説明

改装サッシ及びサッシの改装方法

【課題】精度良く取り付けられ施工性に優れた改装サッシ等を提供することにある。
【解決手段】面材が嵌め込まれたFIX窓用の既設サッシが有する既設枠に固定される改装枠と、前記改装枠に取り付けられる障子と、を有し、前記改装枠は、前記面材が取り外された前記既設サッシの前記既設枠において前記面材を室外側から支持していた面材支持部にて位置決めされて、前記既設枠が固定されている躯体に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FIX窓用の既設サッシを改装するための改装サッシ及びサッシの改装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口に設けられた既設サッシの中には、開閉不能にガラスが嵌め込まれたFIX窓用のサッシがある。また、既に設けられているFIX窓を開閉可能な窓に改装することを希望される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サッシの改装は、居住している住戸の窓を改装する場合があるため、短時間で仕上げることが要求され、また、室内外を連通する部位なので、精度良く取り付けることが要求されるという課題がある。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、精度良く取り付けられ、且つ施工性に優れた改装サッシ、及び、サッシの改装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の改装サッシは、面材が嵌め込まれたFIX窓用の既設サッシが有する既設枠に固定される改装枠と、前記改装枠に取り付けられる障子と、を有し、前記改装枠は、前記面材が取り外された前記既設サッシの前記既設枠において前記面材を室外側から支持していた面材支持部にて位置決めされて前記既設枠が固定されている躯体に固定されることを特徴とする改装サッシである。
【0006】
FIX窓用の既設枠において面材を室外側から支持していた面材支持部は、面材の単一の面を支持するので、既設枠の全周に渡って同一平面をなすように形成されている。上記改装サッシの改装枠は、面材が取り外された既設サッシの面材支持部にて位置決めされるので、既設枠の同一平面をなす部位にて容易にかつ精度良く位置決めされる。特に、改装枠が位置決めされる面材支持部は、重量のある面材を支持するだけの強度を備えているので、変形しにくく精度を保ちやすい。このため、改装枠を精度良くかつ容易に位置決めして躯体に固定することが可能である。
【0007】
かかる改装サッシであって、前記既設枠に固定され、前記面材支持部に当接される既設枠当接部と、前記改装枠が当接される改装枠当接部と、を有する連結部材に前記改装枠が固定されることが望ましい。
このような改装サッシによれば、連結部材は面材当接部材に当接されて既設枠に固定されているので、連結部材は面材当接部を基準として既設枠に対して位置決めされて固定される。そして、改装枠は、面材当接部を基準として既設枠に対して位置決めされて固定された連結部材の改装枠当接部に当接されるので、連結部材を介して既設枠に対して位置決めされる。このため、改装枠を確実に精度良く既設枠に位置決めして躯体に固定することが可能である。
【0008】
かかる改装サッシであって、前記面材支持部と、前記既設枠当接部とは、前記既設枠当接部が当接される前記面材支持部の当接面と直交する方向に進入する固定具にて固定されることが望ましい。
このような改装サッシによれば、面材支持部は面材を室外側から支持する部位なので、面材支持部の当接面と直交する方向に進入する固定具により既設枠当接部が固定されると連結部材と面材支持部とが確実に当接されて位置決めできるとともに、より強固に固定することが可能である。
【0009】
かかる改装サッシであって、前記改装枠に固定され、室内に臨む室内側面と、前記躯体側に向く躯体側面とが表裏一体をなす躯体対向部を有するアタッチメントを有し、前記改装枠は前記躯体対向部を貫通するビスにて前記躯体に固定されることとしても良い。
このような改装サッシによれば、改装枠に固定されるアタッチメントは室内に臨む室内側面と、躯体側に躯体対向面とが表裏一体をなす躯体対向部を有しているので、改装枠に固定されたアタッチメントが躯体対向部を貫通するビスにより躯体に取り付けられることにより、改装枠を強固に躯体に固定することが可能である。
【0010】
かかる改装サッシであって、前記改装枠は、前記既設枠の内周側に室内側から挿入されて、室内側から固定されることが望ましい。
このような改装サッシによれば、改装枠は、既設枠の内周側に室内側から挿入され、室内側から固定されるので、室内の安定した場所にて施行することが可能である。また、改装枠の挿入方向と固定方向とが同一なので、室内側からだけの作業で改装することが可能である。このため、施工性に優れた改装サッシを提供することが可能である。
【0011】
また、室内外を連通する開口に設けられたFIX窓用の既設サッシを改装するサッシの改装方法であって、前記既設サッシに備えられた面材を取り外す面材除去工程と、前記面材が取り外されて残存し前記面材を室外側から支持していた面材支持部にて、新たに取り付ける改装サッシの改装枠を位置決めする改装枠位置決め工程と、前記改装枠を固定する固定工程と、を有することを特徴とするサッシの改装方法である。
【0012】
面材が取り外された既設サッシの既設枠において面材を室外側から支持していた面材支持部は、面材の単一の面を支持するので、既設枠の全周に渡って同一平面をなすように形成されている。このため、上記のサッシの改装方法によれば、改装枠が面材支持部にて位置決めするので、既設枠の同一平面をなす部位にて精度良く位置決めすることが可能である。また、改装枠が位置決めされる面材支持部は、重量のある面材を支持するだけの強度を備えているので、変形しにくく精度を保ちやすい。このため、改装枠を精度良くかつ容易に位置決めして躯体に固定することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、精度良く取り付けられ、且つ施工性に優れた改装サッシ及びサッシの改装方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る既設サッシ及び改装サッシを説明するための縦断面図である。
【図2】本実施形態に係る既設サッシ及び改装サッシを説明するための横断面図である。
【図3】改装サッシの改装方法を説明するための縦断面図である。
【図4】改装サッシの改装方法を説明するための横断面図である。
【図5】複層ガラスが設けられたFIX窓に対応した上連結部材を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る改装サッシ、及び、サッシの改装方法について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の改装サッシ10は、図1、図2に示すように、縦辷出し窓用のサッシであり、室内外を連通する開口2に既に設けられており面材としてのガラス58が嵌め込まれたFIX窓用の既設サッシ50が有する既設枠51に連結部材30、31、33を介して固定される改装枠20と、改装枠20に開閉自在に設けられた改装障子12と、改装障子12の室内側に設けられた横引き網戸14と、を有している。
【0017】
以下の説明においては、既設サッシ50が有し建物に既に設けられている既存の既設枠51と、新たに取り付けられる改装サッシとが登場するが、同じ名称を有する部位、部材にて、わかりにくい場合には、各名称の前に「既設」または「改装」を付して説明する。例えば、既設枠が有する下枠や縦枠等は、既設下枠、既設縦枠等とし、改装サッシが有する縦枠や障子等は、改装縦枠、改装障子等として説明する。
【0018】
また、以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の既設枠51及び改装サッシ10を屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、改装サッシ10が備える各部材は、単体の状態であっても開口に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。また、開口2の上部に取り付けられる枠部材の下側、開口2の下部に取り付けられる枠部材の上側、開口2の左側に取り付けられる枠部材の右側、開口2の右側に取り付けられる部材の左側は、開口の中央側とし、反対側を開口2の外側または外方として示す。
【0019】
既設枠51は、既設上枠52、既設下枠53、左右の既設縦枠54が矩形状をなすように躯体3に固定されている。既設上枠52には、躯体3に固定される上固定ヒレ52aと、上固定ヒレ52aの下端に設けられほぼ水平な面をなす上面板部52bと、上固定ヒレ52aより室外側にて上面板部52bから垂設された上外面材支持部52cと、上固定ヒレ52aから下方に延出された部位と繋がって上固定ヒレ52aより僅かに室内側にて設けられた上内面材支持部52dと、を有している。
【0020】
上外面材支持部52cは、下端部に室内側に開放された凹部52eを有しており、凹部52eにはガラス58の室外側の面に当接されるシール材60が嵌合されている。上内面材支持部52dの下端は、上外面材支持部52cの下端と同じ位置にて室外側に延出された上枠延出部52gを有し、上枠延出部52gの室外側の端部には上外面材支持部52cと見込み方向に間隔を隔てた位置にて上方に立ち上がる立上部52fが形成されている。そして、ガラス58は上外面材支持部52cと上内面材支持部52dとの間に介在され、上外面材支持部52cの凹部52eに設けられたシール材60、ガラス58と立上部52fとの間に挿入されたビード61により狭持されている。ここで、凹部52eが既設上枠52における面材支持部に相当し、凹部52eの室内に臨む面52hが面材支持部の当接面に相当する。
【0021】
既設下枠53は、躯体3に固定される下固定ヒレ53aと、上外面材支持部52cと上下方向においてに対向する位置に設けられ、上外面材支持部52cの室外側の面と同一平面を形成する下外面材支持部53bと、上内面材支持部52dと上下方向においてに対向する位置にて下外面材支持部53bと見込み方向に対向する位置に設けられた下内面材支持部53cとを有している。
【0022】
下外面材支持部53bは、上端部に室内側に開放された凹部53dを有しており、凹部53dにはガラス58の室内側の面に当接されるシール材60が嵌合されている。下内面材支持部53cの上端は、下外面材支持部53bの上端と同じ位置にて室外側に延出された下枠延出部53eを有し、下枠延出部53eの室外側の端部には下外面材支持部53bと見込み方向に間隔を隔てた位置にて下方に垂設された垂壁部53fが形成されている。そして、ガラス58は下外面材支持部53bと下内面材支持部53cとの間に介在され、下外面材支持部53bの凹部53dに設けられたシール材60、ガラス58と垂壁部53fとの間に挿入されたビード61により狭持されている。ここで、凹部53dが既設下枠53における面材支持部に相当し、凹部53dの室内に臨む面53gが面材支持部の当接面に相当する。
【0023】
左右の既設縦枠54の形状及びガラス12の支持方法は同じなので、ここでは、室内側から見て左側に位置する既設縦枠54を例に挙げて説明する。左の既設縦枠54は、躯体3に固定される側固定ヒレ54aと、側固定ヒレ54aの右端、すなわち開口2の中央側の端に設けられ見込み方向に沿う面を有する中央面板部54bと、側固定ヒレ54aより室外側にて中央面板部54bから開口2の中央側に突出され上外面材支持部52c及び下外面材支持部53bの室外側の面と同一平面を形成する側外面材支持部54cと、中央面板部54bの中央側に設けられ側外面材支持部54cより室内側に設けられガラスを支持する押縁55が嵌合される押縁嵌合部54eとを有している。側外面材支持部54cは、右端部に室内側に開放された凹部54dを有しており、凹部54dにはガラス58の室外側の面に当接されるシール材60が嵌合されている。そして、ガラス58は側外面材支持部54cと押縁55との間に介在され、側外面材支持部54cの凹部54dに設けられたシール材60、押縁嵌合部54eに嵌合された押縁55との間に挿入されたビード61により狭持されている。ここで、凹部54dが既設縦枠54における面材支持部に相当し、凹部54dの室内に臨む面54fが面材支持部の当接面に相当する。
【0024】
本実施形態の改装サッシ10は、既設サッシ50の既設枠51に嵌め込まれたガラス58と、ガラス58を室内外から狭持していたシール材60及びビード61が取り外された既設枠51に連結部材30、31、33を介して改装枠20が取り付けられている。
【0025】
改装サッシ10の改装枠20は、改装上枠21、改装下枠22、左右の改装縦枠23が矩形状をなすように枠組されている。
【0026】
改装上枠21は、ほぼ水平面をなす上板部21aと、上板部21aの見込み方向におけるほぼ中央と、室内側とから垂設された中央垂板部21b及び室内側垂板部21cと、中央垂板部21bの下端及び室内側垂板部21cの下端を連結する下連結部21dと、上板部21aの室外側の先端にて下方に垂設された外垂部21eと、下連結部21dが室内側に延出された延出部21fと、延出部21fの室内側の端部に設けられ鉛直な面を形成して額縁6に当接される上額縁当接部21hとを有している。
【0027】
延出部21fの下面には、上側の額縁6の室外側の縁部を覆いビス止めされる上額縁カバー25が嵌合される上嵌合片21gが設けられている。上額縁カバー25は、上嵌合片21gと嵌合する嵌合部25aと、嵌合部25aから室内側に延出されて上側の額縁6の下面に当接される額縁カバー部25bと、嵌合部25aの室外側の縁から垂設され改装サッシ10の改装障子12が当接される障子上当接部25cとを有している。障子上当接部25cの下端には、室外側に開放された凹部25dが形成されており、凹部25dには改装障子12に当接されるシール材60が嵌合されている。
【0028】
改装上枠21は、既設上枠52に上連結部材30を介して固定されるとともに、躯体3に上アタッチメント37を介して固定されている。
【0029】
上連結部材30は、既設上枠52の上枠延出部52gと、既設サッシ50用の額縁6aとの間に介在された飼い木65とに当接されてビス止めされる既設上枠固定部30aと、既設上枠固定部30aの室外側の端より僅かに室内側にて下方に垂設された下規制片30bと、下規制片30bより僅かに室内側にて上方に立設された上規制片30dと、を有している。下規制片30bは下端部に室内側に突出された内突起30cを有し、上規制片30dは上端部に室外側に突出された外突起30eを有している。
【0030】
上アタッチメント37は、上額縁当接部21hに室内側から当接されてビス止めされる板状の枠体固定板部37aと、枠体固定板部37aの上端から延出され上方に向かって室内側に傾斜する傾斜板部37bを有している。傾斜板部37bは、枠体固定板部37aが上額縁当接部21hにビス止めされると、一方の面が室内に臨む室内側面37cとなり、他方の面が躯体側、具体的には飼い木65に臨む躯体側面37dとなる躯体対向部に相当する。
【0031】
改装下枠22は、ほぼ水平面をなし改装障子12が支持される支持板部22aと、支持板部22aの見込み方向における両端部から垂設された外垂板部22b及び内垂板部22cと、外垂板部22b及び内垂板部22cの下端を連結するとともに室外側に延出される連結延出部22dと、連結延出部22dを上面として連結延出部22dの下側に設けられた下中空部22eと、内垂板部22cの上端部と断熱材を介して室内側に延出された下延出部22fと、下延出部22fの室内側の端部に設けられ額縁6の室外側の面と対向し上面に当接される下額縁当接部22gと、を有している。連結延出部22dは、下中空部22eより室外側に延出されており、室外側の先端には、後述する下連結部材31と係合する鉤状部22iが設けられている。下延出部22fの室外側の端には、上方に立設されて下側の額縁6の室外側の縁部を覆いビス止めされる下額縁カバー26と係合する下係合部22hが設けられている。下額縁カバー26は、下係合部22hと係合し室外側にて下係合部22hに沿って立ち上がった係合縦壁部26aと、下側の額縁6の上面に当接される下額縁当接部26bと、を有し、下額縁当接部26bからほぼ水平に室外側に延出された部位が係合縦壁部26aの上端と繋がっている。即ち、係合縦壁部26aと下額縁当接部26bとはほぼL字状をなしている。また、係合縦壁部26a上端部には、室外側に開放された凹部26cが形成されており、凹部26cには改装障子12に当接されるシール材60が嵌合されている。
【0032】
改装下枠22は、既設下枠53に下連結部材31を介して固定されるとともに、躯体3に下アタッチメント38を介して固定されている。
【0033】
下連結部材31は、改装下枠22の連結延出部22dに下方からビス止めされる改装枠固定部31aと、改装枠固定部31aが室外側に延出されて改装下枠22の鉤状部22iより室外側に突出された突出延出部31bと、突出延出部31bの室外側の縁部より僅かに室内側の位置から垂設されて既設下枠53の凹部53dに当接される凹部当接部31cとを有している。突出延出部31bは、改装枠固定部31aが延出されて改装下枠22の鉤状部22iに至る前に段部31dを有しており、段部31dの下面が、既設下枠53の下枠延出部53eに載置されるように構成されている。また、突出延出部31bの凹部当接部31cより室外側の部位は、既設下枠53の凹部53d上に載置され、凹部当接部31cの室外側の面が室内側から既設下枠53の凹部53dに当接されて室外側からビス止めされる。また、突出延出部31bの上面には凹部当接部31cより室内側に鉤状部22iと係合される下係合片31eが設けられている。
【0034】
下アタッチメント38は、下額縁当接部22gに室内側から当接されてビス止めされる板状の下枠固定板部38aと、下枠固定板部38aの下端から延出され下方に向かって室内側に傾斜する傾斜板部38bを有している。傾斜板部38bは、下枠固定板部38aが下額縁当接部22gにビス止めされると、一方の面が室内に臨む室内側面38cとなり、他方の面が躯体側、具体的には飼い木65に臨む躯体側面38dとなる躯体対向部に相当する。下アタッチメント38は、上アタッチメント37と同一の部材であっても良い。
【0035】
改装縦枠23は、既設枠51の中央面板部54bとほぼ平行に配置される内周壁部23aと、内周壁部23aの室外側の端部に設けられ後述する側連結部材33と係合する係合片23bと、内周壁部23aの室内側の端部に設けられ内周壁部23aと直交する面を形成して額縁6に当接される側額縁当接部23cと、内周壁部23aの見込み方向における中央より室外側の位置から開口2の中央側に突出された室外側障子当接部23dと、内周壁部23aの見込み方向における中央より室内側の位置から開口2の中央側に突出された室内側障子当接片23eと、内周壁部23aの見込み方向におけるほぼ中央の位置から開口2の外方側に突出された中央突出片23fと、を有している。室外側障子当接部23dは、室外側に向かって開放された凹部23gをなしており、凹部23gには改装障子12に当接されるシール材60が嵌合されている。内周壁部23aの右側、即ち開口2の中央側であって側額縁当接部23cと室内側障子当接片23eとの間には、額縁6の室外側の縁部を覆いビス止めされる側額縁カバー27が嵌合されている。側額縁カバー27は、額縁6の右面を覆う右カバー部27aと、額縁6の室外側の面を覆う外カバー部27bと、室内側障子当接片23eの室内側にて室内側障子当接片23eに沿って配置され室内側障子当接片23eの先端に係合された内側障子当接部27cと、外カバー部27bと内側障子当接部27cとの間を連結する連結部27dとを有している。内側障子当接部27cは、室内側障子当接片23eより開口2の中央側に突出されており、突出された先端部に室外側に向かって開放された凹部27fを有しており、凹部27fには改装障子12に当接されるシール材60が嵌合されている。
【0036】
改装縦枠23は、既設縦枠54に側連結部材33を介して固定されるとともに、躯体3に側アタッチメント39を介して固定されている。
【0037】
側連結部材33は、中央面板部54bと内周壁部23aとの間に改装され、水平断面が見込み方向に長い中空部をなす連結部本体33aと、連結部本体33aの室外側の壁部が右方向に延出された外側右延出部33bと、連結部本体33aの室内側の壁部が右方向に延出された内側右延出部33cと、連結部本体33aの既設縦枠54と対向する壁部が室内方向に延出された内方右延出部33dとを有している。外側右延出部33bの先端には内周壁部23aの室外側端の係合片23bと係合するフック部33eが設けられている。内側右延出部33cの先端は、改装縦枠23と側連結部材33とが組み合わされたときに内周壁部23aの既設縦枠54と対向する面に突き当たるように構成されている。内方右延出部33dは、室内側の端部が室内側に向かって躯体3側に傾斜する傾斜部33fが設けられている。
【0038】
側アタッチメント39は、側額縁当接部23cと内側右延出部33cの間に配置されて室内側から内側右延出部33cにビス止めされる板状の縦枠固定板部39aと、縦枠固定板部39aの左端から延出され室内側に向かって左側に傾斜する傾斜板部39bとを有している。傾斜板部39bは、縦枠固定板部39aが側額縁当接部23cにビス止めされると、一方の面が室内に臨む室内側面39cとなり、他方の面が躯体側、具体的には飼い木65に臨む躯体側面39dとなる躯体対向部に相当する。
【0039】
本改装サッシ10の改装方法は、図3、図4に示すように、改装サッシ10を取り付ける開口2に既に設けられているFIX窓用の既設サッシ50の既設枠51に嵌め込まれたガラス58と、ガラス58を室内外から狭持していたシール材60及びビード61を取り外す(面材除去工程)。そして、既設上枠52の上枠延出部52gに上連結部材30の既設上枠固定部30aの上面を当接させてビス止めするとともに、既設サッシ50用の額縁6aとの間に飼い木65を介在させて飼い木65、額縁6aとともに躯体3にビス止めする。このとき、上連結部材30が有する既設上枠固定部30aの上規制片30dより室外側の部位の上面を既設上枠52の凹部52eの下面に当接させるとともに、上規制片30dの外突起30eを既設上枠52の凹部52eを形成している室内側の面52hに室外側から当接させて位置決めする。ここで、上連結部材30においては、外突起30eが面材支持部に当接される既設枠当接部に相当する。
【0040】
改装サッシ10は、改装障子12を取り外して、改装上枠21には、上額縁カバー25を上係合片に21gに係合させるとともに上アタッチメント37を上額縁当接部21hにビス止めしておく。
【0041】
また、改装下枠22には、下額縁カバー26を下係合部22hに係合させ、改装枠固定部31aを下中空部22eの下面に当接させて下連結部材31を下方からビス止めするとともに、下アタッチメント38を下額縁当接部22gにビス止めする。このとき、鉤状部22iに下係合片31eを係合させて位置決めする。また、改装下枠22と下連結部材31との間には水密材66を介在させておく。ここで、下連結部材31においては、下係合片31eが改装枠20に当接される改装枠当接部に相当する。
【0042】
左右の改装縦枠23には、側額縁カバー27を改装縦枠23の側額縁当接部23cと室内側障子当接片23eとの間に嵌合してビス止めする。また、左右の側連結部材33には、側アタッチメント39の縦枠固定板部39aを内側右延出部33cに当接させてビス止めする。この状態で、側アタッチメント39の傾斜板部39bと側連結部材33の傾斜部33fとが重なるように構成されている。側アタッチメント39が固定された側連結部材33の外側右延出部33bの先端に設けられたフック部33eと改装縦枠23の係合片23bとを係合するとともに、側額縁当接部23cと縦枠固定板部39a及び内側右延出部33dとをビス止めする。ここで、側連結部材33においては、フック部33eが改装枠20に当接される改装枠当接部に相当する。
【0043】
そして、上額縁カバー25、下額縁カバー26、側額縁カバー27、下連結部材31、側連結部材33、上アタッチメント37、下アタッチメント38、側アタッチメント39、が取り付けられた改装枠20を、上連結部材30が取り付けられた既設枠51の内周側に挿入する。このとき、改装枠20は、下端側か上端側より室外側に位置するように傾斜させて既設枠51の内周側に進入させる。このとき、下連結部材31の凹部当接部31cを既設下枠53の凹部53dと垂壁部53fとの間に挿入して、改装枠20の上端側を室外側に移動させて、改装上枠21の外垂部21eの室外側の面を上連結部材30が有する下規制片30bの内突起30cに当接させて位置決めする。また、このとき、既設下枠53の凹部53dと垂壁部53fとの間に挿入した下連結部材31の凹部当接部31cの室外側の面を、凹部53dの室内側の面53gに当接させて位置決めするとともに、下連結部材31の突出延出部31bを既設下枠53の凹部53dと下枠延出部53e上に載置する。このとき、さらに左右の側連結部材33の外側右延出部33b及び連結部本体33aの室外側の壁部33gを既設縦枠54の凹部54dの室内側の面54fに当接させて位置決めする(改装枠位置決め工程)。ここで、ここで、下連結部材31においては、凹部当接部31cが面材支持部に当接される既設枠当接部に相当し、側連結部材33においては、連結部本体33aの室外側の壁部33gが面材支持部に当接される既設枠当接部に相当する。また、凹部53dの室内側の面53g及び凹部54dの室内側の面54fが面材支持部の当接面に相当する。
【0044】
改装枠20が既設枠51に対して位置決めされた状態にて、改装上枠21側では、上板部21aを上連結部材30の既設上枠固定部30aに、下方からビス63にて固定し、上アタッチメント37の室内側面37cから傾斜板部37bを貫通するビス62にて躯体3に固定する。改装下枠22側では、凹部当接部31cが当接されている既設下枠53の凹部53dの室外側から、凹部53dの室内側の面53gと交差する方向に進入する固定具としてのビス63にて凹部当接部31cを凹部53dに固定し、下アタッチメント38の室内側面38cから傾斜板部38bを貫通するビス62にて躯体3に固定する。改装縦枠23側では、外側右延出部33b及び連結部本体33aの室外側の壁部33gが当接されている既設縦枠54の凹部54dの室外側から、凹部54dの室内側の面54fと交差する方向に進入する固定具としてのビス63にて外側右延出部33b及び連結部本体33aを凹部53dに固定し、側アタッチメント39の室内側面39cから傾斜板部39bを貫通するビス62にて躯体3に固定する(固定工程)。このようにして、改装枠20が既設枠51に取り付けられる。このとき、必要に応じて、飼い木65を介在させる。
【0045】
改装枠20が既設枠51に取り付けた後に、既設サッシ50用の額縁6aを覆うように改装サッシ10用の額縁6を形成し、最後に改装障子12を取り付けて図1、図2のようにサッシの改装が完了する。
【0046】
本実施形態の改装サッシ及びサッシの改装方法において、改装枠20が位置決めされる基準となる、上外面材支持部52c、下外面材支持部53b、側外面材支持部54cは、ガラス58が取り外された既設サッシ50の既設枠51においてガラス58を室外側から支持していた部位である。即ち、ガラス58の単一の面(室外側の面)を支持していた部位なので、上外面材支持部52cが有する凹部52eの室内を臨む面52h、下外面材支持部53bが有する凹部53dの室内に臨む面53g、側外面材支持部54cが有する凹部54dの室内を臨む面54fは、既設枠51の全周に渡って同一平面をなすように形成されている。そして、改装サッシ10は、改装枠20が、これら凹部52eの室内を臨む面52h、凹部53dの室内に臨む面53g、凹部54dの室内を臨む面54fにて位置決めされるので、既設枠51が同一平面をなすように位置決めされる。また、改装枠20が位置決めされる上外面材支持部52cの凹部52e、下外面材支持部53bの凹部53d、側外面材支持部54cの凹部54dは、重量のあるガラス58を支持するだけの強度を備えているので、変形しにくく精度を保ちやすい。このため、改装枠20を精度良くかつ容易に位置決めして躯体3に固定することが可能である。
【0047】
具体的には、上連結部材30は凹部52eの室内を臨む面52hに、上規制片30dの外突起30eが当接されることにより既設枠51に対して位置決めされて固定される。下連結部材31は凹部53dの室内に臨む面53gに、凹部当接部31cが当接されることにより既設枠51に対して位置決めされて固定される。側連結部材33は側凹部54dの室内を臨む面54fに連結部本体33aの室外側の壁部33gが当接されることにより既設枠51に対して位置決めされて固定される。そして、改装枠20は、既設枠51に対して位置決めされて固定された上連結部材30の内突起30c、下連結部材31の突出延出部31b、側連結部材33のフック部33eにそれぞれ当接されるので、上連結部材30、下連結部材31、側連結部材33を介して既設枠51に対して精度良く位置決めされる。このため、改装枠20を確実に精度良く既設枠51に位置決めして躯体3に固定することが可能である。
【0048】
また、下外面材支持部53b及び側外面材支持部54cはガラス58を室外側から支持する部位なので、下外面材支持部53b及び側外面材支持部54cの当接面、即ち、凹部53d、54dの室内に臨む面53g、54fと直交する方向に進入するビス63により凹部当接部31c、33bが固定されると下連結部材31及び側連結部材33と下外面材支持部53b及び側外面材支持部54cとが確実に当接されて位置決めできるとともに、より強固に固定することが可能である。
【0049】
また、改装枠20に固定される上アタッチメント37、下アタッチメント38、側アタッチメント39は室内に臨む室内側面37c、38c、39cと躯体3側に向く躯体側面37d、38d、39dとが表裏一体をなす傾斜板部37b、38b、39bを有しているので、改装枠20に固定された上アタッチメント37、下アタッチメント38、側アタッチメント39が傾斜板部37b、38b、39bを貫通するビス62により躯体3に取り付けられることにより、改装枠20を強固に躯体3に固定することが可能である。
【0050】
また、改装枠20は、既設枠51の内周側に室内側から挿入され、室内側から固定されるので、室内の安定した場所にて施行することが可能であり、改装枠20の挿入方向と固定方向とが同一なので、施工性に優れた改装サッシ10を提供することが可能である。
【0051】
上記実施形態においては、既設サッシが単板のガラスを有する既設サッシを例に挙げて説明したが、複層ガラスが設けられているFIX窓用の既設サッシに改装サッシに改装しても良い。例えば、図5に示すように、複層ガラス59が上外面材支持部70と押縁71との間に介在されシール材60とビード61とにより支持されていた場合には、複層ガラス59、シール材60、ビード61を取り外した際の上外面材支持部70と押縁71との間隔が広くなる。このため、例えば上連結部材72に、押縁71と係合する係合部72aを見込み方向に間隔を隔てて複数の備えておき、既設上枠52に合わせて適宜係合部72aを切除して、上連結部材72を既設上枠52に嵌合しても良い。
【0052】
上記実施形態においては、改装枠20を、既設サッシ50にてガラスを室外側から支持していた既設枠51の凹部52e、53d、54dの室内に臨む面52h、53g、54fにて位置決めする例について説明したが、これに限るものではない。例えば、既設サッシ50にてガラスを室外側から支持していた既設枠51の凹部52e、53d、54dの室外に臨む面にて改装枠20を位置決めしても構わない。
【0053】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
2 開口、3 躯体、10 改装サッシ、12 改装障子、20 改装枠、
21 改装上枠、22 改装下枠、23 改装縦枠、30 上連結部材、
30c 内突起、30e 外突起、31 下連結部材、31c 凹部当接部、
31e 下係合片、33 側連結部材、33e フック部、
33g 連結部本体の室外側の壁部、37 上アタッチメント、37b 傾斜板部、
37c 室内側面、37d 躯体側面、38 下アタッチメント、38b 傾斜板部、
38c 室内側面、38d 躯体側面、39 側アタッチメント、39b 傾斜板部、
39c 室内側面、39d 躯体側面、50 既設サッシ、51 既設枠、
52 既設上枠、52e 凹部、52h 凹部の室内に臨む面、53 既設下枠、
53d 凹部、53g 凹部の室内に臨む面、54 既設縦枠、54d 凹部、
54f 凹部の室内に臨む面、58 ガラス、59 複層ガラス、62,63 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面材が嵌め込まれたFIX窓用の既設サッシが有する既設枠に固定される改装枠と、
前記改装枠に取り付けられる障子と、
を有し、
前記改装枠は、前記面材が取り外された前記既設サッシの前記既設枠において前記面材を室外側から支持していた面材支持部にて位置決めされて、前記既設枠が固定されている躯体に固定されることを特徴とする改装サッシ。
【請求項2】
請求項1に記載の改装サッシであって、
前記既設枠に固定され、前記面材支持部に当接される既設枠当接部と、
前記改装枠が当接される改装枠当接部と、
を有する連結部材に前記改装枠が固定されることを特徴とする改装サッシ。
【請求項3】
請求項2に記載の改装サッシであって、
前記面材支持部と、前記既設枠当接部とは、前記既設枠当接部が当接される前記面材支持部の当接面と直交する方向に進入する固定具にて固定されることを特徴とする改装サッシ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の改装サッシであって、
前記改装枠に固定され、
室内に臨む室内側面と、前記躯体側に向く躯体側面とが表裏一体をなす躯体対向部を有するアタッチメントを有し、
前記改装枠は前記躯体対向部を貫通するビスにて前記躯体に固定されることを特徴とする改装サッシ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の改装サッシであって、
前記改装枠は、前記既設枠の内周側に室内側から挿入されて、室内側から固定されることを特徴とする改装サッシ。
【請求項6】
室内外を連通する開口に設けられたFIX窓用の既設サッシを改装するサッシの改装方法であって、
前記既設サッシに備えられた面材を取り外す面材除去工程と、
前記面材が取り外されて残存し前記面材を室外側から支持していた面材支持部にて、新たに取り付ける改装サッシの改装枠を位置決めする改装枠位置決め工程と、
前記改装枠を固定する固定工程と、
を有することを特徴とするサッシの改装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate