説明

放射線検出装置、その製造方法および放射線検出システム

【課題】放射線検出装置のシンチレータ層に含まれる柱状結晶間の隙間を通過して、光に変換されずにセンサパネルに到達する放射線の割合を低減する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】第1シンチレータ層及び第2シンチレータ層と、第1シンチレータ層及び第2シンチレータ層が発光する光を検出するセンサパネルとを備える放射線検出装置の製造方法であって、センサパネルと、センサパネルに形成された柱状結晶の集合体を含む第1シンチレータ層とを有するセンサ装置を準備するとともに、シンチレータ基板と、シンチレータ基板に形成された柱状結晶の集合体を含む第2シンチレータ層とを有するシンチレータパネルを準備する準備工程と、第1シンチレータ層と第2シンチレータ層とが対向するように、シンチレータパネルをセンサパネルに固定する固定工程とを有することを特徴とする製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出装置、その製造方法および放射線検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の光電変換素子が形成されたセンサパネル上に、放射線を電変換素子が検知可能な波長の光に変換するシンチレータを積層したデジタル放射線検出装置が商品化されている。シンチレータとして、CsIにTlをドープした材料のようなハロゲン化アルカリ系の材料や、GdOSにTbをドープした材料からなるものが主流である。ハロゲン化アルカリ系のシンチレータ材料を用いて真空蒸着法を行うと、柱状結晶の集合体を含むシンチレータ層が形成される。しかしながら、図3(a)、(b)に示されるように、シンチレータ層500aは柱状結晶501aの間に隙間502を有するので、シンチレータ層へ入射した放射線の一部はこの隙間502を通過し、光に変換されることなくセンサパネルに到達する。センサパネルは光に変換されていない放射線を検出できないので、放射線検出装置の量子検出効率(DQE:detective quantum efficiency)が低下する。
【0003】
特許文献1は、シンチレータ層による発光量を増やすために、Tlの濃度分布が互いに異なる複数のシンチレータ層をセンサパネルの上に形成した放射線検出装置を提案する。特許文献2は、スプラッシュなどの異常成長部の成長を抑制するために、複数回に分けて複数のシンチレータ層を形成する技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−051793号公報
【特許文献2】特開2005−148060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2は複数回に分けて複数のシンチレータ層を形成する技術を提案する。しかし、いずれの文献においても、すでに形成されたシンチレータ層に対して真空蒸着を行うことによって、新たなシンチレータ層を形成する。このように形成した場合に、先のシンチレータ層の結晶性(柱状結晶の配置)に従って後のシンチレータ層の柱状結晶が成長するので、先のシンチレータ層の柱状結晶間の隙間と後のシンチレータ層の柱状結晶間の隙間とが重なる。そのため、光に変換されずにセンサパネルに到達する放射線の割合を十分に低減できない。そこで、本発明は、放射線検出装置のシンチレータ層に含まれる柱状結晶間の隙間を通過して、光に変換されずにセンサパネルに到達する放射線の割合を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の第1側面は、第1シンチレータ層及び第2シンチレータ層と、前記第1シンチレータ層及び前記第2シンチレータ層が発光する光を検出するセンサパネルとを備える放射線検出装置の製造方法であって、センサパネルと、前記センサパネルに形成された柱状結晶の集合体を含む第1シンチレータ層とを有するセンサ装置を準備するとともに、シンチレータ基板と、前記シンチレータ基板に形成された柱状結晶の集合体を含む第2シンチレータ層とを有するシンチレータパネルを準備する準備工程と、前記第1シンチレータ層と前記第2シンチレータ層とが対向するように、前記シンチレータパネルを前記センサパネルに固定する固定工程とを有することを特徴とする製造方法を提供する。本発明の第2側面は、光を検出するセンサパネルと、前記センサパネルから成長した柱状結晶の集合体を含み、放射線を前記センサパネルが検出可能な光に変換する第1シンチレータ層と、シンチレータ基板と、前記シンチレータ基板から成長した柱状結晶の集合体を含み、放射線を前記センサパネルが検出可能な光に変換する第2シンチレータ層とを備え、前記第1シンチレータ層の面のうち前記センサパネルに接する面とは反対側の面と、前記第2シンチレータ層の面のうち前記シンチレータ基板に接する面とは反対側の面とが対向していることを特徴とする放射線検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記手段により、放射線検出装置のシンチレータ層に含まれる柱状結晶間の隙間を通過して、光に変換されずにセンサパネルに到達する放射線の割合を低減する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の様々な実施形態の放射線検出装置の構成例を説明する図。
【図2】本発明の様々な実施形態の放射線検出装置の構成例を説明する図。
【図3】本発明の実施形態の2つのシンチレータ層の位置関係を説明する図。
【図4】本発明の1つの実施形態の準備工程を説明する図。
【図5】本発明の別の実施形態の準備工程を説明する図。
【図6】本発明の1つの実施形態の固定工程を説明する図。
【図7】本発明の別の実施形態の固定工程を説明する図。
【図8】本発明の別の実施形態の固定工程を説明する図。
【図9】本発明の別の実施形態の固定工程を説明する図。
【図10】本発明の実施形態の放射線検出システムの構成例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の様々な実施形態について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図面を通じて同一の構成要素は同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。また、図面を通じて同様の構成要素は同一の参照符号に相異なるアルファベットを付加し、主に相違点を説明する。
【0010】
<放射線検出装置の第1構成例>
図1および図2は本発明の様々な実施形態に係る放射線検出装置の構成例を説明する図である。図1(a)に示される放射線検出装置100aはセンサ装置200aとシンチレータパネル300aとを備えうる。センサ装置200aはセンサパネル400aと第1シンチレータ層500aとを備えうる。シンチレータパネル300aはシンチレータ基板600aと第2シンチレータ層700aとを備えうる。
【0011】
センサパネル400aは第1シンチレータ層500aまたは第2シンチレータ層700aによって放射線から変換された光を検出する。センサパネル400aは光が入射した位置およびその光量を検出できればどのような構成であってもよく、例えば既存の任意のセンサパネルを採用しうる。以下にセンサパネル400aの構成例を説明する。センサパネル400aは、ガラス等からなる絶縁性基板401と、その上にアレイ状に配置された複数の画素で構成される画素アレイとを有しうる。各画素は光電変換素子402及びTFT(薄膜トランジスタ、不図示)を含みうる。光電変換素子402またはTFTは導電パターン403に接続されている。光電変換素子402は第1シンチレータ層500aまたは第2シンチレータ層700aによって放射線から変換された光に応じて電荷を発生しうる。光電変換素子402はMIS型センサ、PIN型センサ、TFT型センサ、CMOS型センサ等でありうる。
【0012】
センサパネル400aはさらに、光電変換素子402、導電パターン403およびTFTを覆って保護するセンサパネル保護膜407を備えうる。センサパネル保護膜407の材料として、例えばSiN、TiO2、LiF、Al23、MgO等の無機物を用いうる。放射線検出装置100aは、センサパネル400aの絶縁性基板401に配置されたボンディングパット等の接続リード404を有してもよく、接続リード404は導電パターン403に接続されている。放射線検出装置100aは、フレキシブル配線板等の外部配線405と半田や異方性導電接着フィルム(ACF)等の配線接続部406とを有してもよい。接続リード404は配線接続部406を介して外部配線405と電気的に接続される。光電変換素子402により得られた信号は配線接続部406を介して外部へ出力される。
【0013】
第1シンチレータ層500aはセンサパネル400aの画素アレイを覆う位置に配置され、入射された放射線をセンサパネル400aが検出可能な光に変換する。第1シンチレータ層500aは例えばCsI:Tl、CsI:Na、CsBr:Tl等のハロゲン化アルカリ系材料の柱状結晶501aの集合体を含む。第1シンチレータ層500aの厚さ、すなわち柱状結晶501aの高さは例えば100μm以上1000μm以下である。本明細書において、第1シンチレータ層500aのうち、センサパネル400aに接する面を成長開始面とよび、その反対側の面(センサパネル400aから遠い方の面)を成長終了面とよぶ。
【0014】
シンチレータ基板600aはシンチレータ支持基板601を備えうる。シンチレータ支持基板601の面積は典型的に画素アレイの面積よりも大きい。第2シンチレータ層700aはシンチレータ基板600aの一方の面上に配置され、入射された放射線をセンサパネル400aが検出可能な光に変換する。第2シンチレータ層700aは例えばCsI:Tl、CsI:Na、CsBr:Tl等のハロゲン化アルカリ系材料の柱状結晶701aの集合体を含む。第2シンチレータ層700aの厚さ、すなわち柱状結晶701aの高さは例えば100μm以上1000μm以下である。第2シンチレータ層700aのうち、シンチレータ基板600aに接する面を成長開始面とよび、その反対側の面(シンチレータ基板600aから遠い方の面)を成長終了面とよぶ。
【0015】
シンチレータ支持基板601は第2シンチレータ層700aを保持可能であるとともに、真空蒸着中の温度で変形しない材料で形成されうる。例えば、シンチレータ支持基板601の材料として金属を用いる場合に、放射線吸収の少ないアルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金などを用いうる。これに替えて、シンチレータ支持基板601の材料として、耐熱性があり、かつ、放射線吸収の少ない炭素系樹脂、PPS樹脂、ポリイミド樹脂等を用いてもよい。金属を材料として用いる場合に、シンチレータ支持基板601は反射層としても機能する。すなわち、シンチレータ支持基板601は第1シンチレータ層500aまたは第2シンチレータ層700aで変換して発せられた光のうち、センサパネル400aとは反対側に進行した光を反射してセンサパネル400aに導く。これにより、光利用効率を向上させることができる。また、反射層として機能するシンチレータ支持基板601は、放射線検出装置100aの外部からの光線を遮断できる。
【0016】
センサ装置200aとシンチレータパネル300aとは、第1シンチレータ層500aの成長終了面と第2シンチレータ層700aの成長終了面とが対向するように重ね合わされ、封止部材800により固定される。封止部材800は絶縁性基板401の側面とシンチレータ支持基板601の側面とに全周的に接着され、放射線検出装置100aの外部から水分が第1シンチレータ層500aおよび第2シンチレータ層700aへ浸入するのを防止する。封止部材800の材料として、例えばエポキシ系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系の樹脂を用いうる。これらの樹脂の中でも防湿性の高いエポキシ系樹脂を使用することにより放射線検出装置100aの耐久性を向上できる。第1シンチレータ層500aおよび第2シンチレータ層700aのそれぞれは、センサパネル400aの画素アレイを覆う位置に配置されうる。このため、第2シンチレータ層700aの成長開始面および成長終了面の面積は典型的に画素アレイの面積以上である。また、第2シンチレータ層700aの成長終了面は第1シンチレータ層500aの成長終了面と同程度の面積を有してもよい。
【0017】
放射線検出装置100aは、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとが積層した構造を有する。そのため、センサパネル400aの光電変換素子402には第1シンチレータ層500aまたは第2シンチレータ層700aによって放射線から変換された光が入射する。図3は第1シンチレータ層500aおよび第2シンチレータ層700bの構造を説明する図である。図3(a)は第1シンチレータ層500aの平面SEM写真であり、図3(b)は第1シンチレータ層の断面SEM写真である。第2シンチレータ層700bも同様の構造を有する。図3(c)は第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとの位置関係を説明する図であり、説明のために第2シンチレータ層700aの各柱状結晶を透過的に示し、その輪郭を点線で示す。図3(a)に示されるように、第1シンチレータ層500aを真空蒸着法により形成した場合に、不規則な形状・柱径を有する柱状結晶501aの集合体が形成される。そのため、隣接する柱状結晶501aの間には隙間502が生じ、この隙間502へ照射された放射線は光に変換されることなくセンサパネル400aに到達してしまい、センサパネル400aが検出できない。このように、第1シンチレータ層500aだけでは放射線から光への変換効率が十分に得られない。これに対して、放射線検出装置100aでは、別々の基板に対して蒸着された第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとが積層された構造を有する。そのため、第1シンチレータ層500aにおける柱状結晶501aの配置と第2シンチレータ層700aにおける柱状結晶701aの配置とは互いに無相関となる。その結果、第1シンチレータ層500aの柱状結晶間の隙間と第2シンチレータ層700aの柱状結晶間の隙間とは、互いにずれて配置されうる。例えば、図3(c)に示されるように、第1シンチレータ層500aの柱状結晶501aの隙間502に重なるように第2シンチレータ層700aの柱状結晶701aが配置されうる。これにより、シンチレータにより光に変換されることなくセンサパネル400aに到達する放射線の割合を低減でき、放射線検出装置100aによる放射線の量子検出効率(DQE:detective quantum efficiency)が向上する。
【0018】
放射線検出装置100aでは、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとが同程度の厚さを有するが、後述するようにこれらの厚さは異なっていてもよい。また、放射線検出装置100aでは、第1シンチレータ層500aの柱状結晶501aと第2シンチレータ層700aの柱状結晶701aとが同程度の柱径(例えば平均して5μm)を有する。言い換えると、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとが単位面積あたり同程度の本数の柱状結晶を有する。しかし、後述するようにこれらの柱径・本数は異なっていてもよい。放射線検出装置100eでは第2シンチレータ層700aがセンサパネル400aの画素アレイ全体を覆う例を示したが、画素アレイの一部のみを覆う構成であってもよく、その部分においては放射線のDQEを向上できる。
【0019】
<放射線検出装置の第2構成例>
図1(b)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100bの構成例を説明する。放射線検出装置100bは前述のセンサ装置200a、シンチレータパネル300aおよび封止部材800を備えうる。真空蒸着法により形成された柱状結晶501a、701aの先端は、図3(b)に示されるように先細り形状を有しうる。そこで、放射線検出装置100bでは、柱状結晶501aの先端が互いに隣接する柱状結晶701aの間に入り込み、柱状結晶701aの先端が互いに隣接する柱状結晶501aの間に入り込むように、シンチレータパネル300aがセンサ装置200aに固定される。このように構成することによって、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとの間の距離を低減でき、これらのシンチレータ層の間で発生する散乱光の量を低減できる。
【0020】
これにかえて、真空蒸着終了後の柱状結晶501a、701aの先端を研磨等により平坦化することのよって、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとの間の距離を低減してもよい。
【0021】
<放射線検出装置の第3構成例>
図1(c)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100cの構成例を説明する。放射線検出装置100cはセンサ装置200c、シンチレータパネル300cおよび封止部材800に加えて、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとの間に遮光層801を備えうる。遮光層801は放射線入射方向に沿って開口が配されたメッシュ構造を有しうる。メッシュ構造を有する遮光層801により、放射線検出装置100cでは、両シンチレータ層間の光学的なクロストークや斜入射放射線が低減される。遮光層801の材料として、光および放射線を遮蔽するPbやFe等を用いうる。また、遮光層801の厚さは例えば20μmから100μmであり、メッシュの幅は例えば30μmから200μmである。遮光層801の大きさはセンサパネル400aの画素アレイを覆うことができる大きさでありうる。
【0022】
センサ装置200cはセンサパネル400cと前述の第1シンチレータ層500aとを備えうる。センサパネル400cは、センサパネル保護膜407と第1シンチレータ層500aとの間に有機保護層408を有する点でセンサパネル400aとは異なる。有機保護層408を設けることによって、センサパネル400cの耐久性をさらに向上できる。有機保護層408の材料として、既存の様々な有機樹脂を用いうる。
【0023】
シンチレータパネル300cはシンチレータ基板600cと前述の第2シンチレータ層700aとを備えうる。センサパネル400cは、シンチレータ支持基板601と第2シンチレータ層700aとの間に保護層602を有する点でシンチレータ基板600aとは異なる。保護層602を設けることによって、シンチレータ支持基板601の第2シンチレータ層700aによる腐食を軽減でき、第2シンチレータ層700aとシンチレータ基板600cとの間の密着性を向上できる。保護層602の材料として、例えばポリイミド系樹脂やエポキシ系やアクリル系樹脂やシリコーン系樹脂等の有機材料やAl23やSiO2、TiO2等の無機材料を用いうる。保護層602および有機保護層408は本明細書で説明される放射線検出装置の実施形態の何れにも適用可能である。
【0024】
<放射線検出装置の第4構成例>
図1(d)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100dの構成例を説明する。放射線検出装置100dは上述のセンサ装置200c、シンチレータパネル300cおよび封止部材800に加えて、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとの間に接着層803を有する。接着層803は第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとを接着して固定するとともに、両シンチレータ層同士が衝突して破損することを抑制する耐衝撃性を向上する。接着層803の材料として、粘着材またはホットメルト樹脂を用いうる。粘着剤とは、常温で他の有機材料および無機材料に接着性を有するものである。ホットメルト樹脂とは、樹脂温度が上昇すると溶融して他の有機材料および無機材料に接着性を有し、樹脂温度が低下すると固化して接着性を有さないものである。粘着剤やホットメルト樹脂として既存の様々な材料を用いうる。
【0025】
<放射線検出装置の第5構成例>
図2(a)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100eの構成例を説明する。放射線検出装置100eはセンサ装置200e、シンチレータパネル300e、封止部材800および接着層803を備えうる。センサ装置200eは上述のセンサパネル400cと第1シンチレータ層500eとを備えうる。シンチレータパネル300eは上述のシンチレータ基板600cと第2シンチレータ層700eとを備えうる。第1シンチレータ層500eおよび第2シンチレータ層700eは上述の実施形態と同様に柱状結晶の集合体を有するが、第1シンチレータ層500eの厚さ(例えば、550μm)が第2シンチレータ層700eの厚さ(例えば、450μm)よりも厚い点で異なる。
【0026】
<放射線検出装置の第6構成例>
図2(b)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100fの構成例を説明する。放射線検出装置100fは上述のセンサ装置200c、シンチレータパネル300cおよび接着層803に加えて、接着層803により固定されたセンサ装置200cおよびシンチレータパネル300cを全体的に包む保護膜804を備えうる。保護膜804により、放射線検出装置100fの外部から第1シンチレータ層500aおよび第2シンチレータ層700aへ水分が浸入することを抑制でき、放射線検出装置100eの耐湿性が向上する。保護膜804は有機保護膜と無機保護膜とのいずれであってもよいし、これらの積層構造であってもよい。有機保護膜として、蒸着により形成可能なポリパラキシリレンやポリ尿素、または熱圧着により形成可能なホットメルト樹脂等の熱圧着性樹脂を用いうる。無機保護膜として、蒸着により形成可能なSIO2やAl23、TiO2等を用いうる。保護膜804で包まれた放射線検出装置100fの側面がさらに上述の封止部材800で囲まれてもよい。
【0027】
<放射線検出装置の第7構成例>
図2(c)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100gの構成例を説明する。放射線検出装置100gはセンサ装置200g、シンチレータパネル300g、封止部材800および接着層803を備えうる。センサ装置200gは、上述のセンサパネル400cと第1シンチレータ層500aとに加えて、第1シンチレータ層500aを覆う保護膜201を有する。保護膜201は図2(c)に示されるようにセンサパネル400cおよび第1シンチレータ層500aを全体的に覆ってもよいし、第1シンチレータ層500aのうち露出している部分を含む一部分のみを覆ってもよい。
【0028】
シンチレータパネル300gは、シンチレータ基板600fと第2シンチレータ層700aとに加えて、第2シンチレータ層700aを覆う保護膜301を有する。シンチレータ基板600fはシンチレータ支持基板601と保護層602との間に反射層603を有する点でシンチレータ基板600cと異なる。反射層603の材料として、アルミニウム、金、銀等の金属材料を用いることができ、その中でも反射特性の高いアルミニウムや金を用いてもよい。保護膜301は図2(c)に示されるようにシンチレータ基板600fおよび第2シンチレータ層700aを全体的に覆ってもよいし、第2シンチレータ層700aのうち露出している部分を含む一部分のみを覆ってもよい。保護膜201、301はどちらも上述の保護膜804と同様の材料で形成されうる。特に、有機樹脂として、片面のみ接着性を持つポリエステル系樹脂のc−PET、a−PET共押しだし樹脂を用いてもよい。図2(c)では第1シンチレータ層501a及び第2シンチレータ層701aの両方をそれぞれ保護膜201及び保護膜301で覆う構成を説明したが、本発明はそれに限定されるものではない。いずれか一方のシンチレータ層のみを保護膜で覆う形態でもよいが、両方を覆う構成の方がシンチレータ層の耐湿保護をより向上できる。
【0029】
<放射線検出装置の第8構成例>
図2(d)を参照して本発明の別の実施形態に係る放射線検出装置100hの構成例を説明する。放射線検出装置100hはセンサ装置200h、シンチレータパネル300h、封止部材800および接着層803を備えうる。センサ装置200hは、第1シンチレータ層500hを備える点でセンサ装置200gとは異なる。シンチレータパネル300hは、第2シンチレータ層700hを備える点でシンチレータパネル300gとは異なる。第1シンチレータ層500hおよび第2シンチレータ層700hはそれぞれ、上述の実施形態と同様に柱状結晶の集合体を有する。しかし、第1シンチレータ層500hの柱状結晶501hの平均の柱径(例えば、2μmから8μmで平均が約5μm)が第2シンチレータ層700hの柱状結晶701hの平均の柱径(例えば、4μmから10μmで平均が約7μm)よりも小さい点で異なる。言い換えると、第1シンチレータ層500hの単位面積あたりの柱状結晶501hの本数は第2シンチレータ層700hの単位面積あたりの柱状結晶701hの本数よりも多い。
【0030】
放射線入射側に近い方の第2シンチレータ層700hの柱状結晶701hの柱径を大きくすることで、入射した放射線を効率的に捉えることができる。言い換えると、第2シンチレータ層700hの断面のうち、柱状結晶701hの占める割合を増やすことができる。また、センサパネル400cに近い方の第1シンチレータ層500hの柱状結晶501hの柱径を小さくすることで、柱状結晶501hの柱径を光電変換素子402の面積に比べて十分に小さくすることができる。これにより、柱状結晶501hはファイバオプティクプレート(FOP)として機能し、第1シンチレータ層500h及び第2シンチレータ層700hで発生した光を光電変換素子402へ導光しうる。これにより、放射線検出装置100hによる放射線の量子検出効率が一層向上する。
【0031】
<製造方法の概要>
続いて、上述の放射線検出装置100a〜100hの製造方法を説明する。製造方法は主にセンサ装置およびシンチレータパネルを準備する準備工程と、シンチレータパネルをセンサ装置に固定する固定工程とを有する。前述のように、異なる基板に対して独立に2つのシンチレータ層を形成し、これらのシンチレータ層を積層することによって、放射線検出装置の放射線のDQEが向上する。以下に準備工程の複数の実施例および固定工程の複数の実施例を説明する。特に言及しない限り、準備工程の実施例と固定工程の実施例との任意の組合せが可能である。接続リード404、外部配線405および配線接続部406の取り付けは既知の手法で任意の時点に行えばよいため、以下では説明を省略する。
【0032】
<準備工程の第1実施例>
まず、センサパネル400aとシンチレータ基板600aとを準備する。これらの製造方法は当該分野で周知であるため、説明を省略する。例えば、厚さが0.5mmのAl板をシンチレータ支持基板601として有するシンチレータ基板600aを準備する。また、例えばセンサパネル400aのセンサパネル保護膜407としてSiNを成膜する。
【0033】
次に、図4(a)に示されるように、準備したセンサパネル400aとシンチレータ基板600aとを蒸着装置の回転ホルダ901に、回転中心から等距離に位置するように設置する。そして、CsI(沃化セシウム)とTlI(沃化タリウム)を蒸着材料として抵抗加熱ボートに充填し、蒸着装置内を真空ポンプで排気しながらArガスを導入して、真空度を0.1Paに調整し、真空蒸着を行う。これにより、図4(b)に示されるように、センサパネル400aの上にCsI:Tlの柱状結晶501aが成長し、第1シンチレータ層500aが形成される。また同時に、図4(c)に示されるように、シンチレータ基板600aのCsI:Tlの柱状結晶701aが成長し、第2シンチレータ層700aが形成される。例えば、第1シンチレータ層500aの厚さが500μmとなり、柱状結晶501aの平均の柱径が5μmとなるように真空蒸着を行う。センサパネル400aとシンチレータ基板600aとが回転ホルダ901の回転中心から等距離に配置されている。そのため、第2シンチレータ層700aの厚さも500μmとなり、柱状結晶701aの平均の柱径も5μmとなる。このようにして、上述のセンサ装置200aとシンチレータパネル300aとが準備されうる。
【0034】
この準備工程の実施例では、第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとの合計の厚さを有する単体のシンチレータ層を形成する場合と比較して蒸着時間が短くなる。そのため、スプラッシュの成長を小さく抑えることができるとともに、工数の削減とコストダウンを達成できる。
【0035】
センサパネル400aの代わりにセンサパネル400cを用いて上述の真空蒸着を行うことによって、センサ装置200cを準備できる。センサパネル400cは、センサパネル保護膜407の上にポリイミド樹脂を塗布して10μmの厚さの有機保護層408を形成することで準備されうる。また、シンチレータ基板600aの代わりにシンチレータ基板600cを用いて上述の真空蒸着を行うことによって、シンチレータパネル300cを準備できる。シンチレータ基板600cは、例えばシンチレータ支持基板601の上にポリイミド樹脂を塗布して10μmの厚さの保護層602を形成することで準備されうる。
【0036】
<準備工程の第2実施例>
まず、センサパネル400cとシンチレータ基板600fとを準備する。シンチレータ基板600fは、例えば厚さ1mmのアモルファスカーボン板をシンチレータ支持基板601として用い、Alを蒸着して厚さ10μmの反射層603を形成し、ポリイミド樹脂を塗布して10μmの厚さの保護層602を形成することで準備できる。そして、第1実施例と同様にして第1シンチレータ層500aと第2シンチレータ層700aとを形成する。その後、センサパネル400cおよび第1シンチレータ層500aに例えばマイラー850(帝人デュポン製)を熱圧着して厚さ15μmの保護膜201を形成する。これにより、センサ装置200gを準備できる。また、シンチレータ基板600fおよび第2シンチレータ層700aに例えばマイラー850(帝人デュポン製)を熱圧着して厚さ15μmの保護膜301を形成する。これにより、シンチレータパネル300gを準備できる。固定工程よりも前に第1シンチレータ層500aおよび第2シンチレータ層700aを保護膜201、301で覆うことによって、製造工程中の水分の浸入を軽減できる。
【0037】
<準備工程の第3実施例>
まず、上述の例と同様にして、センサパネル400cとシンチレータ基板600cとを準備する。次に、図5に示されるように、準備したセンサパネル400cとシンチレータ基板600cとを蒸着装置の回転ホルダ901に設置する。この例では、センサパネル400cの方がシンチレータ基板600cよりも回転ホルダ901の回転中心の近くになるように配置する。そして、CsIとTlIを蒸着材料として抵抗加熱ボートに充填し、蒸着装置内を真空ポンプで排気しながらArガスを導入して、真空度を0.1Paに調整し、真空蒸着を行う。 これにより、センサパネル400cの上にCsI:Tlの柱状結晶501eが成長し、第1シンチレータ層500eが形成される。また同時に、シンチレータ基板600cのCsI:Tlの柱状結晶701eが成長し、第2シンチレータ層700eが形成される。例えば、第1シンチレータ層500aの厚さが550μmとなり、柱状結晶501aの平均の柱径が5μmとなるように真空蒸着を行う。センサパネル400cの方がシンチレータ基板600cよりも回転ホルダ901の回転中心の近くになるように設置されている。そのため、第2シンチレータ層700eの厚さは第1シンチレータ層500eよりも厚く、例えば550μmとなり、柱状結晶701aの平均の柱径は5μmとなる。このようにして、上述のセンサ装置200eとシンチレータパネル300eとが準備されうる。このように、回転中心からの距離を調整することで、形成されるシンチレータ層の厚さを調整でき、特性に応じたシンチレータ層の選別を行うことができる。
【0038】
<準備工程の第4実施例>
まず、上述の例と同様にして、センサパネル400cとシンチレータ基板600fとを準備する。次に、準備したセンサパネル400cを蒸着装置の回転ホルダ901の中央に設置する。そして、CsIとTlIを蒸着材料として抵抗加熱ボートに充填し、蒸着装置内を真空ポンプで排気しながらArガスを導入して、真空度を1Paに調整し、真空蒸着を行う(第1蒸着工程)。これにより、センサパネル400cの上にCsI:Tlの柱状結晶501hが成長し、第1シンチレータ層500hが形成される。例えば、第1シンチレータ層500hの厚さは500μmであり、柱状結晶501hの平均の柱径は3μmである。そして、例えばポリパラキシリレンを蒸着して保護膜201を形成することによって、センサ装置200hを準備できる。
【0039】
次に、準備したシンチレータ基板600cを蒸着装置の回転ホルダ901の中央に設置する。そして、CsIとTlIを蒸着材料として抵抗加熱ボートに充填し、蒸着装置内を真空ポンプで排気しながらArガスを導入して、真空度を0.05Paに調整し、真空蒸着を行う(第2蒸着工程)。これにより、シンチレータ基板600cの上にCsI:Tlの柱状結晶701hが成長し、第2シンチレータ層700hが形成される。例えば、第2シンチレータ層700hの厚さは500μmであり、柱状結晶701hの平均の柱径は7μmである。そして、例えばポリパラキシリレンを蒸着して保護膜301を形成することによって、シンチレータパネル300hを準備できる。この例では、異なる真空度で別々の蒸着工程を実行することによって、第1シンチレータ層500hの柱状結晶501hの平均の柱径と第2シンチレータ層700hの柱状結晶701hの平均の柱径とを異ならせることができる。この実施例では、第2蒸着工程における真空度(0.05Pa)の方が第1蒸着工程における真空度(1Pa)よりも圧力が低いので、柱状結晶701hの平均の柱径(7μm)の方が柱状結晶501hの平均の柱径(3μm)よりも大きくなる。
【0040】
<固定工程の第1実施例>
まず、図6(a)に示されるように、上述の準備工程で準備されたセンサ装置200aを枠部材902の凹部に入れる。この際、第1シンチレータ層500aがセンサパネル400aの上側に位置するように置く。枠部材902の凹部の面積はセンサ装置200aの絶縁性基板401よりも若干大きいものを用いる。次に、図6(b)に示されるように、上述の準備工程で準備されたシンチレータパネル300aを枠部材902の凹部に入れ、センサ装置200aに重ねる。この際、第2シンチレータ層700aがシンチレータ基板600aの下側に位置するように置く。ここで、シンチレータパネル300aのシンチレータ支持基板601の大きさは枠部材902の凹部の面積よりも若干小さいものを用いる。これにより、センサ装置200aとシンチレータパネル300aとを位置合わせすることができ、第1シンチレータ層500aの成長終了面と第2シンチレータ層700aの成長終了面とが対向する位置に配置される。
【0041】
次に、図6(c)に示されるように、積層したセンサ装置200aおよびシンチレータパネル300aを枠部材902から取り外す。そして、センサ装置200aに接続リード404、外部配線405および配線接続部406を取り付け、例えばエポキシ樹脂からなる封止部材800でセンサ装置200aとシンチレータパネル300aとを固定することによって、放射線検出装置100aが形成される。
【0042】
また、センサ装置200aおよびシンチレータパネル300aを枠部材902の凹部に入れた後、図7に示されるように、プレス部903を用いてシンチレータパネル300aをセンサ装置200aに対して例えば1MPaで加圧する。これにより、シンチレータパネル300aをセンサ装置200aに押し付ける。その後、上述のように封止部材800を形成して、放射線検出装置100bが形成される。
【0043】
<固定工程の第2実施例>
まず、メッシュ構造を有する遮光層801を準備する。遮光層801は例えば以下の方法で形成できる。まず、図8(a)に示されるように、PbやFeで形成されたメッシュ構造を有し、厚さは20μmから100μmであり、メッシュの幅が30μmから200μmである遮光材805を準備する。そして、図8(b)に示されるように、ホットメルト樹脂や粘着剤である接着層806で遮光材805を挟み込み、真空ラミネータまたはヒートローラで熱圧着を行うことにより、図8(c)のような遮光層801を形成できる。センサ装置200cが入った枠部材902に、このようにして準備された遮光層801を入れた後、さらにシンチレータパネル300cを入れることによって、放射線検出装置100dが形成される。
【0044】
<固定工程の第3実施例>
第2実施例と同様にして、図9に示されるように、センサ装置200c、接着層803およびシンチレータパネル300cを積層した後に、ロールラミネータ904を用いてシンチレータ層500a、700aと接着層803との間の気泡を除去しながら熱圧着を行う。接着層803として例えばCS9621T(日東電工)を用いる。これにより、接着層803を介してセンサ装置200cに対してシンチレータパネル300cが固定される。
【0045】
その後、上記の実施例と同様にして封止部材800を形成することによって放射線検出装置100dが形成される。また、センサ装置200c、接着層803およびシンチレータパネル300cの周囲に厚さ10μmのポリ尿素膜を蒸着により形成する。その後、厚さ100nmのAl23膜を蒸着により成膜し、さらに厚さ2μmのポリ尿素膜を蒸着により形成して保護膜804を形成する。これにより、放射線検出装置100fが形成される。
【0046】
<放射線検出システムの構成例>
図10は本発明に係る放射線検出装置のX線診断システム(放射線検出システム)への応用例を示した図である。X線チューブ6050(放射線源)で発生した放射線としてのX線6060は、被験者又は患者6061の胸部6062を透過し、上述のいずれの放射線検出装置100a〜100fであってもよい放射線検出装置6040に入射する。この入射したX線には患者6061の体内部の情報が含まれている。X線の入射に対応してシンチレータは発光し、これを光電変換して、電気的情報を得る。この情報はデジタル信号に変換され信号処理手段となるイメージプロセッサ6070により画像処理され制御室の表示手段となるディスプレイ6080で観察できる。なお、放射線検出システムは、検出装置と、検出装置からの信号を処理する信号処理手段とを少なくとも有する。
【0047】
また、この情報は電話回線6090等の伝送処理手段により遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールームなど表示手段となるディスプレイ6081に表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また記録手段となるフィルムプロセッサ6100により記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シンチレータ層及び第2シンチレータ層と、前記第1シンチレータ層及び前記第2シンチレータ層が発光する光を検出するセンサパネルとを備える放射線検出装置の製造方法であって、
センサパネルと、前記センサパネルに形成された柱状結晶の集合体を含む第1シンチレータ層とを有するセンサ装置を準備するとともに、シンチレータ基板と、前記シンチレータ基板に形成された柱状結晶の集合体を含む第2シンチレータ層とを有するシンチレータパネルを準備する準備工程と、
前記第1シンチレータ層と前記第2シンチレータ層とが対向するように、前記シンチレータパネルを前記センサパネルに固定する固定工程と
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記準備工程は、
真空蒸着により前記センサパネルに前記第1シンチレータ層を形成する第1蒸着工程と、
真空蒸着により前記シンチレータ基板に前記第2シンチレータ層を形成する第2蒸着工程と
を含み、
前記第2蒸着工程における真空蒸着で用いられる真空度は前記第1蒸着工程における真空蒸着で用いられる真空度よりも圧力が低い
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記準備工程は、回転ホルダに前記センサパネル及び前記シンチレータ基板を設置して同時に真空蒸着を行うことによって前記第1シンチレータ層及び前記第2シンチレータ層を形成する蒸着工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記センサパネルと前記シンチレータ基板とが前記回転ホルダの回転中心から等しい距離に設置されることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記センサパネルが前記シンチレータ基板よりも前記回転ホルダの回転中心の近くに設置されることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記固定工程は、前記第1シンチレータ層と前記第2シンチレータ層との間に形成された接着層によって、前記センサ装置と前記シンチレータパネルとを貼り合わせる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記固定工程は、前記第2シンチレータ層の柱状結晶の先端が前記第1シンチレータの互いに隣接する柱状結晶の間に入り込むように、前記シンチレータパネルを前記センサパネルに押し付ける工程を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記準備工程は、前記固定工程の前に前記第2シンチレータ層を保護膜で覆う工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記準備工程は、前記固定工程の前に前記第1シンチレータ層を保護膜で覆う工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
光を検出するセンサパネルと、
前記センサパネルから成長した柱状結晶の集合体を含み、放射線を前記センサパネルが検出可能な光に変換する第1シンチレータ層と、
シンチレータ基板と、
前記シンチレータ基板から成長した柱状結晶の集合体を含み、放射線を前記センサパネルが検出可能な光に変換する第2シンチレータ層と
を備え、
前記第1シンチレータ層の面のうち前記センサパネルに接する面とは反対側の面と、前記第2シンチレータ層の面のうち前記シンチレータ基板に接する面とは反対側の面とが対向している
ことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項11】
前記第1シンチレータ層における単位面積あたりの柱状結晶の本数は、前記第2シンチレータ層における単位面積あたりの柱状結晶の本数よりも多いことを特徴とする請求項10に記載の放射線検出装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の放射線検出装置と、
前記放射線検出装置によって得られた信号を処理する信号処理手段と
を備えることを特徴とする放射線検出システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−29384(P2013−29384A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164766(P2011−164766)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】