説明

放射線撮像装置およびコリメータの位置推定方法

【課題】コリメータの位置ずれがある場合においても良好な再構成画像を取得することができる放射線撮像装置およびそれに用いられるコリメータの位置推定方法を提供することを課題とする。
【解決手段】放射線を測定する検出器21と、放射線の入射方向を制限するコリメータ26と、データ処理装置12と、を備える放射線撮像装置1であって、コリメータ26の貫通穴27には、垂直方向から平面視した際、複数の検出器21が配置されており、データ処理装置12は、検出器21に対するコリメータ26の位置情報を推定する位置情報推定手段12と、コリメータ26の位置情報を元に点応答関数を計算する点応答関数計算手段12と、点応答関数を画像再構成に組み込むことで空間分解能を補正する空間分解能補正手段12と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピクセル型の計測体系を持ち入射放射線分布を画像化する放射線撮像装置およびそれに用いられるコリメータの位置推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線計測装置を核医学分野に応用した装置として、ガンマカメラを用いた単一光子放射型コンピュータ断層撮影装置(以下、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置と称する)がある。このSPECT装置は、放射性同位体を含む化合物の分布を測定し、断層面のイメージを提供するものである。
【0003】
これまでのSPECT装置に使用されている放射線検出器は、一枚の大きな結晶からなるシンチレータと複数の光電子増倍管とを組み合わせたものが主流である。また、このSPECT装置は放射線の位置決定を複数の光電子増倍管の出力信号から重心演算により行う。
しかしながら、この方法では分解能10mm程度が限界であり、臨床現場で用いるには不十分であるため、より高い分解能を持つSPECT装置が求められている。
【0004】
近年、より高い分解能をもつものとして、ピクセル型の放射線検出器(以下、検出器と称する)が開発されてきている。ピクセル型の検出器には、シンチレータとフォトダイオードで構成されたものや、放射線を電気信号に変換する半導体で構成されたもの等がある。いずれも、小さな検出器単位、すなわちピクセル単位で位置信号を取得する。したがって、検出器の固有分解能は、ピクセルサイズで決定され、空間的に離散した計測を行う。また、ピクセルサイズが1,2mm程度のピクセル型検出器も開発され、分解能は10mm以下を達成し、大幅に改善されてきた。
【0005】
一方、断層面の再構成方法も開発・改良され、分解能向上に大きく貢献している。これまでは、フィルタ補正逆投影法(FBP法:filtered back-projection法)、分解能補正なしの逐次近似法(最尤推定期待値最大化法(MLEM法:Maximum Likelihood Expectation Maximization法)、サブセット化による期待値最大化法(OSEM法:Ordered Subset Expectation Maximization法))等が用いられていた。近年、分解能補正ありの逐次近似法が開発されている。この方法により、コリメータや検出器の幾何学的形状、散乱線等の物理的要因を考慮して画像を再構成することができ、より正確な画像を提供することができる。
【0006】
なお、以下のピクセル型の検出器の説明において、「検出器」と「検出器群」という用語を用いるが、検出器は任意の形状の1ピクセルを構成するものをいい、検出器群は検出器が配列された集合体をいうものとする。
【0007】
一般に、検出器の形状は矩形であり、放射線入射側から検出器群を見ると長方形が稠密に詰まった構成となっている。
検出器群をなす全ての検出器において、感度を一様にするために、コリメータの貫通穴と検出器とが、一対一対応となるように配置されることが多い。また扱いやすさの点から、検出器の形状に合わせて、コリメータの貫通穴の形状も矩形であるのが一般的である。
ここで、検出器が矩形であるとき、1つの検出器は4つの面で隣の検出器と接している。この隣の検出器と接している面を「検出器同士の境界面」と定義するものとする。また、検出器の入射面に対して垂直方向から平面視した際の検出器同士の境界面を「検出器同士の間の境界線」と定義するものとする。
従来のSPECT装置では、検出器の入射面に対して垂直方向から平面視した際、この検出器同士の間の境界線上にコリメータのセプタがくるように配置される。
【0008】
一方で、コリメータと検出器の位置がずれると、モアレが生じるという問題が知られている。この課題を解決するために、コリメータを回転させた構成が開示されている(特許文献1)。これらの構成では、コリメータが所定の位置からずれても、検出器上を横切るセプタの面積が一定に保たれることにより、モアレを低減し均一化することができる。
【0009】
現在、高空間分解能かつ高感度であるSPECT装置が、臨床において求められている。分解能や感度を決定する要因としては、放射線源と検出器との距離、セプタの厚さ、放射線のエネルギ、散乱、吸収等多くの要因がある。
これらの要因のうち、コリメータのセプタの高さとコリメータの貫通穴の大きさが、分解能と感度の決定に大きく関与する。
すなわち、高分解能を得るためには、検出器に入射する放射線の到来方向をコリメータで制限する必要がある。このためには、検出器が測定対象物を見込む視野を、コリメータによって狭めればよい。このようなコリメータとして、LEHR(Low Energy High Resolution)コリメータが知られている。しかし、この制限によって、感度が犠牲になる。
一方、高感度を得るために、コリメータの貫通穴のサイズを大きくする必要がある。このようなコリメータとして、LEGP(Low Energy General Purpose)コリメータやLEHS(Low Energy High Sensitivity)コリメータが知られている。しかし、貫通穴のサイズを大きくすることによって、分解能が悪化する。
【0010】
このように、従来のSPECT装置では、高分解能と高感度が両立しないため、用途に応じてコリメータを入れ替える必要があり、臨床現場の負担となる。
そこで、感度と分解能を両立するSPECT装置として、一つの矩形貫通穴に複数の検出器が含まれる、SPECT装置が発明された。このSPECT装置では、貫通穴のサイズが同じとき、貫通穴と検出器とが一対一対応である従来のSPECT装置よりも、高い分解能が得られることが実証されている(特許文献2、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3928647号
【特許文献2】国際公開第2008/046971号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】C. Robert et al. (2008) 2008 IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record Vol6 pp.4246-4251
【非特許文献2】Panin VY, et al, Fully 3-D PET reconstruction with system matrix derived from point source measurements. IEEE Trans Med Imaging. 2006 Jul;25(7):907-921
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
SPECT装置において感度ムラやアーチファクトのない一様な画像を得るためには、コリメータと検出器との位置合わせを正しく行うことが重要である。
検出器の入射面に対して垂直方向から平面視した際、一つの貫通穴に複数の検出器が含まれ、この検出器同士の間の境界線上にコリメータのセプタがくるように配置される構成が含まれるSPECT装置は、貫通穴と検出器とが一対一対応である従来機に比べて、コリメータの位置合わせにおいて、より高い精度が求められる。その理由は以下の通りである。
【0014】
検出器の入射面に対して垂直方向から平面視した際、一つの貫通穴に複数の検出器が含まれ、この検出器同士の間の境界線上にセプタを配置する構成においては、コリメータの位置ずれによる影響がより深刻である。コリメータの位置がずれると、筋状の周期的なパターンが現れる。これは、コリメータの位置ずれにより、ある検出器上にセプタが配置され、ある検出器上にはセプタが配置されない、という配置になるためである。したがって、コリメータの位置がずれると、周期的な筋状の感度ムラが生じる。なお、この周期的な筋状の感度ムラは、セプタと検出器との位置関係で決まるので、周期は数ピクセル程度である。
【0015】
筋状の感度ムラのある画像を用いて再構成すると、リングアーチファクトが生じることが知られている。短周期の感度ムラは短周期のアーチファクトを生む。このとき、断層像の細かい構造が失われ、画質が大幅に劣化する。
したがって、一つの矩形貫通穴に複数の検出器が含まれるSPECT装置においては、より厳密なコリメータの位置合わせが求められる。しかし、現在のコリメータ位置合わせ方法では、アーチファクトを完全に防ぐことは難しい。
なお、この現象は、貫通穴と検出器とが一対一対応である従来のSPECT装置では起こらない。コリメータの位置がずれても、局所的には全ての検出器とセプタの位置関係が同一であるためである。
【0016】
一方、点線源で点応答関数を測定し、測定した点応答関数を用いて画像を再構成する手法が知られている(非特許文献2)。しかし、点線源を多数の位置で測定しなければならず、点応答関数の測定に時間がかかる。前述のように、SPECT装置では、用途に応じてしばしば、さまざまな種類のコリメータに取り換えて使用する。その度に、上記のような較正をするのは、合理的ではない。したがって、コリメータの位置ずれに対してロバストなSPECT装置が求められている。あるいは、ロバスト性の低さを補い、汎用的に使用できる手段が求められている。
【0017】
そこで本発明は、コリメータの位置ずれがある場合においても良好な再構成画像を取得することができる放射線撮像装置およびそれに用いられるコリメータの位置推定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような課題を解決するために、本発明に係る放射線撮像装置は、放射線を測定する検出器と、セプタで仕切られ、前記検出器の前記放射線の入射面に対して垂直方向から平面視した際、見通せる方向に貫通穴を有し、前記放射線の入射方向を制限するコリメータと、データ処理装置と、を備える放射線撮像装置であって、前記コリメータの前記貫通穴には、前記垂直方向から平面視した際、複数の前記検出器が配置されており、前記データ処理装置は、前記検出器に対する前記コリメータの位置情報を推定する位置情報推定手段と、前記コリメータの位置情報を元に点応答関数を計算する点応答関数計算手段と、前記点応答関数を画像再構成に組み込むことで空間分解能を補正する空間分解能補正手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るコリメータの位置推定方法は、放射線を測定する検出器と、セプタで仕切られ、前記検出器の前記放射線の入射面に対して垂直方向から平面視した際、見通せる方向に貫通穴を有し、前記放射線の入射方向を制限するコリメータと、を備え、前記コリメータの前記貫通穴には、前記垂直方向から平面視した際、複数の前記検出器が配置される放射線撮像装置において、面線源を測定したときの画像上に生じる感度変化から前記検出器に対する前記コリメータの位置情報を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コリメータの位置ずれがある場合においても良好な再構成画像を取得することができる放射線撮像装置およびそれに用いられるコリメータの位置推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るSPECT装置の構成図である。
【図2】本実施形態のSPECT装置に用いるカメラに内蔵するピクセル型の検出器を示す斜視図である。
【図3】ピクセル型の検出器の別の例を示す斜視図である。
【図4】別のピクセル型の検出器の第一の変形例の入射面側を示す斜視図である。
【図5】別のピクセル型の検出器の第一の変形例の入射面の反対面側を示す斜視図である。
【図6】別のピクセル型の検出器の第二の変形例を示す斜視図である。
【図7】ピクセル型のシンチレータ検出器を示す斜視図である。
【図8】本実施形態のSPECT装置に用いるカメラに内蔵するコリメータを示す斜視図である。
【図9】本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータの1つの貫通穴と検出器の配置を放射線照射方向から見た図である。
【図10】本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータと検出器と漏れ放射線の関係を説明する断面模式図である。
【図11】ピクセル型の検出器とコリメータのセプタとの配置例を示した図である。
【図12】コリメータの位置ずれが無い場合において、数値ファントムからシミュレーションによって作成した投影データをOSEM法で再構成した画像図である。
【図13】コリメータの位置ずれが無い場合と、コリメータの位置がずれた場合とにおいて、シミュレーションによって得られた再構成画像の差の絶対値を示す画像図である。
【図14】本実施形態のSPECT装置のコリメータを用いた構成の撮像シミュレーションの結果である。
【図15】本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータのずれによる撮像シミュレーション結果の変化を示す図である。
【図16】本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータのずれによる面線源イメージの変化量を示すグラフである。
【図17】レイ・トレースによるシミュレーションを説明する図である。
【図18】本実施形態に係るSPECT装置の点応答関数の取得から臨床画像取得における再構成画像の作成までを説明するフローチャートである。
【図19】変形例に係る検出器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
≪第一実施形態≫
本実施形態に係るSPECT装置(放射線撮像装置)1の全体の構成について図1を用いて説明する。
<SPECT装置(放射線撮像装置)>
図1は、本実施形態に係るSPECT装置の構成図である。
SPECT装置1は、ガントリ10、カメラ(撮像装置)11A,11B、データ処理装置12、表示装置13、ベッド14を含んで構成されている。
被検者15は、放射性薬剤、例えば、半減期が6時間の99mTcを含んだ薬剤を投与される。ベッド14に載せられた被検者15の体内の99mTcから放出されるγ線(放射線)をガントリ10に支持されたカメラ11(11A,11B)で検出して断層画像を撮像するようになっている。
【0024】
カメラ11は、コリメータ26と多数の検出器21を内蔵している。コリメータ26は、貫通穴27と貫通穴27を仕切るセプタ28とを有し、被検者15の体内の99mTcから放出されるγ線を選別(入射角を規制)し、一定方向のγ線のみを通過させる役割を有している。コリメータ26(貫通穴27)を通過したγ線を検出器21で検出する。
カメラ11は、γ線の検出信号を計測するための特定用途向け集積回路(以下、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)と称する)(放射線計測回路)25を備える。γ線の検出信号は、検出器基板23、ASIC基板24を介して、ASIC25にγ線を検出した検出器21のID、検出したγ線の波高値や検出時刻が入力される。これらはカメラ11を構成する鉄、鉛等でできた遮光・γ線・電磁シールド29によって囲まれており、光、γ線、電磁波を遮断している。
カメラ11は、ガントリ10の中央部分に設けられた円筒形開口部の中心軸の半径方向及び周方向に可動させることができる。撮像時には、カメラ11は被検者15の周りに最近接軌道を描いて撮像していく。また、カメラ11は、ガントリ10との取り付け部(図示せず)を軸として回転させることもでき、2つのカメラ11A,11Bを並べて固定することで、STATIC画像を撮像させることもできる。
【0025】
データ処理装置12は、記憶装置(図示せず)及び断層像情報作成装置(図示せず)を有する。データ処理装置12は、検出したγ線の波高値、検出時刻のデータ及び検出器(チャンネル)IDを含むパケットデータをASIC25から取り込み、平面像を生成もしくはサイノグラムデータに変換して断層像情報を生成し、表示装置13に表示する。
【0026】
データ処理装置12で実行される画像再構成について説明する。
検出器群21Aが測定対象に対してある角度をなしているとき、検出器iのカウント数yi は、検出再構成画素jのカウント数をλj として、式(1)で表される。ここで、Cijは、検出器iで検出される確率を表す。
i =ΣCij λj ・・・(1)
上式から、逐次近似再構成法等(MLEM法、OSEM法、MAP法等)を用いて画像を再構成する。検出器iの点応答関数を逐次近似画像再構成に組み込むことにより、空間分解能を補正することが可能である。点応答関数とは、点線源から発生した放射線を検出器21が検出する確率であり、式(1)の検出確率Cij に等しい。この点応答関数を用いることで、逐次近似再構成法を用いて、より正確な画像を再構成することができる。
このようにして、SPECT装置1は被検者15の体内の腫瘍等に集積した放射性の薬剤を撮像し、腫瘍の位置を同定する。
【0027】
<検出器>
次に、カメラ11に用いられる検出器21について図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態のSPECT装置に用いるカメラに内蔵するピクセル型の検出器を示す斜視図である。
検出器基板23(図1参照)に、CdTe半導体を用いた検出器21を2次元に配列し検出器群21Aを構成している。また、個々の検出器21が1つのピクセルを構成する。
図2において、上面側が検出器21の入射面21fであり、電圧を印加する電極22a,22bは検出器21の側面に配置される。このように、1枚の大きな結晶からなるシンチレータと異なり、検出信号は、各検出器21単位、つまりピクセル単位で収集される。
【0028】
なお、点応答関数を求める都合上、検出器群21Aは周期構造を持っていることが望ましい。そうでない場合、一つ一つのピクセルについて点応答関数を求めることになる。
【0029】
なお、カメラ11に用いられる検出器21(検出器群21A)は、図2に示すようにピクセルごとに区切られたものに限られず、図3から図7に示す検出器(検出器群21B,21C,21D,21E)を用いてもよい。
図3は、ピクセル型の検出器の別の例を示す斜視図である。
図3に示す検出器(検出器群21B)は、1枚のCdTe半導体の基板に対して、共通電極22cをCdTe半導体の基板の一方の面、つまり、入射面21f側の全面に配置し、入射面21fの反対側の面にピクセル単位で区切られた電極22dを配置して、電極22dの1個分に相当する面積部分のCdTe半導体の基板と共通電極22cとで、それぞれがピクセルに対応した検出器を構成するものである。
【0030】
次に、図3に示す検出器(検出器群21B)の変形例を図4から図6に示す。
図4は、別のピクセル型の検出器の第一の変形例の入射面側を示す斜視図であり、図5は、別のピクセル型の検出器の第一の変形例の入射面の反対面側を示す斜視図である。
図4、図5に示す検出器(検出器群21C)は、1枚のCdTe半導体の基板に対して、入射面21f側の全面に共通電極22cを配置し、CdTe半導体の基板の入射面21f側と反対面側にピクセル単位で区切られた電極22dを配置し、加えて、ダイシングによって形成された溝で個々の検出器に区切られた構造をしている。
【0031】
図6は、別のピクセル型の検出器の第二の変形例を示す斜視図である。
図6に示す検出器(検出器群21D)は、1枚のCdTe半導体の基板に対して、複数の帯状の電極22e,22fをCdTe半導体の基板の上面と下面に直角ねじれの関係で対向して配置している。上面および下面のいずれか一方の帯状の電極22eを陽極とし、他方の面の帯状の電極22fを陰極とする。陽極の電極22eと陰極の電極22fのクロスした部分が1つの検出器を形成する(特開2004−125757号公報参照)。
【0032】
図7は、ピクセル型のシンチレータ検出器を示す斜視図である。
また、検出器の構造は図7に示す検出器(検出器群21E)のように、シンチレータ21gとフォトダイオード21hからなるピクセル単位に区切って構成されたシンチレータ検出器でもよい。
この場合、個々のシンチレータ21gの側面は、図示しない遮光材で囲われている。また、図7に示すシンチレータ検出器の変形として、ピクセル毎に区切られたシンチレータ21gと位置感応型光電子増倍管(PSPMT:Position-Sensitive Photomultiplier Tube)で構成されたものであってもよい。
【0033】
<コリメータ>
次に、カメラ11に用いられるコリメータ26について、図8および図9を用いて説明する。
図8は、本実施形態のSPECT装置に用いるカメラに内蔵するコリメータを示す斜視図であり、図9は、本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータの1つの貫通穴と検出器の配置を放射線照射方向から見た図である。
コリメータ26は鉛製であり、検出器21の入射面21fに対して垂直方向から平面視した際、見通せる方向に貫通穴27を有し、貫通穴27は碁盤目状に配置されている。また、各貫通穴27は、セプタ28によって仕切られている。
図9に示すように、本実施形態のSPECT装置1に用いるコリメータ26は、1つの貫通穴27に対しM個分の検出器21が含まれる構成となっている(図9では、1つの貫通穴27に対し4個分の検出器21を含む構成の場合を示す)。なお、Mは整数でなくてもよい。以下、本実施形態のSPECT装置1に用いるコリメータ26は、検出器の入射面に対して垂直方向から平面視した際、1つの貫通穴27に対し4個分の検出器21を含む構成であるとして、説明する。
また、本実施形態のSPECT装置1に用いるコリメータ26のセプタ28は、図9に示すように、検出器21の入射面21fに対して垂直方向から平面視した際、この検出器21同士の間の境界線32上に配置される。この構成では、コリメータ26の位置がずれると、後述のように、短周期のリングアーチファクトが現れる。
【0034】
<コリメータの位置ずれの影響>
図10は、本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータと検出器と漏れ放射線の関係を説明する断面模式図である。
図2から図7に示す一般的なピクセル型の検出器21は、検出器21と検出器21の間にすき間などがあることから不感領域31(図10参照)がある。
ここで、コリメータ26(セプタ28)の高さをl、コリメータ26(セプタ28)と検出器21との距離をΔl、セプタ28の厚さをt、検出器21の中心から隣接する検出器21の中心までの距離(即ち、検出器21のピッチ)をd、不感領域31の長さをTとする。また、一つのセプタ28の中心から次のセプタ28の中心までの距離(即ち、セプタ28のピッチであり、貫通穴27のピッチ)は2dとなり(図9参照)、貫通穴27の一辺の長さは、2d−tとなる。
【0035】
図10に示すように、検出器21とコリメータ26間の距離Δlを、物理的制約から0にすることは難しく、隣接ピクセルからの漏れ放射線がみられる。漏れ放射線は、セプタ28付近に位置する検出器21で検出される。このように、コリメータ26の位置が動くと、コリメータ26の影の位置や、漏れ放射線分布もコリメータ26に随伴して動く。
このことより、セプタ28付近の放射線分布は、コリメータ26の位置に強く依存する。放射線分布が変化すると、検出器21で検出される放射線のカウント数および点応答関数が変化する。
【0036】
図11に示すように、セプタ28をはさんで、異なる検出器21が配置される構成を含むとき、即ち、検出器21の入射面21fに対して垂直方向から平面視した際、この検出器21同士の間の境界線32上にセプタ28が配置されるとき、点応答関数は、コリメータ26のずれに対して変動が大きい。
ここで、Mが1より大きいとき、コリメータ26がずれると、ある検出器21上にセプタ28が位置し、別の検出器21上にはない、というように感度ムラが生じ、取得イメージおよび点応答関数が変化する。この感度ムラは周期的な筋状となる。なお、感度ムラは、セプタ28と検出器21の位置関係で決まるため、周期は数ピクセル程度の短い周期となる。
【0037】
一般に、断層撮影を行うとき、被写体との角度を変えながら、プラナーイメージを複数取得する。角度に関わらず、一定の筋状のパターンがプラナーイメージに出現するとき、再構成画像には、リングアーチファクトが現れることが知られている。上記の場合、感度ムラが短周期であるので、短周期のリングアーチファクトが現れる。短周期のアーチファクトは、断層像の細かい構造を消し、画質を大幅に劣化させる原因となる。
【0038】
このとき、点応答関数を用いない画像再構成法(FBP法等)で再構成しても、リングアーチファクトが現れる。周期的なパターンは、再構成後も周期的なパターンとして残り、アーチファクトとなるためである。また、コリメータ26の「位置ずれなし」のときの点応答関数を用いて再構成した場合においても、短周期のアーチファクトが現れる。これは、「位置ずれなし」のときの点応答関数は、周期的なパターンを再現しないので、補正することもできないためである。
【0039】
図12に、コリメータ26の位置ずれが無い場合(位置ずれ量0%)において、数値ファントムからシミュレーションによって作成した投影データをOSEM法で再構成した画像を示す。数値ファントムでは、放射性薬剤が存在する領域とコールドスポットの画素値をそれぞれ1、0と設定した。なお、l=26mm、Δl=6mm、d=1.4mm、t=0.4mm、T=0.1mmとしてシミュレーションを行った。
図13に、コリメータ26の位置ずれが無い場合(位置ずれ量0%)と、x方向(図8参照)に検出器21のピッチdの7.14%だけコリメータ26の位置がずれた場合(位置ずれ量7.14%)とにおいて、シミュレーションによって得られた再構成画像の差の絶対値を示す。図13に示すように、コリメータ26の位置ずれ量が約0.1mmである場合にも、筋状のアーチファクトが出現していることが確認できる。このアーチファクトによって、再構成画像の細かい構造が失われ、画質が大幅に劣化する。
【0040】
<コリメータの位置推定方法>
次に、コリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)を推定する方法について説明する。
【0041】
まず、本実施形態のSPECT装置1に用いる検出器21とコリメータ26の構成(図8、図9参照)において、一様な面線源を照射した場合のモンテカルロ法を用いたシミュレーションによって得られたイメージを図14に示す。
図14は本実施形態のSPECT装置のコリメータを用いた構成の撮像シミュレーションの結果である。
なお、モンテカルロ法を用いたシミュレーションにおいて、面線源をコリメータ26の上端から50mmの位置とし、l=26mm、Δl=6mm、d=1.4mm、t=0.4mm、T=0.1mmとしてシミュレーションを行った。
また、図14において、(a)はコリメータ26が所定の位置にある場合(位置ずれ量=0%)、(b)はコリメータ26が所定の位置からx方向に検出器21のピッチdの7.14%ずれた場合(位置ずれ量=7.14%)、(c)はコリメータ26が所定の位置からx方向に検出器21のピッチdの14.28%ずれた場合(位置ずれ量=14.28%)を示している。
なお、「位置ずれ量=7.14%」は、d=1.4mmのときコリメータ26の位置ずれが約0.1mmであることに相当する。また、「位置ずれ量=14.28%」は、d=1.4mmのときコリメータ26の位置ずれが約0.2mmであることに相当する。
【0042】
コリメータ26が所定の位置にある場合(位置ずれ量=0%)、図14(a)に示すように一様なイメージ(面線源画像)が得られる。しかし、図14(b)(c)に示すように、コリメータ26がわずかでもずれた場合、位置ずれの方向(x方向)と垂直な方向(y方向)に一列おきの縞が出現する。
ここで、縞が明確となるように、図15に、「位置ずれ量=14.28%」におけるシミュレーション結果から「位置ずれ量=0%」におけるシミュレーション結果を除算したものを示す。即ち、図15は図14(c)から図14(a)を除算したものである。図15に示すように、コリメータ26の位置ずれにより、位置ずれの方向(x方向)と垂直な方向(y方向)に一列おきの縞が出現することがわかる。
【0043】
このように、コリメータ26の位置がずれると、位置ずれの方向(x方向)と垂直な方向(y方向)に、一列おきにカウント数の山と谷が現れる(図14、図15参照)。
図16は、本実施形態のSPECT装置に用いるコリメータのずれによる面線源イメージの変化量を示すグラフである。
この面線源を測定したときの面線源画像上に生じる感度変化について、山のカウント数を谷のカウント数で除算した山と谷のカウント数の比を検出器群21Aで平均した値をRとし、グラフの縦軸とした。また、検出器21のピッチdに対するコリメータ26の位置ずれ量(%)をグラフの横軸とした。
コリメータ26が所定の位置にある場合(位置ずれ量=0%)、カウント数の比Rは1となる。また、コリメータ26の位置ずれ量が大きくなるほど、カウント数の比Rは大きくなる。これは、コリメータ26の位置ずれ量が大きくなるほど、隣接ピクセルからの漏れ放射線が増えるためである。
【0044】
このコリメータ26の位置ずれ量とカウント数の比Rとの関係を示すグラフ(図16参照)を用いることにより、山と谷のカウント数の比Rから、コリメータ26の位置ずれ量を逆に求めることが可能となる。
【0045】
即ち、データ処理装置12は、コリメータ26の位置ずれ量ごとにシミュレーションにより面線源画像(図14参照)を作成し、シミュレーションにより作成された面線源画像から山のカウント数を谷のカウント数の比Rを求め、コリメータ26の位置ずれ量とカウント数の比Rとの関係をプロットしたグラフ(図16参照)をあらかじめ求めた上、データ処理装置12の記憶装置(図示せず)に記憶しておく。
【0046】
SPECT装置1のカメラ11にコリメータ26が設置されたとき、面線源を用いて撮像を行い、データ処理装置12は、面線源を用いて測定した面線源画像を取得する。
データ処理装置12は、面線源を測定したときの画像上に生じる感度変化、即ち、面線源画像から山と谷のカウント数の比Rを計算する。
次に、データ処理装置12は、計算したカウント数の比Rから、コリメータ26の位置ずれ量とカウント数の比Rとの関係を示すグラフ(図16参照)のプロットから線形補間によって、コリメータ26の位置ずれ量を推定することができる。
【0047】
これまでは、コリメータ26の位置ずれについて、x方向の位置ずれのみを考察したが、y方向の位置ずれでも同様のことがいえる。
即ち、x方向およびy方向にコリメータ26の位置ずれが生じた場合における山と谷のカウント数の比Rを計算し、x−yの2次元座標における山と谷のカウント比Rを2次元マップとしてあらかじめ保持する。したがって、x方向、y方向の両方向におけるコリメータ26の位置ずれ量も2次元マップから線形補間により推定可能であり、コリメータ26の設置の際には、x方向、y方向における2つの位置ずれ量を推定することができる。
【0048】
<点応答関数の計算>
次に、コリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)を元に点応答関数を計算し、この点応答関数を用いて画像再構成する方法について説明する。
図17は、レイ・トレースによるシミュレーションを説明する図である。
点応答関数はレイ・トレースによるシミュレーションによって計算することが可能である。このシミュレーションでは、点線源40からγ線としてレイ41を飛ばし、そのレイ41が物質を横切る長さを計算して検出器21の応答を計算する。
例えば,図17に示すように、ガンマ線であるレイ41がコリメータ26のセプタ28と検出器21とを横切る長さをそれぞれL1 、L2 とすると、検出器21で検出されるカウントは,exp(−μ1 1 )×{1−exp(−μ2 2 )}で表すことができる。
ここで、μ1 、μ2 の値は、それぞれ、放射性薬剤から発生するγ線に対するコリメータ26と検出器21の減弱係数の値である。
このレイ・トレースによるシミュレーションにおいて、推定されたコリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)考慮することで、実機のSPECT装置1における点応答関数を求めることができる。
【0049】
<再構成画像の作成>
図18は、本実施形態に係るSPECT装置の点応答関数の取得から臨床画像取得における再構成画像の作成までを説明するフローチャートである。
SPECT装置1は、臨床画像取得に先立って点応答関数の取得を開始する(ステップS101)。まず、作業者によりSPECT装置1にコリメータ26が設置され(ステップS102)、作業者により点応答関数の取得の指示操作がなされると、SPECT装置1は面線源による面線源画像を撮像する(ステップS103)。
SPECT装置1のデータ処理装置(位置情報推定手段)12は、面線源を用いて撮像された面線源画像の感度変化から、カウント数の比Rを計算し、コリメータ26の位置ずれ量とカウント数の比Rとの関係をプロットしたグラフから、コリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)を推定する(ステップS104)。
データ処理装置(点応答関数計算手段)12は、推定されたコリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)を用いてレイ・トレースによるシミュレーションにより、点応答関数を計算する(ステップS105)。
点応答関数を計算した後に、SPECT装置1は、臨床画像取得を開始する(ステップS106)。SPECT装置1は、患者データのSPECT撮像を行う(ステップS107)。
SPECT装置1のデータ処理装置(空間分解能補正手段)12は、ステップS107で撮像された画像について、ステップS105で計算された点応答関数を用いて逐次近似再構成により画像を再構成する(ステップS108)。
再構成された画像はSPECT装置1の表示装置13に表示される(ステップS109)。
【0050】
このように、SPECT装置1のデータ処理装置12は、コリメータ位置情報を考慮して、レイ・トレースシミュレーションによって求めた点応答関数を逐次近似再構成に組み込むことで、アーチファクトを発生せずに空間分解能を補正した画像を作成することが可能となる。
したがって、本実施形態に係るSPECT装置1においては、ステップS102において、極めて高い精度のコリメータ26の位置合わせを要求しなくても、好適な再構成画像を取得することができるので、コリメータ26の位置合わせにかかる時間を短縮できる。
【0051】
また、非特許文献2の方法では、全視野における点応答関数を測定する必要があるが、本実施形態ではコリメータ26を設置した際に、ステップS103において面線源を用いた撮像を1度行うのみでコリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)を推定し、更に、位置ずれ量を考慮した点応答関数を求めることができる。
【0052】
また、ステップS103において撮像した面線源画像(A)は、コリメータ26装着後の感度補正データとして利用することも可能である。
データ処理装置12は、このとき、コリメータ位置情報を元に計算した点応答関数を用いて、面線源画像(B)をシミュレーションする。
データ処理装置12は、実測して得られた面線源画像(A)をシミュレーションによって求めた面線源画像(B)で除算して感度補正データを作成する。この感度補正データによって被験体15を撮像したときのデータを補正することにより、コリメータ26における歪みや検出器21の位置ずれによる影響を低減することが可能となる。
【0053】
さらに、この本実施形態に係るSPECT装置1の構成は、中エネルギー用コリメータや高エネルギーコリメータを使用する際に有効である。用いる放射線エネルギーが高くなるほど、物質の透過能力が高くなるので、セプタ28の厚みtを増す必要がある。それに伴い、デッドスペースが増加し、検出器21の感度が低下する。それを防ぐために、貫通穴27のサイズが大きいものを使用するのが、一般的である。しかし、本発明では、一つの貫通穴27に複数の検出器21を配置することで、孔径を大きくしても、分解能を維持することができる。したがって、高いエネルギーのガンマ線を用いたイメージングに有効である。
【0054】
本発明は、コリメータ26の位置情報を求める方法として面線源を用いる方法に限定される必要はない。例えば、レーザーを用いてコリメータ26と検出器21の相対位置関係を求めてもよい。
【0055】
≪変形例≫
また本発明は、図19に示すように、検出器21がモジュール単位で実装されている場合、つまり、複数の検出器21が1つのモジュール基盤上に配置され検出器モジュール21Mを形成し、それらの検出器モジュール21Mを複数配置することによって1枚の検出器パネル21Fを形成している場合にも適用可能である。
検出器21がモジュール単位で実装されている場合、モジュール間に位置ずれが発生していると、検出器モジュール21M毎にコリメータ26の位置ずれ量は変化する。そこで、検出器モジュール21M毎にコリメータ26の位置ずれ量を推定し、検出器モジュール21M単位で点応答関数を求め、それらの点応答関数を逐次再構成に組み込むことで、検出器モジュール21Mのモジュール間に位置ずれが発生している場合でも、アーチファクトを発生せずに空間分解能を補正した画像を作成することが可能となる。
【0056】
≪第2実施形態≫
第1実施形態で説明したSPECT装置1は、コリメータ26の位置情報を推定し、推定したコリメータ位置情報から点応答関数を計算し、好適な再構成画像を得るものである。
これに対し、第2実施形態に係るSPECT装置1は、第1実施形態に係るSPECT装置1の構成に加え、コリメータ26をx、y方向に高精度で移動制御することが可能なコリメータ移動機構(図示せず)を有している。
第2実施形態に係るSPECT装置1は、コリメータ26を設置した後、第1実施形態と同様に、面線源を撮像し、データ処理装置12によりコリメータ26の位置ずれ量(コリメータ位置情報)を推定する。
第2実施形態に係るSPECT装置1は、推定されたコリメータ26の位置ずれ量に基づいて、コリメータ移動機構(図示せず)により、コリメータ26と検出器21との位置のずれが解消するようにコリメータ26を移動する。
第2実施形態に係るSPECT装置1によれば、コリメータ26の位置ずれが無い場合の点応答関数を予め求めておけば良く、コリメータ位置情報を元に点応答関数を計算しなおす必要が無い。
【符号の説明】
【0057】
1 SPECT装置(放射線撮像装置)
10 ガントリ
11A,11B カメラ(撮像装置)
12 データ処理装置(位置情報推定手段、点応答関数計算手段、空間分解能補正手段)
13 表示装置
14 ベッド
15 被検者
21 検出器
21A,21B,21C,21D,21E 検出器群
21F 検出器パネル
21M 検出器モジュール
21f 入射面
21g シンチレータ
21h フォトダイオード
22a,22b,22d,22e,22f 電極
22c 共通電極
23 検出器基板
24 ASIC基板
25 ASIC(放射線計測回路)
26 コリメータ
27 貫通穴
28 セプタ
29 遮光・γ線・電磁シールド
30 境界面
31 不感領域
32 境界線
40 点線源
41 レイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を測定する検出器と、
セプタで仕切られ、前記検出器の前記放射線の入射面に対して垂直方向から平面視した際、見通せる方向に貫通穴を有し、前記放射線の入射方向を制限するコリメータと、
データ処理装置と、を備える放射線撮像装置であって、
前記コリメータの前記貫通穴には、前記垂直方向から平面視した際、複数の前記検出器が配置されており、
前記データ処理装置は、
前記検出器に対する前記コリメータの位置情報を推定する位置情報推定手段と、
前記コリメータの位置情報を元に点応答関数を計算する点応答関数計算手段と、
前記点応答関数を画像再構成に組み込むことで空間分解能を補正する空間分解能補正手段と、を有する
ことを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
前記位置情報推定手段は、
面線源を測定したときの画像上に生じる感度変化から前記コリメータの位置情報を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
放射線を測定する検出器と、
セプタで仕切られ、前記検出器の前記放射線の入射面に対して垂直方向から平面視した際、見通せる方向に貫通穴を有し、前記放射線の入射方向を制限するコリメータと、を備え、
前記コリメータの前記貫通穴には、前記垂直方向から平面視した際、複数の前記検出器が配置される放射線撮像装置において、
面線源を測定したときの画像上に生じる感度変化から前記検出器に対する前記コリメータの位置情報を推定することを特徴とするコリメータの位置推定方法。
【請求項4】
請求項3に記載のコリメータの位置推定方法を用いて前記コリメータの位置情報を推定し、
推定された前記コリメータの位置情報に基づいて前記コリメータを移動させる移動機構を有することを特徴とする放射線撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−158259(P2011−158259A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17617(P2010−17617)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】