説明

改装ドア

【課題】 内開き既設ドアを、そのドア本体を取り外して、既設ドア枠を用いて新設ドア本体を設置することによって外開き新設ドアに改装する。
【解決手段】 既設ドア枠2の室外側の躯体1に化粧枠4を囲繞配置し、該化粧枠4の吊元側縦枠に新設ヒンジ6を配置して、該新設ヒンジ6によって新設ドア本体3を外開き開閉自在に吊支持する。化粧枠4の室内側端部に気密材受41を配置し、該気密材受41を既設ドア枠2の見付面面内側端部に設置して、その気密材5を新設ドア本体3に対接して気密性を確保する。既設ドア枠2の室外側に新設ドア本体3を設置するから、既設ドア枠2開口より広面積にして任意の厚さの新設ドア本体3を用いて、良好な納まりと外観を備えた改装ドアAとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内開き既設ドアを外開きドアに改装した改装ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
内開き既設ドアの既設ドア本体を撤去することによって既設ドア枠を残存し、該既設ドア枠に新設ドア本体を配置することによって外開きの新設ドアとして改装したものとして、出願人は下記特許文献1を提案済みである。
【0003】
これによれば、既設ドア枠の広開口をなす室内側開口に設置した既設ドア本体を撤去し、該既設ドア枠の狭開口をなす室外側開口に新設ドア本体を該室外側開口内付状にして且つ外開き開閉自在に配置したものとされ、このとき該新設ドアの気密性は、例えば、新設ドア本体の室外側見付面から外周側に張出し突出した断面S字状の気密材支持枠を用いて、該新設ドア本体に設置した気密材を既設ドア枠の室外側見付面に対接自在とすることによって確保する一方、必要に応じて上記広開口の室内側開口に化粧部材を配置して、室内外の広狭差をなくして室内外をフラットな枠とするようにしたものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2010−173417号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、内開き既設ドアを外開きドアに改装することができるが、内開き既設ドア枠における広開口をなす室内側開口と狭開口をなす室外側開口は、その間の室内側に面する見付面の幅、例えば1.5cmの倍、即ち、縦横各3cm、室外側開口が小さく、また、室内側開口の見込は42mm、室外側開口の見込は38mmであるのが一般であるから、室外側開口に新設ドア本体を配置すると、該新設ドア本体を、既設ドア本体より高さ及び幅を3cm程度小さくしたものとする必要があり、改装によって既設ドア本体より縮小したものとなり、居住者に違和感を感じさせる可能性が残る。また、室外側開口の見込を上記38mmとすると、該室外側開口に納まりよく新設ドアを配置するには、新設ドア本体のドア厚を、例えば36mmとするように室外側開口の見込より小さくすることが良好な納まりを確保する上で好ましいが、例えば40mmのドア厚を有することによって断熱性、防音性において有利な新設ドア本体を用いた場合に、必ずしも常に良好な納まりを得られるとは限らない。更に、気密性を断面S字状の気密材支持枠を用いて、これに設置した気密材を既設ドア枠の室外側見付面に対接することによって確保するから、該気密材支持枠が新設ドア本体の外周に段部をなすように囲繞していることによって新設ドア本体の外観に影響することがあり、また、該気密材支持枠が外力を受けて変形すると、気密性の確保に影響する可能性もあり、内開き既設ドアを外開き新設ドアに改装するについては、これらの問題点を解決することが求められる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、新設ドア本体を可及的に広面積にして良好な外観を備え、既設ドア枠によるドア厚の制限を解消して新設ドア本体のドア厚を任意に設定するとともに既設ドア枠との間で新設ドア本体の良好な気密性を確保し得るようにして、内開き既設ドアを外開きドアに改装した改装ドアを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って本発明は、既設ドア本体を撤去して残存した内開き既設ドアの既設ドア枠に対して、新設ドア本体を、その室外側で外付状にして外開き開閉自在に配置し、既設ドア枠の室外側開口による縦横及び見付の寸法制約を解消するとともに気密性を、既設ドア枠の室外側見付面と新設ドア本体間に気密材を介設して確保することによって、内開き既設ドアを外開きドアに改装したものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、内開き既設ドアの既設ドア本体を撤去することによって既設ドア枠を残存し、該既設ドア枠から室外側持出し状に新設ドア本体を配置することによって改装した改装ドアであって、新設ドア本体を既設ドア枠の室外側開口より広面積の外付用に形成し、該新設ドアを既設ドア枠外付状にして外開き開閉自在に配置するとともに上記既設ドア枠の室外側見付面と新設ドア本体の外周間に気密材を介設することによって新設ドアの気密性を確保してなることを特徴とする改装ドアとしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、既設ドア枠と建物躯体の形態、即ち、既設ドア枠周りの躯体形態に応じて化粧枠を配置するとともに該化粧枠に新設ドア本体を収容配置することによって、新設ドア本体の好ましい納まりと良好な改装外観を確保し得るものとするように、これを、上記既設ドア枠の室外側に該室外側の建物躯体に内張り状に配置し又は該既設ドア枠の室外側突出状に化粧枠を配置し、該化粧枠によって区画した開口内に上記新設ドア本体を収容配置してなることを特徴とする請求項1に記載の改装ドアとしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、新設ドア本体を吊支持するために、既設ドア枠より室外側に持ち出し状に配置する新設ヒンジを、同様に既設ドア枠と建物躯体の形態に応じて、好ましい設置形態のものとするように、これを、上記化粧枠の吊元側に位置する縦枠を介して建物躯体に対して又は該吊元側に位置する縦枠に対して新設ヒンジを配置し、該新設ヒンジに新設ドア本体を吊支持してなることを特徴とする請求項2に記載の改装ドアとしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、気密性の確保を、可及的簡易にして安定且つ確実になし得る好ましい形態のものとするように、これを、上記化粧枠の室内側端部に一体又は別体の気密材受を配置し、該気密材受に気密材を室外側に向けて設置し、該気密材を新設ドア本体の室内側見付面外周に対接自在としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の改装ドアとしたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧枠に気密材受を配置し、該気密材受に気密材を設置することによって、気密性に影響することなく、これら気密材受と気密材の寸法を吸収し、新設ドア本体の既設ドア枠から室外側への出幅を抑制して納まり及び外観を損なう可能性を解消し得るものとするように、これを、上記新設ドア本体の室内側見付面外周に面外方向に段差をなすようにL字段部を配置し、該L字段部の見付面に対して上記気密材を対接自在としてなることを特徴とする請求項4に記載の改装ドアとしたものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、新設ドアを、断熱性と防音性に優れた好ましい形態のものとするように、これを、上記新設ドア本体を、ドア厚40mmとして形成してなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の改装ドアとしたものである。
【0013】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、既設ドア本体を撤去して残存した内開き既設ドアの既設ドア枠に対して、新設ドア本体を、その室外側で外付状にして外開き開閉自在に配置し、既設ドア枠の室外側開口による縦横及び見付の寸法制約を解消するとともに気密性を、既設ドア枠の室外側見付面と新設ドア本体間に気密材を介設して確保することによって、新設ドア本体を可及的に広面積にして良好な外観を備え、既設ドア枠によるドア厚の制限を解消して新設ドア本体のドア厚を任意に設定するとともに既設ドア枠との間で新設ドア本体の良好な気密性を確保し得るようにして、内開き既設ドアを外開きドアに改装した改装ドアを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、既設ドア枠と建物躯体の形態に応じて化粧枠を配置するとともに該化粧枠に新設ドア本体を収容配置することによって、新設ドア本体の好ましい納まりと良好な改装外観を確保し得るものとすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、新設ドア本体を吊支持するために、既設ドア枠より室外側に持ち出し状に配置する新設ヒンジを、同様に既設ドア枠と建物躯体の形態に応じて、好ましい設置形態のものとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、気密性の確保を、可及的簡易にして安定且つ確実になし得る好ましい形態のものとすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧枠に気密材受を配置し、該気密材受に気密材を設置することによって、気密性に影響することなく、これら気密材受と気密材の寸法を吸収し、新設ドア本体の既設ドア枠から室外側への出幅を抑制して納まり及び外観を損なう可能性を解消し得るものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、新設ドアを、断熱性と防音性に優れた好ましい形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】改装ドアの正面図である。
【図2】既設ドア枠と新設ドア本体の関係を示す横断面略図である。
【図3】改装ドアの縦断面図である。
【図4】改装ドアの横断面図である。
【図5】他の例に係る改装ドアの正面図である。
【図6】既設ドア枠と新設ドア本体の関係を示す横断面略図である。
【図7】改装ドアの縦断面図である。
【図8】改装ドアの横断面図である。
【図9】更に他の例に係る改装ドアの正面図である。
【図10】既設ドア枠と新設ドア本体の関係を示す横断面略図である。
【図11】改装ドアの縦断面図である。
【図12】改装ドアの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは改装ドアであり、該改装ドアAは、内開き既設ドアの既設ドア本体を撤去することによって既設ドア枠2を残存し、該既設ドア枠2から室外側持出し状に新設ドア本体3を配置することによって改装したものとしてあり、このとき、新設ドア本体3は、これを既設ドア枠2の室外側開口より広面積の外付用に形成し、該新設ドア本体3を既設ドア枠外付状にして外開き開閉自在に配置するとともに上記既設ドア枠2の室外側見付面と新設ドア本体3の外周間に気密材5を介設することによって新設ドアAの気密性を確保したものとしてある。
【0022】
既設ドア枠2は、室内側見込面により区画形成することによって室内側開口21を広開口とし、戸当見付面22を介して室外側に配置した室外側見込面により区画形成することによって室外側開口23を狭開口とした鋼製のものとしてあり、該既設ドア枠2は、鋼製の上枠、下枠、吊元及び戸先の縦枠を、長手方向両端を相互に溶着して枠組みした矩形をなすものとしてある。このとき、該既設ドア枠2の上枠、下枠、縦枠は、同一断面形状にして、それぞれ室内側見込面、室外側見込面、これらの間の戸当見付面22を断面S字状に備えたものとしてあり、例えば室内側見付面、室外側見付面の先端を対向方向に折曲した折曲片を、図示省略の鉄筋に溶着したアンカーに固定してある。
【0023】
該既設ドア枠2の室内側見込面と室外側見込面は、その間の上記戸当見付面22を室内側に面する見付面とするように配置することによって、室内側見込面を面外側に、室外側見込面を面内側に位置するように配置してあり、これにより、該室内側見込面によって区画形成した広開口の室内側開口21に内付け状に配置し、鋼製プレスドアの既設ドア本体を図示省略のヒンジによって内開き開閉自在とすることによって内開き既設ドアとしてある。
【0024】
本例にあって上記室内側開口と室外側開口は、それぞれ、上記戸当見付面22の幅の1.5cmを上下左右に備えることによって該1.5cmの2倍の3cmの縦横差による広狭の面積差を有するものとし、また、室内側開口の見込を42mm、室外側開口の見込を38mmとしたものを用いてある。
【0025】
改装ドアAは、該内開き既設ドアの既設ドア本体を撤去し、残存した既設ドア枠2に、例えば、必要に応じて塗装補修を施して、該既設ドア枠2の室外側開口より室外側に新設ドア本体3を、該既設ドア枠外付状に配置することによって外開き開閉自在とし、これに上記気密材5を介設することによってその気密性を確保したものとしてある。
【0026】
新設ドア本体3は、本例にあって、これを、ドア厚40mmとして形成したものとし、また、その室内側見付面外周に面外方向に段差をなすようにL字段部34を配置したものとしてある。
【0027】
新設ドア本体3は、鋼製中骨31と、該鋼製中骨31又は必要に応じて中間に配置した同じく鋼製の中骨によって区画される空間に断熱材として介設した、例えばアルミ製のハニカム材32と、例えば、外周を裏面に向けて折曲することによって断面U字状として折曲先端を見込面中間に位置するように室内外を被覆配置した鋼製のドア表面材33を備えて形成してあり、これによって該新設ドア本体3を、断熱性と防音性を備えた断熱防音の耐火性を有する、上記ドア厚を40mmの両面フラッシュドアとしてある。
【0028】
このとき、該新設ドア本体3は、その上記鋼製中骨31の室内側外周に段部を一体に形成したもの又は該鋼製中骨31の外側に別体の小部材を配置することによって、例えば、一辺を1cm強程度とする断面L字状の段部を形成したものを用いて、室内側のドア表面材33の外周に、該断面L字状の段部に応じた同じく断面L字状の段部を形成して、室内側のドア表面材33で、該L字状の段部を被覆し、その室外側に向けて折曲した先端を上記見込面中間に至るように配置することによって、上記両面フラッシュドアとした新設ドア本体3の室内側見付面の外周に上記L字段部34を形成具備したものとしてある。
【0029】
このように形成した新設ドア本体3は、上記既設ドア枠2に対して外付状に配置し、該既設ドア枠2との間で気密性を確保したものとしてあるところ、本例にあって、該新設ドア本体3は、上記既設ドア枠2の室外側に該室外側の建物躯体1に内張り状に配置し又は該既設ドア枠2の室外側突出状に化粧枠4を配置し、該化粧枠4によって区画した開口内に収容配置したものとし、また、該化粧枠4の吊元側に位置する縦枠を介して建物躯体1に対して又は該吊元側に位置する縦枠に対して新設ヒンジ6を配置し、該新設ヒンジ6に該新設ドア本体3を吊支持したものとしてある。
【0030】
即ち、既設ドア枠2と建物躯体1の形態、即ち、既設ドア枠周りの躯体1の形態は、以下のとおり概ね異なる3種の形態があるところ、該躯体1の形態に応じて、上記化粧枠4の配置を該躯体1に内張り状とし又は該既設ドア枠2に室外側突出状とするようにしてある。これを、図示した例との関係で示すと、図1乃至図4は、既設ドア枠2周り、特に、床面を除く上部及び側部に躯体1の壁面が、例えば15cm程度に比較的幅広に突出し、これら幅広壁面によって囲繞されるように既設ドア枠2を室内側、即ち、奥行方向に埋込状に設置している形態(持出し壁形態という)に対して、化粧枠4を、例えば、囲繞状に配置した例、図5乃至図8は、同じく床面を除く上部及び側部に躯体1の壁面が、例えば2〜3cm程度に比較的幅狭に突出し、同様にこれら幅狭壁面によって囲繞されるように既設ドア枠2を奥行方向に埋込状に設置している形態(同じく持出し壁形態という)に対して、同様に化粧枠4を、例えば、囲繞状に配置した例、また、図9乃至図12は、躯体1の壁面が既設ドア枠2と面一であるか、例えば1〜2cm程度室内側に変位して、既設ドア枠2が幾分室外側に突出した状態で、同じく床面を除く上部及び側部の躯体1壁面によって囲繞されるように設置されている形態(ゾロ壁形態という)のものを改装した例である。
【0031】
即ち、図1乃至図4の躯体1の形態の改装ドアAにあって、化粧枠4は、その上枠、下枠、左右の縦枠を、躯体1のスラブをなす床面、上記比較的幅広に突出した上部及び側部の躯体1の表面に沿って、新設ドア本体3の外周、即ち、見込面を覆う程度、例えば、既設ドア枠2の室外端から4〜5cm程度の幅を有するプレート状の金属製、例えば鋼製のものとしてあり、該化粧枠4は、これを既設ドア枠2の室外側に新設ドア本体3より広面積の開口をなすように、その長手方向中間複数個所で固定金具、例えばケミカルアンカー42によって躯体1に対して固定して、必要に応じて各化粧枠4の先端を溶接して、本例にあって該躯体1に内張り状にして該躯体1の壁面を一連に囲繞区画したものとしてある。このとき、床面にあっては、化粧枠4設置の必要に応じて、これを部分的に斫って該化粧枠4設置箇所を深くすることによって、該化粧枠4を設置することによって、後述の気密材受条41の配置についてその高さ不足による支障が生じないようにしてある。
【0032】
図5乃至図8の躯体1の形態の改装ドアAにあって、化粧枠4は、同じくその上枠、下枠、左右の縦枠を、同様にスラブをなす床面に、上記と同様にプレート状の金属製の下枠を用いてケミカルアンカー42によって固定する一方、上記記比較的幅狭に突出した躯体1の上部及び側部の表面にあっては、上枠及び縦枠の化粧枠4を、躯体1の壁面を新設ドア本体3の外周、即ち、見込面の全部を覆い且つ躯体1の壁面の正面、即ち、見付面を部分的に覆って、先端を該躯体1の壁面に突き当て状とする、断面C字状(し字状といってもよい)の金属製、例えば、同じく鋼製のものとして形成し、該上枠及び縦枠の化粧枠4は、本例にあって、上部及び側部の躯体1の壁面に固定金具、例えばケミカルアンカー42によって固定した断面C字状鋼製の下地材43を用いて、長手方向中間複数個所で該下地材43に対して正面、即ち、見付面側から螺入したネジ44によって、これらを該下地材43に対して固定してあり、本例にあっても、必要に応じて上記床面のプレート状の下枠の化粧枠4とともに上枠及び縦枠の各化粧枠4の先端を溶接して、同様に該躯体1に内張り状にして、該躯体1の壁面を一連に囲繞区画したものとしてある。
【0033】
図9乃至図12の躯体1の形態の改装ドアAにあって、化粧枠4は、同じくその上枠、左右の縦枠を、同様にスラブをなす床面に、プレート状の金属製の下枠を用いてケミカルアンカー42によって躯体1に固定する一方、上記面一又は既設ドア枠2が幾分突出する、即ち、やや既設ドア枠2に対して凹陥した躯体1の上部及び側部の表面にあっては、上枠及び縦枠の化粧枠4を、既設ドア枠2の室外側見付面から室外側に突出して、該既設ドア枠2を覆う、断面C字状の金属製、例えば、同じく鋼製のものとして形成し、該上枠及び縦枠の化粧枠4は、本例にあって、既設ドア枠2の上枠及び縦枠に固定金具、例えばタップネジ44によって固定した断面L字状鋼製の下地材43を用いて、長手方向中間複数個所で、これらを該下地材43に対して面内、即ち、見込面側から螺入したネジ44によって固定し、本例にあっても、必要に応じて上記床面のプレート状の下枠の化粧枠4とともに上枠及び縦枠の各化粧枠4の先端を溶接して、該既設ドア枠2の室外側突出状にして、該既設ドア枠2の室外側に一連に囲繞区画したものとしてある。
【0034】
このように各躯体1の形態に応じて、それぞれ化粧枠4を配置することによって、新設ドア本体3は、これを、本例において躯体1乃至既設ドア枠2の室外側を一連に囲繞区画した該化粧枠4の上記開口内に収容配置してあり、このとき、該新設ドア本体3の収容配置は、上記図1乃至図4の改装ドアAにあっては、上記化粧枠4の吊元側に位置する縦枠を介して、固定金具、例えばケミカルアンカー42によって建物躯体1に対して新設ヒンジ6を配置し、図5乃至図8の改装ドアAにあっては、それぞれ化粧枠4の吊元側に位置する縦枠、即ち、上記断面C字状の縦枠に対して、固定金具、例えばネジ44によって新設ヒンジ6を配置し、また、図9乃至図12の改装ドアAにあっては、同じく化粧枠4の吊元側に位置する縦枠に、上記断面L字状の下地材43に至るように螺入したネジ44によって新設ヒンジ6を配置し、それぞれこれらの新設ヒンジ6に新設ドア本体3を外開き開閉自在に吊支持したものとしてある。
【0035】
本例にあって、上記化粧枠4は、その室内側端部に一体又は別体、本例にあってはそれぞれ一体の気密材受41を配置し、該気密材受41に気密材5を室外側に向けて設置し、該気密材5を新設ドア本体3の室内側見付面外周に対接自在としてあり、これによって、上記既設ドア枠2と新設ドア本体3間の気密性を確保するものとしてある。
【0036】
即ち、気密材受41は、各化粧枠4の室内側端部に該化粧枠4の見込面との間にU字溝をなすように、上記プレート状又は断面C字状の化粧枠4の先端該当箇所を折曲することによって、これを形成してあり、このとき該気密材受41は、これが、それぞれ既設ドア枠2の室外側見付面における面内側の端部に位置するように配置し、該U字溝の底壁から該室内側見付面の面内側端部に固定、例えばネジ44により固定して、該気密材受41が揺動したり、該気密材受41が出入に際して衣服に引っ掛かったりするのを防止してある。
【0037】
更に、上記化粧枠4は、床面に配置したプレート状の下枠にあっては、それぞれ該気密材受41とともにその先端を更に折返し延設することによって、既設ドア枠2の下枠上を被覆する沓摺45をなすようにしてある。
【0038】
図中7は、例えばプッシュプル錠の把手、8はドアクローザー、24は、図1乃至図4の改装ドアAにおいて側部の躯体1を斫って設置し、図5乃至図8の改装ドアAにおいて該側部の躯体1を部分的に斫って設置し、また、図9乃至図12の改装ドアAにおいて化粧枠4に対して設置したトロヨケ、46はコーキング剤を示す。
【0039】
以上のように、各躯体1の形態に合せて内開き既設ドアを改装した外開きの改装ドアAは、それぞれ、既設ドア枠2の室外側に新設ドア本体3を外開き開閉自在に配置することによって、内開き既設ドアにおける既設ドア枠2の開口制約を受けずに、広面積にしてドア厚を任意に設定して断熱性と防音性に優れた外開きの改装ドアとすることができる。また、既設ドア枠2、特にその室外側見付面と新設ドア本体3間に気密材5を配置して、新設ドア本体3を既設ドア枠2より室外側に配置しながら、気密性に優れた改装ドアAとすることができる。更に、新設ドア本体3を、その外周に配置した化粧枠4の開口に収容配置したことによって、同じく、既設ドア枠2から室外側に配置しながら、改装ドアAとしての良好な納まりと外観を確保することができるとともに新設ドア本体3の安定且つ確実な外開き開閉を行うものとすることができる。
【0040】
図示した例は以上のとおりとしたが、化粧枠の設置を省略し、新設ドア本体を、躯体に固定した新設ヒンジによって吊支持すること、化粧枠を用いる場合を含めて、気密材受を独立した長尺部材として形成して、これを既設ドア枠の室外側見付面に固定し、該気密材受に設置した気密材を新設ドア本体に対接することによって改装ドアとしての気密性を確保し、また、気密材受を新設ドア本体の室内側見付面の外周端部に、例えば新設ドア本体に凹陥した気密材受を一体又は別体に配置し、気密材を該新設ドア本体に設置し、該気密材を既設ドア枠の室内側見付面乃至これに設置した対接部材に対接することによって、改装ドアの気密性を確保することを含めて、本発明の実施に当って、内開き既設ドア、その既設ドア枠、新設ドア本体、気密材、必要に応じて用いる化粧枠、新設ヒンジ、気密材受、新設ドア本体のL字段部等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0041】
A 改装ドア
1 建物躯体
2 既設ドア枠
21 室内側開口
22 戸当見付面
23 室外側開口
24 トロヨケ
3 新設ドア本体
31 鋼製中骨
32 ハニカム材
33 ドア表面材
34 L字段部
4 化粧枠
41 気密材受
42 ケミカルアンカー
43 下地材
44 ネジ
45 沓摺
46 コーキング
5 気密材
6 新設ヒンジ
7 プッシュプル錠の把手
8 ドアクローザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内開き既設ドアの既設ドア本体を撤去することによって既設ドア枠を残存し、該既設ドア枠から室外側持出し状に新設ドア本体を配置することによって改装した改装ドアであって、新設ドア本体を既設ドア枠の室外側開口より広面積の外付用に形成し、該新設ドア本体を既設ドア枠外付状にして外開き開閉自在に配置するとともに上記既設ドア枠の室外側見付面と新設ドア本体の外周間に気密材を介設することによって新設ドアの気密性を確保してなることを特徴とする改装ドア。
【請求項2】
上記既設ドア枠の室外側に該室外側の建物躯体に内張り状に配置し又は該既設ドア枠の室外側突出状に化粧枠を配置し、該化粧枠によって区画した開口内に上記新設ドア本体を収容配置してなることを特徴とする請求項1に記載の改装ドア。
【請求項3】
上記化粧枠の吊元側に位置する縦枠を介して建物躯体に対して又は該吊元側に位置する縦枠に対して新設ヒンジを配置し、該新設ヒンジに新設ドア本体を吊支持してなることを特徴とする請求項2に記載の改装ドア。
【請求項4】
上記化粧枠の室内側端部に一体又は別体の気密材受を配置し、該気密材受に気密材を室外側に向けて設置し、該気密材を新設ドア本体の室内側見付面外周に対接自在としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の改装ドア。
【請求項5】
上記新設ドア本体の室内側見付面外周に面外方向に段差をなすようにL字段部を配置し、該L字段部の見付面に対して上記気密材を対接自在としてなることを特徴とする請求項4に記載の改装ドア。
【請求項6】
上記新設ドア本体を、ドア厚40mmとして形成してなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の改装ドア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate