説明

改質硫黄結合材およびその製造方法と、これを含有する水硬性改質硫黄資材組成物およびその製造方法または可燃性改質硫黄資材組成物およびその製造方法

本発明は、硫黄の改質剤として、複素環アミン類またはアルキルアミン類と、ジシクロペンタジエン系改質剤を混合使用して硫黄を改質させることにより、100℃以下の温度で再溶融が可能な物性を発揮する改質硫黄結合材およびその製造方法を提供する。
また、本発明は、前記改質硫黄結合材に界面活性剤を添加して水との混合作業を可能にし、これに骨材と水硬性材料を混合した水硬性改質硫黄資材組成物およびその製造方法と、前記材料を混合した後に成形した水硬性改質硫黄資材およびその製造方法を提供する。
なお、本発明は、前記改質硫黄結合材に骨材と選択的にフィラー(filler)を添加した可燃性改質硫黄資材組成物およびその製造方法と、前記材料を混合した後に成形した可燃性改質硫黄資材およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、100℃以下の温度で再溶融が可能な物性を発揮する改質硫黄結合材およびその製造方法と、前記改質硫黄結合材を含有する、火に燃焼しない水硬性改質硫黄資材組成物およびその製造方法と、前記改質硫黄結合材を含有する可燃性改質硫黄資材組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポルトランドセメントを用いて製造した普通コンクリートは、アルカリ特性を示し、酸に極めてぜい弱な特性を示すもので、コンクリートの劣化は相当部分が化学的な反応によるものである。この中、最も一般的なのは、コンクリート構造物の塩害や中性化によって発生する腐食状況であり、特に塩害環境に露出しているコンクリート構造物は、鉄筋の腐食による早期劣化が大きい問題として台頭しており、このようなコンクリートの劣化を防止し補修・補強するための工事は、通常、エポキシや補修・補強用グラスマットなどを複数枚積層する方式で工事を進行することから、作業時間と材料原価の面で負担となっている。
【0003】
このような普通コンクリートのぜい弱な耐化学性および強度などの短所を克服するための方案として、ポルトランドセメントの代わりに改質硫黄成分を結合材(バインダー)として用い、これを各種の骨材と混合してモルタルまたはコンクリートを製造する改質硫黄コンクリート技術が開発された。改質硫黄結合材を用いる場合には、改質硫黄コンクリートの特性上、水を使うことができず、改質硫黄を溶融させた溶融物を使っている。
【0004】
しかし、このような改質硫黄コンクリートは、水中凍結融解抵抗性、打設後急速冷却に応じた試験片の内・外部の温度差による表面陥没現象、骨材やモールドの予熱問題および火災脆弱性などのため、その適用範囲が限定されているのが実情である。
【0005】
すなわち、現在の技術では、改質硫黄コンクリートは地中、海中、水中においてのみ使わなければならないことからその適用範囲が限定されている実情であるので、硫黄資材の汎用的な建設用資材としての拡大使用がなされ得ない現状にある。
【0006】
より具体的に言えば、硫黄の性質、すなわち、119℃を越えれば溶解し、常温においては固体である性質を利用して土木および建設分野に硫黄を適用する技術開発が持続的に試みられている。例えば、舗装材料(米国特許第4290816号)、建築材料用資材(日本特公昭55−49024号公報)または廃棄物固化用資材(日本特公昭62−15274号公報)などの結合材(binder)としての使用が検討されている。
【0007】
しかし、硫黄の燃焼性と関連し、硫黄は引火点が207℃であり、自然発火温度が245℃であって、着火性があり、表面に露出した硫黄は燃えやすいという問題がある。また、機械的強度と関連し、硫黄は安定した固体状態において欠陥がなければ高強度を発揮するが、実際には、液体状態から冷却固化される場合、斜方晶系、単斜晶、不定形硫黄の3種類が混在し、冷却条件によっては混在比率が変わると同時に時間が経過するに伴って欠陥が生じやすく、つぶれやすい脆性上の問題点がある。したがって、純粋硫黄を結合材として用いることにはその適用範囲が極めて限定される。
【0008】
このような不都合を改良するために多くの硫黄改質剤が検討されてきた。
特に、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene;DCPD)は廉価であるので経済的であり、これと共に「New Uses of Sulfur−II,1978,PP.68−77,1978」に示されたように、機械的強度などにおいて良好な働きをするものと知られている。
【0009】
また、ビニルトルエン(vinyl toluene)、ジペンテン(dipentene)、その他のオレフィンオリゴマー(olefin oligomer)を添加して硫黄の性状を改良し、舗装材、接着材、防水材などとして使用した事例(日本特公平2−25929号公報、日本特公平2−28529号公報)なども知られている。
【0010】
また、日本特開2003−277108号公報においては、硫黄改質剤としてテトラヒドロインデン(tetra hydraulic indene)を用い、日本特開2002−60491号公報においては、改質剤としてジシクロペンタジエンとテトラヒドロインデン(tetra hydraulic indene)を一緒に用いたものが開示されており、道路舗装材料としては、アスファルトと硫黄を混合使用したものも実用化されている。
【0011】
典型的には、ジシクロペンタジエンと硫黄との反応は一種の重合反応としてみることができ、これと関連した反応メカニズムは米国特許番号第4,311,826号に説明されている。改質硫黄製造時の化学反応は、反応初期にジシクロペンタジエンと硫黄が反応し、その後、硫黄がラジカル(radical)連鎖反応によって高分子化する。
【0012】
しかし、継続するジシクロペンタジエンと硫黄との反応は大きな発熱を伴うため、温度と粘度が上昇して反応制御が困難であり、常温において急激に固相化されるため成形をすることができなくなる問題点があった。
【0013】
これを解決するために、前記米国特許番号第4,311,826号には、硫黄と20〜40重量%の改質剤(ジシクロペンタジエンおよびシクロペンタジエンの3量体以上からなるオリゴマー混合物の結合物)を反応させる技術が開示されている。また、日本特公平2−28529号公報およびその対応米国特許番号第4,391,969号には、硫黄と2〜20重量%の改質剤(ジシクロペンタジエンオリゴマー混合物とジシクロペンタジエンを含有する改質剤)を反応させた高分子からなる改質硫黄結合材が開示されており、改質剤内のシクロペンタジエンオリゴマーの添加量を少なくとも37重量%添加することを要求している。一方、韓国公開特許2006−101878号には、改質剤としてジシクロペンタジエンの3量体以上のオリゴマーを実質的に含有しないジシクロペンタジエンを単独で用いる場合、添加量を2〜4重量%以内に調節すれば、液相における貯蔵安定性の優れた改質硫黄結合材を製造することができると開示されている。
【0014】
前述した先行技術の大部分は、硫黄に改質剤としてジシクロペンタジエンおよびオリゴマーを120〜160℃で溶融混合し、得られる反応生成物である改質硫黄結合材を120℃以下、すなわち、常温において冷却して固相に製造した後、約120〜160℃の温度が維持される特殊混合器内で改質硫黄結合材を再溶融した後、予熱された骨材およびその他の添加剤を可能な限り速い時間内に一時に混合して、予熱されたモールド(もしくは成形モールド)に流入して冷却固化する方式により硫黄コンクリートや硫黄アスファルトなどを製造するか、もしくは、硫黄、改質剤および骨材の全てを特定工程条件下で一挙に溶融混合した後に冷却する方式により硫黄コンクリートや硫黄アスファルトなどを製造する。
【0015】
しかし、改質硫黄結合材に関する前述した先行技術は、次のような問題点がある。
【0016】
第1に、コンクリート製作を実施するために再溶融し骨材と混合される改質硫黄結合材が、前述した120〜160℃の温度範囲内においても再度持続的に重合反応が進行して粘度が上昇し、その結果、作業性が円滑ではない場合が発生する問題がある。
【0017】
第2に、混合器内において溶融混合時間が短すぎれば、改質硫黄結合材と骨材が十分に混合されないため、得られる材料が連続的ではなくて隙間があるか、表面が滑らかではないという問題がある。
【0018】
第3に、溶融混合物の温度が低くなれば、流動性が低下して作業性が円滑ではなく、その結果、急激に冷却固化される場合が生じるが、このような現象を予防するために、前記溶融混合時間は、硫黄コンクリート製造物の物性が許容する範囲でできるだけ短時間に行わなければならないという制限がある。
【0019】
一方、当業界では、硫黄およびジシクロペンタジエンを反応させて改質硫黄結合材を固相の形態に製造したうえで、骨材と混合してコンクリートなどを製造する方案が、技術的な傾向にある。
【0020】
現在までの全ての改質硫黄結合材や、これを含有する全ての土木および建築・建設用資材は、セメントに比べて相対的に低廉な製造原価を有しながらも、強度、耐化学性および超速硬性などのような極めて卓越した物理的性質を発揮するにもかかわらず、火に脆弱である問題点を有しているため、地中、海中、水中でだけ使わねばならないことから、その適用範囲が限定されている実情にあるので、硫黄資材の汎用的な建設用資材としての拡大使用がなされていない実情である。
【0021】
日本特開2003−277108号公報および日本特開2004−2113号公報などの改質硫黄に関する多くの先行特許に、改質硫黄コンクリートを製作したうえで難燃性もしくは着火性試験を実施し、相対的に純粋硫黄コンクリートより安定していると開示されているが、根本的には、改質硫黄コンクリートは、ポリマーコンクリートであるため、火災が発生した場合のように大型火炎源と接触した場合には、短時間内に着火してコンクリート構造体としての機能を喪失し、地震惨事のような大型惨事が連続的に発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、このような従来の問題点を解決するために導き出されたものであて、本発明の目的は、
1)硫黄を改質するために、既存の硫黄改質剤として用いなかった複素環化合物またはアルキルアミン類をジシクロペンタジエン系改質剤と混合使用し、水の蒸発温度である100℃以下(例えば、35〜70℃)の温度で再溶融が可能な物性を発揮する改質硫黄結合材およびその製造方法を提供し、
2)界面活性剤を用いて、非親水性(疏水性、hydrophobic)を有する前記改質硫黄結合材を100℃以下の水に完全溶解させる方法を提供し、
3)前記改質硫黄結合材と界面活性剤と水を含む改質硫黄結合材水溶液に骨材と水硬性材料を混合し、火に燃えない水硬性改質硫黄資材(例えば、水硬性改質硫黄モルタルまたは水硬性改質硫黄コンクリート)組成物およびその製造方法を提供し、
4)前記改質硫黄結合材と骨材を含む可燃性改質硫黄資材組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的は、次の本発明の構成によって達成することができる。
(1)硫黄と、
該硫黄の改質剤として、1)前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene)系改質剤0.1〜100重量%と、2)前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤0.01〜200重量%が溶融混合されていることを特徴とする改質硫黄結合材。
【0024】
(2)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン(dicyclo peniadiene)系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造することを特徴とする改質硫黄結合材の製造方法。
【0025】
(3)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%が溶融混合された改質硫黄結合材と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、界面活性剤0.01〜50重量%と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、水硬性材料100〜9900重量%と、
前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、水15〜70重量%と、
前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、骨材80〜400重量%とを含めてなることを特徴とする水硬性改質硫黄資材組成物。
【0026】
(4)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%が溶融混合された改質硫黄結合材と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、界面活性剤0.01〜50重量%と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、水硬性材料100〜9900重量%と、
前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、骨材80〜400重量%とを含めてなることを特徴とする水硬性改質硫黄資材。
【0027】
(5)(a)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene)系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
(b)前記液相の改質硫黄結合材を最大120℃の温度において冷却して固相の改質硫黄結合材を得、
(c)前記固相の改質硫黄結合材を最大100℃で溶融した状態において、界面活性剤と、水硬性材料と、水と、骨材を混合して、水硬性改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする水硬性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0028】
(6)前記(5)の方法により製造された水硬性改質硫黄資材組成物を冷却して水硬性改質硫黄資材を得ることを特徴とする水硬性改質硫黄資材の製造方法。
【0029】
(7)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%が溶融混合された改質硫黄結合材と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%とを含めてなることを特徴とする可撚性改質硫黄資材組成物。
【0030】
(8)(a)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
(b)前記液相の改質硫黄結合材と、該液相の改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%を最大100℃で混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0031】
(9)(a)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
(b)前記液相の改質硫黄結合材を最大120℃の温度において冷却して固相の改質硫黄結合材を得、
(c)前記固相の改質硫黄結合材を最大100℃の温度で溶融した後、溶融した改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%を混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0032】
(10)硫黄と、
前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、
前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%と、
前記硫黄と、前記ジシクロペンタジエン系改質剤と、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を全て合わせた総100重量%に対し、骨材80〜400重量%を、
同時に120〜160℃で0.01〜3時間溶融混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0033】
(11)前記(8)〜(10)のうちのいずれか1つの方法により製造された液相の改質硫黄資材組成物を冷却して可燃性改質硫黄資材を得ることを特徴とする可燃性改質硫黄資材の製造方法。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、
第1に、硫黄を改質するために既存の硫黄改質剤として用いられなかった複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤をジシクロペンタジエン系改質剤と混合使用し、水の蒸発温度である100℃以下(例えば、35〜70℃)の温度で再溶融が可能な物性を発揮する改質硫黄結合材を提供することができる。
【0035】
第2に、界面活性剤を用いて、非親水性(疏水性、hydrophobic)を有する前記改質硫黄結合材を100℃以下の水に完全に溶解させることができる。
【0036】
第3に、前記改質硫黄結合材と界面活性剤と水を含む改質硫黄結合材水溶液に骨材と水硬性材料を混合して、火に燃えない水硬性改質硫黄資材(例えば、水硬性改質硫黄モルタルまたは水硬性改質硫黄コンクリート)組成物を提供することができる。したがって、従来の改質硫黄資材に比べて、高強度、耐化学性および超速硬性などにおいては同等レベル以上であり、それと同時に水硬性を有するという点で、大気中の常温においてコンクリート打設(混合)作業を行うことができ、一般コンクリートのように火に燃えない製品であるため、既存の一般コンクリートが施工される全ての領域で使用することができ、廃棄物固定化資材として使用することができる。特に、前記組成物を準備の際に温水(例えば、35〜70℃)を用いて配合が可能であり、地中・海中・水中だけでなく、場所の如何を問わず施工が可能になる。
【0037】
第4に、前記改質硫黄結合材と骨材を含む可燃性改質硫黄資材組成物を提供して、約60〜85℃の比較的に低い温度で作業が可能であるため、冬期にも作業が可能であり、モールドを予熱することを要せずに成形をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の水硬性改質硫黄資材組成物を製造するための一工程図である。
【図2】比較例1から得られる従来の改質硫黄結合材と、実施例4から得られる本発明の改質硫黄結合材の温度変化に伴った再溶融および液相変化の様子を示す写真である。
【図3】比較例1から得られる従来の改質硫黄結合材と、実施例4から得られる本発明の改質硫黄結合材の温度変化に伴った再溶融および液相変化の様子を示す写真である。
【図4】比較例1から得られる従来の改質硫黄結合材と、実施例5から得られる本発明の改質硫黄結合材が溶融状態において水との反応による液相変化の様子を示す写真である。
【図5】比較例2から得られる従来の改質硫黄モルタルと、実施例6から得られる本発明の改質硫黄モルタルのトーチ燃焼実験結果を示す写真である。
【図6】従来の普通ポルトランドセメントモルタルと、実施例7から得られる本発明の改質硫黄モルタルのトーチ燃焼実験後の表面の劣化現象を比較した様子を示す写真である。
【発明を実施するための態様】
【0039】
以下、本発明の望ましい実施態様をより詳細に説明する。
本発明において、水硬性材料、水硬性改質硫黄資材組成物、水硬性改質硫黄モルタルまたは水硬性改質硫黄コンクリートなどに用いられる「水硬性」とは、KS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)において、「セメント性物質または水和性物質」の用語定義で規定されたように、無機物質または無機物質の混合物として水との化学的反応によって水和物が生成され、それによって凝結および強度の発現を示す物質をいうもので、この反応は水中においても起こる。より具体的には、改質硫黄結合材に水硬性材料と水を混合すれば、化学的に反応が起こり、常温で硬化して、強度の発現を示し、最終的には、極めて緻密で固い硬化体として製作される能力を意味するものである。
【0040】
また、本発明において、可燃性改質硫黄資材組成物、可燃性改質硫黄モルタルまたは可燃性改質硫黄コンクリートなどに用いられる「可燃性」とは、火に燃える性質を意味する。
【0041】
本発明において、「改質硫黄結合材」とは、硫黄を改質化するために、硫黄に、硫黄改質剤として複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤と、ジシクロペンタジエン系改質剤を溶融混合した液相の改質硫黄結合材と、この液相の改質硫黄結合材を120℃以下の温度において、すなわち、常温に冷却して得た固相の改質硫黄結合材の全てを意味する。
【0042】
本発明において、「水硬性改質硫黄資材」のとは、次のように理解することができる。製造方式に基づいた学術的表現としては、改質硫黄結合材に界面活性剤、水、水硬性材料および骨材を100℃以下で混合成形した後、大気中で自然冷却して固化させた水硬性資材という意味であり、通常的には、現在、建築、土木分野などで使われている資材類を通称するものと説明することができ、例として水硬性改質硫黄モルタルまたは水硬性改質硫黄コンクリートが挙げられる。
【0043】
本発明において、改質硫黄結合材と共に混合する時に用いられる「骨材」とは細骨材と粗骨材を意味し、改質硫黄モルタルを製造する時には細骨材だけを使い、改質硫黄コンクリートを製造する時には細骨材と粗骨材を共に使う。
【0044】
本発明において、「フィラー(filler)」の意味は、モルタルまたはコンクリートのうちの改質硫黄結合材を特定レベルまで置換して使用できる選択的成分であって、改質硫黄硬化体内部の微細な空隙を充填する役割を果たすもので、実際にフィラーとしてフライアッシュのような極めて微細な材料を使わなければ、最密充填効果が落ちて、硬化体の表面の陥没現象が発生し得る。
【0045】
本発明に用いられる硫黄は通常の硫黄単量体であり、このような硫黄としては天然硫黄、または石油や天然ガスの脱黄によって生成した硫黄が挙げられ、硫黄を120℃以上、望ましくは125〜140℃で加熱溶融した溶融硫黄を用いることができる。
【0046】
本発明において、硫黄改質のために用いられる改質剤は、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤と、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentene;DCPD)系改質剤である。
【0047】
ジシクロペンタジエン系改質剤は、韓国特許公開10−2006−101878号に開示されているように、改質成分としてジシクロペンタジエン(DCPD)を含む。このDCPDおよび/またはその重合体(以下、前記DCPDのオリゴマーを含む)を単独で用いることもでき、もしくは、前記DCPDにシクロペンタジエン(cyclo pentadiene;CPD)およびその重合体(以下、前記CPDのオリゴマーを含む)、DCPD誘導体、CPD誘導体(例えば、メチルシクロペンタジエン(MCP)、メチルジシクロペンタジエン(MDCP))のうちの少なくとも1つが添加された混合物を用いることもできる。このようなジシクロペンタジエン系改質剤の例示的な組成として、DCPD約65〜75重量%、CPD約10〜20重量%、これらの誘導体(MCP、MDCPなど)約10〜20重量%、そして、その他の成分が約0.1〜1.5重量%で提供される。また、前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、ジペンテン(dipentene)、ビニルトルエン(vinyl toluene)、スチレンモノマー、ジシクロペンテン(dicyclo pentene)などのオレフィン(olefin)化合物と混合された形態で用いることもできる。前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、日本特開2002−60491号公報と韓国特許公開公報10−2005−26021号に開示されているように、DCPDの含有量が約70重量%(これを「純度70%」という)以上であることが望ましく、いわゆるジシクロペンタジエンと称する市販品の大部分は使用可能である。
【0048】
また、本発明は、改質剤として、複素環アミン類またはアルキルアミン類を新しく導入した。前記複素環アミン類改質剤としてはピリジン(pyridine)またはその重合体(以下、前記ピリジンのオリゴマーを含む)、ピリジンの同族体、ピリジンの異性体、ピリジンの同族体の異性体、キノリン(qulnoline)、イソキノリン(isoquinoline)、アクリジン(acridine)、またはピロール(pyrrole)などが挙げられるが、この中の1種または2種以上を用いることができる。ピリジンは、コールタールの軽油中にその同族体であるピコリン(picoline)、ルチジン(lutidine)と共に多量で存在し、工業的には、このような同族体であるピリジン塩基(pyridine base)から作られる複素環化合物(heterocyclic compound)であって、無色相の悪臭を有する液体で、分子量79.10、融点−42℃、沸点115.5℃、比重0.9779(25℃)を有する物質であり、その誘導体はハンチ(hantzsch)合成によって合成され、ピリジンの誘導体(derivative)には、各種のピリジンカルボン酸、ピリジンスルホン酸、ピリジンアルデヒドなどがある。ピリジンとほぼ類似する物性を備えるピコリンは、メチルピリジン(methyl pyridine)とも呼ばれ、メチル基の位置によって3種の異性体(2−methylpyridine、3−methylpyridineおよび4−methylpyridine)が存在し、ルチジンは、(2,3)、(2,4)、(2,5)、(2,6)、(3,4)、(3,5)の6種類の異性体がある。但し、本発明で用いられる複素環アミン類改質剤が前記で列挙した物質に限定されるものではない。
【0049】
本発明においては、硫黄改質剤として、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤をジシクロペンタジエン系改質剤と共に使用し、液相の改質硫黄結合材を製造することができた。すなわち、硫黄と前記硫黄改質剤を120〜160℃で溶融混合して硫黄を重合させる方法によって液相の改質硫黄結合材を製造することができる。
【0050】
本発明において、硫黄改質剤として用いたジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率は、硫黄100重量%に対し、0.1〜100重量%、望ましくはl〜70重量%であり、より望ましくは1〜40重量%であり、また、複素環アミン類またはアルキルアミン類の添加比率は、硫黄100重量%に対し、0.01〜200重量%、望ましくは0.01〜100重量%であり、より望ましくは0.1〜30重量%である。
【0051】
本発明において、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加量範囲が、既存の先行特許に比べて相対的に広くて多い理由は、本発明で追求する発明の目的が先行特許の目的とは異なるからである。
【0052】
すなわち、先行特許(日本特開2002−60491号公報)において、20−500mPa・s粘度範囲が最も望ましいと開示されている理由は、重合反応が終了した液相状態の反応結果物(改質硫黄結合材)は、貯蔵タンク内に貯蔵中であっても反応結果物を製造する時の反応温度範囲以内では継続的に重合反応が進行して、最終的にはゴムのような粘弾性物質に変わって反応タンクそのものに大きな損傷をもたらすことから、貯蔵タンク内に長時間貯蔵する時に安定且つ一定な粘度を維持させるためには、反応が進行しないように、もしくは極めて遅く進行するようにするために低粘度範囲を目標に設定したのである。
【0053】
先行特許に開示されたジシクロペンタジエン系改質剤の添加量範囲は、例えば、硫黄100重量%に対し、0.01〜30重量%(日本特開2004−2112号公報)、2〜50重量%(日本特開2002−60491号公報)、2〜4重量%(韓国公開特許2006−101878)などである。
【0054】
前記先行特許においては、前記添加量範囲を有するジシクロペンタジエン系改質剤を120〜160℃で溶融混合して、反応生成物が15〜1000mPa・sの粘度範囲になった時を反応終了時点とみなし、急に反応を中止すると記載されている。
【0055】
また、硫黄含有資材の難燃性、耐化学性などの性質は、主にジシクロペンタジエン系改質剤の添加量を増加させれば改善されるが、30重量%の使用で改善効果は飽和し、それ以上においては変化が少ないことになっている。また、強度が最も良くなるのは0.5〜20重量%であって、20重量%を超えると弾性が増加して粘弾性体となって成形物が変形しやすく、容易に破壊されず、30重量%を超えるとより一層粘性が顕著に増加して反応制御が困難になるため、このようなそれぞれの性質を勘案して硫黄改質剤の添加量を決定することができると記載されている。
【0056】
より具体的な実施例としては、既存の米国と日本およびカナダの全ての先行特許方式においては、シクロペンタジエンの3量体以上のオリゴマーを相当な量(例えば、37重量%)で用い、最終生成物の強度や作業性を考慮して、140℃で測定した最終粘度が20−500mPa・s粘度範囲を維持しようとする方式などが記載されている。また、韓国公開特許2006−101878号においては、ジシクロペンタジエンを単独で用い、使用量を反応物の全体重量を基準に約3重量%のレベルで用いると、約130℃で2週間の液相貯蔵の場合、ASTM D4402方法で測定した粘度範囲は約10〜1000cP、より望ましくは約10〜500cPのレベルになると記載されている。特に、4重量%を超える場合には、生成物の過冷却(supre−cooling)現象を誘発する要因として作用し、要求水準の硬度を達成するために硫黄の融点より顕著に低い温度、例えば、常温ですら短時間での固相化がなされず、実際に長時間放置しなければならないという問題点を引き起こすことから、ジシクロペンタジエンの添加量範囲を2〜4重量%に制限することを主要な技術的特徴として言及している。
【0057】
しかし、本発明は、たとえ高粘度の液相改質硫黄結合材が生成されるにしても、これを常温において冷却して固相の改質硫黄結合材として製造した後、必要時に追加工程によって水硬性改質硫黄資材組成物を製造する場合に、100℃以下の水中に固相の改質硫黄結合材を溶解させることが主要な技術的特徴であるため、望ましい最終生成物の粘度を低粘度範囲に限定する必要はなく、これにより、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率を既存の特許範囲の程度に制限する必要はない。
【0058】
ジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率が増加するほど、粘度が増加し続けて反応時間も短くなる現象が生じるが、これが、最終生成物の製造時間を短縮して、製品生産の効率性の面で望ましいこともあるけれど、過度に多い添加量と添加速度(溶融した硫黄物の中にジシクロペンタジエン系改質剤を添加するために落下させる速度)は瞬間的かつ爆発的な発熱現象を引き起こして反応制御が難しくなるため、最終的にジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率は、このような両側面を総合的に判断して決定することが望ましい。
【0059】
したがって、このような複合的な面を考慮する時、本発明による液相の改質硫黄結合材は、反応終了直前に得られる反応生成物の140℃における最終粘度が0.01〜100.0Pa・s範囲、望ましくは0.1〜10.0Pa・s範囲であることが良い。先行特許に提示された、140℃で測定した最終粘度である20〜500mPa・sに比べては極めて広い範囲の高粘度であるが、前述した本発明の目的には好適な粘度範囲である。
【0060】
本発明において、上記のような高粘度範囲を選択した技術的背景には、本発明の最も重要な特徴である複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を用いているということがある。
【0061】
前述した高粘度範囲の反応生成物は、既存の先行特許上では反応制御が困難であるとなっているが、本発明では複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加量の変化と混合順序および気化方法により、このような問題点を解決することができた。
【0062】
本発明に用いられる複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤は、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤との重合反応に関与して、反応抑制剤もしくは粘度調節剤などのような物性を発揮し、反応条件の変化、反応生成物の粘度、冷却条件、悪臭除去などの多様な物性変化を引き起こす。
【0063】
特に、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の使用により、本発明の最も重要な技術的特徴である100℃以下の温度で再度溶融できる物性を発揮する固相の改質硫黄結合材を製造することができる。
【0064】
すなわち、先行特許方式で提示された全ての最終生成物(改質硫黄結合材)は、100℃以下の温度で再度溶融できる物性を発揮することができないのに反し、本発明によって複素環アミン類またはアルキルアミン類を用いて製造した固相の改質硫黄結合材は、100℃以下の温度で再溶融が可能であることを確認した。
【0065】
改質硫黄結合材が100℃以下の温度で再溶融が可能であるか否かが重要な理由は、この後に提示される本発明の最終目的である火に燃えない水硬性改質硫黄資材組成物の製造方法から分かるように、水硬性改質硫黄資材組成物を製造するためには、改質硫黄結合材と水硬性材料を水と共に混合して成形しなければならないが、この時の先決条件が水の蒸発温度である100℃以下において改質硫黄結合材が溶融し、界面活性剤を用いて、液相状態で水と共に混合することができてはじめて、少量を使っても優れた改質硫黄結合材の特性を発揮することができるからである。
【0066】
比較例として、既存の先行特許で提示された方法により製造した改質硫黄結合材を物理的に極めて微細に粉砕した後に再溶融試験を実施した結果、約114℃で再溶融し、この微細に粉砕した粉末(約100〜200mesh)を、本発明で提示した方法と同様に、100℃以下の水(実際に沸いている水)に界面活性剤と共に添加してみたが、水と接触した途端に瞬間的に沈殿物の形態に変わった。これをホモジナイザー(homogenizer)を使って最高20000RPMまで分散させてみたが、本方式とは違って、再溶融状態ではなく、ホモジナイザーの卓越した粉砕および分散性能によって、微細な改質硫黄粒子が多量の泡と共に熱水の中に分散(dispertion)した状態で存在することを観察した。
【0067】
また、上記で得られた微細な改質硫黄粉末を、水硬性材料であるセメントと水を使って改質硫黄セメントを製作した後、既存のセメント業界でプレキャスト製品を製作する時に養生させるために使う水熱合成器であるオートクレーブ(autoclave)に装入した後、150℃で養生してみた結果、セメントの中に微細に分散した改質硫黄粉末が150℃の温度で燃焼して黒く炭化する現象が認められた。このように、先行特許方式により改質硫黄セメントを製作する場合において、微細な改質硫黄粉末が炭化しないように添加できる最大添加量は約7重量%であり、約3重量%から炭化し始め、7重量%を超えた場合には製品全体が黒く炭化する現象が認められた。
【0068】
前述した先行特許らの物理的現象に対する試験結果を、本発明で提供する固相の改質硫黄結合材と対比して実験した物理的現象に対する試験結果を記述すれば次の通りである。
【0069】
すなわち、本発明の方法により製造した水硬性改質硫黄資材組成物は、l000℃以下の温度で、実施例によっては60℃程度、さらには60℃以下の温度で容易に再度溶融する現象を発見し、ホモジナイザーを使わなくても、混合器(ミキサー)に固相の改質硫黄結合材を放置し、60℃程度の熱源を供給すれば、分散状態ではなく、溶液状態で存在していることを確認し、オートクレーブ養生後には炭化した痕跡がなく、実際に強度、吸収率などのような全般的な物性面に極めて優れた試験結果を示した。
【0070】
特に、モルタルを製作する場合に対比される混合数量の変化と関連し、先行特許方式により製造される試験片は、水硬性作用(水和性)が全くなくて分散している状態であるフィラー(充填材)の概念として存在しているため、混合数量の変化に別に影響を与えないのに反し、本発明の方式により試験片を製作する場合には、改質硫黄結合材が溶融して液相として存在しているため、改質硫黄結合材をセメントと水に混合する場合には、添加量の変化による混合数量の変化が大きく、試験片のペーストをモールド内に注ぎ込んだ後の試験片の表面状態は、本発明で製造した試験片が相対的により粘っこいことが観察された。
【0071】
本発明においては、改質剤もしくは反応調節剤として、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加量を、硫黄100重量%に対し、0.01〜200重量%、望ましくは0.01〜100重量%、より望ましくは0.1〜30重量%にするのであるが、添加量が0.01重量%未満である場合には、改質剤もしくは反応調節剤としてそれに相当する物性効果を期待することができず、200重量%を超える場合には、先ずは原価上昇の要因となるも、それに引き合うだけの物性効果を期待することができない。
【0072】
本発明により液相の改質硫黄結合材を製造する場合、硫黄、ジシクロペンタジエン系改質剤と、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を溶融混合するにおいて、それぞれの成分の混合順序は特に限定されないが、以下のような方法のうちから最終生成物の物性に最も適した方法を選択することが望ましい。
【0073】
(a)硫黄にジシクロペンタジエン系改質剤を加熱反応させた後、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
【0074】
(b)ジシクロペンタジエン系改質剤と、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を混合した後、硫黄を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
【0075】
(c)硫黄と、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を加熱反応させた後、ジシクロペンタジエン系改質剤を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
【0076】
(d)硫黄にジシクロペンタジエン系改質剤を加熱反応させた後に冷却して固相反応物を製造し、この固相反応物を再度溶融した後、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
【0077】
前記(a)方法は、既存の先行特許で提供される製造順の通りに硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤を重合反応させながら、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加する方法であって、他の方法に比べ、相対的に複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加所要量が少なめであり、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加する適切な時期における反応生成物の粘度範囲を0.01〜10.0Pa・s、望ましくは0.1〜4.0Pa・sに維持することが最終生成物の物性向上に役に立つ。
【0078】
前記(b)方法は、重合反応前に予めジシクロペンタジエン系改質剤に改質剤もしくは反応調節剤として複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加してやることから、反応物の急激な粘度上昇を抑制し、重合反応の進行状態がスムーズに進行するので、反応制御が容易にできるという長所がある。
【0079】
前記(c)方法は、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を用いて硫黄と直接反応させた後、ジシクロペンタジエン系改質剤を添加し、加熱処理する方法であって、本発明者らは、実質的に複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を硫黄と直接反応させても重合反応が起こる傾向を見出した。
【0080】
前記(d)方法は、安定化した改質硫黄結合材を製造した後、再び再溶融させて反応させる方法であり、フレーク形態で安定するように保管し反応させる方法である。
【0081】
本発明によれば、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤を複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤と溶融混合して反応させ、粘度が0.01〜100.0Pa・s範囲、望ましくは0.1〜10.0Pa・s範囲内で複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を気化させることが望ましい。複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を気化させる理由としては、反応結果物取り扱いの容易性(硬度、hardness)、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の芳香族特有の悪臭の除去、最終生成物の強度および安定性などへの寄与が挙げられる。
【0082】
前記溶融混合に用いられる反応混合器は混合が十分になされるものであれば公知のものを使用することができ、主に液体攪拌用混合器を使用することが望ましい。複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加量が約5重量%未満である場合には、密閉式反応器を使用してもよいが、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加量が約5重量%以上である場合には、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤特有の悪臭を除去するために、そして硬度を有した固形状の最終生成物を得るために気化させなければならないのであるから、このような場合には密閉式攪拌器の使用は望ましくない。
【0083】
複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の気化時期は、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を加熱処理しながら改質硫黄前駆体(precusor)が生成され始める前・後時点付近、すなわち、溶融混合による反応生成物の粘度が0.01〜100.0Pa・s、望ましくは0.1〜10.0Pa・s範囲を維持している時期に気化させることが最終生成物の物性向上に極めて役に立つ。この場合、改質硫黄前駆体が生成され始める時点をより正確に測定するために、GPC測定により分子量分布を分析すれば容易に時期を探索できるが、連続的に進行中である反応ステップにおいては煩わしい面があるため、ハキー粘度計(hakee viscometer)のような機種を装着してリアルタイムで測定することが便利であり得る。
【0084】
前述した適切な気化時期における粘度範囲が広いのは、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の混合順序の変化や最終生成物の物性状態に応じて安定化させる方法が多様で且つ広い条件でなされるからである。すなわち、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の混合順序の変化は、上記で提供した混合順である4つの方式の全てにおいて適切な気化がなされた場合が、相対的に気化をさせなかった場合よりも全ての物性面で安定化現象が著しく向上した。
【0085】
既存の全ての先行特許には、物性が良好な改質硫黄結合材を製造するためには、反応温度とその温度における反応時間が最終生成物の全ての物性を支配できるほど大変重要な反応因子である、と開示されている。日本特開2003−277108号公報や日本特開2002−60491号公報においては、溶融状態の硫黄は、硫黄改質剤と接触混合しても125℃以下では容易に変性せず、120〜135℃の温度範囲では硫黄と硫黄改質剤との重合反応が遅れ、突然の発熱および粘度上昇は起こらず、僅かな温度上昇と粘度上昇が起こって、ほとんど一定の粘度を保持する性質がある、としている。また、初期混合工程において、最適な温度範囲は、硫黄改質剤の種類やその添加量によって変わる場合があり、例えば、ジシクロペンタジエン系改質剤の配合比率が、硫黄100重量%に対し、20重量%以上である場合には、130℃においても十分に実用的な反応速度が得られるが、1重量%以下である場合には、所要反応進行に数時間がかかる、と記載されている。
【0086】
本発明における反応温度と反応時間は、前記先行特許に記載された反応条件と類似するように進行されるものとして理解することができるが、本発明における反応は、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤という新しい物質を最初に用いるため、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加方法および時期、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の添加量の変化、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の気化条件などによって最終生成物の粘度、強度、安定性、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の芳香族特有の悪臭の除去および反応結果物の取り扱い容易性などに多くの差異が生じる。
【0087】
現在までの結果を既存のメカニズムと連係して総合してみれば、ジシクロペンタジエン系改質剤と硫黄との反応は一種の重合反応であり、改質硫黄製造工程中の核心工程といえる溶融混合は、溶融硫黄と硫黄改質剤の混合によって硫黄を高分子化して改質硫黄を得るための工程である。硫黄の改質反応は、溶融硫黄と硫黄改質剤が反応し、改質硫黄前駆体を生成する初期の混合反応ステップと、生成された改質硫黄前駆体と溶融硫黄が連続的に反応して高分子化する重合反応ステップに区分することができる。前記反応において、改質硫黄の生成反応は、急激な発熱反応を示す初期の混合反応ステップと吸熱反応を示す重合反応とからなり、改質硫黄の生成系は、反応が進行すると同時に発熱反応から吸熱反応に変わる。また、硫黄改質剤の種類やその添加量によって発熱量と吸熱量およびそれぞれの反応時間が異なり、温度制御を正確に行わなければ重合反応が暴走し固化する場合もある。
【0088】
本発明で用いた「硫黄−ジシクロペンタジエン系改質剤−複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤」系における現在まで研究された結果を要約すれば、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を単独で硫黄と反応させても、「硫黄−ジシクロペンタジエン系改質剤」系と同じように重合反応が行われることが確認でき、「硫黄−ジシクロペンタジエン系改質剤」系における反応メカニズムのように、初期の混合反応ステップにおいては、発熱反応が起こりながら改質硫黄前駆体を生成し、持続的に反応させれば重合反応が行われ、最終生成物である改質硫黄結合材の粘度、強度、硬度および安定性などの全ての物性面で安定化現象が著しく向上した。
【0089】
また、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を気化させる方法が、相対的に気化をさせなかった場合よりも、反応結果物の取り扱い容易性、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の芳香族特有の悪臭の除去、最終生成物の安定性などの全ての物性面で安定化現象が著しく向上し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の気化時期は、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を加熱処理しながら改質硫黄前駆体が生成され始める前・後時点付近、すなわち、粘度が0.01〜100.0Pa・s範囲、望ましくは0.1〜10.0Pa・s範囲を維持している時期に気化させることが最終生成物の物性の向上に極めて役に立ち、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の混合順序の変化や最終生成物の物性状態によって安定化させる方法が多様且つ広い条件で行われるものと判明した。
【0090】
一方、本発明においては、上記で製造された液相の改質硫黄結合材を用いて次のような製造工程別に改質硫黄資材組成物と改質硫黄資材を製造した。
【0091】
(a)液相の改質硫黄結合材に水を混合せずに骨材と選択的にフィラーを混合して製造した可燃性改質硫黄モルタルおよびコンクリート組成物と、これを成形した後に冷却した可燃性改質硫黄モルタルおよびコンクリート。
【0092】
(b)液相の改質硫黄結合材を反応温度以下である120℃以下の温度において冷却して製造した固相の改質硫黄結合材。
【0093】
(c)前記(b)で得られた固相の改質硫黄結合材を100℃以下で再度溶融した後、水を混合せずに骨材と選択的にフィラーを混合して製造した可燃性改質硫黄モルタルおよびコンクリート組成物と、これを成形した後に冷却した可燃性改質硫黄モルタルおよびコンクリート。
【0094】
(d)前記(b)で得られた固相の改質硫黄結合材に界面活性剤、水、水硬性材料および骨材を100℃以下で混合して製造した水硬性改質硫黄モルタルおよび水硬性改質硫黄コンクリート組成物と、これを成形した後に冷却した水硬性改質硫黄モルタルおよび水硬性改質硫黄コンクリート。
【0095】
(e)硫黄と、ジシクロペンタジエン系改質剤と、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤と、骨材を同時に共に120〜160℃で0.01〜3時間溶融混合して製造した可燃性改質硫黄モルタルおよび可燃性改質硫黄コンクリート組成物と、これを成形した後に冷却した可燃性改質硫黄モルタルおよび可燃性改質硫黄コンクリート。
【0096】
前記(b)で提示したように、固相の改質硫黄結合材は、液相の改質硫黄結合材を反応温度以下である120℃以下の温度において冷却して得ることができるが、このような冷却固化は、固化され得る温度において冷却してなされる。この時、固化は、任意のモールド(もしくは成形モールド)に流入して冷却固化する方法、任意の形状のモールドに流入して振動充填しながら冷却固化する方法、組み立て装置を利用して組み立てを行いながら冷却固化する方法などがあるが、本発明は、前記固化方法らに特に限定されず、例えば、ドラム(drum)や傾斜ラインなどを備えた電動型形式や、水平もしくは傾斜パイプを備えた振動形式などの装置を利用することができる。
【0097】
前記可燃性改質硫黄とは、既存の先行特許で提示された改質硫黄資材と同様に約130℃程度で火に燃えやすい改質硫黄資材の意味であり、前記水硬性改質硫黄資材とは、一般セメントモルタルやコンクリートのようにトーチを使って火をつける場合でも火に燃えない材料の意味である。
【0098】
本発明の最終目的の1つは、火に燃えない水硬性改質硫黄資材組成物と水硬性改質硫黄資材を製造することであり、これは、図1に示す製造工程を利用して製造することができる。
【0099】
先ず、硫黄(sulfur)と、ジシクロペンタジエン(DCPD)系改質剤と、複素環アミン類(例えば、ピリジンまたはそのオリゴマー)またはアルキルアミン類改質剤を溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造する。本発明は、硫黄改質剤として複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を初めて導入し、ジシクロペンタジエン系改質剤と共に用いる方法であって、既存製品と同等以上の物性を示す安定した改質硫黄結合材を製造することができる。この改質硫黄結合材は、水の蒸発温度である100℃以下で再溶融する物性を有する特徴を示すことから、以後の工程によって100℃以下でモルタルまたはコンクリートの混合作業が可能となる。この際、ジシクロペンタジエン系改質剤は、硫黄100重量%に対し、0.1〜100重量%の範囲、望ましくは1〜70重量%、より望ましくはl〜40重量%の範囲内で混合し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤は、硫黄100重量%に対し、0.01〜200重量%の範囲、望ましくは0.01〜100重量%、より望ましくは0.1〜30重量%の範囲内で混合することが望ましい。また、前記溶融混合は、120〜160℃の温度範囲で行うことが望ましい。本発明で用いられるDCPD系改質剤と、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の種類、混合順序、反応温度および時間、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤の気化方法に関しては前述した通りである。
【0100】
次に、前記液相の改質硫黄結合材を冷却して固相の改質硫黄結合材を得る。この際、冷却温度は反応温度以下である120℃以下の温度が適切である。
【0101】
次に、前記固相の改質硫黄結合材を最大100℃で溶融した状態において、界面活性剤と、水硬性材料と、水と、骨材を混合して、水硬性改質硫黄資材組成物を製造する。改質硫黄が火に燃えやすい可燃性ポリマー化合物であるため、火に燃えない水硬性無機材料を添加し、上記で得られた改質硫黄結合材が非親水性を呈するものであるため、界面活性剤を用いて100℃以下の水中でモルタルまたはコンクリートの混合作業を行う。前記添加物質の種類およびその添加比率については後述する。
【0102】
次に、前記水硬性改質硫黄資材組成物を冷却して水硬性改質硫黄資材を得る。この際、前記冷却は大気中で自然冷却させる方式を利用することができる。
【0103】
本発明の水硬性改質硫黄資材(モルタルまたはコンクリート)組成物を製造するためには、固相の改質硫黄結合材に界面活性剤、水、水硬性材料および骨材を100℃以下で混合して製造するが、この時に添加される各原料の適切な添加量範囲をモルタルとコンクリート組成物に区分して以下に示す。
【0104】
(a)水硬性改質硫黄モルタル組成物である場合には、界面活性剤の添加量は、改質硫黄結合材100重量%に対し、0.01〜50重量%の範囲、望ましくは0.1〜10重量%の範囲であり、水硬性材料の添加量は、改質硫黄結合材100重量%に対し、100〜9900重量%の範囲、望ましくは700〜900重量%の範囲であり、水の配合比率は、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、15〜70重量%の範囲、望ましくは25〜50重量%の範囲であり、細骨材の配合比率は、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、80〜400重量%の範囲、望ましくは100〜200重量%の範囲である。
【0105】
(b)水硬性改質硫黄コンクリート組成物である場合には、界面活性剤の添加量は、改質硫黄結合材100重量%に対し、0.01〜50重量%の範囲、望ましくは0.1〜10重量%の範囲であり、水硬性材料の添加量は、改質硫黄結合材100重量%に対し、100〜9900重量%の範囲、望ましくは700〜900重量%の範囲であり、水の配合比率は、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、15〜70重量%の範囲、望ましくは25〜50重量%の範囲であり、骨材の配合比率は、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、80〜400重量%の範囲、望ましくは100〜200重量%の範囲であり、前記骨材のうちの細骨材と粗骨材の配合比率は、重量比で1:0.1〜1:4の範囲、望ましくは1:1〜1:2.5の範囲である。
【0106】
前記界面活性剤としては、石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤と、高級アミンハロゲン化物、第4アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などの陽イオン界面活性剤と、ノニルフェノール、オクチルフェノールなどの非イオン界面活性剤と、アミノ酸などの両性界面活性剤のうちの少なくとも1つを用いることができる。
【0107】
前記水硬性材料としては、フライアッシュ、KS L 5201に規定された普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、シリカヒューム、高炉スラグセメント、メタカオリンまたはKS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)で言及されたセメント類、硫酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。このような水硬性材料は、水硬性改質硫黄資材に不燃性を提供し、一種のフィラー(filler)としても作用して水硬性改質硫黄資材の最密充填を可能にし、陥没現象を防止する。
【0108】
また、前記骨材は、骨材として使用可能なものであれば特に限定されないが、リサイクル可能な産業廃棄物などの使用が望ましく、川砂、砕石、フライアッシュ、海砂、ケイ砂、砂利、シリカ、石英粉、軽量骨材などと、粘土鉱物およびガラス粉末からなる群から選択される1種または2種以上のものを用いることができる。最も望ましくは、骨材が最適な最密充填をとった場合において、その隙間を改質硫黄結合材や水硬性材料もしくはフィラーが埋める場合が最も高い強度を得る。
【0109】
ここで、改質硫黄結合材の混合比率が約10重量%未満である場合(骨材が90重量%を超える場合)には、骨材としての無機系資材の表面を十分に浸すことができず骨材が露出した状態となり、強度が十分に発現されないと同時に、遮水性を維持できなくなる恐れがある。一方、前記改質硫黄結合材の混合比率が約60重量%を超える場合(骨材が40重量%未満である場合)には、改質硫黄結合材単独の性質が現れ、強度が低下する傾向がある。改質硫黄結合材の添加量は20〜40重量%の範囲内が望ましい。前記改質硫黄結合材と骨材の混合比率は骨材の種類によって異なるため、前記範囲内から適切に選択することが望ましい。
【0110】
また、曲げ強度補強材として、鉄筋、鋼繊維、繊維質充填材、繊維状粒子、薄片状粒子およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種または2種以上を、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、1〜20重量%の範囲内でさらに含むこともできる。また、本発明に使用できる適用対象を極大化させるために、既存の用いられているポリマーセメント類、ポリマーセメントモルタル類およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種または2種以上を、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、10〜50重量%の範囲内でさらに含むこともできる。さらに、混合作業時の流動性改善のために高性能減水剤を、長期耐久性増進のために空気連行剤を、作業環境に好適な硬化時間を調節するために硬化促進剤、硬化遅延剤、急結剤およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種または2種以上を、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、0.1〜3重量%の範囲内でさらに含むこともでき、美的効果のために着色相剤(顔料)を、悪臭除去のために芳香剤などを、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、0.1〜3重量%の範囲内で用いることもできる。
【0111】
前記水硬性改質硫黄モルタルまたはコンクリート組成物を製造する時に使用できる混合器としては、−20〜100℃の範囲で温度調節が可能な通常の混合器を使用し、モールド(もしくは成形モールド)の予熱温度は50〜100℃の範囲にすることが望ましい。
【0112】
以上のようにして液相の改質硫黄結合材を製造し、これを再び常温に冷却して固相の改質硫黄結合材を製造し、これを再度溶融して、水硬性改質硫黄資材組成物、すなわち水硬性改質硫黄モルタルおよび水硬性改質硫黄コンクリート組成物を製造した。
【0113】
一方、以下では、本発明による可燃性改質硫黄資材組成物およびその製造方法と、これを成形した後に冷却した可燃性改質硫黄資材およびその製造方法について説明する。
【0114】
本発明による可燃性改質硫黄資材組成物は、上記で得られた改質硫黄結合材と、この改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%、望ましくは100〜200重量%とを含めてなる(図1参照)。
【0115】
また、前記可燃性改質硫黄資材組成物は、最適な充填効果と流動性改善と陥没現象防止のためにフィラーをさらに含むことが望ましく、フィラーとしてはフライアッシュ、KS L 5201に規定された普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、シリカヒューム、高炉スラグセメント、メタカオリンまたはKS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)で言及されたセメント類、硫酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。このようなフィラーは、前記改質硫黄結合材100重量%に対し、1〜80重量%、望ましくは25〜60重量%の範囲内で添加されるのがよい。フィラーの添加量が1重量%未満である場合には、最密充填の効果が低下して陥没現象が生じる恐れがあり、80重量%を超えると、相対的に改質硫黄結合材の添加量が少なくなって作業流動性が低下し、強度などの物性低下を来たす。
【0116】
従来の一般的な改質硫黄コンクリートを製作する時には、作業温度が約140〜160℃であり、使用するミキサーとモールドを同じ温度に予熱してやり、フライアッシュのようなフィラーの最密充填作業下でのみ陥没現象を生じることなく製造が可能である。実際には、冬期の外部作業環境下においては、試験片外部の急速な冷却現象と内・外部の温度偏差によって現場施工ができず、工場内でプレキャスト製品にだけ製作が可能であった。しかし、本発明の可燃性改質硫黄資材の場合には、約60〜85℃の比較的低い温度下で作業するため、冬期にも作業が可能であり、モールドを予熱することなく成形が可能な長所がある。
【0117】
このような可燃性改質硫黄資材組成物は次の3つの方法のうちの1つを選択して製造することができる。
【0118】
(a)−硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
−前記液相の改質硫黄結合材と、この液相の改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%を最大100℃で混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0119】
(b)−硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
−前記液相の改質硫黄結合材を最大120℃の温度において冷却して固相の改質硫黄結合材を得、
−前記固相の改質硫黄結合材を最大100℃の温度で溶融した後、溶融した改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%を混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0120】
(c)硫黄と、
前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、
前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質第0.01〜200重量%と、
前記硫黄と、前記ジシクロペンタジエン系改質剤と、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類を全て合わせた総100重量%に対し、骨材80〜400重量%を、
同時に120〜160℃で0.01〜3時間溶融混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【0121】
前記(a)、(b)、(c)方法のうちのいずれかの方法により製造された液相の改質硫黄資材組成物を冷却して可燃性改質硫黄資材を得ることができるが、液相の改質硫黄資材組成物を冷却して可燃性改質硫黄資材を得る方法としては、例えば、前記液相の改質硫黄資材組成物を50〜160℃に予熱された成形モールド内において成形した後に冷却し脱型して可燃性改質硫黄資材を得る方法がある。
【0122】
以下、実施例および比較例を図面を参照して具体的に説明するが、このような実施例および比較例は本発明をより明確に理解するために提示されるだけであって、本発明の範囲を制限しようとする目的で提示するのではなく、本発明は、後述する特許請求の範囲の技術的思想の範囲内で定められる。
【実施例】
【0123】
実施例1.固相の改質硫黄結合材の製造
PID(自動温度制御)方式によって一定の温度が維持される恒温槽(シリコンオイルを熱媒体として使用)内に500ml用3−neck形式のガラス反応器を製作した。この反応器内に工業用粉末硫黄300gを投入し、約130℃で硫黄を溶融させた後、反応器のインペラを攪拌しながら、ジシクロペンタジエン(純度85%の工業用原料)60grを約5〜10分内に徐々に投入した。この時、発熱反応によって温度が急激に上昇することに留意して、反応温度を136℃に維持しながら攪拌を40分間施した。
【0124】
反応生成物の色相がオレンジ色相の透明状態から色相が濃くなる時点(すなわち、前駆体が生成され始める時点)において10〜20分間反応を進行させれば、不透明な状態から暗赤色に変わる時、ピリジン30grを徐々に投入して反応を進行し続ける。反応時間が進むにつれて色相がより濃くなり、粘度が生じ始める時点において、3−neck栓の1個を開いて、ピリジンの気化作業を進行させる。ピリジンが次第に蒸発して臭いもほぼなくなり、色相が暗黒色に変わる時点において(ピリジン気化時間が30分)、最終反応温度は140℃であり、この時に反応を終了させ、常温において冷却して、固相の改質硫黄結合材を製造した。
【0125】
このようにして製造した固相の改質硫黄結合材の再溶融温度は約85℃であった。
【0126】
実施例2.水硬性改質硫黄モルタル供試体の製造
実施例1で得られた固相の改質硫黄結合材30grと界面活性剤1grを約85℃が維持される恒温槽内の水と混合して溶融させた後、普通ポルトランドセメント270grと粒径3〜10mmの砂300grを投入し、スプーンを使って手で約2〜3分間混合した後、5cm正方形キュービックモールドにおいて成形して大気中で冷却し、水硬性改質硫黄モルタル供試体を製作した。製作された水硬性改質硫黄モルタル供試体を23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器(climate chamber)内にモールドと共に装入した後、1日後、モールドから脱型した後、水硬性改質硫黄モルタル供試体を得、これを約23℃が維持されるきれいな水道水の水槽に装入して、
各モルタル供試体の材齢の経過につれての物性試験を行った。
【0127】
実施例3.水硬性改質硫黄コンクリート供試体の製造
実施例1で得られた固相の改質硫黄結合材30grと界面活性剤1grを約85℃が維持される恒温槽内の水と混合して溶融させた後、普通ポルトランドセメント270grと粒径3〜10mmの砂300grと粒径10〜18mmの粗骨材300grを投入し、スプーンを使って手で約2〜3分間混合した後、直径10cm、長さ20cmの円柱型モールドにおいて成形して大気中で冷却し、水硬性改質硫黄コンクリート供試体を製作した。製作された水硬性改質硫黄コンクリート供試体を23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器(climate chamber)内にモールドと共に装入した後、1日後、モールドから脱型した後、水硬性改質硫黄コンクリート供試体を得、これを約23℃が維持されるきれいな水道水の水槽に装入して、各コンクリート供試体の材齢の経過につれての物性試験を行った。
【0128】
比較例1.一般的な改質硫黄結合材の製造
実施例1と比較するために既存の先行特許で提示した通り、PID方式により一定の温度が維持される恒温槽(シリコンオイルを熱媒体として使用)内に6,000ml用3口(センターホールは45/50ジョイントを装着したドイツ産のIKAインペラが設けられており、他の1つのホールは24/40ジョイント用コンデンサが嵌められており、残りの他のホールはオリゴマーとDCPDを投入するホールで構成されている)形態のガラス反応器を製作した。この反応器内に工業用粉末硫黄4,000gを投入した後、温度を徐々に上げながら130℃で液相に溶かした後、攪拌しながら、シクロペンタジエンオリゴマー100ccを約5〜10分内に投入した。次いで、約10分後、DCPD 100ccを投入した後、発熱反応によって反応器内部の液相物の温度が130℃から約145℃程度まで上昇する点に留意して反応温度を140℃に維持しながら攪拌を施した。約4時間が経過すると若干の粘性が生じるが、この時に反応を終止し、常温において冷却して、一般的な改質硫黄結合材を得た。
【0129】
比較例2.一般的な改質硫黄モルタル供試体の製造
比較例1で得られた固相の改質硫黄物結合材と一般砂の配合比率を重量比にして1:2に配合し、約140℃が維持される混合器の中に投入して溶融混合した後、約140℃程度で予熱させた5cm正方形モールドにおいて成形し大気中で冷却し、一般的な改質硫黄モルタル供試体を製作した。
【0130】
比較例3.一般的な改質硫黄コンクリート供試体の製造
比較例1で得られた固相の改質硫黄物:一般砂:粗砂の配合比率を重量比にして1:2:2に配合し、約140℃が維持される混合器の中に投入して溶融混合した後、約140℃程度で予熱させた直径10cm、長さ20cmの円柱型モールドにおいて成形し大気中で冷却し、一般的な改質硫黄コンクリート供試体を製作した。
【0131】
実験結果1.改質硫黄結合材の再溶融温度の比較結果
実施例1で得られた固相の改質硫黄結合材と、比較例1で得られた一般的な改質硫黄結合材の再溶融温度変化につれての試験片の液相変化を比較した。
【0132】
実施例1で得られた固相の改質硫黄結合材と、比較例1で得られた一般的な改質硫黄結合材を適当量を各々試験管の中に入れた後、恒温が調節される加熱器の中に装入して常温→110〜120℃→180℃→常温に温度を変化させながら、各温度における試験片の液相変化を観察し、これに対する結果を図2および図3に示した。
【0133】
図2および図3にみられるように、実施例1で得られた改質硫黄結合材は85℃で再溶融し、温度が上昇しても継続的な相分離がなく安定した状態を示し、常温に冷却した後には、比較例1でと同じ色相と固化形状を示している。それに反し、比較例1で得られた一般的な改質硫黄結合材は、85℃で再溶融現象が未だ発生せず、固体状態(flake)にあり、温度を継続して上げたところ、110〜120℃で溶融したことが認められ、常温に冷却すると、前記実施例1での改質硫黄結合材と同じ色相と形状を呈している。
【0134】
前記実験結果から明確に分かるように、本発明の改質硫黄結合材は100℃以下で再度溶融するのに反し、一般的な改質硫黄結合材は100℃以下では溶融されず110〜120℃で溶けるため、一般的な改質硫黄結合材を用いては、本発明の特徴である100℃以下の水において界面活性剤と共に再溶融させて水硬性材料と骨材を混合させる作業を行うことができないものと判明した。
【0135】
実験結果2.改質硫黄結合材の水との親水性の比較結果
実施例1で得られた固相の改質硫黄結合材と、比較例1で得られた一般的な改質硫黄結合材の溶融状態における水との親水性を比較するための実験を行った。
【0136】
実施例1で得られた固相の改質硫黄結合材の適当量と、比較例1で得られた一般的な改質硫黄結合材の適当量を各々3口フラスコに装入した後、徐々に温度を上げながら試験片を溶融させた。この時、実施例1の試験片は約85℃、比較例1の試験片は約114℃で各々溶融し、溶融したそれぞれの試験片の溶融液に約90℃を維持している水を徐々に落としながら溶融物の変化を観察し、これに対する結果を図4に示す。
【0137】
図4に示すように、実施例1の改質硫黄結合材は、溶融状態で90℃の水と接触しても沈殿物が生じず、特別な変化なしに溶融した状態である液相として存在しており、比較例1の改質硫黄結合材は、再溶融温度が110〜120℃であるため、90℃の水と接触する瞬間に直ちに沈殿物が生じることが分かり、温度を上げ続けても沈殿物が溶けずに固体状態として存在しているため、沸騰現象が生じ、気泡が発生して上層部に上がり続ける現象を発見することができた。
【0138】
実験結果3.改質硫黄モルタルの火に対する燃焼試験の結果
実施例2で製造された水硬性改質硫黄モルタルと、比較例2で製造された一般的な改質硫黄モルタルの火に対する燃焼試験を行った。
【0139】
水硬性改質硫黄モルタルと一般的な改質硫黄モルタルを燃焼用トーチを使って強い火で約5分程度各々熱しながら試験片の形状を観察し、これに対する結果を図5に示す。
【0140】
図5にみられるように、実施例2で製造された水硬性改質硫黄モルタルはトーチ燃焼試験で火に燃えないのに反し、比較例2の一般的な改質硫黄モルタルは高分子化合物であるため、火で燃焼して硫黄が溶融し、溶融物が落ちる現象が発生した。
【0141】
実験結果4.モルタル表面の劣化現象の比較結果
モルタル試験片表面の劣化現象の比較試験として、実施例2で製造された水硬性改質硫黄モルタルの内部と、普通ポルトランドセメントモルタルの内部に含まれている水分が火の中で燃焼する場合に発生する表面の劣化現象を比較するための実験を行った。
【0142】
実施例2で製造された水硬性改質硫黄モルタルの表面と普通ポルトランドセメントモルタルの表面を燃焼用トーチを使って強い火で約5分程度各々熱した後に表面を観察し、これに対する結果を図6に示した。
【0143】
図6に示された実験結果を分析すれば、トーチ燃焼試験後、実施例2で製造された水硬性改質硫黄モルタルの表面は亀裂がほどんど発生しないのに反し、普通ポルトランドセメントモルタルの表面には微細な亀裂が生じたことが分かった。実際に燃焼試験中に試験片の表面から跳ねだす音と共に小片が四方八方に跳び散った。通常的に、普通ポルトランドセメントモルタルの内部には約2〜5重量%の水分が常に存在しているため、このような水分の存在と空隙のために長期的耐久性に悪影響を来たしており、特にトーチ燃焼試験のように、一般的にセメントモルタルやコンクリートにトーチを使って試験片を熱すると内部の水分が蒸発して試験片の表面外に出るため、試験片の表面に跳ねだす音と共に小片が四方八方に跳び散り、表面に微細なクモの巣のような亀裂の生じることが容易に認められ、このようなことを劣化現象と称している。
【0144】
以上、本発明を図示した例を中心に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、本発明の技術分野で通常の知識を有する者にとって自明様々な変形もしくは均等なその他の実施例を遂行することができるということを理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明による改質硫黄結合材および/または水硬性改質硫黄資材組成物などは、道路の中央分離帯、橋梁、トンネル、一般道路、下水管、下・廃水貯蔵タンク、港湾の岸壁および護岸ブロック、防波堤、化学物質タンクなどに適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄と、
該硫黄の改質剤として、1)前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene)系改質剤0.1〜100重量%と、2)前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤0.01〜200重量%が溶融混合されていることを特徴とする改質硫黄結合材。
【請求項2】
前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、
1)ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene;DCPD)またはその重合体の単独、もしくは
2)前記DCPDに、シクロペンタジエン(cyclo pentadiene;CPD)およびその重合体、DCPD誘導体、CPD誘導体のうちの少なくとも1つが添加された混合物、もしくは
3)前記1)または2)に、ジペンテン(dipentene)、ビニルトルエン(vinyl toluene)、スチレンモノマー、ジシクロペンテン(dicyclo pentene)のうちの少なくとも1つが添加された混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の改質硫黄結合材。
【請求項3】
前記複素環アミン類改質剤は、ピリジン(pyridine)およびその重合体、ピリジンの同族体、ピリジンの異性体、ピリジンの同族体の異性体、キノリン(quinoline)、イソキノリン(isoquinoline)、アクリジン(acridine)、ピロール(pyrrole)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の改質硫黄結合材。
【請求項4】
前記改質硫黄結合材は液相または固相であることを特徴とする、請求項1に記載の改質硫黄結合材。
【請求項5】
前記改質硫黄結合材は100℃以下で再溶融することを特徴とする、請求項1に記載の改質硫黄結合材。
【請求項6】
硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene))系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造することを特徴とする改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項7】
前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、
1)ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene;DCPD)またはその重合体の単独、もしくは
2)前記DCPDに、シクロペンタジエン(cyclo pentadiene;CPD)およびその重合体、DCPD誘導体、CPD誘導体のうちの少なくとも1つが添加された混合物、もしくは
3)前記1)または2)に、ジペンテン(dipentene)、ビニルトルエン(vinyl toluene)、スチレンモノマー、ジシクロペンテン(dicyclo pentene)のうちの少なくとも1つが添加された混合物であることを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項8】
前記複素環アミン類改質剤は、ピリジン(pyridine)およびその重合体、ピリジンの同族体、ピリジンの異性体、ピリジンの同族体の異性体、キノリン(quinoline)、イソキノリン(isoquinoline)、アクリジン(acridine)、ピロール(pyrrole)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項9】
前記溶融混合による反応生成物の粘度が0.01〜100.0Pa・sである範囲において、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を気化させることを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項10】
前記溶融混合による反応生成物の140℃における粘度が0.01〜100.0Pa・s範囲になる時に前記溶融混合を終了することを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項11】
前記硫黄に前記ジシクロペンタジエン系改質剤を加熱反応させた後、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造することを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項12】
前記硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤の反応生成物の粘度が0.01〜10.0Pa・s範囲になったら、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加することを特徴とする、請求項11に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項13】
前記ジシクロペンタジエン系改質剤と、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を混合した後、前記硫黄を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造することを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項14】
前記硫黄と、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を加熱反応させた後、前記ジシクロペンタジエン系改質剤を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造することを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項15】
前記硫黄に前記ジシクロペンタジエン系改質剤を加熱反応させた後に冷却して固相反応物を製造し、該固相反応物を溶融した後に前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を添加し加熱処理して液相の改質硫黄結合材を製造することを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項16】
前記液相の改質硫黄結合材を最大120℃の温度において冷却して固相の改質硫黄結合材を得ることを特徴とする、請求項6に記載の改質硫黄結合材の製造方法。
【請求項17】
硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%が溶融混合された改質硫黄結合材と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、界面活性剤0.01〜50重量%と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、水硬性材料100〜9900重量%と、
前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、水15〜70重量%と、
前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、骨材80〜400重量%とを含めてなることを特徴とする水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項18】
前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、
1)ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene;DCPD)またはその重合体の単独、もしくは
2)前記DCPDに、シクロペンタジエン(cyclo pentadiene;CPD)およびその重合体、DCPD誘導体、CPD誘導体のうちの少なくとも1つが添加された混合物、もしくは
3)前記1)または2)に、ジペンテン(dipentene)、ビニルトルエン(vinyl toluene)、スチレンモノマー、ジシクロペンテン(dicyclo pentene)のうちの少なくとも1つが添加された混合物であることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄結合資材組成物。
【請求項19】
前記複素環アミン類改質剤は、ピリジン(pyridine)およびその重合体、ピリジンの同族体、ピリジンの異性体、ピリジンの同族体の異性体、キノリン(quinoline)、イソキノリン(isoquinoline)、アクリジン(acridine)、ピロール(pyrrole)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤は、石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤と、高級アミンハロゲン化物、第4アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などの陽イオン界面活性剤と、ノニルフェノール、オクチルフェノールなどの非イオン界面活性剤と、アミノ酸などの両性界面活性剤のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項21】
前記水硬性材料は、
1)フライアッシュ、
2)KS L 5201(水硬性セメント分野の標準用語)に規定される普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、シリカヒューム、高炉スラグセメント、メタカオリン、
3)KS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)に規定されるセメント類、硫酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項22】
前記骨材は、リサイクル可能な産業廃棄物、川砂、砕石、フライアッシュ、海砂、ケイ砂、砂利、シリカ、石英粉、軽量骨材、粘土鉱物およびガラス粉末からなる群から選ばれる少なくとも1つから得られることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項23】
前記骨材は細骨材であり、前記水硬性改質硫黄資材は水硬性改質硫黄モルタルであることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項24】
前記骨材は細骨材と粗骨材を含み、前記細骨材と粗骨材の配合比率は重量比にして1:1〜1:4の範囲内であり、前記水硬性改質硫黄資材は水硬性改質硫黄コンクリートであることを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項25】
前記水硬性改質硫黄資材組成物は、前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、
1)曲げ強度補強材として、鉄筋、鋼繊維、繊維質充填材、繊維状粒子、薄片状粒子およびこれらの混合物1〜20重量%、
2)ポリマーセメント類、ポリマーセメントモルタル類およびこれらの混合物10〜50重量%、
3)高性能減水剤0.1〜3重量%、
4)空気連行剤0.1〜3重量%、
5)硬化促進剤、硬化遅延剤、急結剤およびこれらの混合物0.1〜3重量%、
6)着色相剤0.1〜3重量%、
7)芳香剤0.1〜3重量%のうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載の水硬性改質硫黄資材組成物。
【請求項26】
硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%が溶融混合された改質硫黄結合材と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、界面活性剤0.01〜50重量%と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、水硬性材料100〜9900重量%と、
前記改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量%に対し、骨材80〜400重量%とを含めてなることを特徴とする水硬性改質硫黄資材。
【請求項27】
(a)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene))系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類(heterocyclic amine)またはアルキルアミン類(alkylamine)改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
(b)前記液相の改質硫黄結合材を最大120℃の温度において冷却して固相の改質硫黄結合材を得、
(c)前記固相の改質硫黄結合材を最大100℃で溶融した状態において、界面活性剤と、水硬性材料と、水と、骨材を混合して、水硬性改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする水硬性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項28】
前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、
1)ジシクロペンタジエン(dicyclo pentadiene;DCPD)またはその重合体の単独、もしくは
2)前記DCPDに、シクロペンタジエン(cyclo pentadiene;CPD)およびその重合体、DCPD誘導体、CPD誘導体のうちの少なくとも1つが添加された混合物、もしくは
3)前記1)または2)に、ジペンテン(dipentene)、ビニルトルエン(vinyl toluene)、スチレンモノマー、ジシクロペンテン(dicyclo pentene)のうちの少なくとも1つが添加された混合物であることを特徴とする、請求項27に記載の水硬性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項29】
前記複素環アミン類改質剤は、ピリジン(pyridine)およびその重合体、ピリジンの同族体、ピリジンの異性体、ピリジンの同族体の異性体、キノリン(quinoline)、イソキノリン(isoquinoline)、アクリジン(acridine)、ピロール(pyrrole)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項27に記載の水硬性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項30】
前記界面活性剤は、前記固相の改質硫黄結合材100重量%に対し、0.01〜50重量%の範囲内で混合し、
前記水硬性材料は、前記固相の改質硫黄結合材100重量%に対し、100〜9900重量%の範囲内で混合し、
前記水は、前記固相の改質硫黄結合材と前記水硬性材料を合わせた100重量%に対し、15〜70重量%の範囲内で混合し、
前記骨材は、前記固相の改質硫黄結合材と前記水硬性材料を合わせた100重量%に対し、80〜400重量%の範囲内で混合してなることを特徴とする、請求項27に記載の水硬性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項31】
第27項の方法により製造された水硬性改質硫黄資材組成物を冷却して水硬性改質硫黄資材を得ることを特徴とする水硬性改質硫黄資材の製造方法。
【請求項32】
前記水硬性改質硫黄資材組成物を50〜160℃に予熱された成形モールド内において成形した後、冷却し脱型して水硬性改質硫黄資材を得ることを特徴とする、請求項31に記載の水硬性改質硫黄資材の製造方法。
【請求項33】
硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%が溶融混合された改質硫黄結合材と、
前記改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%とを含めてなることを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物。
【請求項34】
前記改質硫黄結合資材組成物は、前記改質硫黄結合材100重量%に対し、フィラー(filler)1〜80重量%をさらに含み、前記フィラーは、
1)フライアッシュ、
2)KS L 5201に規定された普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、シリカヒューム、高炉スラグセメント、メタカオリン、
3)KS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)に規定されるセメント類、硫酸カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つからなることを特徴とする、請求項33に記載の可燃性改質硫黄資材組成物。
【請求項35】
(a)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
(b)前記液相の改質硫黄結合材と、該液相の改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%を最大100℃で混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項36】
(a)硫黄と、前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%を120〜160℃で溶融混合して液相の改質硫黄結合材を製造し、
(b)前記液相の改質硫黄結合材を最大120℃の温度において冷却して固相の改質硫黄結合材を得、
(c)前記固相の改質硫黄結合材を最大100℃の温度で溶融した後、溶融した改質硫黄結合材100重量%に対し、骨材80〜400重量%を混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項37】
硫黄と、
前記硫黄100重量%に対し、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量%と、
前記硫黄100重量%に対し、複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤0.01〜200重量%と、
前記硫黄と、前記ジシクロペンタジエン系改質剤と、前記複素環アミン類またはアルキルアミン類改質剤を全て合わせた総100重量%に対し、骨材80〜400重量%を、
同時に120〜160℃で0.01〜3時間溶融混合して液相の改質硫黄資材組成物を製造することを特徴とする可燃性改質硫黄資材組成物の製造方法。
【請求項38】
請求項35〜37のうちのいずれか1項の方法により製造された液相の改質硫黄資材組成物を冷却して可燃性改質硫黄資材を得ることを特徴とする可燃性改質硫黄資材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−505819(P2012−505819A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531998(P2011−531998)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006086
【国際公開番号】WO2010/044496
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511094509)
【Fターム(参考)】