放射線断層撮影装置
【課題】検出器リングの部分によって異なる放射線の検出の時間的特性を正確に知ることにより、消滅放射線対の入射時間を利用して消滅放射線対の発生位置を正確に特定できる放射線断層撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、補正データを生成される検出される消滅γ線対は、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点a,またはbから発せられたものとなっている。この様にすれば、補正データは、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。
【解決手段】本発明によれば、補正データを生成される検出される消滅γ線対は、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点a,またはbから発せられたものとなっている。この様にすれば、補正データは、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本発明は、被検体から照射される消滅放射線対を検出して、被検体内の放射線薬剤の分布のイメージングを行う放射線断層撮影装置に関し、特に、消滅放射線対の入射時間を利用して消滅放射線対の発生位置を特定する放射線断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、放射線薬剤の分布をイメージングする放射線断層撮影装置が配備されている。この様な放射線断層撮影装置の具体的な構成について説明する。従来の放射線断層撮影装置51は、図16に示すように、放射線を検出する放射線検出器が円環状に並んで構成される検出器リング62が備えられている。この検出器リング62は、被検体内の放射性薬剤から照射される互いが反対方向となっている一対の放射線(消滅放射線対)を検出する。放射線断層撮影装置は、消滅放射線対の発生位置を空間的にマッピングすることで被検体内の放射線薬剤の分布を取得するのである(特許文献1参照)。
【0003】
放射線断層撮影装置は、検出器リング62のどこに消滅放射線対が入射したかを区別できるようになっている。図17において、消滅点Pで発生した消滅放射線対は、検出器リング62の異なる2つの位置A1,A2に入射している。消滅点Pは、位置A1と位置A2とを結ぶ直線上に存在することになる。この様な直線をLORと呼ぶ。
【0004】
また、放射線断層撮影装置は、消滅放射線対が検出器リング62に入射した時刻を区別できるようになっている。図17において、消滅点Pから位置A1までの距離は、消滅点Pから位置A2までの距離よりも長くなっている。したがって、消滅点Pから位置A1に向かう放射線が位置A1に入射する前に、消滅点Pから位置A2に向かう放射線が位置A2に既に入射している。つまり、位置A1で放射線を検出した時刻は、位置A2で放射線を検出した時刻よりも後になっている。
【0005】
放射線断層撮影装置は、消滅放射線対が検出器リング62に入射した時刻のズレを基に、消滅点がLORのどこに位置しているかを知ることができる。すなわち、位置A1で放射線を検出した時刻が位置A2で放射線を検出した時刻よりも遅ければ遅いほど、消滅点Pは位置A2寄りに存在していたことが分かる。また、位置A1で放射線を検出した時刻が位置A2で放射線を検出した時刻よりも早ければ早いほど、消滅点Pは位置A1寄りに存在していたことが分かる。
【0006】
この様に消滅放射線対の入射時刻を比較して、消滅点Pの位置を決定する放射線断層撮影装置は、TOF−PET(Time of flight-positron emission tomography)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−208849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来構成の放射線断層撮影装置には次の様な問題点がある。
すなわち、検出器リング62の部分によって、放射線の検出の時間的特性がまちまちなのである。例えば、図18に示すように、検出器リング62の位置A1と位置A2との中点に消滅点があったものとする。この場合、位置A1と位置A2には、全く同時に放射線が入射することになる。
【0009】
しかし、位置A1と位置A2との放射線の検出の特性が異なっているために、位置A2のほうが位置A1よりも放射線が入射してから検出されるまでに例えば時間がかかったりする。この場合、実際は、位置A1と位置A2とには同時に放射線が入射しているのに、位置A1のほうが位置A2よりも早いタイミングで放射線を検出したものと誤認されるのである。
【0010】
すると、実際の消滅点Pは位置A1と位置A2との中点にあるのに、図18の点線で示すように、あたかも消滅点Pが位置A1寄りであるかのような誤認が生じ、消滅放射線対の発生位置を正確に知ることができなくなってしまう。
【0011】
この様な検出器リング62の部分によってまちまちとなっている放射線の検出の時間的特性の影響を取り除くためには、被検体の撮影を行う前に予め放射線を発するファントムを検出器リング62の内部に導入して、補正データを取得しておく。検出器リング62の位置によって異なる放射線の検出の時間的特性を予め知っておけば、補正により、検出データの正確性を向上させることができるからである。従来の補正データの取得方法は、図19に示すように、消滅放射線対を発する円柱形のファントムPhを検出器リング62に内部に導入して補正データが取得される。例えば、位置A1と位置A2との間に見られる検出の時間差は、これらを結ぶ線分上のいずれかで発生した消滅放射線対を検出することで補正される。この様な補正データの取得方法は、一般的な放射線断層撮影装置(PET)で使用されているものであり、TOF−PET用ではない。
【0012】
従来構成の円柱形のファントムPhをTOF−PETに用いてしまうと、図19に示すように、線分上のどこに消滅点が存しているか分からない。位置A1と位置A2とで検出された消滅放射線対は、位置A1の近傍で発生したものかもしれないし、位置A2の近傍で発生したものかもしれない。補正データを取得するには、同一条件で消滅放射線対を複数回に亘って検出する必要があり、消滅放射線対の発生位置が検出の度に変動してしまうと、検出器リング62の位置によって異なる放射線の検出の時間的特性を正確に知ることができなくなる。
【0013】
ちなみに、一般的な放射線断層撮影装置では、消滅放射線対であるか認定できるほどの時間分解能があればよく、検出時間の差をそこまで厳密に知る必要はないので、補正データの取得には円柱形のファントムPhで十分である。しかし、検出時間の正確性が求められるTOF−PETにとって不十分である。ファントムを円筒形としても、やはりいずれから消滅放射線対が発しているかは不明で、これを用いることもできない。
【0014】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、検出器リングの部分によって異なる放射線の検出の時間的特性を正確に知ることにより、消滅放射線対の入射時間を利用して消滅放射線対の発生位置を正確に特定できる放射線断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明に係る放射線断層撮影装置は、被検体から照射される放射線を検出する放射線検出器がリング状に配列されて構成され、消滅放射線対を検出する検出器リングと、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性の補正に用いられる補正データを生成する補正データ生成手段と、補正データに基づいて検出器リングが消滅放射線対を検出した時刻を示す時刻情報を補正する時刻情報補正手段と、検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分を特定する線分特定手段と、検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅放射線対が線分上のいずれから発したものかを特定する第1消滅点特定手段と、補正データの生成の際、検出される消滅放射線対が検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから発せられたものかを特定する第2消滅点特定手段を備え、補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して発生位置が特定された消滅放射線対を検出器リングに検出させることで取得されたものであることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]本発明の構成によれば、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性を補正する構成となっている。このとき用いられる補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して検出器リングに消滅放射線対を検出させることで取得されたものである。このとき、消滅放射線対の発生位置が分からなければ、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから消滅放射線対が発生したのか分からないことになり、検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅放射線対が線分上のいずれから発したものかを特定するTOF−PETにとっては、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性を十分に知ることができない。
【0017】
そこで本発明によれば、補正データを生成される検出される消滅放射線対は、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点から発せられたものとなっている。この様にすれば、検出器リングの部分によって消滅放射線対の検出における時間的特性にバラツキが無い理想状態で、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点において、放射線はどの程度の時間的なズレをもって検出されるかがわかることになる。したがって、補正データは、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。この補正データを用いて検出データを補正すれば、放射性薬剤の位置をより忠実に表した断層画像を生成できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0018】
また、上述の補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに検出器リングの中心軸に延びた棒状線源を検出器リングの内壁に沿って回転移動させながら取得されたものであり、放射線断層撮影装置は、(A1)棒状線源を回転させる線源回転手段と、(B1)線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、(C1)ある時刻における検出器リングに対する棒状線源の位置を特定する位置特定手段とを更に備えており、第2消滅点特定手段は、位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定すればより望ましい。
【0019】
[作用・効果]上述の構成は、補正データの生成時に用いられる線源の具体的な態様を示している。すなわち、補正データは、検出器リングに検出器リングの中心軸に延びた棒状線源を検出器リングの内壁に沿って回転移動させながら取得されたものである。そして、ある時刻における検出器リングに対する棒状線源の位置を特定する位置特定手段が備えられている。これにより、検出器リングがある消滅放射線対を検出したその時点で、棒状線源がどこに位置していたか判明する。検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分と棒状線源とが交わる点が、消滅放射線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0020】
また、上述の補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに検出器リングの中心軸の伸びる方向と、中心軸と直交する幅方向の2方向がなす平面に沿って広がる板状の板状線源を検出器リングの中心軸周りに回転させながら取得されたものであり、放射線断層撮影装置は、(A2)板状線源を回転させる線源回転手段と、(B2)線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、(C2)ある時刻における検出器リングに対する板状線源の回転角度を特定する位置特定手段とを更に備えおり、第2消滅点特定手段は、位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定すればより望ましい。
【0021】
[作用・効果]上述の構成は、補正データの生成時に用いられる線源の具体的な態様を示している。すなわち、補正データは、中心軸の伸びる方向と、幅方向に沿って延びた板状線源を検出器リング中心軸周りに回転させながら取得されたものである。そして、ある時刻における検出器リングに対する板状線源の回転角度を特定する位置特定手段が備えられている。これにより、検出器リングがある消滅放射線対を検出したその時点で、板状線源がどこに位置していたか判明する。検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分と板状線源とが交わる点が、消滅放射線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0022】
また、上述の板状線源の幅方向に直交する方向を直交方向としたとき、補正データ生成手段は、進行方向が直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて補正データを生成すればより望ましい。
【0023】
[作用・効果]上述の板状線源を用いる場合、補正データ生成手段は、進行方向が板状線源に対して直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて補正データを生成すれば、消滅放射線対の発生点(消滅点)は、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分のちょうど中点に位置することになる。すると、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出する2点では、放射線を全く同時に検出するはずである。しかし実際には、検出器リングの部分によって消滅放射線対の検出における時間的特性がバラツイているがゆえに、放射線を検出する時刻がズレる。棒状線源を用いた場合では、検出時間のズレを消滅点が線分の中点にあったときの検出時間のズレに換算しなければならないが、板状線源を用いて、進行方向が直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて補正データを生成すれば、この様な換算が必要でなくなる。
【0024】
また、上述の被検体を載置するとともに検出器リングの内穴に挿入される天板を備え、さらに、(α)天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線源と、(β)天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線検出手段と、(γ)放射線源と放射線検出手段とを支持する支持手段と、(δ)支持手段を回転させる回転手段と、(ε)回転手段を制御する回転制御手段を備えた画像生成装置が中心軸を検出器リングの中心軸を共有して中心軸方向から隣接して設けられればより望ましい。
【0025】
[作用・効果]上述の構成によれば、被検体の内部構造と、薬剤分布との両方を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。PET装置は、一般的に薬剤分布に係る情報を得ることができる。しかしながら、被検体の臓器や組織を写しこんだ断層画像を参照しながら診断を行う必要がある場合がある。上述の構成によれば、被検体の内部構造と、薬剤分布との両方を取得できるので、例えば両画像を重ね合わせることで、診断に好適な合成画像を生成させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成によれば、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性を補正する構成となっている。このとき用いられる補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して検出器リングに消滅放射線対を検出させることで取得されたものである。本発明によれば、補正データを生成される検出される消滅放射線対は、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点から発せられたものとなっている。この様にすれば、補正データは、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。この補正データを用いて検出データを補正すれば、放射性薬剤の位置をより忠実に表した断層画像を生成できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図3】実施例1に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。
【図4】実施例1に係る検出器リングの構成を説明する平面図である。
【図5】実施例1に係る検出器リングの構成を説明する斜視図である。
【図6】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図7】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図8】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図9】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図10】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図11】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図12】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図13】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図14】実施例2に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図15】本発明の1変形例に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図16】従来構成の放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図17】従来構成の補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図18】従来構成の補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図19】従来構成の補正データの生成方法を説明する概念図である。
【実施例1】
【0028】
<放射線断層撮影装置の構成>
以下、本発明に係る放射線断層撮影装置の各実施例を図面を参照しながら説明する。実施例1におけるγ線は、本発明の放射線の一例である。図1は、実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。実施例1に係る放射線断層撮影装置9は、被検体Mを載置する天板10と、天板10をその長手方向(z方向)から導入させる開口を有するガントリ11と、ガントリ11の内部に設けられた天板10をz方向に導入させるリング状の検出器リング12とを備えている。検出器リング12に設けられた開口は、z方向(天板10の長手方向、被検体Mの体軸方向)に伸びた円筒形となっている。したがって、検出器リング12自身もz方向に延伸している。
【0029】
天板10は、ガントリ11(検出器リング12)の開口をz方向から貫通するように設けられているとともに、z方向に沿って進退自在となっている。この様な天板10の摺動は、天板移動機構15によって実現される。天板移動機構15は、天板移動制御部16によって制御される。天板移動制御部16は、天板移動機構15を制御する天板移動制御手段である。天板10は、その全域が検出器リング12の外側に位置している位置から摺動して、検出器リング12の開口にその一方側から導入されるとともに、検出器リング12の内部を貫通して、検出器リング12の開口のもう一方側から突き出ることができる。
【0030】
ガントリ11の内部には、被検体Mから放射される消滅γ線対を検出する検出器リング12が備えられている。この検出器リング12は、被検体Mの体軸方向に伸びた筒状であり、そのz方向の長さは、26cm程度である。クロック19は、検出器リング12にシリアルナンバーとなっている時刻情報を送出する。検出器リング12から出力される検出データは、γ線をどの時点で検出されたかという時刻情報が付与され、後述の同時計数部20に入力されることになる。
【0031】
同時計数部20には、検出器リング12から出力された検出データが送られてきている。検出器リング12に同時に入射した2つのγ線は、被検体内の放射性薬剤に起因する消滅γ線対である。同時計数部20は、検出器リング12を構成するシンチレータ結晶のうちの2つの組み合わせ毎に消滅γ線対が検出された回数をカウントし、この結果を時刻情報補正部21に送出する。なお、同時計数部20による検出データの同時性の判断は、クロック19によって検出データに付与された時刻情報が用いられる。
【0032】
同時計数部20は、消滅γ線対を検出した2つのシンチレータ結晶の位置関係と、2つのシンチレータ結晶の組合せ毎に記憶される消滅γ線対の検出の回数および消滅γ線対のエネルギー強度、2つのシンチレータ結晶が消滅γ線対を検出した時刻を示す時刻情報などからなるデータセットを時刻情報補正部21に出力している。時刻情報補正部21は、1つのシンチレータ結晶がγ線を検出した時点と、もう1つのシンチレータ結晶がγ線を検出した時点との間の時間を適宜補正する。補正されたデータセットは、LOR特定部22に送出される。LOR特定部22は、2つのシンチレータ結晶を結ぶ線分LOR(Line of response)を決定する。消滅γ線対は、この線分LOR上の消滅点から検出器リング12に向けて飛んできたことになる。時刻情報補正部21は、本発明の時刻情報補正手段に相当する。
【0033】
第1消滅点特定部23は、時刻情報補正部21により補正された時刻情報を基に線分LORのどの位置に消滅点が存在するかを特定する。2つのシンチレータ結晶が全く同時にγ線を検出したならば、消滅点はLORの中点に位置していることになり、2つのシンチレータ結晶のうちの1つが先にγ線を検出したならば、消滅点は、先にγ線を検出した方のシンチレータ結晶側に位置していることになる。位置が特定された消滅点のデータは、画像生成部24に出力される。画像生成部24は、消滅γ線対の強度を消滅点の位置に応じて空間的にマッピングし、被検体の放射性薬剤分布が写りこんだ断層画像を生成する。第1消滅点特定部23は、本発明の第1消滅点特定手段に相当する。
【0034】
放射線断層撮影装置9には、時刻情報補正部21が参照する補正データを求めるための各部が設けられている。図2は、これらについて説明している。補正データを求める際、同時計数部20が出力するデータセットは、LOR特定部22,LOR分割部29を通じて補正データ生成部30に送出される。補正データ生成部30は、LOR分割部29の情報を参照しながら、検出器リング12が有する2つのシンチレータ結晶の組合せについて、時刻情報の補正値を決定して、補正データを生成する。生成された補正データは、設定値記憶部37に記憶される。LOR特定部22は、本発明の線分特定手段に相当する。
【0035】
補正データを求める際、ガントリ11の内部には、被検体や天板10の代わりに、γ線を放射する棒状線源Ph1が挿入される(図2参照)。この棒状線源Ph1は、検出器リング12の中心軸に沿った棒状であり、消滅γ線対を照射する薬剤が含まれている。検出器リング12の内壁に沿うように回転移動されることができる。棒状線源Ph1は、線源回転機構33によって回転される。この線源回転機構33を制御するのが線源回転制御部34である。基準点センサ31は、線源回転機構33に付設された部材で、棒状線源Ph1の検出器リング12に対する位置情報を第2消滅点特定部27に出力するものである。第2消滅点特定部27は、時間に応じた消滅放射線対の発生位置(消滅点の位置)を特定する。棒状線源Ph1の存する位置が消滅点であることになる。このとき第2消滅点特定部27は、クロック19の出力を参照する。LOR分割部29は、LOR特定部22で特定されたLORを消滅点の位置に応じて分割するものである。補正データ生成部30は、分割されたLORの長さに応じて、消滅点から生じたγ線がシンチレータ結晶まで到達する時間を換算して、同時計数部20が出力したデータセットを基に補正データを生成する。補正データ生成部30は、本発明の補正データ生成手段に相当し、線源回転制御部34は、本発明の線源回転制御手段に相当する。また、線源回転機構33は、本発明の線源回転手段に相当し、基準点センサ31は、本発明の位置特定手段に相当する。第2消滅点特定部27は、本発明の第2消滅点特定手段に相当する。
【0036】
次に、検出器リング12を構成する放射線検出器1の構成について簡単に説明する。図3は、実施例1に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。放射線検出器1は、図3に示すようにγ線を蛍光に変換するシンチレータ2と、蛍光を検出する光検出器3とを備えている。そして、シンチレータ2と光検出器3との介在する位置には、蛍光を授受するライトガイド4が備えられている。
【0037】
シンチレータ2は、シンチレータ結晶が二次元的に配列されて構成されている。シンチレータ結晶は、Ceが拡散したLu2(1−X)Y2XSiO5(以下、LYSOとよぶ)によって構成されている。そして、光検出器3は、どのシンチレータ結晶が蛍光を発したかという蛍光発生位置を特定することができるようになっているとともに、蛍光の強度や、蛍光の発生した時刻をも特定することができる。また、実施例1の構成のシンチレータ2は、採用しうる態様の例示にすぎない。したがって、本発明の構成は、これに限られるものではない。
【0038】
検出器リング12の構成について説明する。実施例1によれば、図4に示すように100個前後の放射線検出器1がz方向に垂直な平面上の仮想円に配列することで1つの単位リング12bが形成される。この単位リング12bが図5に示すように、z方向に配列されて検出器リング12が構成される。
【0039】
なお、放射線断層撮影装置9は、各部を統括的に制御する主制御部41と、放射線断層画像を表示する表示部36とを備えている。この主制御部41は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより、各部16,19,20,21,22,23,24,34を実現している。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
【0040】
設定値記憶部37は、各部16,19,20,21,22,23,24,34が出力する出力や、各部の設定値の一切を記憶する。例えば、補正データ生成部30が生成する補正データを記憶する。
【0041】
<補正データの取得方法>
次に、補正データの取得方法について説明する。補正データは、図6のように検出器リング12の内側に棒状線源Ph1を挿入することで取得される。棒状線源Ph1は、検出器リング12の中心軸方向に伸びており、中心軸周りに回転する。この棒状線源Ph1の回転は線源回転機構33が行う。
【0042】
図6における2つのシンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データを取得するものとする。シンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORは、図6に示す通りとなっている。シンチレータ結晶Ca,Cbのペアが検出できる消滅γ線対は限られている。具体的には、シンチレータ結晶Ca,Cbのペアは、棒状線源Ph1が図6に示すaの位置にある場合か、bの位置にある場合に発せられた消滅γ線対しか検出できないのである。
【0043】
シンチレータ結晶Ca,CbについてのLORと、検出された時間などを含んだデータセットを受け取ったLOR分割部29は、棒状線源Ph1がaの位置にある場合と、bの位置にある場合とで場合分けしてLORを分割する。すなわち、棒状線源Ph1がaの位置にある場合、LOR分割部29は、図7(a)に示すように、LORをaの位置で区切って、距離R1と距離R2に分解する。この場合、距離R1のほうが長いので、消滅点から生じたγ線がシンチレータ結晶Cbに入射するには、シンチレータ結晶Caに入射するよりも長い時間が必要となる。
【0044】
また、棒状線源Ph1がbの位置にある場合、LOR分割部29は、図7(b)に示すように、LORをbの位置で区切って、距離R1と距離R2に分解する。この場合、距離R2のほうが長いので、消滅点から生じたγ線がシンチレータ結晶Caに入射するには、シンチレータ結晶Cbに入射するよりも長い時間が必要となる。
【0045】
同時計数部20が出力する消滅γ線対の検出データについて棒状線源Ph1が何れの位置にあるときに検出されたものであるかは、第2消滅点特定部27が基準点センサ31の出力と、データセットの時刻情報を比較することで判別できる。LOR分割部29は、第2消滅点特定部27の出力を通じて、時点Taにおいて、棒状線源Ph1が位置aにあること、および時点Tbにおいて、棒状線源Ph1が位置bにあることを認識したとする。これを踏まえて、LOR特定部22から出力される消滅γ線対の検出データに含まれる時刻情報を参照すると、検出データは、必ず時点Ta,または時点Tbで取得されたもののいずれかである。その理由は、シンチレータ結晶Ca,Cbのペアは、棒状線源Ph1が図6に示すaか、bの位置にある場合に発せられた消滅γ線対しか検出できないことによる。
【0046】
分割されたLORのデータ、およびその他のデータを格納したデータセットは、補正データ生成部30に送出される。図7(a)の場合、シンチレータ結晶Caは、シンチレータ結晶Cbよりも先にγ線を検出する。R2<R1となっているからである。
【0047】
この場合、シンチレータ結晶Caがγ線を検出する時刻は、より遅く、シンチレータ結晶Cbがγ線を検出する時刻は、より早いはずである。シンチレータ結晶Ca,Cbがγ線を検出した時刻は予め分かっており、R2,R1の距離は判明していることから、仮に、消滅点がLORの中点にあったとしたときのシンチレータ結晶Caの検出時刻と、シンチレータ結晶Cbの検出時刻を比例計算より求めることができる。すると、補正データ生成部30により、両者は互いに等しくなるはずである。補正データ生成部30は、上述の処理を行うことにより、シンチレータ結晶Ca,Cbの検出時刻のズレの原因となっている消滅点から両シンチレータ結晶までの距離の違いが除かれる。
【0048】
しかし、消滅点がLORの中点にあるものと換算しても、実際の検出時刻は等しくならない。シンチレータ結晶によって放射線検出の時間的特性が異なるからである。これは、シンチレータ結晶の個々の特性に由来するのではあるが、消滅γ線対を検出する性質上、2つのシンチレータ結晶の相性によって、時間的特性が変動すると考えたほうが実に即している。
【0049】
シンチレータ結晶Ca,Cbの間で消滅γ線対を例えば1,000回測定したとすると、シンチレータ結晶Ca,Cbのγ線を検出する時間差は、図8のように時間差Q1を中心としてある程度の広がりを持っている。時間差Q1は、本来は、0となるはずであるが、シンチレータ結晶Ca,Cbのいずれかの検出のレスポンスに差があるため、右側にシフトしている。
【0050】
補正データ生成部30は、図8の分布関数に作用させる演算様式を導出する。この演算とは、図8の分布関数に作用させると、図9のようになる演算であり、具体的には、分布関数をシフトさせる演算である。図9は、シンチレータ結晶Ca,Cbの検出の時間差が理想どおりとなっている時の分布関数である。分布関数の中心は0となっている。補正データ生成部30により導出される演算様式は、シンチレータ結晶Ca,Cbの組合せについての補正データである。
【0051】
上述の説明は、シンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データの生成についての動作についてのものであったが、検出器リング12における任意の2つのシンチレータ結晶の組合せについて同様な補正データが生成される。もっとも、LORが短すぎるなどして断層画像の生成に用いることができないシンチレータ結晶の組合せについては、補正データを求める必要はない。
【0052】
<板状線源について>
上述の構成において、用いられる線源は、棒状線源であったが、これに代わって、板状線源Ph2を用いても同様の効果が達成できる。板状線源Ph2を用いて補正データを取得するには、まず、板状線源Ph2を、図10のように検出器リング12の内側に挿入することで取得される。板状線源Ph2は、検出器リング12の中心軸Z方向に伸びており、中心軸Zを中心として回転する。この板状線源Ph2の回転は線源回転機構33が行う。板状線源Ph2は、中心軸Zから検出器リング12の内壁に向けて両方向に伸びている。つまり、板状線源Ph2は、検出器リング12の内壁の一端から、検出器リング12の中心を通過して、検出器リング12の内壁の他端に向けた方向(幅方向に相当)に延びているとともに中心軸Z方向に伸びた板状である。
【0053】
2つのシンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データを取得するものとする。シンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORは、図11に示す通りとなっている。シンチレータ結晶Ca,Cbのペアが検出できる消滅γ線対は多様なものがあるが、シンチレータ結晶Ca,Cbに係る補正データの生成に用いる消滅γ線対の検出データは、板状線源Ph2が特定の回転角度となっているときに限定される。具体的には、板状線源Ph2の幅方向がシンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORに垂直となっているときに発せられた消滅γ線対についての検出データのみでシンチレータ結晶Ca,Cbの補正データを求めるのである。板状線源Ph2の回転角度によらず、シンチレータ結晶Ca,Cbはいつでも消滅γ線対を検出する可能性があるが、LORと板状線源Ph2の位置関係が上記以外となっている検出データについては、後述のフィルタ部28により破棄されて補正データの生成には用いられない。
【0054】
なお、シンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORと平行なLOR(図11において点線で表示)を有する他のシンチレータ結晶のペアについての補正データの取得は、板状線源Ph2が図11のように傾斜しているときに発せられた消滅γ線対の検出データを基に行われる。
【0055】
次に、シンチレータ結晶Ca,Cbに係る補正データの具体的な取得方法について説明する。図12は、板状線源Ph2の場合における補正データ生成に関する各部の構成について説明している。補正データを求める際、同時計数部20が出力するデータセットは、LOR特定部22,フィルタ部28を通じて補正データ生成部30に送出される。補正データ生成部30は、フィルタ部28から送出されたデータを参照しながら、検出器リング12が有する2つのシンチレータ結晶の組合せについて、時刻情報の補正値を決定して、補正データを生成する。生成された補正データは、設定値記憶部37に記憶される。
【0056】
フィルタ部28は、消滅γ線対が発せれた時点の板状線源Ph2の幅方向がその消滅γ線対のLORと直交しているという条件を満たした消滅γ線対の検出データのみを補正データ生成部30に送出する。
【0057】
この様な検出データの選抜を行う目的について説明する。図13に示すように、消滅γ線対が検出された時点での距離R1と、距離R2とは等しくなっているはずである。距離R1は、シンチレータ結晶Caから板状線源Ph2までの距離であり、距離R2は、シンチレータ結晶Cbから板状線源Ph2までの距離である。
【0058】
R1=R2なのであるから、シンチレータ結晶Ca,Cbは、全く同時に放射線を検出するはずである。しかし、実際はそうなるとは限らない。シンチレータ結晶によって放射線検出の時間的特性が異なるからである。補正データ生成部30は、この放射線検出の時間的特性の違いを補正するべく、シンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データを取得する。実際の取得方法は、図8,図9を用いて既に説明済みである。フィルタ部28は、本発明の第2消滅点特定手段に相当する。
【0059】
上述の説明は、シンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データの生成についての動作についてのものであったが、検出器リング12における任意の2つのシンチレータ結晶の組合せについて同様な補正データが生成される。以上のようにして、補正データが生成される。
【0060】
<放射線断層撮影装置の動作>
次に、実施例1に係る放射線断層撮影装置の動作について説明する。まず、被検体Mに放射性薬剤が注射される。この時点から所定の時間が経過した時点で、被検体Mが天板10に載置され、被検体Mが検出器リング12の内穴に挿入される。術者が操作卓35を通じて、消滅γ線対に検出を指示すると、検出器リング12は、同時計数部20に検出データの送出を開始する。同時計数部20は、検出データの同時計数を行い、時刻情報補正部21は、設定値記憶部37に記憶されている補正データに基づいて、シンチレータ結晶の組合せの各々について検出データの補正を行う。この時点で、検出器リング12の部分によって放射線検出の時間的特性が異なる影響が取り除かれる。
【0061】
補正後の検出データは、LOR特定部22,第1消滅点特定部23に出力され、消滅γ線対の発生位置が特定される。画像生成部24は、消滅γ線対の発生位置をマッピングして被検体を輪切りにするような断層画像を生成する。これが表示部36に表示される。これをもって実施例1に係る放射線断層撮影装置の動作は終了となる。
【0062】
以上のように、実施例1の構成によれば、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性を補正する構成となっている。このとき用いられる補正データは、被検体Mの検査の前の段階で、検出器リング12に消滅γ線対を発する線源を導入して検出器リング12に消滅γ線対を検出させることで取得されたものである。このとき、消滅γ線対の発生位置が分からなければ、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから消滅γ線対が発生したのか分からないことになり、検出器リング12における消滅γ線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅γ線対が線分上のいずれから発したものかを特定するTOF−PETにとっては、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性を十分に知ることができない。
【0063】
そこで実施例1によれば、補正データを生成される検出される消滅γ線対は、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点から発せられたものとなっている。この様にすれば、検出器リング12の部分によって消滅γ線対の検出における時間的特性にバラツキが無い理想状態で、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点において、放射線はどの程度の時間的なズレをもって検出されるかがわかることになる。したがって、補正データは、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。この補正データを用いて検出データを補正すれば、放射性薬剤の位置をより忠実に表した断層画像を生成できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0064】
また、線源としては、棒状線源を用いることができる。すなわち、補正データは、検出器リング12に検出器リング12の中心軸に延びた棒状線源Ph1を検出器リング12の内壁に沿って回転移動させながら取得されることになる。そして、ある時刻における検出器リング12に対する棒状線源Ph1の位置を特定する基準点センサ31が備えられている。これにより、検出器リング12がある消滅γ線対を検出したその時点で、棒状線源Ph1がどこに位置していたか判明する。検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分と棒状線源Ph1とが交わる点が、消滅γ線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0065】
また、線源として、棒状線源を用いることもできる。補正データは、中心軸の伸びる方向と、幅方向に沿って延びた板状線源Ph2を検出器リング中心軸周りに回転させながら取得されることになる。そして、ある時刻における検出器リング12に対する板状線源Ph2の回転角度を特定する基準点センサ31が備えられている。これにより、検出器リング12がある消滅γ線対を検出したその時点で、板状線源Ph2がどこに位置していたか判明する。検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分と板状線源Ph2とが交わる点が、消滅γ線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0066】
上述の板状線源Ph2を用いる場合、補正データ生成部30は、板状線源Ph2に対して進行方向が直交方向となっている消滅γ線対のみを用いて補正データを生成すれば、消滅γ線対の発生点(消滅点)は、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分のちょうど中点に位置することになる。棒状線源Ph1を用いた場合では、検出時間のズレを消滅点が線分の中点にあったときの検出時間のズレに換算しなければならないが、板状線源Ph2を用いて、進行方向が直交方向となっている消滅γ線対のみを用いて補正データを生成すれば、この様な換算が必要でなくなる。
【実施例2】
【0067】
次に、実施例2に係るPET/CT装置について説明する。PET/CT装置とは、実施例1で説明した放射線断層撮影装置(PET装置)9と、X線を用いた断層画像を生成するCT装置8とを有する構成で、両者で得られた断層画像を重ね合わせた合成画像を生成することができる医用装置である。
【0068】
実施例2に係るPET/CT装置の構成について説明する。実施例2に係るPET/CT装置におけるPET装置においては、実施例1で説明した放射線断層撮影装置(PET装置)9を用いることができる。したがって、実施例2における特徴的な部分であるCT装置について説明する。図14に示すように、CT装置8は、ガントリ45を有している。ガントリ45には、z方向に伸びた開口が設けられており、この開口に天板10が挿入されている。なお、CT装置8は、放射線断層撮影装置9のガントリ11にz方向から隣接する。z軸は、本発明の中心軸に相当する。
【0069】
ガントリ45の内部には、X線を被検体に向けて照射するX線管43と、被検体を透過してきたFPD(フラット・パネル・ディテクタ)44と、X線管43とFPD44とを支持する支持体47とが備えられている。支持体47は、リング形状となっており、z軸周りに回転自在となっている。この支持体47の回転は、例えばモータのような動力発生手段と、例えば歯車のような動力伝達手段とから構成される回転機構39が実行する。また、回転制御部40は、この回転機構39を制御するものである。X線管43は、本発明の放射線源に相当する。FPD44は、本発明の放射線検出手段に相当し、支持体47は、本発明の支持手段に相当する。回転機構39は、本発明の回転手段に相当し、回転制御部40は、本発明の回転制御手段に相当する。支持体47(X線管43とFPD44)の回転における中心軸は、検出器リング12の中心軸と一致している。すなわち、CT装置8は、その中心軸を検出器リングの中心軸を共有してz方向からPET装置に隣接して設けられている。
【0070】
CT画像生成部48は、FPD44から出力されたX線検出データを基に、被検体MのX線断層画像を生成するものである。また、重ね合わせ部49は、放射線断層撮影装置(PET装置)9から出力された被検体内の薬剤分布を示すPET画像と、上述のX線断層画像とを重ね合わせることで重合画像を生成する構成となっている。
【0071】
主制御部41は、各種のプログラムを実行することにより、実施例1に係る各部の他、回転制御部40,CT画像生成部48,重ね合わせ部49,およびX線管制御部46とを実現している。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
【0072】
X線透視画像の取得方法について説明する。X線管43とFPD44とは、互いの相対位置を保った状態でz軸周りに回転する。このときX線管43は間歇的にX線を被検体Mに向けて照射し、その度ごとに、CT画像生成部48は、X線透視画像を生成する。この複数枚のX線透視画像は、CT画像生成部48において例えば、既存のバック・プロジェクション法を用いて単一の断層画像に組み立てられる。
【0073】
次に、合成画像の生成方法について説明する。PET/CT装置にて合成画像を取得するには、被検体Mの関心部位をCT装置に導入して、被検体Mとガントリ45との位置を変更しながらX線断層画像を取得する。そして、被検体Mの関心部位を放射線断層撮影装置(PET装置)9に導入してPET画像を取得する。重ね合わせ部49によって両画像が重ね合わせられ、完成した合成画像は、表示部36にて表示される。これにより、薬剤分布と被検体の内部構造とを同時に認識することができるので診断に好適な断層画像が提供できる。
【0074】
実施例2の構成によれば、被検体Mの内部構造と、薬剤分布との両方を取得できる放射線断層撮影装置9が提供できる。PET装置は、一般的に薬剤分布に係る情報を得ることができる。しかしながら、被検体Mの臓器や組織を写しこんだ断層画像を参照しながら診断を行う必要がある場合がある。上述の構成によれば、被検体Mの内部構造と、薬剤分布との両方を取得できるので、例えば両画像を重ね合わせることで、診断に好適な合成画像を生成させることができる。
【0075】
本発明は、上述の実施例に限られず、下記のように変形実施することができる。
【0076】
(1)板状線源Ph2を用いる場合において、図15に示すように、中心軸Zを通過するLORについては、板状線源Ph2の幅方向に直交した状態で検出されたものでなくても、補正データの生成に用いることができる。検出器リング12の中心軸Zを通過するLORについては、板状線源Ph2の回転角度によらず、消滅点は、常にLORの中点となっているからである。
【0077】
(2)上述した各実施例のいうシンチレータ結晶は、LYSOで構成されていたが、本発明においては、その代わりに、GSO(Gd2SiO5)などのほかの材料でシンチレータ結晶を構成してもよい。本変形例によれば、より安価な放射線検出器が提供できる放射線検出器の製造方法が提供できる。
【0078】
(3)上述した各実施例において、光検出器は、光電子増倍管で構成されていたが、本発明はこれに限らない。光電子増倍管に代わって、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオードや半導体検出器などを用いていもよい。
【符号の説明】
【0079】
Ph1 棒状線源
Ph2 板状線源
1 放射線検出器
12 検出器リング
22 LOR特定部(線分特定手段)
30 補正データ生成部(補正データ生成手段)
21 時刻情報補正部(時刻情報補正手段)
23 第1消滅点特定部(第1消滅点特定手段)
27 第2消滅点特定部(第2消滅点特定手段)
28 フィルタ部(第2消滅点特定手段)
33 線源回転機構(線源回転手段)
34 線源回転制御部(線源回転制御手段)
31 基準点センサ(位置特定手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、本発明は、被検体から照射される消滅放射線対を検出して、被検体内の放射線薬剤の分布のイメージングを行う放射線断層撮影装置に関し、特に、消滅放射線対の入射時間を利用して消滅放射線対の発生位置を特定する放射線断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、放射線薬剤の分布をイメージングする放射線断層撮影装置が配備されている。この様な放射線断層撮影装置の具体的な構成について説明する。従来の放射線断層撮影装置51は、図16に示すように、放射線を検出する放射線検出器が円環状に並んで構成される検出器リング62が備えられている。この検出器リング62は、被検体内の放射性薬剤から照射される互いが反対方向となっている一対の放射線(消滅放射線対)を検出する。放射線断層撮影装置は、消滅放射線対の発生位置を空間的にマッピングすることで被検体内の放射線薬剤の分布を取得するのである(特許文献1参照)。
【0003】
放射線断層撮影装置は、検出器リング62のどこに消滅放射線対が入射したかを区別できるようになっている。図17において、消滅点Pで発生した消滅放射線対は、検出器リング62の異なる2つの位置A1,A2に入射している。消滅点Pは、位置A1と位置A2とを結ぶ直線上に存在することになる。この様な直線をLORと呼ぶ。
【0004】
また、放射線断層撮影装置は、消滅放射線対が検出器リング62に入射した時刻を区別できるようになっている。図17において、消滅点Pから位置A1までの距離は、消滅点Pから位置A2までの距離よりも長くなっている。したがって、消滅点Pから位置A1に向かう放射線が位置A1に入射する前に、消滅点Pから位置A2に向かう放射線が位置A2に既に入射している。つまり、位置A1で放射線を検出した時刻は、位置A2で放射線を検出した時刻よりも後になっている。
【0005】
放射線断層撮影装置は、消滅放射線対が検出器リング62に入射した時刻のズレを基に、消滅点がLORのどこに位置しているかを知ることができる。すなわち、位置A1で放射線を検出した時刻が位置A2で放射線を検出した時刻よりも遅ければ遅いほど、消滅点Pは位置A2寄りに存在していたことが分かる。また、位置A1で放射線を検出した時刻が位置A2で放射線を検出した時刻よりも早ければ早いほど、消滅点Pは位置A1寄りに存在していたことが分かる。
【0006】
この様に消滅放射線対の入射時刻を比較して、消滅点Pの位置を決定する放射線断層撮影装置は、TOF−PET(Time of flight-positron emission tomography)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−208849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来構成の放射線断層撮影装置には次の様な問題点がある。
すなわち、検出器リング62の部分によって、放射線の検出の時間的特性がまちまちなのである。例えば、図18に示すように、検出器リング62の位置A1と位置A2との中点に消滅点があったものとする。この場合、位置A1と位置A2には、全く同時に放射線が入射することになる。
【0009】
しかし、位置A1と位置A2との放射線の検出の特性が異なっているために、位置A2のほうが位置A1よりも放射線が入射してから検出されるまでに例えば時間がかかったりする。この場合、実際は、位置A1と位置A2とには同時に放射線が入射しているのに、位置A1のほうが位置A2よりも早いタイミングで放射線を検出したものと誤認されるのである。
【0010】
すると、実際の消滅点Pは位置A1と位置A2との中点にあるのに、図18の点線で示すように、あたかも消滅点Pが位置A1寄りであるかのような誤認が生じ、消滅放射線対の発生位置を正確に知ることができなくなってしまう。
【0011】
この様な検出器リング62の部分によってまちまちとなっている放射線の検出の時間的特性の影響を取り除くためには、被検体の撮影を行う前に予め放射線を発するファントムを検出器リング62の内部に導入して、補正データを取得しておく。検出器リング62の位置によって異なる放射線の検出の時間的特性を予め知っておけば、補正により、検出データの正確性を向上させることができるからである。従来の補正データの取得方法は、図19に示すように、消滅放射線対を発する円柱形のファントムPhを検出器リング62に内部に導入して補正データが取得される。例えば、位置A1と位置A2との間に見られる検出の時間差は、これらを結ぶ線分上のいずれかで発生した消滅放射線対を検出することで補正される。この様な補正データの取得方法は、一般的な放射線断層撮影装置(PET)で使用されているものであり、TOF−PET用ではない。
【0012】
従来構成の円柱形のファントムPhをTOF−PETに用いてしまうと、図19に示すように、線分上のどこに消滅点が存しているか分からない。位置A1と位置A2とで検出された消滅放射線対は、位置A1の近傍で発生したものかもしれないし、位置A2の近傍で発生したものかもしれない。補正データを取得するには、同一条件で消滅放射線対を複数回に亘って検出する必要があり、消滅放射線対の発生位置が検出の度に変動してしまうと、検出器リング62の位置によって異なる放射線の検出の時間的特性を正確に知ることができなくなる。
【0013】
ちなみに、一般的な放射線断層撮影装置では、消滅放射線対であるか認定できるほどの時間分解能があればよく、検出時間の差をそこまで厳密に知る必要はないので、補正データの取得には円柱形のファントムPhで十分である。しかし、検出時間の正確性が求められるTOF−PETにとって不十分である。ファントムを円筒形としても、やはりいずれから消滅放射線対が発しているかは不明で、これを用いることもできない。
【0014】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、検出器リングの部分によって異なる放射線の検出の時間的特性を正確に知ることにより、消滅放射線対の入射時間を利用して消滅放射線対の発生位置を正確に特定できる放射線断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明に係る放射線断層撮影装置は、被検体から照射される放射線を検出する放射線検出器がリング状に配列されて構成され、消滅放射線対を検出する検出器リングと、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性の補正に用いられる補正データを生成する補正データ生成手段と、補正データに基づいて検出器リングが消滅放射線対を検出した時刻を示す時刻情報を補正する時刻情報補正手段と、検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分を特定する線分特定手段と、検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅放射線対が線分上のいずれから発したものかを特定する第1消滅点特定手段と、補正データの生成の際、検出される消滅放射線対が検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから発せられたものかを特定する第2消滅点特定手段を備え、補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して発生位置が特定された消滅放射線対を検出器リングに検出させることで取得されたものであることを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]本発明の構成によれば、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性を補正する構成となっている。このとき用いられる補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して検出器リングに消滅放射線対を検出させることで取得されたものである。このとき、消滅放射線対の発生位置が分からなければ、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから消滅放射線対が発生したのか分からないことになり、検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅放射線対が線分上のいずれから発したものかを特定するTOF−PETにとっては、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性を十分に知ることができない。
【0017】
そこで本発明によれば、補正データを生成される検出される消滅放射線対は、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点から発せられたものとなっている。この様にすれば、検出器リングの部分によって消滅放射線対の検出における時間的特性にバラツキが無い理想状態で、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点において、放射線はどの程度の時間的なズレをもって検出されるかがわかることになる。したがって、補正データは、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。この補正データを用いて検出データを補正すれば、放射性薬剤の位置をより忠実に表した断層画像を生成できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0018】
また、上述の補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに検出器リングの中心軸に延びた棒状線源を検出器リングの内壁に沿って回転移動させながら取得されたものであり、放射線断層撮影装置は、(A1)棒状線源を回転させる線源回転手段と、(B1)線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、(C1)ある時刻における検出器リングに対する棒状線源の位置を特定する位置特定手段とを更に備えており、第2消滅点特定手段は、位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定すればより望ましい。
【0019】
[作用・効果]上述の構成は、補正データの生成時に用いられる線源の具体的な態様を示している。すなわち、補正データは、検出器リングに検出器リングの中心軸に延びた棒状線源を検出器リングの内壁に沿って回転移動させながら取得されたものである。そして、ある時刻における検出器リングに対する棒状線源の位置を特定する位置特定手段が備えられている。これにより、検出器リングがある消滅放射線対を検出したその時点で、棒状線源がどこに位置していたか判明する。検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分と棒状線源とが交わる点が、消滅放射線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0020】
また、上述の補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに検出器リングの中心軸の伸びる方向と、中心軸と直交する幅方向の2方向がなす平面に沿って広がる板状の板状線源を検出器リングの中心軸周りに回転させながら取得されたものであり、放射線断層撮影装置は、(A2)板状線源を回転させる線源回転手段と、(B2)線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、(C2)ある時刻における検出器リングに対する板状線源の回転角度を特定する位置特定手段とを更に備えおり、第2消滅点特定手段は、位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定すればより望ましい。
【0021】
[作用・効果]上述の構成は、補正データの生成時に用いられる線源の具体的な態様を示している。すなわち、補正データは、中心軸の伸びる方向と、幅方向に沿って延びた板状線源を検出器リング中心軸周りに回転させながら取得されたものである。そして、ある時刻における検出器リングに対する板状線源の回転角度を特定する位置特定手段が備えられている。これにより、検出器リングがある消滅放射線対を検出したその時点で、板状線源がどこに位置していたか判明する。検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分と板状線源とが交わる点が、消滅放射線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0022】
また、上述の板状線源の幅方向に直交する方向を直交方向としたとき、補正データ生成手段は、進行方向が直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて補正データを生成すればより望ましい。
【0023】
[作用・効果]上述の板状線源を用いる場合、補正データ生成手段は、進行方向が板状線源に対して直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて補正データを生成すれば、消滅放射線対の発生点(消滅点)は、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分のちょうど中点に位置することになる。すると、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出する2点では、放射線を全く同時に検出するはずである。しかし実際には、検出器リングの部分によって消滅放射線対の検出における時間的特性がバラツイているがゆえに、放射線を検出する時刻がズレる。棒状線源を用いた場合では、検出時間のズレを消滅点が線分の中点にあったときの検出時間のズレに換算しなければならないが、板状線源を用いて、進行方向が直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて補正データを生成すれば、この様な換算が必要でなくなる。
【0024】
また、上述の被検体を載置するとともに検出器リングの内穴に挿入される天板を備え、さらに、(α)天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線源と、(β)天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線検出手段と、(γ)放射線源と放射線検出手段とを支持する支持手段と、(δ)支持手段を回転させる回転手段と、(ε)回転手段を制御する回転制御手段を備えた画像生成装置が中心軸を検出器リングの中心軸を共有して中心軸方向から隣接して設けられればより望ましい。
【0025】
[作用・効果]上述の構成によれば、被検体の内部構造と、薬剤分布との両方を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。PET装置は、一般的に薬剤分布に係る情報を得ることができる。しかしながら、被検体の臓器や組織を写しこんだ断層画像を参照しながら診断を行う必要がある場合がある。上述の構成によれば、被検体の内部構造と、薬剤分布との両方を取得できるので、例えば両画像を重ね合わせることで、診断に好適な合成画像を生成させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成によれば、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性を補正する構成となっている。このとき用いられる補正データは、被検体の検査の前の段階で、検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して検出器リングに消滅放射線対を検出させることで取得されたものである。本発明によれば、補正データを生成される検出される消滅放射線対は、検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点から発せられたものとなっている。この様にすれば、補正データは、検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。この補正データを用いて検出データを補正すれば、放射性薬剤の位置をより忠実に表した断層画像を生成できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図3】実施例1に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。
【図4】実施例1に係る検出器リングの構成を説明する平面図である。
【図5】実施例1に係る検出器リングの構成を説明する斜視図である。
【図6】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図7】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図8】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図9】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図10】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図11】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図12】実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図13】実施例1に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図14】実施例2に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図15】本発明の1変形例に係る補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図16】従来構成の放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図17】従来構成の補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図18】従来構成の補正データの生成方法を説明する概念図である。
【図19】従来構成の補正データの生成方法を説明する概念図である。
【実施例1】
【0028】
<放射線断層撮影装置の構成>
以下、本発明に係る放射線断層撮影装置の各実施例を図面を参照しながら説明する。実施例1におけるγ線は、本発明の放射線の一例である。図1は、実施例1に係る放射線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。実施例1に係る放射線断層撮影装置9は、被検体Mを載置する天板10と、天板10をその長手方向(z方向)から導入させる開口を有するガントリ11と、ガントリ11の内部に設けられた天板10をz方向に導入させるリング状の検出器リング12とを備えている。検出器リング12に設けられた開口は、z方向(天板10の長手方向、被検体Mの体軸方向)に伸びた円筒形となっている。したがって、検出器リング12自身もz方向に延伸している。
【0029】
天板10は、ガントリ11(検出器リング12)の開口をz方向から貫通するように設けられているとともに、z方向に沿って進退自在となっている。この様な天板10の摺動は、天板移動機構15によって実現される。天板移動機構15は、天板移動制御部16によって制御される。天板移動制御部16は、天板移動機構15を制御する天板移動制御手段である。天板10は、その全域が検出器リング12の外側に位置している位置から摺動して、検出器リング12の開口にその一方側から導入されるとともに、検出器リング12の内部を貫通して、検出器リング12の開口のもう一方側から突き出ることができる。
【0030】
ガントリ11の内部には、被検体Mから放射される消滅γ線対を検出する検出器リング12が備えられている。この検出器リング12は、被検体Mの体軸方向に伸びた筒状であり、そのz方向の長さは、26cm程度である。クロック19は、検出器リング12にシリアルナンバーとなっている時刻情報を送出する。検出器リング12から出力される検出データは、γ線をどの時点で検出されたかという時刻情報が付与され、後述の同時計数部20に入力されることになる。
【0031】
同時計数部20には、検出器リング12から出力された検出データが送られてきている。検出器リング12に同時に入射した2つのγ線は、被検体内の放射性薬剤に起因する消滅γ線対である。同時計数部20は、検出器リング12を構成するシンチレータ結晶のうちの2つの組み合わせ毎に消滅γ線対が検出された回数をカウントし、この結果を時刻情報補正部21に送出する。なお、同時計数部20による検出データの同時性の判断は、クロック19によって検出データに付与された時刻情報が用いられる。
【0032】
同時計数部20は、消滅γ線対を検出した2つのシンチレータ結晶の位置関係と、2つのシンチレータ結晶の組合せ毎に記憶される消滅γ線対の検出の回数および消滅γ線対のエネルギー強度、2つのシンチレータ結晶が消滅γ線対を検出した時刻を示す時刻情報などからなるデータセットを時刻情報補正部21に出力している。時刻情報補正部21は、1つのシンチレータ結晶がγ線を検出した時点と、もう1つのシンチレータ結晶がγ線を検出した時点との間の時間を適宜補正する。補正されたデータセットは、LOR特定部22に送出される。LOR特定部22は、2つのシンチレータ結晶を結ぶ線分LOR(Line of response)を決定する。消滅γ線対は、この線分LOR上の消滅点から検出器リング12に向けて飛んできたことになる。時刻情報補正部21は、本発明の時刻情報補正手段に相当する。
【0033】
第1消滅点特定部23は、時刻情報補正部21により補正された時刻情報を基に線分LORのどの位置に消滅点が存在するかを特定する。2つのシンチレータ結晶が全く同時にγ線を検出したならば、消滅点はLORの中点に位置していることになり、2つのシンチレータ結晶のうちの1つが先にγ線を検出したならば、消滅点は、先にγ線を検出した方のシンチレータ結晶側に位置していることになる。位置が特定された消滅点のデータは、画像生成部24に出力される。画像生成部24は、消滅γ線対の強度を消滅点の位置に応じて空間的にマッピングし、被検体の放射性薬剤分布が写りこんだ断層画像を生成する。第1消滅点特定部23は、本発明の第1消滅点特定手段に相当する。
【0034】
放射線断層撮影装置9には、時刻情報補正部21が参照する補正データを求めるための各部が設けられている。図2は、これらについて説明している。補正データを求める際、同時計数部20が出力するデータセットは、LOR特定部22,LOR分割部29を通じて補正データ生成部30に送出される。補正データ生成部30は、LOR分割部29の情報を参照しながら、検出器リング12が有する2つのシンチレータ結晶の組合せについて、時刻情報の補正値を決定して、補正データを生成する。生成された補正データは、設定値記憶部37に記憶される。LOR特定部22は、本発明の線分特定手段に相当する。
【0035】
補正データを求める際、ガントリ11の内部には、被検体や天板10の代わりに、γ線を放射する棒状線源Ph1が挿入される(図2参照)。この棒状線源Ph1は、検出器リング12の中心軸に沿った棒状であり、消滅γ線対を照射する薬剤が含まれている。検出器リング12の内壁に沿うように回転移動されることができる。棒状線源Ph1は、線源回転機構33によって回転される。この線源回転機構33を制御するのが線源回転制御部34である。基準点センサ31は、線源回転機構33に付設された部材で、棒状線源Ph1の検出器リング12に対する位置情報を第2消滅点特定部27に出力するものである。第2消滅点特定部27は、時間に応じた消滅放射線対の発生位置(消滅点の位置)を特定する。棒状線源Ph1の存する位置が消滅点であることになる。このとき第2消滅点特定部27は、クロック19の出力を参照する。LOR分割部29は、LOR特定部22で特定されたLORを消滅点の位置に応じて分割するものである。補正データ生成部30は、分割されたLORの長さに応じて、消滅点から生じたγ線がシンチレータ結晶まで到達する時間を換算して、同時計数部20が出力したデータセットを基に補正データを生成する。補正データ生成部30は、本発明の補正データ生成手段に相当し、線源回転制御部34は、本発明の線源回転制御手段に相当する。また、線源回転機構33は、本発明の線源回転手段に相当し、基準点センサ31は、本発明の位置特定手段に相当する。第2消滅点特定部27は、本発明の第2消滅点特定手段に相当する。
【0036】
次に、検出器リング12を構成する放射線検出器1の構成について簡単に説明する。図3は、実施例1に係る放射線検出器の構成を説明する斜視図である。放射線検出器1は、図3に示すようにγ線を蛍光に変換するシンチレータ2と、蛍光を検出する光検出器3とを備えている。そして、シンチレータ2と光検出器3との介在する位置には、蛍光を授受するライトガイド4が備えられている。
【0037】
シンチレータ2は、シンチレータ結晶が二次元的に配列されて構成されている。シンチレータ結晶は、Ceが拡散したLu2(1−X)Y2XSiO5(以下、LYSOとよぶ)によって構成されている。そして、光検出器3は、どのシンチレータ結晶が蛍光を発したかという蛍光発生位置を特定することができるようになっているとともに、蛍光の強度や、蛍光の発生した時刻をも特定することができる。また、実施例1の構成のシンチレータ2は、採用しうる態様の例示にすぎない。したがって、本発明の構成は、これに限られるものではない。
【0038】
検出器リング12の構成について説明する。実施例1によれば、図4に示すように100個前後の放射線検出器1がz方向に垂直な平面上の仮想円に配列することで1つの単位リング12bが形成される。この単位リング12bが図5に示すように、z方向に配列されて検出器リング12が構成される。
【0039】
なお、放射線断層撮影装置9は、各部を統括的に制御する主制御部41と、放射線断層画像を表示する表示部36とを備えている。この主制御部41は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより、各部16,19,20,21,22,23,24,34を実現している。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
【0040】
設定値記憶部37は、各部16,19,20,21,22,23,24,34が出力する出力や、各部の設定値の一切を記憶する。例えば、補正データ生成部30が生成する補正データを記憶する。
【0041】
<補正データの取得方法>
次に、補正データの取得方法について説明する。補正データは、図6のように検出器リング12の内側に棒状線源Ph1を挿入することで取得される。棒状線源Ph1は、検出器リング12の中心軸方向に伸びており、中心軸周りに回転する。この棒状線源Ph1の回転は線源回転機構33が行う。
【0042】
図6における2つのシンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データを取得するものとする。シンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORは、図6に示す通りとなっている。シンチレータ結晶Ca,Cbのペアが検出できる消滅γ線対は限られている。具体的には、シンチレータ結晶Ca,Cbのペアは、棒状線源Ph1が図6に示すaの位置にある場合か、bの位置にある場合に発せられた消滅γ線対しか検出できないのである。
【0043】
シンチレータ結晶Ca,CbについてのLORと、検出された時間などを含んだデータセットを受け取ったLOR分割部29は、棒状線源Ph1がaの位置にある場合と、bの位置にある場合とで場合分けしてLORを分割する。すなわち、棒状線源Ph1がaの位置にある場合、LOR分割部29は、図7(a)に示すように、LORをaの位置で区切って、距離R1と距離R2に分解する。この場合、距離R1のほうが長いので、消滅点から生じたγ線がシンチレータ結晶Cbに入射するには、シンチレータ結晶Caに入射するよりも長い時間が必要となる。
【0044】
また、棒状線源Ph1がbの位置にある場合、LOR分割部29は、図7(b)に示すように、LORをbの位置で区切って、距離R1と距離R2に分解する。この場合、距離R2のほうが長いので、消滅点から生じたγ線がシンチレータ結晶Caに入射するには、シンチレータ結晶Cbに入射するよりも長い時間が必要となる。
【0045】
同時計数部20が出力する消滅γ線対の検出データについて棒状線源Ph1が何れの位置にあるときに検出されたものであるかは、第2消滅点特定部27が基準点センサ31の出力と、データセットの時刻情報を比較することで判別できる。LOR分割部29は、第2消滅点特定部27の出力を通じて、時点Taにおいて、棒状線源Ph1が位置aにあること、および時点Tbにおいて、棒状線源Ph1が位置bにあることを認識したとする。これを踏まえて、LOR特定部22から出力される消滅γ線対の検出データに含まれる時刻情報を参照すると、検出データは、必ず時点Ta,または時点Tbで取得されたもののいずれかである。その理由は、シンチレータ結晶Ca,Cbのペアは、棒状線源Ph1が図6に示すaか、bの位置にある場合に発せられた消滅γ線対しか検出できないことによる。
【0046】
分割されたLORのデータ、およびその他のデータを格納したデータセットは、補正データ生成部30に送出される。図7(a)の場合、シンチレータ結晶Caは、シンチレータ結晶Cbよりも先にγ線を検出する。R2<R1となっているからである。
【0047】
この場合、シンチレータ結晶Caがγ線を検出する時刻は、より遅く、シンチレータ結晶Cbがγ線を検出する時刻は、より早いはずである。シンチレータ結晶Ca,Cbがγ線を検出した時刻は予め分かっており、R2,R1の距離は判明していることから、仮に、消滅点がLORの中点にあったとしたときのシンチレータ結晶Caの検出時刻と、シンチレータ結晶Cbの検出時刻を比例計算より求めることができる。すると、補正データ生成部30により、両者は互いに等しくなるはずである。補正データ生成部30は、上述の処理を行うことにより、シンチレータ結晶Ca,Cbの検出時刻のズレの原因となっている消滅点から両シンチレータ結晶までの距離の違いが除かれる。
【0048】
しかし、消滅点がLORの中点にあるものと換算しても、実際の検出時刻は等しくならない。シンチレータ結晶によって放射線検出の時間的特性が異なるからである。これは、シンチレータ結晶の個々の特性に由来するのではあるが、消滅γ線対を検出する性質上、2つのシンチレータ結晶の相性によって、時間的特性が変動すると考えたほうが実に即している。
【0049】
シンチレータ結晶Ca,Cbの間で消滅γ線対を例えば1,000回測定したとすると、シンチレータ結晶Ca,Cbのγ線を検出する時間差は、図8のように時間差Q1を中心としてある程度の広がりを持っている。時間差Q1は、本来は、0となるはずであるが、シンチレータ結晶Ca,Cbのいずれかの検出のレスポンスに差があるため、右側にシフトしている。
【0050】
補正データ生成部30は、図8の分布関数に作用させる演算様式を導出する。この演算とは、図8の分布関数に作用させると、図9のようになる演算であり、具体的には、分布関数をシフトさせる演算である。図9は、シンチレータ結晶Ca,Cbの検出の時間差が理想どおりとなっている時の分布関数である。分布関数の中心は0となっている。補正データ生成部30により導出される演算様式は、シンチレータ結晶Ca,Cbの組合せについての補正データである。
【0051】
上述の説明は、シンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データの生成についての動作についてのものであったが、検出器リング12における任意の2つのシンチレータ結晶の組合せについて同様な補正データが生成される。もっとも、LORが短すぎるなどして断層画像の生成に用いることができないシンチレータ結晶の組合せについては、補正データを求める必要はない。
【0052】
<板状線源について>
上述の構成において、用いられる線源は、棒状線源であったが、これに代わって、板状線源Ph2を用いても同様の効果が達成できる。板状線源Ph2を用いて補正データを取得するには、まず、板状線源Ph2を、図10のように検出器リング12の内側に挿入することで取得される。板状線源Ph2は、検出器リング12の中心軸Z方向に伸びており、中心軸Zを中心として回転する。この板状線源Ph2の回転は線源回転機構33が行う。板状線源Ph2は、中心軸Zから検出器リング12の内壁に向けて両方向に伸びている。つまり、板状線源Ph2は、検出器リング12の内壁の一端から、検出器リング12の中心を通過して、検出器リング12の内壁の他端に向けた方向(幅方向に相当)に延びているとともに中心軸Z方向に伸びた板状である。
【0053】
2つのシンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データを取得するものとする。シンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORは、図11に示す通りとなっている。シンチレータ結晶Ca,Cbのペアが検出できる消滅γ線対は多様なものがあるが、シンチレータ結晶Ca,Cbに係る補正データの生成に用いる消滅γ線対の検出データは、板状線源Ph2が特定の回転角度となっているときに限定される。具体的には、板状線源Ph2の幅方向がシンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORに垂直となっているときに発せられた消滅γ線対についての検出データのみでシンチレータ結晶Ca,Cbの補正データを求めるのである。板状線源Ph2の回転角度によらず、シンチレータ結晶Ca,Cbはいつでも消滅γ線対を検出する可能性があるが、LORと板状線源Ph2の位置関係が上記以外となっている検出データについては、後述のフィルタ部28により破棄されて補正データの生成には用いられない。
【0054】
なお、シンチレータ結晶Ca,Cbを結ぶLORと平行なLOR(図11において点線で表示)を有する他のシンチレータ結晶のペアについての補正データの取得は、板状線源Ph2が図11のように傾斜しているときに発せられた消滅γ線対の検出データを基に行われる。
【0055】
次に、シンチレータ結晶Ca,Cbに係る補正データの具体的な取得方法について説明する。図12は、板状線源Ph2の場合における補正データ生成に関する各部の構成について説明している。補正データを求める際、同時計数部20が出力するデータセットは、LOR特定部22,フィルタ部28を通じて補正データ生成部30に送出される。補正データ生成部30は、フィルタ部28から送出されたデータを参照しながら、検出器リング12が有する2つのシンチレータ結晶の組合せについて、時刻情報の補正値を決定して、補正データを生成する。生成された補正データは、設定値記憶部37に記憶される。
【0056】
フィルタ部28は、消滅γ線対が発せれた時点の板状線源Ph2の幅方向がその消滅γ線対のLORと直交しているという条件を満たした消滅γ線対の検出データのみを補正データ生成部30に送出する。
【0057】
この様な検出データの選抜を行う目的について説明する。図13に示すように、消滅γ線対が検出された時点での距離R1と、距離R2とは等しくなっているはずである。距離R1は、シンチレータ結晶Caから板状線源Ph2までの距離であり、距離R2は、シンチレータ結晶Cbから板状線源Ph2までの距離である。
【0058】
R1=R2なのであるから、シンチレータ結晶Ca,Cbは、全く同時に放射線を検出するはずである。しかし、実際はそうなるとは限らない。シンチレータ結晶によって放射線検出の時間的特性が異なるからである。補正データ生成部30は、この放射線検出の時間的特性の違いを補正するべく、シンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データを取得する。実際の取得方法は、図8,図9を用いて既に説明済みである。フィルタ部28は、本発明の第2消滅点特定手段に相当する。
【0059】
上述の説明は、シンチレータ結晶Ca,Cbについての補正データの生成についての動作についてのものであったが、検出器リング12における任意の2つのシンチレータ結晶の組合せについて同様な補正データが生成される。以上のようにして、補正データが生成される。
【0060】
<放射線断層撮影装置の動作>
次に、実施例1に係る放射線断層撮影装置の動作について説明する。まず、被検体Mに放射性薬剤が注射される。この時点から所定の時間が経過した時点で、被検体Mが天板10に載置され、被検体Mが検出器リング12の内穴に挿入される。術者が操作卓35を通じて、消滅γ線対に検出を指示すると、検出器リング12は、同時計数部20に検出データの送出を開始する。同時計数部20は、検出データの同時計数を行い、時刻情報補正部21は、設定値記憶部37に記憶されている補正データに基づいて、シンチレータ結晶の組合せの各々について検出データの補正を行う。この時点で、検出器リング12の部分によって放射線検出の時間的特性が異なる影響が取り除かれる。
【0061】
補正後の検出データは、LOR特定部22,第1消滅点特定部23に出力され、消滅γ線対の発生位置が特定される。画像生成部24は、消滅γ線対の発生位置をマッピングして被検体を輪切りにするような断層画像を生成する。これが表示部36に表示される。これをもって実施例1に係る放射線断層撮影装置の動作は終了となる。
【0062】
以上のように、実施例1の構成によれば、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性を補正する構成となっている。このとき用いられる補正データは、被検体Mの検査の前の段階で、検出器リング12に消滅γ線対を発する線源を導入して検出器リング12に消滅γ線対を検出させることで取得されたものである。このとき、消滅γ線対の発生位置が分からなければ、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから消滅γ線対が発生したのか分からないことになり、検出器リング12における消滅γ線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅γ線対が線分上のいずれから発したものかを特定するTOF−PETにとっては、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性を十分に知ることができない。
【0063】
そこで実施例1によれば、補正データを生成される検出される消滅γ線対は、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分上の特定の点から発せられたものとなっている。この様にすれば、検出器リング12の部分によって消滅γ線対の検出における時間的特性にバラツキが無い理想状態で、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点において、放射線はどの程度の時間的なズレをもって検出されるかがわかることになる。したがって、補正データは、検出器リング12の部分によって異なる消滅γ線対の検出における時間的特性をより正確に表したものとなる。この補正データを用いて検出データを補正すれば、放射性薬剤の位置をより忠実に表した断層画像を生成できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0064】
また、線源としては、棒状線源を用いることができる。すなわち、補正データは、検出器リング12に検出器リング12の中心軸に延びた棒状線源Ph1を検出器リング12の内壁に沿って回転移動させながら取得されることになる。そして、ある時刻における検出器リング12に対する棒状線源Ph1の位置を特定する基準点センサ31が備えられている。これにより、検出器リング12がある消滅γ線対を検出したその時点で、棒状線源Ph1がどこに位置していたか判明する。検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分と棒状線源Ph1とが交わる点が、消滅γ線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0065】
また、線源として、棒状線源を用いることもできる。補正データは、中心軸の伸びる方向と、幅方向に沿って延びた板状線源Ph2を検出器リング中心軸周りに回転させながら取得されることになる。そして、ある時刻における検出器リング12に対する板状線源Ph2の回転角度を特定する基準点センサ31が備えられている。これにより、検出器リング12がある消滅γ線対を検出したその時点で、板状線源Ph2がどこに位置していたか判明する。検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分と板状線源Ph2とが交わる点が、消滅γ線対の発生した消滅点なのであり、消滅点の位置を確実に特定することができる。
【0066】
上述の板状線源Ph2を用いる場合、補正データ生成部30は、板状線源Ph2に対して進行方向が直交方向となっている消滅γ線対のみを用いて補正データを生成すれば、消滅γ線対の発生点(消滅点)は、検出器リング12におけるその消滅γ線対を検出した2点を結ぶ線分のちょうど中点に位置することになる。棒状線源Ph1を用いた場合では、検出時間のズレを消滅点が線分の中点にあったときの検出時間のズレに換算しなければならないが、板状線源Ph2を用いて、進行方向が直交方向となっている消滅γ線対のみを用いて補正データを生成すれば、この様な換算が必要でなくなる。
【実施例2】
【0067】
次に、実施例2に係るPET/CT装置について説明する。PET/CT装置とは、実施例1で説明した放射線断層撮影装置(PET装置)9と、X線を用いた断層画像を生成するCT装置8とを有する構成で、両者で得られた断層画像を重ね合わせた合成画像を生成することができる医用装置である。
【0068】
実施例2に係るPET/CT装置の構成について説明する。実施例2に係るPET/CT装置におけるPET装置においては、実施例1で説明した放射線断層撮影装置(PET装置)9を用いることができる。したがって、実施例2における特徴的な部分であるCT装置について説明する。図14に示すように、CT装置8は、ガントリ45を有している。ガントリ45には、z方向に伸びた開口が設けられており、この開口に天板10が挿入されている。なお、CT装置8は、放射線断層撮影装置9のガントリ11にz方向から隣接する。z軸は、本発明の中心軸に相当する。
【0069】
ガントリ45の内部には、X線を被検体に向けて照射するX線管43と、被検体を透過してきたFPD(フラット・パネル・ディテクタ)44と、X線管43とFPD44とを支持する支持体47とが備えられている。支持体47は、リング形状となっており、z軸周りに回転自在となっている。この支持体47の回転は、例えばモータのような動力発生手段と、例えば歯車のような動力伝達手段とから構成される回転機構39が実行する。また、回転制御部40は、この回転機構39を制御するものである。X線管43は、本発明の放射線源に相当する。FPD44は、本発明の放射線検出手段に相当し、支持体47は、本発明の支持手段に相当する。回転機構39は、本発明の回転手段に相当し、回転制御部40は、本発明の回転制御手段に相当する。支持体47(X線管43とFPD44)の回転における中心軸は、検出器リング12の中心軸と一致している。すなわち、CT装置8は、その中心軸を検出器リングの中心軸を共有してz方向からPET装置に隣接して設けられている。
【0070】
CT画像生成部48は、FPD44から出力されたX線検出データを基に、被検体MのX線断層画像を生成するものである。また、重ね合わせ部49は、放射線断層撮影装置(PET装置)9から出力された被検体内の薬剤分布を示すPET画像と、上述のX線断層画像とを重ね合わせることで重合画像を生成する構成となっている。
【0071】
主制御部41は、各種のプログラムを実行することにより、実施例1に係る各部の他、回転制御部40,CT画像生成部48,重ね合わせ部49,およびX線管制御部46とを実現している。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
【0072】
X線透視画像の取得方法について説明する。X線管43とFPD44とは、互いの相対位置を保った状態でz軸周りに回転する。このときX線管43は間歇的にX線を被検体Mに向けて照射し、その度ごとに、CT画像生成部48は、X線透視画像を生成する。この複数枚のX線透視画像は、CT画像生成部48において例えば、既存のバック・プロジェクション法を用いて単一の断層画像に組み立てられる。
【0073】
次に、合成画像の生成方法について説明する。PET/CT装置にて合成画像を取得するには、被検体Mの関心部位をCT装置に導入して、被検体Mとガントリ45との位置を変更しながらX線断層画像を取得する。そして、被検体Mの関心部位を放射線断層撮影装置(PET装置)9に導入してPET画像を取得する。重ね合わせ部49によって両画像が重ね合わせられ、完成した合成画像は、表示部36にて表示される。これにより、薬剤分布と被検体の内部構造とを同時に認識することができるので診断に好適な断層画像が提供できる。
【0074】
実施例2の構成によれば、被検体Mの内部構造と、薬剤分布との両方を取得できる放射線断層撮影装置9が提供できる。PET装置は、一般的に薬剤分布に係る情報を得ることができる。しかしながら、被検体Mの臓器や組織を写しこんだ断層画像を参照しながら診断を行う必要がある場合がある。上述の構成によれば、被検体Mの内部構造と、薬剤分布との両方を取得できるので、例えば両画像を重ね合わせることで、診断に好適な合成画像を生成させることができる。
【0075】
本発明は、上述の実施例に限られず、下記のように変形実施することができる。
【0076】
(1)板状線源Ph2を用いる場合において、図15に示すように、中心軸Zを通過するLORについては、板状線源Ph2の幅方向に直交した状態で検出されたものでなくても、補正データの生成に用いることができる。検出器リング12の中心軸Zを通過するLORについては、板状線源Ph2の回転角度によらず、消滅点は、常にLORの中点となっているからである。
【0077】
(2)上述した各実施例のいうシンチレータ結晶は、LYSOで構成されていたが、本発明においては、その代わりに、GSO(Gd2SiO5)などのほかの材料でシンチレータ結晶を構成してもよい。本変形例によれば、より安価な放射線検出器が提供できる放射線検出器の製造方法が提供できる。
【0078】
(3)上述した各実施例において、光検出器は、光電子増倍管で構成されていたが、本発明はこれに限らない。光電子増倍管に代わって、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオードや半導体検出器などを用いていもよい。
【符号の説明】
【0079】
Ph1 棒状線源
Ph2 板状線源
1 放射線検出器
12 検出器リング
22 LOR特定部(線分特定手段)
30 補正データ生成部(補正データ生成手段)
21 時刻情報補正部(時刻情報補正手段)
23 第1消滅点特定部(第1消滅点特定手段)
27 第2消滅点特定部(第2消滅点特定手段)
28 フィルタ部(第2消滅点特定手段)
33 線源回転機構(線源回転手段)
34 線源回転制御部(線源回転制御手段)
31 基準点センサ(位置特定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から照射される放射線を検出する放射線検出器がリング状に配列されて構成され、消滅放射線対を検出する検出器リングと、
前記検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性の補正に用いられる補正データを生成する補正データ生成手段と、
前記補正データに基づいて前記検出器リングが消滅放射線対を検出した時刻を示す時刻情報を補正する時刻情報補正手段と、
前記検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分を特定する線分特定手段と、
前記検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅放射線対が線分上のいずれから発したものかを特定する第1消滅点特定手段と、
前記補正データの生成の際、検出される消滅放射線対が前記検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから発せられたものかを特定する第2消滅点特定手段を備え、
前記補正データは、被検体の検査の前の段階で、前記検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して発生位置が特定された消滅放射線対を検出器リングに検出させることで取得されたものであることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記補正データは、
被検体の検査の前の段階で、前記検出器リングに検出器リングの中心軸に延びた棒状線源を前記検出器リングの内壁に沿って回転移動させながら取得されたものであり、
前記放射線断層撮影装置は、
(A1)前記棒状線源を回転させる線源回転手段と、
(B1)前記線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、
(C1)ある時刻における前記検出器リングに対する前記棒状線源の位置を特定する位置特定手段とを更に備えており、
前記第2消滅点特定手段は、前記位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記補正データは、
被検体の検査の前の段階で、前記検出器リングに検出器リングの中心軸の伸びる方向と、前記中心軸と直交する幅方向の2方向がなす平面に沿って広がる板状の板状線源を前記検出器リングの中心軸周りに回転させながら取得されたものであり、
前記放射線断層撮影装置は、
(A2)前記板状線源を回転させる線源回転手段と、
(B2)前記線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、
(C2)ある時刻における前記検出器リングに対する前記板状線源の回転角度を特定する位置特定手段とを更に備えおり、
前記第2消滅点特定手段は、前記位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線断層撮影装置において、
前記板状線源の幅方向に直交する方向を直交方向としたとき、
前記補正データ生成手段は、進行方向が直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて前記補正データを生成することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
被検体を載置するとともに前記検出器リングの内穴に挿入される天板を備え、
さらに、
(α)前記天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線源と、
(β)前記天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線検出手段と、
(γ)前記放射線源と前記放射線検出手段とを支持する支持手段と、
(δ)前記支持手段を回転させる回転手段と、
(ε)前記回転手段を制御する回転制御手段を備えた画像生成装置が
前記中心軸を前記検出器リングの中心軸を共有して前記中心軸方向から隣接して設けられることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項1】
被検体から照射される放射線を検出する放射線検出器がリング状に配列されて構成され、消滅放射線対を検出する検出器リングと、
前記検出器リングの部分によって異なる消滅放射線対の検出における時間的特性の補正に用いられる補正データを生成する補正データ生成手段と、
前記補正データに基づいて前記検出器リングが消滅放射線対を検出した時刻を示す時刻情報を補正する時刻情報補正手段と、
前記検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分を特定する線分特定手段と、
前記検出器リングにおける消滅放射線対を検出した2点の間で放射線を検出した時刻の比較をして、消滅放射線対が線分上のいずれから発したものかを特定する第1消滅点特定手段と、
前記補正データの生成の際、検出される消滅放射線対が前記検出器リングにおけるその消滅放射線対を検出した2点を結ぶ線分上のいずれから発せられたものかを特定する第2消滅点特定手段を備え、
前記補正データは、被検体の検査の前の段階で、前記検出器リングに消滅放射線対を発する線源を導入して発生位置が特定された消滅放射線対を検出器リングに検出させることで取得されたものであることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記補正データは、
被検体の検査の前の段階で、前記検出器リングに検出器リングの中心軸に延びた棒状線源を前記検出器リングの内壁に沿って回転移動させながら取得されたものであり、
前記放射線断層撮影装置は、
(A1)前記棒状線源を回転させる線源回転手段と、
(B1)前記線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、
(C1)ある時刻における前記検出器リングに対する前記棒状線源の位置を特定する位置特定手段とを更に備えており、
前記第2消滅点特定手段は、前記位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記補正データは、
被検体の検査の前の段階で、前記検出器リングに検出器リングの中心軸の伸びる方向と、前記中心軸と直交する幅方向の2方向がなす平面に沿って広がる板状の板状線源を前記検出器リングの中心軸周りに回転させながら取得されたものであり、
前記放射線断層撮影装置は、
(A2)前記板状線源を回転させる線源回転手段と、
(B2)前記線源回転手段を制御する線源回転制御手段と、
(C2)ある時刻における前記検出器リングに対する前記板状線源の回転角度を特定する位置特定手段とを更に備えおり、
前記第2消滅点特定手段は、前記位置特定手段の出力を基に消滅放射線対の発生位置を特定することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線断層撮影装置において、
前記板状線源の幅方向に直交する方向を直交方向としたとき、
前記補正データ生成手段は、進行方向が直交方向となっている消滅放射線対のみを用いて前記補正データを生成することを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
被検体を載置するとともに前記検出器リングの内穴に挿入される天板を備え、
さらに、
(α)前記天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線源と、
(β)前記天板に対し中心軸周りに回転可能な放射線検出手段と、
(γ)前記放射線源と前記放射線検出手段とを支持する支持手段と、
(δ)前記支持手段を回転させる回転手段と、
(ε)前記回転手段を制御する回転制御手段を備えた画像生成装置が
前記中心軸を前記検出器リングの中心軸を共有して前記中心軸方向から隣接して設けられることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−153899(P2011−153899A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15269(P2010−15269)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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