説明

放射線検出器ユニット

【課題】複数の放射線検出器ユニットを配列する場合に、容易に配列することができる放射線検出器ユニットを提供する。
【解決手段】複数の放射線検出器ユニット1が連結されることにより構成される放射線検出装置用の放射線検出器ユニット1は、放射線を検出可能な放射線検出部2と、放射線検出部2に電気的に接続するユニット内配線と、ユニット内配線に接続され、複数の放射線検出器ユニット1が連結される方向に向けて設けられるコネクタ部とを有し、放射線検出部2を支持する支持部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器ユニットに関する。特に、本発明は、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個の半導体放射線検出素子を検出器搭載基板にマトリックス状に設置して構成される検出器ユニットと、貫通孔を有する固定用基板とを備え、貫通孔を通して挿入された結合用ねじを検出器搭載基板に形成されたねじ孔に噛み合わせることによって複数の検出器ユニットを固定用基板に取り付け、検出器搭載基板に設けた一対の位置決めピンが固定用基板に設けられた位置決め孔に挿入されることにより検出器ユニットの位置決めがなされる放射線検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−201642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る放射線検出器は、例えば、固定用基板にn×nのマトリックス状に検出器ユニットを設置する場合(ただし、nは正の整数)、検出器ユニットを一つずつ固定用基板に設置していくと、最後の一つの検出器ユニットを固定用基板に設置する時に、当該検出器ユニットの半導体放射線検出素子を他の検出器ユニットに接触させないように設置することが困難である。また、当該検出器ユニットと他の検出器ユニットとの接続部分に望まない負荷をかけずに設置することが困難である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、複数の放射線検出器ユニットを配列する場合に、容易に配列することができる放射線検出器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、複数の放射線検出器ユニットが連結されることにより構成される放射線検出装置用の放射線検出器ユニットであって、放射線を検出可能な放射線検出部と、放射線検出部に電気的に接続するユニット内配線と、ユニット内配線に接続され、複数の放射線検出器ユニットが連結される方向に向けて設けられるコネクタ部とを有し、放射線検出部を支持する支持部とを備える放射線検出器ユニットが提供される。
【0007】
また、上記放射線検出器ユニットにおいて、コネクタ部が、支持部の側面に設けられてもよい。
【0008】
また、上記放射線検出器ユニットにおいて、放射線検出部が、放射線を検出可能な半導体素子を含む複数の放射線検出器カードを有し、支持部が、複数の放射線検出器カードの端部を支持する支持体と、支持体を搭載し、ユニット内配線が設けられるマザーボードとを有し、ユニット内配線が、複数の放射線検出器カードのそれぞれに電気的に接続することもできる。
【0009】
また、上記放射線検出器ユニットにおいて、マザーボードが、放射線検出部の反対側にユニット内配線に接続して設けられ、放射線検出部からの信号を処理する信号処理部を更に含み、信号処理部が、複数の放射線検出器ユニット間において、バス型又は信号中継型で信号を中継することもできる。
【0010】
また、上記放射線検出器ユニットにおいて、支持部が、隣接する他の放射線検出器ユニットに対する位置を決める位置決め部を更に有することもできる。
【0011】
また、上記放射線検出器ユニットにおいて、コネクタ部が、隣接する他の放射線検出器ユニット又は外部の電気回路に電気的に接続することもできる。
【0012】
また、上記放射線検出器ユニットが、支持部の放射線検出部が設けられる側の反対側の表面に設けられる放射線吸収層を更に備えることもできる。
【0013】
また、上記放射線検出器ユニットにおいて、支持部が、支持部の一方の側面から反対側の側面まで貫通する冷却用の流路を有することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る放射線検出器ユニットによれば、複数の放射線検出器ユニットを配列する場合に、容易に配列することができる放射線検出器ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットの斜視図である。
【図1B】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットのメスコネクタ側の正面図であり、(b)は放射線検出器ユニットの底面図である。
【図1C】放射線検出器カードの斜視図である。
【図1D】本発明の第1の実施の形態に係る複数の放射線検出器ユニットが互いに連結した状態の概要図である。
【図2A】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットが設置されるヒートシンクの図である。
【図2B】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットがヒートシンク上に搭載された状態の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る複数の放射線検出器ユニットが連結された状態における放射線検出装置の断面図である。
【図4】(a)はバス型の信号ラインのモジュール内配線を有する放射線検出器ユニットのブロック図であり、(b)は信号中継方式のモジュール内配線を有する放射線検出器ユニットのブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る放射線検出装置の側面の一部の図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図である。
【図8】(a)は本発明の第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図であり、(b)は放熱ブロックを備える第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図である。
【図9】(a)は本発明の第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図であり、(b)は本発明の第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュール同士の接続を示す図である。
【図10】(a)は本発明の第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図であり、(b)は本発明の第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュール同士の接続を示す図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図である。
【図12】(a)は本発明の第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図であり、(b)は本発明の第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュール同士の接続部分を示す図である。
【図13】(a)は本発明の第10の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図であり、(b)は本発明の第10の実施の形態に係る複数の放射線検出器モジュールが連結した状態を示す図である。
【図14】本発明の第11の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図である。
【図15】本発明の第12の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
(放射線検出器ユニット1の構成の概要)
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットの斜視図の一例を示す。また、図1Bの(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットのメスコネクタ側の正面図の一例を示し、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットの底面図の一例を示す。
【0017】
第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニット1は、γ線、X線等の放射線を検出する複数の放射線検出器ユニット1が互いに連結されて構成される放射線検出装置に用いられる放射線検出器ユニット1である。例えば、放射線検出器ユニット1の平面視における大きさは、4cm×4cm程度である。そして、一例として、放射線検出器ユニット1を5行×5列に配列することにより、20cm角の放射線検出装置の撮像ヘッドを構成することができる。なお、放射線検出器ユニット1の個数は、測定対象に応じて増減できる。
【0018】
具体的に、第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニット1は、放射線を検出可能な放射線検出部2と、放射線検出部2を支持する支持部としての放射線検出器立て3とを備える。より具体的に、放射線検出部2は、放射線を検出する複数の半導体素子200と、複数の半導体素子200のそれぞれを搭載する基板210とを含み、カード型の形状を呈する複数の放射線検出器カード20を有する。また、放射線検出器立て3は、複数の放射線検出器カード20の長手方向における両端部のそれぞれを支持する支持体360を有する。なお、放射線検出器立て3は金属材料を用いて作製できる。金属材料を用いて放射線検出器立て3を作製する場合、金属材料の削り出しにより作製できる。
【0019】
また、放射線検出器立て3は、放射線検出部2に電気的に接続するユニット内配線と、ユニット内配線に電気的に接続すると共に、複数の放射線検出器ユニット1が連結される方向に向けて設けられるコネクタ部とを有する。ここで、第1の実施の形態においてコネクタ部は、放射線検出器立て3の一の側面に設けられるオスコネクタ30と、一の側面の反対側の他の側面に設けられるメスコネクタ32とを含む。すなわち、第1の実施の形態においてオスコネクタ30及びメスコネクタ32は、一軸方向(つまり、図1AにおけるX方向)に向いて設けられる。一の放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30と、他の放射線検出器ユニット1のメスコネクタ32とが嵌め合うことにより、複数の放射線検出器ユニット1が連結される。例えば、複数の放射線検出器ユニット1は、放射線が入射する面の水平方向(つまり、図1AにおけるX方向)に沿って直線的に連結される。
【0020】
更に、放射線検出器ユニット1の放射線検出器立て3は、隣接する他の放射線検出器ユニット1に対する放射線検出器ユニット1の位置を決める位置決め部を有する。具体的に、放射線検出器ユニット1は、オスコネクタ30を挟む位置に設けられる位置決め部としての複数の位置決めピン34と、メスコネクタ32を挟む位置に設けられ、他の放射線検出器ユニット1の複数の位置決めピン34のそれぞれが挿入される位置決め部としての複数の孔36とを有する。つまり、一の放射線検出器ユニット1の位置決めピン34が、他の放射線検出器ユニット1の孔36に挿入されることにより、一の放射線検出器ユニット1の他の放射線検出器ユニット1に対する位置が定まる。ここで、位置決めピン34は、放射線検出器立て3の側面から外部に突き出る形状を有する。例えば、位置決めピン34は、略円筒の形状を有する。そして、孔36は、位置決めピン34の外形に対応した形状であって、位置決めピン34を抜き差しできる形状を有する。更に、放射線検出器立て3は、後述するヒートシンク4にネジ止めされる場合に用いられるネジ穴38を底面に有する。
【0021】
(放射線検出器カード20の構成)
図1Cは、放射線検出器カードの斜視図の一例を示す。
【0022】
放射線100は、紙面の上方から下方に沿って入射してくる。すなわち、放射線100は、放射線検出器カード20の半導体素子200からカードホルダ220及びカードホルダ225に向かう方向に沿って伝搬して放射線検出器カード20に入射する。そして、放射線検出器カード20は、半導体素子200の側面(つまり、図1Cの上方に面している面)に放射線100が入射する。したがって、半導体素子200の側面が放射線100の入射面になっている。このように、半導体素子200の側面を放射線100の入射面とする放射線検出器カードを、エッジオン型の放射線検出器カードと称する。
【0023】
具体的に、放射線検出器カード20は、放射線100を検出可能な一対の半導体素子200と、複数の半導体素子200を搭載する薄い基板210と、一対の半導体素子200の端のそれぞれから離れた位置にて基板210を挟み込むことにより基板210を支持する一対のカードホルダ220及びカードホルダ225とを備える。そして、一例として、一対の半導体素子200が4組、基板210を挟み込む位置において基板210に固定される。すなわち、各組の一対の半導体素子200は、基板210の一方の面と他方の面とのそれぞれに基板210を対称面として対称の位置に固定される。
【0024】
基板210は一対のカードホルダ220とカードホルダ225とに挟み込まれて支持される。具体的には、カードホルダ220とカードホルダ225とはそれぞれ同一形状を有して形成され、カードホルダ220が有する溝付穴232にカードホルダ225が有する突起部230が嵌め合うと共に、カードホルダ225が有する溝付穴(図示しない)にカードホルダ220が有する突起部(図示しない)が嵌め合うことにより基板210が支持される。
【0025】
また、基板210は、半導体素子200を搭載する側の辺の対辺側に、放射線検出器立て3が有するコネクタに挿入されるカードエッジ部を有する(なお、図1Cではカードエッジ部は、カードホルダ220及びカードホルダ225に覆われており図示されていない。)。カードエッジ部は、コネクタに電気的に接続する複数のエッジパターンを含む。そして、板ばね等の弾性部材234は、複数の放射線検出器カード20を支持する放射線検出器立て3に放射線検出器カード20が挿入された場合に、放射線検出器カード20を放射線検出器立て3に押し付けて固定する。この場合に、カードエッジ部がコネクタに挿入され、カードエッジ部の表面に形成されているエッジパターンとコネクタとが電気的に接続されることにより放射線検出器カード20は、外部の電気回路に電気的に接続される。
【0026】
また、放射線検出器カード20は、一対の半導体素子200の基板210の反対側に、各半導体素子200の電極と基板210に設けられている複数の基板端子236とのそれぞれを電気的に接続する配線パターンを有するフレキシブル基板240を更に備える。フレキシブル基板240は、一対の半導体素子200の一方の半導体素子200側、及び他方の半導体素子200側の双方に設けられる(例えば、4組の一対の半導体素子200の一方の半導体素子200側のそれぞれと、他方の半導体素子200側のそれぞれとの双方に、フレキシブル基板240がそれぞれ設けられる。)。そして、フレキシブル基板240の複数の配線パターンの一方の端がそれぞれ、半導体素子200の基板210の反対側の表面に設けられる電極に電気的に接続し、フレキシブル基板240の複数の配線パターンの他方の端がそれぞれ、基板端子236に電気的に接続する。
【0027】
(半導体素子200)
半導体素子200は、略直方体状に形成される(つまり、正面視にて略四角状に形成され)。また、半導体素子200は、基板210側の表面と、当該表面の反対側の表面とのそれぞれに電極を有する。そして、半導体素子200を構成する材料としては、例えば、CdTeを用いることができる。また、γ線等の放射線を検出できる限り、半導体素子200はCdTe素子に限られない。例えば、半導体素子200として、CdZnTe(CZT)素子、HgI素子等の化合物半導体素子を用いることもできる。
【0028】
(基板210)
基板210は、金属導体等の導電性材料からなる導電性薄膜(例えば、銅箔)が表面に形成された薄肉基板(例えば、FR4等のガラスエポキシ基板)を、ソルダーレジスト等の絶縁材料を用いて形成される絶縁層で挟んで形成される。また、基板210は、半導体素子200の電極に電気的に接続する素子接続部を有する。半導体素子200の電極は銀ペースト等の導電性接着材を介して素子接続部に電気的に接続する。
【0029】
また、基板210に形成された配線により、素子接続部は基板210上のチップ部品、及び/又はカードエッジ部のエッジパターンに電気的に接続される。これにより、基板210において、半導体素子200の基板210側の面の電極は、基板210の配線によりチップ部品、及び/又はカードエッジ部のパターンに電気的に接続される。また、半導体素子200の基板210側の反対側の面の電極は、フレキシブル基板240の配線パターンと、基板端子236と、基板210の配線とを経由してカードエッジ部のパターンに電気的に接続される。ここで、例えば、半導体素子200の基板210側の電極をアノード電極、半導体素子200の基板210側の反対側の面の電極をカソード電極とする。この場合、アノード電極からの信号とカソード電極からの信号とはそれぞれ、カードエッジ部のパターンに導かれ、パターンを介し、外部の電気回路へ出力される。
【0030】
(カードホルダ220及びカードホルダ225の詳細)
カードホルダ220とカードホルダ225とは略同一形状を有するので、以下、カードホルダ220について主として説明する。
【0031】
カードホルダ220は、カードホルダ220の長手方向における両端部に設けられる板ばね等の弾性部材234と、カードホルダ220の対となるカードホルダ225の突起部230が嵌る溝付穴232と、基板210に設けられる基板端子236が貫通する複数の端子用穴238とを有する。そして、カードホルダ220が基板210の一方の面側から基板210に接し、カードホルダ225が基板210の他方の面側から基板210に接することによりカードホルダ220とカードホルダ225とで基板210を挟み込む。これにより、カードホルダ220及びカードホルダ225とにより基板210が支持される。
【0032】
図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る複数の放射線検出器ユニットが互いに連結した状態の概要を示す。
【0033】
一の放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30と、他の放射線検出器ユニット1のメスコネクタ32とが嵌め合うことにより、一の放射線検出器ユニット1と他の放射線検出器ユニット1とが連結される。すなわち、一の放射線検出器ユニット1は、隣接する他の放射線検出器ユニット1に電気的に接続する。図1Dの例では、3つの放射線検出器ユニット1が連結されている。第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニット1はそれぞれ、放射線検出器立て3の一の側面にオスコネクタ30を有すると共に、一の側面の反対側の側面にメスコネクタ32を有しているので、複数の放射線検出器ユニット1を連結させると、直線状に連結されることになる。つまり、図1Dでは、X方向に複数の放射線検出器ユニット1が連結される。なお、互いに連結した複数の放射線検出器ユニット1のうち、端部の放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30及び/又はメスコネクタ32は、外部の電気回路に電気的に接続することができる。
【0034】
(ヒートシンク4の概要)
図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットが設置されるヒートシンクの概要を示す。
【0035】
ヒートシンク4は、複数の放射線検出器ユニット1が搭載される平板部40と、複数の放射線検出器ユニット1が搭載される平板部40の面の反対側に設けられる放熱用の複数のフィン42と、平板部40の一辺近傍に設けられ、放射線検出器ユニット1の放射線検出器立て3の側面の一部が接することにより放射線検出器ユニット1のヒートシンク4に対する位置を決定する位置決め部44とを有する。位置決め部44は、例えば、平板部40の一辺からフィン42が延びる方向とは反対方向に突き出た形状を有することにより、平板部40の一辺に段差として設けられる。
【0036】
また、位置決め部44の側面(すなわち、位置決め部44の放射線検出器ユニット1が接する面の反対側の面)に、放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30又はメスコネクタ32に嵌め合わされる放射線検出器ユニット用コネクタ50と、放射線検出器ユニット用コネクタ50に接続される集積回路52と、集積回路52に接続される外部接続コネクタ54とを有するデータ収集基板5が設けられる。データ収集基板5は、一方の面及び/又は他方の面に集積回路52を有する。そして、データ収集基板5は、ヒートシンク4の平板部40に略水平に設けられる。なお、金属材料を用いてヒートシンク4を形成する場合、ヒートシンク4は削り出しにより作製できる。これにより、高い寸法精度でヒートシンク4の形態を規定できる。
【0037】
図2Bは、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットがヒートシンク上に搭載された状態の断面の概要を示す。
【0038】
複数の放射線検出器ユニット1は、平板部40上に搭載される。複数の放射線検出器ユニット1はそれぞれ、ネジ46によりヒートシンク4に固定される。すなわち、ヒートシンク4の複数のネジ穴48のそれぞれと、複数の放射線検出器ユニット1それぞれのネジ穴38とをネジ46により固定することにより、複数の放射線検出器ユニット1は、ヒートシンク4に固定される。ここで、放射線検出器立て3の放射線検出部2が設けられている側の反対側の面(つまり、放射線検出器立て3の下面)は略平坦な面であるので、当該面と平板部40とは面接触することになる。
【0039】
この場合において、例えば、図1Dに示すように直線状に互いに連結された複数の放射線検出器ユニット1のうちの一の放射線検出器ユニット1の端部をヒートシンク4の位置決め部44に接触させる。そして、放射線検出器ユニット1の端部を位置決め部44に接触させた状態で、複数の放射線検出器ユニット1とヒートシンク4とをネジ46で固定する。更に、当該一の放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30と放射線検出器ユニット用コネクタ50とが接続される。これにより、複数の放射線検出器ユニット1と集積回路52との間で信号のやり取りが可能になる。
【0040】
より具体的には、以下の各工程を経て複数の放射線検出器ユニット1をヒートシンク4に固定する。
【0041】
まず、複数の放射線検出器ユニット1を一列に連結することにより複数の放射線検出器ユニット1の列(以下、「ユニット列」という)を組み立てる。複数の放射線検出器ユニット1を連結する場合に、連結が外れることを防止すべく、各放射線検出器ユニット1間をネジ又はクリップ等を用いて固定することもできる。ここで、一の放射線検出器ユニット1の放射線検出器立て3と他の放射線検出器ユニット1の放射線検出器立て3とを保持してユニット列を組み立てることができるので、放射線検出部2の部分に触れることを要さず、放射線検出部2に力が加わることがない。したがって、放射線検出部2の放射線検出器カード20同士が互いに接触することが抑制されるので、半導体素子200に損傷が生じることを抑制できる。
【0042】
次に、一のユニット列をヒートシンク4上に設置する。そして、一のユニット列に含まれる複数の放射線検出器ユニット1のそれぞれとヒートシンク4とをネジ46で固定する。ここで、放射線検出器ユニット1の底面と平板部40との間にシリコングリース等を塗布することもできる。なお、放射線検出器ユニット1のヒートシンク4に対する位置は、上述のように位置決め部44により予め定められた位置に配置されることになる。つまり、本実施の形態においては、ネジ穴48の直径をネジ46の直径より大きくする。これにより、平板部40の水平方向における放射線検出器ユニット1の位置決めは、位置決め部44の精度に主として依存することになる。続いて、他のユニット列を同様にヒートシンク4上に設置、固定する。
【0043】
ヒートシンク4上に設置すべきユニット列のすべてを設置した後、各ユニット列の端部の放射線検出器ユニット1がそれぞれ備えるデータ収集基板5側のオスコネクタ30を、データ収集基板5に実装されている複数の放射線検出器ユニット用コネクタ50のそれぞれに差し込む。これにより、複数の放射線検出器ユニット1がヒートシンク4上に設置される。
【0044】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る複数の放射線検出器ユニットが連結された状態における放射線検出装置の断面の概要を示す。
【0045】
まず、複数の放射線検出器カード20は、放射線検出器立て3を構成するマザーボード25上に搭載される。上面視にて略矩形状のマザーボード25は、一辺近傍と当該一辺の対辺近傍とにそれぞれ支持体360を有する。そして、支持体360の間に複数の放射線検出器カード20が支持される。また、マザーボード25は、複数の放射線検出器カード20を搭載する面の反対側の面に、複数の放射線検出器カード20のそれぞれから供給される信号を処理するASIC300とFPGA302とを含む信号処理部304を有する。信号処理部304とオスコネクタ30及びメスコネクタ32は、ユニット内配線(図示しない)により互いに接続される。
【0046】
図3を参照すると、一の放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30と他の放射線検出器ユニット1のメスコネクタ32とが接続される。これにより、一の放射線検出器ユニット1と他の放射線検出器ユニット1との間で信号のやり取りができる。また、他の放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30とデータ収集基板5の放射線検出器ユニット用コネクタ50とが接続される。これにより、すべての放射線検出器ユニット1からの信号が、データ収集基板5に収集される。
【0047】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニットのユニット内配線のブロック図の概要を示す。具体的に、図4(a)は、バス型の信号ラインのモジュール内配線を有する放射線検出器ユニットのブロック図の一例を示し、図4(b)は、信号中継方式のモジュール内配線を有する放射線検出器ユニットのブロック図の一例を示す。
【0048】
信号処理部304は、放射線検出部2aからの信号に信号処理を施す。そして、信号処理が施された信号は、信号処理部304に接続されているユニット内配線としての信号ライン340を介して他の放射線検出器ユニット1及び/又はデータ収集基板5に供給される。したがって、放射線検出部2aに含まれる複数の放射線検出器カード20のそれぞれと信号処理部304とは電気的に接続される。また、ユニット内配線としての電源・グランドライン350と信号処理部304とが接続されている。したがって、放射線検出部2aに含まれる複数の放射線検出器カード20のそれぞれと電源・グランドライン350とは電気的に接続される。
【0049】
本実施の形態では、信号処理部304が、図4(a)に示すバス型の信号ラインで複数の放射線検出器ユニット1間において信号を中継することができる。バス型の信号ラインを採用する場合、隣接する放射線検出器ユニット1間でバスが共有される。また、図4(b)に示すように、信号処理部304は、信号中継方式で複数の放射線検出器ユニット1間において信号を中継することもできる。
【0050】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る放射線検出器ユニット1は、放射線検出器立て3の側面に他の放射線検出器ユニット1に接続され、放射線検出器ユニット1間を電気的に接続するコネクタ部と、コネクタ部を挟む位置に設けられ、放射線検出器ユニット1間の位置を決定する位置決めピン34とを備える。これにより、複数の放射線検出器ユニット1(特に、放射線検出部2)に無理な力を加えることなく複数の放射線検出器ユニット1の端部を位置決め部44に接触させることでヒートシンク4上に複数の放射線検出器ユニット1を高い位置精度で容易に配置することができる。すなわち、放射線検出器ユニット1のオスコネクタ30又はメスコネクタ32と放射線検出器ユニット用コネクタ50とを嵌め合わせる場合には、放射線検出器ユニット1をある程度、ヒートシンク4側に向けて押し下げることを要する。この場合に、第1の実施の形態においては複数の放射線検出器ユニット1を直線状に連結させた状態でヒートシンク4上に搭載するので、放射線検出部2に触れずに放射線検出器ユニット1をヒートシンク4側に押し下げ、ヒートシンク4に固定させることが容易になる。
【0051】
また、放射線検出器ユニット1は、コネクタ部と位置決めピン34とを備えるので、データ収集基板5の放射線検出器ユニット用コネクタ50の位置精度に影響されずに複数の放射線検出器ユニット1それぞれの位置を精度良く決定することができる。
【0052】
また、放射線検出装置が、複数の放射線検出器ユニット1を搭載するヒートシンク4の側面に、複数の放射線検出器ユニット1からの信号を受け取るデータ収集基板5を備えるので、複数の放射線検出器ユニット1のそれぞれからの信号を収集する配線基板を複数の放射線検出器ユニット1の直下に設けることを要さない。これにより、複数の放射線検出器ユニット1の数に応じた大きさの配線基板を作成することを要さない。
【0053】
また、放射線検出器ユニットの直下に複数の放射線検出器ユニットの信号を収集する配線基板を設ける従来技術の場合、放射線検出器ユニットとヒートシンクとの間に配線基板が介在する。このため、放射線検出器ユニットにおいて発生した熱をヒートシンクから放熱させる放熱特性が、伝熱経路に配線基板が存在する分だけ劣化する。これに対し、放射線検出器ユニット1は、放射線検出器ユニット1の直下に配線基板を備えていないので、放射線検出器ユニット1からヒートシンクまでの伝熱経路が短くなり、放熱特性を向上させることができる。
【0054】
また、放射線検出器ユニット1は、下面、すなわち、放射線検出器立て3の放射線検出部2の反対側の面の全体を放熱用に用いることができるので、放射線検出装置の放熱効率を向上させることができる。そして、放射線検出器ユニット1同士が確実に接続されるので、放射線検出部2へのノイズの侵入を抑制することができる。
【0055】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る放射線検出装置の側面の一部の概要を示す。
【0056】
第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1は、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1と同一であり、相違点は、データ収集基板5のヒートシンク4に対する接続方向である。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0057】
第2の実施の形態においてデータ収集基板5は、平板部40に略垂直に設けられる。なお、ヒートシンク4は、データ収集基板5の代わりに放射線検出器ユニット用コネクタ50と、放射線検出器ユニット用コネクタ50に接続される信号線とを有し、ヒートシンク4から離れた位置に当該信号線に接続される集積回路52を設けることもできる。
【0058】
[第3の実施の形態]
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図の一例を示す。
【0059】
第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1aは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、オスコネクタ30及びメスコネクタ32の配置が異なる点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1aは、第1〜第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0060】
放射線検出器モジュール1aは、放射線検出器立て3の一の側面と、当該一の側面に隣接する一方の側面とのそれぞれにオスコネクタ30及び位置決めピン34が設けられる。そして、オスコネクタ30及び位置決めピン34が設けられている側面の反対側の側面にはメスコネクタ32及び孔36が設けられる(図示しない)。すなわち、放射線検出器モジュール1aが備える放射線検出器立て3の4つの側面のいずれにおいても、当該放射線検出器モジュール1aを他の放射線検出器モジュール1aに接続させることができる。したがって、第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1aは、X方向とY方向との4方向において他の放射線検出器モジュール1aに接続することができる。これにより、放射線検出器モジュール1aの位置決め、及び各放射線検出器モジュール1a間の配線が更に容易になる。
【0061】
[第4の実施の形態]
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図の一例を示す。
【0062】
第4の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1bは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、放射線検出器立て3aの構成が異なる点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第4の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1bは、第1〜第3の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0063】
放射線検出器モジュール1bが備える放射線検出器立て3aは、放熱用の複数のフィン310を表面に有する。具体的に、放射線検出器立て3aは、放射線検出部2の反対側の面に複数のフィン310を有する。放射線検出器立て3aの表面に予め複数のフィン310を形成することにより、放射線検出器立て3aとは別にヒートシンク及び/又は放熱フィンを設けることを要さない。この場合、複数の放射線検出器モジュール1bが連なることにより放射線検出装置を構成することになる。
【0064】
[第5の実施の形態]
図8の(a)は、本発明の第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図の一例を示し、(b)は、放熱ブロックを備える第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面図の一例を示す。
【0065】
第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1は、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、放射線検出器立て3の表面に放射線吸収層6が設けられている点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1は、第1〜第4の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0066】
まず、図8の(a)に示すように、放射線検出器モジュール1は、放射線検出器立て3の表面に放射線吸収層6を更に備える。具体的に、放射線吸収層6は、放射線検出器立て3の放射線検出部2が設けられる側の反対側の表面(つまり、放射線検出器立て3の下面)の略全面に設けられる。放射線吸収層6は、例えば、数mm程度の厚さを有する鉛又はタングステンを用いて形成される。放射線吸収層6は、外部から放射線検出器モジュール1に向けて入射する放射線を吸収する。すなわち、放射線検出部2が設けられている側の反対側に放射線吸収層6を設けることにより、検出すべきではない放射線が放射線検出部2に入射することが抑制される。第5の実施の形態では複数の放射線検出器モジュール1及び放熱用のフィン等を備える放射線検出装置の外側に放射線吸収層6を設けることを要さないので、放射線検出装置全体の大きさ及び重量を低減できる。
【0067】
また、図8の(b)に示すように、放射線吸収層6の放射線検出器立て3の反対側に放熱ブロック315を設けることができる。これにより、放射線吸収層6を放熱ブロック315の外側等に設置することを要さないので、不要な放射線が放射線検出部2に入射することを単純な構成で抑制できる。
【0068】
[第6の実施の形態]
図9の(a)は、本発明の第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図の一例を示し、図9の(b)は、本発明の第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュール同士の接続の概要を示す。
【0069】
第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1cは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、放射線検出器立て3に冷媒用パイプ31が更に設けられている点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1cは、第1〜第5の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0070】
放射線検出器モジュール1cが備える放射線検出器立て3は、オスコネクタ30及び位置決めピン34が設けられている側面から当該側面の反対側の側面まで貫通する冷媒用パイプ31と、オスコネクタ30が設けられている側面の反対側の側面に設けられ、他の放射線検出器モジュール1cの冷媒用パイプ31が差し込まれる差し込み口35とを更に有する。また、冷媒用パイプ31は、オスコネクタ30が設けられている側面から外部に向かって突き出る形状を有しており、冷媒用パイプ31の外周には、差し込み口35に差し込まれた場合に冷媒用パイプ31の内部と外部とを隔離するOリング等のパッキン33が設けられる。
【0071】
具体的に冷媒用パイプ31は、オスコネクタ30を有する側面とメスコネクタ32を有する側面とを貫通して設けられる。また、放射線検出器立て3は、複数本の冷媒用パイプ31を有することができる。より具体的に、放射線検出器立て3は、複数の位置決めピン34の放射線検出部2の反対側に距離をおいて複数の冷媒用パイプ31を有する。例えば、各位置決めピン34を基点として放射線検出部2から離れる方向に距離をおいて複数の冷媒用パイプ31が設けられる。冷媒用パイプ31に冷却水等の冷媒を流すことにより、放射線検出器モジュール1cを効果的に冷却できる。
【0072】
また、オスコネクタ30が設けられれている側面から外部に突き出る冷媒用パイプ31と、メスコネクタ32が設けられている側面に設けられる差し込み口35とで複数の放射線検出器モジュール1間の位置決めをすることもできる。この場合、位置決めピン34及び孔36を省略することができる。
【0073】
[第7の実施の形態]
図10の(a)は、本発明の第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図の一例を示し、図10の(b)は、本発明の第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュール同士の接続の概要を示す。
【0074】
第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1dは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、放射線検出器立て3に空冷用の流路37が更に設けられている点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1dは、第1〜第6の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0075】
放射線検出器モジュール1dが備える放射線検出器立て3は、オスコネクタ30及び位置決めピン34が設けられている側面から当該側面の反対側の側面まで貫通する流路37を更に有する。放射線検出器モジュール1dは、複数の流路37を有することができる。また、流路37は、一例として、断面が略矩形の形状を有する。そして、流路37は、例えば、オスコネクタ30が設けられている側面の放射線検出部2の反対側、すなわち、オスコネクタ30の下方に設けられる。
【0076】
複数の放射線検出器モジュール1dを互いに連結させると、複数の放射線検出器モジュール1dそれぞれの流路37が連結される。そして、連結させた複数の流路37の端部にファン7を設ける。ファン7を作動させることにより複数の流路37内に流体(例えば、空気)の流れが生じる。これにより、複数の放射線検出器モジュール1dはそれぞれ、流路37を流れる流体により冷却される。なお、一の放射線検出器モジュール1dと他の放射線検出器モジュール1dとを連結させた場合に、一の放射線検出器モジュール1dの流路37と他の放射線検出器モジュール1dの流路37との間に、流路37の機密を保つことを目的として、流路37の出口の外周を囲むガスケットを設けることもできる。
【0077】
[第8の実施の形態]
図11は、本発明の第8の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図の一例を示す。
【0078】
第8の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1eは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、位置決めピンの構成が異なる点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第8の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1eは、第1〜第7の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0079】
放射線検出器モジュール1eが備える放射線検出器立て3は、オスコネクタ30が設けられる側面にヒートパイプ39が設けられる。例えばヒートパイプ39は、オスコネクタ30を挟む位置に設けられる。ヒートパイプ39は、第1の実施の形態に係る位置決めピン34の機能を兼ね備えることもできる。また、ヒートパイプ39は、熱伝導率が良好な金属材料、例えば、銅を用いて形成できる。第8の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1eにおいては、ヒートパイプ39を介して放射線検出器モジュール1eから発する熱が外部に放熱されるので、ヒートシンク4を用いなくてもよい。
【0080】
[第9の実施の形態]
図12の(a)は、本発明の第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図の一例を示し、(b)は、本発明の第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュール同士の接続部分の概要を示す。
【0081】
第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1fは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、ガスケット8を更に備える点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1fは、第1〜第8の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0082】
放射線検出器モジュール1fは、4つの側面のそれぞれにガスケット8を備える。具体的には、放射線検出部2とオスコネクタ30及びメスコネクタ32との間であって、放射線検出器立て3の側面のそれぞれにガスケット8が設けられる。ガスケット8は、例えば、外部から力が加わると圧縮される内側部材と、内側部材を被覆する導電性の外層とを有して構成される。一の放射線検出器モジュール1fと他の放射線検出器モジュール1fとが接続されると、一の放射線検出器モジュール1fのガスケット8と他の放射線検出器モジュール1fのガスケット8とが接触する。これにより、オスコネクタ30及びメスコネクタ32からの電磁波110が放射線検出部2に到達することが防止される。
【0083】
[第10の実施の形態]
図13の(a)は、本発明の第10の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの部分的な斜視図の一例を示し、(b)は、本発明の第10の実施の形態に係る複数の放射線検出器モジュールが連結した状態の概要を示す。
【0084】
第10の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1gは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、複数の放射線検出器モジュール1gがボルト332及びナット334により固定される点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第10の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1gは、第1〜第9の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0085】
放射線検出器モジュール1gが備える放射線検出器立て3は、オスコネクタ30が設けられている側面から当該側面の反対側の側面、すなわち、メスコネクタ32が設けられている側面まで貫通する貫通孔330を有する。貫通孔330は、例えば、放射線検出器モジュール1において位置決めピン34が設けられていた位置に対応する位置に設けることができる。すなわち、第10の実施の形態においては、位置決めピン34及び孔36を省略できる。そして、複数の放射線検出器モジュール1gを連結させる場合に、各放射線検出器モジュール1gの貫通孔330にボルト332を通し、ナット334で固定する。これにより、複数の放射線検出器モジュール1gのそれぞれが強固に固定される。
【0086】
[第11の実施の形態]
図14は、本発明の第11の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面の概要を示す。
【0087】
第11の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1hは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、放射線検出器立ての構造が異なる点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第11の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1hは、第1〜第10の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0088】
放射線検出器モジュール1hが備える放射線検出器立て3bは、放熱用の複数のフィン310と、複数のフィン310に流体を送るファン7とを有する。具体的に、放射線検出器立て3bは、放射線検出部2の反対側の面(すなわち、放射線検出器立て3bの下面)に複数のフィン310を有すると共に、複数のフィン310の先方にファン7を有する。放射線検出器立て3bの表面に予め複数のフィン310を形成すると共に複数のフィン310に外部から空気等の流体をファン7で送ることにより、放射線検出器モジュール1hは強制的に冷却される。これにより、放射線検出器立て3bとは別にヒートシンク及び/又は放熱フィンを設けることを要さない。
【0089】
[第12の実施の形態]
図15は、本発明の第12の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの側面の概要を示す。
【0090】
第12の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1iは、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1とは、放射線検出器立て3の下部の構造が異なる点を除き、放射線検出器モジュール1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。なお、第12の実施の形態に係る放射線検出器モジュール1iは、第1〜第11の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの一部又は全部の構成及び機能を備えることもできる。
【0091】
放射線検出器モジュール1iは、放射線検出器立て3の放射線検出部2が設けられている側の反対側に放熱ブロック315を備えると共に、放射線検出器立て3と放熱ブロック315との間にペルチェ素子9を備える。また、放熱ブロック315の先方には放熱ブロック315に空気等の流体を送るファン7が更に設けられる。放射線検出器立て3の下面に設けられるペルチェ素子9により、放射線検出器モジュール1iが冷却される。
【0092】
ここで、ペルチェ素子9の温度は、放射線検出器モジュール1iの温度に応じ、独立に制御することができる。例えば、放射線検出器モジュール1i内に放射線検出器モジュール1i内の温度を測定する温度測定部と、温度測定部からの信号に応じてペルチェ素子9の温度を制御する温度制御部とを更に設ける。そして、温度測定部が測定した温度を示す情報と予め設定された基準の温度(以下、「基準温度」という)との差に応じ、温度制御部はペルチェ素子9の温度を制御する。また、温度制御部は、温度測定部からの信号に応じ、放射線検出器モジュール1iの内部の温度が基準温度に近づくように、ペルチェ素子9の温度とファン7の回転数との双方を制御することもできる。
【0093】
なお、温度制御部は放射線検出器モジュール1iの外部に設けることもでき、この場合、ペルチェ素子9の温度は、放射線検出器モジュール1iの外部に設けた温度制御部により制御される。
【0094】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0095】
1、1a、1b、1c、1d 放射線検出器ユニット
1e、1f、1g、1h、1i 放射線検出器ユニット
2、2a 放射線検出部
3、3a、3b 放射線検出器立て
4 ヒートシンク
5 データ収集基板
6 放射線吸収層
7 ファン
8 ガスケット
9 ペルチェ素子
20 放射線検出器カード
25 マザーボード
30 オスコネクタ
31 冷媒用パイプ
32 メスコネクタ
33 パッキン
34 位置決めピン
35 差し込み口
36 孔
37 流路
38 ネジ穴
39 ヒートパイプ
40 平板部
42 フィン
44 位置決め部
46 ネジ
48 ネジ穴
50 放射線検出器ユニット用コネクタ
52 集積回路
54 外部接続コネクタ
100 放射線
110 電磁波
200 半導体素子
210 基板
220、225 カードホルダ
230 突起部
232 溝付穴
234 弾性部材
236 基板端子
238 端子用穴
240 フレキシブル基板
300 ASIC
302 FPGA
304 信号処理部
310 フィン
315 放熱ブロック
320 冷媒流通路
330 貫通孔
332 ボルト
334 ナット
340 信号ライン
350 電源・グランドライン
360 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放射線検出器ユニットが連結されることにより構成される放射線検出装置用の放射線検出器ユニットであって、
放射線を検出可能な放射線検出部と、
前記放射線検出部に電気的に接続するユニット内配線と、前記ユニット内配線に接続され、前記複数の放射線検出器ユニットが連結される方向に向けて設けられるコネクタ部とを有し、前記放射線検出部を支持する支持部と
を備える放射線検出器ユニット。
【請求項2】
前記コネクタ部が、前記支持部の側面に設けられる請求項1に記載の放射線検出器ユニット。
【請求項3】
前記放射線検出部が、放射線を検出可能な半導体素子を含む複数の放射線検出器カードを有し、
前記支持部が、前記複数の放射線検出器カードの端部を支持する支持体と、前記支持体を搭載し、前記ユニット内配線が設けられるマザーボードとを有し、
前記ユニット内配線が、前記複数の放射線検出器カードのそれぞれに電気的に接続する請求項2に記載の放射線検出器ユニット。
【請求項4】
前記マザーボードが、前記放射線検出部の反対側に前記ユニット内配線に接続して設けられ、前記放射線検出部からの信号を処理する信号処理部を更に含み、
前記信号処理部が、前記複数の放射線検出器ユニット間において、バス型又は信号中継型で前記信号を中継する請求項3に記載の放射線検出器ユニット。
【請求項5】
前記支持部が、隣接する他の放射線検出器ユニットに対する位置を決める位置決め部
を更に有する請求項4に記載の放射線検出器ユニット。
【請求項6】
前記コネクタ部が、隣接する他の放射線検出器ユニット又は外部の電気回路に電気的に接続する請求項5に記載の放射線検出器ユニット。
【請求項7】
前記支持部の前記放射線検出部が設けられる側の反対側の表面に設けられる放射線吸収層を更に備える請求項1に記載の放射線検出器ユニット。
【請求項8】
前記支持部が、前記支持部の一方の側面から反対側の側面まで貫通する冷却用の流路を有する請求項1に記載の放射線検出器ユニット。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate