説明

放射温度計

【課題】 測定箇所を指示できるとともに、小型化を実現しつつ高い測定精度を得ることができる放射温度計を提供する。
【解決手段】 ヘッド部100Aにおいて、サーモパイル10はヘッド部100Aの略中央部に配置されている。サーモパイル10に近接するようにプリアンプ基板20が配置されている。サーモパイル10およびプリアンプ基板20を取り囲むように、熱伝導率の高い材料からなる熱拡散部材90が配置されている。ヘッドケーシングKの上面KUと熱拡散部材90の上面部90uとの間に、メイン基板30およびレーザダイオード60が配置される。ヘッドケーシングKの下面KDと熱拡散部材90の下面部90dとの間に、電源基板40およびレーザダイオード70が配置される。サーモパイル10、プリアンプ基板20、メイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70は熱拡散部材90と接触しないように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することによりその物体の温度を測定する放射温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出し、その赤外線エネルギーを測定対象物の放射率で補正することにより測定対象物の実際の温度を測定する放射温度計がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に放射温度計は、サーモパイル等の感熱素子により赤外線エネルギーを検出する。サーモパイルは、複数の熱電対を直列に接続した赤外線受光部(温接点)を備える。このようなサーモパイルにおいて、赤外線受光部に赤外線が入射すると、入射した赤外線の量に応じて温接点と冷接点との間に温度差が生じ、その差に応じた熱起電力が発生する。この熱起電力が測定対象物の温度に対応する。
【0004】
ここで、サーモパイルにおける冷接点の温度は、サーモパイルの内部温度により変化する。そこで、サーモパイルの内部温度をサーミスタにより測定することにより、サーモパイルにより測定された測定対象物の温度をサーモパイルの内部温度に基づいて補正する。それにより、測定対象物の正確な温度を得ることができる。
【0005】
このような放射温度計において、測定対象物から放射される赤外線エネルギーは目に見えないため、使用者は測定対象物のどの箇所を測定しているのかを認識することができない。
【0006】
そこで、使用者が測定箇所を認識できるように、レーザダイオード(LD)または発光ダイオード(LED)等の光源を用いて測定箇所を指示できる放射温度計が開発されている。
【特許文献1】特開平7−324981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、測定箇所を指示できる放射温度計は、レーザダイオードまたは発光ダイオード等の光源を内蔵するため大型化する。
【0008】
また、測定箇所を指示するための光源により発生された熱がサーモパイルに対して局所的に伝達されると、サーモパイルの内部温度が不均一となる。この場合、サーミスタは正確にサーモパイルの内部温度を検出することができない。
【0009】
さらに、サーモパイルの周辺部材(例えば、サーモパイルの保持部材等)から放射される赤外線が赤外線受光部に入射する場合がある。ここで、周辺部材の温度とサーモパイルの内部温度とが一致する場合には、赤外線受光部に入射する周辺部材の赤外線量をサーモパイルの内部温度に基づいて算出することができる。それにより、赤外線受光部に入射する全ての赤外線量から周辺部材の赤外線量を減算することにより、赤外線受光部に入射される測定対象物からの赤外線量のみを正確に得ることができる。
【0010】
しかしながら、周辺部材の温度が光源の熱により不均一となる場合、または周辺部材の温度がサーモパイルの内部温度と異なる場合には、赤外線受光部に入射する周辺部材の赤外線量をサーモパイルの内部温度に基づいて算出することができない。それにより、赤外線受光部に入射される測定対象物からの赤外線量のみを正確に得ることはできない。
【0011】
したがって、測定対象物の温度を正確に得るためには、サーモパイルに局所的に熱が伝達されないように、かつ、サーモパイル周辺の温度雰囲気がサーモパイルの内部温度と等しく均一となるようにサーモパイルと光源との距離をできるだけ大きくする必要があった。その結果、放射温度計の小型化はますます困難であった。
【0012】
また、サーモパイルの出力信号は非常に小さいため、サーモパイルの出力信号を高い増幅率で増幅する必要がある。それにより、サーモパイルの出力信号がノイズの影響を受けると、測定精度が大きく低下する。
【0013】
本発明の目的は、測定箇所を指示できるとともに、小型化を実現しつつ高い測定精度を得ることができる放射温度計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る放射温度計は、測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、互いに対向する第1および第2の面ならびに互いに対向する第3および第4の面を有し、第1の面に測定対象物から放射される赤外線を透過する赤外線透過部を有するケーシングと、ケーシング内に設けられ、赤外線透過部を透過した赤外線エネルギーを検出する検出素子と、ケーシング内の第2の面と検出素子との間で第2の面に沿って設けられ、検出素子の出力信号を増幅する第1の回路が実装される第1の基板と、ケーシング内の第3の面と検出素子との間で第3の面に沿って設けられ、第1の基板の第1の回路から与えられる信号に基づいて測定対象物の温度を算出する第2の回路が実装される第2の基板と、ケーシング内の第4の面と検出素子との間で第4の面に沿って設けられ、第1および第2の回路へ電力を供給する第3の回路が実装される第3の基板と、ケーシング内に設けられ、測定対象物へ光を出射する第1および第2の光源と、ケーシング内に設けられる熱拡散部材とを備え、ケーシング内に赤外線透過部から検出素子に赤外線を導く赤外線通路が形成され、第1および第2の光源は、赤外線通路と第3および第4の面との間にそれぞれ配置され、熱拡散部材は、赤外線通路と第1の光源との間、赤外線通路と第2の光源との間、検出素子および第1の基板と第2の基板との間、ならびに検出素子および第1の基板と第3の基板との間に配置されたものである。
【0015】
本発明に係る放射温度計においては、第1および第2の光源から測定対象物へ光が出射される。測定対象物から放射される赤外線は、ケーシングの第1の面の赤外線透過部およびケーシング内の赤外線通路を通じて検出素子に入射される。検出素子により入射された赤外線のエネルギーが検出される。検出素子の出力信号は、第1の基板の第1の回路により増幅される。第2の基板の第2の回路は第1の回路から与えられる信号に基づいて測定対象物の温度を算出する。
【0016】
本発明に係る放射温度計によれば、第1および第2の光源から測定対象物へ光が出射されることにより、測定対象物の測定箇所が光により指示される。特に、第1および第2の光源が用いられるので、互いの光源から出射される光による測定箇所の指示形態を適宜設定することにより、より高い精度で測定箇所を指示することができ、より精度の高い温度測定をすることができる。
【0017】
また、ケーシング内において、第1の基板はケーシングの第2の面と検出素子との間で、第2の面に沿うように設けられることにより、検出素子と第1の基板との間の距離を短くすることができる。この場合、検出素子と第1の基板との間の配線を短くすることができるので、検出素子の出力信号がノイズの影響を受けにくくなる。その結果、放射温度計は高い精度で測定対象物の温度を算出することができる。
【0018】
ケーシング内において、検出素子および第1の基板と第2の基板との間に熱拡散部材が配置されてるので、第2の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【0019】
第3の基板に実装される第3の回路は電力供給に用いられるため、発熱しやすい。しかしながら、検出素子および第1の基板と第3の基板との間に熱拡散部材が配置されてるので、第3の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【0020】
第1および第2の光源は発光することにより熱を発生する。しかしながら、第1および第2の光源と赤外線通路との間に熱拡散部材が配置されているので、第1および第2の光源の熱は熱拡散部材により拡散される。
【0021】
このように、第2および第3の基板ならびに第1および第2の光源により発生された熱が熱拡散部材により拡散されるので、ケーシング内の温度雰囲気がほぼ均一に保たれる。その結果、検出素子への局所的な熱の伝達が防止されるので、精度の高い温度測定が実現される。
【0022】
特に、第1および第2の光源はケーシング内で赤外線通路に隣接し、検出素子には隣接しないので、検出素子への局所的な熱の伝達がより防止される。
【0023】
このように、熱拡散部材の配置により、検出素子への局所的な熱の伝達が防止されるので、ケーシング内で第1および第2の光源、第1、第2および第3の基板ならびに検出素子を互いに近接して配置することが可能となる。それにより、放射温度計の十分な小型化が実現される。
【0024】
さらに、第1および第2の光源がケーシング内で赤外線通路の周囲における空いたスペースに配置されるので、第1および第2の光源を設けることによる放射温度計の大型化が十分に防止されている。
【0025】
ケーシングは、互いに対向する第5および第6の面をさらに有し、熱拡散部材は、検出素子、第1の基板および赤外線通路と第5の面との間、検出素子、第1の基板および赤外線通路と第6の面との間に配置されてもよい。
【0026】
この場合、第1の基板および赤外線通路と第5の面との間、ならびに検出素子、第1の基板および赤外線通路と第6の面との間にも熱拡散部材が配置されているので、第2および第3の基板ならびに第1および第2の光源により発生される熱が広範囲に渡り拡散される。それにより、ケーシング内の温度をより均一に保つことが可能となる。その結果、検出素子への局所的な熱の伝達がさらに防止されるので、より精度の高い温度測定が実現される。
【0027】
熱拡散部材と検出素子および第1の基板との間、ならびに熱拡散部材と第2の基板、第3の基板、第1の光源および第2の光源との間に隙間が設けられてもよい。
【0028】
この場合、熱拡散部材と検出素子および第1の基板との間の隙間、ならびに熱拡散部材と第2の基板、第3の基板、第1の光源および第2の光源との間の隙間に空気層が存在する。この空気層は、断熱層として働き、第2の基板、第3の基板、第1の光源および第2の光源において発生された熱が、検出素子に伝達されにくくなる。この状態で、第2の基板、第3の基板、第1の光源および第2の光源において発生される熱が熱拡散部材により拡散される。それにより、ケーシング内の温度が均一に保たれるとともに、ケーシング内の温度上昇が抑制される。
【0029】
第2の回路は、第1の光源を駆動する第1の駆動回路と、第1の回路から与えられる信号に基づいて測定対象物の温度を算出するとともに、第1の駆動回路を制御する制御回路とを含んでもよい。
【0030】
この場合、第2の回路が実装された第2の基板において、第1の光源を駆動する第1の駆動回路は発熱しやすい。しかしながら、検出素子および第1の基板と第2の基板との間に熱拡散部材が配置されているので、第2の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【0031】
第2の回路は、表示素子を含み、制御回路は算出された測定対象物の温度に基づいて表示素子を制御してもよい。
【0032】
この場合、第2の回路が実装された第2の基板において、表示素子は発熱しやすい。しかしながら、検出素子および第1の基板と第2の基板との間に熱拡散部材が配置されているので、第2の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【0033】
第3の回路は、第2の光源を駆動する第2の駆動回路を含み、制御回路は、第2の駆動回路を制御してもよい。この場合、第3の回路が実装された第3の基板において、第2の光源を駆動する第2の駆動回路は発熱しやすい。しかしながら、検出素子および第1の基板と第3の基板との間に熱拡散部材が配置されているので、第3の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る放射温度計によれば、第1および第2の光源から測定対象物へ光が出射されることにより、測定対象物の測定箇所が光により指示される。
【0035】
また、ケーシング内において、第1の基板はケーシングの第2の面と検出素子との間で、第2の面に沿うように設けられることにより、検出素子と第1の基板との間の距離を短くすることができる。この場合、検出素子と第1の基板との間の配線を短くすることができるので、検出素子の出力信号がノイズの影響を受けにくくなる。その結果、放射温度計は高い精度で測定対象物の温度を算出することができる。
【0036】
さらに、ケーシング内において、検出素子および第1の基板と第2の基板との間に熱拡散部材が配置されてるので、第2の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【0037】
第3の基板に実装される第3の回路は電力供給に用いられるため、発熱しやすい。しかしながら、検出素子および第1の基板と第3の基板との間に熱拡散部材が配置されているので、第3の基板において熱が発生しても、その熱は熱拡散部材により拡散される。
【0038】
第1および第2の光源は発光することにより熱を発生する。しかしながら、第1および第2の光源と赤外線通路との間に熱拡散部材が配置されているので、第1および第2の光源の熱は熱拡散部材により拡散される。
【0039】
このように、第2および第3の基板ならびに第1および第2の光源により発生された熱が熱拡散部材により拡散されるので、ケーシング内の温度雰囲気がほぼ均一に保たれる。その結果、検出素子への局所的な熱の伝達が防止されるので、精度の高い温度測定が実現される。
【0040】
特に、第1および第2の光源はケーシング内で赤外線通路に隣接し、検出素子には隣接しないので、検出素子への局所的な熱の伝達がより防止される。
【0041】
このように、熱拡散部材の配置により、検出素子への局所的な熱の伝達が防止されるので、ケーシング内で第1および第2の光源、第1、第2および第3の基板ならびに検出素子を互いに近接して配置することが可能となる。それにより、放射温度計の十分な小型化が実現される。
【0042】
さらに、第1および第2の光源がケーシング内で赤外線通路の周囲における空いたスペースに配置されるので、第1および第2の光源を設けることによる放射温度計の大型化が十分に防止されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の一実施の形態に係る放射温度計について図1〜図24に基づき説明する。
【0044】
(第1の実施の形態)
(1)放射温度計の機能的な構成
図1は、第1の実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る放射温度計100は、ヘッド部100Aおよび本体部100Bを備える。
【0045】
ヘッド部100Aおよび本体部100Bは互いにケーブル80により接続されている。また、本体部100Bはケーブル81を介して図示しない外部装置に接続される。
【0046】
図2は図1のヘッド部100Aのブロック図であり、図3は図1の本体部100Bのブロック図である。
【0047】
図1に示すように、ヘッド部100Aは、サーモパイル10、プリアンプ基板20、メイン基板30、電源基板40、中継基板50および2つのレーザダイオード60,70を備える。
【0048】
サーモパイル10は、赤外線受光部11(赤外線検出チップ)およびサーミスタ12を備える。プリアンプ基板20には、第1の信号増幅部21および第2の信号増幅部22が実装される。メイン基板30には、第3の信号増幅部31、アナログデジタル変換回路(以下、AD変換回路と略記する。)32,33、CPU(中央演算処理装置)34、記憶部35、表示灯36およびレーザ駆動回路37が実装される。
【0049】
電源基板40には、電源回路41、通信回路42およびレーザ駆動回路43が実装される。電源基板40には、電源線および信号線を含むケーブル80が接続されている。
【0050】
中継基板50は複数の配線が形成された配線面を備え、メイン基板30と電源基板40とを電気的に接続する。さらに、中継基板50は後述のグランド導体面を備え、ヘッド部100Aの各構成部の接地端子が接続される。
【0051】
サーモパイル10において、赤外線受光部11は測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出する。サーミスタ12はサーモパイル10の内部温度を検出する。
【0052】
プリアンプ基板20において、第1の信号増幅部21は赤外線受光部11の出力信号を増幅する。第2の信号増幅部22はサーミスタ12の出力信号を増幅する。
【0053】
メイン基板30において、第3の信号増幅部31は第1の信号増幅部21の出力信号を増幅する。AD変換回路32は、第1の信号増幅部21の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を測定対象物の検出温度値としてCPU34へ与える。
【0054】
AD変換回路33は、第2の信号増幅部22の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をサーモパイル10の内部温度値としてCPU34へ与える。
【0055】
記憶部35には、サーモパイル10に関する情報およびCPU34が測定対象物の温度を算出するための演算式等が記憶されている。サーモパイル10に関する情報とは、例えば、赤外線受光部11のゲインおよびオフセット値、サーミスタ12のゲインおよびオフセット値、ならびにサーモパイルの測定温度範囲および温度スケール等である。
【0056】
CPU34には、本体部100Bからケーブル80および通信回路42を通じて測定対象物の放射率および後述する判定信号が与えられる。CPU34は、AD変換回路32から与えられる検出温度値、AD変換回路33から与えられる内部温度値、本体部100Bから与えられた放射率、ならびに記憶部35に記憶された種々の情報および演算式に基づいて測定対象物の実際の温度値(以下、測定温度値と呼ぶ。)を算出する。そして、CPU34は測定温度値を通信回路42およびケーブル80を通じて本体部100Bに与える。
【0057】
また、CPU34は、AD変換回路32の出力信号のレベルに基づいて第3の信号増幅部31のゲインをフィードバック制御する。
【0058】
さらに、CPU34は、表示灯36、レーザ駆動回路37および電源基板40のレーザ駆動回路43の動作を制御する。表示灯36は、CPU34の制御により判定信号のオン状態またはオフ状態を点灯または消灯により表示する。レーザ駆動回路37は、CPU34の制御によりレーザダイオード60を駆動する。
【0059】
電源基板40において、電源回路41は本体部100Bからケーブル80を通じて与えられる電力をヘッド部100Aの各構成部に供給する。
【0060】
通信回路42およびレーザ駆動回路43は、ともに中継基板50を介してメイン基板30のCPU34と接続されている。
【0061】
通信回路42は、上述のように、ケーブル80を介してCPU34と本体部100Bとの間で通信を行う。レーザ駆動回路43は、CPU34の制御によりレーザダイオード70を駆動する。レーザダイオード60,70から出射されるレーザ光は測定対象物の測定箇所に照射される。
【0062】
図3に示すように、本体部100Bは、電源回路91、通信回路92、CPU93、表示部94、記憶部95、操作設定部96、外部出力回路97およびアナログ出力回路98を備える。
【0063】
電源回路91および通信回路92にはケーブル80が接続されている。電源回路91は、電池等の電力供給源を備え、その電力を本体部100Bの各構成部およびヘッド部100Aに供給する。通信回路92は、ケーブル80を介してCPU93とヘッド部100Aとの間で通信を行う。
【0064】
記憶部95は、測定対象物の放射率、演算式および判定のためのしきい値等を記憶する。使用者は、操作設定部96を操作することにより測定対象物の放射率およびしきい値等を設定することができる。設定された放射率およびしきい値等は記憶部95に記憶される。
【0065】
CPU93は、本体部100Bの各構成部の動作を制御する。また、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値と記憶部95に記憶されるしきい値との大小関係を判定し、判定結果を判定信号として外部出力回路97を介してケーブル81に出力する。
【0066】
判定信号は、例えば、測定温度値がしきい値よりも高い場合にオン状態(例えば、ハイレベル)となり、測定温度値がしきい値以下の場合にオフ状態(例えば、ローレベル)となる。
【0067】
さらに、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値を外部出力回路97を介してケーブル81に出力するとともに、測定温度値に対応するアナログ信号をアナログ出力回路98を介してケーブル81に出力する。
【0068】
このようにして、本実施の形態に係る放射温度計100は、測定対象物の測定温度値を表示および出力するとともに、測定温度値がしきい値よりも高いか否かの判定結果(オン状態またはオフ状態)を表示および出力することができる。
【0069】
(2)放射温度計のヘッド部の概略構造
図4〜図6は、第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの基本構造を説明するための図である。図4にヘッド部100Aの外観斜視図が示されている。また、図5に図4のA−A線における模式的断面図が示され、図6に図4のB−B線における模式的断面図が示されている。
【0070】
ヘッド部100Aの各構成部は略直方体形状のヘッドケーシングKに内蔵される。ヘッドケーシングKは、上面KU、下面KD、前面KF、背面KBおよび側面KS1,KS2を有する。
【0071】
以下の説明においては、図4の矢印X,Y,Zに示すように、側面KS1,KS2に垂直な方向をX方向と呼び、前面KFおよび背面KBに垂直な方向をY方向と呼び、上面KUおよび下面KDに垂直な方向をZ方向と呼ぶ。図4以降の図面についても同様に方向を定義する。
【0072】
図4において、ヘッドケーシングKの前面KFに赤外線集光部KHおよびレーザ出射部K60,K70が設けられ、上面KUに発光ダイオードからなる表示灯36が設けられ、背面KBにケーブル接続部KJが設けられている。表示灯36が上面KUに設けられることにより、使用者は表示灯36の点灯および点滅状況を容易に認識することができる。
【0073】
赤外線集光部KHにおいては、測定対象物から放射される赤外線が取り込まれる。図2のレーザダイオード60,70により発生されたレーザ光が、レーザ出射部K60,K70から測定箇所へ向けて出射される。詳細な構造および動作については後述する。
【0074】
ケーブル接続部KJには、ケーブル80が接続される。このケーブル80は、上述のように本体部100Bに接続される。
【0075】
本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの寸法は、例えば次の通りである。図4において、ヘッド部100Aの高さhは約34mmであり、幅wは約20mmであり、奥行きlは約48mmである。
【0076】
図5および図6に示すように、サーモパイル10はY方向に平行な略円柱形状を有し、Y方向に平行な略筒状のサーモパイルホルダ110に挿入された状態で、ヘッド部100Aの略中央部に配置されている。さらに、サーモパイル10の背面KB側では、サーモパイル10に近接するように、かつ背面KBに平行となるようにプリアンプ基板20が配置されている。
【0077】
サーモパイル10の周辺部材として用いられるサーモパイルホルダ110はサーモパイル10の内部温度とその周辺の温度とをほぼ等しく均一とするために用いられる。したがって、サーモパイルホルダ110は、熱伝導率の高い材料からなる。詳細は後述する。
【0078】
また、サーモパイル10、サーモパイルホルダ110およびプリアンプ基板20を取り囲むように熱拡散部材90が配置されている。熱拡散部材90は、図5に示すようにヘッド部100AのYZ平面に沿った断面において略コ字形状を有し、図6に示すようにXZ平面に沿った断面においても略コ字形状を有する。
【0079】
すなわち、熱拡散部材90は、上面部90u、下面部90d、背面部90bおよび側面部90sを備え、熱拡散部材90はヘッド部100Aの前面KF側に開口し、かつ一方の側面KS1側に開口している。
【0080】
これにより、測定対象物から放射される赤外線が、赤外線集光部KHを通じてサーモパイル10の赤外線受光部11(図2参照)に導かれる。
【0081】
熱拡散部材90は、熱伝導率の高い材料からなる。特に、熱拡散部材90は銅、銀、アルミニウム、鉄または金等の金属材料により形成されることが好ましい。なお、本実施の形態においては、銅にニッケルめっきを施すことにより熱拡散部材90が形成される。この場合、銅により高い熱伝導率を得ることができるとともに、ニッケルめっきにより銅の酸化が防止され、耐食性が向上する。
【0082】
図6に示すように、熱拡散部材90の一方の側面KS1側の開口位置には、中継基板50が側面KS1に平行に配置される。上述のように、中継基板50は配線面50Cおよびグランド導体面50Gを備える。配線面50Cはサーモパイル10側に配置され、グランド導体面50Gは側面KS1側に配置されている。
【0083】
グランド導体面50Gは熱拡散部材90と同様に熱伝導率の高い材料、すなわち銅、銀、アルミニウム、鉄または金等の金属材料により形成されることが好ましい。なお、本実施の形態において、グランド導体面50Gの材料と熱拡散部材90の材料とは同じである。
【0084】
これにより、サーモパイル10、サーモパイルホルダ110およびプリアンプ基板20は、前面KF側を除く全ての方向において、熱拡散部材90およびグランド導体面50Gの熱伝導率の高い材料により取り囲まれている。特に、サーモパイルホルダ110は、Y方向において長手形状を有するが、熱拡散部材90の前面KF側の開口から外部に突出しない。
【0085】
図5に示すように、ヘッドケーシングKの上面KUと熱拡散部材90の上面部90uとの間には、メイン基板30およびレーザダイオード60が配置されている。レーザダイオード60はレーザ出射部K60に近接し、かつサーモパイル10と所定の距離離間するように位置している。これにより、レーザダイオード60により発生されたレーザ光が効率よくレーザ出射部K60から測定対象物へと出射される。メイン基板30はヘッドケーシングKの背面KB側で上面KUに平行となるように位置している。
【0086】
また、ヘッドケーシングKの下面KDと熱拡散部材90の下面部90dとの間には、電源基板40およびレーザダイオード70が配置されている。レーザダイオード70はレーザ出射部K70に近接し、かつサーモパイル10と所定の距離離間するように位置している。これにより、レーザダイオード70により発生されたレーザ光が効率よくレーザ出射部K70から測定対象物へと出射される。電源基板40はヘッドケーシングKの背面KB側で下面KDに平行となるように位置している。
【0087】
サーモパイル10およびサーモパイルホルダ110は熱拡散部材90に接触しないように配置されている。また、メイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70は熱拡散部材90と接触しないように配置されている。それにより、サーモパイル10が挿入されたサーモパイルホルダ110と熱拡散部材90との間、ならびにメイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70と熱拡散部材90との間にはそれぞれ空気層が存在する。これらの空気層は断熱層として働く。ケーブル80は電源基板40と電気的に接続される。
【0088】
上記のように、本実施の形態に係る放射温度計100においては、2つのレーザダイオード60,70により発生されるレーザ光が、ヘッドケーシングKのレーザ出射部K60,K70から測定対象物へと出射される。これにより、測定箇所がレーザ光により指示される。特に、2つのレーザダイオード60,70を用いる場合、互いのレーザ光による測定箇所の指示形態を適宜設定することにより、より精度の高い温度測定を行うことが可能となる。測定箇所の指示形態については後述する。
【0089】
また、本実施の形態においては、サーモパイル10とプリアンプ基板20とが近接して配置されている。これにより、サーモパイル10およびプリアンプ基板20間の配線を短くすることができる。それにより、サーモパイル10の微弱な出力信号がノイズの影響を受けにくくなる。その結果、CPU34は高い精度で測定対象物の温度を算出することができる。
【0090】
本実施の形態において、ヘッド部100AのヘッドケーシングK内では、サーモパイル10およびプリアンプ基板20を取り囲むように熱拡散部材90およびグランド導体面50Gが配置されている。また、熱拡散部材90とヘッドケーシングKとの間にはメイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70が配置されている。
【0091】
この場合、サーモパイル10と、メイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70との間に断熱層として働く空気層が存在するので、メイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70により発生された熱がサーモパイル10に伝達されにくくなる。
【0092】
また、メイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70から熱拡散部材90に伝達された熱は、熱拡散部材90により拡散される。これにより、サーモパイル10に熱が伝達されにくくなるとともに、ヘッドケーシングK内部の温度雰囲気がほぼ均一に保たれる。
【0093】
それにより、サーモパイル10への局所的な熱の伝達が防止されるとともに、サーモパイル10の内部温度と、サーモパイル10の周辺部材(例えば、サーモパイルホルダ110)の温度とをほぼ等しくすることができる。その結果、CPU34は高い精度で測定対象物の温度を算出することができる。
【0094】
このように、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、熱拡散部材90およびグランド導体面50Gの配置によりサーモパイル10への局所的な熱の伝達を防止することができるので、ヘッドケーシングK内に各構成部を互いに近接して配置することが可能となる。
【0095】
また、レーザダイオード60,70がヘッドケーシングK内で赤外線の通過路の周囲における空いたスペースに配置され、サーモパイル10に隣接しないのでサーモパイル10への局所的な熱の伝達がより防止される。さらに、レーザダイオード60,70を設けることによるヘッド部100Aの大型化を防止することができる。
【0096】
これらの結果、高い精度で測定対象物の温度を算出することが可能になるとともに、放射温度計100全体の小型化が実現される。
【0097】
(3)放射温度計のヘッド部の詳細構造
以下、本実施の形態に係る放射温度計100の具体的な構造および動作の詳細について説明する。
【0098】
図7〜図9は第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの詳細な構造を説明するための図であり、図10〜図16は図7のヘッド部100Aの組立て手順を説明するための斜視図である。
【0099】
図7(a)にヘッド部100Aの正面(前面)図が示され、図7(b)にヘッド部100Aの側面図が示されている。また、図8に図7(a)のA−A線における詳細断面図が示され、図9に図7(b)のB−B線における詳細断面図が示されている。なお、図7以降の図面においては、ヘッド部100Aに接続されるケーブル80の図示を省略している。
【0100】
本例のヘッド部100Aにおいては、図7(b)の側面図に示すように、ヘッドケーシングKの側面KS1,KS2の上部および下部にそれぞれ貫通孔KTが設けられている。これら貫通孔KTを用いてヘッド部100Aを所望の場所に取り付けることができる。
【0101】
図8に示すように、上面KUには、表示灯36の光を透過する孔部36Cが形成されている。前面KFの赤外線集光部KHは赤外線集光レンズ200Lにより構成され、レーザ出射部K60,K70はそれぞれレーザ用レンズカバーLCにより構成されている。
【0102】
図8および図9に示すように、ヘッドケーシングK内において、サーモパイル10はサーモパイルホルダ110により保持されている。サーモパイル10のサーモパイルホルダ110への取り付けは次のように行われる。
【0103】
図10に、サーモパイル10のサーモパイルホルダ110への取り付け状況が示されている。
【0104】
図10に示すように、サーモパイルホルダ110は筒状部111および固定用ブロック部112を有する。固定用ブロック部112は略直方体形状を有し、固定用ブロック部112のXZ平面に平行な一面からY方向に延びるように、筒状部111が一体形成されている。
【0105】
固定用ブロック部112には、サーモパイル収容孔112Hが設けられている。サーモパイル収容孔112Hは、筒状部111の内部空間と連通している。
【0106】
筒状部111の内周部には円環状の第1のスリット部材111Sが形成されている。筒状部111の第1のスリット部材111Sの前方側に円環状の第2のスリット部材112Sが取り付けられる。
【0107】
図8に示すように、第1のスリット部材111Sに形成された円形のスリット(孔)の径は、第2のスリット部材112Sに形成された円状のスリット(孔)の径に比べて小さい。第1のスリット部材111Sおよび第2のスリット部材112Sは、赤外線集光レンズ200Lにより集光される赤外線がサーモパイル10に入射されるように赤外線の経路を制限する。
【0108】
これにより、外部から赤外線集光レンズ200Lを介してヘッド部100A内に入射する赤外線が、ヘッド部100A内の種々の部材(サーモパイルホルダ110の内周面および後述のレンズホルダ)により反射してサーモパイル10の赤外線受光部11に入射することが防止される。その結果、測定対象物から直接放射された赤外線のみが赤外線受光部11に入射する。
【0109】
図10に示すように、固定用ブロック部112のサーモパイル収容孔112Hには、固定用リング120、サーモパイル10および固定用後部キャップ130が順に挿入される。これにより、図8に示すように、サーモパイル10がサーモパイルホルダ110内で固定される。
【0110】
サーモパイルホルダ110、第2のスリット部材112Sおよび固定用後部キャップ130は銅、銀、アルミニウム、鉄または金等の熱伝導率および電気伝導率の高い材料からなる。これにより、サーモパイル10の周囲を均一な温度に保つとともに、サーモパイル10の内部温度とサーモパイルホルダ110、第2のスリット部材112Sおよび固定用後部キャップ130の温度とをほぼ等しく均一とすることが可能となっている。
【0111】
それにより、サーモパイル10の周辺部材(サーモパイルホルダ110および第2のスリット部材112S等)から放射される赤外線が赤外線受光部11に入射する場合でも、CPU34はサーモパイル10の周辺部材の赤外線量をサーモパイル10の内部温度値に基づいて算出することができる。それにより、赤外線受光部11に入射する全ての赤外線量から、サーモパイル10の周辺部材の赤外線量を減算することができる。その結果、赤外線受光部11に入射される測定対象物からの赤外線量のみを正確に得ることが可能となっており、正確な測定温度値を得ることが可能となっている。
【0112】
また、サーモパイルホルダ110、第2のスリット部材112Sおよび固定用後部キャップ130が電気伝導率の高い材料により形成されているので、それぞれの部材を接地することにより、微弱な出力信号を発生するサーモパイル10を外部の電磁環境から電気的にシールドすることができる。
【0113】
また、上述のように、サーモパイル収容孔112Hには固定用リング120が挿入されている。したがって、固定用リング120の形状およびその材質を調整することにより、サーモパイルホルダ110からサーモパイル10への熱の伝達条件およびサーモパイル10と赤外線集光レンズ200Lとの距離を調整することが可能となっている。
【0114】
続いて、図8に示すように、サーモパイル10が取り付けられたサーモパイルホルダ110には、レンズホルダ200およびアンプ連結スペーサ140が装着される。
【0115】
サーモパイルホルダ110へのレンズホルダ200およびアンプ連結スペーサ140の装着は次のように行われる。
【0116】
図11にサーモパイルホルダ110へのレンズホルダ200およびアンプ連結スペーサ140の装着状況が示されている。また、図12にサーモパイルホルダ110へのレンズホルダ200およびアンプ連結スペーサ140の装着により完成する赤外線集光部の外観が示されている。さらに、図13に図12の赤外線集光部のC−C線断面図が示されている。なお、図13においては、理解を容易とするためレンズホルダ200の一部を点線で示している。
【0117】
図11に示すように、レンズホルダ200の前端には、レンズ固定リング210により赤外線集光レンズ200Lが取り付けられている。レンズホルダ200の外周面にはZ方向に突出するようにレーザ支持柱260(図8参照)およびレーザ支持柱270が形成されている。レーザ支持柱260はレーザダイオード60を支持し、レーザ支持柱270はレーザダイオード70を支持する。
【0118】
さらに、レンズホルダ200の後端には、ホルダ固定片201,202が形成されている。サーモパイルホルダ110の筒状部111にレンズホルダ200が装着される。これにより、サーモパイルホルダ110とレンズホルダ200とが固定される。
【0119】
サーモパイルホルダ110の後端面にはアンプ連結スペーサ140が取り付けられる。アンプ連結スペーサ140は、2つの基板保持部141,142を有する。この基板保持部141,142により、プリアンプ基板20が保持される(図8および図12参照)。これにより、赤外線集光部900が完成する。
【0120】
レンズホルダ200およびアンプ連結スペーサ140は、例えば、樹脂等の材料からなる。特に、熱伝導率の低い樹脂を用いた場合、レーザダイオード60,70により発生される熱がレンズホルダ200へ伝達しにくい。それにより、レーザダイオード60,70により発生される熱のサーモパイル10への伝達が低減される。
【0121】
赤外線集光部900においては、図13に示すように、サーモパイル10の複数の端子10Tとプリアンプ基板20との距離Jが短くなる。それにより、サーモパイル10の複数の端子10Tとプリアンプ基板20との間の配線長を短くすることができる。
【0122】
図8および図9に示すように、赤外線集光部900はメインフレーム300によりヘッドケーシングK内で固定される。メインフレーム300はメイン基板30および電源基板40を保持する。
【0123】
図14に、メインフレーム300への赤外線集光部900の取り付け、ならびにメインフレーム300へのメイン基板30および電源基板40の取り付け状況が示されている。
【0124】
図14に示すように、メインフレーム300は4つの支持部301,302,303,304および4つの保持部305,306,307,308により一体的に形成されている。4つの支持部301〜304は略正方形に連結され、各連結部に垂直に保持部305〜308がそれぞれ連結されている。
【0125】
支持部302および保持部305,306にメイン基板30が装着され、支持部304および保持部307,308に電源基板40が装着され、支持部303保持部306,307の間に赤外線集光部900のサーモパイルホルダ110が挿入される。
【0126】
赤外線集光部900のサーモパイルホルダ110は、支持部301〜304および保持部305〜308により囲まれた空間内に収容される。ここで、赤外線集光部900の基板保持部141,142(図11参照)は保持部305,308に取り付けられる。
【0127】
中継基板50はメインフレーム300により固定される。中継基板50は、ヘッドケーシングK内で、メインフレーム300に固定されたメイン基板30および電源基板40と電気的に接続される。
【0128】
なお、メインフレーム300によりメイン基板30、電源基板40および赤外線集光部900が固定された状態において、メイン基板30とプリアンプ基板20との間の電気的な接続は図示しないフレキシブル配線回路基板により行われる。
【0129】
メイン基板30、電源基板40、中継基板50、メインフレーム300および赤外線集光部900からなる組立て集合体はヘッドケーシングK内に収容される。この、組立て集合体のヘッドケーシングK内への収容時には、組立て集合体にさらに熱拡散部材90およびレーザダイオード60,70が取り付けられる。
【0130】
図15に、図14の組立て集合体のヘッドケーシングK内への収容状況が示されている。また、図16に、組立て集合体800に対するレーザダイオード60,70の取り付け状況が示されている。
【0131】
図15および図16に示すように、組立て集合体800にはレーザダイオード60,70が取り付けられる。組立て集合体800へのレーザダイオード60,70の取り付けは次のように行われる。
【0132】
レンズホルダ200のレーザ支持柱270の端面から延びるように突起部271が形成されている。図16(a)に示すように、突起部271に連結部材71を介してレーザ保持部材72が取り付けられる。
【0133】
連結部材71はX方向の孔部71XおよびZ方向の孔部71Zを有する。これにより、図16(b)に示すように、連結部材71は、レンズホルダ200の突起部271に矢印R1の方向へ回転可能に取り付けられる。
【0134】
レーザ保持部材72はレーザダイオード70およびレーザ用レンズ70Lを保持する。図16(a)に示すように、レーザ保持部材72には、X方向へ延びる突起部72Tが形成されている。
【0135】
これにより、図16(b)に示すように、レーザ保持部材72は、連結部材71の孔部71Xに矢印R2の方向へ回転可能に取り付けられる。その結果、レーザダイオード70により発生されるレーザ光の出射方向が容易に調整される。
【0136】
図16において、レンズホルダ200のレーザ支持柱260(図8参照)に取り付けられる連結部材61およびレーザ保持部材62は図示していないが、連結部材61およびレーザ保持部材62の構造は連結部材71およびレーザ保持部材72と同じである。したがって、レーザ支持柱260に対しても連結部材61およびレーザ保持部材62が、上記同様に取り付けられる。
【0137】
レーザダイオード60,70の取り付けられた組立て集合体800に上述の熱拡散部材90が装着される。
【0138】
図15の組立て集合体800において、メインフレーム300の支持部304と電源基板40との間には空間SDが存在し、メインフレーム300の支持部302とメイン基板30との間には空間SUが存在する。これら、空間SU,SDに熱拡散部材90の上面部90uおよび下面部90dの一部が挿入される。
【0139】
また、熱拡散部材90にはレーザ支持柱260,270に応じて切り欠きが設けられている。これにより、組立て集合体800への熱拡散部材90の装着時には、レンズホルダ200とレーザダイオード60,70との間に熱拡散部材90の上面部90uおよび下面部90dが配置される。
【0140】
これにより、組立て集合体800の上面側、下面側、背面側および一方の側面側が熱拡散部材90により覆われ、サーモパイルホルダ110とメイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70との間に熱拡散部材90が配置される。
【0141】
最後に、熱拡散部材90の取り付けられた組立て集合体800が2つの部材からなるヘッドケーシングKに収容される。ヘッドケーシングK内の上記の構成において、メイン基板30とレーザダイオード60との間の電気的な接続、ならびに電源基板40とレーザダイオード70との間の電気的な接続は図示しないフレキシブル配線回路基板により行われる。
【0142】
図17は、図8のレーザダイオード60,70による測定箇所の指示形態を示す図である。以下の説明において、ヘッド部100Aのレーザダイオード60,70からはそれぞれレーザ光L1,L2が出射される。
【0143】
例えば、図17(a)に示すように、測定箇所SPに対してレーザ光L1により測定箇所SPの上端を指示し、レーザ光L2により測定箇所SPの下端を指示する。この場合、使用者は測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。
【0144】
また、図17(b)に示すように、測定箇所SPの中心でレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定する。この場合、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができる。
【0145】
さらに、図17(c)に示すように、測定箇所SPの中心でレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定するとともに、レーザ光L1,L2を所定の広がり角で出射させる。この場合、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができるとともに、測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。
【0146】
本実施の形態に係る放射温度計100においては、図16に示すヘッド部100Aの構造により、レーザダイオード60,70から発生されるレーザ光L1,L2の出射方向を容易に調整することができる。なお、測定箇所SPの指示方法は、図17(a),(b),(c)の例に特に限定されない。
【0147】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る放射温度計は、以下の点で第1の実施の形態に係る放射温度計100と構成が異なる。なお、本実施の形態に係る放射温度計において、ヘッド部の外観形状は第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aと同じである。
【0148】
図18は第2の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部のYZ平面に沿った詳細断面図であり、図7(a)のA−A線における詳細断面図に相当する。図19は第2の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部のXZ平面に沿った詳細断面図であり、図7(b)のB−B線における詳細断面図に相当する。
【0149】
図18および図19に示すように、本実施の形態に係る放射温度計のヘッド部100Aにおいては、ヘッドケーシングKに内蔵される赤外線集光部900の構造が第1の実施の形態に用いられる赤外線集光部900の構造と異なる。以下、本実施の形態に用いられる赤外線集光部900の構造の詳細を説明する。
【0150】
図20は、第2の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部100Aに用いられる赤外線集光部900の組立て状況を示す図である。なお、以降の図面(図20〜図24)において、赤外線集光部900のアンプ連結スペーサ140(図18)およびプリアンプ基板20(図18)の図示は省略する。
【0151】
図20に示すように、サーモパイルホルダ410は前方筒状部411a、後方筒状部411bおよび固定用ブロック部412を有する。固定用ブロック部412は、Y方向に沿って略筒状に形成されている。固定用ブロック部412のXZ平面に平行な一面からY方向に延びるように、後方筒状部411bおよび前方筒状部411aが順に一体形成されている。
【0152】
固定用ブロック部412は、XZ平面に沿った断面において、Z方向における肉厚がX方向における肉厚よりも厚くなるように形成されている(図19参照)。固定用ブロック部412のZ方向における肉厚は、第1の実施の形態における固定用ブロック部112の肉厚よりも十分に厚く形成されている。
【0153】
一方、後方筒状部411bは、Y方向に沿って略筒状に形成され、固定用ブロック部412よりも小さな外径を有する。また、後方筒状部411bは、固定用ブロック部412と同様に、Z方向における肉厚がX方向における肉厚よりも厚くなるように形成されている。後方筒状部411bのZ方向における肉厚は、第1の実施の形態における筒状部111の肉厚よりも十分に厚く形成されている。
【0154】
他方、前方筒状部411aは、Y方向に沿って筒状に形成され、後方筒状部411bよりもさらに小さな外径を有する。また、前方筒状部411aは、その肉厚が均一となるように形成されている。
【0155】
本実施の形態においても、サーモパイルホルダ410は銅、銀、アルミニウム、鉄または金等の熱伝導率および電気伝導率の高い材料からなる。
【0156】
上述のように、本例のサーモパイルホルダ410はその肉厚が十分に厚く形成されているので、第1の実施の形態におけるサーモパイルホルダ110に比べて高い熱容量を有する。
【0157】
これにより、サーモパイルホルダ410にサーモパイル10が挿入された状態で、サーモパイル10の周囲をより均一な温度に保つとともに、サーモパイル10の内部温度と、後述するサーモパイル10の周辺部材の温度とをより等しく均一にすることが可能となる。その結果、サーモパイルホルダ410を用いることにより、より正確な測定温度値を得ることが可能となる。
【0158】
固定用ブロック部412には、サーモパイル収容孔412Hが設けられている。固定用ブロック部412は、前方筒状部411aおよび後方筒状部411bの内部空間と連通している。
【0159】
図20の矢印F1に示すように、固定用ブロック部412のサーモパイル収容孔412Hには、固定用リング420、サーモパイル10および固定用後部キャップ430が順に挿入される。
【0160】
また、図20の矢印F2に示すように、前方筒状部411aおよび後方筒状部411bの内部に、円環状の第1のスリット部材411Sおよび第2のスリット部材412Sが順に挿入される。また、前方筒状部411aのY方向における先端部には、円環状の第3のスリット部材413Sが取り付けられる。
【0161】
この状態で、サーモパイルホルダ410の前方筒状部411aにレンズホルダ500が取り付けられる。レンズホルダ500の先端には、赤外線集光レンズ200Lが取り付けられている。このレンズホルダ500は、Y方向における長さが第1の実施の形態において用いられるレンズホルダ200よりも短い。
【0162】
このようにして組立てられたサーモパイル10およびその周辺部材からなる集合体に、第1の実施の形態と同様にアンプ連結スペーサ140が取り付けられ、アンプ連結スペーサ140によりプリアンプ基板20が保持されることにより、赤外線集光部900が完成する(図18参照)。赤外線集光部900の内部構造の詳細を説明する。
【0163】
図21は第2の実施の形態に係る放射温度計の赤外線集光部900の側面図(X方向から見たYZ平面図)および正面図であり、図22は第2の実施の形態に係る放射温度計の赤外線集光部900の外観斜視図である。
【0164】
図23は図22の赤外線集光部900のD−D線断面図であり、図24は図23の点線Nにより示される部分の拡大断面図である。
【0165】
図21および図22に示すように、レンズホルダ500の後端にはホルダ固定片501,502が形成されており、レンズホルダ500はホルダ固定片501,502によりサーモパイルホルダ410の先端に固定されている。
【0166】
さらに、レンズホルダ500には、第1の実施の形態のレンズホルダ200と同様に、Z方向に突出するようにレーザ支持柱560およびレーザ支持柱570が形成されている。
【0167】
図23に示すように、前方筒状部411aおよび後方筒状部411bの内周面においては、固定用ブロック部412側から順に、スリット突起部411T、第1の節部411fおよび第2の節部412fが形成されている。
【0168】
スリット突起部411Tは、後方筒状部411bの内周面から、その中央に向かって突出し、円状のスリット(孔)を形成している。
【0169】
第1の節部411fには、第1のスリット部材411Sが取り付けられる。第2の節部412fには、第2のスリット部材412Sが取り付けられる。
【0170】
第3のスリット部材413S、第2のスリット部材412S、第1のスリット部材411Sおよびスリット突起部411Tにおける円状のスリット(孔)は、この順で小さく形成されている。
【0171】
また、固定用ブロック部412のサーモパイル収容孔412Hの前端部412aには、後方スリット部421Sが形成されている。後方スリット部421Sにおける円状のスリット(孔)は、スリット突起部411Tのスリットよりもさらに小さく形成されている。
【0172】
これら、第1のスリット部材411S、第2のスリット部材412S、第3のスリット部材413S、スリット突起部411Tおよび後方スリット部421Sは、赤外線集光レンズ200Lにより集光される赤外線がサーモパイル10に入射されるように赤外線の経路を制限する。
【0173】
このように、本実施の形態では、5つのスリットにより赤外線の経路を制限するので、外部から赤外線集光レンズ200Lを介してヘッド部100A内に入射する赤外線が、ヘッド部100A内の種々の部材により反射してサーモパイル10の赤外線受光部11に入射することが確実に防止される。その結果、測定対象物から直接放射された赤外線のみを確実に赤外線受光部11に入射させることができる。
【0174】
図24の拡大断面図に示すように、サーモパイル収容孔412Hにおいて、後方スリット部421Sの後部に取り付けられる固定用リング420は、略筒状に形成されている。固定用リング420は、その後端が内側にわずかに突出している。以下、この突出部を後端突出部420tと呼ぶ。
【0175】
サーモパイル10は、赤外線受光部11が固定された円形基台15の一面側に、円状の窓が形成された金属キャップ16が取り付けられた構造を有する。円形基台15の他面側からは、複数の端子10TがY方向に延びている。
【0176】
このような構造を有するサーモパイル10は、円形基台15と金属キャップ16との接続部分である円形基台15の全周に渡って鍔部10Rを有する(図24点線部および図20参照)。
【0177】
ここで、固定用後部キャップ430は、その内部にサーモパイル10を固定するための段差部432を有する。
【0178】
これにより、上述のように、サーモパイル収容孔412Hに固定用リング420、サーモパイル10および固定用後部キャップ430が順に挿入されると、鍔部10Rが、固定用リング420の後端突出部420tおよび固定用後部キャップ430の段差部432により挟まれた状態で固定される。
【0179】
サーモパイル10の金属キャップ16は、赤外線受光部11を覆うようにかつ近接して配置されている。したがって、赤外線受光部11の検出面側に位置する金属キャップ16の部分に温度変化が生じると、検出温度値に誤差が生じる場合がある。
【0180】
金属キャップ16の部分的な温度変化は、サーモパイル10を固定する固定用リング420と金属キャップ16との接触部に発生しやすい。
【0181】
本例の赤外線集光部900においては、固定用リング420とサーモパイル10との接触部が、円形基台15と金属キャップ16との接触部分である鍔部10Rに限定されている。これにより、赤外線受光部11の検出面側に位置する金属キャップ16の部分的な温度変化が防止され、検出温度値の誤差の発生が十分に防止される。
【0182】
ここで、サーモパイルホルダ410に一体形成されている後方スリット部421Sの円状のスリットは、金属キャップ16の円状の窓よりも小さく形成されている。
【0183】
上述のように、サーモパイル10は、固定用リング420および固定用後部キャップ430によりサーモパイルホルダ410の内部に確実に位置決めされる。これにより、金属キャップ16内の赤外線受光部11の前面KF(図7参照)側の視野角度が、金属キャップ16の窓の形状にかかわらず、後方スリット部421Sにより正確に設定される。
【0184】
第1の実施の形態と同様に、上記のように組立てられた赤外線集光部900は、メイン基板30、電源基板40、中継基板50およびメインフレーム300とともに組立て集合体としてヘッドケーシングK内に内蔵される。それにより、第2の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aが完成する(図18および図19参照)。
【0185】
本実施の形態においても、サーモパイルホルダ410は熱拡散部材90に接触しないように配置されている。それにより、サーモパイル10が挿入されたサーモパイルホルダ410と熱拡散部材90との間には空気層が存在する。この空気層は断熱層として働く。その結果、メイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70により発生された熱が熱拡散部材90を通じてサーモパイルホルダ410およびサーモパイル10に伝達されにくくなっている。
【0186】
また、本実施の形態では、第1のスリット部材411S、第2のスリット部材412S、第3のスリット部材413Sおよび固定用後部キャップ430も銅、銀、アルミニウム、鉄または金等の熱伝導率および電気伝導率の高い材料からなる。これにより、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様にサーモパイル10の周囲を均一な温度に保つことが可能となっている。
【0187】
上記のレンズホルダ500は、第1の実施の形態のレンズホルダ200と同様に、樹脂等の熱伝導率の低い材料からなる。これにより、レーザダイオード60,70により発生される熱がレンズホルダ500へ伝達しにくい。それにより、レーザダイオード60,70により発生される熱のサーモパイル10への伝達が低減される。
【0188】
以上、第1および第2の実施の形態に係る放射温度計100において、ヘッドケーシングKはケーシングに相当し、前面KFは第1の面に相当し、背面KBは第2の面に相当し、上面KUは第3の面に相当し、下面KDは第4の面に相当し、側面KS1は第5の面に相当し、側面KS2は第6の面に相当し、赤外線集光部KHは赤外線透過部に相当する。
【0189】
また、サーモパイル10は検出素子に相当し、第1の信号増幅部21および第2の信号増幅部22は第1の回路に相当し、プリアンプ基板20は第1の基板に相当し、CPU34を含む回路は第2の回路に相当し、メイン基板30は第2の基板に相当し、電源回路41を含む回路は第3の回路に相当し、電源基板40は第3の基板に相当する。
【0190】
さらに、熱拡散部材90および中継基板50のグランド導体面50Gは熱拡散部材に相当し、レーザダイオード60は第1の光源に相当し、レーザダイオード70は第2の光源に相当し、レーザ駆動回路37は第1の駆動回路に相当し、レーザ駆動回路43は第2の駆動回路に相当する。
【0191】
CPU34は制御回路に相当し、表示灯36は表示素子に相当し、サーモパイル10と熱拡散部材90との間、ならびにメイン基板30、電源基板40およびレーザダイオード60,70と熱拡散部材90との間の空気層は隙間に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】第1の実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。
【図2】図1のヘッド部のブロック図である。
【図3】図1の本体部のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の基本構造を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の基本構造を説明するための図である。
【図6】第1の一実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の基本構造を説明するための図である。
【図7】第1の一実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の詳細な構造を説明するための図である。
【図8】第1の一実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の詳細な構造を説明するための図である。
【図9】第1の一実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の詳細な構造を説明するための図である。
【図10】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図11】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図12】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図13】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図14】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図15】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図16】図7のヘッド部の組立て手順を説明するための斜視図である。
【図17】図8のレーザダイオードによる測定箇所の指示形態を示す図である。
【図18】第2の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部のYZ平面に沿った詳細断面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部のXZ平面に沿った詳細断面図である。
【図20】第2の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部に用いられる赤外線集光部の組立て状況を示す図である。
【図21】第2の実施の形態に係る放射温度計の赤外線集光部の側面図(X方向から見たYZ平面図)および正面図である。
【図22】第2の実施の形態に係る放射温度計の赤外線集光部の外観斜視図である。
【図23】図22の赤外線集光部のD−D線断面図である。
【図24】図23の点線Nにより示される部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0194】
10 サーモパイル
20 プリアンプ基板
21 第1の信号増幅部
22 第2の信号増幅部
30 メイン基板
34 CPU
36 表示灯
37,43 レーザ駆動回路
40 電源基板
41 電源回路
50 中継基板
50G グランド導体面
60,70 レーザダイオード
90 熱拡散部材
100 放射温度計
ヘッドケーシングK
KF 前面
KB 背面
KU 上面
KD 下面
KS1 側面
KS2 側面
KH 赤外線集光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
互いに対向する第1および第2の面ならびに互いに対向する第3および第4の面を有し、前記第1の面に前記測定対象物から放射される赤外線を透過する赤外線透過部を有するケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、前記赤外線透過部を透過した赤外線エネルギーを検出する検出素子と、
前記ケーシング内の前記第2の面と前記検出素子との間で前記第2の面に沿って設けられ、前記検出素子の出力信号を増幅する第1の回路が実装される第1の基板と、
前記ケーシング内の前記第3の面と前記検出素子との間で前記第3の面に沿って設けられ、前記第1の基板の前記第1の回路から与えられる信号に基づいて前記測定対象物の温度を算出する第2の回路が実装される第2の基板と、
前記ケーシング内の前記第4の面と前記検出素子との間で前記第4の面に沿って設けられ、前記第1および第2の回路へ電力を供給する第3の回路が実装される第3の基板と、
前記ケーシング内に設けられ、前記測定対象物へ光を出射する第1および第2の光源と、
前記ケーシング内に設けられる熱拡散部材とを備え、
前記ケーシング内に前記赤外線透過部から前記検出素子に赤外線を導く赤外線通路が形成され、
前記第1および第2の光源は、前記赤外線通路と前記第3および第4の面との間にそれぞれ配置され、
前記熱拡散部材は、前記赤外線通路と前記第1の光源との間、前記赤外線通路と前記第2の光源との間、前記検出素子および前記第1の基板と前記第2の基板との間、ならびに前記検出素子および前記第1の基板と前記第3の基板との間に配置されたことを特徴とする放射温度計。
【請求項2】
前記ケーシングは、互いに対向する第5および第6の面をさらに有し、
前記熱拡散部材は、前記検出素子、前記第1の基板および前記赤外線通路と前記第5の面との間、前記検出素子、前記第1の基板および前記赤外線通路と前記第6の面との間に配置されたことを特徴とする請求項1記載の放射温度計。
【請求項3】
前記熱拡散部材と前記検出素子および前記第1の基板との間、ならびに前記熱拡散部材と前記第2の基板、前記第3の基板、前記第1の光源および前記第2の光源との間に隙間が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の放射温度計。
【請求項4】
前記第2の回路は、前記第1の光源を駆動する第1の駆動回路と、前記第1の回路から与えられる信号に基づいて前記測定対象物の温度を算出するとともに、前記第1の駆動回路を制御する制御回路とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射温度計。
【請求項5】
前記第2の回路は、表示素子を含み、前記制御回路は算出された前記測定対象物の温度に基づいて前記表示素子を制御することを特徴とする請求項4記載の放射温度計。
【請求項6】
前記第3の回路は、前記第2の光源を駆動する第2の駆動回路を含み、
前記制御回路は、前記第2の駆動回路を制御することを特徴とする請求項4または5記載の放射温度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−215012(P2006−215012A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147242(P2005−147242)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】