説明

放射線および免疫サイトカインによる癌治療

本発明は、放射線治療後に免疫サイトカインを投与することによる腫瘍および癌細胞の治療法に関する。治療法のこの併用によって、照射部位および非照射部位において免疫応答を刺激することができ、このことは原発腫瘍部位から進展した癌細胞を根絶するのに有用である。加えて、最大耐用量よりも少ない量で免疫サイトカインを投与でき、それによって免疫サイトカイン療法に付随する副作用が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療後に免疫サイトカインを投与することによる腫瘍および癌細胞の治療法に関する。治療法のこの併用によって、照射部位および非照射部位において免疫応答を刺激することができ、このことは原発腫瘍部位から進展した癌細胞を根絶するのに有用である。加えて、この治療法によって、最大耐用量よりも少ない量で免疫サイトカイン、好ましくはNHS-IL2(D20T)およびNHS-IL12を投与でき、それによって免疫サイトカイン療法に付随する副作用が軽減される。
【背景技術】
【0002】
癌などの疾患の有効な治療には、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージおよびTリンパ球などの1以上のエフェクター細胞型によるロバストな免疫応答を必要とする。しかしながら、既存の癌療法、例えば、放射線治療および化学療法は急速に分裂する細胞を標的とし、そのため実際に免疫細胞を破壊する。加えて、腫瘍環境そのものが免疫抑制性である。
【0003】
現行の癌療法の免疫抑制効果と戦うために、放射線療法と併用したサイトカインIL-2の投与の研究がおこなわれてきた。Jacobs et al. (2005), Cancer Immunol. Immunother., 54:792-798; Everse et al. (1997), Int. J. Cancer, 72:1003-1007; Lam, et al. (1995), Journal of Immunotherapy, 18(1):28-34; and Jurgenliemk-Schulz et al., (1997), Radiation Oncology Investigations, 5:54-61. を参照のこと。特定のタイプの癌には一定の応答が見られたものの、多くの場合、腫瘍は完全には根絶されなかった。腫瘍が再発する場合もあると考えられる。加えて、特定のタイプの癌では、治療によって改善が見られなかった。さらにまた、IL-2は、体液が血管から漏れ出して、低血圧、呼吸困難および浮腫を引き起こす血管漏出症候群を含む重篤な副作用を生じることが知られている。従って、全身性免疫応答刺激を増強し、同時にその療法によって生じる副作用を最小化する改善が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、哺乳動物における腫瘍または癌細胞の増殖の抑制方法に関する。本方法は、腫瘍の照射に続いて免疫サイトカインを投与して、腫瘍増殖の抑制を容易にする免疫応答を増強することによって腫瘍または癌細胞の増殖を抑制する。本発明の実施の方法の一部は、腫瘍サイズの減少、転移の抑制、腫瘍再増殖の抑制、再発の抑制、平均進行時間の増加、平均生存期間の増加または、さらなる治療剤もしくは手術などの作業を含むことができる治療レジメンへの部分的もしくは完全な応答の促進を引き起こすことができる。本発明はさらに、本発明の免疫サイトカインの投与を認可するかまたは投与報酬を認可するためのヘルスケアビジネス方法にも関する。
【0005】
本発明はまた、腫瘍の照射に続いての、腫瘍増殖の抑制を容易にする免疫応答を増強する免疫サイトカインの使用による、腫瘍または癌細胞の増殖を抑制する免疫サイトカインの使用にも関する。本発明記載の免疫サイトカインの使用の一部は、腫瘍サイズの減少、転移の抑制、腫瘍再増殖の抑制、再発の抑制、平均進行時間の増加、平均生存期間の増加または、さらなる治療剤もしくは手術などの作業を含むことができる治療レジメンへの部分的もしくは完全な応答の促進を引き起こすことができる。
【0006】
一側面において、本発明は、すでに照射された腫瘍を有する哺乳動物(例えばヒト)に免疫サイトカインを投与することによる腫瘍または癌細胞の増殖抑制方法に関する。他の側面において、本発明は、複数部位に癌細胞を有する哺乳動物における全身性免疫応答の増強方法であって、部位のサブセットを照射した後、免疫サイトカインを投与することを含む前記方法に関する。この照射は照射部位および非照射部位の両方において免疫応答を増強する。
【0007】
他の側面において、本発明は、すでに照射された腫瘍を有する哺乳動物(例えばヒト)において腫瘍または癌細胞の増殖を抑制する免疫サイトカインの使用に関する。他の側面において、本発明は、複数部位に癌細胞を有する哺乳動物において全身性免疫応答を増強する免疫サイトカインの使用であって、部位のサブセットを照射した後の免疫サイトカインの使用を含む前記使用に関する。この照射は、照射部位および非照射部位の両方において免疫応答を増強する。
【0008】
他の側面において、本発明は、前もって照射された腫瘍または癌細胞を有する哺乳動物への免疫サイトカインの投与認可および投与報酬認可を含むヘルスケア方法に関する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、放射線(例えばγ線)投与量は、1日当たり少なくとも1Gy、少なくとも2Gyまたは少なくとも3Gyであった。特定の実施形態において、放射線投与量は、1日当たり1〜4Gy、1〜10Gy、1〜20Gy、2〜4Gy、2〜10Gy、2〜20Gy、3〜4Gy、310Gyまたは3〜20Gyである。
【0010】
本発明の方法および使用による放射線と免疫サイトカインを併用する治療の一利点は、低用量の免疫サイトカインを投与できる点であり、それによって副作用の可能性が軽減される。本発明の一実施形態において、免疫サイトカインの用量は、免疫サイトカインの最大耐用量未満の用量で投与されるかまたは使用される。他の実施形態において、免疫サイトカインは、最大耐用量の半分未満、3分の1未満、4分の1未満または10分の1未満の用量で投与されるかまたは使用される。他の実施形態において、免疫サイトカインは、場合により1以上の変異、例えばD20T変異を組み込んだインターロイキン-2を含む。さらに他の実施形態において、免疫サイトカインはインターロイキン-12を含む。
【0011】
放射線治療回数および放射線治療と免疫サイトカイン投与の間の期間は、本発明の方法または使用によって異なることができる。いくつかの実施形態において、14日を超えない期間の間、腫瘍は単一日のみに照射されるかまたは複数日に照射される。特定の実施形態において、その期間は6〜8日、4〜10日、2〜12日または1〜14日である。特定の実施形態において、免疫サイトカインは、その期間の終了の少なくとも2日、4日または6日後に投与される。他の実施形態において、免疫サイトカインは、腫瘍への最初の放射線投与の21日、18日、15日、12日または8日以内に投与される。一実施形態において、免疫サイトカインは、腫瘍への最初の放射線投与の少なくとも5日、7日、9日または12日後に投与される。
【0012】
本発明の実施形態は、既知の癌治療法と本発明の方法を併用することを含むことができる。いくつかの実施形態において、本方法はさらに、腫瘍の少なくとも一部を外科的に取り除くこと、さらなる治療剤を投与すること、または腫瘍を照射することを含む。
【0013】
本発明の他の実施形態は、既知の癌治療と併用して免疫サイトカインを使用することを含むことができる。いくつかの実施形態において、免疫サイトカインは、腫瘍の少なくとも一部が除去されており、前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物において、あるいはさらなる治療剤の使用と併用して使用できる。
【0014】
本発明の実施および使用の方法の一部は、上記で定義された条件の2以上を併用できる。例えば、一実施形態において、投与される放射線は、哺乳動物における癌細胞部位のサブセットのみに対して、少なくとも1Gy/日(例えば少なくとも2、少なくとも3、1〜4、1〜10、1〜20、2〜4、2〜10、2〜20、3〜4、3〜10、または3〜20Gy/日)である。免疫サイトカインは、最初の放射線投与の21日以内(例えば18日以内、15日以内、12日以内、または8日以内)に投与されるかまたは使用されることができ、最大耐用量の半量未満(例えば3分の1量未満、4分の1量未満、または10分の1量未満)で投与されるかまたは使用されることができる。他の実施形態において、投与される放射線は1Gy/日(例えば少なくとも2、少なくとも3、1〜4、1〜10、1〜20、2〜4、2〜10、2〜20、3〜4、3〜10、または3〜20Gy/日)であり、免疫サイトカインは、場合により、最大耐用量の半量未満(例えば3分の1量未満、4分の1量未満、または10分の1量未満)で最初の放射線投与の21日以内(例えば18日以内、15日以内、12日以内、または8日以内)に投与されるかまたは使用される。他の実施形態において、投与される放射線は少なくとも1つの1Gy/日(例えば少なくとも2、少なくとも3、1〜4、1〜10、1〜20、2〜4、2〜10、2〜20、3〜4、3〜10、または3〜20Gy/日)であり、免疫サイトカインは最大耐用量の半量未満で投与されるかまたは使用される。他の実施形態において、放射線は哺乳動物における癌細胞部位のサブセットのみに投与され、免疫サイトカインは、場合により、最大耐用量の半量未満(例えば3分の1量未満、4分の1量未満、または10分の1量未満)で最初の放射線投与の21日以内(例えば18日以内、15日以内、12日以内、または8日以内)に投与されるかまたは使用される。他の実施形態において、放射線は哺乳動物における癌細胞部位のサブセットのみに投与され、免疫サイトカインは、最大耐用量の半量未満(例えば3分の1量未満、4分の1量未満、または10分の1量未満)で投与されるかまたは使用される。他の実施形態において、免疫サイトカインは最初の放射線投与の21日以内(例えば18日以内、15日以内、12日以内、または8日以内)に、前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に投与されるかまたは使用され、免疫サイトカインは、最大耐用量の半量未満(例えば3分の1量未満、4分の1量未満、または10分の1量未満)で投与される。
【0015】
要約すれば、本発明は以下の実施形態に関する:
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、1日当たり少なくとも1Gy、好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gy/日の量で前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法。
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、1日当たり少なくとも1Gy、好ましくは2Gyの量で前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、腫瘍への最初の放射線投与の21日以内、好ましくは5〜21日以内に免疫サイトカインが投与される前記方法。
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、1日当たり少なくとも1Gy、好ましくは2Gyの量で前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、腫瘍への最初の放射線投与後21日以内、好ましくは5〜21日以内に、かつ照射完了または腫瘍最終照射治療後1〜6日目、好ましくは2〜5日目に免疫サイトカインが投与される前記方法。
【0016】
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、1日当たり少なくとも1Gy、好ましくは2Gyの量で前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、腫瘍への最初の放射線投与後21日以内、好ましくは5〜21日以内に、かつ照射完了または腫瘍最終照射治療後1〜6日目、好ましくは2〜5日目に、前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に、最大耐用量未満の免疫サイトカイン用量で、好ましくは最大耐用量の半分未満、最も好ましくは最大耐用量の3分の1未満または10分の1未満までもの免疫サイトカイン用量で免疫サイトカインが投与され、ここで最大耐用量が患者において重篤な副作用を引き起こす免疫サイトカイン用量と定義される前記方法。
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、複数の腫瘍細胞部位に1日当たり少なくとも1Gy、好ましくは2Gyの量で前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、部位のサブセットのみが前もって照射され、そして腫瘍への最初の放射線投与後21日以内、好ましくは5〜21日以内に、かつ照射完了または腫瘍最終照射治療後1〜6日目、好ましくは2〜5日目に、前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に、最大耐用量未満の免疫サイトカイン用量で、好ましくは最大耐用量の半分未満、最も好ましくは最大耐用量の3分の1未満または10分の1未満までもの免疫サイトカイン用量で免疫サイトカインが投与され、ここで最大耐用量が患者において重篤な副作用を引き起こす免疫サイトカイン用量と定義される前記方法。
【0017】
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、複数の腫瘍細胞部位で前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、部位のサブセットのみが前もって照射され、そして腫瘍への最初の放射線投与後21日以内、好ましくは5〜21日以内に、かつ照射完了または腫瘍最終照射治療後1〜6日目、好ましくは2〜5日目に免疫サイトカインが投与される前記方法。
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、少なくとも1Gy、好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gyの総量で、1回または分割して、単一日のみに患者の腫瘍細胞を照射し、次いで前記放射線終了後1〜21日目、好ましくは1〜6日目、より好ましくは2〜5日目に、単一日のみに免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法。
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、少なくとも1Gy、好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gyの総量で、1回または分割して、単一日のみに患者の腫瘍細胞を照射し、次いで複数日に免疫サイトカインを複数回投与するステップを含む前記方法において、初回投与が前記放射線の終了後1〜21日目、好ましくは1〜6日目、より好ましくは2〜5日目に行われ、第2投与および場合によりもっと先の投与が初回投与後1〜5日目、好ましくは1〜3日目に行われる前記方法。場合により、免疫サイトカインの前記複数回投与のもっと先の間隔を行うことができ、ここで各間隔は3〜12週間である。
【0018】
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、少なくとも1Gy好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gyの1日総量で、1回または分割して、14日を超えない期間の間、複数日に患者の腫瘍細胞を照射し、次いで単一日のみに免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、免疫サイトカインの投与が、腫瘍細胞の最初の照射後21日目までに、かつ前記複数回の放射線治療終了後1〜6日目、好ましくは2〜5日目に行われる前記方法。
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、少なくとも1Gy好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gyの1日総量で、1回または分割して、14日を超えない期間の間複数日に患者の腫瘍細胞を照射し、次いで複数日に免疫サイトカインを複数回投与するステップを含む前記方法において、最初の免疫サイトカイン投与が、腫瘍細胞の最初の照射後21日目までに、かつ前記複数回の放射線治療終了後1〜6日目、好ましくは2〜5日目に行われ、免疫サイトカインの第2投与および場合によりもっと先の投与が初回投与後1〜5日目、好ましくは1〜3日目に行われる前記方法。場合により、免疫サイトカインの前記複数回投与のもっと先の間隔を行うことができ、ここで各間隔は3〜12週間である。
【0019】
・好ましくは腫瘍増殖を抑制することによる腫瘍の治療法、またはこのような治療に使用する免疫サイトカイン、またはこのような治療のための医薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、
(i)少なくとも1Gy、好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gyの総量で、単一日のみに、1回または分割して患者の腫瘍細胞を照射し、
(ii)次いで、前記放射線終了後1〜21日目、好ましくは1〜6日目、より好ましくは2〜5日目に、単一日のみに免疫サイトカインを投与し;
(iii)次いで、放射線ステップ(i)(少なくとも1Gy、好ましくは2Gy、最も好ましくは2〜20Gyの総量で、単一日のみに、1回または分割して)の14日を超えないで、ステップ(ii)後1〜5日目に第2照射ステップを行い、
(iv)次いで、前記第2放射線終了後1〜21日目、好ましくは1〜6日目、より好ましくは2〜5日目に、単一日のみに、免疫サイトカインの第2投与を行う
ステップを含む前記方法。
【0020】
・上記の方法、使用または免疫サイトカインのいずれかによる、それぞれの方法、使用または免疫サイトカインであって、免疫サイトカイン用量が、前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物への最大耐用量未満で、好ましくは最大耐用量の半分未満、最も好ましくは最大耐用量の3分の1未満または10分の1未満までもであり、ここで最大耐用量が患者において重篤な副作用を引き起こす免疫サイトカイン用量と定義される前記それぞれの方法。
・前記免疫サイトカインのサイトカイン部分がIL2、IL2(D20T)またはIL12である、上記の方法、使用または免疫サイトカインのいずれかによるそれぞれの方法。
・免疫サイトカインがNHS-IL2(D20T)、NHS-IL2、NHS-IL12である、上記の方法、使用または免疫サイトカインのいずれかによるそれぞれの方法。
・腫瘍が複数の腫瘍細胞部位で前もって照射され、部位のサブセットのみが前もって照射された、上記の方法、使用または免疫サイトカインのいずれかによるそれぞれの方法。
・腫瘍の少なくとも一部が外科的に切除される、上記の方法、使用または免疫サイトカインのいずれかによるそれぞれの方法。
・放射線がγ線照射である、上記の方法、使用または免疫サイトカインのいずれかによるそれぞれの方法。
・複数部位に癌細胞を有する哺乳動物における全身性免疫応答の増強方法であって、部位のサブセットが照射された後、免疫サイトカインを投与するステップを含む前記方法において、放射線が照射部位および非照射部位の両方において免疫応答を増強し、照射および免疫サイトカイン投与の併用投与が上記のレジメンに従って行われる前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】放射線“R”および免疫サイトカイン“IC”を、間隔1-1隔ててそれぞれ単回投与で投与できる典型的な投与計画を示す図である。
【図2】放射線“R”が単一日のみに投与され、次いで複数日に免疫サイトカイン“IC”が投与される典型的な投与計画を示す図である。
【図3】放射線“R”が2以上の日に投与され、次いで免疫サイトカイン“IC”が単一日“IC1”のみに投与される典型的な投与計画を示す図である。
【図4】2以上の日に放射線“R”を投与でき、次いで以上の日に免疫サイトカイン“IC”を投与できる典型的な投与計画を示す図である。
【図5】2以上の日に放射線“R”を投与でき、次いで2以上の日に免疫サイトカイン“IC”を投与でき、照射期間終了“R2”前に免疫サイトカイン投与開始“IC1”を行うことができる典型的な投与計画を示す図である。
【図6】化学放射線療法+化学放射線療法+NHS-muIL12(白正方形)、EMD521873(白丸)、化学放射線療法単独(黒三角形)、NHS-muIL12単独(黒正方形)、EMD521873単独(黒丸)または対照治療(X)で治療された動物における経時的腫瘍サイズを示す図である。
【図7】化学放射線療法と免疫サイトカインNHS-IL12の併用(黒丸)、化学放射線療法とEMD521873の併用(白丸)、無治療(X)、化学放射線療法単独(白正方形)、EMD521873単独(白菱形)またはNHS-muIL12単独(白三角形)で治療された動物における経時的腫瘍サイズを示す図である。
【図8】化学放射線療法+EMD521873(白丸)、化学放射線療法単独(白三角形)、対照治療(X)またはEMD521873単独(白四角形)で治療された動物における経時的腫瘍サイズを示す図である。
【図9】1mg/kgのEMD521873+化学放射線療法(黒正方形)、5mg/kgのEMD521873+化学放射線療法(黒三角形)、15mg/kgのEMD521873+化学放射線療法(黒丸)、1mg/kgのEMD521873単独(白正方形)、5mg/kgのEMD521873単独(白三角形)、15mg/kgのEMD521873単独(白丸)、化学放射線療法単独(+)またはビヒクル単独(X)で治療された動物における経時的腫瘍サイズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、放射線および免疫サイトカイン投与を含み、免疫応答の増強およびその後の腫瘍増殖抑制をもたらす、1以上の腫瘍を有する哺乳動物のための併用療法を提供する。全身性免疫応答が活性化されるため、本発明の方法は、個々の腫瘍、複数の腫瘍(非照射腫瘍を含む)または転移の治療に有用である。放射線治療後に、最大耐用量より低い用量で免疫サイトカインを投与でき、低用量の免疫サイトカインの使用によって副作用の減少をもたらすことができるためこのことは有利である。
【0023】
放射線療法
本発明の方法によれば、癌を治療するために、免疫サイトカインと併用して放射線を投与できる。一般的には、放射線療法は、X線およびガンマ線などの高エネルギー粒子(波)のビームを用いて細胞内DNAに変異を導入することによって癌細胞を根絶する。癌細胞は正常細胞よりも急速に分裂するため、腫瘍組織は正常組織よりも放射線に感受性が高い。放射線量が、顕著な有害な副作用をもたらさず患者に許容されるものでありさえすれば、どんなタイプの放射線も患者に投与できる。適切なタイプの放射線療法は、例えば、電離放射線(例えば、X線、ガンマ線または高線エネルギー放射線)を含む。電離放射線は、イオン化、すなわち電子の獲得または損失を生じるのに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と定義される(例えば、米国特許第5,770,581号に記載されている)。臨床医は、放射線の効果を、少なくとも部分的に調節できる。標的細胞の最大暴露および毒性軽減のために、放射線量は好ましくは分割される。放射線は、腫瘍細胞の殺害を促進する放射線増感剤または放射線の有害作用から健常組織を保護する放射線防護剤(例えば、IL-1またはIL-6)と同時に投与できる。同様に、加熱、すなわち、高体温または化学療法は放射線に対する組織の感受性を高めることができる。
【0024】
放射線源は患者内に存在させることもできるし、患者外に存在させることもできる。外部放射線療法が最も一般的であり、一般的には、例えば、線形加速器を用い、皮膚を通して腫瘍部位に高エネルギー放射線ビーム(粒子ビーム)を当てることを含む。放射線ビームは腫瘍部位に制限されてはいるものの、正常な健常組織への暴露を避けることはほぼ不可能である。しかしながら、外部放射線は、通例、患者の認容性が良好である。
【0025】
他の例において、ガンマ線を用いて外部から患者に放射線が供給される。ガンマ線は、コバルト60などの放射性同位体の崩壊によって生じる。“ガンマナイフ(登録商標)”と呼ばれる治療法を用いれば、腫瘍組織のみを標的とするようにガンマ線の焦点をきつく絞ることができるので、健常組織はほとんど損傷を受けない。他方では、身体のより広い領域にわたって放射線を投与するためには、粒子加速器によって生成されるX線を用いることができる。
【0026】
内部放射線療法は、体内の腫瘍部位またはその付近に、ビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセルなどの放射線源を埋め込むことを含む。使用される放射線は、限定するものではないが、ヨウ素、ストロンチウム、リン、パラジウム、セシウム、イリジウム、リン酸塩またはコバルトなどの放射性同位体に由来する。このようなインプラントは治療後に除去することもできるし、不活性なまま体内に残すこともできる。内部放射線療法のタイプは、限定するものではないが、小線源治療、組織内照射および体腔内照射を含む。現在あまり一般的ではない方式ではあるが、内部放射線療法は、放射性物質に結合された腫瘍特異的抗体が患者に投与される放射線免疫療法などで用いる放射性同位体の生物学的担体を含む。この抗体は腫瘍抗原に結合し、それによって関連組織に放射線の1回量が効果的に投与される。
【0027】
放射線療法は、原発腫瘍の増殖を抑制するためのレジメンの構成要素として有用である(例えば、Comphausen et al. (2001) “Radiation Therapy to a Primary Tumor Accelerates Metastatic Growth in Mice,” Cancer Res. 61:2207-2211) を参照のこと)。放射線療法は、単独では転移を破壊し抑制するのに効果が低い可能性があるが、本明細書記載のように、免疫サイトカインと放射線とを併用することにより、放射線療法の局所および全身有効性を高めることができる。本発明の方法によれば、複数の腫瘍または癌細胞を有する哺乳動物の腫瘍または癌細胞のサブセットに放射線を投与できる。一実施形態において、腫瘍のサブセットは1つの腫瘍である。部位のサブセットが照射された後、免疫サイトカインが投与される。この照射は、免疫サイトカイン投与単独と比較して、照射部位および非照射部位において免疫応答を増強する。従って、本発明の方法は、癌細胞が1以上の腫瘍から体内の他の部位に進展した哺乳動物を治療するのに有効であることができる。
【0028】
放射線は免疫エフェクター細胞を殺すので、放射線の量およびタイミングは重要である。照射された腫瘍において、T細胞および樹状細胞は照射後直ちに減少する。しかしながら、T細胞レベルはベースライン値より高い値にリバウンドする。投与方法を問わず、全放射線量を1日のコースで投与できる。好ましくは、総量は分割され、数日にわたって投与される。従って、一般的に、放射線の1日量は、おおよそ3〜20Gy/日を含み、例えば、少なくとも2、少なくとも3、1〜4、1〜10、1〜20、2〜4、2〜10、2〜20、3〜4、3〜10、3〜20Gy/日を含む。1日量は単回投与で投与することもできるし、1日のコースで2以上に分けて“微小分割”量で投与することもできる。内部放射線源が用いられる場合、例えば、小線源治療または放射線免疫療法の場合、暴露時間は一般的には増加し、それに対応して放射線強度は低下する。
【0029】
本明細書において、“放射線の初回投与”は単回投与であることもでき、数日にわたった一連の照射の初回投与であることもできる。哺乳動物は、1以上のコースの放射線療法を前もって投与されることができるが、“初回投与”は、放射線の前回のコースのいずれからも時間が離れている。例えば、哺乳動物が月曜日、火曜日および水曜日に放射線を投与される場合、火曜日の投与は“初回投与”ではない。同様に、哺乳動物が、3週間にわたって毎月曜日、水曜日および金曜日に放射線を投与される場合、第1月曜日は“初回投与”であるが、第2および第3月曜日はそうではない。一般に、放射線の初回投与は、前もって7日以上放射線を投与されない(例えば、放射線の治療量、例えば少なくとも1Gyの量を投与されない)。
【0030】
本明細書において、照射“期間”は、放射線の1回の初回投与に続く、1以上のさらなる日数の放射線の投与を含む。放射線の追加投与は、連続日(例えば月曜日、火曜日、水曜日)、隔日(例えば月曜日、水曜日、金曜日)などに行うことができ、あるいは例えば週当たり2、3、4、5または6回行うこともできる。放射線の所定期間は、連続して7日間の放射線なしの日を含まない。逆に、7日間の中断後の放射線の通常投与の再開は、一般に、新しい“期間”の初めとして記録される。
【0031】
免疫サイトカイン
本明細書において、用語"免疫サイトカイン"は、(i)前もって選択された抗原、例えば細胞型特異的抗原に結合特異性を有し、それに結合できる抗体結合ドメインおよび(ii)一般的に癌細胞に対する殺細胞性免疫応答を誘導または刺激できるサイトカイン、の融合体を意味すると解される。前もって選択された抗原の例は、癌細胞上などの細胞表面抗原および、細胞と直接の関連のありなしにかかわらず、腫瘍微小環境に特徴的な他の抗原、例えば腫瘍の近くに分泌されるか、別なふうに放出されるか、沈着される可能性のある抗原;腫瘍の近くの細胞外膜と関連する抗原;あるいは、腫瘍と接触しているかつ/または浸潤している非悪性細胞と関連する抗原を含む。好ましい抗原は、腫瘍細胞に特徴的な標的抗原、例えば腫瘍特異抗原である。従って、免疫サイトカインは、in vivoで標的(一般的には細胞)にサイトカインを選択的に送達でき、そのためそのサイトカインは、標的細胞に対する局所免疫応答を媒介できる。例えば、免疫サイトカインの抗体構成要素が癌細胞(例えば固形腫瘍、特に約100mm3を超える大きな固形腫瘍)上の抗原に選択的に結合する場合、その免疫サイトカインは局所抗癌活性を発揮する。
【0032】
本明細書において、用語"抗体結合ドメイン"は、免疫グロブリンH鎖の少なくとも一部、例えば、細胞型などの前もって選択された抗原に結合できる免疫グロブリン可変領域を意味すると解される。抗体結合ドメインは、好ましくは、例えば、CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインもしくは少なくともCH3ドメインまたはそれらの1以上の部分を含む免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部もまた含む。さらにまた、例えば、免疫グロブリンL鎖可変領域および場合によりL鎖定常領域を含む免疫グロブリンL鎖に、共有結合または非共有結合のいずれかで免疫グロブリンH鎖が結合していることもできる。従って、抗体結合ドメインは、前もって選択された抗原に結合できる無傷の抗体もしくはそのフラグメントまたは一本鎖抗体を含むことができると考えられる。
【0033】
免疫サイトカインに関しては、当業者に公知の種々の方法で、サイトカインが抗体フラグメントに結合されることができると考えられる。例えば、好ましくは、融合タンパク質構築物中で、抗体結合部位はポリペプチド結合またはリンカーによってサイトカインに結合される。あるいは、抗体結合部位は、抗体結合部位およびサイトカイン内に存在するアミノ酸側鎖内の反応性基、例えばスルフヒドリル基によってサイトカインに化学結合されることができる。
【0034】
本明細書において、用語"サイトカイン"は、前もって選択された細胞型、例えば哺乳動物における癌細胞またはウイルス感染細胞に対する殺細胞性免疫応答を刺激または誘導できる任意のタンパク質もしくはペプチド、アナログまたはそれらの機能性フラグメントを意味すると解される。従って、種々のサイトカインが本発明の免疫サイトカインに組み込まれることができると考えられる。本発明の免疫サイトカインに組み込まれることができるサイトカインは、例えば、腫瘍壊死因子、インターロイキン、コロニー刺激因子およびリンホカインばかりでなく、当該技術分野で公知の他のサイトカインを含む。好ましい腫瘍壊死因子は、例えば、組織壊死因子α(TNF α)を含む。好ましいインターロイキンは、例えば、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)およびインターロイキン-18(IL-18)を含む。好ましいコロニー刺激因子は、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)を含む。好ましいリンホカインは、例えば、リンホトキシン(LT)を含む。他の有用なサイトカインは、IFN-α、IFN-βおよびIFN-γを含むインターフェロンを含み、これらのすべては、免疫学的効果ばかりでなく、その抗ウイルス活性とは独立して抗血管新生効果を有する。サイトカインの改変体もまた使用できる。例えば、免疫サイトカインのサイトカイン部分における変異は免疫サイトカインに改善された特性を付与できる。例えば米国特許第7,186,804号に開示されているように、野生型IL-2と比較してその高親和性受容体に対して改変IL-2の選択性を増したIL-2のD20T変異は、毒性が低下している。
【0035】
目的とする特定のサイトカインをコードする遺伝子は、新規にクローニングすることもできるし、入手可能な供給源から入手することもできるし、既知のヌクレオチド配列からの標準的なDNA合成によって合成することもできる。例えば、LTのDNA配列は既知であり(例えば、Nedwin et al. (1985) Nucleic Acids Res. 13: 6361 を参照のこと)、同様にIL-2の配列(例えば、Taniguchi et al. (1983) Nature 302: 305-318 を参照のこと)、GM-CSFの配列(例えば、Gasson et al. (1984) Science 266: 1339-1342 を参照のこと)およびTNFαの配列(例えば、Nedwin et al. (1985) Nucleic Acids Res. 13: 6361 を参照のこと)もまた既知である。
【0036】
好ましい実施形態において、免疫サイトカインは、従来の組換えDNA方法、すなわちキメラ免疫サイトカインをコードする核酸構築物を作製することによって製造される組換え融合タンパク質である。組換え抗体-サイトカイン融合タンパク質の構築は先行技術に記載されている。例えば、Gillies et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1428-1432; Gillies et al. (1998) J. Immunol. 160: 6195-6203;および米国特許第5,650,150号を参照されたい。好ましくは、本発明の免疫サイトカインをコードする遺伝子構築物は、5'-3'方向の、免疫グロブリンH鎖可変領域ドメインをコードするDNAセグメント、免疫グロブリンH鎖定常領域をコードするDNAセグメントおよびサイトカインをコードするDNAを含む。融合遺伝子は、融合遺伝子が発現される適切なレシピエント細胞中にトランスフェクトするための発現ベクターにアセンブルまたは挿入される。ハイブリッドポリペプチド鎖は、好ましくは、H鎖(VH)の免疫グロブリン可変領域およびL鎖(VL)の免疫グロブリン可変領域が結合して、前もって選択された抗原と結合する単一の完全部位を生じるように免疫グロブリンL鎖と結合される。好ましい実施形態において、免疫グロブリンH鎖と免疫グロブリンL鎖は、例えば鎖間ジスルフィド結合によって共有結合される。さらにまた、2つの免疫グロブリンH鎖を、その1つまたは両方をサイトカインに融合させて、例えば1以上の鎖間ジスルフィド結合によって共有結合させることができる。
【0037】
従って、本発明の方法は、WO99/29732、WO99/43713、WO99/52562、WO99/53958およびWO01/10912に開示されている免疫サイトカイン組成物および方法ならびに、結合領域に改変アミノ酸配列を有する抗体ベースの融合タンパク質を含む腫瘍を治療するための治療法に用いられる免疫サイトカインの抗腫瘍活性を増強するのに有用である。
【0038】
本発明の免疫サイトカインは、その構造の2つの側面によってキメラであると考えることができる。第一に、この免疫サイトカインは、所定のサイトカインに結合された、抗原結合特異性を有する免疫グロブリンH鎖を含む点でキメラである。第二に、本発明の免疫サイトカインは、それが免疫グロブリン可変領域(V)および免疫グロブリン定常領域(C)を含み、その両方が異なる抗体由来であるため、得られたタンパク質がV/Cキメラであるという意味でキメラであることができる。例えば、可変領域および定常領域は、異なる種から分離できる、天然に存在する抗体分子に由来できる。例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと。同様に、免疫グロブリン可変領域の一方または両方が、異なる種由来のフレームワーク領域(FR)配列および相補性決定領域(CDR)配列を含む構築物も含まれる。このような構築物は、例えば、Jones et al. (1986) Nature 321: 522-525, Verhoyen et al. (1988) Science 239: 1534-1535 ならびに米国特許第5,225,539号および第5,585,089号に開示されている。さらにまた、可変領域配列は、前もって選択された抗原に所望の親和性で結合する可変領域配列のスクリーニングライブラリー、例えば、ファージディスプレイライブラリーによって得ることが考えられる。ファージディスプレイライブラリーを作製し、スクリーニングする方法は、例えばHuse et al. (1989) Science 246: 1275-1281 and Kang et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 11120-11123 に開示されている。
【0039】
免疫サイトカインの免疫グロブリンH鎖定常領域ドメインは、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、IgG(Igγ)およびIgM(Igμ)と呼ばれる5つの免疫グロブリンクラスのいずれからも選択できる。しかしながら、IgGクラスからの免疫グロブリンH鎖定常領域が好ましい。さらにまた、免疫グロブリンH鎖は、当該技術分野でIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4と呼ばれているIgG抗体サブクラスのいずれに由来することもできることが考えられる。公知のように、各免疫グロブリンH鎖定常領域は、4つか5つのドメインを含む。ドメインは順次に次のとおりに名付けられている:CH1-ヒンジ-CH2-CH3-(-CH4)。CH4はIgMに存在し、IgMはヒンジ領域を持たない。H鎖ドメインのDNA配列は免疫グロブリンクラス間で交差相同性を有する。例えば、IgGのCH2ドメインは、IgAおよびIgDのCH2ドメインならびにIgMおよびIgEのCH3ドメインに相同性を示す。免疫グロブリンL鎖は、カッパ(κ)またはラムダ(λ)定常鎖のいずれかを有することができる。これらの免疫グロブリン領域の配列および配列のアラインメントは当該分野で公知である(例えば、Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest," U.S. Department of Health and Human Services, third edition 1983, fourth edition 1987, and Huck et al. (1986) Nuc. Acids Res. 14: 1779-1789 を参照のこと)。
【0040】
好ましい実施形態において、可変領域は、前もって選択された細胞表面抗原に特異的な抗体(癌細胞またはウイルス感染細胞などの罹患細胞と関連する抗原)に由来し、定常領域は、可変領域の供給源である抗体と同一であるかまたは異なる抗体からのCH1、CH2およびCH3ドメインを含む。本発明の実施において、免疫サイトカインの抗体部分は、好ましくは、被提供者において非免疫原性であるかまたは弱免疫原性である。従って、抗体部分は、できる限り被提供者と同じ種由来のものが好ましい。例えば、免疫サイトカインがヒトに投与される場合、定常領域ドメインは、好ましくはヒト由来である。例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと。さらにまた、免疫グロブリン可変領域が被提供者以外の種由来である場合、例えば、可変領域配列がマウス起源であり、被提供者がヒトの場合、可変領域は、好ましくは、前もって選択された抗原に結合特異性を有するが、なお対象とする宿主における免疫反応性を最小にするキメラ可変領域を作製するために、ヒトFR配列間に挿入されたマウスCDR配列を有するヒトFR配列を含む。このようなキメラ可変領域の設計および合成は、Jones et al. (1986) Nature 321: 522-525, Verhoyen et al. (1988) Science 239: 1534-1535 ならびに米国特許第5,225,539号および第5,585,089号に開示されている。ヒト化抗体-サイトカイン融合タンパク質であるKS-1/4抗EpCAM抗体-IL-12融合タンパク質のクローニングおよび発現ならびに確立された結腸癌転移を根絶するその能力については、Gillies et al. (1998) J. Immunol. 160: 6195-6203 に記載されている。
【0041】
サイトカインをコードする遺伝子は、インフレームで、直接に、またはリンカー、例えば(Gly4-Ser)3リンカーをコードするDNAのいずれかによって免疫グロブリン定常領域をコードする遺伝子(例えば、CH2またはCH3エクソン)の3'末端に結合される。特定の実施形態において、リンカーはタンパク質切断部位をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。この部位は、免疫グロブリン定常領域とサイトカインの間に挿入されるとき、標的部位におけるサイトカインのタンパク質分解放出を提供するように設計されることができる。例えば、プラスミンおよびトリプシンは、これらのプロテアーゼが接近できる部位でリジン残基およびアルギニン残基の後ろを切断することが公知である。多くの他の部位特異的エンドプロテアーゼとそれらが切断するアミノ酸配列が当該分野で公知である。好ましいタンパク質切断部位および、このような切断部位で作用するタンパク質分解酵素は米国特許第5,541,087号および第5,726,044号に開示されている。
【0042】
核酸構築物は、場合により、キメラ免疫グロブリン鎖の発現を調節するための、可変領域をコードする遺伝子の内因性プロモーターおよびエンハンサーを含むことができる。例えば、可変領域をコードする遺伝子は、リーダーペプチドと、L鎖のためのVJ遺伝子(連結(J)部分を有する、機能的に再配列された可変(V)領域)またはH鎖のためのVDJ遺伝子と、これらの遺伝子のための内因性プロモーターおよびエンハンサーとを含むDNAフラグメントとして作製できる。あるいは、可変領域をコードする遺伝子は、内因性調節因子を除いて作製し、これらの因子を提供する発現ベクター中で用いることもできる。
【0043】
可変領域遺伝子は、所望の抗体を産生する細胞から、標準的DNAクローニング手順によって作製できる。特定の機能的に再配列された可変領域のためのゲノムライブラリーのスクリーニングは、J領域DNA配列および下流の配列を含むDNAセグメントなどの適切なDNAプローブを用いて達成できる。適切なクローンの同定および確認は、クローニングされた遺伝子を配列決定し、完全長の正しくスプライスされたmRNAの対応する配列と配列を比較することによって行われる。
【0044】
標的抗原は、腫瘍細胞、癌細胞または他の新生物細胞の細胞表面抗原であることができる。適切な可変領域をコードする遺伝子は、一般に、免疫グロブリンを産生するリンパ系細胞株から得ることができる。例えば、腫瘍関連抗原またはウイルス抗原に特異的な免疫グロブリンを産生するハイブリドーマ細胞株は、当該分野で公知の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術によって作製できる(例えば、米国特許第4,196,265号を参照のこと)。これらの免疫グロブリン産生細胞株は、機能的に再配列された形の可変領域遺伝子の供給源を提供する。あるいは、可変領域配列は、前もって選択された抗原に所望の親和性で結合する可変領域配列のスクリーニングライブラリー、例えば、ファージディスプレイライブラリーによって得ることができる。ファージディスプレイライブラリーを作製し、スクリーニングする方法は、例えば、Huse et al. (1989) Science 246: 1275-1281 and Kang et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 11120-11123 に開示されている。
【0045】
機能的に活性な可変領域遺伝子をコードするDNAフラグメントは、所望の定常領域(またはその部分)をコードする遺伝子を含むDNAフラグメントに結合される。免疫グロブリン定常領域(H鎖およびL鎖)は、標準的な遺伝子クローニング技術によって抗体産生細胞から得ることができる。ヒトL鎖に属する2つのクラス(κおよびλ)ならびにヒトH鎖に属する5つのクラス(α、δ、ε、γおよびμ)の遺伝子はクローニングされており、従ってヒト起源の定常領域はこれらのクローンから容易に入手できる。
【0046】
ハイブリッド免疫グロブリンH鎖をコードする融合遺伝子は、レシピエント細胞中に取り込むための発現ベクターにアセンブルまたは挿入される。遺伝子構築物のプラスミドベクターへの導入は、標準的な遺伝子スプライシング手順によって達成されることができる。キメラ免疫グロブリンH鎖は、対応する免疫グロブリンL鎖と、同一細胞中で同時発現させることができるので、完全な免疫グロブリンが発現され、同時にアセンブルされることができる。この目的のために、H鎖構築物とL鎖構築物を同一ベクター中に配置することもできるし、異なるベクター中に配置することもできる。
【0047】
レシピエント細胞株は一般にリンパ系細胞である。好ましいレシピエント細胞は骨髄腫(またはハイブリドーマ)である。骨髄腫は、トランスフェクトされた遺伝子によりコードされる免疫グロブリンを合成し、アセンブルし、分泌することができ、かつタンパク質をグリコシル化できる。典型的なレシピエントまたは宿主細胞は、Sp2/0骨髄腫(通常は内因性免疫グロブリンを産生しない)およびマウス骨髄腫NS/0細胞を含む。トランスフェクトされたとき、細胞はトランスフェクトされた遺伝子構築物によりコードされる免疫グロブリンのみを産生する。トランスフェクトされた骨髄腫は、培養物中で増殖させることもできるし、マウスの腹膜中で増殖させることもできるが、ここでは分泌される免疫サイトカインは腹水から回収されることができる。Bリンパ球などの他のリンパ系細胞をレシピエント細胞として用いることができる。チャイニーズハムスター卵巣細胞などの非リンパ系レシピエント細胞もまた使用できる。
【0048】
キメラ免疫グロブリン鎖をコードする核酸構築物を含むベクターでリンパ系細胞をトランスフェクトするためには、いくつかの方法がある。例えば、スフェロプラスト融合によってリンパ系細胞にベクターを導入できる(例えば、Gillies et al. (1989) Biotechnol. 7: 798-804 参照)。他の有用な方法は、エレクトロポレーションまたはリン酸カルシウム沈殿法を含む(例えば、Sambrook et al. eds (1989) "Molecular Cloning: A Laboratory Manual," Cold Spring Harbor Press 参照)。
【0049】
免疫サイトカインを製造する他の有用な方法は、構築物をコードするRNA配列を作製し、適切なin vivoまたはin vitro発現系でそれを翻訳することを含む。抗体-サイトカイン融合タンパク質をコードする遺伝子を合成し、宿主細胞にその遺伝子を導入し、宿主においてその遺伝子を発現させ、得られた融合タンパク質を採取する組換えDNA法は公知であり、当該技術分野で文書による十分な裏付けがあると考えられる。具体的なプロトコルは、例えば、Sambrook et al. eds (1989) "Molecular Cloning: A Laboratory Manual," Cold Spring Harbor Press に記載されている。
【0050】
当業者に公知の種々の方法を用いて化学結合した免疫サイトカインを製造できることは言うまでもない。例えば、抗体または抗体フラグメントおよびサイトカインにおける化学反応性アミノ酸側鎖を用いて、抗体または抗体フラグメントをサイトカインに化学結合させることができる。アミノ酸側鎖は、例えばジスルフィド結合によって共有結合されることもできるし、あるいは例えば、N-スクシンイミジル3(-2-ピリジルジチオ)プロピオナート、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシナートエステル、n7-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステルおよび1,4-ジ-[3'(2'-ピリジルチオ)プロピオンアミド]ブタンを含むホモまたはヘテロ二官能性架橋試薬によっても共有結合されることができ、これらはすべてPierce社(イリノイ州ロックフォード)から市販されている。
【0051】
本発明の方法に用いられる組成物は、任意の適切な手段で、直接に(例えば、注入、移植または組織軌跡への局所投与など局所に)または全身に(例えば、非経口または経口で)哺乳動物に提供できる。組成物が非経口で、例えば静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内、頬内、直腸内、膣内、眼窩内、脳内、頭蓋内、髄腔内、脳室内、鞘内、大槽内、嚢内、鼻腔内に、またはエアゾール投与で提供される場合、組成物は、好ましくは、水性の、または生理学的に適合した流体の懸濁液または溶液の部分を含む。一般に、製剤は当業者に明らかであり、かつ/または当業者によってルーチンに開発される。
【0052】
一投与当たりの免疫サイトカインの好ましい用量は、最大耐用量未満である。例えば、免疫サイトカインは、最大耐用量の半量未満、3分の1量未満、4分の1量未満、または10分の1量未満で投与されることができる。最大耐用量(MTD)は、ある物質が許容される毒性レベルで投与されることができる最大用量である。最大耐用量で投与される物質は、許容される毒性レベルではあるが、なお不快な副作用を生じる恐れがある。免疫サイトカインによって引き起こされる副作用は、サイトカイン単独によって引き起こされる副作用よりもはるかに軽い。しかしながら、種々の免疫サイトカインの使用による、発熱、吐き気、血管漏出および低血圧を含む望ましくない副作用が報告されている。本発明の方法は、最大耐用量より低い用量での免疫サイトカインの効果的使用を可能にし、このことは、副作用の頻度がより少ないという利点を有する。一般に、投与量は、使用される免疫サイトカインおよび他の臨床パラメータに基づいて変化するが、特定の実施形態において、投与量は、免疫サイトカイン0.01mg/kg〜20mg/kであり、例えば、少なくとも0.03〜15mg/kg、0.03〜6mg/kg、0.03〜1.5mg/kg、0.03〜0.6mg/kg、0.5〜20mg/kg、0.5〜15mg/kg、0.5〜10mg/kg、0.5〜6mg/kg、0.5〜5mg/kg、または0.5〜1.5mg/kgである。免疫サイトカインの投与量は、治療の間変化しうる。例えば、サイトカインは、数日間、数週間または数ヶ月間、低用量、高頻度で投与され、その後、数日間、数週間または数ヶ月間、高用量、低頻度で投与されることができる。例えば、週3日、3週間連続で約0.0375〜0.6mg/kgの用量が投与され、次いで、それに続く3週間、週1日、用量を約0.0375〜1.5mg/kgに上げて投与されることができる。
【0053】
免疫サイトカインの投与は、間欠的ボーラス注射によるか、あるいは外部リザーバー(例えば、静注バッグから)または内部(例えば、生分解性インプラント)からの持続静脈内または腹腔内投与によることができる。しかしながら、免疫サイトカインと放射線の最適の組み合わせ、投与方法および用量は、十分に当業者のレベル内のルーチン試験によって決定できると考えられる。
【0054】
放射線は免疫エフェクター細胞を殺すことができる。例えば、照射された腫瘍におけるT細胞および樹状細胞は、照射後直ちに減少する。しかしながら、次いで、T細胞レベルはベースライン値より高い値にリバウンドする。従って、放射線治療に対する免疫サイトカイン用量および投与計画は重要である。放射線治療後の免疫エフェクター細胞のリバウンドが、免疫サイトカインの投与の免疫刺激作用と同時に起こるように投与が予定されることが好ましい。
【0055】
一実施形態において、免疫サイトカインは放射線治療中に投与される。好ましい実施形態において、免疫サイトカインは放射線治療後に投与される。放射線治療中の、または好ましくは放射線治療後の免疫サイトカインの投与は、相乗的な抗腫瘍効果をもたらす。放射線治療前の免疫サイトカインの投与は、放射線治療後に免疫サイトカインが投与されるときに見られる相乗的な抗腫瘍効果を生じることができない恐れがある。同様に、放射線治療の終了に引き続いて免疫サイトカインの投与が行われるときに見られる相乗効果と比較して、免疫サイトカイン投与開始後5日間を超えて放射線治療を伸ばすことにより、相乗効果を低下させる恐れがある。理論に拘束されるものではないが、免疫サイトカイン投与後、または場合によっては投与中に放射線治療が行われるとき、放射線の最初の免疫抑制効果によって、免疫サイトカイン投与の免疫刺激作用が鈍化する恐れがある。他方では、免疫サイトカイン投与は、放射線治療後、相乗効果を減少させるまでに遅れて行われてはならない。
【0056】
図1に示す典型的な投与計画に示されるように、放射線および免疫サイトカインは、それぞれ単回投与で投与されることができる。図1について言えば、放射線“R”は、“R1”日目に単回投与で投与される。間隔1-1(時間数または日数で示すことができる)後、“IC1”日目に免疫サイトカイン“IC”が単回投与で投与される。好ましくは、放射線と免疫サイトカインの投与の間隔(間隔1-1)は0〜21日である。例えば、間隔(間隔1-1)は、1〜21日、または2〜21日、または2〜14日などであることができる。その後、適切な間隔で、例えば、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、11週間ごと、12週間ごとなどに免疫サイトカインの単回投与が投与されることができる。典型的な投与計画は次のとおりであることができる。1日目に、放射線の単回投与が投与され、4日目に、免疫サイトカインの治療サイクルが開始され、ここで免疫サイトカインは単回投与、3週間隔で投与される。適切な治療サイクル数(例えば5〜10)の後、投与間隔は例えば12週間隔まで増加される。
【0057】
他の実施形態において、図2に示すように、放射線は単一日のみに投与され、次いで複数日に免疫サイトカインが投与される。図2について言えば、放射線“R”は、単回投与で“R1”日目に投与される。間隔2-1(時間数または日数で示すことができる)後、“IC1”日目に免疫サイトカイン“IC”の投与が開始される。“IC2”目に投与が終了するまで、毎日、隔日に、3日ごとに、隔週に、毎週、連続的に、または任意の他の適切なスケジュールで免疫サイトカインを投与できる。例えば、免疫サイトカインを、毎日1回、2日連続、3日連続、4日連続などで投与できる。好ましくは、放射線投与と免疫サイトカイン投与開始の間の間隔(間隔2-1)は、0〜21日(例えば1〜21日、2〜21日、2〜14日など)である。その後、適切な間隔、例えば2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、11週間ごと、12週間ごとなどに免疫サイトカインを投与できる。典型的な投与計画は次のとおりであることができる。1日目に、放射線の単回投与が投与され、4日目に、免疫サイトカインの治療サイクルが開始され、ここで免疫サイトカインは、毎日1回、3日連続、3週間隔で投与される。適切な治療サイクル数(例えば5〜10)の後、投与間隔は例えば12週間隔まで増加される。
【0058】
さらに他の実施形態において、図3に示すように、放射線“R”は複数日にわたって投与され、次いで免疫サイトカイン“IC”の投与は単一日“IC1”のみに行われる。放射線は、好ましくは、14日(例えば4〜10日)を超えない期間の間(間隔3-1)投与される。“R2”日目に投与が終了するまで、毎日、隔日に、3日ごとに、連続的に、または任意の他の適切なスケジュールで放射線を投与できる。例えば、3日連続、4日連続、5日連続などで放射線を投与できる。免疫サイトカインの投与は、放射線治療開始“R1”の少なくとも5日後(間隔3-2)、例えば、5日後、6日後などに行うことができる。放射線治療終了“R2”と免疫サイトカイン投与の間の間隔(間隔3-3)は、0日以上、例えば1日、2日などであることができる。好ましくは、放射線治療終了“R2”と免疫サイトカイン投与“IC1”の間の間隔(間隔3-3)は、少なくとも2日、例えば、2日、3日などである。その後、適切な間隔、例えば、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、11週間ごと、12週間ごとなどに免疫サイトカインの単回投与が投与されることができる。典型的な投与計画は次のとおりであることができる。-7日目〜-3日目に、5日連続(-7日目、-6日目、-5日目、-4日目および-3日目)で放射線の分割量が投与され、1日目(3日後)に免疫サイトカインの治療サイクルが開始され、ここで単回投与、3週間隔で免疫サイトカインが投与される。適切な治療サイクル数(例えば5〜10)の後、投与間隔は例えば12週間隔まで増加される。
【0059】
他の実施形態において、図4に示すように、2以上の日に放射線“R”を投与でき、次いで2以上の日に免疫サイトカイン“IC”を投与できる。好ましくは、放射線は、14日(例えば4〜10日)を超えない期間の間(間隔4-1)投与される。“R2”日目に投与が終了するまで、毎日、隔日に、3日ごとに、連続的に、または任意の他の適切なスケジュールで放射線を投与できる。例えば、3日連続、4日連続、5日連続などで放射線を投与できる。免疫サイトカインの投与開始は、放射線治療開始の少なくとも5日後(間隔4-2)、例えば、5日後、6日後などに行うことができる。免疫サイトカインの投与開始は、放射線治療終了の少なくとも1日後(間隔4-3)であることができる。好ましくは、放射線治療終了“R2”と免疫サイトカイン投与開始“IC1”の間の間隔(間隔4-3)は、少なくとも2日、例えば、2日、3日などである。“IC2”日目に投与が終了するまで、毎日、隔日に、3日ごとに、隔週に、毎週、連続的に、または任意の他の適切なスケジュールで免疫サイトカインを投与できる。例えば、免疫サイトカインを、毎日1回、2日連続、3日連続、4日連続などで投与できる。その後、適切な間隔、例えば、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、11週間ごと、12週間ごとなどで免疫サイトカインが投与されることができる。典型的な投与計画は次のとおりであることができる。-7日目〜-3日目に、5日連続で放射線の分割量が投与され、1日目に免疫サイトカインの治療サイクルが開始され、ここで毎日1回、3日連続、3週間隔で免疫サイトカインが投与される。適切な治療サイクル数(例えば5〜10)の後、投与間隔は例えば12週間隔まで増加される。
【0060】
他の実施形態において、図5に示すように、2以上の日に放射線“R”を投与し、次いで2以上の日に免疫サイトカイン“IC”を投与できる。R2日目に投与が終了するまで、毎日、隔日に、3日ごとに、連続的に、または任意の他の適切なスケジュールで放射線を投与できる。放射線投与開始“R1”と免疫サイトカイン投与開始“IC1”の間の間隔(間隔5-1)は、好ましくは14日(例えば4〜10日)を超えない。放射線投与期間終了“R2”前に免疫サイトカイン投与開始“IC1”を行うことができる。IC2日目に投与が終了するまで、毎日、隔日に、3日ごとに、隔週に、毎週、連続的に、または任意の他の適切なスケジュールで免疫サイトカインを投与できる。
【0061】
これらの実施形態は放射線コースに続く免疫サイトカイン投与を含む1回の治療を記載しているが、必要に応じてこの治療を繰り返すことができると考えられる。例えば、治療の第2ラウンドにおいて、前記放射線を同一もしくは異なる腫瘍部位に投与でき、かつ/または前記免疫サイトカインもしくは異なる免疫サイトカインを続いて投与できる。
【0062】
他の治療法との併用
患者において所望の生物学的作用を達成するために、本発明の方法は、他の治療剤または治療法と併用して行うことができる。一実施形態において、医薬組成物は腫瘍の外科的切除の前、最中または後に投与される。周辺組織への腫瘍組織の浸潤および腫瘤の不明瞭な境界によって、腫瘍組織の完全な外科的切除は多くの場合困難である。本明細書記載のように、発明の方法を用いる腫瘍の治療によって腫瘍縮小が得られ、それにより切除が容易になる。さらに、本発明の方法の術後のパフォーマンスによって残存腫瘍細胞を除去できる。
【0063】
外科的切除と同様に、化学療法は大部分の癌のタイプの標準治療である。従って、発明の方法は、化学物質ベースの療法と並行して、またはその前に、またはその後に行うことができる。一般的な化学療法剤は、限定するものではないが、アドリアマイシン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、カペシタビン、クロラムブシル、シタラビン、シクロホスファミド、カンプトテシン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フロックスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メルファラン(meplhalan)、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニトロソウレア(nitrosurea)、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、タクソール、トランスプラチン(transplatinum)、5-フルオロウラシルなどを含む。
【0064】
本発明の方法は、疾患の治療のために体内のホルモンレベルを操作するホルモン療法とともに行うことができる。多くの癌は、体内でホルモンレベルによって何らかの影響を受けるが、そのようなものとして、ホルモン療法と関連する典型的な治療薬、例えばタモキシフェンは、循環ホルモンレベルを低下させる、かつ/またはホルモン受容体へのホルモンの結合を阻害するように作用する。
【0065】
本発明の方法は、モノクローナル抗体、例えば、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(エルビタックス)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、イブリツモマブ(ゼヴァリン)、マツズマブおよびリツキシマブ(リツキサン)の投与と併用して行うことができる。モノクローナル抗体は種々の機構で作用する。例えば、モノクローナル抗体は、特定の腫瘍タンパク質に結合して、腫瘍部位に免疫細胞を誘引できる。あるモノクローナル抗体は、さもなければ腫瘍が増殖し、進展する増殖シグナルを阻害することによって作用する。他のモノクローナル抗体は、放射性粒子または化学療法薬に結合され、癌細胞に特異的に放射線または薬物を送達するように作用する。
【0066】
標的組織
本発明の方法によって治療される腫瘍および癌細胞のタイプは、全てのタイプの固形腫瘍を含み、例えば以下のタイプの癌:肺癌、頭頸部扁平上皮細胞癌(SCCHN)、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、食道癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、腎癌、リンパ腫および黒色腫と関連する固形腫瘍を含む。腫瘍は、口腔・咽頭、消化器系、呼吸器系、骨と関節(例えば、骨転移)、軟組織、皮膚(例えば、黒色腫)、乳房、生殖器系、泌尿器系、眼球および眼窩、脳および神経系(例えば、神経膠腫)、または内分泌系(例えば、甲状腺)の癌と関連する(すなわち、そこに位置する)ことができ、必ずしも原発腫瘍である必要はない。口腔と関連する組織は、限定するものではないが、舌および口腔組織を含む。癌は、例えば、食道、胃、小腸、結腸、直腸、肛門、肝臓、胆嚢および膵臓を含む消化器系組織において発生しうる。呼吸器系癌は、喉頭、肺および気管支を冒す場合があり、例えば、非小細胞肺癌を含む。腫瘍は、子宮頸部、子宮体、卵巣 外陰、膣、前立腺、精巣および陰茎(雌雄の生殖系を構成する)ならびに膀胱、腎臓、腎盂および尿管(泌尿器系を構成する)において発生できる。
【0067】
腫瘍は任意のステージのものであることができ、他の療法の対象であることもできる。本発明の方法は、癌治療の他の形に耐性を示すことが明らかになった腫瘍の治療(すなわち、腫瘍細胞の破壊または腫瘍サイズの減少)に有用である。腫瘍はまた、任意のサイズのものであることができる。理論的に言えば、ヒトの癌の治療において、本発明の方法は、腫瘍増殖速度の低下、癌(腫瘍)細胞死および/または腫瘍サイズの減少をもたらす。例えば、支持細胞、新生血管、繊維性マトリックスなどの存在により、実質的に腫瘍サイズが減少することなく腫瘍細胞死が起こりうることは明らかであろう。従って、腫瘍サイズの減少は好ましいものの、癌の治療に必要とは言えない。
【0068】
好ましくは、発明の方法は、腫瘍サイズを少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、15%、20%、または25%)減少する。より好ましくは、腫瘍サイズは、約30%(例えば、少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、60%または65%)減少される。よりさらに好ましくは、腫瘍サイズは、少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、または95%)減少される。最も好ましくは、腫瘍は完全に除去される。しかしながら、本明細書に記載されているように、腫瘍サイズの減少は、好ましいものの、必要とは言えない。必要なのは、腫瘍増殖速度の低下だけである。例えば、腫瘍は、その増殖速度を低下させ、完全に増殖を停止し、縮小し、または完全に除去されることができる。腫瘍増殖速度のどのような低下も、治療効果を得るのに十分である。
【0069】
有効性評価
本発明の方法の有効性はいくつかの方法で測定できる。例えば、治療の有効性を測定するために、腫瘍サイズ、再発、生存および免疫応答開始(例えば、遺伝子、プロテオミクスまたは細胞のプロファイリングを用いて)の測定を用いることができる。本発明の方法の有効性をモニターするために、治療前、治療中および治療後に測定を行うことができる。患者の治療期間を通じて本方法の有効性をモニターできる。あるいは、免疫サイトカインおよび放射線および場合により他の癌治療のどの併用が、最も効果的に相乗的に作用して定着腫瘍または癌細胞の免疫性破壊を増強するかを試験するために、当業者は、以下の実施例セクションに記載の動物モデルまたは他の適切な動物モデルを用いることができる。さらにまた、新規免疫サイトカインが同定されたとき、当業者は、放射線の抗癌効果を増強する新規免疫サイトカインの潜在性を評価するために、有効性に関するこれらの基準を用いることができると考えられる。
【0070】
本発明の方法の有効性を評価するために、再発、生存および腫瘍サイズをモニターできる。当該技術分野で公知の統計分析を用いて再発および生存を評価できる。内視鏡検査、放射線イメージング(X線を含む)、X線コンピュータ断層撮影法(CT)スキャン、核磁気共鳴イメージング(MRI)および核イメージングを含む当該技術分野で公知のいくつかのイメージング法を用いてヒト患者における腫瘍サイズをモニターできる。動物モデルにおける腫瘍増殖に対する本療法の効果は、イメージング法によってもモニターできるし、キャリパー測定または体積測定によってもモニターできる。
【0071】
本発明の方法の有効性は、免疫応答が刺激されたかどうかを測定することによっても測定できる。免疫応答の開始は種々の方法を用いて測定できる。一例において、免疫機能に重要な遺伝子が本発明の方法によって刺激されたかどうかを測定するための遺伝子発現プロファイリングを行うことができる。その発現プロフィールが全身性免疫応答の存否を示すことができる、リンパ節試料または末梢血単核細胞などの腫瘍試料または他の試料に関して発現プロファイリングを行うことができる。治療の前、最中および/または後に患者から試料を採取できる。本方法を用いる治療の前後に、治療した哺乳動物の腫瘍組織からのRNAを抽出し、定量的リアルタイムPCRなどによって、免疫応答と関連する遺伝子の発現レベルを評価できる(免疫機能に関与する遺伝子から転写されたRNAを増幅して、治療期間を通じて発現が増強されたかあるいは抑制されたかを測定する)。
【0072】
他の例において、免疫応答に対する併用療法の効果を評価するために、療法後に、腫瘍に生検を実施するかまたはそれを切除し、切片にし、標準的組織学的方法または特定の免疫組織学的試薬によって染色できる。例えば、ヘマトキシリンおよびエオジンを用いる簡単な染色は、固形腫瘍へのリンパ球浸潤における差異を示すことができ、これは細胞性免疫応答を示す。さらにまた、免疫細胞の特定のクラスに対する抗体を用いる切片の免疫染色により、誘導された応答の性質を明らかにできる。例えば、本発明の方法によって媒介された免疫応答のタイプを評価するために、CD45(一般的白血球マーカー)、CD4およびCD8(T細胞サブクラスの同定用)、CD25(リンパ球マーカー)ならびにNK1.1(NK細胞上のマーカー)に結合する抗体を使用できる。さらに、免疫サイトカインが腫瘍を浸潤した範囲を測定するために、本療法に用いる免疫サイトカインに対する抗体を用いることができる。
【0073】
免疫エフェクター細胞集団を分析するために、蛍光表示式細胞選別(FACS)を用いて本発明の方法に応答して刺激された免疫応答のタイプおよび範囲を評価できる。当該分野で公知の方法を用いて、処理された血液試料などの試料はCD4、CD8、CD25、CD44、CD62L、CD11bおよびDX5などの種々の免疫細胞マーカーに対する抗体カクテルに暴露される。各抗体種は、カクテル中の他の抗体種とは異なる発光波長を有する蛍光標識で標識される。次いで、試料は、FacsARIA(BD Biosciences社)などのFACSソーターで処理され、種々の細胞のサブ母集団に関して分析される。
【0074】
免疫応答の開始は、エリスポット法(enzyme-linked immunosorbent spot (ELISPOT) assay)を用いて測定することもできる。所定の免疫細胞が刺激されたかどうかを測定するために、タンパク質、例えば細胞の活性化によって生成されるサイトカインに対する抗体がELISPOTプレート上にコーティングされる。本発明の方法を用いて治療したマウスからの脾細胞をプレートに添加し、インキュベートする。細胞が活性化されれば、その細胞は目的とするタンパク質を分泌し、そのタンパク質は抗体に捕捉される。そのタンパク質の異なるエピトープに特異的な抗体をプレートに添加する。これらの抗体は、当該技術分野で公知の多数の標識のいずれか1つで標識できる。一般に、抗体はビオチン標識され、ストレプトアビジン-HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)もまた添加される。次いで標識の存在および量が測定され、細胞の免疫応答の活性化された程度が決定される。
【0075】
あるいは、本発明の方法によって媒介される免疫応答のタイプは、例えば、Lode et al. (1998) Blood 91: 1706-1715 に記載されている従来の細胞サブセット枯渇研究によって評価できる。枯渇抗体の例は、T細胞マーカーであるCD4およびCD8に反応する抗体ならびにNKマーカーであるNK1.1およびアシアロGMに結合する抗体を含む。簡潔に言えば、本方法を開始する前にかなりな高用量(例えば、約0.5mg/マウスの量で)で哺乳動物にこれらの抗体を注入し、その後、この実験が完了するまで各週ごとに投与する。この技術により、哺乳動物において観察される免疫応答を誘導する細胞型を同定できる。
【0076】
他のアプローチにおいて、併用療法で治療された動物から単離された脾細胞の細胞傷害性活性を、他の治療群からのものと比較できる。大部分の免疫学実験マニュアルにおいて見られる標準法によって、回収した滅菌脾臓を機械的にミンチにして脾細胞培養物が調製される。例えば、Coligan et al. (eds) (1988) "Current Protocols in Immunology," John Wiley & Sons, Inc. を参照のこと。次いで、得られた細胞を、血清、抗生物質および低濃度のIL-2(〜10U/mL)を含有する適切な細胞培養培地(例えば、GIBCO社製DMEM)中で培養する。例えば、NK活性を比較するためには、通常3日間の培養が最適であるのに対し、T細胞の細胞傷害性活性を比較するためには、通常5日間の培養が最適である。51Crで放射性標識された腫瘍標的細胞(例えば、LLC細胞)によって30分間、細胞傷害性活性を測定できる。過剰な放射性標識の除去後、種々の濃度の培養脾臓細胞と標識細胞とを4時間混合する。インキュベーション終了後、細胞から放出された51Crをγ線測定装置によって測定し、次いでそれを、免疫細胞によって誘導された細胞溶解の程度を定量するために用いられる。旧来の細胞傷害性Tリンパ球(すなわちCTL)活性はこのようにして測定される。
【0077】
治療の認可または治療に対する報酬
本発明の方法によれば、医療費を支払うか、または返済する第三者、例えば病院、診療所、政府機関、賠償者、保険会社(例えば、健康保険会社)、HMO、第三者支払人または他の機関は、治療を認可するか、治療に対する報酬を認可するか、または治療費用の保険請求を認可できる。例えば、本発明は、前もって照射された腫瘍または癌細胞を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与することを認可するかあるいはそれに免疫サイトカインを投与することに対する報酬または保険請求を認可することを含むヘルスケア方法に関する。例えば、ヘルスケア方法は、1日当たり少なくとも1Gy(例えば少なくとも2、少なくとも3、1〜4、1〜10、1〜20、2〜4、2〜10、2〜20、3〜4、3〜10、または3〜20Gy/日)の量で、前もって照射された腫瘍を有する哺乳動物に免疫サイトカインを投与することを認可するか、またはそれに免疫サイトカインを投与することに対する報酬または保険請求を認可することを含むことができる。本発明のヘルスケア方法は、腫瘍への放射線の初回投与の21日以内(例えば18日以内、15日以内、12日以内または8日以内)に免疫サイトカインが投与される場合、免疫サイトカインを投与することを認可するか、またはそれに免疫サイトカインを投与することに対する報酬または保険請求を認可することを含むことができる。一実施形態において、ヘルスケア方法は、最大耐用量未満の免疫サイトカイン用量で、例えば最大耐用量未満の免疫サイトカインの半分未満、3分の1未満、4分の1未満または10分の1未満の用量で免疫サイトカインが投与される放射線治療後に、免疫サイトカインを投与することを認可するか、またはそれに免疫サイトカインを投与することに対する報酬または保険請求を認可することを含むことができる。
【実施例1】
【0078】
材料および方法
タンパク質
NS/0細胞株からNHS-IL2LT(SelectikineまたはEMD521873とも呼ばれる)を産生させ、精製した。NS/0細胞株からNHS-muIL12を産生させ、精製した。
【0079】
細胞
BALB/CマウスにN-ニトロソ-N-メチルウレタンを直腸注射することによって誘発されたマウス結腸上皮細胞株であるCT26細胞をトランスフェクトしてヒトKS抗原(KSAまたはEpCAM)を発現させ、これをPCRによってクローニングし、親細胞においてレトロウイルスベクター(Gillies 1998)を用いて発現させた。CT26/KSA細胞は、10%熱不活性化ウシ胎児血清、L-グルタミン、ビタミン、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびジェネティシン(登録商標)(G418)(Life Technologies社)を添加したDMEM中、37℃、CO2 7%で維持した。KSAの発現を維持するためにG418を添加した。雌BALB/CマウスにCT26細胞およびCT26/KSA細胞を移植した。
【0080】
10%熱不活性化ウシ胎児血清、L-グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies社)を添加したDMEM中、37℃、CO2 7%で、マウスLewis肺癌細胞株であるLL/2(LLC)細胞を維持した。雌C57BL/6マウスにLLC細胞を移植した。
【0081】
10%熱不活性化ウシ胎児血清、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies社)を添加したRPMI 1640中、37℃、CO2 7%でマウス黒色腫細胞株であるB16細胞を維持した。雌C57BL/6マウスにB16細胞を移植した。
【0082】
化学物質および溶液
128mMアルギニン、6mMクエン酸塩、2.35%ショ糖、0.05%ツイーン80(pH6.0)中にEMD521873を製剤化した。280nmにおける吸光度および12.38mg/OD280の理論減衰係数を用い、既知のタンパク質配列に基づいて、希釈溶液のタンパク質濃度を決定した。4℃で1ヶ月未満原液を保存した。マウスに投与するために、製剤化物質のアリコートを原液のバイアルから移して、0.9%生理食塩水で希釈し、希釈後1時間以内に動物に注入した。未使用の希釈物質は廃棄した。
【0083】
NHS-muIL12を50mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、0.05%ツイーン80(pH7.0)中に製剤化した。マウスに投与するために、製剤化された物質を0.9%生理食塩水で0.5mg/mlに希釈した。
【0084】
シスプラチン(cis-ジアンミン白金(II)ジクロリド)粉末は、Sigma-Aldrich(登録商標)(カタログ番号P4394)から入手した。0.4mg/ml投与溶液を0.9%生理食塩水で調製した。
【0085】
方法
腫瘍増殖アッセイのために、指数関数的に増殖している細胞の単一細胞PBS浮遊液100μlを、マウス脚上部の筋肉内に注入した。二重腫瘍モデルを用いる実験において、マウス脇腹にも細胞を移植した。腫瘍の定着後、治療を開始した(0日目)。実験LLC-7において、腫瘍を脇腹に移植し、定着させた。0〜9日目にマウスを治療し、次いで12日目に、生存手術を用いて腫瘍を切除した。その後、動物の生存をモニターした。実験LLC-14において、腫瘍を脇腹の皮下に移植し、定着させた。マウスを0〜6日目および17日目に治療し、試験期間の間、週2回腫瘍サイズを測定した。
【表1】

【0086】
実験期間の間、キャリパーを用いて3次元で腫瘍を測定した。腫瘍体積は、方程式:
体積 = 4/3π(L/2 x W/2 x H/2)
(式中、Lは腫瘍の長さであり、Wは腫瘍の幅であり、Hは腫瘍の高さである)を用いて算出した。
【0087】
アッセイ中に、動物の体重を測定し、一般健康状態をモニターした。
【0088】
局所照射のために、2%トリブロモエタノール/3%キシラジン溶液の腹腔内注入によってマウスを麻酔した。注入量は、レシピエントの体重1g当たり0.02mlであった。腫瘍を有する脚のみを放射線に暴露し、マウスの残りの部分が遮られるようにマウスを拘束した。Gammacell(登録商標)40 Exactor(Nordion社、オンタリオ州オタワ)を用い、137Csγ線を用いて1Gy/分の線量率で腫瘍を照射した。
【0089】
血液中の免疫エフェクター細胞集団をFACSによって分析した。各マウスの後眼窩洞から血液を採取した。溶解緩衝液を用いて赤血球を除去した。ラットIgG(1:50)でブロッキングした後、CD4、CD8、CD25、CD44、CD62L、CD11bおよびDX5に対する7色抗体カクテルと共に試料をインキュベートした。試料をFacsARIAにかけ、種々の細胞サブ母集団について分析した。
【0090】
最初に抗IFNγ抗体(マウスIFNγキット、BD Biosciences社)を用いてELISPOTプレートをコーティングすることによって、脾細胞におけるIFNγ誘導に関するエリスポット(ELISPOT)アッセイを行った。治療マウスからの脾細胞をこのプレートに加え、AH1:A5ペプチドと共にインキュベートして、CT26特異的T細胞からのIFNγ放出を刺激した。ビオチン化IFNγ検出Abおよびストレプトアビジン-HRPをこのプレートに加えた。Zeiss(登録商標)KS-ELISPOTプレートリーダーを用いて、個々のIFNγ産生リンパ球から得られたスポットを計数した。
【0091】
採取時にRNAlater(登録商標)RNA安定化試薬に浸した、切除した腫瘍組織を用いて、腫瘍の遺伝子プロファイリングを分析した。RNeasy(登録商標)キット(Qiagen社)を用いて全RNAを調製し、qPCR用Superscript(登録商標)IIIキット(Life Technologies社)を用いてcDNAを調製した。標準化された方法でABI7500装置によってqPCRを行い、ddCt法(効率因子95%)を用いて遺伝子発現における相対変化を分析した。比較のために用いたハウスキーピング遺伝子には、ACTB、B2MおよびHPRT1が含まれた。
【0092】
評価法および統計解析法
皮下腫瘤増殖アッセイからのデータは、投与中および投与後の腫瘍体積および重量の平均および標準偏差値(sd)を示すグラフ形式で提示される。動物体重の変化は、0日目における最初の体重から各時点での動物体重を差し引き、次いで最初の体重で割り、100を掛けることによって測定した。従って、数値0は体重変化なしを示す。
【0093】
必要に応じて、個々の腫瘍体積または動物体重に両側スチューデントt検定またはマン・ホィットニー順位和検定を行って、治療群間の有意差を決定した。
【実施例2】
【0094】
放射線単回投与に続く免疫サイトカインの治療の効果
0日目に行った放射線の単回投与に続く免疫サイトカインの静注(5mg/kg)の効果を、3つの皮下同系腫瘍モデル(CT26結腸癌、CT26/KSA結腸癌(ヒトEpCAMを発現する)およびB16黒色腫)において評価した。本実施例および、特記しない限り以下の実施例は、典型的な免疫サイトカインdI-NHS76γ2(h)(FN>AQ)-ala-IL2(D20T)(SelectikineまたはEMD521873でも表され、例えば、米国特許第7,186,804号に記載されている)を用いた。
【0095】
CT26/KSAモデルを用いる3つの異なる実験(実験CT26-1〜3)において、3または4Gyのいずれかで腫瘍を照射し、次いで2日目、3日目および4日目にEMD521873を投与した結果、動物の大部分が完全な退縮を達成する強い相乗効果が認められた。内因性CT26抗原を用いるELISPOT分析により、療法単独のいずれかと比較して、T細胞応答において4倍を超える増強が示された。療法単独のいずれかと比較して、血液中のエフェクターT細胞の4倍の増加が認められたのに対し、qPCRプロファイリング技術は、腫瘍におけるT細胞およびT細胞活性化関連遺伝子が劇的に増加し、CD8、グランザイムBおよびIFNγ遺伝子発現が、EMD521873単独または放射線単独のいずれかと比較して少なくとも3.5〜4.6倍増加したことを示した。調節性T細胞と関連するCD4+CD25+リンパ球サブ母集団が併用により血液中で増加した。しかしながら、腫瘍におけるFoxP3遺伝子発現レベルは増加しなかった。加えて、同様な実験条件下で免疫サイトカインKS-IL12を試験したとき、腫瘍内で測定された免疫応答は大変類似していたが、このことは、放射線および免疫サイトカイン投与の相乗効果がEMD521873との使用に限定されず、NHS部分またはIL2部分を有する免疫サイトカインとの使用にさえも限定されないことを示している。
【0096】
CT26モデル(実験CT26-4)において、4または8Gyのいずれかで腫瘍を照射し、次いで2日目、3日目および4日目にEMD521873を静注した。EMD521873と8Gy線量との併用は、療法単独のいずれかよりも腫瘍増殖を抑制した。腫瘍における免疫応答はモニターしなかった。
【0097】
B16モデル(実験B16-1)において、0日目に腫瘍を10Gyで照射し、次いで3日目、4日目および5日目にEMD521873を静注した結果、治療単独のいずれかと比較してより優れた抗腫瘍活性が認められた。加えて、免疫マーカー遺伝子発現プロフィールによって測定するとき、腫瘍における特定の免疫応答マーカーが、中程度であるが有意に増加し、療法単独のいずれかと比較してCD25、TNFA、TYROBP、ICOSおよびCD45が4倍を超えて調節されることが認められた。
【実施例3】
【0098】
放射線の分割量に続く複数回の免疫サイトカイン用量の効果
0〜4日目における1日量3.6Gyの5回投与に続く7日目、8日目および9日目における典型的な免疫サイトカインEMD521873(5mg/kg)の静注の抗腫瘍効果を、Lewis肺癌モデル(実験LLC-1、LLC-2)において評価した。対照群または単独療法群においては完全寛解は認められなかったが、併用によって3/6の動物が完全寛解に達した。免疫マーカーのパネルを用いる遺伝子発現プロファイリングにより、放射線単独またはEMD521873単独のいずれかと比較して、併用に関して、T細胞のマーカー、T細胞活性化、リンパ球の移動およびTh1応答の増加が認められた。上方制御された遺伝子は、CD45、CISH、CD122、MGP、FASL、CD80、PTPRB、CD6、CCR7、TXK、CTLA4、PDCD1、IL10R、CCL6、CD8A、EOMES、CD28、TYROBP、ICAM1、CD206、VCAM1、CD3G、ITGAL、ITGB2、LAT、GZMK、STAT4、IL1A、CD115、MDM2、CD26、GIMAP3、CXCR4、LCK、HS6ST2を含む。下方制御された遺伝子は、IL23A、SELE、SC4MOL、LDLR、SQLE、RAE1、CXCL1、CCL2を含む。
【実施例4】
【0099】
放射線と化学療法の組み合わせ+サイトカインの併用効果
Lewis肺皮下腫瘤モデル(LLC-14)において、放射線と化学療法を組み合わせた治療(化学放射線療法)後の免疫サイトカイン(本実施例においては、EMD521873)での治療の抗腫瘍効果を評価した。本実施例において、典型的な化学療法剤としてシスプラチンを用いた。化学放射線療法単独(シスプラチン(4mg/ml)および分割放射線(3.6Gy/日、0日目〜4日目))、EMD521873(5mg/kg/日、静注)もしくはNHS-muIL12(10μg/動物/日、皮下)単独、または化学放射線療法と免疫サイトカインEMD521873(5mg/kg/日、静注)もしくはNHS-muIL12(10μg/動物/日、皮下)の併用のいずれかで担腫瘍動物(n=10)を治療した。免疫サイトカインは、6日目に1日のみ投与し、さらに17日目に1日のみ投与した。24日目まで週2回、腫瘍サイズを測定した。図6に見られるように、化学放射線療法単独で治療された動物(黒三角形)、NHS-muIL12単独で治療された動物(黒正方形)、EMD521873単独で治療された動物(黒丸)または生理食塩水で治療された動物(X)と比較して、化学放射線療法とNHS-muIL12の併用で治療された動物(白正方形)の腫瘍増殖は有意に減少した。化学放射線療法はまた、EMD521873の有効性も増加させた(白丸)。
【0100】
他の実験(実験LLC-1、LLC-2、LLC-4)において、分割放射線単独(3.6Gy/日、0日目〜4日目)、シスプラチン単独(4mg/kg、0日目)、EMD521873単独(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)、二者併用または三者併用のいずれかで担腫瘍動物を治療した。単独治療法のいずれかまたは他の二重治療法と比較して、EMD521873と放射線の併用により腫瘍増殖は減少し、3/6において完全な退縮が認められた。放射線/EMD521873療法にシスプラチンを加えることにより、さらなる増殖抑制が引き起こされ、5/6に完全な退縮が認められた。これらの結果は、放射線または化学放射線療法に続いてEMD521873を用いる療法によって、放射線、化学放射線療法またはEMD521873療法単独と比較して、免疫応答および腫瘍抑制が改善されることを示している。
【0101】
同一実験条件下で、免疫サイトカインとしてNHS-muIL12を用いたとき、同様な結果が認められた。図7に見られるように、上記の実験条件下で化学放射線療法と併用してNHS-muIL12(黒丸)またはEMD521873(白丸)を投与したとき、無治療(X)、化学放射線療法単独(白正方形)、EMD521873単独(白菱形)またはNHS-muIL12単独(白三角形)を用いた場合と比較して、腫瘍増殖の減少が認められた。
【0102】
他の実験において、同じ実験条件を用い、化学放射線療法+EMD521873の三者併用(白丸)により、腫瘍体積の減少が引き起こされ、次いで9/9において完全な退縮が認められた。化学放射線療法単独(白三角形)を投与したとき、平均して腫瘍増殖は引き起こされず、1/9においてのみ完全な退縮が認められた。対照治療(X)またはEMD521873単独(白四角形)を用いたとき、腫瘍増殖の減少は認められず、完全な退縮は引き起こされなかった(図8)。
【実施例5】
【0103】
局所照射+免疫サイトカイン療法の全身性抗腫瘍応答を引き起こす能力(実験LLC-3〜LLC-7)
照射に続く典型的な免疫サイトカインEMD521873静注の長期持続性免疫応答を引き起こす能力を、治癒マウスに腫瘍細胞を再負荷することによって試験した。Lewis肺癌腫瘍を有するマウスを、最初は、分割放射線(3.6Gy/日、0日目〜4日目)+シスプラチン(4mg/kg、0日目)、EMD521873単独(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)、またはEMD521873+化学放射線療法による併用のいずれかで治療した。完全寛解数を確定し、50日を超えて完全寛解に達したマウスに、LLC細胞の皮下注入によって再負荷し、次いで前もって治療しなかったナイーブマウスと比較して腫瘍増殖をモニターした。EMD521873/化学放射線療法治療によって完全寛解率に達したマウス13匹の内12匹は腫瘍を再生しなかったことを表2は示しているが、これによりこれらのマウスはLLC腫瘍細胞に対する長期感染防御免疫を獲得したことが明らかとなった。
【表2】

【0104】
他の実験において、同じ動物の脚および脇腹の両方の皮下にLLC腫瘍を定着させた。次いで、シスプラチン(4mg/kg、0日目)+脚腫瘍への分割放射線投与(3.6Gy/日、0日目〜4日目)、EMD521873静注単独(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)、またはEMD521873+化学放射線療法の併用のいずれかで動物を治療した(実験LLC-6)。照射された脚腫瘍および非照射脇腹腫瘍の両方において、腫瘍増殖および免疫応答をモニターした。これまでの研究と同様に、化学放射線療法に続くEMD521873の併用によって、照射された病変に優れた増殖抑制がもたらされた。併用療法による脇腹腫瘍の増殖抑制は、EMD521873単独の増殖抑制にまさりはしなかったが、非照射病変における併用療法に対する免疫応答の分析により、免疫応答の増強が明らかとなった。化学放射線療法単独またはEMD521873単独のいずれかと比較して、この併用によって血液中にCD8エフェクター細胞がおおよそ4倍増加した。単独療法と比較して併用療法群で治療された腫瘍におけるCD8細胞浸潤は、非照射病変においては3.5倍増加したのに対し、照射された病変においては9倍増加したことが免疫組織学的解析により示された。同様に、免疫遺伝子発現プロファイリングによって、脚腫瘍および脇腹腫瘍の両方において、EMD521873単独または化学放射線療法単独よりも、EMD521873+化学放射線療法は、CD3(脚、>20倍;脇腹、8倍)、CD8(脚、10倍;脇腹、3.5倍)、CISH(脚、5.8倍;脇腹、3.2倍)、CXCL9(脚、10.5倍;脇腹、14倍)およびIFNg(脚、14倍;脇腹、7倍)を増加させたことが示された。照射された腫瘍において認められた増加は、一般に、脇腹腫瘍において認められた増加よりも高かったが、初感染巣の局所放射線+化学療法およびEMD521873は、放射線野にない腫瘍において相乗的免疫応答を引き起こすことができることをこれらの結果は示している。
【0105】
他の実験において、局所照射に続く免疫サイトカイン投与による、手術後の腫瘍再発を抑制する能力を試験した(実験LLC-7)。化学放射線療法(シスプラチン(4mg/kg、0日目)+腫瘍への3.6Gy/日、0日目〜4日目の分割放射線投与)またはEMD521873(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)+化学放射線療法のいずれかで、皮下LLC腫瘍を有するマウスを治療した。次いで12日目または13日目に残存腫瘍を外科的に切除し、生存をモニターした。放射線単独で治療した場合の10匹中6匹と比較して、併用によって治療したマウス12匹中10匹に長期生存がもたらされた。差異は統計的に有意ではなかった(p=0.23)ものの、化学放射線療法単独と比較して、EMD521873+化学放射線療法の併用により、手術後の再発または転移進展に対して改善された保護が提供されることをこれらの結果は強く示唆した。
【実施例6】
【0106】
化学放射線療法+免疫サイトカインによる治療と化学放射線療法+サイトカイン(IL-2)療法による治療との比較(実験LLC-8およびLLC-9)
典型的な免疫サイトカインEMD521873+化学放射線療法の併用と典型的なサイトカインIL-2+化学放射線療法を比較するための実験をデザインした。化学放射線療法(シスプラチン(4mg/kg、0日目)+腫瘍への3.6Gy/日、0日目〜4日目の分割放射線投与)、EMD521873静注単独(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)、IL-2静注単独(EMD521873と等モル量のIL-2、1.5mg/kg、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目)またはEMD521873+化学放射線療法の併用もしくはIL-2+化学放射線療法の併用のいずれかで、皮下LLC腫瘍を有するマウスを治療した。次いで、腫瘍内の腫瘍増殖抑制、奏効率および免疫応答をモニターした。
【0107】
EMD521873の併用に関して、全部で12の免疫発現マーカー(GZMB、PDCD1、NKG7、NKG2D、CD3G、ITGAL、CD122、CD8A、FASL、CTLA4、INOS、CD25)が、単独療法においてもたらされた最高レベルに対して、併用群において、少なくとも3〜6倍上方制御された。対照的に、D10腫瘍試料において、IL2と化学放射線療法の併用効果は、化学放射線療法単独と類似しており、サイトカインの明確な寄与は認められなかった。完全寛解率と腫瘍増殖抑制の比較は、免疫応答データを反映していた。EMD521873の併用は、IL-2の併用(21日目においてT/C=0.09であり、2/6の動物が完全寛解にあった)と比較してすぐれた増殖抑制および完全寛解率(21日目においてT/C=0.03であり、4/6の動物が完全寛解にあった)をもたらした。EMD521873併用療法が、IL-2/化学放射線療法併用と比較してすぐれた記憶応答をもたらしたことは重要である。EMD521873/化学放射線療法併用において完全寛解に達したマウス4匹の内4匹がLLC細胞を用いた再負荷に免疫性があった。対照的に、IL-2/化学放射線療法併用療法において完全寛解に達したマウス2匹のいずれもが、腫瘍での再負荷に免疫性がなかった。
【0108】
加えて、EMD521873/化学放射線療法を用いて得られた結果と同様な結果が、同様な実験条件下で、他の免疫サイトカイン、NHS-IL2wtと併用した化学放射線療法を用いて得られた。NHS-IL2wtは、例えば米国特許第7,186,804号において記載されている。EMD521873以外の免疫サイトカインを用いて、放射線または化学放射線療法と免疫サイトカイン投与の相乗効果を得ることができることをこの結果は示している。
【実施例7】
【0109】
固定用量および固定スケジュールの化学療法+免疫サイトカインと併用した放射線の用量反応(実験LLC-3)
化学放射線療法+免疫サイトカインの併用の抗腫瘍効果に放射線量がどのように影響するかを試験するために、皮下LLC腫瘍を有するマウスを、シスプラチン(4mg/kg、0日目)+0、0.4、1.2、または3.6Gy/日、0日目〜4日目の局所照射で治療した。化学放射線療法に続いて、無治療またはEMD521873(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)のいずれかで治療した。次いで、腫瘍サイズおよび奏効率をモニターした。シスプラチン+0.4Gy/日とEMD521873の併用は、EMD521873単独またはEMD521873+シスプラチンによる腫瘍増殖抑制を改善しなかった。1.2Gy/日とEMD521873の併用は、療法単独のいずれかと比較して増殖抑制を改善したが、併用療法または単独療法のいずれによっても完全寛解はもたらされなかった。最後に、シスプラチン+3.6Gy/日量とEMD521873の併用は、シスプラチン+3.6Gy/日群(19日目において、T/C=0.32であり、0/6が完全寛解にあった)またはEMD521873単独群(19日目において、T/C=0.69であり、0/6が完全寛解にあった)のいずれかと比較して、腫瘍増殖抑制および完全寛解率(19日目において、T/C=0.02であり、5/6が完全寛解にあった)を劇的に改善した。
【実施例8】
【0110】
固定用量および固定スケジュールの化学放射線療法と併用した免疫サイトカインの用量反応(実験LLC-10)
化学放射線療法+免疫サイトカインの併用の抗腫瘍効果に免疫サイトカインの用量がどのように影響するかを試験するために、皮下LLC腫瘍を有するマウスを、用量を漸増させたEMD521873の静注(0、1、5、または15mg/kg、7日目、8日目、9日目)を用い、単独で、あるいは化学放射線療法(シスプラチン(4mg/kg、0日目)+3.6Gy/日、局所腫瘍照射、0日目〜4日目)と併用して治療した。次いで、腫瘍における腫瘍サイズ、奏効率および免疫遺伝子調節作用をモニターした。化学放射線療法と併用したすべての用量は、同様な増殖抑制、奏効率(1、5および15mg/kgのEMD521873+化学放射線療法に対し、それぞれCR=2/8、3/8および3/8)および免疫遺伝子調節作用を示したため、用いた用量範囲では用量反応は認められなかった。増殖抑制効果を図9に示す。化学放射線療法と併用した1mg/kg(黒正方形)、5mg/kg(黒三角形)および15mg/kg(黒丸)のEMD521873は、1mg/kg(白正方形)、5mg/kg(白三角形)および15mg/kg(白丸)のEMD521873単独、化学放射線療法単独(+)またはビヒクル単独(X)と比較して、同様に腫瘍体積の減少をもたらした。最大耐用量より十分低いEMD521873用量は、有効性に有意に影響を与えることなしに化学放射線療法と安全に併用できることをこれらの結果を示している。
【実施例9】
【0111】
免疫サイトカイン投与前の放射線量回数増加の効果(実験LLC-13)
免疫サイトカイン投与前の放射線投与の増加が、併用の有効性にどのように影響するかを試験するために、皮下LLC腫瘍を有するマウスを、典型的な免疫サイトカインEMD521873(最終放射線量の3日後に毎日1回3日連続の静注で投与)の投与前に、化学放射線療法で1週間(シスプラチン(4mg/kg、0日目)、0日目、2日目、4日目に3.6Gy/日)、2週間(シスプラチン(4mg/kg、0日目)、0日目、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目に3.6Gy/日)または3週間(シスプラチン(4mg/kg、0日目)、0日目、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目、14日目、16日目、18日目に3.6Gy/日)治療した。次いで、腫瘍における腫瘍サイズ、奏効率および免疫遺伝子調節作用をモニターした。
【0112】
これまでの結果と同様に、第1週にシスプラチン+放射線で治療し、次いでEMD521873で治療したマウスは4/10が完全寛解に達し、療法単独のいずれかと比較して腫瘍増殖抑制の増強が認められた。対照的に、EMD521873の2週間または3週間前にシスプラチン+放射線で治療したマウスは、それぞれ2/10または0/10だけが完全寛解に達し、化学放射線療法単独と比較して腫瘍増殖抑制の増強が認められなかった。さらにまた、異なるレジメンで治療したマウスからの腫瘍における免疫応答遺伝子プロフィールの分析は、第1週における放射線治療に続くEMD521873によって、Th1関連鍵遺伝子における最も強力な増強がもたらされたことを示している(未治療対照と比較してのおおよその誘導倍率:CD3、50;CD8、19;IFNγ、22;CD25、45;グランザイム、22;パーフォリン、8)。比較すれば、EMD521873の2週間まえに放射線を投与したとき、免疫応答は鈍化し(未治療対照と比較してのおおよその誘導倍率:CD3、14;CD8、6;IFNγ、10;CD25、22;グランザイム、2;パーフォリン、5)、一方で、EMD521873の3週間前に放射線を投与したとき、免疫応答はほぼ完全に排除された。EMD521873投与のわずか1週間前に化学放射線療法を行うことは、2週間または3週間放射線レジメンのいずれかよりも優れているいることをこの結果は示している。
【実施例10】
【0113】
化学放射線療法中の免疫サイトカイン投与の効果(実験LLC-12)
放射線コース中の免疫サイトカインの投与が併用の有効性にどのように影響を与えるかを試験するために、皮下LLC腫瘍を有するマウスを、典型的な免疫サイトカインEMD521873(5mg/kg、7日目、8日目、9日目)の静注の有り無しで、放射線で1週間(3.6Gy/日;0日目、2日目、4日目)、2週間(3.6Gy/日;0日目、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目)、または3週間(3.6Gy/日;0日目、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目、14日目、16日目、18日目)治療した。次いで、腫瘍における腫瘍サイズ、奏効率および免疫遺伝子調節作用をモニターした。その結果、1週間の放射線後のEMD521873の投与により大部分は腫瘍退縮がもたらされたが、完全寛解は認められなかった。同様に、放射線2週間コース中の第2週中のEMD521873の投与または放射線3週間コースの第2週中のEMD521873の投与はまた、EMD521873または放射線単独と比較して、腫瘍退縮および改善された腫瘍増殖抑制をもたらした。しかしながら、放射線3週間コース中の第2週中のEMD521873の投与は、さらなる腫瘍抑制をもたらしたが、腫瘍における免疫応答は、放射線1週間コースまたは2週間コースのいずれかの第2週中にEMD521873を投与された腫瘍において観察された免疫応答と比較して、さらなる放射線によって鈍化したことが、免疫遺伝子プロファイリングによって示された。これらの免疫効果は前述の結果とも一致しており、このことは、放射線の継続がEMD521873/放射線併用の免疫効果を鈍化させたことを示している。
【実施例11】
【0114】
化学放射線療法前の免疫サイトカイン投与の効果(実験LLC-11)
放射線の前の免疫サイトカイン投与が抗腫瘍効果を増強させるかどうかを試験するために、第2週(3.6Gy/日;7日目、9日目、11日目)または第2週および第3週(3.6Gy/日;7日目、9日目、11日目、14日目、16日目、18日目)における放射線治療の前に、第1週において典型的な免疫サイトカインEMD521873(5mg/kg、0日目、1日目、2日目)で皮下LLC腫瘍を有するマウスを治療した。次いで、腫瘍における腫瘍サイズ、奏効率および免疫遺伝子調節作用をモニターした。その結果、EMD521873の投与に続く1週間または2週間の放射線により、EMD521873またはいずれかの放射線レジメン単独と比較して腫瘍増殖抑制の増強が提供されたことが示された。しかしながら、EMD521873の前に放射線が投与されたときに認められた腫瘍退縮および完全寛解はいずれも認められなかった。さらにまた、EMD521873またはいずれかの放射線レジメン単独と比較して、併用の免疫遺伝子応答プロフィール分析は、有意に影響を受けなかった。これらの結果は、上記の結果と合わせて考えれば、EMD521873投与に対する放射線のタイミングおよび期間は、抗腫瘍免疫応答および腫瘍増殖抑制を起こすのに重要であることを示している。
【実施例12】
【0115】
ヒト肺癌の治療
4サイクルの白金ベース初回化学療法の投与後、癌性胸水を伴うステージIIIbまたは疾患制御(部分寛解または病状の安定化)が認められるステージIVの非小細胞肺癌患者において、原発腫瘍または転移の局所照射(20Gy)と併用してEMD521873を用いる用量漸増試験を実施する。
【0116】
EMD521873を用いる第1治療サイクルの間に、5日連続で患者に局所照射(5x4Gy)を行う。2日間の無治療期間後、3日連続、3週間サイクルでEMD521873の静注を行う。
【0117】
各サイクルにおいて、毎日1回、静注1時間、3日連続(1日目〜3日目)で患者にEMD521873を投与し、次いで18日間の無治療期間(4日目〜21日目)をおく。
【0118】
0.15、0.30および0.45mg/kgの用量レベルで、患者3例のコホートにおいてEMD521873の用量漸増を実施する。次の用量レベルへの漸増は、DLT評価期間中(すなわち、第1サイクルにおけるEMD528173の第1注入日の後の21日間)観察される用量制限毒性(DLT)(もしあれば)の総数に基づいて決める。DLTは、試験治療(EMD521873および/または放射線)に関連して評価された任意のグレード≧3の毒性と定義される。患者3例中にDLTが認められない場合、次順位の用量レベルで次の患者3例を補充する。患者3例の内1例がDLT(単数または複数)を経験する場合、さらなる患者3例のコホートに、同じ用量レベルを投与する。さらなる3例の患者の内1例以上がDLTを経験する場合、MTDを超えたと見なし、用量漸増を停止する。その前の用量レベルをMTDと考える。患者3例の内2例または3例がDLTを経験する場合、MTDを超えたと見なし、用量漸増を停止し、その前の用量レベルをMTDと考える。
【0119】
0.15mg/kgの用量レベルで治療した患者6例の内1例にDLTが認められる場合、0.3mg/kgに漸増させる前に中間の用量レベル0.225mg/kgを採用する。0.15mg/kgの用量レベルで治療した患者2例にDLTが認められる場合、用量レベル0.075mg/kgが試される。この用量レベルで患者0例または1例がDLTを経験する場合、0.075mg/kgをMTDと考える。
【0120】
MTDより下の用量レベルで治療された患者であっても、CTまたはMRIスキャンで測定するとき、腫瘍応答率の改善が示され、生存および/または肺機能の改善を示すことができると考えられる。
【実施例13】
【0121】
ヒト黒色腫の治療
ステージIIIb〜IVの皮膚/皮下悪性黒色腫を伴う患者における皮膚転移の、腫瘍部位および血液中でのEMD521873に対する応答を、局所照射(25Gy)と併用してのEMD521873に対して研究するために試験を実施する。EMD521873を用いる第1治療サイクルを1日目に開始する。その後のサイクルは3週間隔で投与される。EMD521873の第1用量の前に、異なる転移に対し、5日連続、5Gyの分割量で2コース(-28日目〜-24日目;-7日目〜-3日目)の局所放射線(25Gy)を投与して、患者を治療する。
【0122】
各患者に関して、生検に適格な少なくとも2つの皮膚または皮下病変を放射線候補(病変A1および病変A2)として選択し、もしあれば、第3病変(病変A3)もまた選択する。皮膚/皮下病変(病変A1)の生検および採血をベースライン(D-28)で行う。7日後、必要な生検部位の治癒を可能にするために、-21日目から開始して5日連続にわたって(D-21〜D-17)病変A1を照射(5x5Gy)する。-7日目(D-7)に血液試料を採取し、照射された病変A1の生検を行う。この腫瘍試料は、放射線単独の効果を評価するための同一個体内対照として役立つ。-14日目に、前もって選択された病変A2およびA3にも生検を行い、血液も採取する。-7日目に開始(D-7〜D-3)する以外は上記と同様にして(5x5Gy)、病変(A2)のみに局所放射線を実施する。2日間の無治療期間後、すなわち1日目に開始して、静注1時間、3日連続(D1〜3)で0.3mg/kgのEMD521873を投与する。ベースライン(D-28)、同一個体内対照(放射線のみ)およびD-14に採取した生検との比較のために、所定の時点(サイクル1のD1およびD8)で、免疫モニタリングのために採血し、照射された病変A2および非照射病変A3の生検を採取する。非照射病変(病変A3)は、非照射部位に対する本療法の全身作用(アブスコパル効果;abscopal effect)の根拠を与えると予想される。
【0123】
EMD521873および放射線を投与される患者は、放射線治療なしでEMD521873のみを投与される対照患者と比較して腫瘍進行(例えば、ペットまたはCTスキャンによって明らかにされる)が抑制されることが予想される。
【0124】
本発明は、本発明の精神またはその本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施することが可能である。従って、前述の実施形態は、本明細書記載の本発明を限定するものではなく、あらゆる点で本発明を例示するものと考えなければならない。かくして、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等な意味および範囲内の変更は、すべて特許請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の治療薬の製造のための免疫サイトカインの使用であって、腫瘍は前もって照射されており、前記免疫サイトカインが、前もって行われた前記腫瘍への放射線照射の最初の照射の21日以内に投与されることが意図される、前記使用。
【請求項2】
腫瘍が、免疫サイトカインの初回投与の8〜21日前に最初の照射が行われたものである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
免疫サイトカインの初回投与が、腫瘍への照射終了後の1〜6日後に行われる、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
免疫サイトカインの初回投与が、腫瘍への照射終了後の2〜5日後に行われる、請求項3記載の使用。
【請求項5】
腫瘍が、1〜14日の期間にわたる複数の日に照射されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
免疫サイトカインが1〜5日間の期間にわたる複数の日に投与され、それにより免疫サイトカイン投与の第1サイクルが形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
免疫サイトカイン投与の第2サイクルおよびその先のサイクルが、それぞれ第1サイクルの終了の2〜12週間後に引き続き行われることが予定される、請求項6記載の使用。
【請求項8】
腫瘍が、一日または複数日に1回または分割して、1日当たり少なくとも1Gyの量で照射されたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
腫瘍が、1日当たり1〜20Gyの量で照射されたものである、請求項8記載の使用。
【請求項10】
前記放射線照射後の免疫サイトカイン用量が、患者が耐えられる最大用量(前記患者における重篤な副作用の発生によって規定される)未満である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
免疫サイトカイン用量が最大耐用量の半分未満である、請求項10記載の使用。
【請求項12】
免疫サイトカイン用量が1mg/体重(kg)未満である、請求項10または11記載の使用。
【請求項13】
免疫サイトカイン用量が0.5mg/体重(kg)未満である、請求項10または11記載の使用。
【請求項14】
免疫サイトカイン用量が0.1mg/kg〜0.5mg/kgである、請求項13記載の使用。
【請求項15】
腫瘍への照射が、腫瘍細胞のサブセットのみに対して行われたものである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
腫瘍が、体内の様々な部位に位置し、それにより前記腫瘍細胞のサブセットを規定する、請求項15記載の使用。
【請求項17】
前記免疫サイトカイン分子に用いるサイトカインがIL-12、IL2またはIL2(D20T)である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
免疫サイトカインがNHS-IL2(D20T)またはNHS-IL12である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
腫瘍を治療するために使用するための免疫サイトカインであって、腫瘍は前もって1日当たり1〜30Gyで照射されており、免疫サイトカインは、前もって行われた前記腫瘍への放射線照射の最初の照射の21日以内に投与されることが意図される、前記免疫サイトカイン。
【請求項20】
免疫サイトカインの初回投与が、腫瘍への照射終了後の1〜6日後に行われる、請求項19記載の免疫サイトカイン。
【請求項21】
腫瘍が、1〜14日の期間にわたる複数の日に照射されたものである、請求項19または20記載の免疫サイトカイン。
【請求項22】
前記放射線後の免疫サイトカイン用量が、患者が耐えられる最大用量(前記患者における重篤な副作用の発生によって規定される)の半量未満である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
【請求項23】
腫瘍への照射が、様々な部位に位置する腫瘍細胞のサブセットのみに対して行われたものである、請求項19〜22のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
【請求項24】
免疫サイトカイン分子に用いるサイトカインがIL12、IL2またはIL2(D20T)である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。
【請求項25】
免疫サイトカインがNHS-IL2(D20T)またはNHS-IL12である、請求項19〜24のいずれか1項に記載の免疫サイトカイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−506394(P2012−506394A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532532(P2011−532532)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007533
【国際公開番号】WO2010/046097
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】