よく収集されて導き出せるようにする。上部ハウジング418のオリフィス116が適切な配置と寸法を有する、すなわち好ましくは前記に整合し任意に加えることができる熱交換器408のオリフィス412の寸法を上回る寸法を有する限り、本実施形態は高温の被加圧蒸気がハウジング部材418,414に接触するのを阻止することが可能である。その結果、ハウジング部材414,418は高温に対する抵抗を示す必要はなく、都合よくはプラスチック等のハウジング部材用の廉価で、簡単に製造される材料の使用を可能にする。
【0034】
任意に加えることができる熱交換器408は、蒸気閉じ込め領域或いは任意に加えることができる熱交換器408と多孔質部材102との間の境界における流路410の面積に対する接点406の面積比を調整し、ヒータ104と多孔質部材102との間の温度勾配を最小化すべく任意に加えることができる熱交換器408の全肉厚を最小化することで最適化することができる。接点406が占有する任意に加えることができる熱交換器408の表面積百分比は、ヒータ104に関して前記した好適な表面積被覆と同じにしてある。すなわち、任意に加えることができるヒータ408の接点406は任意に加えることができる熱交換器408と多孔質部材102との間の境界409(図示せず)における表面積の好ましくは20%〜80%の間、より好ましくは30%〜70%の間、最も好ましくは40%〜60%とする。任意に加えることができる熱交換器408の肉厚、すなわちヒータ104から多孔質部材102までの全距離は、好ましくは0.01mm〜5mmの間、より好ましくは0.01mm〜3mmの間、最も好ましくは0.01mm〜2.5mmの間とする。
【0035】
符号420に示す上部ハウジング418と下部ハウジング414が画成する装置400の内部へ向け配置した容積は、もはや装置400内の蒸気閉じ込め領域としては機能はしない。その代りに、容積420は任意に加えることができる熱交換器408とハウジング418,414との間の絶縁空隙として機能する。それ故、ハウジング部材414,418は、たとえ高沸点流体を用いて非常に高い電力レベルにて装置400を動作させたとしても、先行技術装置の類似の外筒や閉じ込め手段やハウジング手段よりも著しく低温のままである(下記の表1中の比較対照例とデータを参照されたい)。400等の装置上の下側の外面温度が、先行技術装置に比べ顕著な安全性と信頼に足る利点をもたらす。加えて、本実施形態は貧弱な先行技術の装置信頼性の限界を完全に克服するものであり、何故なら装置400はもはや主要な構造支持用に薄肉のしばしば脆弱な周縁シールに頼らないからである。この種シールは、しばしば先行技術装置を用いたときに故障がちとなる。上部および下部ハウジング部材414,418はそれぞれ先行技術装置よりも低温のままとされるため、本発明の別の利点はハウジング部材418,414がアルミニウムやプラスチック等の強く簡単に製造される廉価な材料から形成できる点となる。
【0036】
図5Aは、符号500で示す本発明の別の実施形態を示すものである。装置500は、この装置500が第1のすなわち外部ハウジング502と第2のすなわち内部ハウジング504とを備える切り離し可能なハウジングを特徴付けている点を除き、装置400に類似するものである。前記した如く、切り離し可能な設計が製造期間中に装置部品の組み立てを容易にし、また必要や所望に応じ現場での保守や修理や部品の交換ができるよう装置500を分解し再組み立てできるようにする。嵌合境界506において、外部ハウジング502と内部ハウジング504とを係合させる技術は公知であり、本発明装置400を参照して先に説明してきた。装置400,500はかくして、本発明が熟慮する切り離し可能なハウジングの他の実施形態を表しており、それは装置400のそれぞれ上部ハウジング418と下部ハウジング414と装置500のそれぞれ外部ハウジング502と内部ハウジング504とである。これらは、切り離しの位置や数等の切り離し可能なハウジングの任意の数の変形例と同様、関連技術における当業者により理解されるものであり、本発明範囲に包含される。
【0037】
装置400と比べた装置500の別の特徴は、装置400内の上部ハウジング418の一部、すなわちオリフィス116を含むその部分を装置500内から完全に除外してある点にある。ハウジングをCFV(毛管力気化器)の上面から離間配置することで、オリフィスに対しもはやハウジング材料を絶縁する必要はなく、空気容積420に対する必要性はかくして取り除かれる。この単純化が可能なのは、蒸気の含有が任意に加えることができる熱交換器408の流路410で発生し、蒸気の流出がここでは制御され、装置500内のオリフィス412にて行われるからである。液体給送機構が、本発明のCFVにもよらず、任意の方向に走ることができることに、さらに留意されたい。
【0038】
装置500の追加の特徴は、装置400内での電気リード線322と任意に加えることができるばね部品318の機能どうしを単一の要素、すなわち装置500内の機械力発生導体508へ組み合わせることで達成したものである。すなわち、機械力導体508は下方へ巻き付けて装置500の先端領域へ延在させる構成としてあり、ここで電気接続は被加圧蒸気が装置500を流出するオリフィス412に対向させて形成することができる。本実施形態は、ばね導体部品508の生成に使用する材料が良導体で高弾性係数を示す限り、可能である。機械力発生導体部品508の構成に適した材料には、様々な金属や金属合金、例えばチタンやニッケル、高炭素含有鉄やステンレス鋼、プラスチック、加えてそれらの任意の組み合わせもまた含まれる。装置500はかくして、400にて示した装置のばね部品318と任意に加えることができる支持体絶縁部品326とを切り離す必要性を取り除き、そのことでコストを低減し、簡単な組み立てが助成される。
【0039】
さらに、図5Bに示す如く、機械力発生導体部品508は十分な圧縮機械力を供給するよう、径方向に対向するパターンにて任意に加えることができる熱交換器408に接触させるだけでよい。このことで、ヒータ部品104に対する電気接続を熱交換器408の離散的位置510にてばね導体部品508により作成できるようになり、改善されたヒータ回路設計を容易にし、熱損失を最小化することができる。外部ハウジング502はそれを内部ハウジング504に対し周縁で取り外し可能に取り付けるという事実のお陰で、機械力発生導体部品508に対し機械支持機能を提供して熱交換機部品408と多孔質部材102との間の圧縮機械力が流路410における蒸気封じ込め領域からの液体と蒸気の損失を防止するに十分であることを保証することにも留意されたい。内部ハウジング504はさらに、任意に加えることができる液体供給管路(図示せず)に対する装置500の取り付けに使用する任意に加えることができる取り付け領域512を備える。本発明の一実施形態により液体を気化させて蒸気を加圧する毛管力気化器の製造方法は、かくして下記を含み、それは
1.毛管網と液体を受容する面と液体から蒸気を生成する気化領域を備える多孔質部材を配設する工程と、
2.さらに熱交換器を任意に加えることができる多孔質材料へ熱を伝えるヒータ部品を配設する工程と、
3.前記蒸気閉じ込め部品が蒸気を収集して加圧する蒸気閉じ込め領域と、機械力導体と、蒸気を放出する少なくとも一つのオリフィスとを備える蒸気閉じ込め部品を配設する工程と、を含み、
機械力導体が多孔質材料とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品との間に圧縮力を供給する。
【0040】
図6は、本発明の別の実施形態を示すものであり、ここでは液体気化及び加圧システムを任意に加えることができる液体供給及び給送システムに完全に一体化させてある。本例では、システム600は、取り外し可能な液体貯槽602に液体供給状態で接する上部組立体610に毛管力気化器モジュールを含む。本願明細書では用語「モジュール」を単一CFVに加え部品に属するとして使用していることに、留意されたい。すなわち、モジュールは特定用途において単一のCFVを含む追加の部品及び部品だけでなく併せ使用する2以上のCFVの集合体を指すものである。貯槽602は気化対象液体604を含み、嵌合面606において内部ハウジング504に直接接続する。切り離し可能なハウジングを全く使用しない本発明の他の実施形態(図示せず)では、貯槽602は例えば図5aに示した装置の先端でハウジング504に直接接続することになる。当業者には即理解される如く、貯槽602に下部ハウジング504を嵌合させるのに幾つかの技法を用いることができる。これらは、図5においてそれぞれ外部ハウジング502と内部ハウジング504に嵌合する先に説明した技術に類似するものである。
【0041】
図6の任意に加えることができる芯部品608は貯槽602の一部であってこれに固定したままとしてあり、任意に加えることができる芯部品608の芯延長部612が任意に加えることができる液体供給部品306や任意に加えることができる断熱部品308や多孔質部材102を介して上部組立体610との良好で緊密な接触を保証するよう設計してある。本実施形態では、液体給送面302を貯槽602に挿通させて全ての液体が利用できるよう保証している。
【0042】
芯部品608は、図6に示す如く多孔質部材102や任意に加えることができる液体供給部品306や任意に加えることができる断熱部品308へ液体を供給する毛管芯として機能するだけでなく、液体供給貯槽602を下部ハウジング504から離脱させたときに貯槽内容物の越流或いは漏洩を阻止するよう液体貯槽602用の蓋や閉塞体としても機能させることができる。実際の商用設計では、液体の気化及び加圧システム600は互いに合体させた二つの下位組立体として配設することができる。これに代えて、芯部品608を有する液体貯槽602を、上部下位組立体610とは別個に取り外し可能な又は交換可能な或いは使い捨て可能な詰め替えカートリッジとして配設することができる。
【0043】
図6に示した毛管力気化器用の構成の他の同様な自明の変形もまた、本願明細書において開示してある。例えば、任意に加えることができる芯部品608と貯槽602は切り離し可能とすることができる。これに代え、全ての多孔質材料部品を一つの組立体に組み込むことは好都合であり、例えば任意に加えることができる液体供給部品306と任意に加えることができる断熱部品308と多孔質部材102と液体貯槽602とで一つの下位組立体を構成し、電気ヒータ104と任意に加えることができる熱交換器408と下部ハウジング504とを第2の下位組立体に残すことができる。これに代え、液体貯槽602と液体604と任意に加えることができる液体供給部品306とを有するハウジング504を前記第1の下位組立体に代えて使用することもできる。さらに別の実施形態では、本発明の毛管力気化器は複数の下位組立体を含む。これらは、(a)電気抵抗ヒータ104と任意に加えることができる熱交換機408と外部ハウジング502とを備えるヒータ組立体と、(b)中間ハウジング(図示せず)と多孔質部材102と任意に加えることができる絶縁部品308とを備える気化器下位組立体と、(c)液体貯槽602と任意に加えることができる芯組立体608とを備える取り外し可能な液体供給下位組立体とを含む。
【0044】
図7は、本発明の別の実施形態を示す。本実施形態では、装置700は嵌合境界704において液体供給部品702の基端に嵌合させた内部ハウジング504を有する例示的な毛管力気化器モジュール上部組立体610を含む。一実施形態では、液体供給部品702は液体給送面302へ液体604を給送するホースを備える。
【0045】
図7中、液体供給部品702が組立体610の液体給送面302へ液体604(図示せず)を供給する。液体の供給は、必ずしもこれに限定はされないが、重力給送、ポンプや流量計、その他のもの(図示せず)、加えてそれらの任意の組み合わせを含む当業者には公知の従来の任意の方法により維持することができる。CFVに対する液体の供給が連続的或いは間欠的のいずれでも可能であることに、留意されたい。液体給送面302と液体604との間に任意に加えることができる芯(wick)を使用することのできる他の実施形態が可能である。液体供給部品702の先端を、持ち上げた貯蔵コンテナ等の重力給送貯槽や吊るした可撓性バッグ(図示せず)に係合させることができる。加えて、システム700はシステム挙動を監視し好都合な或いは自動化された操作を可能にすべく当業者には公知の様々な流量計や弁等を任意選択的に組み込むことができる。この種システムは、病院内患者換気系統や持続性気道陽圧(CPAP)装置の加湿等の用途に非常に適したものである。典型的なCPAP装置操作では、水等の液体を工業規格の医療用ホース接続を用いて移送し可撓性バッグ内に溜める。
【0046】
図示の実施形態では、装置700にはまた毛管力気化器モジュール610に係合して被加圧蒸気を流体の交差流へ導く任意に加えることができるアダプタ708が組み込んである。一実施形態では、流体交差流は遠隔ポンプ或いは圧縮機(図示せず)により生成される空気で形成することができる。本発明の一実施形態、すなわちモジュール610を用いて水を気化させる典型的な加湿装置では、アダプタ708に流入する乾燥空気712に、毛管力気化器モジュール610からオリフィス412で発生し加湿空気流714としてアダプタ708から流出する水蒸気を混合する。乾燥空気の流れに対する毛管力気化器610の出力制御により、加湿空気流714の相対湿度に対する制御の改善が可能になる。
【0047】
本願明細書に既に開示した毛管力気化器モジュールを含む実施形態と変形に加え、本発明はまた本発明になる毛管力気化器の全機能型毛管力気化器システムへの装置一体化もまた熟慮してある。図8は、毛管力気化器システム800が毛管力気化器上部組立体610と任意に加えることができる液体貯槽602と気化対象液体604と任意に加えることができる芯部品608と制御回路810を備える種の実施形態を例示するものである。制御回路810はさらに、電源804とコントローラ806と通信リンク808とを備える。図8の任意に加えることができる液体供給部品602には、コンテナを設けることができる。
【0048】
装置800の電源804は、毛管力気化器上部組立体610の(図示しない)抵抗ヒータ104を駆動する電気エネルギを供給する。電源804はばね導体部品508に嵌合する電気リード322を介してヒータ104へ接続してあり、電源804に通電したときに、液体の気化と蒸気の加圧が装置800から流出する蒸気802の生成をもたらす。この蒸気802の流量は、入力電力レベルにほぼ比例する。コントローラ806は通信リンク808を介して電源804に電気的に接続してあり、電源804がヒータ104に適切な電圧及び電流特性をもたらし、システム800の動作時に可変出力制御を可能にする。電源804、例えばAC対DC電力や最大電力等に関する具体的な要件と電力レベルの手動対自動制御や電力調整やプログラムされたランプ及び設定点や温度検出能力等は、装置800に関する特定用途の要件に依存する。電源と制御回路のタイプの決定に特に重要なのが、液体特性と所望気化率と所要制御精度と予想システムコストである。
【0049】
一般に、本発明の毛管力気化器システムとの使用のための電源とコントローラと回路からなる個々の部品は当業者には良く知られたものであろう。連続するデューティサイクルを用いて極めて大流量で装置を動作させたり、緻密な可変出力制御が望まれるときは、AC給電回路が最も好ましい。多くのケースでは、110V又は220V交流壁コンセントによる給電を使用することができる。制御回路810は、必要な線間電圧降圧及び/又は電力調整を行って毛管力気化器モジュール610を動作させることができる。
【0050】
制御回路810は各種の公知の電子方法で構成でき、例えば当業者には理解することのできるパルス幅変調を特徴とする電位差計やデジタル回路内に見られる種のアナログ回路を含む。他用途では、壁コンセントに差し込んで毛管力気化器にも接続する別個の電源ユニットを要素804用に用いることができる。さらに別の実施形態では、電源804はバッテリ等の1以上の内蔵電源で構成することができる。この種の電源の例には、必ずしも限定はしないが、他の使い捨て或いは再充電可能な電池同様、9ボルト電池やDセルやニッケル−カドミウム(Ni−Cd)電池やリチウム−イオン(Li−ion)電池、加えてそれらの任意の組み合わせが含まれる。例えば低流量すなわち蒸気802の短いパルス或いはバーストを含む間欠的デューティサイクルしか必要としない用途、或いは装置の可搬性が望ましいときは、バッテリ電源が好ましい。この種の場合、有用な電池寿命と安定したシステム動作を提供するため、当業者には公知の簡単な容量性放電時限回路を採用することができる。
【0051】
関連技術において当業者には明白であるように、本発明の毛管力気化器と毛管力気化器システムのしかるべき実装では、電源804とコントローラ806と通信リンク808とを単独で或いは組み合わせて、本発明毛管力気化器モジュールへ直接的或いは遠隔的のいずれでも取り付けることのできる単体ユニットへ組み込むことが望ましい。すなわち、本願明細書にて開示した毛管力気化器システムのさらに別の実施形態では、毛管力気化器モジュールと液体供給源と電源と制御回路とからなるシステム全体を単一の組立体内に全て一体化することができる。本発明毛管力気化器を組み込んだシステムの各種実施形態と実施例とを、下記の例によりさらに例示する。
【0052】
実施例1
図4に示す如く本発明の実施形態に従い、毛管力気化器モジュールを製造した。多孔質部材102の直径は19mmであり、その肉厚は1mmとした。装置の外径は、約30mmとした。多孔質部材と絶縁体部品は、公知の技法を用いて高多孔質アルミナから製作した。例えば、特許文献5(米国特許第6,585,509号)と特許文献6(米国特許第6,634,864号)を参照されたい。気化器材料は、約1ミクロン(μm)の平均孔寸法と約80%の全多孔率とを有するものとした。絶縁体部品は、約20μmの平均孔寸法と約80%の全多孔率を有するものとした。熱交換機部品は、ほぼ96%濃度のアルミナ酸化物から製造し、材料と設計ならびに製造方法は先行技術CFV装置のオリフィス部品の製造に使用したものと同様とした。
【0053】
実施例1の外部ハウジングは、上部及び下部ハウジング部分から出来ており、標準的な機械加工法によりテフロン(登録商標)プラスチックから形成した。装置400堆積層部品の残る要素は、外部ハウジング内に挿入したときに緊密な摩擦嵌合を提供するに適した寸法としてあり、それによって作動中の堆積層部品間での緊密な接触を保証してある。先行技術と対照した本発明の実施形態にのみ帰すことのできる性能改善の直接比較を可能にする目的に合わせ、実施例1の多孔質部材と断熱部品と液体供給部品は比較対照する先行技術装置に使用したものと実質等価とした。
【0054】
本発明装置に使用する電気抵抗ヒータは、約300ワット/平方インチ(46.5ワット/cm)の最大電力密度を有する薄膜抵抗型ヒータとした。本実施例の比較対照先行技術装置へ外部から熱を供給するのに、同一のヒータを用いた。
【0055】
実施例1の毛管力気化器モジュールはコンピュータインタフェースを介してソフトウェアプログラムにより制御する200ワット電源に接続し、かくして図8に示す一体型毛管力気化器システムを形成した。試験液体として蒸留水を用いることで、本発明の装置を首尾よく動作させ、広範囲な電力設定に対し安定した水蒸気噴流を生成した。この装置を約20ワットから10ワット刻みで約150ワットの最大の達成可能電力レベルまで動作させ、装置の性能を記録した。装置の出力流量は試験範囲に亙り印加した電力とともに線形に増大させたが、装置底部の温度計測値は液体源内へ熱が一切下流伝搬しなかったこと、すなわち安定した毛管力気化器動作に関する要件を示した。
【0056】
本発明装置の性能を、そこで特許文献6(米国特許第6,634,864号)に記載された先行技術の毛管ポンプのそれと比較した。比較目的に前記した如く、先行技術装置は実質同一の多孔質材料部品と物理的寸法を有していたが、薄いガラス層からなるガラス質板ガラスと併せ保持し、不透過性周縁シールを形成した。先行技術装置はオリフィス部品の上(外)面に同一の電気抵抗ヒータを配置することでほぼ同一電力で作動させた。二つの装置について得られた比較結果が、表1に示してある。
【0057】
【表1】

【0058】
本発明装置は全ての範疇において改善された性能を呈しており、表1の末尾の入力欄に示した如く、先行技術装置の亀裂/信頼性の課題は完全に取り除かれている。
【0059】
実施例2aと2b
図5Aに示す本発明の実施形態に従い、毛管力気化器モジュールを製造した。図5Aのそれぞれ502,504に対応する外部及び内部ハウジングは共に、実施例2aでは、アルミニウム金属から機械加工し、部品を併せ保持するのに簡単な固定ネジを使用した。本実施例の毛管力気化器モジュールはコンピュータインタフェースを介してソフトウェアプログラムにより制御する200ワット電源へ接続し、かくして図8に示す一体型毛管力気化システムを形成した。試験液体として蒸留水を用いることで、この装置を前記実施例1同様の幅広い電力設定に亙り首尾よく動作させ、性能特性を記録した。計測誤差の範囲内で、装置性能特性は最大の外面温度を内部ハウジング504の周縁と頂部近傍で計測した点を除き、表1に示した如く、実施例1の本発明装置のものと実質同一であることが判った。
【0060】
実施例2aの装置は、固定ネジを緩めて二つのハウジング部品を切り離し、個別部品を全て取り除くことで分解した。積層部品は、簡単に取り除き、検査した。電気抵抗ヒータと多孔質部材は新規の実質同一の部品と交換し、この装置を再組み立てして実施例2bを提供した。実施例2bと同一条件下での再組立と試験の反復時に、装置性能特性が解体前の実施例2aのもので表1に提示された結果に整合するだけでなく、実施例1の本発明装置に図示したものと実質同一であることが再び計測誤差範囲内で判明した。比較に際し、先行技術のシール済み毛管ポンプは同様に分解し再組立できないことに留意されたい。
【0061】
実施例3
次に、図7に示した全気化システムは下記の如く組み立てた。液体供給部品は、実施例2bの毛管力気化器から取り除いてある。同一材料から作成される特注適合液体供給部品を加工し、液体供給要素の一端を可撓性重力給送貯槽へ接続したポリエチレン液体供給ホースの端部へ直接適合させてある。液体供給部品の他端を加工して毛管力気化器の底部へ直接適合させ、完全に組み立てたときに、液体供給部品を用いて液体供給ホースへ毛管力気化器を直接接続してシステムを併せ保持した。
【0062】
実施例3のシステム及び装置は、実施例1の条件と同じ範囲に亙りかつ計測誤差範囲内で首尾よく動作しており、その性能特性は分解前の実施例2aだけでなく実施例1にも関する表1に先に示したものと実質同様であった。先行技術の毛管力気化器を使用したのでは極めて高い外面温度と液体供給ホースとの有益な接続を為すことが出来ないが故に、比較対照システムを組み立てて試験することは不可能であった。
【0063】
実施例4
毛管力気化器モジュールを、図5に示す本発明の実施形態に従い製造した。本実施例では、多孔質部材の径は実施例1に記載した本発明装置に使用する19mm径とは対照的に30mmへ増大させてある。他の部品の寸法は30mmの多孔質部材に対応するよう適当な寸法を持たせてあり、装置は実施例1と同じ仕方で組み立てて試験した。
【0064】
本例の毛管力気化器モジュールはコンピュータインタフェースを介してソフトウェアプログラムにより制御される200ワット電源へ接続し、かくして図8に示す一体化毛管力気化器システムを形成した。試験液体として脱イオン化水を用いることで、広範囲の電力設定に亙り装置を首尾よく作動させ、その性能を特性解明した。
【0065】
この装置について達成される流量は、約30ワットの電力レベルで0.6±0.1g/分であった。同じ方法で試験したときに、先行技術装置は30ワットの電力レベルで0.5±0.1g/分の流量を達成した。本発明装置は脆弱な周縁シールを持たないため、恐らく任意の径の装置を製造し、失敗なく確実に動作させることができる。本毛管力気化器の多孔質部材の表面全体に印加する十分な電力密度を用いることで、入力電力全体に比例する蒸気流量が期待される。
【0066】
実施例4中、本発明の30mm径の装置は200ワットで4.4±0.2g/分の流量を生成し、それは利用可能な電源の限界であった。この流量は実施例4の装置が取り扱い可能な最大値ではないため、より大きな電源がさらに大きな流量を達成できることは想像することができる。すなわち、本発明の毛管力気化器に関する信頼性懸念に基づく装置に対する実用上の限界は全く存在しないようである。脆弱な周縁シールの亀裂や時機尚早の不調を伴なうことなく、約19mmを上回る先行技術装置を製造し或いは動作させることは不可能である。その結果、約19mmを上回る直径を有する先行技術の装置に関する流量は計測できず、本実施形態に比肩する流量は達成できない。実施例4はかくして、実質より大きな寸法、すなわち先行技術装置に比べより大きな多孔質部材表面積と付随するより高い出力流量能力とを有する実用的な毛管力気化器を作成する能力を実証するものである。それ故にある意味では、CFV用に熟慮した寸法は利用可能な電源の給電能力により制限することができる。
【0067】
本発明は、具体的な実施形態と図と表と実施例とを参照して前記に詳しく説明してきた。この具体的実施形態は本発明範囲を狭めるものと解釈してはならず、むしろ例示実施例として解釈すべきである。本願明細書にて考察した本発明の広義の範囲から逸脱することなく材料や製造方法や用途同様、前記した毛管力気化器モジュールやシステムに対し様々な改変と置換が可能であることは、さらに理解されたい。本発明は、特許請求の範囲にさらに説明し記載してある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態になる毛管力気化器の概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態になる毛管力気化器の概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態になる毛管力気化器の概略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態になる毛管力気化器の概略断面図である。
【図5A】本発明の第5の実施形態になる毛管力気化器の概略断面図である。
【図5B】図5Aに示した毛管力気化器の上面図である。
【図6】本発明の第6の実施形態になる毛管力気化器の概略断面図である。
【図7】本発明の第7の実施形態になる毛管力気化器システムの概略断面図である。
【図8】本発明の第8の実施形態になる毛管力気化器システムの概略断面図である。
【符号の説明】
【0069】
100 毛管力気化器
102 多孔質部材
104 ヒータ部品
106 蒸気閉じ込め領域
116 オリフィス
200,300,400,500,600,700 装置
202 ハウジング部品
302 液体給送面
306 液体供給部品
308 断熱部品
318 ばね部品
322 リード
324 電気的貫通部品
326 支持体絶縁器
406 接点
408 熱交換器
410 流路
414,418 ハウジング部品
420 容積
502 外部ハウジング
504 内部ハウジング
508 機械力発生導体
510 離散的位置
512 取り付け領域
602 貯槽
604 液体
606 嵌合境界
608 芯部品
610 上部組立体
702 液体供給部品
708 アダプタ
712 乾燥空気
714 加湿空気
804 電源
806 コントローラ
808 通信リンク
810 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を気化させて蒸気を加圧する装置であって、
a.毛管網と液体を受容する面と前記液体から蒸気を生成する気化領域とを含む多孔質部材と、
b.前記多孔質部材へ熱を伝えるヒータ部品と、
c.前記蒸気を収集し加圧する蒸気閉じ込め領域と機械力発生体と少なくとも一つの蒸気放出用オリフィスとを含む蒸気閉じ込め部品と、を備え、
前記機械力発生体は前記多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品の外部にあって、前記多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品との間に圧縮力を供給する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
削除
【請求項3】
前記圧縮力は弾性部材の撓みによる、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記機械力発生体は、円錐座金と波形座金と屈曲板ばねとコイルばねとを含む機械ばね及びばね系及びクランプと、摩擦嵌合体と、スナップクロージャーと、差し込み式装着体と、ネジ式クロージャーと、捩りロッククロージャーと、溶着と、化学的、物理的又は機械的な接着と、焼結と、化学反応と、加えてそれらの任意の組み合わせの中から選択することができる、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記多孔質部材の多孔率は25%乃至95%の間、好ましくは30%乃至90%の間、最も好ましくは35%乃至85%の間とした、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記機械力発生体は2×10kg/m−秒(2.9×10ポンド/平方インチ)を上回る弾性係数を呈する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
液体を気化させて蒸気を加圧する装置であって、
a.毛管網と液体を受容する面と前記液体から蒸気を生成する気化領域とを含む多孔質部材と、
b.前記多孔質部材へ熱を伝えるヒータ部品で、さらに熱交換器を任意選択的に備える前記ヒータ部品と、
c.蒸気閉じ込め領域で、前記蒸気を収集し加圧する蒸気閉じ込め領域と機械力導体と少なくとも一つの蒸気放出用オリフィスとを含む前記蒸気閉じ込め部品とを備え、
前記機械力導体は前記多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品の外部に位置し、前記多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品との間に、圧縮力に加え電気接続を与える、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
削除
【請求項9】
前記圧縮力は弾性部材の撓みによる、請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記機械力導体は、円錐座金と波形座金と屈曲板ばねとコイルばねとを含む機械ばね及びばね系及びクランプと、摩擦嵌合と、スナップクロージャーと、差し込み式装着体と、ネジ式クロージャーと、捩りロッククロージャーと、レーザ溶着と、化学的、物理的又は機械的な接着と、焼結と、化学反応と、加えてそれらの任意の組み合わせの中から選択することができる、請求項7記載の装置。
【請求項11】
前記多孔質部材の多孔率は25%乃至95%の間、好ましくは30%乃至90%の間、最も好ましくは35%乃至85%の間とした、請求項7記載の装置。
【請求項12】
前記機械力導体は少なくとも2×10kg/m−秒(2.9×10ポンド/平方インチ)の弾性係数を呈する電導体として特徴付けられる、請求項7記載の装置。
【請求項13】
削除
【請求項14】
前記機械力導体はさらに、多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品とを含む積層組立体の径方向両端に配置した電気接続体を備える、請求項7記載の装置。
【請求項15】
前記機械力導体は、金属チタンおよび金属ニッケルならびにその金属合金と、高炭素鋼およびステンレス鋼と、プラスチックと、加えてそれらの任意の組み合わせの中から選択した材料で構成した、請求項7記載の装置。
【請求項16】
削除
【請求項17】
削除
【請求項18】
液体を気化させて蒸気を加圧する方法であって、
a.毛管網と液体を受容する面と前記液体から蒸気を生成する気化領域とを含む多孔質部材を配設する工程と、
b.熱交換器を任意に含む、前記多孔質部材へ熱を伝えるヒータ部品を配設する工程と、
c.前記蒸気を収集し加圧する蒸気閉じ込め領域と機械力導体と少なくとも一つの蒸気放出用オリフィスとを含む蒸気閉じ込め部品を配設する工程と、を含み、
前記機械力導体が、前記多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品の間に圧縮力を供給するものであって、それらの外部に位置する、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
多孔質部材とヒータ部品と蒸気閉じ込め部品とを備える液体を気化させ蒸気を加圧する毛管装置において、前記多孔質部材とヒータ部材と蒸気閉じ込め部材の間の圧縮力に加え、それらの外部への電気接続をもたらす機械力導体が含まれる、ことを特徴とする装置。
【請求項20】
前記圧縮力は、弾性部材の撓みによる、請求項19記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−545943(P2008−545943A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512396(P2008−512396)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/018696
【国際公開番号】WO2006/124757
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507378536)ベイポーア・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VAPORE INCORPORATATED
【住所又は居所原語表記】1000 Atlantic Avenue, Suite 108, Alameda, California 94501, United Stated of America