放射線シールド装置
【課題】立体的に散乱するX線から術者を確実に防護することができる放射線シールド装置を提供する。
【解決手段】CT透視下の治療および検査に使用される放射線シールド装置において、X線CT装置のベッドに設けられ被検者の体軸と略平行な縁部を持つプレート状のX線遮蔽ベース部3と、このX線遮蔽ベース部3の各縁部3c,3cにアーチ状に架設されるX線遮蔽カバー部2と、X線遮蔽ベース部3と被検者との間に介設されるスペーサー4とから構成されることを特徴とする。
【解決手段】CT透視下の治療および検査に使用される放射線シールド装置において、X線CT装置のベッドに設けられ被検者の体軸と略平行な縁部を持つプレート状のX線遮蔽ベース部3と、このX線遮蔽ベース部3の各縁部3c,3cにアーチ状に架設されるX線遮蔽カバー部2と、X線遮蔽ベース部3と被検者との間に介設されるスペーサー4とから構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT透視下の治療、検査に好適な放射線シールド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology、以下、IVRと呼ぶ)の手法を用いた治療が年々、増加している。
【0003】
上記IVRとは、病気の診断に用いられてきた放射線診断技術を治療に応用したものであり、例えば、X線透視像や血管造影像または超音波やCT(Computed Tomography)像を見ながら体内にカテーテルや針等を入れ、出来る限り体に傷を残さずに治療を行う、いわゆる非侵襲的な治療方法である。
【0004】
上記IVRに使用されるX線CT装置は、X線を照射するX線管球とそのX線管球から照射されたX線を読み取る読取装置とが、ガントリ内で円周上に対向配置されており、被検者の体軸を中心として、そのX線管球と読取装置が連動して回転することにより、被検者を透過するX線量を読取装置で読み取り、読み取ったデジタルデータをコンピュータ処理することにより被検者の断面(スライス面)画像を形成するようになっている。
【0005】
最近ではスキャンおよび画像再構成が高速化されたX線CT装置を使用することにより、リアルタイムで断層像を監視しながらのフルオロスコピー(Fluoroscopy)、具体的にはCT透視下で被検者の体内に針を進め、例えば腫瘍などの組織を採取することが可能になっている。
【0006】
一方、上記X線管球から照射され被検者を通過したX線は読取装置に入射して断層像情報として処理されるが、X線の一部は被検者の体で散乱し、被検者の照射野周囲に散乱X線として放出される。
【0007】
このような環境において、上記組織採取などで行われる針の穿刺は、連続的にX線を照射しているガントリの近傍で行わなければならないため、術者が上記散乱X線に被曝する可能性は極めて高い。
【0008】
そこで、術者を被曝から防ぐX線防護具としてX線防護掛布が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図13は、上記X線防護掛布(以下、防護掛布と略称する)の使用状態を示したものである。
【0010】
防護掛布50はX線遮蔽性シートから構成されており、被検者Tの体形にフィットするように湾曲させることができ、さらに、X線に近い側の端部50aに、X線遮蔽面として機能する立ち上がり部50bが形成されている。
【0011】
この防護掛布50を被検者Tのスライス面に近接して配置することで、後方散乱X線を大幅に除去できることが特許文献1に記載されている。
【0012】
なお、図中、51はX線CT装置のガントリであり、51aは回転するX線管球からX線が照射されるスリットである。また、52は手指がX線ビーム内に入らないように離れた位置から穿刺を操作するための穿刺針保持器を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−264207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記した従来の防護掛布50は、ベッドの上面側で特定の方向(A方向)に向けて平面的に散乱するX線を防護することを想定しているものの、実際には、図14に示すように、被検者Tに入射したX線は散乱し、散乱X線SBは、上記特定の方向に限らずあらゆる方向に向けて立体的に反射することが確認されている。
【0015】
被曝量は距離の2乗に反比例して増加するにも関わらず、CT透視下での穿刺は術者がX線照射部位に近づかざるを得ず、被曝の危険性は認識されているものの有効なX線防護手段は実現されていないのが実情である。
【0016】
本発明は以上のような従来のX線防護掛布における課題を考慮してなされたものであり、立体的に散乱するX線から術者を確実に防護することができる放射線シールド装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、CT透視下の治療および検査に使用される放射線シールド装置において、
X線CT装置のベッドに設けられ被検者の体軸と略平行な縁部を持つプレート状のX線遮蔽ベース部と、
上記X線遮蔽ベース部の各縁部にアーチ状に架設され、被検者の体の一部を所定の隙間を介して上記体軸まわりにカバーするX線遮蔽カバー部と、
上記X線遮蔽ベース部と上記被検者との間に介設されるスペーサーとから構成される放射線シールド装置である。
【0018】
本発明に従えば、上記放射線シールド装置の一方端部をX線照射野すなわちX線ビームに近づけて配置すると、X線照射野から放出される散乱X線の進路が放射線シールド装置にて遮られる。
【0019】
そのシールドされる領域は、放射線シールド装置の一方端部とX線ビームとの距離、及び放射線シールド装置のカバー部と被検者体表との距離によって決定されるが、このときの上記カバー部内壁と上記被検者の体躯表面との間隔は、X線ビーム幅、被検者の体格、穿刺デバイスの形状、ガントリ開口部の大きさによって決定される。
【0020】
また、被検者とX線遮蔽ベース部との間にも間隔を設ける必要がある。この間隔は上記スペーサーを介設することによって確保することができ、X線ビーム幅、被検者の体格、ガントリ開口部の大きさによって決定される。
【0021】
本発明において、上記X線遮蔽ベース部を遊挿した状態で上記ベッドの長手方向にスライドさせるための通路を上記スペーサーに設けることが好ましい。スペーサーの通路に挿入されたX線遮蔽ベース部は被検者と接触していないため、照射野を決定した後、X線遮蔽ベース部をその通路内でスライドさせることにより、放射線シールド装置をX線ビームに近づけることができる。
【0022】
また、本発明において、上記X線遮蔽カバー部は上記X線遮蔽ベース部に対して着脱自在に構成することができる。
【0023】
また、本発明において、上記X線遮蔽カバー部およびX線遮蔽ベース部は、カバー部およびベース部の各内壁または各外壁にX線遮蔽シートとしての鉛シートを貼着することによって構成することができる。また、上記X線遮蔽シートはタングステン粉末とエラストマー樹脂の複合材料からなるシートで構成することもできる。
【0024】
さらにまた、上記X線遮蔽カバー部およびX線遮蔽ベース部は、鉛、バリウム、タングステンなどX線遮蔽能力の高い素材を含むガラスや樹脂によっても形成することができる。
【0025】
被検者の照射部位、すなわち撮影部位は、CT装置によりコンピュータ制御されたベッドの移動、あるいはガントリ(X線管球)の移動によって決定される。したがって、本発明において、上記構成を有する放射線シールド装置をCT装置のベッドに組み込み、その移動をCT装置によりコンピュータ制御すれば、撮影部位が移動しても放射線シールド装置の一方端部を常にX線ビームに近づけて配置することができる。
【0026】
また、本発明において、上記構成を有する放射線シールド装置を着脱可能にガントリに固定すれば、被検者、ガントリ、寝台の移動にかかわらず常に放射線シールド装置をX線ビームに近づけた配置とすることができる。
【0027】
これら放射線シールド装置のベッドへの組み込み、ガントリへの固定は、高速で撮影部位を移動させる4DスキャナによるCT透視にも対応可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、立体的に散乱するX線から術者を確実に防護することができる放射線シールド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る放射線シールド装置のシールド原理を説明する模式図である。
【図2】本発明に係る放射線シールド装置と散乱X線との関係を示す模式図である。
【図3】本発明に係る放射線シールド装置および被検者間の距離とシールド可能な散乱X線との関係を示す模式図である。
【図4】本発明に係るシールド装置の分解斜視図であり、(a)はX線遮蔽カバー部、(b)はX線遮蔽ベース部の斜視図である。
【図5】本発明に係るスペーサーの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の放射線シールド装置の使用状態を示す斜視図である。
【図7】図6に示す放射線シールド装置の配置を説明する側面図である。
【図8】図6に示す放射線シールド装置の効果を説明する斜視図である。
【図9】本発明のツインシールド装置の使用状態を示す模式図である。
【図10】本発明の放射線シールド装置をベッドに組み込んだ状態を示す模式図である。
【図11】本発明の放射線シールド装置をガントリに固定した状態を示す模式図である。
【図12】本発明の放射線シールド装置に穿刺針保持器を設置した状態を示す模式図である。
【図13】従来のX線防護掛布を示す説明図である。
【図14】従来のX線散乱状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0031】
まず、本発明の放射線シールド装置のシールド原理について説明する。
【0032】
本発明の放射線シールド装置(以下、シールド装置と略称する)は、被検者の体軸まわりをカバーしたシールド装置の一方端部をX線照射野に近接配置してCT透視を行なうように構成されており、それにより、従来、上記X線照射野から立体的に散乱し、X線照射野の近くで操作を行う術者に向けて直線的に進行していた散乱X線を上記シールド装置によってシールドするようになっている。
【0033】
図1において、術者Cが存在する、X線ビームBよりシールド装置側空間の任意の位置を(P位置)とし、被検者Tの任意の部位(E位置)とした場合、術者Cと重なるP位置とE位置との結ぶ直線の間にシールド装置1を介在させると、上記E位置から放出される散乱線が遮ることができる。
【0034】
詳しくは、E位置がX線照射野にあり、そのE位置とX線ビームB近傍で且つシールド装置側の空間にあるP位置とを直線で結ぶ散乱X線は、シールド装置1と干渉することなく略垂直方向に進行し、術者Cはその散乱X線が進行する経路に存在しないためX線量の多い散乱X線を被曝することはない。
【0035】
また、E位置がX線照射野にあり、そのE位置と術者Cと重なるP位置とを直線で結ぶ散乱X線についてはシールド装置1の存在によってその進行が遮られ、それにより、術者CはX線量の多い散乱X線を被曝することはない。
【0036】
さらにまた、E位置がX線照射野から離れて被検者側にある場合、そのE位置と術者Cと重なるP位置とを直線で結んだ場合、シールド装置1によって遮ることができない可能性がある。しかしながら、散乱X線は照射野の皮膚面からの反射が圧倒的に多く、照射野から数cm離れると測定できないレベルまで減衰する。
【0037】
具体的には、照射野から3cm離れた被検者Tの皮膚面からの散乱線は極めて少なくなり、10cm離れると測定下限以下になることが実験によりわかっている。したがって、そのような照射野から離れたE位置から散乱X線を受けて被曝する可能性は少ない。
【0038】
このように、術者Cが受ける散乱線の多くは照射野皮膚面から放出されるため、E位置が被検者の体の任意の位置にあっても、照射野から反射する散乱X線をシールド対象として上記シールド装置1を配置しておけば、術者Cに対し、散乱X線による被曝を大幅に軽減でき安全を確保した状態で治療、検査を行うことができる。
【0039】
なおCTにおけるビーム幅BWは通常10mm以下であるため照射野の幅も10mm以下となる。
【0040】
また、術者Cと照射野の位置関係から、シールド装置1のX線遮蔽カバー部(以下、カバー部と略称する)2と被検者Tの間隔は30mmもあれば術者Cが受ける照射野皮膚面からの散乱X線はシールドできる。
【0041】
ところで、照射野から放出された散乱X線も更なる散乱X線を生じ、術者Cが被曝する原因となり、被検者Tの照射野以外からも散乱X線SBが放出されることになる。これは照射野に近いほど多く放出される(図2参照)。
【0042】
この場合、シールド装置1のカバー部2と被検者Tとの間隔が大きくなるほど照射野からより離れた範囲から放出される散乱X線SBまでシールドすることができることになる(図3参照)。
【0043】
しかしながら、シールド装置1のカバー部2と被検者Tとの間隔が大きくなれば、穿刺デバイス(図示しない)がガントリ(図示しない)と接触し、さらに穿刺デバイスをコントロールするために把持する位置が被検者Tから遠くなり穿刺手技に支障をきたすという問題が生じる。
【0044】
そこで、本発明のカバー部2およびX線遮蔽ベース部(以下、ベース部と略称する)3は、被検者Tから所定の隙間を介して被検者Tの体軸まわりにカバーするように構成されており、上記所定の隙間は30mm以上、150mm以下が好ましい。
【0045】
以下、本発明に係るシールド装置の構成についてさらに詳しく説明する。
【0046】
図4は、シールド装置1の構成を示す分解斜視図であり、同図(a)はシールド装置1のカバー部2を示し、同図(b)はそのカバー部2が載置されて組み合わされるベース部3を示している。
【0047】
図5は、被検者とベース部3に間隔を設けるためのスペーサーの構成を示した斜視図であり、図中、二点鎖線はスペーサーと組み合わされるシールド装置1を示している。
【0048】
1. シールド装置の構成
1.1 カバー部の構成
図4において、カバー部2は、アクリル樹脂を半割筒状に成形したカバー支持体2aと、そのカバー支持体2aの内壁全体に貼着されたX線遮蔽シート2bとから主として構成されている。
【0049】
上記カバー部2は、被検者の体軸に沿って且つ被検者の体の一部を包むようにして配置されるものであり、被検者の体に接触することなくカバーできる大きさに形成されている。
【0050】
詳しくは、上記カバー部2は、被検者の体躯表面に対し所定の隙間を確保した状態で、体躯の一部を体軸まわりにアーチ状に覆うことができるように構成されている。
【0051】
本実施形態では、例えば高さH:300mm、幅W:500mm、長さL:700mmに形成されており、厚みtは5mmである。なお、上記サイズは例示であり、患者の体躯に応じて適宜決定されるものである。
【0052】
また、逆U字状に配置される上記カバー部2の各脚部は、高さh:120mmまでは略垂直に立ち上がる立上り部2cとして形成されている。カバー部2の断面形状は人体の躯幹部分に合わせた形状となっており、その断面形状が大き過ぎるとカバー部2とガントリの間で行う穿刺デバイスの操作の妨げになり、また、小さ過ぎると被検者と接触する。
【0053】
したがって、カバー部2のサイズと形状は被検者の体の部分(頭部、躯幹、四肢)やガントリ開口部のサイズに合わせて適宜変更するものとする。ただし、被検者とシールド装置1のカバー部2との間隔が大きいほうが術者の防護には有利である。
【0054】
上記カバー支持体2aの内壁全面にはX線遮蔽シート2bが貼着されており、本実施形態ではこのX線遮蔽シート2bとして厚さ0.5mmの鉛シートを使用している。
【0055】
なお、X線遮蔽シート2bとしては、X線を遮蔽することができるものであれば上記鉛シートに限らず、例えば、タングステン粉末とエラストマー樹脂との複合材料からなるシートを使用することもできる。
【0056】
また、X線遮蔽シート2bを貼着するのに代えて、X線遮蔽材料の粒子をカバー支持体2aの構成素材中に含有させたものでカバー部2を構成することもできる。具体的には、鉛、バリウム、タングステンなどのX線遮蔽能力の高い素材を含むガラスや樹脂で構成することもできる。
【0057】
1.2 ベース部の構成
X線CT装置のベッド上に配置されるベース部3は、アクリル樹脂を板状に成形したベース支持体3aと、そのベース支持体3aの上面全体に貼着されたX線遮蔽シート3bとから主として構成されている。
【0058】
ベース部3の幅方向両端には、上記カバー部2を載置するだけで位置決めできるように被検者の体軸と略平行な縁部3c,3cがそれぞれ立設されており、それら縁部3c,3cの内幅W′は上記カバー部2の幅Wよりも若干大きく形成され、また、ベース部3の長さLは上記カバー部2の長さLと同じである。
【0059】
また、上記X線遮蔽シート3bは上記X線遮蔽シート2bと同様に、厚さ0.5mmの鉛シートを使用しているが、上記複合材料からなるシートであってもよく、また、上記したようにX線遮蔽材料の粒子を含有させたものでベース部3を構成することもできる。
【0060】
1.3 スペーサーの構成
図5において、X線CT装置のベッド上に載置されるスペーサー4は、アクリル樹脂製の天板4aと底板4bを平行に配置し、それら天板4aと底板4bの間に隙間Iからなる通路Mが設けられている。
【0061】
この通路Mは、上記ベース部の縁部3c,3cの高さより大きいサイズからなる側板4cを、天板4aと底板4bの長手方向端部にそれぞれ挟み込むことによって形成されている。
【0062】
上記スペーサー4の幅Jは、上記カバー部2の幅Wより狭く形成されている。スペーサー4の長さKはカバー部2の長さLより長く本実施形態では800mmに形成したが、被検者の身長分あるほうが好ましい。
【0063】
隙間Iに上記構成からなるベース部3を横方向から差し込み、そのベース部3の長手方向中心軸とスペーサー4の長手方向中心軸が一致するように両者を位置決めし、さらに、ベース部3の縁部3c,3cに跨がるようにして上記カバー部2を架設すれば、ベース部3とカバー部2とが組み合わされ、全体としてトンネル状のシールド装置1が構成されるようになっている。そして、この状態でシールド装置1を通路M内で矢印N方向にスライドさせることができる。
【0064】
術者Cが存在する、X線ビームBよりシールド装置側空間の任意の位置Pと被検者の任意の部位E(図1参照)を結ぶ直線の間にシールド装置1を介在させると、E部位から放出される散乱線をシールドできる。
【0065】
したがって上記構成を有するシールド装置1の一方端部をX線照射野に近づけて配置した際に、術者に対して向かう散乱線が放出される被検者の部位をどの範囲までシールドするかによってカバー部2の径方向サイズが決められ、このときのカバー部2と被検者の体躯表面との間隔が上記所定の隙間となる。
【0066】
なお、上記実施形態ではX線遮蔽シート2bおよび3bを、カバー支持体2aの内壁およびベース支持体3aの内壁にそれぞれ貼着したが、各支持体2a,3aの外壁に貼着したものであってもよい。
【0067】
2. シールド装置の使用方法
図6は上記シールド装置1の使用状態を示した斜視図である。
【0068】
X線CT装置におけるガントリ10の開口部11をベッド12がZ軸方向に移動するか、あるいはガントリがZ軸方向に移動するようになっており、ベッド12上に図5に示したスペーサー4が置かれ、その上に被検者Tが寝かされている。
【0069】
なお、本実施形態で使用したX線CT装置はシーメンス社製のSOMATON Sensation 16であり、CT画像のリアルタイム再構成とその連続表示が可能である。
【0070】
シールド装置1は、被検者Tの体の一部をその体軸まわりにカバーするようにして配置される。
【0071】
詳しくは、シールド装置1のベース部3は、被検者Tの背面とベッド12の間に位置し、シールド装置1の断面円弧状のカバー部2は、被検者Tの正面および側面の両方に跨がった被検者Tの近傍に位置する。
【0072】
2.1 シールド装置の位置決め
図7に示すように、シールド装置1の筒軸方向の一方端部1aを、照射されるX線ビームBに対しできる限り近づけて配置する。
【0073】
X線ビームBを妨げなければ理論上シールド装置1とX線ビームBとの距離は0mmでもよい。実際には、機械の振動や穿刺手技に伴うシールド装置1の僅かな移動を考慮して1から2mm程度、X線ビームBより離しても散乱X線のシールドは十分可能である。
【0074】
2.2 シールド装置による効果
図8は、被検者Tの体の一部を本実施形態のシールド装置1によって覆った状態でCT透視下での施術を行っている状態を示したものである。
【0075】
従来のX線の散乱状態を示した図14と比較すると明らかなように、シールド装置1によって散乱X線SBが抑制されており、具体的には、被検者Tの照射野で散乱し直線的に術者Cに向かう方向の散乱X線がシールド装置1の一方端部1aにより抑制されている。なお、図8では散乱X線SBの散乱状態を明確にするため、ガントリ10は二点鎖線で示している。
【0076】
シールド装置1は被検者Tの体軸まわりに筒状に配置され、シールド装置1のベース部3と被検者Tとはスペーサー4を介して間隔が設けられているため、ベッド12の下方についても、シールド装置1の一方端部1aが、直線的に術者Cに向かう方向の散乱X線を抑制している。
【0077】
シールド装置1における一方端部1aの頂部(測定点D)から50mm上方、50mm術者側の位置(穿刺デバイスを操作する手の位置を再現)にデジタル線量計を置き、胸部ファントムを被検者とし、CT透視下肺生検を想定して1分間CT透視を行い、散乱X線の線量を測定した結果、漏出する線量は273μSvであった。一方、シールド装置1を配置せず、上記測定点Dと対応するファントムの上面で散乱X線の線量を測定した結果、線量は測定上限の9,999μSvを超えていた。
【0078】
このように、シールド装置1を配置すれば、術者Cが被曝するX線の線量を大幅に抑制することができることが確認された。
【0079】
2.3 シールド装置の他の実施形態
CT撮影時に被検者から放出される散乱X線は、照射野に含まれる皮膚表面から放出されるものが圧倒的に多く、患者の体内、照射野以外の被検者体表面から放出される散乱X線は少ない。
【0080】
したがって、上述した実施形態では照射野の領域内に含まれる皮膚表面からの散乱X線をシールドすることを第一の目的としシールド装置1を配置した。
【0081】
しかし、照射野以外の被検者の体から放出される散乱X線も、少ないながら術者を被曝させる放射線となり得る(図2参照)。上記したシールド装置1では直接X線による照射野皮膚表面からの散乱X線はシールドできるが、照射野を挟んでシールド装置1と反対側の被検者の体から放出される散乱X線のシールドは不十分となる。
【0082】
これをシールドするため、図9に示す第二シールド装置を併用する。
【0083】
同図に示すシールドの形態は、上記したシールド装置1と基本的に同じ構成からなる第二シールド装置5を、所定の間隔Sを確保した状態で被検者Tの体軸方向に並べて(直列に)配置し、第二シールド装置5についてはX線ビームBを挟んで術者Cと反対側の被検者Tの体をカバーするように配置している。
【0084】
なお、上記各シールド装置1,5の所定の間隔(開口)Sは、X線ビームBを妨げなければX線ビーム幅BWと同じでよい。実際には機械の振動や穿刺手技に伴うシールド装置の僅かな移動を考慮しX線ビーム幅BWより1から2mm広くしても散乱X線のシールドは十分確保できる。
【0085】
図9に示すツインシールド装置によれば、散乱X線は上記開口Sからのみ漏出することになるため、術者Cへの照射野からの散乱X線の漏出はほとんどなく、照射野以外の領域からの散乱X線の漏出もほとんど発生しない。その結果、散乱X線のシールド効果をさらに高めることが可能になる。
【0086】
2.4 放射線シールド機能付きCT装置
現在市販されているCT透視装置に、図4に示したシールド装置1を用いることは安価で効果的である。
【0087】
また、シールド装置1をベッド固定部あるいはガントリに装着、または脱着することができればより正確にX線ビームに対し、シールド装置1を近接させることが可能になり、手技の度にシールド装置1を配置する必要がない。
【0088】
図10は、ベッド12にシールド装置1のカバー部2およびベース部3を組み込んだ構成を示し、図11は、ガントリに対しアーム9を介してシールド装置1のカバー部2およびベース部3を固定した構成を示している。
【0089】
被検者Tのスライス面の移動と連動しシールド装置1を移動させることができれば、通常生ずる穿刺手技中のスライス面の移動に合わせてシールド装置を移動させる必要がなくなる。ただし、シールド装置1をベッドあるいはガントリに組み込んだほうが被検者Tとシールド装置1との間隔を大きく取りやすく防護には有利である。
【0090】
また、ガントリを傾斜させて被検者Tの体軸と直交しないスライス面でCT透視下穿刺を行うことがある。この場合にはX線ビームBも被検者Tの体軸と直交していないためカバー部2の端部も傾斜をつけたものを使用することが望ましい。
【0091】
2.5 針の穿刺
CT透視下でモニタ画面に表示された陰影(病巣)に穿刺針を刺し、針先を陰影に到達させる場合、穿刺針は常にX線ビーム内を通過するように正確に穿刺を行う必要がある。穿刺針がX線ビーム内から出ると、スライス面に針が映らなくなる等の不都合が生じ、結果として目的とする陰影に針先を到達できなくなる。
【0092】
穿刺を安定させるべく術者が穿刺針を手で握って支持すると、術者の手がX線ビーム内に入り、直接X線により被曝するという問題があるため、現状では、X線ビームから離れた位置で穿刺操作が行える鉗子あるいは穿刺針保持器が用いられている。
【0093】
上記穿刺針保持器は従来公知の構成であるため、詳しく説明しないが、図13に示したように、穿刺器52aの下端を被検者Tの穿刺ポイントに接触させた状態で、操作具52bの操作レバーを引くと、内針が下方に移動して外針から突出し、被検者Tの病巣に到達するようになっている。
【0094】
施術時においては、患者が呼吸するだけでモニタ画面に表示されている陰影の位置が移動したり、また、臓器抵抗があることなどから、鉗子や穿刺針保持器等を介し不安定な状態で針をX線ビーム内で進め針先を目的とする陰影まですばやく刺すという操作は熟練者でなくては難しい。操作に熟練していない者が穿刺を行うと施術に時間がかかり、被検者、術者とも被曝量が増えることになる。
【0095】
これに対し、本実施形態では、保形性を備えたシールド装置1を配置するため、そのシールド装置1の一方端部1a上面に、上記鉗子や穿刺針保持器を支持させて安定させることができ、熟練者でなくとも穿刺操作を正確に行うことが可能になる。
【0096】
さらにまた、図12に示すように、上記シールド装置1の一方端部1aに沿って、円弧方向にガイドレール6を設け、このガイドレール6に案内されて移動することができ且つ任意の位置で固定できる穿刺針保持器7を設け、その穿刺針保持器7を介して穿刺針8を操作すれば、穿刺操作をより正確且つ確実に行えるようになる。
【符号の説明】
【0097】
1 シールド装置(放射線シールド装置)
1a 一方端部
2 カバー部(X線遮蔽カバー部)
2a カバー支持体
2b X線遮蔽シート
2c 立上り部
3 ベース部(X線遮蔽ベース部)
3a ベース支持体
3b X線遮蔽シート
3c 縁部
4 スペーサー
4a 天板
4b 底板
4c 側版
5 第二シールド装置
6 ガイドレール
7 穿刺針保持器
8 穿刺針
9 アーム
10 ガントリ
11 開口部
12 ベッド
M 通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT透視下の治療、検査に好適な放射線シールド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology、以下、IVRと呼ぶ)の手法を用いた治療が年々、増加している。
【0003】
上記IVRとは、病気の診断に用いられてきた放射線診断技術を治療に応用したものであり、例えば、X線透視像や血管造影像または超音波やCT(Computed Tomography)像を見ながら体内にカテーテルや針等を入れ、出来る限り体に傷を残さずに治療を行う、いわゆる非侵襲的な治療方法である。
【0004】
上記IVRに使用されるX線CT装置は、X線を照射するX線管球とそのX線管球から照射されたX線を読み取る読取装置とが、ガントリ内で円周上に対向配置されており、被検者の体軸を中心として、そのX線管球と読取装置が連動して回転することにより、被検者を透過するX線量を読取装置で読み取り、読み取ったデジタルデータをコンピュータ処理することにより被検者の断面(スライス面)画像を形成するようになっている。
【0005】
最近ではスキャンおよび画像再構成が高速化されたX線CT装置を使用することにより、リアルタイムで断層像を監視しながらのフルオロスコピー(Fluoroscopy)、具体的にはCT透視下で被検者の体内に針を進め、例えば腫瘍などの組織を採取することが可能になっている。
【0006】
一方、上記X線管球から照射され被検者を通過したX線は読取装置に入射して断層像情報として処理されるが、X線の一部は被検者の体で散乱し、被検者の照射野周囲に散乱X線として放出される。
【0007】
このような環境において、上記組織採取などで行われる針の穿刺は、連続的にX線を照射しているガントリの近傍で行わなければならないため、術者が上記散乱X線に被曝する可能性は極めて高い。
【0008】
そこで、術者を被曝から防ぐX線防護具としてX線防護掛布が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図13は、上記X線防護掛布(以下、防護掛布と略称する)の使用状態を示したものである。
【0010】
防護掛布50はX線遮蔽性シートから構成されており、被検者Tの体形にフィットするように湾曲させることができ、さらに、X線に近い側の端部50aに、X線遮蔽面として機能する立ち上がり部50bが形成されている。
【0011】
この防護掛布50を被検者Tのスライス面に近接して配置することで、後方散乱X線を大幅に除去できることが特許文献1に記載されている。
【0012】
なお、図中、51はX線CT装置のガントリであり、51aは回転するX線管球からX線が照射されるスリットである。また、52は手指がX線ビーム内に入らないように離れた位置から穿刺を操作するための穿刺針保持器を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−264207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記した従来の防護掛布50は、ベッドの上面側で特定の方向(A方向)に向けて平面的に散乱するX線を防護することを想定しているものの、実際には、図14に示すように、被検者Tに入射したX線は散乱し、散乱X線SBは、上記特定の方向に限らずあらゆる方向に向けて立体的に反射することが確認されている。
【0015】
被曝量は距離の2乗に反比例して増加するにも関わらず、CT透視下での穿刺は術者がX線照射部位に近づかざるを得ず、被曝の危険性は認識されているものの有効なX線防護手段は実現されていないのが実情である。
【0016】
本発明は以上のような従来のX線防護掛布における課題を考慮してなされたものであり、立体的に散乱するX線から術者を確実に防護することができる放射線シールド装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、CT透視下の治療および検査に使用される放射線シールド装置において、
X線CT装置のベッドに設けられ被検者の体軸と略平行な縁部を持つプレート状のX線遮蔽ベース部と、
上記X線遮蔽ベース部の各縁部にアーチ状に架設され、被検者の体の一部を所定の隙間を介して上記体軸まわりにカバーするX線遮蔽カバー部と、
上記X線遮蔽ベース部と上記被検者との間に介設されるスペーサーとから構成される放射線シールド装置である。
【0018】
本発明に従えば、上記放射線シールド装置の一方端部をX線照射野すなわちX線ビームに近づけて配置すると、X線照射野から放出される散乱X線の進路が放射線シールド装置にて遮られる。
【0019】
そのシールドされる領域は、放射線シールド装置の一方端部とX線ビームとの距離、及び放射線シールド装置のカバー部と被検者体表との距離によって決定されるが、このときの上記カバー部内壁と上記被検者の体躯表面との間隔は、X線ビーム幅、被検者の体格、穿刺デバイスの形状、ガントリ開口部の大きさによって決定される。
【0020】
また、被検者とX線遮蔽ベース部との間にも間隔を設ける必要がある。この間隔は上記スペーサーを介設することによって確保することができ、X線ビーム幅、被検者の体格、ガントリ開口部の大きさによって決定される。
【0021】
本発明において、上記X線遮蔽ベース部を遊挿した状態で上記ベッドの長手方向にスライドさせるための通路を上記スペーサーに設けることが好ましい。スペーサーの通路に挿入されたX線遮蔽ベース部は被検者と接触していないため、照射野を決定した後、X線遮蔽ベース部をその通路内でスライドさせることにより、放射線シールド装置をX線ビームに近づけることができる。
【0022】
また、本発明において、上記X線遮蔽カバー部は上記X線遮蔽ベース部に対して着脱自在に構成することができる。
【0023】
また、本発明において、上記X線遮蔽カバー部およびX線遮蔽ベース部は、カバー部およびベース部の各内壁または各外壁にX線遮蔽シートとしての鉛シートを貼着することによって構成することができる。また、上記X線遮蔽シートはタングステン粉末とエラストマー樹脂の複合材料からなるシートで構成することもできる。
【0024】
さらにまた、上記X線遮蔽カバー部およびX線遮蔽ベース部は、鉛、バリウム、タングステンなどX線遮蔽能力の高い素材を含むガラスや樹脂によっても形成することができる。
【0025】
被検者の照射部位、すなわち撮影部位は、CT装置によりコンピュータ制御されたベッドの移動、あるいはガントリ(X線管球)の移動によって決定される。したがって、本発明において、上記構成を有する放射線シールド装置をCT装置のベッドに組み込み、その移動をCT装置によりコンピュータ制御すれば、撮影部位が移動しても放射線シールド装置の一方端部を常にX線ビームに近づけて配置することができる。
【0026】
また、本発明において、上記構成を有する放射線シールド装置を着脱可能にガントリに固定すれば、被検者、ガントリ、寝台の移動にかかわらず常に放射線シールド装置をX線ビームに近づけた配置とすることができる。
【0027】
これら放射線シールド装置のベッドへの組み込み、ガントリへの固定は、高速で撮影部位を移動させる4DスキャナによるCT透視にも対応可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、立体的に散乱するX線から術者を確実に防護することができる放射線シールド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る放射線シールド装置のシールド原理を説明する模式図である。
【図2】本発明に係る放射線シールド装置と散乱X線との関係を示す模式図である。
【図3】本発明に係る放射線シールド装置および被検者間の距離とシールド可能な散乱X線との関係を示す模式図である。
【図4】本発明に係るシールド装置の分解斜視図であり、(a)はX線遮蔽カバー部、(b)はX線遮蔽ベース部の斜視図である。
【図5】本発明に係るスペーサーの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の放射線シールド装置の使用状態を示す斜視図である。
【図7】図6に示す放射線シールド装置の配置を説明する側面図である。
【図8】図6に示す放射線シールド装置の効果を説明する斜視図である。
【図9】本発明のツインシールド装置の使用状態を示す模式図である。
【図10】本発明の放射線シールド装置をベッドに組み込んだ状態を示す模式図である。
【図11】本発明の放射線シールド装置をガントリに固定した状態を示す模式図である。
【図12】本発明の放射線シールド装置に穿刺針保持器を設置した状態を示す模式図である。
【図13】従来のX線防護掛布を示す説明図である。
【図14】従来のX線散乱状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0031】
まず、本発明の放射線シールド装置のシールド原理について説明する。
【0032】
本発明の放射線シールド装置(以下、シールド装置と略称する)は、被検者の体軸まわりをカバーしたシールド装置の一方端部をX線照射野に近接配置してCT透視を行なうように構成されており、それにより、従来、上記X線照射野から立体的に散乱し、X線照射野の近くで操作を行う術者に向けて直線的に進行していた散乱X線を上記シールド装置によってシールドするようになっている。
【0033】
図1において、術者Cが存在する、X線ビームBよりシールド装置側空間の任意の位置を(P位置)とし、被検者Tの任意の部位(E位置)とした場合、術者Cと重なるP位置とE位置との結ぶ直線の間にシールド装置1を介在させると、上記E位置から放出される散乱線が遮ることができる。
【0034】
詳しくは、E位置がX線照射野にあり、そのE位置とX線ビームB近傍で且つシールド装置側の空間にあるP位置とを直線で結ぶ散乱X線は、シールド装置1と干渉することなく略垂直方向に進行し、術者Cはその散乱X線が進行する経路に存在しないためX線量の多い散乱X線を被曝することはない。
【0035】
また、E位置がX線照射野にあり、そのE位置と術者Cと重なるP位置とを直線で結ぶ散乱X線についてはシールド装置1の存在によってその進行が遮られ、それにより、術者CはX線量の多い散乱X線を被曝することはない。
【0036】
さらにまた、E位置がX線照射野から離れて被検者側にある場合、そのE位置と術者Cと重なるP位置とを直線で結んだ場合、シールド装置1によって遮ることができない可能性がある。しかしながら、散乱X線は照射野の皮膚面からの反射が圧倒的に多く、照射野から数cm離れると測定できないレベルまで減衰する。
【0037】
具体的には、照射野から3cm離れた被検者Tの皮膚面からの散乱線は極めて少なくなり、10cm離れると測定下限以下になることが実験によりわかっている。したがって、そのような照射野から離れたE位置から散乱X線を受けて被曝する可能性は少ない。
【0038】
このように、術者Cが受ける散乱線の多くは照射野皮膚面から放出されるため、E位置が被検者の体の任意の位置にあっても、照射野から反射する散乱X線をシールド対象として上記シールド装置1を配置しておけば、術者Cに対し、散乱X線による被曝を大幅に軽減でき安全を確保した状態で治療、検査を行うことができる。
【0039】
なおCTにおけるビーム幅BWは通常10mm以下であるため照射野の幅も10mm以下となる。
【0040】
また、術者Cと照射野の位置関係から、シールド装置1のX線遮蔽カバー部(以下、カバー部と略称する)2と被検者Tの間隔は30mmもあれば術者Cが受ける照射野皮膚面からの散乱X線はシールドできる。
【0041】
ところで、照射野から放出された散乱X線も更なる散乱X線を生じ、術者Cが被曝する原因となり、被検者Tの照射野以外からも散乱X線SBが放出されることになる。これは照射野に近いほど多く放出される(図2参照)。
【0042】
この場合、シールド装置1のカバー部2と被検者Tとの間隔が大きくなるほど照射野からより離れた範囲から放出される散乱X線SBまでシールドすることができることになる(図3参照)。
【0043】
しかしながら、シールド装置1のカバー部2と被検者Tとの間隔が大きくなれば、穿刺デバイス(図示しない)がガントリ(図示しない)と接触し、さらに穿刺デバイスをコントロールするために把持する位置が被検者Tから遠くなり穿刺手技に支障をきたすという問題が生じる。
【0044】
そこで、本発明のカバー部2およびX線遮蔽ベース部(以下、ベース部と略称する)3は、被検者Tから所定の隙間を介して被検者Tの体軸まわりにカバーするように構成されており、上記所定の隙間は30mm以上、150mm以下が好ましい。
【0045】
以下、本発明に係るシールド装置の構成についてさらに詳しく説明する。
【0046】
図4は、シールド装置1の構成を示す分解斜視図であり、同図(a)はシールド装置1のカバー部2を示し、同図(b)はそのカバー部2が載置されて組み合わされるベース部3を示している。
【0047】
図5は、被検者とベース部3に間隔を設けるためのスペーサーの構成を示した斜視図であり、図中、二点鎖線はスペーサーと組み合わされるシールド装置1を示している。
【0048】
1. シールド装置の構成
1.1 カバー部の構成
図4において、カバー部2は、アクリル樹脂を半割筒状に成形したカバー支持体2aと、そのカバー支持体2aの内壁全体に貼着されたX線遮蔽シート2bとから主として構成されている。
【0049】
上記カバー部2は、被検者の体軸に沿って且つ被検者の体の一部を包むようにして配置されるものであり、被検者の体に接触することなくカバーできる大きさに形成されている。
【0050】
詳しくは、上記カバー部2は、被検者の体躯表面に対し所定の隙間を確保した状態で、体躯の一部を体軸まわりにアーチ状に覆うことができるように構成されている。
【0051】
本実施形態では、例えば高さH:300mm、幅W:500mm、長さL:700mmに形成されており、厚みtは5mmである。なお、上記サイズは例示であり、患者の体躯に応じて適宜決定されるものである。
【0052】
また、逆U字状に配置される上記カバー部2の各脚部は、高さh:120mmまでは略垂直に立ち上がる立上り部2cとして形成されている。カバー部2の断面形状は人体の躯幹部分に合わせた形状となっており、その断面形状が大き過ぎるとカバー部2とガントリの間で行う穿刺デバイスの操作の妨げになり、また、小さ過ぎると被検者と接触する。
【0053】
したがって、カバー部2のサイズと形状は被検者の体の部分(頭部、躯幹、四肢)やガントリ開口部のサイズに合わせて適宜変更するものとする。ただし、被検者とシールド装置1のカバー部2との間隔が大きいほうが術者の防護には有利である。
【0054】
上記カバー支持体2aの内壁全面にはX線遮蔽シート2bが貼着されており、本実施形態ではこのX線遮蔽シート2bとして厚さ0.5mmの鉛シートを使用している。
【0055】
なお、X線遮蔽シート2bとしては、X線を遮蔽することができるものであれば上記鉛シートに限らず、例えば、タングステン粉末とエラストマー樹脂との複合材料からなるシートを使用することもできる。
【0056】
また、X線遮蔽シート2bを貼着するのに代えて、X線遮蔽材料の粒子をカバー支持体2aの構成素材中に含有させたものでカバー部2を構成することもできる。具体的には、鉛、バリウム、タングステンなどのX線遮蔽能力の高い素材を含むガラスや樹脂で構成することもできる。
【0057】
1.2 ベース部の構成
X線CT装置のベッド上に配置されるベース部3は、アクリル樹脂を板状に成形したベース支持体3aと、そのベース支持体3aの上面全体に貼着されたX線遮蔽シート3bとから主として構成されている。
【0058】
ベース部3の幅方向両端には、上記カバー部2を載置するだけで位置決めできるように被検者の体軸と略平行な縁部3c,3cがそれぞれ立設されており、それら縁部3c,3cの内幅W′は上記カバー部2の幅Wよりも若干大きく形成され、また、ベース部3の長さLは上記カバー部2の長さLと同じである。
【0059】
また、上記X線遮蔽シート3bは上記X線遮蔽シート2bと同様に、厚さ0.5mmの鉛シートを使用しているが、上記複合材料からなるシートであってもよく、また、上記したようにX線遮蔽材料の粒子を含有させたものでベース部3を構成することもできる。
【0060】
1.3 スペーサーの構成
図5において、X線CT装置のベッド上に載置されるスペーサー4は、アクリル樹脂製の天板4aと底板4bを平行に配置し、それら天板4aと底板4bの間に隙間Iからなる通路Mが設けられている。
【0061】
この通路Mは、上記ベース部の縁部3c,3cの高さより大きいサイズからなる側板4cを、天板4aと底板4bの長手方向端部にそれぞれ挟み込むことによって形成されている。
【0062】
上記スペーサー4の幅Jは、上記カバー部2の幅Wより狭く形成されている。スペーサー4の長さKはカバー部2の長さLより長く本実施形態では800mmに形成したが、被検者の身長分あるほうが好ましい。
【0063】
隙間Iに上記構成からなるベース部3を横方向から差し込み、そのベース部3の長手方向中心軸とスペーサー4の長手方向中心軸が一致するように両者を位置決めし、さらに、ベース部3の縁部3c,3cに跨がるようにして上記カバー部2を架設すれば、ベース部3とカバー部2とが組み合わされ、全体としてトンネル状のシールド装置1が構成されるようになっている。そして、この状態でシールド装置1を通路M内で矢印N方向にスライドさせることができる。
【0064】
術者Cが存在する、X線ビームBよりシールド装置側空間の任意の位置Pと被検者の任意の部位E(図1参照)を結ぶ直線の間にシールド装置1を介在させると、E部位から放出される散乱線をシールドできる。
【0065】
したがって上記構成を有するシールド装置1の一方端部をX線照射野に近づけて配置した際に、術者に対して向かう散乱線が放出される被検者の部位をどの範囲までシールドするかによってカバー部2の径方向サイズが決められ、このときのカバー部2と被検者の体躯表面との間隔が上記所定の隙間となる。
【0066】
なお、上記実施形態ではX線遮蔽シート2bおよび3bを、カバー支持体2aの内壁およびベース支持体3aの内壁にそれぞれ貼着したが、各支持体2a,3aの外壁に貼着したものであってもよい。
【0067】
2. シールド装置の使用方法
図6は上記シールド装置1の使用状態を示した斜視図である。
【0068】
X線CT装置におけるガントリ10の開口部11をベッド12がZ軸方向に移動するか、あるいはガントリがZ軸方向に移動するようになっており、ベッド12上に図5に示したスペーサー4が置かれ、その上に被検者Tが寝かされている。
【0069】
なお、本実施形態で使用したX線CT装置はシーメンス社製のSOMATON Sensation 16であり、CT画像のリアルタイム再構成とその連続表示が可能である。
【0070】
シールド装置1は、被検者Tの体の一部をその体軸まわりにカバーするようにして配置される。
【0071】
詳しくは、シールド装置1のベース部3は、被検者Tの背面とベッド12の間に位置し、シールド装置1の断面円弧状のカバー部2は、被検者Tの正面および側面の両方に跨がった被検者Tの近傍に位置する。
【0072】
2.1 シールド装置の位置決め
図7に示すように、シールド装置1の筒軸方向の一方端部1aを、照射されるX線ビームBに対しできる限り近づけて配置する。
【0073】
X線ビームBを妨げなければ理論上シールド装置1とX線ビームBとの距離は0mmでもよい。実際には、機械の振動や穿刺手技に伴うシールド装置1の僅かな移動を考慮して1から2mm程度、X線ビームBより離しても散乱X線のシールドは十分可能である。
【0074】
2.2 シールド装置による効果
図8は、被検者Tの体の一部を本実施形態のシールド装置1によって覆った状態でCT透視下での施術を行っている状態を示したものである。
【0075】
従来のX線の散乱状態を示した図14と比較すると明らかなように、シールド装置1によって散乱X線SBが抑制されており、具体的には、被検者Tの照射野で散乱し直線的に術者Cに向かう方向の散乱X線がシールド装置1の一方端部1aにより抑制されている。なお、図8では散乱X線SBの散乱状態を明確にするため、ガントリ10は二点鎖線で示している。
【0076】
シールド装置1は被検者Tの体軸まわりに筒状に配置され、シールド装置1のベース部3と被検者Tとはスペーサー4を介して間隔が設けられているため、ベッド12の下方についても、シールド装置1の一方端部1aが、直線的に術者Cに向かう方向の散乱X線を抑制している。
【0077】
シールド装置1における一方端部1aの頂部(測定点D)から50mm上方、50mm術者側の位置(穿刺デバイスを操作する手の位置を再現)にデジタル線量計を置き、胸部ファントムを被検者とし、CT透視下肺生検を想定して1分間CT透視を行い、散乱X線の線量を測定した結果、漏出する線量は273μSvであった。一方、シールド装置1を配置せず、上記測定点Dと対応するファントムの上面で散乱X線の線量を測定した結果、線量は測定上限の9,999μSvを超えていた。
【0078】
このように、シールド装置1を配置すれば、術者Cが被曝するX線の線量を大幅に抑制することができることが確認された。
【0079】
2.3 シールド装置の他の実施形態
CT撮影時に被検者から放出される散乱X線は、照射野に含まれる皮膚表面から放出されるものが圧倒的に多く、患者の体内、照射野以外の被検者体表面から放出される散乱X線は少ない。
【0080】
したがって、上述した実施形態では照射野の領域内に含まれる皮膚表面からの散乱X線をシールドすることを第一の目的としシールド装置1を配置した。
【0081】
しかし、照射野以外の被検者の体から放出される散乱X線も、少ないながら術者を被曝させる放射線となり得る(図2参照)。上記したシールド装置1では直接X線による照射野皮膚表面からの散乱X線はシールドできるが、照射野を挟んでシールド装置1と反対側の被検者の体から放出される散乱X線のシールドは不十分となる。
【0082】
これをシールドするため、図9に示す第二シールド装置を併用する。
【0083】
同図に示すシールドの形態は、上記したシールド装置1と基本的に同じ構成からなる第二シールド装置5を、所定の間隔Sを確保した状態で被検者Tの体軸方向に並べて(直列に)配置し、第二シールド装置5についてはX線ビームBを挟んで術者Cと反対側の被検者Tの体をカバーするように配置している。
【0084】
なお、上記各シールド装置1,5の所定の間隔(開口)Sは、X線ビームBを妨げなければX線ビーム幅BWと同じでよい。実際には機械の振動や穿刺手技に伴うシールド装置の僅かな移動を考慮しX線ビーム幅BWより1から2mm広くしても散乱X線のシールドは十分確保できる。
【0085】
図9に示すツインシールド装置によれば、散乱X線は上記開口Sからのみ漏出することになるため、術者Cへの照射野からの散乱X線の漏出はほとんどなく、照射野以外の領域からの散乱X線の漏出もほとんど発生しない。その結果、散乱X線のシールド効果をさらに高めることが可能になる。
【0086】
2.4 放射線シールド機能付きCT装置
現在市販されているCT透視装置に、図4に示したシールド装置1を用いることは安価で効果的である。
【0087】
また、シールド装置1をベッド固定部あるいはガントリに装着、または脱着することができればより正確にX線ビームに対し、シールド装置1を近接させることが可能になり、手技の度にシールド装置1を配置する必要がない。
【0088】
図10は、ベッド12にシールド装置1のカバー部2およびベース部3を組み込んだ構成を示し、図11は、ガントリに対しアーム9を介してシールド装置1のカバー部2およびベース部3を固定した構成を示している。
【0089】
被検者Tのスライス面の移動と連動しシールド装置1を移動させることができれば、通常生ずる穿刺手技中のスライス面の移動に合わせてシールド装置を移動させる必要がなくなる。ただし、シールド装置1をベッドあるいはガントリに組み込んだほうが被検者Tとシールド装置1との間隔を大きく取りやすく防護には有利である。
【0090】
また、ガントリを傾斜させて被検者Tの体軸と直交しないスライス面でCT透視下穿刺を行うことがある。この場合にはX線ビームBも被検者Tの体軸と直交していないためカバー部2の端部も傾斜をつけたものを使用することが望ましい。
【0091】
2.5 針の穿刺
CT透視下でモニタ画面に表示された陰影(病巣)に穿刺針を刺し、針先を陰影に到達させる場合、穿刺針は常にX線ビーム内を通過するように正確に穿刺を行う必要がある。穿刺針がX線ビーム内から出ると、スライス面に針が映らなくなる等の不都合が生じ、結果として目的とする陰影に針先を到達できなくなる。
【0092】
穿刺を安定させるべく術者が穿刺針を手で握って支持すると、術者の手がX線ビーム内に入り、直接X線により被曝するという問題があるため、現状では、X線ビームから離れた位置で穿刺操作が行える鉗子あるいは穿刺針保持器が用いられている。
【0093】
上記穿刺針保持器は従来公知の構成であるため、詳しく説明しないが、図13に示したように、穿刺器52aの下端を被検者Tの穿刺ポイントに接触させた状態で、操作具52bの操作レバーを引くと、内針が下方に移動して外針から突出し、被検者Tの病巣に到達するようになっている。
【0094】
施術時においては、患者が呼吸するだけでモニタ画面に表示されている陰影の位置が移動したり、また、臓器抵抗があることなどから、鉗子や穿刺針保持器等を介し不安定な状態で針をX線ビーム内で進め針先を目的とする陰影まですばやく刺すという操作は熟練者でなくては難しい。操作に熟練していない者が穿刺を行うと施術に時間がかかり、被検者、術者とも被曝量が増えることになる。
【0095】
これに対し、本実施形態では、保形性を備えたシールド装置1を配置するため、そのシールド装置1の一方端部1a上面に、上記鉗子や穿刺針保持器を支持させて安定させることができ、熟練者でなくとも穿刺操作を正確に行うことが可能になる。
【0096】
さらにまた、図12に示すように、上記シールド装置1の一方端部1aに沿って、円弧方向にガイドレール6を設け、このガイドレール6に案内されて移動することができ且つ任意の位置で固定できる穿刺針保持器7を設け、その穿刺針保持器7を介して穿刺針8を操作すれば、穿刺操作をより正確且つ確実に行えるようになる。
【符号の説明】
【0097】
1 シールド装置(放射線シールド装置)
1a 一方端部
2 カバー部(X線遮蔽カバー部)
2a カバー支持体
2b X線遮蔽シート
2c 立上り部
3 ベース部(X線遮蔽ベース部)
3a ベース支持体
3b X線遮蔽シート
3c 縁部
4 スペーサー
4a 天板
4b 底板
4c 側版
5 第二シールド装置
6 ガイドレール
7 穿刺針保持器
8 穿刺針
9 アーム
10 ガントリ
11 開口部
12 ベッド
M 通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CT透視下の治療および検査に使用される放射線シールド装置において、
X線CT装置のベッドに設けられ被検者の体軸と略平行な縁部を持つプレート状のX線遮蔽ベース部と、
上記X線遮蔽ベース部の各縁部にアーチ状に架設され、被検者の体の一部を所定の隙間を介して上記体軸まわりにカバーするX線遮蔽カバー部と、
上記X線遮蔽ベース部と上記被検者との間に介設されるスペーサーとから構成されることを特徴とする放射線シールド装置。
【請求項2】
上記X線遮蔽ベース部を遊挿した状態で上記ベッドの長手方向にスライドさせるための通路が上記スペーサーに設けられている請求項1記載の放射線シールド装置。
【請求項3】
上記カバー部が上記ベース部に対して着脱自在に構成されている請求項1または2記載の放射線シールド装置。
【請求項4】
上記X線遮蔽カバー部および上記X線遮蔽ベース部は、カバー部およびベース部の各内壁または各外壁にX線遮蔽シートを貼着したものからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線シールド装置。
【請求項5】
上記X線遮蔽シートが、鉛シートもしくはタングステン粉末とエラストマー樹脂の複合材料からなるシートで構成されている請求項4記載の放射線シールド装置。
【請求項6】
上記X線遮蔽カバー部および上記X線遮蔽ベース部が、鉛、バリウム、タングステンなどのX線遮蔽能力の高い素材を含むガラスまたは樹脂からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線シールド装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線シールド装置をCT装置のベッドに組み込み、ベッドの移動に随伴させるように構成したことを特徴とする放射線シールド機能付きCT装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線シールド装置を、着脱可能にガントリに固定したことを特徴とする放射線シールド機能付きCT装置。
【請求項1】
CT透視下の治療および検査に使用される放射線シールド装置において、
X線CT装置のベッドに設けられ被検者の体軸と略平行な縁部を持つプレート状のX線遮蔽ベース部と、
上記X線遮蔽ベース部の各縁部にアーチ状に架設され、被検者の体の一部を所定の隙間を介して上記体軸まわりにカバーするX線遮蔽カバー部と、
上記X線遮蔽ベース部と上記被検者との間に介設されるスペーサーとから構成されることを特徴とする放射線シールド装置。
【請求項2】
上記X線遮蔽ベース部を遊挿した状態で上記ベッドの長手方向にスライドさせるための通路が上記スペーサーに設けられている請求項1記載の放射線シールド装置。
【請求項3】
上記カバー部が上記ベース部に対して着脱自在に構成されている請求項1または2記載の放射線シールド装置。
【請求項4】
上記X線遮蔽カバー部および上記X線遮蔽ベース部は、カバー部およびベース部の各内壁または各外壁にX線遮蔽シートを貼着したものからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線シールド装置。
【請求項5】
上記X線遮蔽シートが、鉛シートもしくはタングステン粉末とエラストマー樹脂の複合材料からなるシートで構成されている請求項4記載の放射線シールド装置。
【請求項6】
上記X線遮蔽カバー部および上記X線遮蔽ベース部が、鉛、バリウム、タングステンなどのX線遮蔽能力の高い素材を含むガラスまたは樹脂からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線シールド装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線シールド装置をCT装置のベッドに組み込み、ベッドの移動に随伴させるように構成したことを特徴とする放射線シールド機能付きCT装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線シールド装置を、着脱可能にガントリに固定したことを特徴とする放射線シールド機能付きCT装置。
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図6】
【図7】
【図8】
【図12】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開2010−279622(P2010−279622A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136622(P2009−136622)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(500409219)学校法人関西医科大学 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(500409219)学校法人関西医科大学 (36)
【Fターム(参考)】
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