説明

改質された吸収性樹脂を備える吸収性部材

本発明は、吸収性部材及びそのような吸収性部材を作製するための方法を提供する。前記吸収性部材は、優れた生産効率、圧力に対する優れた吸収性、優れた吸収速度、ゲル強度、優れた液体透過性、及び同種のものを有する改質された吸水性を備える。該改質された吸水性樹脂は、(i)吸水性樹脂、水、及び水溶性のラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、(ii)前記混合工程中に得られた前記吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、を含み、前記照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点で、前記吸水性樹脂組成物中の前記吸水性樹脂の前記表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準とし、3.0重量%以上のレベルに制御される、方法によって作製される。好ましくは、該工程(i)で混合した水の量は、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、特におむつ及びトレーニングパンツに使用するための吸収性部材に関する。吸収性部材は、活性エネルギー線を吸水性樹脂に照射する工程を含む方法によって作製された吸水性樹脂を含む。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、生理綿、使い捨ておむつ、及びその他の種類の体液用の吸収体のような衛生材料のための構成成分として使用されてきた。吸水性樹脂の典型的な例として、デンプン−アクリロニトリルグラフトポリマーの加水分解物、中和されたデンプン−アクリル酸グラフトポリマー、鹸化された酢酸ビニル−アクリルエステルコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、又はアクリルアミドコポリマーの加水分解物、及びそれらの架橋生成物、及び部分的に中和された架橋アクリル酸を挙げることができる。これらの吸水性樹脂は、内部架橋構造を有し、水に不溶性である。
【0003】
このような吸水性樹脂の特徴としては、例えば、高い吸収能力、高い吸収速度、高いゲル強度、及び媒質から水を吸引するために必要な完全に申し分のない吸引力が含まれる。吸水特性は、架橋密度の影響を受け、架橋密度の増加は典型的に、吸収される水の量の減少以外に、ゲル強度の増加をもたらす。特に、吸収能力増加は典型的に、例えば、吸収速度の減少、ゲル強度の減少、及び吸引力の減少をもたらす。それ故に、改質された吸収能力を有する吸水性樹脂は、場合によっては、吸水性樹脂の粒子が水と接するとき、水の不均一な吸収を引き起こし、吸収粒子の凝集をもたらし、水が、吸水性樹脂粒子の全体の容量中に拡散されないため、吸収速度の急激な減少も引き起こす。
【0004】
高い吸収能力及び比較的申し分のない吸収速度を有する吸水性樹脂を得るために、吸水性樹脂粒子の表面を界面活性剤又は不揮発性炭化水素でコーティングする方法が利用可能である。実際、本方法は、最初に吸収された水の分散性を高めることが可能であるが、個々の樹脂粒子の吸収速度及び吸引力を増強するという点では十分な効果を有しない。
【0005】
改質された吸水特性を有するポリアクリル酸系吸水性ポリマーを生成する手段として、主要構成成分としてポリアクリル酸の部分的なアルカリ金属塩と、水溶性過酸化物ラジカル開始剤の存在下の、低い架橋密度を有するポリマーの水溶性構成成分を加熱し、その結果、ラジカル架橋によってその中へ架橋を導入する工程を備える方法が、米国特許番号第4,910,250号に提案されている。ポリマー中に均一に内部架橋を分配することは困難であり、架橋密度を調整することは容易なことではない。その結果、低い架橋密度を有する水溶性ポリアクリル酸ゲルを含むポリマーが得られ、その後該ポリマーは、重合開始剤として、そこへ加えられた過硫酸塩と共に加熱される。米国特許番号第4,910,250号では、加えられる反応開始剤の量の調整は、ポリマー中の架橋密度及び架橋の均一な存在の正確な制御を許容することが可能であるため、優れた吸水特性が達することが可能であり、べたつき感のない吸水性樹脂は得られる、ということを述べている。
【0006】
米国特許番号第4,910,250号で使用される過硫酸塩は、熱によって分解されながら、ラジカルを発生するための紫外線(ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー、1975年、第79巻、第2693頁(J.Phys. Chem., 1975, 79, 2693)、ジャーナル・オブ・フォトケミストリー・アンド・フォトバイオロジー、A、1988年、第44巻、第243頁(J. Photochem. Photobiol., A. 1988, 44, 243))によっても分解される。過硫酸塩は重合開始剤としての機能を果たすので、水溶性ビニル単量体の水溶液は、放射線にさらされた場合に、重合とラジカル架橋を同時に受ける(JP−A 2004−99,789)。また反応システムも既知であり、親水性ポリマー構成成分及び光重合開始剤を加える工程と、そこへ架橋剤をさらに加える工程と、内部の架橋(WO2004/031253)を形成するためにそれらを紫外線で照射工程と、を含む。
【0007】
さらに、吸水性樹脂の表面の架橋密度を増加させるための吸水性樹脂の表面を処理する工程を含む方法も、既知である(例えば、米国特許番号第4,666,983号、及び第5,422,405号)。先行の公開で述べられるような吸水性樹脂は、それらの表面に反応性官能基を含む。官能基間の架橋を導入するために、官能基に反応することが可能な表面架橋剤を加えることによって、吸水性樹脂表面上の架橋密度は増加され、均一な圧力下でさえ優れた吸水特性を有する吸水性樹脂が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さらに、表面架橋剤の使用は、架橋形成反応のために高温及び長時間を必要とし、不変架橋剤の固執を被るという問題が伴うため、樹脂の過酸化物ラジカル開始剤を含む水溶液を含有することと、ラジカル開始剤を分解するための樹脂を加熱し架橋を樹脂表面の近辺中のポリマー分子へ導入すること、とを含む方法が、提案されている(米国特許番号第4,783,510号)。作用例において、高い吸収能力を示す吸水性樹脂は、130℃の過熱蒸気で6分間加熱することによって得られた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、吸収性物品に使用するための吸収性部材を言及し、前記吸収性部材が、改質された吸水性樹脂を備える。前記吸水性樹脂は、
(i)吸水性樹脂、水、及び水溶性又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、
(ii)混合工程中に得られた吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、を含み、
照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点で、吸水性樹脂組成物中の吸水性樹脂の表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準とし、3.0重量%以上のレベルに制御される、方法によって作製される。
【0010】
好ましくは、工程(i)で混合した水の量が、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下である。
【0011】
本発明は、そのような吸収性部材を作製する方法、及び次の説明と従属請求項に提示する請求項1〜3の吸収性部材を作製する改良方法をさらに言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
吸水性樹脂を表面架橋する目的は、吸収能力と吸収速度との間の改質された残部を有する吸水性樹脂を生成する方法によって達成される。一般に、この目的は、吸水性樹脂の表面に存在する官能基と反応することが可能な少なくとも2つの官能基を有する架橋剤を必要とする。架橋剤の典型的な例としては、多価アルコール類、多価グリシジルエーテル類、ハロエポキシ化合物(haloepoxy compounds)、多価アルデヒド類、多価アミン類、及び多価金属塩類を挙げることができる。架橋剤は低反応性であるため、関連反応は高温で行われ、時には長時間加熱された状態で維持されることが必要となる。それ故に、反応は、比較的多い量のエネルギーと時間を必要とする。
【0013】
本発明は、圧力、吸収速度、ゲル強度、及び液体透過性に対して優れた吸収性を有する吸水性樹脂の効果的な生成方法を提供することを目的とする。
【0014】
吸水性樹脂粒子の表面上に架橋構造を効果的に導入するために、粒子の表面は、ある程度の水を保持することが必要であることが明らかとなっている。すなわち、従来の方法において、粒子表面がある程度湿潤していない時、粒子表面上の架橋構造の導入は効果的に得られず、それ故に、優れた吸水特性を有する吸水性樹脂を生成することができない。この結論に基づいて、本発明者らは、ある程度湿潤した吸水性樹脂粒子の表面処置を行うことを試みた。加えて、本発明者らは、表面架橋の効率性及び結果として得た吸水性樹脂の吸水特性も、表面架橋剤に従来の追加物を使用しない活性エネルギー線を有する照射によって、改善することができるということも見出した。すなわち、本願において、(i)吸水性樹脂、水、及び水溶性のラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、(ii)前記混合工程中に得られた前記吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、前記照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点で、前記吸水性樹脂組成物中の前記吸水性樹脂の表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準にし、3.0重量%以上のレベルに制御される、改質された吸水性樹脂の生成方法が提供される。好ましくは、工程(i)で混合した水の量が、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下である。
【0015】
本発明の方法によると、均一な架橋構造は、吸水性粒子の表面上に導入することができる。結果として、得られた吸水性樹脂は、優れた吸収能力、優れた吸収速度、優れたゲル強度、及び優れた吸引力を有する。
【0016】
改質された吸水性樹脂を生成するための本発明の方法は、活性エネルギー線を有する照射によって表面架橋を得るため、従来の方法と比べて、吸水性樹脂をより短い期間で改良することができる。
【0017】
本発明による吸収性部材中に含まれた改質された吸水性樹脂の生成方法を、下記に詳細に説明する。
【0018】
(a)吸水性樹脂
本発明で使用される吸水性樹脂は、ヒドロゲルで形成が可能である水膨潤性、非水溶性、架橋ポリマーである。本発明で使用する時、用語「水に膨潤できる能力」は、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)の水溶性中の定められた試料の遊離膨潤容量を指し、すなわち、生理食塩水を本質的に吸収するための試料が2g/g以上であり、好ましくは、5〜100g/gの範囲、より好ましくは、10〜60g/gの範囲の能力を指す。本発明で使用する時、用語「水に不溶性」とは、好ましくは0〜50重量%の範囲、より好ましくは25重量%以下、さらにより好ましくは15重量%以下、及び特に好ましくは、10重量%以下である、吸水性樹脂中の非架橋の水溶性構成成分(水溶性ポリマー;以下「溶離性及び可溶性部分」とも称する)を意味する。これに関連して、遠心保持容量の値として、下記に述べられる作用例の特定の方法によって測定された値が採用されるまた、溶離性及び可溶性の値として、下記に説明される方法によって測定された値が採用される。
【0019】
溶離性及び可溶性部分を測定する方法
250mLの容量で、184.3gの生理食塩水を入れたカバー付きのプラスチック容器(6cmの直径及び9cmの高さ)を設置し、1.00gの吸水性樹脂を加える。樹脂の中の溶離性及び可溶性の部分は、500rpmの回転速度において、8mmの直径及び25mmの長さを有する磁性攪拌器で16時間混合物を攪拌させることによって抽出される。この抽出物を、1枚の濾紙(厚さ0.26mm及び5μmの定着した粒子直径、アドバンテック東洋株式会社(AdvantecToyo K.K.)製造、製品名「JIS P 3801 No.2」で販売)でろ過する。その際、結果として得られた50.0gのろ液を、測定の溶液を作製するために使用する。
【0020】
第1に、生理食塩水のみを、pH10に対して0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。その際、対照的な(半加工品)滴定量(それぞれ、[bNaOH]及び[bHCl]と呼ばれる)を得るために、pH2.7に対して1Nの塩酸の水溶液で滴定する。
【0021】
測定するために溶液で同一の作業の滴定を行うことによって、滴定量(それぞれ、[NaOH]及び[HCl]と呼ばれる)を得た。
【0022】
例えば、アクリル酸及びナトリウム塩の既知量を含む吸水性樹脂の場合、吸水性樹脂中の溶離性及び可溶性の部分は、単量体の平均分子量の基準で計算することが可能であり、滴定量は、下記に説明される方程式に従って上記に説明される作業によって得られた。量が不明である場合、単量体の平均分子量は、下記に説明される方程式に従う滴定によって得られた中和率を使用することによって計算される。
溶離性及び可溶性の部分(重量%)
=0.1×(単量体の平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1,000/1.0/50.0
中和率(モル%)
=[1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl])]×100
【0023】
本明細書で使用する時、用語「改良」は、例えば、表面架橋、その中の孔の形成、及びそこへ親水性及び疎水性の特性が付与することを含む、定められた吸水性樹脂上に機能したすべての物理又は化学作用を指す。
【0024】
本発明において使用される吸水性樹脂は、特に制限されないが、いずれかの既知の手段によってエチレン性不飽和単量体を本質的に含有する、単量体構成成分を重合することによって得ることが可能であるのみだけが要求される。
【0025】
エチレン性不飽和単量体は、特に制限されないが、その末端に不飽和二重結合を有する単量体であることが好ましい。その典型的な例は、陰イオン性単量体類、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、及びスチレンスルホン酸及びそれらの塩類;非イオン性の親水性基含有単量体類、例えば(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;及びアミノ基含有不飽和単量体類、例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びそれらの四級化生成物を挙げることができる。これらの単量体類は、単独で又は2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記で述べられた単量体類のうち、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及び四級化されたN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリルアミドが好ましく、アクリル酸及び/又はそれらの塩が特に好ましい。
【0026】
アクリル酸塩が、単量体として使用される時、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアクリル酸アミン塩の中から選択されるアクリル酸の一価の塩を好適に使用してもよい。より好ましくは、アクリル酸のアルカリ金属塩を使用してもよく、特に好ましくは、ナトリウム塩、リチウム塩、及びカリウム塩の中から選択されるアクリル酸塩を使用してもよい。
【0027】
吸水性樹脂の生成において、上記に述べられる単量体以外の単量体構成成分を、本発明の効果を付与するための量において使用してもよい。そのようなその他単量体構成成分の典型的な例として、8〜30の炭素原子を有する芳香族のエチレン性不飽和単量体、2〜20の炭素原子を有する脂肪族のエチレン性不飽和単量体、5〜15の炭素原子を有する脂環式のエチレン性不飽和単量体、及び4〜50の炭素原子有するアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルなどの疎水性モノマーが挙げられる。そのような疎水性モノマーの割合は、一般に、100重量部のエチレン性不飽和単量体を基準として0〜20重量部の範囲である。疎水性モノマーの割合が20重量部を超える場合、生成された吸水性樹脂の吸水特性は、低下するだろう。
【0028】
本発明において使用される吸水性樹脂は、内部架橋の形成よって不溶性になる。この内部架橋は、架橋剤を使用しない単独の架橋であるか、又はその代わりに、1分子ユニットに2以上の重合可能な不飽和基及び/又は2以上の反応性官能基を有する内部架橋剤の使用によって形成することが可能である。
【0029】
内部架橋剤は、特に制限されない。内部架橋剤の典型的な例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、(メタ)アクリル酸の多価の金属塩類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールグリシジルエーテル、及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを挙げるられる。これらの内部架橋剤は、単独で又は2種以上の部材の混合物の形成に使用されてもよい。
【0030】
使用される内部架橋剤の量は、吸水性樹脂の生成において使用される単量体構成成分の全体量を基準に、好ましくは0.0001〜1モル%、より好ましくは0.001〜0.5モル%、及びさらに好ましくは0.005〜0.2モル%の範囲である。この量が0.0001モル%未満の場合、内部架橋剤を、樹脂へ十分に導入してもよい。反対に、その量が1モル%を超える場合、吸水性樹脂のゲル強度は、高くなりすぎる場合があり、その結果として吸収能力は、低くなりすぎる場合がある。内部架橋剤を使用することによってポリマーの内部へ架橋構造を導入するために、内部架橋剤を、単量体の重合の前、その間、又は後に、あるいは生成されたポリマーの中和後に、反応系へ加える。
【0031】
吸水性樹脂を生成するために、上記に述べられた単量体を含む単量体構成成分及び架橋剤を、その水溶液形態に重合する。好適な重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸ナトリウムのような過硫酸塩類のような水溶性ラジカル重合反応開始剤;過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム、及びt−ブチルヒドロペルオキシド;過酸化水素;アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニル−プロパン−1−オンのような光重合反応開始剤である。水溶性ラジカル重合反応開始剤は、酸化還元種の反応開始剤として使用されるために、還元剤、例えば亜硫酸塩、L−アスコルビン酸、又は第二鉄塩と組み合わせられてもよい。
【0032】
水溶性単量体溶液中の単量体の濃度は、特に制限されないが、好ましくは、15〜90重量%、より好ましくは35〜80重量%の範囲内である。この濃度が15重量%未満の場合、結果として得たヒドロゲルが過度に大量の水を有するため、多くの加熱及び時間が必要とされるだろう。
【0033】
重合の方法は、特に制限されないが、既知の方法、例えば溶液重合、逆相懸濁重合、沈殿重合、及びバルク重合の中から選択されてもよい。これらの方法のうち、水溶液中に重量体を溶解させ、水溶液中でそれを重合することを含む水溶液の重合、及び逆相懸濁重合は、重合反応の制御の容易さ、及び生成された吸水性樹脂の性能の点から特に有利であることが可能である。
【0034】
重合の開始において、重合開始剤を、重合を開始するために使用する。さらに重合開始剤のほかに、紫外線、電子放射線、及びγ線のような活性エネルギー線は、単独、又は重合開始剤と組み合わせて使用されてもよい。重合を開始する温度は、使用される重合開始剤の種類に依存するが、好ましくは15〜130℃、及びより好ましくは、20〜120℃の範囲である。重合を開始する温度が、上記に述べた範囲から逸脱する場合、このことは生成された吸水性樹脂の残留モノマー含有量を増加させる結果をもたらす。また、単独の架橋は、過剰に進展する場合があり、結果として、生成された吸水性樹脂の吸水特性を低下させる。
【0035】
「逆相懸濁重合」とは、水溶性単量体溶液が疎水性有機溶媒中に浮遊した重合の方法である。そのことは、例えば、米国特許番号第4,093,776号、第4,367,323号、第4,446,261号、第4,683,274号、及び第5,244,735号に開示される。「水溶液の重合」とは、分散溶媒を使用することなく、水溶性モノマー溶液を重合する方法である。そのことは、例えば、米国特許番号第4,625,001号、第4,873,299号、第4,286,082号、第4,973,632号、第4,985,518号、第5,124,416号、第5,250,640号、第5,264,495号、第5,145,906号、及び第5,380,808号、及び欧州特許番号第0 811 636号、第0 955 086号、及び第0 922 717号に開示される。これらの重合方法において実例として記載される単量体類及び反応開始剤は本発明に適用することができる。
【0036】
水溶液の重合は、部分的に中和されたアクリル酸を重合することによって、又はアクリル酸など、酸性基を含有する重量体を重合し、その後、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムのようなアルカリ化合物と結果として得たポリマーを中和することによって、行われてもよい。従って、本発明に使用される吸水性樹脂は、好ましくは、酸性基、及び特定の中和率(全体の酸性基中の中和された酸性基のモル%)を有する。この場合、生成された吸水樹脂の中和率(全体の酸性基中の中和された酸性基のモル%)は、25〜100モル%、及び好ましくは50〜90モル%、より好ましくは50〜75モル%、最も好ましくは、60〜70モル%の範囲である。
【0037】
それ故に、本発明の好ましい実施形態は、改質された吸水性樹脂の生成方法を提供することであり、これは(i)エチレン性不飽和重量体を添加することなくラジカル重合反応開始剤として、吸水性樹脂、水、及び過硫酸塩を混合することと、(ii)結果として得た混合物に活性エネルギー線を照射することと、を含み、前記吸水性樹脂は酸性基を含有し、50〜75モル%の範囲の中和率(全体の酸性基中の中和された酸性基のモル%)を有する。重合の完了後、ヒドロゲルと類似の架橋ポリマーが得られる。本発明は、吸水性樹脂として様変させていない形成中のヒドロゲル系架橋ポリマーを可能にする一方、好ましくは、下記に具体的に説明する水分含有量(重量%)[100−(容積)(重量%)]を与えるようにポリマーを乾燥する。
【0038】
ちなみに、本発明において、吸水性樹脂組成物は、吸水性樹脂、水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤(本明細書では、共同で「ラジカル重合反応開始剤」と称する)、水を混合することによって得られ、下記に具体的に説明する。その際、結果として得た組成物は、吸水性樹脂を改質するように活性エネルギー線を照射される。この改質は、ポリマー主鎖上の重合開始剤から生じた活性ラジカルの作用によるものである。故に、こうした改質は、上記の水溶性のエチレン性不飽和単量体を重合することによって得られる吸水性樹脂に制限される必要はないが、例えば架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリアスパラギン酸、及び架橋カルボキシメチルセルロースのような吸水性樹脂上で達成されてもよい。
【0039】
本発明の吸収性部材に使用される吸水性樹脂は、好ましくは、特に主要構成成分としたアクリル酸(塩)を有する単量体を重合することによって得られる粉末状吸水性樹脂であってもよい。重合によって得られるヒドロゲル系ポリマーは、好ましくは、乾燥され、続いて吸水性樹脂に粉砕してもよい。乾燥は、100〜220℃及びより好ましくは、120〜200℃の範囲の温度になる熱風乾燥機のような乾燥機を使用することによって行われてもよい。
【0040】
粉砕するためには、粒子技術ハンドブック(Particle Technology Handbook)(粒子技術協会(Particle Technology Association)編の第1版)の表1.10に分類される粉末化装置の名称に含まれる剪断力一次粉砕機、衝撃シュレッダ、及び高速回転グラインダのうち、切断、剪断、衝撃、及び摩擦のような粉末化機構の少なくとも1つを有する粉末化装置を採用するのが特に好ましい。粉末化装置のうち、主要機構として切断及び剪断を有する粉末化装置を特に有利に使用することができる。ロールミル(ロール回転種)の粉末化装置を、好ましい例として挙げることができる。
【0041】
本発明で使用される吸水性樹脂は、好ましくは、粉末状形成である。より好ましくは、90〜100重量%、及びより好ましくは95〜100重量%の範囲の割合において、150〜850μm(ふるい装置分級によって定義されるように)の範囲である直径の粒子を含有する粉末状吸水樹脂である。使い捨ておむつに850μmを超える粒径を有する改質された吸水性樹脂を使用する時、例えば、おむつのトップシートが破裂する可能性がある。150μmより小さな直径の粒子が吸水性樹脂の重量を基準に、10重量%を超える割合の場合、微粒子は散乱し、使用中に詰まった肌ざわりを与え、改質された吸水性樹脂の吸水特性を低下させる可能性がある。吸水性樹脂の重量平均粒径は、10〜1,000μm、及び好ましくは200〜600μmの範囲であってもよい。重量平均粒径が10μm未満の場合、安全性及び健康面に関して欠点となる可能性がある。反対に、例えば、1,000μmを超える場合、その吸水性樹脂が使い捨ておむつにおいての使用に好適でない可能性がある。これに関連して、粒径の値として、下記に述べられる作用例に定められた粒径の分布方法を測定することによって測定された値が採用される。
【0042】
加えて又はあるいは、本発明で使用される吸水性樹脂は、好ましくは、低い中和率を有する吸水性樹脂前駆体を生成し、塩基で吸水性樹脂前駆体を混合することによって得られる。多官能性表面処理剤は、表面処理(表面架橋)のために従来から使用されている。多官能性表面処理剤は、吸水性樹脂中のカルボキシル基(−COOH)と反応する働きをするが、その塩(例えば、−COONa)とは反応しない。従って、−COOH/COONa比を予め好適な範囲内に調整したエチレン性不飽和単量体混合物(例えば、アクリル酸とアクリル酸ナトリウムとの混合物)を調製し、得られた混合物を重合して−COOH及び−COONa基が均一に分配された吸水性樹脂を生成し、得られた吸水性樹脂を多官能性表面処理剤を用いて表面架橋に供することによって均一の架橋を得ることができる。一方、吸水性樹脂が、主要構成成分としてアクリル酸のような酸種のエチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物を重合することによって得られ、結果として得たポリマーを水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのようなアルカリ化合物で中和する場合、結果として得た吸水性樹脂は、小さな溶離性の部分及び高いゲル強度を有する。しかし、多官能性表面処理剤を用いた表面架橋を条件とする場合、−COOH及び−COONa基が吸水性樹脂に均一に分配されていないため、おそらく吸水性樹脂の吸水度は低下する。従って、後者の方法によって生成される吸水性樹脂は、多官能性表面処理剤を用いて従来の表面架橋を条件とすることは望ましくない。逆に、本発明の方法によると、水溶性のラジカル重合反応開始剤又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤は、−COOHと反応するのではなく、主鎖の水素を抜き、ラジカルを形成して、カップリングのためにこのラジカルを用いることによって架橋を誘導するので、架橋反応は、−COOH基が吸水性樹脂に均一に分配されるかどうかに影響されない。結果として、本発明の方法によると、吸水性樹脂は、低い中和率を有する吸水性樹脂前駆体を得るために、単量体又は主要構成成分としてアクリル酸のような酸性タイプのエチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物を重合することによって得られる。そしてこの吸水性樹脂前駆体は、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのようなアルカリ化合物で中和され、結果として得た改質された吸水性は、高いゲル強度及び優れた吸水力を生じる。
【0043】
単量体又は主要構成成分として酸性タイプのエチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物を重合し、吸水性樹脂前駆体へ塩基を加えることによって、低い中和率を有する吸水性樹脂前駆体を得る場合、塩基を固形又は液体形のいずれか一方へ加えてもよい。好ましくは、塩基は、液体形へ、特に水溶液形へ加えられる。塩基が水溶液形に加えられる場合、塩基が吸水性樹脂前駆体へ加えられること及び吸水性樹脂組成物が生成されることは、同時に行われる。所望の中和率に対して低い中和率を有する吸水性樹脂前駆体の中和が可能である限り、本実施形態で使用することができる塩基は、特に制限されない。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ペンタホウ酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸アンモニウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸アンモニウムのような、既知の無機及び有機の塩及び酸が使用される。これらの塩基は、単一で又は2以上の部材が混合した形態で使用されてもよい。低い中和率を有する吸水性樹脂前駆体が重合することによって得られる場合、好適な単量体は、アクリル酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及び水酸化アンモニウムのような一価のカチオンである水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウム又はその混合物のような、一価のカチオンである炭酸塩、のような酸性タイプのエチレン性不飽和単量体である。好適な単量体は、優れた物理的特性を有しており、所望のレベルに対する中和率の効率的な調整を可能にする。本実施形態において、加えられた塩基の量は特に制限されず、混合工程(i)で使用された吸水性樹脂が、上記に述べた好ましい範囲内に調整された所望の中和率を有するように、好適に選択される。
【0044】
本発明において、「中和比の低い吸水性樹脂前駆体」という表現は、中和率(全体の酸性基のうち中和された酸性基のモル%)の低い、又は中和された酸基を有しない(すなわち、中和率が0である)吸水性樹脂前駆体と称し、通常、0〜50モル%、より好ましくは0〜20モル%の中和率(全体の酸性基のうち中和された酸性基のモル%)を有する吸水性樹脂前駆体と称する。このような中和率の低い吸水性樹脂前駆体は、主要構成成分としてアクリル酸のような酸性基を含有の単量体を含む単量体混合物を使用することによって上記に述べた方法と同じ方法によって得ることができ、好ましくは、中和率は上記範囲内で調整される。
【0045】
本発明によって熟考される改質された吸水性樹脂の生成方法に使用する改質される前の吸水性樹脂の水分含有量は、吸水性樹脂が流動性を有する限り特に制限されない。3時間180℃で乾燥させた後の吸水性樹脂は、好ましくは0〜50重量%、0〜40重量%、0〜30重量%、0〜20重量%、0〜10重重量%、及びより好ましくは、0〜5重量%、この順にそって低下する水分含有量を有する。
【0046】
本発明で使用される吸水性樹脂は、上記の方法の生成物に制限されないが、その他のいくつかの方法によって得られるいかなる生成物であってもよい。上記の方法によって得られる吸水性樹脂は、表面架橋を行っていない吸水性樹脂であるが、本発明の改質された吸水性樹脂の生成方法の使用に、多価アルコール、多価エポキシ化合物、アルキレンカーボネート、又はオキサゾリドン化合物で予め表面架橋を行った吸水性樹脂を採用することが可能である。
【0047】
(b)吸水性樹脂組成物
本発明による改質された吸水性樹脂の生成方法において、工程(i)では、吸水性樹脂組成物は、エチレン性不飽和単量体を添加することなく、水及びラジカル重合反応開始剤(水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤)を吸水性樹脂と混合することによって得られる。
【0048】
これまで、吸水性樹脂の表面架橋は一般的に、表面架橋剤を使用して行われている。表面架橋剤の混和によって、樹脂及び表面架橋剤の表面上にある官能基の間に強い化学結合が生じ、その結果、好適な表面架橋構造を樹脂の表面へ導入する。その際、表面架橋剤の鎖長を正確に選択することによって、架橋間の距離を容易に調整することができる。混和される表面架橋剤量を調整することによって、架橋密度を制御することができる。しかし、本発明では、表面架橋剤の混和を必要としないラジカル重合反応開始剤を使用するだけで、吸水性樹脂の改質、特に吸水性樹脂の表面への架橋構造の導入が可能である。さらに、吸水性組成物を得るために付加的に水を加え、吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することによって、架橋構造を、吸水性樹脂の表面へ効果的に導入することができ、同時に、生成され、改質された吸水性樹脂粒子は、吸水率が改善される。その上、工程(i)の吸水性樹脂に対して比較的大量の水の追加は、下記で詳細に説明する工程(ii)の吸水性樹脂の表面上の架橋構造を効率的に導入することが可能であり、それ故に、所望のレベルへ改質された吸水性樹脂の圧力に対する吸収性(AAP)及び塩水流伝導度(SFC)を改善するために必要な照射時間の短縮にもなる。
【0049】
本発明では、「エチレン性不飽和単量体を添加することなく」という表現は、工程(ii)の吸水性樹脂の表面の活動前に、活性エネルギー線に照射することによって活性化されたラジカル重合反応開始剤を消費することを避けるために、ラジカル重合反応開始剤とエチレン性不飽和単量体との反応を妨げることを目的として使用する。
【0050】
工程(i)では、吸水性樹脂と水を混合する。この場合、吸水性樹脂と水を混合するとは、水のみを加えることによって、又は他の構成成分を含有する水溶液形態の水を加えることによって行われてもよい。水溶液としては、例えばラジカル重合反応開始剤を含有する水溶液、混合助剤を含有する水溶液、及びそれらと同類のものが、挙げられる。
【0051】
工程(i)において、吸水性樹脂と混合した水の量は、好ましくは、20重量部を超え、100重量部の吸水性樹脂(100重量部の容積へ減少)を基準として100重量部以下である。工程(i)の吸水性樹脂へ比較的大量の水を加えることは、下記で詳細に説明する工程(ii)の吸水性樹脂の表面にある架橋構造の効率的な導入を可能にする。吸水性樹脂と混合した水の好ましい量は、100重量部の吸水性樹脂(100重量部の容積と称して)を基準として、20重量部を超え70重量部未満、又は20重量部を超え50重量部未満、又は20重量部を超え40重量部未満、又は20重量部を超え30重量部未満、の順となる。水の量が100重量部を超える場合、多くのエネルギー量が、活性エネルギー線を照射した後の乾燥させる工程中に必要とされる場合がある。加えて、吸水性樹脂は、分解される可能性がある。
【0052】
さらに、工程(i)で、前記水に加えて、水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤を、ラジカル重合反応開始剤として吸水性樹脂組成物と混合する。ちなみに、以下「水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤」は、時折集合的にラジカル重合反応開始剤と呼ばれることがある。
【0053】
本工程で「水溶性ラジカル重合反応開始剤」を吸水性樹脂と混合する時、開始剤を親水性の特性及び吸水特性を卓越する吸水性樹脂の表面上で、容易に均一に分散することができる。その結果、吸水特性を卓越する吸水性樹脂を、生成することができる。
【0054】
本発明で使用する水溶性ラジカル重合反応開始剤は、1重量%以上、好ましくは、5重量%以上、より好ましくは10重量%以上の水(25℃)の溶解度を有する。典型的な例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムのような過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパンジヒドロクロリド及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−yl)プロパン]ジヒドロクロリドのような水溶性アゾ化合物である。過硫酸塩を使用することは、改質された吸水性樹脂が圧力(本明細書では、「圧力に対する吸収性」として簡素に称する)及び塩水流伝導度に対する生理食塩水の吸収性を含む優れた吸水率の特性を有するとして、特に好ましい。
【0055】
本発明で使用する用語、熱分解性のラジカル重合反応開始剤とは、加熱することによってラジカルを生成する化合物である。0〜120℃、より好ましくは、20〜100℃の範囲で10時間半耐用期間の熱分解温度を有する熱分解性ラジカル重合反応開始剤が本発明で好ましく使用されてもよい。活性エネルギー線を照射する間の温度を考慮すれば、40〜80℃の範囲の10時間半耐用期間の熱分解温度を有する熱分解性ラジカル重合反応開始剤を、本発明で特に好ましく使用することができる。10時間半耐用期間の熱分解温度の下限が0℃(下限値)未満である場合、熱分解性ラジカル重合反応開始剤は、保管中不安定すぎるであろう。逆に、その上限が120℃(上限値)を超える場合、熱分解性ラジカル重合反応開始剤の化学的安定性が高すぎる場合がある。
【0056】
工程中、熱分解性ラジカル重合反応開始剤を吸水性樹脂と混合する時、短期間、低温で表面改質を行うことができ、結果として得た改質された吸水性樹脂は、優れたゲル強度及び優れた吸水特性を明白に示す。本発明で使用する熱分解性ラジカル重合反応開始剤は、油溶性又は水溶性のいずれかであってもよい。油溶性の熱分解性ラジカル重合反応開始剤の分解率は、水溶性の熱分解性ラジカル重合反応開始剤の分解率と比べて、pH値及びイオン強度に対する感受性が低い。しかし、吸水性樹脂は親水性であるので、より好ましくは水溶性の熱分解性ラジカル重合反応開始剤が、吸水性樹脂に対する透過性の点から使用されてもよい。
【0057】
熱分解性ラジカル重合反応開始剤は、比較的安価であり、光分散性のラジカル重合反応開始剤のような市販で入手できる化合物と比べて、精密な遮光を常に必要としないため、生成のそのプロセス及び機器を簡素化することが可能である。熱分散性ラジカル重合反応開始剤の代表的な例は、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸カリウムのような過硫酸塩類;過炭酸ナトリウムのような過炭酸塩類;過酢酸及び過酢酸ナトリウムのような過酢酸塩(peracetate)類;過酸化水素;及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−yl)プロパン]ジヒドロクロリド、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)のようなアゾ化合物である。上記で列挙した熱分解性ラジカル重合反応開始剤のうち、40〜80℃の範囲の10時間半耐用期間の熱分解温度を有する、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸カリウムを含む過硫酸塩類、並びに2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)を含むアゾ化合物を好ましく使用することができる。特に、過硫酸塩類は、圧力下での生理食塩水の吸収性、及び塩水流伝導度、及び自由膨潤能力に優れている点から好ましく使用されてもよい。
【0058】
ラジカル重合反応開始剤の量は、100重量部の吸水性樹脂を基準として、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.1〜15重量部、特に好ましくは、1〜10重量部の範囲である。混合するラジカル重合反応開始剤の量が0.01未満の場合、吸水性樹脂は、たとえ活性エネルギー線にさらされても、十分に改質されない場合がある。逆に、混合するラジカル重合反応開始剤の量が、20重量部を超える場合、改質された吸水性樹脂の吸水特性は、低下する可能性がある。
【0059】
本発明において、水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤を本質的に使用することによって、例えば油溶性の光重合反応開始剤だけを使用する場合のような、ラジカル重合反応開始剤を省いた場合と比べて、優れた特性を得ることができる。ちなみに、本明細書で使用する時、用語「油溶性の光重合反応開始剤」とは、1重量%未満の水の溶解度を有する化合物を意味する。
【0060】
本発明で本質的に水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分散性ラジカル重合反応開始剤を使用する一方、ラジカル重合反応開始剤以外の反応開始剤を追加で使用することができる。追加的に使用できるその他の重合反応開始剤の典型的な例は、光重合反応開始剤、例えば油溶性ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、及びアセトフェノン誘導体、並びに油溶性有機過酸化物類、例えば油溶性ケトン過酸化物、ペルオキシケタール、ヒドロペルオキシド、ジアルキル過酸化物、ペルオキシエステル類、及びペルオキシカーボネートである。これらの光重合反応開始剤は、市販の製品、例えばチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)の商標名イルガキュア(Irgacure)184(ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)及びイルガキュア(Irgacure)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)の下で販売される製品であってもよい。
【0061】
本発明において追加の反応開始剤を組み合わせて使用する時、使用するもう一方の反応開始剤の量は、100重量部の吸水性樹脂を基準として、0〜20重量部、好ましくは、0〜15重量部、及び特に好ましくは0〜10重量部の範囲である。この比率は、ラジカル重合反応開始剤より少ない量、例えば、1/2以下、さらに1/10以下、及び特に1/50以下の水溶性ラジカル重合反応開始剤の重量比に一致する。水溶性ラジカル重合反応開始剤及び/又は熱分解性ラジカル重合反応開始剤を組み合わせて使用する時、ラジカル重合反応開始剤の量は、その全体量を指す。
【0062】
上記に述べるラジカル重合反応開始剤及び吸水性樹脂を混合することは、改質されていない吸水性樹脂とラジカル重合反応開始剤を混合することによって得られてもよいが、水溶液中に反応開始剤を溶解させ、そして結果として得た水溶液を吸水性樹脂と混合することによって好ましく行われてもよい。吸水性樹脂は水を吸収することができるので、ラジカル重合反応開始剤を、吸水性樹脂の表面上で均一に分散し、水溶液形態のラジカル重合反応開始剤を混合することによって吸水性樹脂と混合することができる。水溶液は、水のほか、ラジカル重合反応開始剤の溶解度を損なわない量でいくつかその他の溶媒を含有してもよい。
【0063】
さらに、ラジカル重合反応開始剤を水溶液形態へ加える時、使用される水溶液の水の量は制限されない。このことに関して、水を吸水性樹脂へ混合する形態とは、ラジカル重合反応開始剤を含有する水溶液形態に行われる混合に制限されない。ラジカル重合反応開始剤と吸水性樹脂を混合した後、水又は水溶液をそれと共に混合してもよい。それ故に、ヒドロゲル系架橋生成物は、吸水性樹脂組成物を得るために、単量体構成成分を重合し、水分含有量0〜50重量%となるよう乾燥させ、次いでラジカル重合反応開始剤と直接混合することによって得られる。
【0064】
水溶液と吸水性樹脂組成物を混合する特性を改善するために、吸水性樹脂組成物へ混合助剤を加えてもよい。混合助剤を加える時点はとりわけ重要ではないが、好ましくは、同時に又は混合工程(i)より前に混合助剤を加える。
【0065】
混合助剤は、それがエチレン性不飽和単量体又はラジカル重合反応開始剤以外の水溶性又は水分散性の化合物であり、吸水性樹脂と水とのアグロメレーションを抑制でき、水溶液と吸水性樹脂との混合を改善する限り、特に制限されない。好ましくは、混合助剤は、水溶性又は水分散性化合物である。そのようなものとして、水溶性又は水分散性化合物、界面活性剤、水溶性ポリマー類、親水性有機溶媒、水溶性無機化合物、無機酸類、無機酸塩類、有機酸類、及び有機酸塩類が、通常使用できる。本明細書において、用語「水溶性化合物」とは、室温で100gの水中、1g以上、好ましくは10g以上の溶解度を有する化合物を指す。混合助剤を追加することは、水と吸水性樹脂のアグロメレーションを抑制することが可能であり、水溶液と吸収性樹脂との均一な混合を可能にするため、次の工程の活性エネルギー線を、むらなく均等に吸水性樹脂へ放射し、その結果、吸水性樹脂全体に均一な表面架橋を得ることができる。
【0066】
混合助剤を使用する時、混合助剤の形態は特に制限されず、粒末状形態を使用してもよく、又は溶液中に溶解、分散又は懸濁させてもよい。好ましくは、水溶液の形態で使用される。
【0067】
さらに、混合助剤を使用する場合、混合助剤を加える順序も特に制限されない。いかなる方法、例えば混合助剤を吸水性樹脂へ加え、次いで水及びラジカル重合反応開始剤(一部の場合、水溶液がそれらを含有する)を混合物へ加え混合することを含む方法、及び水溶液中で混合助剤を分解し、それと同時に吸水性樹脂と結果として得た溶液を混合することを含む方法、を使用することが可能である。
【0068】
本明細書に使用されるべき界面活性剤として、HLBが7以上である非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤が採用されてもよい。こうした界面活性剤の典型的な例は、ソルビタン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類、ポリグリセリン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレンアシルエステル類、スクロース脂肪族エステル類、高級アルコール硫酸エステル類、アルキルナフタレンスルホネート類、アルキルポリオキシエチレンサルフェート、及びジアルキルスルホサクシネート類である。これら界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が、好ましく使用される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの数平均分子量は、好ましくは、200〜100,000、より好ましくは、500〜10,000の範囲である。数平均分子量が大き過ぎる場合、溶液中の界面活性剤濃度を増加することができないため、水中の溶解度が低下し、故に吸水性樹脂との混合が非効率的である場合がある。また、溶液の粘度率を増加させる場合がある。逆に、数平均分子量が小さ過ぎると、界面活性剤は混合助剤として有効でない場合がある。
【0069】
水溶性ポリマーの典型的な例は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、及びデンプンである。これらポリマーのうち、ポリエチレングリコールは、好ましく使用される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのようなポリエチレングリコールの数平均分子量は、好ましくは、200〜100,000、より好ましくは、500〜10,000の範囲である。
【0070】
親水性の有機溶媒の典型的な例は、アルコール類、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、及びt−ブチルアルコール;ケトン類、例えばアセトン及びメチルエチルケトン;エーテル類、例えばジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、及びテトラヒドロフラン;アミド類、例えばε−カプロラクタム及びN,N−ジメチルホルムアミド;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;及び多価アルコール類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ペンタエリスリトール、及びソルビトールである。これらの親水性の有機溶媒は、単独で又は2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0071】
水溶性無機化合物の典型的な例は、アルカリ金属塩類、例えば塩化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、及び硫酸ナトリウム、アンモニウム塩類、例えば塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、及び硫酸アンモニウム、アルカリ金属水酸化物類、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、多価の金属塩類、例えば塩化アルミニウム、塩化ポリアルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化カルシウム、アルコキシチタン、ジルコニウム炭酸アンモニウム、酢酸ジルコニウム、及び非還元性アルカリ金属塩のpH緩衝剤、例えば炭酸水素塩、二水素リン酸塩、及び水素リン酸塩である。
【0072】
さらに、無機酸(塩)の典型的な例は、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、及びホウ酸、並びにそれらの塩類、例えばそれらのアルカリ金属塩類、並びにそれらのアルカリ土類金属塩類である。有機酸(塩)の典型的な例としては、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、及び酒石酸、及びそれらの塩類、例えばそれらのアルカリ金属塩類、並びにそれらのアルカリ土類金属塩類である。
【0073】
上記で述べた化合物のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコール、水溶性の多価金属、塩化ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸、及び塩酸から成る群から選択される少なくとも1つの水溶性又は水分散性化合物を、混合助剤として好ましく使用してもよい。
【0074】
これらの混合助剤は、単独で又は2種以上の混合形態で使用されてもよい。加えられる混合助剤の量は、上記に述べるように、それが吸水性樹脂と水とのアグロメレーションを抑制でき、水溶液と吸水性樹脂との混合を改善する限り特に制限されない。典型的に、混合助剤は、100重量部の吸水性樹脂に対して、好ましくは、0.01〜40重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、を範囲とする量で加えられる。
【0075】
本発明による工程(i)において、吸水性樹脂、水、及びラジカル重合反応開始剤、及び所望による混合助剤を混合する条件は重要ではない。例えば、工程(i)の混合温度は、好ましくは0〜150℃、又は10〜120℃、又は20〜100℃、又は30〜90℃、又は40〜70℃の順序の範囲である。混合温度が150℃を超える場合、吸水性樹脂を熱によって分解する場合があり、工程(ii)での吸水性樹脂の表面水分含有量は、水及びそれと同類のものが蒸発するために低すぎる場合がある。逆に、混合温度が0℃未満の場合、水を液化し、それによって安定稼動を妨げる。高温で混合工程を行うと、ラジカル重合反応開始剤が熱によって小さな放射で作動できるため、好ましい。従って、そのような場合、混合/照射システムは、蒸気の過度の漏れを抑制し、工程(ii)での吸水性樹脂の表面水分含有量を3.0重量%以上のレベルへ増加させるように好ましく閉ざされる場合がある。また工程(i)以前の吸水性樹脂及び水の温度も、特に制限されない。例えば、工程(i)以前の吸水性樹脂の温度は、好ましくは0〜150℃、又は10〜120℃、又は20〜100℃、又は50〜100℃の順序の範囲である。工程(i)以前の吸水性樹脂の温度が150℃を超える場合、熱により吸水性樹脂を分解する。逆に、混合温度が0℃未満の場合、水を液化し、それによって安定稼動を妨げる。工程(i)以前の水の温度は、好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは20〜50℃の範囲である。工程(i)以前の水の温度が80℃を超える場合、必要以上の量の水が、混合工程(i)以前に蒸発し、その結果、十分な量の水と、低すぎる吸水性樹脂の表面水分含有量となった吸水性樹脂とを混合できない。逆に、5℃未満の場合、水を液化し、それによって安定した稼動を抑制する。さらに、工程(i)の混合時間も、上記構成成分が均一に混合される限り、特に制限されない。典型的に、混合時間は、好ましくは0.1秒〜60分、より好ましくは1秒〜30分、さらに好ましくは2秒〜20分、最も好ましくは5秒〜10分の範囲である。混合時間が短い制限時間未満の場合、吸水性樹脂、水、及びラジカル重合反応開始剤、及び所望による混合助剤は、均一に混合されない。逆に、混合時間が上限値を超え、極度に長くなる場合、必要以上の量の水が、吸水性樹脂の内部へ浸透し、その結果、表面上の水分含有量を極度に減少させる。
【0076】
吸水性樹脂、水及びラジカル重合反応開始剤を混合するための好適な機器は、例えば、V−型ミキサー、リボン型ミキサー、スクリュー式ミキサー(screw type mixer)、ロータリー円板型ミキサー(rotary circular plate type mixer)、空気電流型ミキサー(air-current type mixer)、バッチニーダー、連続型ニーダー(continuous kneader)、パドル型ミキサー(paddle type mixer)、又はスペース型ミキサー(space type mixer)である。
【0077】
(c)活性エネルギー線
吸水性樹脂の生成において、重合の比率は、活性エネルギー線へさらして増加することができることは既知である。例えば、重合可能な単量体構成成分、内部架橋剤と光重合反応開始剤を加え、紫外線、電子放射線、又はγ線のような活性エネルギー線、結果として得た混合物を照射することによって、内部架橋を有する非水溶性吸収性樹脂を調製することができる。その際、吸水性樹脂の表面を架橋する方法として、表面架橋剤を使用し、熱を適用することによる関連反応を促進することによって表面架橋形成を得ることができる。吸水性樹脂の表面架橋に、1分子単位中に複数の官能基を有する、多価アルコール類、多価グリシジルエーテル類、ハロエポキシ化合物、及び多価アルデヒド類などの化合物を使用してもよい。一般的に、100〜300℃で加熱することによって、これらの官能基は、吸水性樹脂の表面に架橋構造が生じるように、吸水性樹脂の表面に存在するカルボキシル基と反応することができる。しかし、本発明において、架橋構造は、ラジカル重合反応開始剤、並びに、表面架橋剤及び重合可能な単量体の存在を必要としない活性エネルギー線にさらすこと、の組み合わせによって吸水性樹脂の表面上に形成される。本発明の方法によって、改質された吸水性樹脂の圧力に対する吸収性(AAP)及び塩水流伝導度(SFC)を改善することができる。
【0078】
本発明の方法によると、吸水性樹脂組成物中の吸水性樹脂の表面水分含有量は、活性エネルギー線を照射した時、上記の予め定められた値となるように制御される。
【0079】
具体的には、照射工程において、吸水性樹脂組成物中の吸水性樹脂の表面水分含有量は、3.0重量%以上になるように制御される。表面水分含有量は、照射工程中のいかなる時点でも3.0重量%以上のレベルに制御されてよく、照射工程の開始から終了までの過程を通して3.0重量%以上のレベルに制御する必要はない。吸収性樹脂の表面水分含有量が照射工程の開始から終了までの過程を通して3.0重量%以上のレベルに制御される時、吸水性樹脂の表面の改質(例えば、架橋構造の導入)は、効率的に行うことができない。
【0080】
上記に説明するように、表面水分含有量は、照射工程中の少なくともいずれかの時点で、3.0重量%以上のレベルに制御されてもよい。好ましくは3.5重量%以上、より好ましくは4.0重量%以上のレベルに制御される。表面水分含有量の上限値は、特に重要ではなく、目的によって適切に選択されてもよい。しかし、表面水分含有量は典型的に、60.0重量%より低く、好ましくは50.0重量%より低く、より好ましくは40.0重量%より低く、さらに好ましくは30.0重量%より低いものとする。表面水分含有量が高すぎる時、吸水性樹脂粒子は、粘着し又は塊になり、活性エネルギー線の照射を効果的に行うことができない場合がある。
【0081】
本発明の典型的な実施形態において、照射工程開始時の表面水分含有量は、上記に説明する範囲内となるように制御される。照射工程中、表面水分含有量は変化する場合があることに留意する。すなわち、初期の水分含有量に比べ、表面水分含有量は増加又は減少されてもよい。しかし、表面水分含有量は、上記に説明する範囲内でなければならない。表面水分含有量が、照射工程全期間中の上記に説明する範囲内、好ましくは30%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは90%以上、及び特に好ましくは100%(すなわち、全期間)となるように制御される。
【0082】
本発明において、用語「表面水分含有量」とは、吸水性樹脂粒子の重量を基準とした粒子表面付近に存在する水分量の重量パーセントを指す。そのことは本質的に、全粒子中の水分量又は水分含有量の概念とは異なる。表面水分含有量は、下記に述べる作用例の定められた方法によって測定される。次のように測定方法を簡単に説明する。水は、工程(i)で得た吸水性樹脂組成物へ親水性の有機溶媒を加えることによって抽出され、抽出物中の水分量は、カール・フィッシャー法によって定量的に測定され、その結果、表面水分含有量の値が計算される。
【0083】
照射工程において、吸水性樹脂の表面水分含有量を制御する方法は特に制限されない。例えば、好ましい表面水分含有量を得るために、十分な量の水を工程(i)で得た吸水性樹脂組成物へ加えるか、もしくは、吸水性樹脂粒子の内部へ水を透過することで、水分含有を促進でき、又は、混合工程(i)及び照射工程(ii)で大気中へ水が蒸発することで、水分含有を抑圧することができる。吸水性樹脂粒子の内部へ水が透過する範囲が時間及び温度によって影響されるため、混合工程(i)の間、システムの温度を制御することは好ましい。さらに、水が蒸発することを抑圧するように、クローズドシステムを用いて、システムの混合時間及び温度を制御することは好ましい。照射工程(ii)において、箱型又は円筒型の攪拌装置の場合、例えば、クローズドシステムは、石英ガラスのような活性エネルギー線を伝達することが可能な金属を用いて照射するための開口部を覆うことによって得られる。吸水性樹脂の内部へ水が透過することを促進するには、混合工程(i)を延長することによって、又は吸水性樹脂組成物をクローズドシステムへ置くことによって、又は水の沸点より低い温度で吸水性樹脂組成物を処理する熱によって、得られる。反対に、表面の水が拡散することを促進するには、気流に吸水性樹脂組成物を受けさせることによって、又はオープンシステムへ吸水性樹脂組成物を置くことによって、又は水の沸点以上の温度で吸水性樹脂組成物を処理する熱によって得られる。
【0084】
表面水分含有量を観測するためには、観測された値によって、吸水性樹脂組成物を、特定の範囲まで乾燥させてもよく、又は予め定められた量の水を、吸水性樹脂組成物へ加えてもよい。その上、水が加えられる場合、吸水性樹脂の表面から内部までの水が浸透及び拡散することを適切に制御してもよく、又は吸水性樹脂の表面から水が蒸発することを適切に制御してもよい。
【0085】
本発明において、活性エネルギー線を照射することは、吸水性樹脂、水及びラジカル重合反応開始剤を混合する一方で行われてもよく、これら少なくとも2つを混合した後に照射を行ってもよい。
【0086】
活性エネルギー線の典型的な例としては、紫外線、電子放射線、及びγ線が挙げられてもよい。これらの活性エネルギー線は、単独で又は2種以上を組み合わせた形態で使用されてもよい。これらの活性エネルギー線のうち、紫外線及び電子放射線が有利であることが判明している。人体への活性エネルギー線の影響を考慮すると、紫外線がより好ましく、300ナノメートルを超えない波長を有する紫外線、特に好ましくは、180〜290ナノメートルの範囲を有する紫外線が好ましい。
【0087】
照射条件に関しては、紫外線を使用する時、好ましい照射強度は、3〜1,000mW/cmの範囲であり、好ましい照射線量は、100〜10,000mJ/cmの範囲である。紫外線で照射するための機器の典型的な例は、高圧水銀蒸気ランプ、低圧水銀蒸気ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及びハロゲンランプである。紫外線、好ましくは300ナノメートル以下の波長である紫外線を使用する限り、追加の異なる放射線類又は異なる波長は、特に制限されない。電子放射線が用いられた場合、好ましい加速電圧は、50〜800kVの範囲であり、好ましい吸収線量は、0.1〜100Mradの範囲である。
【0088】
一般に、活性エネルギー線を照射する好ましい持続時間は、0.1分以上60分未満、より好ましくは0.2分以上30分未満、さらに好ましくは1分以上15分未満である。そのこととは対照的に、従来の表面架橋剤を使用する従来の表面架橋は、典型的により多くの時間を必要とする。活性エネルギー線を用いての照射による表面架橋には、熱を適用することは必要とされない。しかし、活性エネルギー線の照射は、大量の放射熱を生じる可能性がある。一般に、吸水性樹脂は、好ましくは150℃未満、より好ましくは120℃の温度で処理され、さらに好ましくは室温から100℃の範囲、特に好ましくは、50〜100℃の範囲で処理される。したがって、本発明は、従来の表面架橋の典型的な温度未満の処理温度を可能にする。
【0089】
活性エネルギー線を用いた照射の間、吸水性樹脂は、活性エネルギー線を均一に照射することを確かなものとするために、好ましくかき混ぜられる、又は攪拌される。攪拌装置の典型的な例は、振動ミキサー、振動フィーダー、リボン型ミキサー、円錐形リボン型ミキサー、スクリュー式混合押出成形機(screw type mixing extruder)、空気電流型ミキサー(air-current type mixer)バッチニーダー、連続型ニーダー(continuous kneader)、パドル型ミキサー(paddle type mixer)、高速液体ミキサー(high-speed fluidifying mixer)、浮力液体ミキサー(buoyant fluidifying mixer)である。
【0090】
さらに、照射は、吸水性樹脂組成物が箱形態又は円筒形態を有する装置中にある一方、装置の周辺から発生してもよい。この場合、混合物の流量を作製するために、空気と共に粉末流が使用されるように、空気又はそれに同種のもののような気体圧力が利用されてもよい。空気が使用される場合、吸水性樹脂組成物が乾燥することを妨げるために空気を湿らせることが好ましい。活性エネルギー線の照射を多くの方向から、続いて又は好ましくは同時に行う場合、短期間で均一な表面処理を行うことができる。これに関して、上記に説明する装置が作製された材料は、吸水性樹脂組成物上の活性エネルギーを用いた照射を妨げない限り、特に重要ではない。例えば、石英ガラスが好適な材料であろう。
【0091】
(d)その他の処理
活性エネルギー線を照射した後、吸水性樹脂は所望により、乾燥するために50〜250℃の範囲の温度で熱処理を施してもよい。
【0092】
さらに、活性エネルギー線を照射した後、吸水性樹脂は、多価アルコール類、多価エポキシ化合物、及びアルキレンカーボネート類のような従来の表面架橋剤を使用することによって架橋されたさらなる表面であってもよい。
【0093】
本発明の改質された吸水性樹脂を生成するための方法において、吸水性樹脂は、活性エネルギー線を用いた照射の以前、以後又は照射中に液体透過性を増強させるために薬剤と共に加えられてもよい。そのような薬剤の典型的な例は、鉱物類、例えばタルク、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性粘土、バライト、天然アスファルト、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、及びパーライト;アルミニウム化合物、例えば硫酸アルミニウムの14〜18水和物(又は無水物)、硫酸アルミニウムカリウムの12水和物、硫酸アルミニウムナトリウムの12水和物、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、及び酸化アルミニウム、及びそれらの水溶液;他の多価金属塩類;親水性の非晶質シリカ類(例えば、トクヤマ(Tokuyama K.K.)によって製造され、商標名「レオロシル(Reolosil)QS−20」の下で販売される乾燥方法による製品、及びデグサ社(DEGUSSA Corp.)によって製造され、商標名「シパーナット(Sipernat)22S及びシパーナット(Sipernat)2200」の下で販売される沈殿方法による製品など);及びオキシド複合物、例えばシリコンオキシド−アルミニウムオキシド−マグネシウムオキシド複合物(例えば、商標名「アッタゲル(Attagel)#50の下で販売されるエンゲルハード(ENGELHARD Corp.)の製品など)、シリコンオキシド−アルミニウムオキシド複合物、及びシリコンオキシド−マグネシウムオキシド複合物である。このような液体透過性の増強剤の好ましい量は、100重量部の改質された吸水性樹脂を用いて、0〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。液体透過性の増強剤が非水溶性のときに水溶性又は粉末形態又はスラリー形態である場合、液体透過性の増強剤は水溶液の形態に加えられる。液体透過性増強剤は、ラジカル重合反応開始剤との混合形態にもまた加えられてよい。その他の添加剤、例えば抗菌剤、防臭剤、及びキレート剤は、液体透過性の増強剤のための上記に述べた範囲の量で追加として使用されてもよい。
【0094】
(e)改質された吸水性樹脂
本発明の改質された吸水性樹脂を生成する方法によると、生成された吸水性樹脂は圧力に対する吸収性を改善している。表面架橋の形成は、自由膨潤能力をわずかに低下させる結果となるが、圧力を受けた状態であっても吸収された液体を保持する能力、すなわち圧力に対する吸収性(AAP)を高めることが、これまでに知られている。本明細書に開示される方法によって、吸収性樹脂の4.83kPaの圧力に対する吸収性は、改質前の樹脂の圧力に対する吸収性と比べ1g/g以上改善される。AAPが高くなることは、表面架橋が行われたことを示すと考えられる。改質後圧力に対する吸収性が高くなるとは、好ましくは8g/g以上、より好ましくは12g/g以上であり、さらに好ましくは15g/g以上、特に好ましくは20g/g以上、最も好ましくは22g/g以上である。本発明の改質された吸水性樹脂は、8〜40g/gの範囲での4.83kPaの圧力に対する吸収性を示してよい。
【0095】
改質された吸水性樹脂の遠心保持容量(CRC)は、好ましくは50g/g以下、より好ましくは40g/g以下、さらに好ましくは35g/g以下である。その下限値は特に制限されないが、好ましくは10g/g以上、より好ましくは20g/g以上、さらに好ましくは25g/g以上である。遠心保持容量(CRC)が50g/gを超える場合、ゲル強度は減少され、圧力に対する吸収性を減少させる。一方、遠心保持容量(CRC)が10g/g未満の場合、吸水率能力を十分に得られない場合がある。
【0096】
本発明によって得られた改質された吸水性樹脂は、好ましくは10(×10−7・cm・s・g−1)以上、より好ましくは30(×10−7・cm・s・g−1)以上、さらに好ましくは50(×10−7・cm・s・g−1)以上、特に好ましくは70(×10−7・cm・s・g−1)以上、最も好ましくは100(×10−7・cm・s・g−1)以上の塩水流伝導度を有する。値は、下記の本明細書で述べられる作用例の特定の方法によって測定される。
【0097】
さらに、本発明によって得られた改質された吸水性樹脂は、低い残留モノマー含有量を有する。このことは、ラジカル重合反応開始剤上に活性エネルギー線を照射することによって形成した開始剤ラジカルを有する吸水性樹脂の残りの単量体間の反応によるものであると考えられる。吸水性樹脂は例えば使い捨ておむつのような衛生的な材料に使用されるため、残留モノマー含有量は、臭気性及び安全性の観点において、できる限り小さいほうが好ましい。塩基ポリマーとしての吸水性樹脂の残留モノマー含有量は、一般に200〜500ppmの範囲であるが、本発明よる表面処理された吸水性樹脂の残留モノマー含有量は、典型的に200ppm以下(下限は0ppm)である。改質された吸水性樹脂の残留モノマー含有量は、好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下、特に100ppm以下(下限は0ppm)である。
【0098】
さらに、本発明によって得られた改質された吸水性樹脂は、従来の表面架橋によって得られた改質された吸水性樹脂と比べて、小さな容積を有する。このことは本発明の方法によるためであり、反応には高温を必要とせず、その結果吸水性樹脂に加えられる水溶液に含有された水は蒸発しない、又は吸水性樹脂の水分含有量がわずかに多いため、150μm以下の粒径の少量の微粉末だけが存在する。そのような粒子は健康面に関して所望されない。また、空気運搬中の妨害の原因となる粒子表面の大量の静電気を避け、空気運搬中の物的損害による物理特性が劣化することを抑制する。改質された吸水性樹脂の容積としては、好ましくは95%以下、より好ましくは93%以下、特に91%以下である。下限値は重要ではないが、70%以下の容積は、吸水性樹脂1重量当たりに対して吸収性を減少させる場合がある。
【0099】
本発明によって得られた表面処理された吸水性樹脂の特性は、処理条件、例えば好適な改質されてない吸水性樹脂及びアグロメレーションを選択し、表面架橋後の吸水性樹脂のプロセスを成形することによってさらに調整することができる。一般に、改質された吸水性樹脂は粉末形態である。この粉末は、10〜1,000μm、及び好ましくは200〜600μmの重量平均粒径(ふるい装置の分級によって特定された)を有する。この粉末において、150〜850μmの直径を有する粒子の容量は、吸水性樹脂の重量を基準として、好ましくは90〜100重量%、及びより好ましくは95〜100重量%の範囲である。
【0100】
本発明の方法では、吸水性樹脂の表面架橋する過程中に、吸水性樹脂の生成中に作り出された微粉末が塊となる。従って、たとえ改質前の吸水性樹脂が微粉末を含有していても、本発明の改質された吸水性樹脂を生成する方法では、含有された微粉末のアグロメレーションを可能とし、結果として得た改質された吸水性樹脂の微粉末の量を減少させることができる。その結果、生成された改質された吸水性樹脂の粒径分布は、改質前の吸水性樹脂に比べてより大きな粒径に変化する。しかし、変化する程度は様々であり、例えば、吸水性樹脂と混合されたラジカル重合反応開始剤の量、水分含有量、活性エネルギー線を用いた照射条件、及び照射中の流れ工程に依存してもよい。
【0101】
本発明の方法によって得られた改質された吸水性樹脂は、均一に形成され、吸水性樹脂全体の表面にわたって高い架橋密度を有する表面架橋を有する。それによって、優れた特性、例えば吸収能力、吸収速度、ゲル強度、及び吸水性樹脂の吸引力が得られる。逆に、速度及び表面架橋の範囲は、アクリル酸系吸水性樹脂が、そのような表面架橋剤を多価アルコール、多価エポキシ化合物、又はアルキレンカーボネートとして使用することによって表面架橋を受ける時の中和率に依存することが明らかとなっている。具体的には、中和率が高い場合、表面架橋は難航するが、中和率が低い場合は、表面架橋は速い。ポリアクリル酸を中和した後に得られる吸水性樹脂を架橋する目的のために、後の中和は、表面架橋後、均一に行う必要がある。それとは対照的に、本発明によると、吸水性樹脂の表面架橋は、吸水性樹脂の中和率及び中和した後の均一性により単独で行われる。表面架橋が吸水性樹脂の主鎖上のラジカル重合反応開始剤の作用に依存するため、表面架橋は、酸及び塩の形態中にカルボキシル基が存在するかどうかに関わらず開始する。
【0102】
エチレン性不飽和単量体が存在する中、本発明を実行する場合、ラジカル重合反応開始剤は、エチレン性不飽和単量体の重合によって消費され、本発明においては所望されない。
【0103】
本発明に従えば、吸水性樹脂の表面処理を、反応温度が室温に近い温度であっても、完全に満足して実行でき、結果として得た表面処理された吸水性樹脂は、例えば吸収能力、吸収速度、ゲル強度、及び吸水性樹脂の吸引力という優れた特性を有する。従って、本発明によって得られた吸水性樹脂は、例えば使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、及び体液を吸収するためのその他生理用品のような吸収部材においての使用に最も適している。
【0104】
吸収性物品
本発明の方法によって作製された吸収部材は、好ましくは吸収性物品の吸収性コアとして使用される。本明細書で使用する時、吸収性物品とは、液体を吸収して収容する道具を指し、より具体的には、着用者の身体に接触させたり隣接させたりして、身体から排泄される様々な排出物を吸収して収容する道具を指す。吸収性のある製品としては、おむつ、成人用失禁ブリーフ、おむつホルダー及びおむつライナー、生理用ナプキン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の好ましい吸収性物品とは、おむつ及びトレーニングパンツである。本明細書で使用するとき、「おむつ」及び「トレーニングパンツ」とは一般に、幼児及び失禁症状のある人によって、その着用者の下方の胴体廻りに装着される吸収性物品を指す。
【0106】
本発明に特に好適な吸収性物品は、液体透過性トップシート、液体不透過性バックシート、一般には前記トップシートとバックシート間に配置した吸収性コアを備えた外側カバーから典型的には構成される。吸収性コアには、一般に圧縮可能かつ快適で、着用者の皮膚に刺激を与えず、尿及び他の体の排出物などの液体を吸収及び保持可能な吸収性材料を含有させてもよい。吸収性コアには、本発明のSAP粒子に加え、使い捨ておむつと他の吸収性物品で通常使用される、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプなどの多種多様の液体吸収性材料を含有させてもよい。
【0107】
吸収性アセンブリとして使用するための代表的な吸収性構造については、1992年8月11日にヘロン(Herron)らに付与された米国特許第5,137,537号、名称「個別のポリカルボン酸架橋木材パルプセルロース繊維を含有する吸収性構造(Absorbent Structure Containing Individualized, Polycarboxylic Acid Crosslinked Wood Pulp Cellulose Fibers)」、1992年9月15日にヤング(Young)らに付与された米国特許第5,147,345号、名称「失禁管理のための高効率吸収性物品(High Efficiency Absorbent Articles For Incontinence Management)」、1994年8月30日にロウ(Roe)に付与された米国特許第5,342,338号、名称「低粘性の糞便物質のための使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article For Low-Viscosity Fecal Material)」、1993年11月9日にデマレ(DesMarais)らに付与された米国特許第5,260,345号、名称「水性体液のための吸収性フォーム材料及び前記材料を含有する吸収性物品(Absorbent Foam Materials For Aqueous Body Fluids and Absorbent Articles Containing Such Materials)」、1995年2月7日にダイアー(Dyer)らに付与された米国特許第5,387,207号、名称「水性体液のための薄いユニット状湿潤吸収性フォーム材料及びそれらの製造プロセス(Thin-Until-Wet Absorbent Foam Materials For Aqueous Body Fluids And Process For Making Same)」、1995年3月14日にラボン(LaVon)らに付与された米国特許第5,397,316号、名称「拡張可能な吸収性材料で形成された、水性体液のためのスリット付き吸収性部材(Slitted Absorbent Members For Aqueous Body Fluids Formed Of Expandable Absorbent Materials)」、並びに米国特許第5,625,222号、名称「水性流体のための吸収性フォーム材料(Absorbent Foam Materials For Aqueous Fluids Made From high In al.、1997年7月22日)に記載されている。
【実施例】
【0108】
以下において、本発明は、作用例及び比較例によってより具体的に説明されるだろう。本発明はそれらに限定されない。下文では、便宜上「重量部」は単に「部」として、「リットル」は単に「L」として表される場合がある。作用例及び比較例に示される測定方法及び評価方法を以下に示す。
【0109】
(1)粒径の分布:重量平均粒径(D50)及び対数標準偏差(σζ)
10gの吸水性樹脂又は粒子状吸収剤は、室温(20〜25℃)及び湿度50RH%において、850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、45μmのメッシュの大きさ(飯田製作所株式会社製造(Iida Seisakusho K.K.)、飯田テスティング・シーブ(THE IIDA TESTING SIEVE)、直径8cm)を有するJIS標準ふるい(JIS standard sieves)を通り、次いで5分間、篩振とう器(飯田製作所株式会社製造(Iida Seisakusho K.K.)、飯田篩振とう器(IIDA SIEVE SHAKER)、型:ES−65型(ES-65type)、SER番号0501)を使用することによって分級される。重量平均直径に関して、残留率Rが対数で表された確立用紙に描かれ、この製図から、R=50重量%に一致する粒径は、重量平均直径(D50)として示す。
【0110】
さらに、Rが84.1重量%である粒径及び15.9重量%である粒径は、それぞれX1及びX2を指す。対数標準偏差(σζ)は次の式によって示される。具体的に、その値σζが小さければ小さいほど、粒径の分布は狭まることを意味する。
σζ=0.5×In(X2/X1)
【0111】
(2)表面水分含有量
塩基ポリマーとして、500gの吸水性樹脂が5リットルのレーディゲミキサー(レーディゲ社製造(Loedige Co.,Ltd.)、型:M5R(Type: M5R))へ加えられ、5.0gの過硫酸アンモニウム、2.5gのポリエチレングリコール(数平均分子量が約2,000)のモノメチルエーテル及び40gの水を混合する前に得られた処理溶液は、300rpmでの攪拌の下、そこへスプレーされる。室温で3分間攪拌することによって混合した後、攪拌を終了した。1gの結果として得た混合物は、スクリューチューブへ加えられ、4gの無水メタノールが加えられる。その際、混合物はIKA社(IKA K.K.)製造の小型振とう器 MS1(mini-shaker MS1)で30秒間振動させ、その後注射器で吸収され、次いでフィルター(ジール・サイエンス社(Zeal Science Co., Ltd.)製造、ウォータータイプ25A(Water type 25 A)(0.45μmの孔径))でろ過される。ろ液中に含有された水の量は、カール・フィッシャー水分計(Karl Fischer moisture meter)(京都電子工業株式会社製造(Kyoto Electronics Manufacturing Co., Ltd.)タイプ:MKS−1S(Type: MKS-1S))で下記の方法によって測定される。
【0112】
カール・フィッシャー水分計を用いた水の量の測定
1.測定の原理
これは容量分析を使用して水の量を測定する方法であり、メチルアルコール及びピリジンの存在下で、水がヨウ素及び亜硫酸ガスと定量的に反応する、カール・フィッシャー試薬を滴定剤として使用する。
【0113】
重合は、水溶液に浸された2白金電極間のほんのわずかな定電流を作製することによって行われ、滴定の終点は、デッド・ストップ(Dead Stop)方法によって測定され、終点の過度なヨウ素によって生じる変化の可能性が検出される。
【0114】
カール・フィッシャー方法によって水の量を測定するために、カール・フィッシャー試薬で滴定された滴定のためにフラスコが配置され、試料中の水の量は、カール・フィッシャー試薬及びタイターの滴定量の生成物として測定される。
W=K×F
Wは、試料中の水の量(mg)であり、
Kは、カール・フィッシャー試薬の滴定量(mL)であり、
Fは、カール・フィッシャー試薬のタイター(mg/mL)である。
【0115】
2.測定方法
測定のために50mLの溶媒(50mLの酢酸(特級)、50mLの緩衝溶液(ハイドルナル−緩衝剤(HYDRNAL-Buffer))、及び900mLの無水メタノールの混合された生成物)がカール・フィッシャー水分計の電極まで充電され、そこへ浸される。その際、滴定は無水状態の滴定のためのフラスコの内部を作製するように、「スタート」キーを押すことによってカール・フィッシャー試薬を用いて行われる。
【0116】
試料は滴定するためのフラスコ内へ配置され、滴定は「スタート」キーを押すことによってカール・フィッシャー試薬を用いて行われる。試料の重量(a)[mg]及びカール・フィッシャー滴定(b)[mL]を記録する。測定は、全部で3回行われ、平均値が計算される。
【0117】
試料(a)の重量及びカール・フィッシャー滴定(b)の量を下記の方程式(1)に当てはめることによって、吸水性樹脂を含有する混合物からの水の抽出に使用される無水メタノール中の水分含有量(c)[重量%]が計算される。
【0118】
F(カール・フィッシャー試薬滴定量)に関しては、測定はハイドルナル−複合物5K(HYDRNAL-Composite 5K)(約5mgHO/mL)を使用して行われ、該値を下記の方程式(2)へ当てはめることによって計算される。
(c)=((b)×F/(a))×100 (1)
F(mg/mL)=[ハイドルナル−複合物5K(HYDRNAL-Composite 5K)(約5mgHO/mL)]×[ハイドルナル−複合物5K(HYDRNAL-Composite 5K)の溶液量[mL]]/[カール・フィッシャー試薬の滴定量[mL]] (2)
【0119】
無水メタノールに含有された合計の水濃度(d)[重量%]が測定される。処理剤を加える前の吸水性樹脂に含有された水から得られた水濃度は、上記に説明する方程式(1)で計算されるように、吸水性樹脂の混合物を含有する混合物からの水の抽出で使用される無水メタノール中の水濃度(c)から差し引かれる。その結果、濃度(e)、すなわち(c)−(d)=(e)が得られる。吸水性樹脂の混合物から抽出された水の量(g)[mg]は、濃度(e)及び吸水性樹脂の混合物からの水の抽出で使用される無水メタノールの量(f)を使用することによって計算され、次の方程式(3)に従う。
(g)=((c)−(d))×(f)=(e)×(f) (3)
【0120】
さらに、吸水性樹脂の混合物(a)に含有される、処理溶液から得られた水の量(h)[mg]は、1,000mgの吸水性樹脂当たりに加えられた処理溶液の重量(i)[mg]及び処理溶液に含有された水の重量(j)[mg]を基準とした、次の方程式(4)を使用することによって計算される。
(h)=(a)×((j)/(1000+(i)) (4)
【0121】
吸水性樹脂の混合物(a)に含有された、処理溶液から得られた水(h)に対する吸水性樹脂から抽出された水(g)の比率は、次の方程式(5)により計算され、抽出率(k)[重量%]とされる。
(k)=((g)/(h))×100 (5)
【0122】
吸水性樹脂の量で乗じた吸水性樹脂へ加えられた処理溶液に含有される水の量の重量比(l)[重量%]及び抽出率(k)は、次の方程式(6)によって、表面水分含有量(m)[重量%]を導く。
(m)=(l)×((k)/100) (6)
【0123】
(3)遠心保持容量(CRC)
CRCは、30分間負荷していない、0.90重量%の塩化ナトリウム水溶液の吸収性(以下単に「生理食塩水」とも称する)を指す。
【0124】
0.200gの吸水性樹脂を、不織布(南国パルプ工業株式会社(NangokuPulp Kogyo K.K.)製造、製品名:ヒートロン紙(Heatlon Paper)、GSP−22型(Model GSP-22))で作られた袋(85mm×60mm)の中に均一に入れ、熱融着させる。その際、袋を多量(約500mL)の生理食塩水に室温で浸す。30分後、袋を引き出し、3分間、「エダナ吸収性II、441.1−99(Edana ABSORBENCY II 441.1-99)」で説明されるように遠心力(250G)で、遠心分離器(株式会社コクサン(Kokusan Co., Ltd.)製造、型:H−122(Type: H-122))を用いて水分を取り除く。その際、袋の重量を測定し、W1(g)として称する。さらに、吸水性樹脂を使用せずに同様のことを行い、重量を測定し、W0(g)として称する。これらの値、W1及びW0から、CRC(g/g)が下記の方程式によって計算される。
CRC(g/g)=[(W1−WO)/吸水性樹脂の重量]−1
【0125】
(4)圧力下での吸収性(AAP)
400メッシュのステンレス製細目金網(メッシュの大きさ38μm)を、内径60mmを有するプラスチック製支持シリンダーの底に溶接し、室温(25±2℃)及び湿度50RH%で、0.900gの定められた吸水性樹脂を細目金網上に均一に散乱させる。吸水性樹脂上に4.83kPaの負荷を均一に出すようにそれぞれ調整されたピストン及び負荷は、60mmよりわずかに小さな外径を有するが、支持シリンダーの内壁の表面に対して間隙を引き起こさず、回避された遮るもののない垂直運動がなく、述べた順で連続してそこに置かれ、結果として得た測定装置の全体の重量W(g)が測定される。
【0126】
直径が90mmのガラスフィルター(孔径:100〜120μm、株式会社相互理化学ガラス製作所(Sogo Rikagaku Glass Manufactory K.K.)製造)が、直径150mmのベトリ皿内に配置される。0.9wt.%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)(20〜25℃)は、ガラスフィルター上面と同じレベルを示すようにペトリ皿へ加えられる。直径90mmの1枚の濾紙(厚さ0.26mm、及び保持粒径5μm;アドバンテック東洋(Advantec Toyo K.K.)製造、製品名「JIS P 3801、No.2」として販売)を、表面が完全に濡れるように生理食塩水の水面に置き、過剰の溶液を除去する。
【0127】
結果として得られた測定装置を濡れた濾紙上に完全に置き、吸水性樹脂が1時間の所定時間、負荷の下で溶液を吸収することを可能にする。1時間の放置後、測定装置全体を持ち上げ、その重量W(g)を測定する。こうした重量の測定は、装置を全く振動させずに、できる限り素早く行わなければならない。圧力下での吸収性(AAP)(g/g)は、W及びWを用いて次の式に従って計算される。
AAP(g/g)=[W(g)−W(g)]/吸水性樹脂の重量(g)
【0128】
(5)水分含有量の総量
底面が4cmの直径と2cmの高さであるアルミニウムカップに、1.00gの吸水性樹脂を、その底面上に均一に広げる。吸水性樹脂を含有するアルミニウムカップの重さを測る[W4(g)]。カップを3時間、180℃を保った熱風乾燥機中に置く。熱風乾燥機からカップを取り出した後、直ちに(少なくとも1分以内)吸水性樹脂を含有するアルミニウムカップの重さを測る[W5(g)]。水分含有量の総量を、次の式によって、値W4及びW5から計算する。
水分含有量の総量(重量%)=[(W4(g)−W5(g))/(吸水性樹脂の重量(g))]×100
【0129】
(6)塩水流伝導度(SFC)
SFCとは、膨潤状態の吸水性樹脂粒子によって示された液体透過性の程度を示す値である。SFCの値が高ければ高いほど、より高い液体透過性を示す。
【0130】
SFCは、必要な改質の場合、JP−T−9(1997)−509591に説明される塩水流伝導度の試験によって測定される。
【0131】
具体的には、図1に例証される装置を使用して、SFCを測定する。図1に示される装置において、タンク31はその中に挿入されたガラス管32を有し、ガラス管32の下方終端は、0.69重量%の塩化ナトリウム水溶液33がセル41に保持された膨潤ゲル44の底部から5cmの高さに維持されるように配置される。タンク31の0.69重量%の塩化ナトリウム水溶液は、コックを備えたL字形管34を介してセル41に供給される。セル41の下方に、通過した液体を回収するための容器48を配置し、この回収容器48はパンスケール49上に設置される。セル41は、6cmの内径を有する。400番(No. 400)のステンレススチール製の細目金網(ふるいの開口部:38μm)42をセルの下方部分の底の表面に配置する。ピストン46には、液体が通過するのに十分な穴47がその下方部分に提供され、吸水性樹脂粒子又はその膨潤ゲルが穴47に侵入することを回避するための優れた透過性を有するガラスフィルター45がその底部部分に取り付けられる。セル41は、セルを取り付けるためのスタンドに置かれる。セルを含むスタンドの表面は、液体の通過を妨げないステンレススチールのワイヤゲージ43上に配置される。
【0132】
人工尿は、0.25gの塩化カルシウム二水和物、2.0gの塩化カリウム、0.50gの塩化マグネシウム六水和物、2.0gの硫酸ナトリウム、0.85gの二水素リン酸塩アンモニウム、0.15gのリン酸水素二アンモニウム、及び994.25gの精製水を共に混合することによって調製される。
【0133】
吸水性樹脂(0.900g)は、容器40に均一に配置され、60分間2.07kPa(0.3psi)の圧力下の人工尿を含んだ膨張が残され、ゲル層44の高さが記録される。続いて、タンク31からの2.07kPa(0.3psi)の圧力、0.69重量%の塩化ナトリウム水溶液33は、膨張したゲル層を介した規定の静水圧下を通過する。コンピュータ及びはかりによって、20秒間隔でゲル層を通過した液体の量を10分間、時間の関数として記録する。膨潤ゲル44を通過する(主に隣接粒子間)流速Fs(T)は、重量の増加(g)を時間の増加(秒)で割ることによってg/sの単位で測定される。一定の静水圧及び安定した流速が得られる時間をTsとして示す。10分間で得られたデータ及びTsは、流速の計算だけに使用される。Fs(t=0)の値、すなわちゲル層を通過する初期流速は、10分間及びTsで得られた流速を用いて計算される。具体的に、Fs(t=0)は、t=0の時間に対するFs(t)の最小二乗法の結果を外挿することによって計算される。
SFC=[Fs(t=0)×L0]/(ρ×A×δP)
=[Fs(t=0)×L0]/139506
Fs(t)は[g/s]の単位が明示された流速を表し、
L0はcmの単位で明示されたゲル層の高さを表し、
ρは0.69重量%の塩化ナトリウム水溶液の密度(1.003g/cm)を表し、
Aはセル41のゲル層の上部の面積(28.27cm)を表し、
ΔPはゲル層に与えられた静水圧(492Pa(4920ダイン/cm))を表し、
SFCの単位は、(10−7・cm・s・g−1)である。
【0134】
生成例1
10Lの内部容量を有するステンレススチール製の二重装備型ニーダー(double-arm type kneader)の被覆物から形成され、2つのシグマ型ブレード(sigma-type blade)、及びそこへさらに取り付けられた蓋が提供された反応槽には、60モル%の中和率を有する5,437gのアクリル酸ナトリウム水溶液(単量体濃度:39重量%)が配置される。その際、内部架橋剤として7.90gのポリエチレングリコールジアクリレート(多くの平均エチレンオキシド単位:n=9)が、反応液を調製するために、水溶液中で分解される。さらに、反応液は窒素雰囲気の下、空気が除去される。続いて、重合開始剤として30.19gの10重量%の過硫酸ナトリウム水溶液及び25.16gの0.1重量%のL−アスコルビン酸水溶液が攪拌する間、反応液へ加えられる。結果として、重合は約1分後に始まる。形成されたゲルを粉砕する間、重合を20〜95℃で行い、重合開始後30分でヒドロゲル系架橋ポリマーを取り出す。得られたヒドロゲル系架橋ポリマーの粒径は、5mmより小さい。粉砕されたヒドロゲル系架橋ポリマーを50メッシュの金網(ふるいの開口部:300μm)上で散乱させ、50分間175℃の熱風で乾燥させる。この結果、無定形な形態である粉砕可能な粉末の粉塊が容易に得られる。
【0135】
結果として得た粉末の粉塊はロール製粉機で粉砕かれ、710μmのふるいの開口部を有するJIS標準ふるい(JIS standard sieve)を用いてさらに分級される。次に、上記に説明された作業の710μmのふるいの開口部を有するふるいを通過した粒子は、150μmのふるいの開口部を有するふるいを通過する粒子を取り除くために、150μmのふるいの開口部を有するJIS標準ふるいを用いて分級される。この結果、吸水性樹脂(A)は得られる。
【0136】
結果として得た吸水性樹脂(A)の粒子の分布を、下記の表1に示し、その様々な特性を下記の表2に示す。
【0137】
生成例2
10Lの内部容量を有するステンレススチール製の二重装備型ニーダー(double-arm type kneader)の被覆物から形成され、2つのシグマ型ブレード(sigma-type blade)、及びそこへさらに取り付けられた蓋が提供された反応槽には、90モル%の中和率を有する5,443gのアクリル酸ナトリウム水溶液(単量体濃度:39重量%)が配置される。その際、内部架橋剤として6.11gのポリエチレングリコールジアクリレート(多くの平均エチレンオキシド単位:n=9)が、反応液を調製するために、水溶液中で分解される。さらに、反応液は窒素雰囲気の下、空気が除去される。続いて、重合開始剤として28.02gの10重量%の過硫酸ナトリウム水溶液及び23.35gの0.1重量%のL−アスコルビン酸水溶液が、攪拌する間、反応液へ加えられる。結果として、重合は約1分後に始まる。形成されたゲルを粉砕する間、重合を20〜95℃で行い、重合開始後30分でヒドロゲル系架橋ポリマーを取り出す。得られたヒドロゲル系架橋ポリマーの粒径は、5mmより小さい。粉砕されたヒドロゲル系架橋ポリマーを50メッシュの金網(ふるいの開口部:300μm)上で散乱させ、50分間175℃の熱風で乾燥させる。この結果、無定形な形態である粉砕可能な粉末の粉塊が容易に得られる。
【0138】
結果として得た粉末の粉塊はロール製粉機で粉砕かれ、710μmのふるいの開口部を有するJIS標準ふるい(JIS standard sieve)を用いてさらに分級される。次に、上記に説明された作業の710μmふるいの開口部を有するふるいを通過した粒子は、150μmのふるいの開口部を有するふるいを通過する粒子を取り除くために、150μmのふるいの開口部を有するJIS標準ふるいを用いて分級される。この結果、吸水性樹脂(B)は得られる。
【0139】
結果として得た吸水性樹脂(B)の粒子の分布を、下記の表1に示し、その様々な特性を下記の表2に示す。表1において、「850μm以上」とは、次の分級方法でメッシュの大きさ850μmである、ふるいに残る吸水性樹脂の比率(重量%)として称する。また、「45μm以下」とは、次の分級方法でメッシュの大きさ45μmである、ふるいを通過する吸水性樹脂の比率(重量%)として称する。その際、「yに対するx」は、次の分級方法で、メッシュの大きさがxμmである、ふるいを通過する吸水性樹脂の比率(重量%)及び、メッシュの大きさがyμmである、ふるいに残る吸水性樹脂の比率(重量%)として称する。
【表1】

【0140】
(実施例1)
塩基ポリマーとして、500gの吸水性樹脂(A)を5Lのレーディゲミキサー(レーディゲ社製造(Loedige Co.,Ltd.)、型:M5R(Type: M5R))へ加える。12.5gの過硫酸アンモニウム、2.5gのポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量が約2,000)及び120gの水を混合することによって調製された処理溶液に300rpmの攪拌の下、スプレーする。粒子内部へ加えられた水の透過性及び拡散性を得るために、室温において追加で3分間の攪拌の下、混合することを継続した後、一度攪拌することを終了し、プロスヒア・ミキサー(proshear mixer)の試料の充電端子を取り外す。こうして得られた吸水性樹脂組成物の表面水分含有量(1)は、10.4%である。
【0141】
石英製のガラスプレートに置き開口部分が3mmの厚さとなった後、吸水性樹脂組成物(1)を攪拌することを、再度開始する(再度開始する必要時間は30秒であった)。1kWの金属ハロゲン化物(ウシオ電機社(Ushio Denki K.K.)製造、UVL−1500M2−N1)が備え付けられた紫外線(同社製造、UV−152/IMNSC3−AA06)を放射することが可能である放射装置は、ランプの中央及び石英プレートとの間の距離を8cmで設定される。その際、吸水性樹脂組成物(1)は、改質された吸水性樹脂(1)を得るために、室温で15分間、紫外線で照射される。
【0142】
こうして得た改質された吸水性樹脂(1)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。表2において、「水分含有量の総量で修正後のCRC」及び「水分含有量の総量で修正後のAAP」を次の式によって計算する。次の式において、「水分含有量の総量で修正前のCRC」とは、式(5)によって水分含有量の総量を測定する前の吸水性樹脂の遠心保持容量として称し、「水分含有量の総量で修正前のAAP」とは、式(5)によって水分含有量の総量を測定する前の吸水性樹脂の圧力に対する吸収性として称する。
水分含有量の総量で修正後のCRC(g/g)=[(水分含有量の総量で修正前のCRC)(g/g)+1]/[(100−吸水性樹脂の水分含有量の総量)]×100−1
水分含有量の総量で修正後のAAP(g/g)=水分含有量の総量で修正前のAAP(g/g)/[(100−吸水性樹脂の水分含有量の総量)]×100
【0143】
(実施例2)
処理溶液の水の量を160gに変更することを除き、実施例1で説明された手順と同じ手順を繰り返し、12.5重量%の表面水分含有量を有する吸水性樹脂組成物(2)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、吸水性樹脂組成物(2)を15分間、紫外線で照射し、改質された吸水性樹脂(2)を得る。
【0144】
こうして得た改質された吸水性樹脂(2)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0145】
(実施例3)
処理溶液の水の量を200gに変更することを除き、実施例1で説明された手順と同様の手順を繰り返し、15.5重量%の表面水分含有量を有する吸水性樹脂組成物(3)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、吸水性樹脂組成物(3)を15分間、紫外線で照射し、改質された吸水性樹脂(3)を得る。
【0146】
こうして得た改質された吸水性樹脂(3)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0147】
(実施例4)
実施例2に説明される手順と同様の手順を繰り返すことによって、12.5重量%の表面水分含有量を有する吸水性樹脂組成物(4)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、吸水性樹脂組成物(4)を1分間、紫外線で照射し、改質された吸水性樹脂(4)を得る。
【0148】
こうして得た改質された吸水性樹脂(4)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0149】
(実施例5)
塩基ポリマーの代わりとして吸水性樹脂(B)を使用することを除いて、実施例1で説明された手順と同様の手順を繰り返し、6.5重量%の表面水分含有量を有する吸水性樹脂組成物(5)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、吸水性樹脂組成物(5)を15分間、紫外線で照射し、改質された吸水性樹脂(5)を得る。
【0150】
こうして得た改質された吸水性樹脂(5)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0151】
(実施例6)
塩基ポリマーの代わりとして吸水性樹脂(B)を使用することを除いて、実施例2で説明された手順と同様の手順を繰り返し、6.7重量%の表面水分含有量を有する吸水性樹脂組成物(6)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、吸水性樹脂組成物(6)を15分間、紫外線で照射し、改質された吸水性樹脂(6)を得る。
【0152】
こうして得た改質された吸水性樹脂(6)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0153】
(実施例7)
塩基ポリマーの代わりとして吸水性樹脂(B)を使用することを除いて、実施例3で説明された手順と同様の手順を繰り返し、9.6重量%の表面水分含有量を有する吸水性樹脂組成物(7)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、吸水性樹脂組成物(7)を15分間、紫外線で照射し、改質された吸水性樹脂(7)を得る。
【0154】
こうして得た改質された吸水性樹脂(7)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0155】
制御1
処理溶液の水の量を20gに変更することを除き、実施例1で説明された手順と同様の手順を繰り返し、1.9重量%の表面水分含有量を有する対照の吸水性樹脂組成物(1)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、対照の吸水性樹脂組成物(1)を15分間、紫外線で照射し、対照の改質された吸水性樹脂(1)を得る。
【0156】
こうして得た対照の改質された吸水性樹脂(1)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0157】
制御2
処理溶液の水の量を40gに変更することを除き、実施例1で説明された手順と同様の手順を繰り返し、4.5重量%の表面水分含有量を有する対照の吸水性樹脂組成物(2)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、対照の吸水性樹脂組成物(2)を15分間、紫外線で照射し、対照の改質された吸水性樹脂(2)を得る。
【0158】
こうして得た対照の改質された吸水性樹脂(2)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0159】
制御3
処理溶液の水の量を80gに変更することを除き、実施例1で説明された手順と同様の手順を繰り返し、7.9重量%の表面水分含有量を有する対照の吸水性樹脂組成物(3)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、対照の吸水性樹脂組成物(3)を15分間、紫外線で照射し、対照の改質された吸水性樹脂(3)を得る。
【0160】
こうして得た対照の改質された吸水性樹脂(3)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0161】
制御4
制御2で説明される手順と同様の手順を繰り返すことによって、4.5重量%の表面水分含有量を有する対照の吸水性樹脂組成物(4)を得る。さらに、実施例4で説明された手順と同様の手順で、対照の吸水性樹脂組成物(4)を1分間、紫外線で照射し、対照の改質された吸水性樹脂(4)を得る。
【0162】
こうして得た対照の改質された吸水性樹脂(4)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0163】
制御5
塩基ポリマーの代わりとして吸水性樹脂(B)を使用することを除いて、制御1で説明された手順と同様の手順を繰り返し、1.1重量%の表面水分含有量を有する対照の吸水性樹脂組成物(5)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、対照の吸水性樹脂組成物(5)を15分間、紫外線で照射し、対照の改質された吸水性樹脂(5)を得る。
【0164】
こうして得た対照の改質された吸水性樹脂(5)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【0165】
制御6
塩基ポリマーの代わりとして吸水性樹脂(B)を使用することを除いて、制御3で説明された手順と同様の手順を繰り返し、5.2重量%の表面水分含有量を有する対照の吸水性樹脂組成物(6)を得る。さらに、実施例1で説明された手順と同様の手順で、対照の吸水性樹脂組成物(6)を15分間、紫外線で照射し、対照の改質された吸水性樹脂(6)を得る。
【0166】
こうして得た対照の改質された吸水性樹脂(6)を、様々な特性のために試験し、その結果を下記の表2に示す。
【表2】

WAR:吸水性樹脂、WAR for com.:対照の吸水性樹脂
APS:過硫酸アンモニウム
PEG−OMe:ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量が約2,000)
W:純水
【0167】
本発明の生成方法に従うと、活性エネルギー線、水及び予め定められた値以上のレベルに制御される吸水性樹脂の表面水分含有量を有する水溶性ラジカル重合反応開始剤で吸水性樹脂組成物を照射することによって、吸水性樹脂粒子の表面の改質を効果的に行うことが可能であり、優れた吸水特性を有する吸水性樹脂を生成することを表1に示す結果から留意されたい。さらに、吸水性樹脂に活性エネルギー線を照射することによって、比較的多量の水を加えることによって得る定められた値以上のレベルへ、吸水性樹脂の表面水分含有量を制御し、吸水性樹脂粒子の表面の改質は、たとえ短時間であっても行われ、優れた吸水特性を有する吸水性樹脂を生成することが可能であることを実施例4の結果からも留意されたい。
【0168】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0169】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0170】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行えることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】塩水流伝導度(SFC)の測定で使用される測定装置の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品に使用するための吸収性部材であって、前記吸収性部材が、改質された吸水性樹脂を備え、前記吸水性樹脂が、
(i)吸水性樹脂、水、及び水溶性のラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、
(ii)前記混合工程中に得られた前記吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、
を含み、前記照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点で、前記吸水性樹脂組成物中の前記吸水性樹脂の前記表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準とし、3.0重量%以上のレベルに制御される、方法によって作製されたものである、吸収性部材。
【請求項2】
前記工程(i)で混合した水の量が、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下である、請求項1に記載の吸収性部材。
【請求項3】
吸収性物品に使用するための吸収性部材であって、前記吸収性部材が、改質された吸水性樹脂を備え、前記吸水性樹脂が、
(i)吸水性樹脂、水、及び熱分解性ラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、
(ii)前記混合工程中に得られた前記吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、
を含み、前記工程(i)で混合した水の量が、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下であり、
前記照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点における、前記吸水性樹脂組成物中の前記吸水性樹脂の前記表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準とし、3.0重量%以上のレベルに制御される、方法によって作製されたものである、吸収性部材。
【請求項4】
改質された吸水性樹脂を備える吸収性部材を作製する方法であって、前記吸収性部材が、吸収性物品において使用されるためのものであり、前記吸収性部材が、吸収性物品における使用に好適であり、該方法が、
a)吸収性部材を提供する工程と、
b)改質された吸水性樹脂を提供する工程であって、前記吸水性樹脂が、
(i)吸水性樹脂、水、及び水溶性のラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、
(ii)前記混合工程中に得られた前記吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、
を含み、前記照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点で、前記吸水性樹脂組成物中の前記吸水性樹脂の前記表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準とし、3.0重量%以上のレベルに制御される、方法によって作製されたものである工程と、
c)前記吸収性部材に、工程b)の前記方法によって作製された前記吸水性樹脂を供給する工程と、
を含んでなる、方法。
【請求項5】
前記工程(i)で混合した水の量が、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水溶性ラジカル重合反応開始剤は、過硫酸塩、過酸化水素、及び水溶性アゾ化合物から成る群から選択される少なくとも一つである、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
改質された吸水性樹脂を備える吸収性部材を作製する方法であって、前記吸収性部材が、吸収性物品における使用に好適であり、前記方法が、
a)吸収性部材を提供する工程と、
b)改質された吸水性樹脂を提供する工程であって、前記吸水性樹脂が、
(i)吸水性樹脂、水、及び熱分解性ラジカル重合反応開始剤を、エチレン性不飽和単量体を添加することなく混合して、吸水性樹脂組成物を得ることを含む混合工程と、
(ii)前記混合工程中に得られた前記吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射することを含む照射工程と、
を含み、前記工程(i)で混合した水の量が、100重量部の吸水性樹脂を基準とし、20重量部を超え、100重量部以下であり、
前記照射工程(ii)中の、少なくともいずれかの時点で、前記吸水性樹脂組成物中の前記吸水性樹脂の前記表面水分含有量が、100重量%の吸水性樹脂を基準とし、3.0重量%以上のレベルに制御される、方法によって作製されたものである工程と、
c)前記吸収性部材に、工程b)の前記方法によって作製された前記吸水性樹脂を供給する工程と
を含んでなる、方法。
【請求項8】
前記水溶性ラジカル重合反応開始剤が、過硫酸塩、過酸化水素及び水溶性アゾ化合物から成る群から選択される少なくとも一つである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記照射工程の開始時間における前記表面水分含有量が、3.0重量%以上のレベルに制御される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合工程での前記ラジカル重合反応開始剤の量が、100重量部の前記吸水性樹脂を基準として、0.01〜20重量部の範囲である、請求項4〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記混合する工程において、前記ラジカル重合反応開始剤が、水溶液の形態で混合される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
混合助剤が、前記混合工程(i)を実行すると同時、又は前記混合工程(i)の前に、前記吸水性樹脂へ加えられる、請求項4〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記吸水性樹脂が、酸性基を含み、50〜70モル%の範囲の中和率(全体の酸性基中の中和された酸性基のモル%)を有する、請求項4〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記活性エネルギー線が、紫外線である、請求項4〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記吸水性樹脂が、主要構成成分としてアクリル酸(塩)を含む単量体を重合することによって得られる粉末状の吸水性樹脂である、請求項4〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記吸水性樹脂が粒子を含み、90重量%〜100重量%の前記粒子が、150〜850μmの範囲の粒径を有する、請求項4〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記改質後の前記吸水性樹脂における4.83kPaの圧力に対する生理食塩水の吸収性が、8〜40g/gの範囲である、請求項4〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記改質後の前記吸水性樹脂の塩水流伝導度が、10(×10−7・cm・s・g−1)以上である、請求項4〜17のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−532567(P2009−532567A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504294(P2009−504294)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/008475
【国際公開番号】WO2007/120561
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】