説明

放射性廃棄物の処分施設

【課題】電力供給が途絶えた場合であっても、主要坑道や処分坑道の水没を所定の期間について回避できる放射性廃棄物の処分施設を提供すること。
【解決手段】主要坑道31および処分坑道32よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有するとともに、排水設備5が設置されるポンプ座42を有する緊急貯水坑道4と、ポンプ座42と地上との間を貫通する設備投入坑6とを設けたので、電力供給が途絶えた場合や自家発電装置が機能しない場合であっても、主要坑道31や処分坑道32の水没を所定の期間について回避でき、また、ポンプ座42に設置した排水設備5が故障した場合であっても、設備投入坑6を用いることにより、応急の排水設備7を新たに投入設置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物の埋設処分に好適な放射性廃棄物の処分施設に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性廃棄物は、水に漏出しにくくするために、固化して様々な形状の廃棄体にした後に、地下に埋設して処分される。たとえば、高レベルの放射性廃棄物は、ガラスで固化された後、オーバパックと称される金属製の容器に封入され、廃棄体となる。廃棄体は、緩衝材と称されるベントナイト系の土質材料で囲繞され、埋設処分される。緩衝材は、周囲からの地圧を緩衝するとともに、地下水の浸入を抑制し、廃棄体からの放射性物質の漏洩を抑止する。
【0003】
図1は、放射性廃棄物を埋設処分する放射性廃棄物の処分施設を示す概念図であり、図2は、図1に示した処分坑道を示す概念図であって、図2−1は、高レベルの放射性廃棄物を埋設処分した例を示す図、図2−2は、低レベルの放射性廃棄物を埋設処分した例を示す図である。図1に示すように、放射性廃棄物の処分施設101は、地上施設102と地下施設103とから構成されている。地下施設103は、主要坑道131および主要坑道131から分岐した複数の処分坑道132からなる坑道群、地上施設102と主要坑道131とを接続する立坑133や斜坑(図示せず)を有する。そして、最終的には、廃棄体Pを処分坑道132に定置して埋め戻し、地下施設103を閉鎖するので、その後は地下水による水没が当然に生じることを前提に設計してあるが、操業中に湧き出た地下水により地下施設103が水没するようなことがあってはならない。このため、処分坑道132に放射性廃棄物を埋設処分する地下施設103は、その内部に排水設備(図示せず)を設置し、湧き出た地下水を汲み上げ、地上外部に排出することが求められる(たとえば、非特許文献1参照)。
【0004】
一方、処分施設101への電力供給経路は、火災や落盤等の事故による電源ケーブルの損傷事故を考慮して、少なくとも二系統設けるのが通常である。また、地震、落雷、強風等の災害により、施設外から処分施設1への電力供給が途絶えた場合には、処分施設101の敷地内に配備してある自家発電設備(図示せず)に切り替えることにより、対処できるように考慮されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】”高レベル放射性廃棄物処分の技術と安定性”[online]、2004年5月、原子力発電環境整備機構、[平成23年9月6日検索]、インターネット<http://www.numo.or.jp/library/technical_report/tr0401.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、想定を上回る事故や電源喪失(たとえば、津波による自家発電設備の流出)が発生した場合には、排水設備が稼働できずに、主要坑道131や処分坑道132から湧き出た地下水を地上外部に排水することができない。これにより、電力供給が途絶えてから一定の期間が経過すると、主要坑道131や処分坑道132から湧き出た地下水により、主要坑道131や処分坑道132が水没することになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電力供給が途絶えた場合であっても、主要坑道や処分坑道の水没を所定の期間について回避できる放射性廃棄物の処分施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、主要坑道と、前記主要坑道から分岐して設けられ、前記主要坑道を通り搬入された放射性廃棄物が定置され、埋設処分される処分坑道と、前記主要坑道または前記処分坑道から湧き出た地下水を汲み上げる排水設備とを有する放射性廃棄物の処分施設において、前記主要坑道および前記処分坑道よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有するとともに、前記排水設備が設置されるポンプ座を有する緊急貯水坑道と、前記ポンプ座と地上との間を貫通する設備投入坑とを設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、主要坑道と、前記主要坑道から分岐して設けられ、前記主要坑道を通り搬入された放射性廃棄物が定置され、埋設処分される処分坑道と、前記主要坑道または前記処分坑道から湧き出た地下水を汲み上げる排水設備とを有する放射性廃棄物の処分施設において、前記主要坑道および前記処分坑道よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有する緊急貯水坑道と、前記緊急貯水坑道につながり、前記排水設備または別途投入する緊急排水設備が設置されるポンプ座坑道と、前記緊急貯水坑道または前記ポンプ座坑道と地上との間を貫通する設備投入坑とを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記設備投入坑を鉛直に設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、湧き出た地下水が前記緊急貯水坑道に向けて流れるように、前記主要坑道の勾配と前記処分坑道の勾配とを設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる放射性廃棄物の処分施設は、主要坑道および処分坑道よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有するとともに、排水設備が設置されるポンプ座を有する緊急貯水坑道を設けたので、電力供給が途絶えた場合や自家発電装置が機能しない場合であっても、主要坑道や処分坑道の水没を所定の期間について回避できる。また、ポンプ座に設置した排水設備が故障した場合であっても、ポンプ座と地上との間を貫通する設備投入坑を用いて排水設備を新たに投入設置できる。
【0013】
本発明にかかる放射性廃棄物の処分施設は、主要坑道および処分坑道よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有する緊急貯水坑道と、緊急貯水坑道につながり、排水設備が設置されるポンプ座坑道と、緊急貯水坑道またはポンプ座坑道と地上との間を貫通する設備投入坑とを設けたので、電力供給が途絶えた場合や自家発電装置が機能しない場合であっても、主要坑道や処分坑道の水没を所定の期間について回避できる。また、ポンプ座坑道に設置した排水設備が故障した場合であっても、緊急貯水坑道またはポンプ座坑道との間を貫通する設備投入坑を用いて排水設備を新たに投入設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、放射性廃棄物を埋設処分する放射性廃棄物の処分施設を示す概念図である。
【図2−1】図2−1は、図1に示した処分坑道を示す概念図であって、高レベルの放射性廃棄物を埋設処分した例を示す図である。
【図2−2】図2−2は、図1に示した処分坑道を示す概念図であって、低レベルの放射性廃棄物を埋設処分した例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1である処分施設を示す概念図である。
【図4】図4は、図3に示した放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図である。
【図5】図5は、図4に示したポンプ座の詳細を示す断面図である。
【図6】図6は、図3に示した放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図であって、緊急貯水坑道に地下水が貯えられた状態を示す図である。
【図7−1】図7−1は、設備投入坑を通じて地上からポンプ座に投入した応急の排水設備で排水する手順を示す図であって、排水設備を投入する前の状態を示す図である。
【図7−2】図7−2は、設備投入坑を通じて地上からポンプ座に投入した応急の排水設備で排水する手順を示す図であって、排水設備を吊り下げた状態を示す図である。
【図7−3】図7−3は、設備投入坑を通じて地上からポンプ座に投入した応急の排水設備で排水する手順を示す図であって、排水設備をポンプ座に設置した状態を示す図である。
【図7−4】図7−4は、設備投入坑を通じて地上からポンプ座に投入した応急の排水設備で排水する手順を示す図であって、排水設備の運転開始直後の状態を示す図である。
【図7−5】図7−5は、設備投入坑を通じて地上からポンプ座に投入した応急の排水設備で排水する手順を示す図であって、緊急貯水坑道に貯水された地下水の排出が終了した状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2である放射性廃棄物の処分施設を示す概念図である。
【図9】図9は、図8に示した放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態3である放射性廃棄物の処分施設を示す概念図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態4である放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる放射性廃棄物の処分施設の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1
図3は、本発明の実施の形態1である放射性廃棄物の処分施設を示す概念図であり、図4は、図3に示した放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図である。また、図5は、図4に示したポンプ座の詳細を示す断面図である。上述したように、利用できなくなった高レベルの放射性廃棄物は、ガラスで固化された後、オーバパックと称される金属製の容器に封入され、廃棄体Pとなって埋設処分される。
【0017】
廃棄体(高レベルの放射性廃棄物)Pを埋設処分する放射性廃棄物の処分施設1は、図3に示すように、地上施設2と地下施設3とから構成されている。本発明の実施の形態1である処分施設1の地下施設3は、主要坑道31と主要坑道31から分岐した複数の処分坑道32とからなる坑道群、地上施設2と主要坑道31とを接続する立坑33や斜坑(図示せず)のほか、緊急貯水坑道4を有している。主要坑道31は、処分坑道32の建設に用いる建設資材や、廃棄体Pを搬入するためのもので、湧き出た地下水が緊急貯水坑道4に向かって流れるように、適切な勾配を有している。処分坑道32は、主要坑道31を通り搬入された廃棄体Pが定置され、埋設処分される坑道であり、湧き出た地下水が主要坑道31を通り緊急貯水坑道4に向かって流れるように、適切な勾配を有している。
【0018】
緊急貯水坑道4は、電力供給が途絶えた場合に、主要坑道31または処分坑道32において湧き出た地下水(湧水)を貯めるためのもので、緊急貯水坑道4の天端が主要坑道31およびすべての処分坑道32の床盤よりも深度が深くなるように構築してある。緊急貯水坑道4は、所定の容積、具体的には、主要坑道31や処分坑道32の水没を所定の期間について回避するに足りる容積を有している。換言すると、緊急貯水坑道4の容積は、所定の期間(電力供給の復帰に要する想定期間)、主要坑道31および処分坑道32における湧水量などを考慮して設定されている。
【0019】
図4に示すように、主要坑道31と緊急貯水坑道4との間は、斜坑41により接続してある。斜坑41は、主要坑道31から緊急貯水坑道4に降りていくための坑道であり、主要坑道31から緊急貯水坑道4に向けて螺旋状に低くなるように形成しても良いし、主要坑道31から緊急貯水坑道4に向けて直線状に低くなるように形成してもよい。
【0020】
図5に示すように、緊急貯水坑道4の内部には、ポンプ座42が設けてある。ポンプ座42は、排水設備5を設置するためのもので、貯水槽(プール)43を有しており、その上面に床版44が架け渡され、排水設備5が設置されている。そして、排水設備5の吸口51は、貯水槽43の内部に設置され、貯水槽43に貯水された水は、排水設備5によって地上外部に排出される。
【0021】
図4に示すように、処分施設1は、ポンプ座42と地上との間を貫通する設備投入坑6が設けてある。設備投入坑6は、既設の排水設備5が不調である場合等に応急の排水設備(排水ポンプ)7を投入するためのもので、応急の排水設備7が通る大きさで地表面に対して鉛直に設けられている。なお、図に示す例は、設備投入坑6の地表面側に特別な水害対策を施すものではないが、津波などの水害から設備投入坑6を保護すべく、坑口部を取り囲むような防潮堤を地上に設置してもよいし、設備投入坑6の地表面側に円筒状の塔体を設けてもよい。また、設備投入坑6は、地表面に対して鉛直に設けられる立坑としたが、地上からポンプ座42に応急の排水設備7を投入できるものであれば、地表面に対して斜めとなる斜坑であってもよい。また、設備投入坑6は、一つに限られるものではなく、複数設けてもよい。さらに、設備投入坑は、緊急貯水坑道4に貯まった地下水を排水する排水設備を投入できるものであれば、緊急貯水坑道4と地上との間を貫通するものであってもよい。
【0022】
上述した本発明の実施の形態1である放射性廃棄物の処分施設1において、主要坑道31や処分坑道32で湧き出た地下水は、緊急貯水坑道4に流れ込み、貯水槽43に貯えられる。そして、貯水槽43に貯えられた水は、排水設備5によって汲み上げられて、処分施設1の外部に排出される(通常時)。
【0023】
一方、地震、落雷、強風等の災害により、施設外から処分施設1への電力供給が途絶えた場合には、処分施設1の敷地内に配備してある自家発電設備(図示せず)に切り替えることにより、排水設備5の稼働を維持する。なお、短時間の停電であれば、貯水槽(プール)43の予備貯水量を供することで、通常時と同様の操業が可能である。
【0024】
さらに、長時間にわたって自家発電設備が機能しない場合には、排水設備5の稼働を維持できなくなり、やがて、貯水槽43から緊急貯水坑道4に水が溢れることになる。そして、貯水槽43から緊急貯水坑道4に溢れた水は、図6に示すように、緊急貯水坑道4に貯えられることになる。
【0025】
このような状態において、電源車を緊急配備等することにより、電力供給が回復しても、ポンプ座42に設置した排水設備5が不調な場合には、貯水槽43から地下水を汲み上げることができない。
【0026】
このような場合には、図7−1に示すように、設備投入坑6のまわりに、電源車71、排水管ホース72、電源ケーブル73(たとえば、ステンレス鋼線で被覆したアーマードケーブル)、排水ポンプ(排水設備)74を準備する。そして、図7−2に示すように、電源ケーブル73により、排水ポンプ74、排水管ホース72を地表から設備投入坑6の中に吊り下げてポンプ座42に降ろし、図7−3〜図7−5に示すように、緊急貯水坑道4から地下水を地上に汲み上げる。なお、図7−1〜図7−5において、緊急貯水坑道における貯水水位を異なって表示しているのは、時間の経過に伴う水位上昇と排水ポンプ稼働後の水位低下とを表すためである。
【0027】
上述した本発明の実施の形態1である放射性廃棄物の処分施設1は、主要坑道31および処分坑道32よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有するとともに、排水設備5が設置されるポンプ座42を有する緊急貯水坑道4を設けたので、電力供給が途絶えた場合や自家発電設備が機能しない場合であっても、主要坑道31や処分坑道32の水没を所定の期間について回避できる。また、ポンプ座42に設置した排水設備5が故障した場合であっても、ポンプ座42と地上との間を貫通する設備投入坑6を用いて応急の排水設備7を新たに投入設置できる。
【0028】
実施の形態2
図8は、本発明の実施の形態2である放射性廃棄物の処分施設を示す概念図であり、図9は、図8に示した放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図である。実施の形態2である放射性廃棄物の処分施設201は、必要な容量に応じて複数(図8および図9に示す例では二つ)の緊急貯水坑道204a,204bを設けたものである。このように、必要な容量に応じて、複数の緊急貯水坑道204a,204bを設けることにより、主要坑道31や処分坑道32の水没を所定の期間について回避できる。なお、一つ目の緊急貯水坑道204aと二つ目の緊急貯水坑道204bとは、斜坑204cにより接続してある。斜坑204cは、螺旋状に低くなるように形成してもよいし、直線状に低くなるように形成してもよい。
【0029】
実施の形態3
図10は、本発明の実施の形態3である放射性廃棄物の処分施設を示す概念図である。実施の形態3である放射性廃棄物の処分施設301は、何らかの事情で、処分坑道32の勾配を坑口から坑奥に向けて低くなるように設定した場合のレイアウトである。図10に示すように、処分坑道32の勾配を坑口から坑奥に向けて低くなるように傾斜している場合には、処分坑道32の終点(坑奥)に第2の主要坑道331を設ける。そして、この第2の主要坑道331と緊急貯水坑道4とを斜坑(排水用坑道)341で連結する。このように、何らかの事情で、処分坑道32の勾配を坑口から坑奥に向けて低くなるように設定した場合であっても、第2の主要坑道331と斜坑341とを設けることにより、湧き出た地下水が緊急貯水坑道4に向かって流すことができる。
【0030】
実施の形態4
図11は、本発明の実施の形態4である放射性廃棄物の処分施設の詳細を示す断面図である。実施の形態4である放射性廃棄物の処分施設401は、緊急貯水坑道4とは別にポンプ座坑道408を設けたものである。ポンプ座坑道408は、緊急貯水坑道4につながるものであって、排水設備405が設置される。図11に示す例では、ポンプ座坑道408は、主要坑道31と緊急貯水坑道4との間に設けられ、ポンプ座坑道408と主要坑道31との間は、斜坑41により接続してある。また、処分施設401は、ポンプ座坑道408と地上との間を貫通する設備投入坑406が設けてある。設備投入坑406は、上述した実施の形態1の設備投入坑6と同様、既設の排水設備405が不調である場合等に応急の排水設備を投入するためのもで、応急の排水設備が通る大きさで地表面に対して鉛直に設けられている。なお、図11に示す例は、設備投入坑406の地表面側に特別な水害対策を施すものではないが、津波などの水害から設備投入坑406を保護すべく、坑口部を取り囲むような防潮堤を地上に設置してもよいし、設備投入坑406の地表面側に円筒状の塔体を設けてもよい。また、設備投入坑406は、地表面に対して鉛直に設けられる立坑としたが、地上からポンプ座坑道408に応急の排水設備を投入できるものであれば、地表面に対して斜めとなる斜坑であってもよい。また、設備投入坑406は、一つに限られるものではなく、複数設けてもよい。さらに、設備投入坑は、緊急貯水坑道4に貯まった地下水を排水する排水設備を投入できるものであれば、緊急貯水坑道4と地上との間を貫通するものであってもよい。
【0031】
また、上述した実施の形態である放射性廃棄物の処分施設では、ポンプ座坑道408に設置した排水設備405を稼働させるものとしたが、主要坑道31にポンプ座311を設け、排水設備312を設置し、通常時は、この排水設備312を稼働させる一方、緊急時にポンプ座坑道408に設置した排水設備405を稼働させるものとしてもよい。
【0032】
また、排水設備405は、緊急時に設備投入坑406からポンプ座坑道408に投入し、設置するものとしてもよい。
【0033】
上述した実施の形態1〜4に示した放射性廃棄物の処分施設1,201,301,401は、高レベルの放射性廃棄物を埋設処分するものであるが、非特許文献2に示すように、低レベルの放射性廃棄物についても地下空洞型の処分施設が計画されているので、このような処分施設に本発明を適用することも可能である。
【0034】
<非特許文献2>”放射性廃棄物のホームページ 放射性廃棄物の概要 廃棄物の種類に応じた処分方法 余裕深度処分”[online]、経済産業省 資源エネルギー庁 放射性廃棄物等対策室、[平成23年9月6日検索]、インターネット<http://www.enecho.meti.go.jp/rw/gaiyo/gaiyo01.html>
【符号の説明】
【0035】
1 放射性廃棄物の処分施設
2 地上施設
3 地下施設
31 主要坑道
32 処分坑道
33 立坑
4 緊急貯水坑道
41 斜坑
42 ポンプ座
43 貯水槽
44 床版
5 排水設備
51 吸口
6 設備投入坑
7 応急の排水設備
71 電源車
72 排水管ホース
73 電源ケーブル
74 排水ポンプ
201 放射性廃棄物の処分施設
204a 緊急貯水坑道
204b 緊急貯水坑道
204c 斜坑
301 放射性廃棄物の処分施設
331 第2の主要坑道
341 斜坑
401 処分施設
405 排水設備
406 設備投入坑
408 ポンプ座坑道
P 廃棄体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要坑道と、
前記主要坑道から分岐して設けられ、前記主要坑道を通り搬入された放射性廃棄物が定置され、埋設処分される処分坑道と、
前記主要坑道または前記処分坑道から湧き出た地下水を汲み上げる排水設備と
を有する放射性廃棄物の処分施設において、
前記主要坑道および前記処分坑道よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有するとともに、前記排水設備が設置されるポンプ座を有する緊急貯水坑道と、
前記ポンプ座と地上との間を貫通する設備投入坑と
を設けたことを特徴とする放射性廃棄物の処分施設。
【請求項2】
主要坑道と、
前記主要坑道から分岐して設けられ、前記主要坑道を通り搬入された放射性廃棄物が定置され、埋設処分される処分坑道と、
前記主要坑道または前記処分坑道から湧き出た地下水を汲み上げる排水設備と
を有する放射性廃棄物の処分施設において、
前記主要坑道および前記処分坑道よりも深度が深い位置に設けられ、所定の容積を有する緊急貯水坑道と、
前記緊急貯水坑道につながり、前記排水設備または別途投入する緊急排水設備が設置されるポンプ座坑道と、
前記緊急貯水坑道または前記ポンプ座坑道と地上との間を貫通する設備投入坑と
を設けたことを特徴とする放射性廃棄物の処分施設。
【請求項3】
前記設備投入坑を鉛直に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の放射性廃棄物の処分施設。
【請求項4】
湧き出た地下水が前記緊急貯水坑道に向けて流れるように、前記主要坑道の勾配と前記処分坑道の勾配とを設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の放射性廃棄物の処分施設。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−83592(P2013−83592A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224761(P2011−224761)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)