説明

放射線検出器およびその製造方法

【課題】シンチレータ層に発生する膜応力を抑制させる。
【解決手段】放射線検出器30は、アレイ基板32と、シンチレータ膜33と、反射膜38と、防湿層39とを備える。アレイ基板32は、光が入射すると電気信号を発生する光電変換素子をガラス基板34上に正方格子状に配列したものである。シンチレータ膜33は、アレイ基板32上に直接塗膜として形成される。シンチレータ膜33は、可塑剤を含有するバインダ樹脂と、微粒状シンチレータとを含有する。バインダ樹脂中の可塑剤の割合は、20wt.%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新世代のX線診断用検出器として、アクティブマトリクスを用いた平面検出器が開発されている。この平面検出器に照射されたX線を検出することにより、X線撮影像、あるいはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。この平面検出器では、X線をシンチレータ層により可視光すなわち蛍光に変換させ、この蛍光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオード、あるいはCCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子で信号電荷に変換することで画像を取得する。
【0003】
シンチレータ膜の材料としては、一般的に、ヨウ化セシウム(CsI):ナトリウム(Na)、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、あるいは酸硫化ガドリニウム(GdS:以後GOSと省略)などに発光センターとなる付活材が添加して用いられる。
【0004】
これらの中でGOSを母材とするGOS:TbやGOS:Euなどのシンチレータ材は温度や湿度に対する変質が生じ難く、増感紙のように樹脂基材上に形成されたものを光電変換素子アレイ基板上に貼り付けた構造が一般によく知られ実用化されている。また、シンチレータ材を光電変換基板アレイに直接塗膜する方法や、塗膜形成後に微細な溝加工するなどによって解像度を向上させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−309169号公報
【特許文献2】特開2010−14666号公報
【特許文献3】特開2010−25780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
GOS:Tbなどの微粒状シンチレータ材をバインダ樹脂や溶媒などと混合してアレイ基板上に直接塗布し、その後乾燥してシンチレータ膜を形成する場合、塗膜が硬化する際の体積収縮などによる膜応力の発生が重大な問題となる。応力の影響は、たとえばシンチレータ膜の基板からの浮きや膜剥れ、膜のクラック、あるいはアレイ基板の反りを生じて、検出器の信頼性に重大な影響を与える。また後工程である実装工程や筐体への組み込み工程では、平坦な基板を前提とした装置構成や作業になっているため、膜応力の発生が後工程へ与える影響も大きい。
【0007】
アレイ基板は、通常、ガラス基板上にTFTやフォトダイオード、配線類などをパターニングしたものであるために、塗膜の浮きや剥れなどの現象が特に生じ易い。アレイ基板の最表層には、保護膜として、SiNなどの無機膜や1〜2μm程度の樹脂の薄膜を被覆している。しかし、基材自体がほぼ剛体のガラスであるため、シンチレータ塗膜の体積変化による膜応力の影響は、塗膜と基板の界面に集中し、界面の現象である塗膜の浮きや剥れが顕著に現れ易いものと考えられる。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、放射線検出器の製造において、微粒状シンチレータ材をバインダ樹脂や溶媒などと混合してアレイ基板上に直接塗布し、その後乾燥してシンチレータ膜を形成する場合に、シンチレータ膜に発生する膜応力を抑制させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、実施形態の放射線検出器は、光が入射すると電気信号を発生する光電変換素子アレイ基板と、前記光電変換素子アレイ基板上に直接塗膜として形成され、可塑剤を20wt.%以上含有するバインダ樹脂と粒子状シンチレータとを含有するシンチレータ膜と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、実施形態の放射線検出器の製造方法は、ガラス基板の表面に光が入射すると電気信号を発生する光電変換素子を形成する工程と、可塑剤を含有するバインダ樹脂と沸点が100℃以上の溶媒と粒子状シンチレータとを攪拌しながら混合して塗液を生成する攪拌混合工程と、前記塗液を前記アレイ基板の前記光電変換素子が形成された側の表面に直接塗布してシンチレータ塗膜を形成する塗布工程と、前記シンチレータ塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態による放射線検出器の一部を模式的に示した斜視図である。
【図2】一実施形態による放射線検出器の一部拡大断面図である。
【図3】バインダ樹脂に占める可塑剤比率に対するシンチレータ膜形成後の塗膜の表面クラックの長さの試験結果を示すグラフである。
【図4】バインダ樹脂に占める可塑剤比率に対するシンチレータ膜形成後の塗膜の浮きの概略面積比率の試験結果を示すグラフである。
【図5】バインダ樹脂に占める可塑剤比率に対するシンチレータ膜形成後の基盤の反り量の試験結果を示すグラフである。
【図6】シンチレータ層全体に占める微粒状シンチレータとバインダ樹脂との割合に対する輝度の変化の試験結果を示すグラフである。
【図7】シンチレータ層全体に占める微粒状シンチレータとバインダ樹脂との割合に対する解像度の変化の試験結果を示すグラフである。
【図8】バインダ樹脂のシンチレータ中での含有比率に対する信頼性試験の結果を示す表である。
【図9】バインダ樹脂の溶媒を変えた場合の膜のクラック発生状況を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下一実施形態の放射線検出器を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、一実施形態による放射線検出器の一部を模式的に示した斜視図である。
【0014】
本実施形態の放射線検出器30は、放射線であるX線画像を検出するX線平面センサであり、たとえば一般医療用途などに用いられる。放射線検出器30は、アレイ基板32とアレイ基板32の一主面上に形成されたシンチレータ膜33とを有している。
【0015】
シンチレータ膜33は、入射したX線によって蛍光を発生する。つまり、シンチレータ膜33は、X線を可視光に変換するX線変換部として機能する。アレイ基板32は、光電変換素子としてフォトダイオードをTFT上に形成したものであり、蛍光を電気信号に変換する光電変換部である。
【0016】
アレイ基板32は、ガラス基板34を有している。ガラス基板34の一主面上には、正方格子状に配列された複数の画素10が形成されている。それぞれの画素10は、互いに同じ形状に形成されていて、それぞれ薄膜トランジスタ(TFT)12とフォトダイオード11とを有している。フォトダイオード11は、たとえば一部が切り欠かれた矩形状に形成されている。薄膜トランジスタ12は、たとえばフォトダイオード11の切り欠かれた部分に配置されている。フォトダイオード11は、シンチレータ膜33が放射した光を電荷に変換する光電変換部材である。
【0017】
画素10が配列された正方格子の行方向には、画素10の行と同数の制御ライン36が延びている。制御ライン36には、選択信号が与えられる。また、画素10が配列された正方格子の列方向には、画素10の列と同数のデータライン37が延びている。データライン37からは画像データが伝達される。なお、図1において、4行4列の画素10を示しているが、画素10の数は要求される解像度および撮像面積に応じて適宜増減してもよい。また、画素10の行および列の数は互いに異なっていてもよい。
【0018】
図2は、本実施形態による放射線検出器の一部拡大断面図である。
【0019】
画素10の一部を構成する薄膜トランジスタ12は、ドレイン電極15とゲート電極13とソース電極14とを持っている。それぞれの薄膜トランジスタ12は、フォトダイオード11への光の入射にて発生した電荷を蓄積および放出させるスイッチング機能を担う。それぞれの薄膜トランジスタ12は、結晶性を有する半導体材料である非晶質半導体としてのアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは多結晶半導体であるポリシリコン(P−Si)などの半導体材料にて少なくとも一部が構成されている。
【0020】
また、各画素10は、フォトダイオード11にて変換した信号電荷を蓄積する電荷蓄積部としての蓄積キャパシタを備えている。蓄積キャパシタは、矩形平板状に形成され、各フォトダイオード11の下部に対向して設けられている。ただし、蓄積キャパシタは、フォトダイオードの容量が兼ねる場合もあり、必ずしも必要ではない。
【0021】
シンチレータ膜33は、薄膜トランジスタ12およびフォトダイオード11などからなる画素10に対してガラス基板34の反対側に設けられている。シンチレータ層33は、微粒状シンチレータとバインダ樹脂とを含有している。微粒状シンチレータとは、粒径が0.5μmないし40μm程度の微細な粒子状のシンチレータである。シンチレータ膜33のバインダ樹脂は、たとえばブチラール系樹脂と可塑剤であるエポキシ化亜麻仁油を含有している。
【0022】
シンチレータ材料としては、平均粒径5μmのGOS:Tb(GdS:Tb)シンチレータ微粉を用いることができる。また、これ以外のシンチレータ材を用いてもよい。たとえば、赤色側に発光波長のピークがあるGOS:Eu(GdS:Eu)や、CaWO系、BaFCl系、YTaO系などのシンチレータ材の微粒子粉体を用いることができる。
【0023】
GOS:Tb(GdS:Tb)とGOS:Eu(GdS:Eu)は、X線の発光効率が高く、50KeV程度のK吸収端(K−edge)があり、特に医療用途で用いられるX線のエネルギー領域で好適である。また、光電変換素子として一般的に用いられるフォトダイオードの感度スペクトルとのマッチングも比較的高いために、高感度が得易い。更に、焼結蛍光体であって温度や湿度に対し安定性も高く、バインダ材との反応も生じ難い事から、長期的な信頼性を確保できる。
【0024】
シンチレータ膜33は、複数の層からなっていてもよい。これらの複数の層は、例えばアレイ基板32から遠いほど微粒状シンチレータの平均粒径が小さくなるようにする。また、アレイ基板32から遠いほど微粒状シンチレータの体積含有率が大きくなるようにする。一例としてアレイ基板32から最も遠い層の微粒状シンチレータの平均粒径が0.1ないし2μmで、微粒状シンチレータの体積含有比率が40%以上とする。
【0025】
一般に、体積含有率が同じ場合には、シンチレータの平均粒径が小さいほど光の散乱能は大きくなり、シンチレータ光の遠方への広がりが抑止されることで輝度は低下傾向となるが解像度特性は改善される。またシンチレータの体積含有率をアップすることは、輝度及び解像度の両面で望ましい。
【0026】
アレイ基板から遠い側の層でシンチレータの平均粒径を小さくした場合、基板から遠い層内でのシンチレータ発光は、基板面と平行な方向では散乱が多く減衰が大きい。一方、基板方向(膜厚方向)では基板に近い側でシンチレータ粒径が大きくなるので散乱が少なくなって減衰は小さい。従って、解像度の低下を招き易い水平成分を抑えて、解像度の低下を生じ難い基板方向の光量はそれなりに改善する効果が得られる。即ち解像度をあまり落とさないで輝度の改善が計れる。また、基板から遠い層の小粒径による散乱効果は基板に近い層からのシンチレータ発光を反射する効果も有することから、この作用によっても解像度をあまり落とさないで輝度を改善することに繋がる。
【0027】
シンチレータ膜33のアレイ基板32に対して反対側の表面には、シンチレータ膜33で発生した蛍光をアレイ基板32側へ反射させて光電変換部側への光出力をアップさせる反射膜38が設けられている。反射膜38のシンチレータ膜33に対して反対側の表面には、シンチレータ膜33および反射膜38などを外気や湿度から保護する防湿層39が設けられている。
【0028】
制御ライン36は、光電変換部5が配列された正方格子の行に対応して設けられ、それぞれその正方格子の行方向に延びている。制御ライン36は、ゲートラインと呼ばれる場合もある。制御ライン36は、各画素10間に行方向に沿って配設され、同じ行の各画素10の薄膜トランジスタ12のゲート電極13それぞれに電気的に接続されている。
【0029】
データライン37は、光電変換部5が配列された正方格子の行に対応して設けられ、それぞれその正方格子の行方向に延びている。データライン37は、シグナルラインと呼ばれる場合もある。データライン(シグナルライン)37は、各画素19間に列方向に沿って配設され、同じ列の各画素10の薄膜トランジスタ12のソース電極14のそれぞれに電気的に接続されている。
【0030】
さらに、アレイ基板32には、フォトダイオード11および薄膜トランジスタ12などの素子を制御する制御回路と、フォトダイオード11などによって生成された電気信号を増幅/変換する増幅/変換部とが設けられている。制御回路は、各薄膜トランジスタ12の動作状態、即ちオンおよびオフを制御するもので、ガラス基板34の表面における行方向に沿った側縁に実装されている。増幅/変換部は、たとえば各データライン37に対応してそれぞれ配設された複数の電荷増幅器と、これら電荷増幅器が電気的に接続された並列/直列変換器と、この並列/直列変換器が電気的に接続されたアナログ−デジタル変換器とを有している。
【0031】
シンチレータ膜33のアレイ基板32に対して反対側の面は、反射膜38で覆われている。反射膜38は、シンチレータ膜33で発生した蛍光をアレイ基板32側に反射する。この反射膜38がシンチレータ膜33で発生して光電変換部5の反対側に向かう蛍光をアレイ基板32側に反射するため、アレイ基板32への光出力を増大させることができる。さらに、反射層38のシンチレータ膜33に対して反対側の面を防湿層39で覆ってもよい。防湿層39を設けることにより、シンチレータ膜33や反射膜38を外気や湿気から保護することができる。
【0032】
次に、この放射線検出器30の製造方法について説明する。
【0033】
まず、ガラス基板34に薄膜トランジスタ12およびフォトダイオード11などを順次形成してアレイ基板32を得る。次に、アレイ基板32の表面にシンチレータ膜33を形成する。その後、シンチレータ膜33の表面に反射膜38および防湿層39を順次形成する。これにより放射線検出器30のパネル部分が完成する。その後、このパネル部分の制御ライン36およびデータライン37の角電極パッド部に、TAB接続により配線を繋いで、アンプ以降の回路に接続し、さらに筐体に組み込むことにより放射線検出器30が完成する。
【0034】
シンチレータ膜33の形成の際には、攪拌混合工程と、塗布工程と、乾燥工程とを順次行う。
【0035】
攪拌混合工程では、微粒状シンチレータとバインダ樹脂と溶媒とを攪拌しながら混合して塗液を生成する。塗布工程では、攪拌混合工程で生成した塗液をアレイ基板32の表面に直接塗布してシンチレータ塗膜を形成する。シンチレータ塗膜の膜厚は、乾燥時の厚さが例えば400μmとなるようにする。乾燥工程では、アレイ基板32の表面に形成されたシンチレータ塗膜を乾燥させる。
【0036】
攪拌混合工程で攪拌混合されるバインダ樹脂は、可塑剤を含有する。また、攪拌混合工程で微粒状シンチレータおよびバインダ樹脂と混合される溶媒としては、沸点が100℃以上のものを用いる。
【0037】
より具体的には、たとえば平均粒径5μmのGOS:Tbシンチレータ微粉と、バインダ材としてブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油の樹脂製分を合わせたものと、バインダ材の溶媒としてシクロヘキサノンと、を攪拌混合して塗液を生成する。たとえば、塗液中のGOS:Tbシンチレータ微粉の重量割合を50wt.%、塗液中のバインダ材の重量割合をブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油とを合わせて6wt.%、塗液中の溶媒の重量割合を44wt.%とする。塗液の作成に際しては、先ずはブチラール樹脂と可塑剤としてのエポキシ化亜麻仁油を溶媒のシクロヘキサノンでよく混合した後に、この混合溶液とGOS:Tb微粒粉と混練する。
【0038】
バインダ樹脂は、たとえばシリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂材料、あるいはアクリルなどのメタクリル系樹脂や、ブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂など熱可塑性樹脂材料を用いることもできる。これらの比較では、塗膜のクラックの発生や、ブツブツとした表面の凹凸などの外観品位でブチラール系樹脂が特に優れていることが分かった。またシンチレータ膜の膜厚を厚くすると、ブチラール系樹脂バインダの中でも、重量平均分子量が3×10以上の高重合度ブチラール系樹脂で特にクラックを生じ難い。
【0039】
バインダ樹脂の可塑剤成分としては、エポキシ化亜麻仁油に限らず、他のエポキシ化植物油、あるいはフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステルなどの候補から選ぶことができる。また微粒状シンチレータとバインダ樹脂、あるいは基材との密着を良くするために、エポキシシランなどのカップリング剤を添加してもよい。
【0040】
バインダ樹脂を溶かすための溶媒とその添加量は、それぞれのバインダ樹脂との相性から適宜選定する。溶媒としては、トルエン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサノンなどを用いることができる。溶媒の選定では、バインダ樹脂を溶解する能力に加えて、塗膜の乾燥速度の観点からも好適な溶媒を選ぶ必要がある。塗膜の乾燥速度が速いと膜面方向の収縮が大きくなり易く、そのためにクラックや基板からの膜剥れを生じることが多い。
【0041】
シンチレータ膜33上の反射膜38の形成は、膜の感度(輝度)特性の必要に応じて行う。一般的には、Ag(銀)合金やAL(アルミニウム)の反射膜をスパッタ法や真空蒸着法を用いて形成するか、あるいは高屈折率のTiO微粒粉を樹脂と溶媒と混合した塗膜により形成する方法などによって、シンチレータ膜33上に反射膜38を形成できる。
【0042】
反射膜38を形成した後に、シンチレータ膜33の吸湿による特性劣化を防ぐために防湿層39を形成する。防湿層39は、ポリパラキシリレンの熱CVD膜でシンチレータと反射膜38の表面全体を覆うものとした。アレイ周辺部の電極パッド部などを予めポリパラキシリレンCVDの前にマスクテープなどで保護して、CVDによる成膜後にマスクテープを剥がす方法によって、電極パッドを露出させることができる。
【0043】
ポリパラキシリレンを用いた防湿とは異なる防湿方法を用いてもよい。他の防湿方式としては、たとえばアルミラミネートフィルムやアルミ箔、無機膜と有機膜の積層防湿シートを用いることができる。あるいは、ガラス板など水蒸気バリア性の高い防湿層部材と、シンチレータ周辺部に配する枠状の防湿部材とを用いる防湿方法を用いてもよい。
【0044】
シンチレータ微粒粉をバインダ樹脂や溶媒など混合して塗布してシンチレータ膜33を形成する場合、硬化時の体積収縮は避けられない。この体積収縮現象の結果として、シンチレータ膜33には膜応力が発生し、乾燥した塗膜にクラックが生じている場合がある。しかし、本実施形態の放射線検出器30では、バインダ樹脂に可塑剤を加えることによって、硬化後のシンチレータ膜33のかとう性(柔軟性)と靱性が大きくなる。シンチレータの結着を担うバインダ樹脂に柔軟性を持たせることによって、硬化後の膜の剛性を下げ、膜応力を低減化し、基板との浮きや剥離、あるいはシンチレータと膜自体のクラック、更には膜応力による基板の反りを抑えることができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、バインダ樹脂の溶媒にシクロヘキサノンなど、沸点が100℃以上の高いものを用いている。このため、アレイ基板32上に直接塗布して形成された塗膜の速乾が避けられて、緩やかに乾燥が進行する。つまり、塗膜の乾燥による体積収縮を極力ゆっくりと進行させることができ膜厚方向の収縮が主となり、膜面方向の収縮の比率が抑えられる。その結果、膜面方向の体積収縮により生じる引張応力が低減される。したがって、アレイ基板32からの膜剥れや浮き、塗膜自体に生じるクラック、さらには膜応力による基板の反りの発生が抑制される。
【0046】
本実施形態の放射線検出器の性能を評価するために、複数の試作を行った。次に、これらの試作の結果について説明する。
【0047】
実際の放射線検出器30は、上述の通りアレイ基板32上にシンチレータ膜33および必要により反射膜38を順次形成し、更に、周辺回路やモニターなども全て配してX線画像を観察する。しかし、種々の試作に対してこれらの工程を行うことはとてつもない費用と時間を要する。そこで、このような困難を避けるために、試験体を用いて、高温高湿試験におけるシンチレータ層の輝度および解像度の変化、すなわち防湿構造の防湿性能を簡易的に評価した。試験体は、アレイ基板32の代わりに画素や配線パターンの何も無いガラス基板34上にシンチレータ膜33を形成し、そのシンチレータ膜33上に必要によっては反射膜38を形成し、更に必要により防湿層39を形成したものである。
【0048】
試験体のシンチレータ膜33の一例としては、ガラス基板34上に、平均粒径5μmのGOS:Tbシンチレータ微粉(50wt.%)と、バインダ材としてブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油の樹脂製分を合わせて6wt%、およびバインダ材の溶媒としてシクロヘキサノン(44wt.%)の混合塗液を塗布し、乾燥させて形成した。膜厚は、乾燥時厚さ400μmとした。塗液の作成に際しては、ブチラール樹脂と可塑剤としてエポキシ化亜麻仁油を溶媒のシクロヘキサノンでよく混合した後に、GOS:Tb微粒粉と混練した。
【0049】
このようにして形成されたシンチレータ膜33の評価として、塗膜のクラックの発生状況、ガラス基板34からの膜剥れ(膜浮き)、基板の反り量について、バインダ樹脂に占める可塑材比率との関係を調査した。
【0050】
図3は、バインダ樹脂に占める可塑剤比率に対するシンチレータ膜形成後の塗膜の表面クラックの長さの試験結果を示すグラフである。
【0051】
図3から、可塑剤の添加比率の増加に伴って単位面積当たりのクラック長は減少し、可塑剤の添加比率が30%以上ではクラックの発生はないことが分かる。
【0052】
図4は、バインダ樹脂に占める可塑剤比率に対するシンチレータ膜形成後の塗膜の浮きの概略面積比率の試験結果を示すグラフである。図4は、縦80mm×横80mmのダミー基板においてシンチレータ膜の浮きが発生した面積の割合を示している。
【0053】
図4から、可塑剤の添加比率の増加に伴ってシンチレータ膜33の浮きの発生が抑制され、可塑剤の添加比率が20%以上では、シンチレータ膜33の浮きの発生はないことが分かる。
【0054】
図5は、バインダ樹脂に占める可塑剤比率に対するシンチレータ膜形成後の基板の反り量の試験結果を示すグラフである。図5において、反り量は、可塑剤を添加しない場合を基準とする相対値で示している。
【0055】
図5から、可塑剤の添加比率の増加に伴ってシンチレータ膜33の反り量は単調に減少することが分かる。
【0056】
このように、バインダ材全体に占める可塑剤の割合が大きくなるにしたがって、膜剥れやクラック、応力が改善されることが分かる。特に可塑剤の添加比率が20wt.%程度以上ではその改善効果が明らかである。また、試験体の製造において、可塑剤の割合が80wt.%程度以上となると塗膜にダマ、すなわち樹脂の塊ができやすくなることが分かった。これらの結果から、バインダ樹脂に占める可塑剤の割合は20wt.%ないし70wt.%程度の範囲が好ましい。
【0057】
次に、シンチレータ膜33全体に占める微粒状シンチレータとバインダ樹脂との割合によって輝度と解像度がどのように変化するかを調査した。微粒状シンチレータとしては平均粒径が5μm、10μm、20μmの3種類で、バインダ樹脂はブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油をそれぞれ50wt.%ずつ混合してシクロヘキサノンで溶かしたものを用いた。
【0058】
輝度と解像度特性は、X線を試験体の防湿層39側から入射し、ガラス基板32側からガラス基板32とシンチレータ膜33との界面に焦点を合わせてCCDカメラでX線像を撮影する方法によって調べた。このような簡易的な評価方法であっても、解像度(CTF)を十分高い精度で評価することができる。
【0059】
また、このようなCCDカメラによる簡易的な評価方法は、実際の放射線検出器30のようにガラス基板34の表面にフォトダイオード11や薄膜トランジスタ12を形成したアレイ基板32でも用いることはできる。しかし、このようなアレイ基板32だと、画素10および制御ライン36やデータライン37などの配線パターンなどが邪魔をして、アレイ基板32の裏面からCCDカメラによる画像観察が非常に困難である。
【0060】
試験体に入射するX線質の条件は、70kVpでRQA−5相当とした。輝度は、標準とする増感紙での輝度に対する相対輝度とした。標準とする増感紙としては、富士フィルム株式会社製HG−H2 Backを用いた。解像度は解像度チャート像の2Lp/mmのCTF(Contrast Transfer Function)の値=CTF(2Lp/mm)%を画像処理により求めた。
【0061】
図6は、シンチレータ層全体に占める微粒状シンチレータとバインダ樹脂との割合に対する輝度の変化の試験結果を示すグラフである。図7は、シンチレータ層全体に占める微粒状シンチレータとバインダ樹脂との割合に対する解像度の変化の試験結果を示すグラフである。図6および図7において、バインダ樹脂の体積比率とは、微粒状シンチレータGOSの単位面積当りの塗布量を150mg/cm相当として、これに添加したバインダ樹脂の体積の割合である。
【0062】
図6から、バインダ樹脂の割合が小さい範囲では、バインダ樹脂の割合の増加に伴って、輝度特性は上昇傾向となることがわかる。また、バインダ樹脂の割合が大きくなると、この上昇傾向は緩和し、さらに大きくなると飽和することがわかる。さらにバインダ樹脂の割合が大きくなると、輝度は低下傾向に転じることがわかる。
【0063】
輝度特性の上昇傾向が緩和するのは、バインダ樹脂とシンチレータの体積比が1:1程度よりもバインダ樹脂の割合が大きくなった範囲である。また、輝度特性がバインダ樹脂の割合の増加に対して飽和するのは、バインダ樹脂とシンチレータの体積比が2:1程度である。輝度特性がバインダ樹脂の割合の増加に対して低下していくのは、バインダ樹脂とシンチレータの体積比が2:1程度を超えた範囲である。
【0064】
一方、図7から、解像度は、バインダ樹脂の割合の増加に伴って単調に減少していることがわかる。
【0065】
これらの結果から、解像度がある程度低くても許容できる場合には、バインダ樹脂のシンチレータに対する体積比が2.0程度、すなわちバインダ樹脂:シンチレータ=2:1(体積比)程度までバインダ樹脂の含有比率を増大させることにより、輝度を高めることができる。しかし、バインダ樹脂:シンチレータ=2:1(体積比)程度以上にバインダ樹脂の含有比率を増大させると、輝度も解像度も低下してしまう。したがって、バインダ樹脂の含有比率は、バインダ樹脂:シンチレータ=2:1(体積比)程度を超えないようにすべきである。
【0066】
また、解像度特性を重視する場合には、バインダ樹脂の含有比率を小さくする必要がある。しかし、バインダ樹脂の割合が小さくなりすぎると、シンチレータ粒子間の決着力が十分に得られず、シンチレータ膜の機械強度面で信頼性が確保しにくくなる。特に、シンチレータ粒子間の決着力は、バインダ樹脂のシンチレータに対する体積比が0.5程度、すなわちバインダ樹脂:シンチレータ=1:2(体積比)程度を下回ると十分とは言い難く、シンチレータ膜の機械強度面で信頼性が確保しにくくなる。
【0067】
図8は、バインダ樹脂のシンチレータ中での含有比率に対する信頼性試験の結果を示す表である。この表には、冷熱試験および3種類の振動試験後の塗膜の外観品位を示した。冷熱試験では、試験体の温度を−20℃および60℃に50サイクル変動させた。3種類の振動試験とは、定振幅振動試験、定加速度振動試験および連続振動試験である。それぞれの振動試験の条件は、(1)定振幅振動:10〜25Hz、1回/分、振幅1mm、約0.2〜1.2G、30分、(2)定加速振動:1G、2G、3G‐10〜500Hz(共振点除く)、各1回/分×2サイクル、(3)連続振動:1G‐25Hz×30H、である。
【0068】
これらの冷熱試験および振動試験によって、可塑剤を添加しない一般的なバインダ樹脂を用いた場合に比べて、可塑剤を添加したバインダ樹脂を用いた場合はシンチレータ膜の剥れやクラックは少なく、明らかに優れていることがわかる。ただし、バインダ樹脂の体積比がバインダ樹脂:シンチレータ=1:2(体積比)よりもバインダ樹脂比率が小さくなると一部剥れや膜のクラックなども生じてくる。
【0069】
これらの結果から、バインダ樹脂:シンチレータの体積比率は、概ね1:2ないし2:1程度の間で、輝度と解像度の優先度も加味して適正化するのが望ましい。
【0070】
微粒子シンチレータを用いるシンチレータ層の場合、一般的にシンチレータの平均粒径が小さい場合に解像度特性に優れるが輝度特性は高くない。一方、シンチレータの平均粒径が大きい場合には、輝度特性に優れるが解像度は高くない。これら輝度と解像度に対する傾向は、本実施形態のように可塑剤添加バインダを用いる場合にも同様である。
【0071】
シンチレータ粒径が小さい場合には、シンチレータ粒の比表面積が増大する。このため、単位体積当りのシンチレータとバインダ樹脂界面の密度が高くなって、乾燥時のバインダ樹脂の流動性への制約が大きくなりやすい。このため、乾燥後の膜ストレスが大きくなったり、あるいは微細クラックが生じ易くなる傾向がある。
【0072】
しかし、本実施形態のように可塑剤を添加したバインダを用いた場合には、これらの現象が生じ難い。これは、バインダ樹脂が固化した状態でも、十分な可撓性(柔軟性)を有することから、応力が高まった箇所には適度に伸びて隙間を作り、応力を緩和する効果があるためであると考えられる。この効果により、平均粒径が0.5μm程度の微細シンチレータの場合にも、膜内部に過大なストレスを抱えたりマイクロクラックを包含したりし難く、信頼性の高いシンチレータ膜を維持できる。
【0073】
シンチレータの平均粒径が大きい場合には、シンチレータ粒の比表面積が小さくなるためにバインダ樹脂による固定力が弱くなる。このため、シンチレータの平均粒径が過度に大きいと、冷熱衝撃や振動、落下などの信頼性が低下する場合が多い。しかし、本実施形態では、シンチレータ粒とバインダ樹脂との界面の密着を維持して信頼性を確保し易い。これは、可撓性(柔軟性)を有するバインダ樹脂により、温度的或いは機械的な衝撃に対してバインダ樹脂が応力を吸収し、シンチレータとバインダ樹脂の接着界面が剥離し難いためであると考えられる。
【0074】
本実施形態では、シンチレータ材料としてGOS:Tb(Gd2O2S:Tb)を用いたが、これ以外のシンチレータ材を用いてもよい。たとえば、赤色側に発光波長のピークがあるGOS:Eu(GdS:Eu)や、CaWO系、BaFCl系、YTaO系などのシンチレータ材の微粒子粉体を用いることができる。
【0075】
GOS:Tb(GdS:Tb)とGOS:Eu(GdS:Eu)は、X線の発光効率が高く、50KeV程度のK吸収端(K−edge)があり、特に医療用途で用いられるX線のエネルギー領域で好適である。また、光電変換素子として一般的に用いられるフォトダイオードの感度スペクトルとのマッチングも比較的高いために、高感度が得易い。更に、焼結蛍光体であって温度や湿度に対し安定性も高く、バインダ材との反応も生じ難い事から、長期的な信頼性を確保できる。
【0076】
図9は、バインダ樹脂の溶媒を変えた場合の膜のクラック発生状況を示した表である。
【0077】
塗膜の乾燥速度が速いと膜面方向の収縮が大きくなり易い。そのため、塗膜の乾燥速度が速いとクラックや基板からの膜剥れを生じることが多い。図9から、溶媒の沸点が概ね100℃以上の場合にクラックの発生が顕著に抑えられる傾向がわかる。そこで、たとえばシクロヘキサノン(沸点=155℃)などの高沸点の溶媒を用いることにより、速乾によるクラック発生や乾燥時の応力集中を抑えることができる。
【0078】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10…画素、11…フォトダイオード、12…薄膜トランジスタ、13…ゲート電極、14…ソース電極、15…ドレイン電極、30…放射線検出器、32…アレイ基板、33…シンチレータ膜、34…ガラス基板、36…制御ライン、37…データライン、38…反射膜、39…防湿層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射すると電気信号を発生する光電変換素子アレイ基板と、
前記光電変換素子アレイ基板上に直接塗膜として形成され、可塑剤を20wt.%以上含有するバインダ樹脂と粒子状シンチレータとを含有するシンチレータ膜と、
を具備することを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
前記バインダ樹脂中の前記可塑剤の含有率が80wt.%以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記シンチレータ膜中の前記バインダ樹脂の前記粒子状シンチレータに対する体積比が0.5以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記シンチレータ膜中の前記バインダ樹脂の前記粒子状シンチレータに対する体積比が2以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記シンチレータ膜は複数の層を有し、前記光電変換素子アレイ基板から遠い前記層ほど前記粒子状シンチレータの平均粒径が小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記シンチレータ膜は複数の層を有し、前記光電変換素子アレイ基板から遠い前記層ほど前記粒子状シンチレータの体積含有比率が大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記光電素子アレイ基板から最も遠い前記層の前記粒子状シンチレータの平均粒径が0.1ないし2μmであって、その層の前記粒子状シンチレータの体積比率が40%以上であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記粒子状シンチレータはGdS:TbおよびGdS:Euの群から選択された1種類以上の材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記可塑剤はエポキシ化植物油、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステルから選ばれる少なくとも1種類を主成分として含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記粒子状シンチレータの平均粒径は0.5ないし40μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項11】
ガラス基板の表面に光が入射すると電気信号を発生する光電変換素子を形成する工程と、
可塑剤を含有するバインダ樹脂と沸点が100℃以上の溶媒と粒子状シンチレータとを攪拌しながら混合して塗液を生成する攪拌混合工程と、
前記塗液を前記アレイ基板の前記光電変換素子が形成された側の表面に直接塗布してシンチレータ塗膜を形成する塗布工程と、
前記シンチレータ塗膜を乾燥させる乾燥工程と、
を具備することを特徴とする放射線検出器の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−15353(P2013−15353A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147033(P2011−147033)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】