説明

放射線モニタ

【課題】外来ノイズの混入を容易に、かつ、確実に防止することができる放射線モニタを提供すること。
【解決手段】放射線モニタ10は、放射線を検出可能な放射線検出部を備える放射線検出器11と、放射線検出部を除きその検出器と同一の構成からなる、放射線を検出不可能なダミー放射線検出器12と、を備える。そして、放射線モニタ10は、放射線検出器11によって送信された検出器信号及びダミー放射線検出器12によって送信されたダミー検出器信号を受信し、検出器信号の受信時に当該検出器信号と同時にダミー検出器信号を受信したか否かを判定し、同時でないと判定した場合には、検出器信号を出力する。そして、放射線モニタ10は、同時であると判定した場合には、検出器信号をノイズと判断し、検出器信号を出力部132に出力しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズをカットできる放射線モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線を取り扱う原子力発電所等の施設には、放射線モニタ(電離箱式、NaI式、半導体式、GM管式等)が設置されている。放射線モニタは、放射線を検出する検出器と、検出した放射線の線量を表示する当量率計や記録計等から構成され、放射線を測定する。
【0003】
ここで、放射線モニタが異常な値を示した際、「実際に放射線レベルが上昇したのか」、又は「電気的ノイズ等の外乱で上昇したのか」のいずれであるかを判別する必要がある。このような判別は、担当者の経験に頼る面が多く、客観的に判断できない場合がある。また、電気的ノイズは再現しないことがほとんどであるので、ノイズの原因究明は困難な場合が多い。このようなノイズに対し、外来ノイズの混入を防止する技術を開示する特許文献1が知られている。
【0004】
特許文献1に開示される放射線モニタは、放射線を検出してアナログ信号パルスを出力する1個又は複数の半導体センサをそれぞれ有している。そして、特許文献1に開示される放射線モニタは、2つのグループに分けて備えられた第1及び第2の半導体検出器から出力されるアナログ信号パルスを入力し、波高値が所定の弁別レベル以上で、かつ非同時タイミングという条件を満たすパルスを計数することによって、外来ノイズが混入することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−57354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される放射線モニタは、2つのグループに分けて備えられた検出器が必要であるが、2つのグループの検出器がそれぞれ正常に放射線を検出する必要がある。また、放射線を監視すべき区域や、監視すべき対象が多い場合には、2つのグループに分けて正常な検出器を備えなければならないので、設置費用が多大になる。
【0007】
そこで、外来ノイズの混入を容易に、かつ、確実に防止することができる放射線モニタが求められている。
【0008】
本発明は、外来ノイズの混入を容易に、かつ、確実に防止することができる放射線モニタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1) 放射線を測定する放射線モニタであって、放射線を検出可能な放射線検出部を備える検出器と、前記放射線検出部を除き前記検出器と同一の構成からなる、放射線を検出不可能なダミー検出器と、前記検出器によって送信された検出器信号及び前記ダミー検出器によって送信されたダミー検出器信号を受信可能な出力判定部と、を備え、前記出力判定部は、前記検出器信号の受信時に当該検出器信号と同時に前記ダミー検出器信号を受信したか否かを判定する検出信号比較手段と、前記検出信号比較手段によって同時でないと判定された場合には、前記検出器信号を出力する出力手段と、を備える放射線モニタ。
【0011】
(1)の構成によれば、本発明に係る放射線モニタは、放射線を検出可能な放射線検出部を備える検出器と、放射線検出部を除き検出器と同一の構成からなる、放射線を検出不可能なダミー検出器と、を備える。そして、本発明に係る放射線モニタは、検出器信号の受信時に、この検出器信号と同時にダミー検出器信号を受信したか否かを判定する。このとき、ダミー検出器は、放射線検出部を除き検出器と同一の構成であるため、検出器信号とダミー検出器信号とを同時に受信した場合には、放射線以外のノイズを検知したことになる。
そこで、本発明に係る放射線モニタは、検出信号比較手段によって同時でないと判定された場合に、検出器信号を出力する。これにより、本発明に係る放射線モニタは、放射線以外のノイズを検知した場合(すなわち、ダミー検出器が反応した場合)を除くことができ、外来ノイズの混入を容易に、かつ、確実に防止することができる。
【0012】
(2) 前記出力判定部は、受信した前記検出器信号及び前記ダミー検出器信号を記憶する検出信号記憶手段を備える(1)に記載の放射線モニタ。
【0013】
(2)の構成によれば、放射線モニタは、受信した検出器信号及びダミー検出器信号を記憶する検出信号記憶手段を備える。したがって、(2)に係る放射線モニタは、記憶させた検出器信号及びダミー検出器信号によって、信号変動の状況についての客観的なデータを記録し、管理者に提供することができる。
【0014】
(3) 前記出力判定部は、前記出力手段によって出力された検出器信号を記憶する出力記憶手段を備える(2)に記載の放射線モニタ。
【0015】
(3)の構成によれば、放射線モニタは、出力された検出器信号を記憶する出力記憶手段を備える。したがって、(3)に係る放射線モニタは、記憶させた出力された検出器信号によって、信号変動の状況についての客観的な、詳細なデータを記録し、管理者に提供することができる。
【0016】
(4) 前記出力手段から出力された信号を伝送する第1の伝送路と、前記出力手段から出力された信号を伝送する、前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路と、前記第1の伝送路から伝送された第1信号及び前記第2の伝送路から伝送された第2信号を受信し、報知する報知部と、を備え、前記報知部は、前記第1信号と、前記第2信号とを比較し、同時に受信されたか否かを判定する伝送信号比較手段、を備え、前記伝送信号比較手段によって前記第1信号と前記第2信号とが同時に受信されたと判定された場合には、当該信号を報知する、(1)から(3)のいずれかに記載の放射線モニタ。
【0017】
(4)の構成によれば、放射線モニタは、信号を伝送する第1の伝送路と、第1の伝送路とは異なる第2の伝送路とを備える。そして、放射線モニタは、第1の伝送路から伝送された第1信号と、第2の伝送路から伝送された第2信号とを比較し、同時に受信したか否かを判定し、第1信号と第2信号とを同時に受信したと判定した場合には、当該信号を報知する。
【0018】
すなわち、(4)に係る放射線モニタは、検出器信号とダミー検出器信号とを同時に受信しなかった場合には、検出器信号を第1の伝送路及び第2の伝送路に出力する。そして、(4)に係る放射線モニタは、第1の伝送路と、第2の伝送路とから伝送した第1信号及び第2信号を同時に受信した場合には、当該信号を報知する。したがって、(4)の放射線モニタは、外来ノイズの混入をさらに確実に防止することができる。
【0019】
(5) 前記報知部は、受信した前記第1信号及び前記第2信号を記憶する伝送信号記憶手段を備える(4)に記載の放射線モニタ。
【0020】
したがって、(5)に係る放射線モニタは、記憶させた検出器信号及びダミー検出器信号と、記憶させた第1信号及び第2信号とによって、信号変動の状況についての客観的なデータを記録し、管理者に提供することができる。
【0021】
(6) 前記報知部は、報知する信号を記憶する報知出力記憶手段を備える(5)に記載の放射線モニタ。
【0022】
したがって、(6)に係る放射線モニタは、記憶させた検出器信号及びダミー検出器信号と、記憶させた出力された検出器信号と、記憶させた第1信号及び第2信号と、記憶させた報知する信号とによって、信号変動の状況についてのさらに客観的な、詳細なデータを記録し、管理者に提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る放射線モニタは、外来ノイズの混入を容易に、かつ、確実に防止することができる。そして、本発明に係る放射線モニタは、異常事象の発生を低減させることができ、外来ノイズが発生する原因を究明するための客観的なデータを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る放射線モニタの機能を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る放射線モニタの出力判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る放射線モニタの別実施形態の機能を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る放射線モニタの上記別実施形態における出力判定処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る放射線モニタの上記別実施形態における報知処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る放射線モニタ10の機能を示す機能ブロック図である。放射線モニタ10は、放射線を検出可能な検出器としての放射線検出器11と、放射線を検出不可能なダミー検出器としてのダミー放射線検出器12と、出力判定部としての出力判定部13と、報知部14と、記録計15とを備える。そして、出力判定部13は、検出信号記憶部としての検出信号記憶部21と、検出信号比較手段としての検出信号比較部131と、出力手段としての出力部132と、出力記憶手段としての出力記憶部23とを備える。このような放射線モニタ10について、各部ごとに詳述する。
【0027】
放射線検出器11は、放射線を検出可能な放射線検出部を備え、放射線を検出可能な検出器である。放射線検出部は、例えば、電離ガスによる電離箱式や、フォトマルによるNaI式等により、放射線を検出可能である。放射線検出器11は、放射線検出部によって放射線を検出し、アナログ信号やデジタル信号に変換し、送信する。
【0028】
ダミー放射線検出器12は、放射線検出部を除き検出器と同一の構成からなる、放射線を検出不可能なダミー検出器である。すなわち、ダミー放射線検出器12は、放射線検出器11から放射線検出部を除き放射線を検出不可能にした検出器であって、内部構造や信号処理、印加電圧等は放射線検出器11と同じ検出器である。例えば、放射線検出部が上述の電離箱式であれば、ダミー放射線検出器12は、電離ガスが抜かれ、放射線に反応できない状態にされた検出器である。同様に、放射線検出部がNaI式であれば、ダミー放射線検出器12は、フォトマルが抜かれ、放射線に反応できない状態にされた検出器である。すなわち、ダミー放射線検出器12は、放射線以外について放射線検出器11と同様に反応する。放射線検出器11とダミー放射線検出器12とは、放射線以外について同様に反応させるために近傍に設置される。
【0029】
出力判定部13は、放射線検出器11によって送信された検出器信号と、ダミー放射線検出器12によって送信されたダミー検出器信号とを受信する。次に、出力判定部13は、検出信号記憶部21に、検出器信号とダミー検出器信号とを記憶させる。例えば、出力判定部13は、検出器信号を、受信した時間と共に検出信号記憶部21に検出器信号として記憶させ、ダミー検出器信号を、受信した時間と共に検出信号記憶部21にダミー検出器信号として記憶させる。受信した時間は、放射線モニタ10が動作を開始した時点から起算した時間でよい。
【0030】
そして、検出信号比較部131は、検出器信号の受信時に当該検出器信号と同時にダミー検出器信号を受信したか否かを判定する。例えば、検出信号比較部131は、閾値以上である検出器信号が受信された時点で、閾値以上であるダミー検出器信号も受信された場合に、検出器信号とダミー検出器信号とが同時に受信されたと判定する。検出信号比較部131は、検出器信号とダミー検出器信号との受信時間の差が所定の範囲内である場合に同時と判定する。
【0031】
検出信号比較部131は、検出器信号とダミー検出器信号とを同時に受信していないと判定した場合には、検出器信号を出力部132に出力する。他方、検出信号比較部131は、検出器信号とダミー検出器信号とを同時に受信したと判定した場合には、検出器信号をノイズと判断し、検出器信号を出力部132に出力しない。ここで、ダミー放射線検出器12は、放射線検出部を除き放射線検出器11と同一の構成であるため、出力判定部13は、検出器信号とダミー検出器信号とを同時に受信した場合には、放射線以外の何らかのノイズも受信していることになる。一方、出力判定部13は、検出器信号のみ受信し、ダミー検出器信号を受信していない場合には、放射線に基づく信号を受信していることになる。
【0032】
出力部132は、検出信号比較部131から出力された検出器信号を、報知部14に出力する。出力記憶部23は、出力部132から出力される検出器信号を記憶する。
【0033】
報知部14は、出力部132によって出力された信号に基づいて報知する。例えば、報知部14は、出力された信号に基づいて当量率計によって放射線量を表示する。さらに、報知部14は、出力された信号を記録計15に出力し、記録計15は出力された信号を記録する。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る放射線モニタ10の出力判定処理の内容を示すフローチャートである。放射線モニタ10は、本処理によって出力した検出器信号に基づいて報知部14によって放射線量を表示させ、記録計15に記録させる。本処理は、信号を受信した指令により開始し、処理の終了により終了する。
【0035】
ステップS101において、出力判定部13は、検出器信号及びダミー検出器信号を記憶させる。より具体的には、出力判定部13は、放射線検出器11から受信した検出器信号を受信した時間と共に、検出信号記憶部21に検出器信号として記憶させる。出力判定部13は、ダミー放射線検出器12から受信したダミー検出器信号を受信した時間と共に、検出信号記憶部21にダミー検出器信号として記憶させる。その後、出力判定部13は、処理をステップS102に移す。
【0036】
ステップS102において、出力判定部13は、放射線検出器11から受信か否かを判断する。より具体的には、出力判定部13は、検出器信号のレベルが閾値以上であるか否かを判断する。この判断がYESの場合、処理をステップS103に移し、NOの場合、出力判定部13は、処理を終了する。
【0037】
ステップS103において、出力判定部13は、ダミー放射線検出器12から受信か否かを判断する。より具体的には、出力判定部13は、ダミー検出器信号のレベルが閾値以上であるか否かを判断する。この判断がYESの場合、処理を終了し、NOの場合、出力判定部13は、処理をステップS104に移す。
【0038】
ステップS104において、出力判定部13は、検出器信号を出力し、出力記憶部23に記憶させる。その後、出力判定部13は、処理を終了する。
【0039】
実施形態1によれば、放射線モニタ10は、放射線を検出可能な放射線検出部を備える放射線検出器11と、放射線検出部を除き検出器と同一の構成からなる、放射線を検出不可能なダミー放射線検出器12と、を備える。そして、放射線モニタ10は、放射線検出器11によって送信された検出器信号及びダミー放射線検出器12によって送信されたダミー検出器信号を受信し、検出器信号の受信時に当該検出器信号と同時にダミー検出器信号を受信したか否かを判定し、同時でないと判定した場合には、検出器信号を出力する。そして、放射線モニタ10は、同時であると判定した場合には、検出器信号をノイズと判断し、検出器信号を出力部132に出力しない。さらに、放射線モニタ10は、受信した検出器信号及びダミー検出器信号を検出信号記憶部21に記憶させ、出力信号を出力記憶部23に記憶させる。したがって、放射線モニタ10は、外来ノイズの混入を容易に、かつ、確実に防止することができ、記憶させた検出器信号及びダミー検出器信号によって、信号変動の状況についての客観的な、詳細なデータを記録し、管理者に提供することができる。
【0040】
[実施形態2]
図3は、本発明の一実施形態に係る放射線モニタ10aの別実施形態の機能を示す機能ブロック図である。放射線モニタ10aは、実施形態1に加えて、出力判定部13aが、第1の伝送路としての第1伝送路31と、第2の伝送路としての第2伝送路32とを有する出力部132aを備え、報知部14aが、伝送信号比較手段としての伝送信号比較部141と、伝送信号記憶手段としての伝送信号記憶部22と、報知出力部142と、報知出力記憶部24とを備える。なお、実施形態1の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0041】
出力部132aは、検出器信号とダミー検出器信号とが同時でないと判定された場合の検出器信号を第1伝送路31及び第2伝送路32に出力する。第1伝送路31は、出力部132aから出力された信号を伝送する。第2伝送路32は、第1伝送路31とは別に設けられ、出力部132aから出力された信号を伝送する。第1伝送路31と第2伝送路32とは、異なる経路をとることとしてもよく、同一の経路(同一のケーブル内に2本の別の伝送路を設ける)をとることとしてもよい。
【0042】
報知部14aは、第1伝送路31から伝送された第1信号及び第2伝送路32から伝送された第2信号を受信し、受信した時間と共に伝送信号記憶部22に第1信号及び第2信号として記憶させる。受信した時間は、放射線モニタ10aが動作を開始した時点から起算した時間でよい。報知部14aは、出力判定部13aから離れた場所(例えば、中央管理制御室のように数km離れた場所)に設置される。
【0043】
伝送信号比較部141は、第1信号と、第2信号とを比較し、同時に受信されたか否かを判定する。そして、報知部14aは、伝送信号比較部141によって第1信号と第2信号とが同時に受信されたと判定された場合には、当該信号を、報知出力部142に出力する。例えば、報知部14aは、同時に受信されたと判定された第1信号と第2信号との信号レベルが異なる場合には、信号レベルが小さい方の信号を、報知出力部142に出力する。
【0044】
ここで、報知部14aは、出力判定部13aから離れた場所に設置されているため、信号を伝送する伝送路の途中で電気的なノイズが混入する場合がある。実施形態2の放射線モニタ10aは、離れた場所に伝送する途中で混入されたノイズを容易に、かつ、確実に除去することを特徴とする。
【0045】
すなわち、伝送信号比較部141は、第1信号と第2信号とを同時に受信した場合には、出力部132aから出力された信号であると判断する一方で、第1信号と第2信号とを同時に受信しない場合には(例えば、一方のみから受信した場合には)、伝送路の途中で混入されたノイズであると判断する。
【0046】
報知出力部142は、出力された信号を記録計15に出力し、報知出力記憶部24は、報知出力部142によって出力された信号を記憶する。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態に係る放射線モニタ10aの上記別実施形態における出力判定処理の内容を示すフローチャートである。本処理は、信号を受信した指令により開始し、処理の終了により終了する。
【0048】
ステップS201からステップS203は、実施形態1のステップS101からステップS103と同様である。ステップS204において、出力判定部13aは、第1伝送路31及び第2伝送路32に検出器信号を出力し、出力記憶部23にそれぞれ記憶させる。その後、出力判定部13aは、処理を終了する。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態に係る放射線モニタ10aの上記別実施形態における報知処理の内容を示すフローチャートである。本処理は、信号を受信した指令により開始し、処理の終了により終了する。
【0050】
ステップS211において、報知部14aは、第1信号及び第2信号を記憶させる。より具体的には、報知部14aは、第1伝送路31から受信した第1信号及び第2伝送路32から受信した第2信号を、受信した時間と共に伝送信号記憶部22に第1信号及び第2信号として記憶させる。その後、報知部14aは、処理をステップS212に移す。
【0051】
ステップS212において、報知部14aは、第1伝送路31から受信したか否かを判断する。より具体的には、報知部14aは、第1伝送路31から受信した第1信号のレベルが閾値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、処理をステップS213に移し、NOの場合、出力判定部13aは、処理をステップS215に移す。
【0052】
ステップS213において、報知部14aは、第2伝送路32から受信したか否かを判断する。より具体的には、報知部14aは、第2伝送路32から受信した第2信号のレベルが閾値以上か否かを判断する。この判断がYESの場合、処理をステップS214に移し、NOの場合、報知部14aは、処理をステップS215に移す。
【0053】
ステップS214において、報知部14aは、受信した伝送信号のパルス信号に基づいて当量率計によって放射線量を表示し、記録計15に出力し、出力した信号を報知出力記憶部24に記憶させる。より具体的には、報知部14aは、第1信号と第2信号との信号レベルが異なる場合には、信号レベルが小さい方の信号を報知する。その後、報知部14aは、処理を終了する。
【0054】
ステップS215において、報知部14aは、第1伝送路31又は第2伝送路32の一方のみから信号を受信してもノイズと判断し、表示しない。その後、報知部14aは、処理を終了する。
【0055】
実施形態2によれば、実施形態1に加えて、放射線モニタ10aは、信号を伝送する第1伝送路31と、第1伝送路31とは異なる第2伝送路32とを備える。そして、放射線モニタ10aは、第1伝送路31から伝送された第1信号と、第2伝送路32から伝送された第2信号とを比較し、同時に受信したか否かを判定し、第1信号と第2信号とを同時に受信したと判定した場合には、当該信号を報知する。さらに、放射線モニタ10aは、受信した第1信号及び第2信号を伝送信号記憶部22に記憶させ、出力信号を報知出力記憶部24に記憶させる。したがって、放射線モニタ10aは、外来ノイズの混入をさらに確実に防止することができ、記憶させた第1信号、第2信号及び出力信号によって、信号変動の状況についてのさらに客観的な、詳細なデータを記録し、管理者に提供することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0057】
例えば、実施形態1及び実施形態2では、放射線検出器11と、ダミー放射線検出器12とを同一の出力判定部13(13a)に接続するとしたが、放射線検出器11とダミー放射線検出器12とで異なる出力判定部に接続することとしてもよい。すなわち、放射線検出器11、出力判定部13(13a)及び報知部14(14a)と、独立したダミー放射線検出器12、ダミー用出力判定部及びダミー用報知部を設け、比較することとしてもよい。
【0058】
また、実施形態1及び実施形態2では、出力判定部13(13a)は、検出信号比較部131によって、検出器信号とダミー検出器信号とを同時に受信しない場合に限り、検出器信号を出力することとしたが、これに限られない。例えば、検出信号比較部131によって、同時に受信されたと判定された場合には、検出器信号からダミー検出器信号を除いた信号を出力部132(132a)によって出力するとしてもよい。すなわち、出力判定部13(13a)は、検出器信号からダミー検出器信号を除くために、検出器信号からダミー検出器信号を減算し、減算した信号が閾値以上である場合に、出力部132(132a)によって出力することとしてもよい。これにより、放射線検出器11がノイズに加え放射線も検知していた場合に、放射線モニタ10(10a)は、ノイズを除去した上で適切に放射線を測定することができる。
【符号の説明】
【0059】
10、10a 放射線モニタ
11 放射線検出器
12 ダミー放射線検出器
13、13a 出力判定部
131 検出信号比較部
132、132a 出力部
14、14a 報知部
15 記録計
141 伝送信号比較部
142 報知出力部
21 検出信号記憶部
22 伝送信号記憶部
23 出力記憶部
24 報知出力記憶部
31 第1伝送路
32 第2伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を測定する放射線モニタであって、
放射線を検出可能な放射線検出部を備える検出器と、
前記放射線検出部を除き前記検出器と同一の構成からなる、放射線を検出不可能なダミー検出器と、
前記検出器によって送信された検出器信号及び前記ダミー検出器によって送信されたダミー検出器信号を受信可能な出力判定部と、
を備え、
前記出力判定部は、
前記検出器信号の受信時に当該検出器信号と同時に前記ダミー検出器信号を受信したか否かを判定する検出信号比較手段と、
前記検出信号比較手段によって同時でないと判定された場合には、前記検出器信号を出力する出力手段と、
を備える放射線モニタ。
【請求項2】
前記出力判定部は、受信した前記検出器信号及び前記ダミー検出器信号を記憶する検出信号記憶手段を備える請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項3】
前記出力判定部は、前記出力手段によって出力された検出器信号を記憶する出力記憶手段を備える請求項2に記載の放射線モニタ。
【請求項4】
前記出力手段から出力された信号を伝送する第1の伝送路と、
前記出力手段から出力された信号を伝送する、前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路と、
前記第1の伝送路から伝送された第1信号及び前記第2の伝送路から伝送された第2信号を受信し、報知する報知部と、
を備え、
前記報知部は、
前記第1信号と、前記第2信号とを比較し、同時に受信されたか否かを判定する伝送信号比較手段、を備え、
前記伝送信号比較手段によって前記第1信号と前記第2信号とが同時に受信されたと判定された場合には、当該信号を報知する、請求項1から3のいずれかに記載の放射線モニタ。
【請求項5】
前記報知部は、受信した前記第1信号及び前記第2信号を記憶する伝送信号記憶手段を備える請求項4に記載の放射線モニタ。
【請求項6】
前記報知部は、報知する信号を記憶する報知出力記憶手段を備える請求項5に記載の放射線モニタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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