説明

放射線画像撮影装置

【課題】放射線画像撮影装置におけるフォトタイマの取り付け作業や、内部部品の交換の作業性を改善する。
【解決手段】放射線画像撮像装置は、放射線を検出する放射線検出部108と、放射線検出部108を収納する筐体と、線量を測定するためのフォトタイマ受光部107を筐体に固定するフォトタイマ固定部材127と、を有し、フォトタイマ固定部材127は、前記筐体の表面を形成するカバー部材102を分離することでフォトタイマ受光部が取り外し可能となる位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に関するものであり、特に散乱線除去用グリッドとフォトタイマを内蔵可能な放射線画像撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、蛍光体と大面積固体撮像素子を密着させた放射線検出パネル、いわゆるフラットパネルディテクタ(FPD)を使用し、放射線像を直接デジタル化するデジタル放射線画像撮影装置が実用化されている。デジタル放射線画像撮影装置によれば、放射線像を瞬時にデジタル情報として得られることにより、技師による撮影作業の省力化、医師による読影の効率化等、多くの利点が得られている。
【0003】
また、胸部、腹部等の一般放射線撮影では、放射線像のコントラストを改善する目的で、散乱線除去用グリッド(以下、グリッド)を用いた撮影が行われている。グリッドには、グリッドの特性であるグリッド密度、グリッド比、集束距離が異なる複数のものが存在する。臨床の場では、これらは、撮影対象に応じて使い分けられている。適したグリッドを選択し使用することにより、診断に有用なコントラストや鮮鋭度の高い画像が得られると共に、被検者への過剰な被曝や照射時間の延長を防ぐことができる。一方、四肢骨や乳幼児等の散乱線の発生が少ない撮影対象については、グリッドを用いずに撮影が行われている。
【0004】
このような撮影手法の変更の要求に対して、複数の異なる特性のグリッドへの変更が容易に行え、また、グリッドを使用しない撮影への変更が可能な撮影装置が開発されている。特許文献1では、撮影装置の内部にグリッドを収納し、撮影装置の外側から、このグリッドの着脱が行えるように構成されている。また、特許文献1の撮影装置では、収納されたグリッドは、モータやカムから構成される駆動機構部により揺動される。これにより、グリッド縞が放射線画像へ移りこむ事を防止している。図6は、グリッドを撮影装置に内蔵する手段を有した一般的な放射線画像撮影装置の概略構成の縦断面図である。
【0005】
放射線画像撮影装置1は、被検者が接触するカバー部材2と、フレーム部材3が蓋身式に組み合わされて、内部部品を収納するように形成された筺体を有している。筺体の内部の部品へのアクセスは、カバー部材2をフレーム部材3から取り外すことで行われる。
【0006】
カバー部材2において放射線が入射する撮影領域は、X線透過率の高いカーボン板4で構成されている。被検者は被検部位(例えば、胸部)をカーボン板4に押し付けて撮影を行う。この為、カバー部材2及びカーボン板4は、被検者からの加重に耐え得る強度を持つことが必要とされる。一般に、カバー部材2に強度の高い材質を用いたり、厚みを増したりすることにより剛性を確保していた。また、カーボン板4は、補強板5等を用いてカーボン板4を固定することにより強度を増していた。
【0007】
カーボン板4を透過した放射線は、後方に配置されたグリッド部材6を通過することにより、被検者から乱反射した不要な散乱放射線が除去される。グリッド部材6は、グリッド単独または、グリッドを囲むように保持する枠体に入れられた構成を有するものである。グリッド部材6は、グリッド収納部材7により保持され、グリッド収納部材7は、フレーム部材3に固定されている。グリッド収納部材7は、グリッド部材6を、手前奥方向(紙面に対して垂直な方向)にスライドさせ、放射線画像撮影装置1の外に取り出すことを可能としている。カバー部材2の側面には、グリッド部材6の着脱を行う開口部が設けられ、放射線画像撮影装置1内へのグリッドの着脱や異なる仕様のグリッドへの交換が行われる。また、移動グリッド機構を有する撮影装置においては、グリッドを揺動する駆動部10がフレーム部材3に取り付けられる。グリッド部材6は、駆動部10からの作動力により、グリッド収納部材7のガイドに沿って揺動される。
【0008】
一方、近年グリッドを静止させたまま撮影を行い、グリッド縞の入った放射線情報を得て、その後の画像処理によりグリッド縞を消す手段も、新しい画像処理アルゴリズムの開発及び処理速度の高速化により実用されている。この静止グリッドを用いた撮影装置では、グリッド部材6をグリッド収納部材7の所定の位置に固定する位置決め手段が設けられる。グリッド部材6を透過した放射線は、放射線検出パネルが構成される放射線検出部8に入射して、デジタル情報に変換される。得られた信号は、画像処理手段に送られ、診断に使用される画像が生成される。
【0009】
また、一般の放射線画像撮影装置においては、従来、露光不足や露光過多を防止し、適切な濃度の画像を得る為、フォトタイマが使用されてきた。近年のデジタル撮影では、撮影後に濃度補正が行える為、露光量の調整という目的でのフォトタイマの必要性は薄れてきた。しかし、被検者への被曝低減が強く求められる昨今、過多の被曝を防ぐという目的で、フォトタイマの使用は、より重要性を増している。
【0010】
フォトタイマにより放射線照射を正しく制御する為には、フォトタイマの受光部で得られる線量と、放射線検出部8で得られる線量との相関性が高いことが必要である。この為、フォトタイマ受光部は、入射する放射線の減衰が大きいグリッドの後方に配置する必要がある。図6においては、グリッド部材6と放射線検出部8との間の空間9にフォトタイマが配置されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−154299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、放射線画像撮影装置に内蔵されるフォトタイマは、放射線の照射を制御するX線発生装置のメーカに応じて、また、同じメーカでも機種に応じて異なる仕様や形状のものが必要とされる。この為、フォトタイマの取り付け作業及びX線発生装置との接続調整は、放射線画像撮影装置の出荷段階では行うことができず、内部への取り付け作業は、現場にてエンジニアにより行われていた。前述のように、放射線画像撮影装置内におけるフォトタイマの取り付け位置は、グリッドの後方であり、フォトタイマを取り付ける為には、グリッド機構部品を一旦取り外す必要があった。これは、設置作業、及び、設置後のメンテナンス作業を煩雑にする要因となっていた。また、フォトタイマの取り付けに伴う部品の脱着が増えることで装置の耐久性および強度が低下しやすいという問題があった。
【0013】
また、医療装置は、病院や患者に迷惑や損害を与えないように、適切なメンテナンスにより故障を未然に防ぐことや、故障が生じた際は、迅速な復旧が必要とされる。上述したような放射線撮影装置1においては、画像取得の基幹部である放射線検出部8へのアクセス性や部品の交換容易性が重要である。従来は、放射線検出部8はグリッド機構部品およびフォトタイマ部品の後方に位置し、アクセスするには作業の工程が多く、ダウンタイムの短縮の妨げとなっていた。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、フォトタイマの取り付け作業や、内部部品の交換の作業性を改善する放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による放射線画像撮影装置は以下の構成を備える。すなわち、
放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部を保持するフレーム部材と、放射線の入射面を有するカバー部材とを有し、前記放射線検出部を内部に収納する筐体と、
前記カバー部材によって保持された、前記筐体の内部にグリッド部材を収納するグリッド収納部と、
前記カバー部材に入射した放射線の線量を測定するために放射線を受光するフォトタイマ受光部を、前記グリッド収納部に収納されたグリッド部材と前記放射線検出部の放射線の入射面との間に保持する固定部材であって、前記フレーム部材か前記カバー部材のいずれか一方に固定された固定部材と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フォトタイマの取り付け作業や、内部部品の交換の作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態の放射線画像撮影装置の縦断面図。
【図2】実施形態におけるグリッド収納部の説明図。
【図3】フォトタイマの配置状態を説明する図。
【図4】実施形態の変形例による放射線画像撮影装置の縦断面図。
【図5】実施形態の放射線画像撮影装置の説明図。
【図6】一般的な放射線画像撮影装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態のいくつかを説明する。
【0019】
図1〜図4は、第一の実施形態を示した図である。図1は、放射線画像撮影装置の縦断面図の構造図である。図1において、101は放射線画像撮影装置であり、図において右側が放射線の入射側である。放射線画像撮影装置101は、カバー部材102とフレーム部材103からなる筐体を備える。フレーム部材103は、立位撮影に供される場合、スタンドに固定され、臥位撮影に供される場合、テーブルに固定される為の取付部を有する。カバー部材102及びフレーム部材103はそれぞれ筐体の表面を形成する部材である。カバー部材102とフレーム部材103とは、締結部材104により、接続されている。筐体の内部には、グリッド部材105を着脱可能に収納するグリッド収納部106と、照射された放射線量を測定するフォトタイマ受光部107と、放射線像をデジタル化する放射線検出部108が配置される。
【0020】
カバー部材102は、X線透過性の優れたカーボン板109と、X線入射領域が四角に開口されたカバー枠体110から構成される。カバー枠体110の開口部の周囲4辺のそれぞれには、中央にネジ穴を有するボス部材111が、複数箇所ずつ設けられている。カーボン板109は、ボス部材111に相当する位置に穴が設けられており、周辺部がカバー枠体110の内壁に密着するように装着される。一方、カバー枠体110側面には、グリッド部材105を挿入する為のスリット形状の開口部(たとえば、図5(A)に示す開口部130)が設けられている。
【0021】
図2は、筐体内に収納されるグリッド収納部106を、後方(放射線入射の反対側)より見た平面図である。グリッド収納部106は、グリッド部材105を保持するグリッドガイド部材112と、グリッドの位置決めを行うロック機構部113、及び、イジェクト機構部114から構成される。
【0022】
グリッドガイド部材112は、コの字形のレール部112a、112bを上下の対向の位置に備え、挿入されるグリッド部材105を、図において左右方向にスライドすることが可能に保持する。グリッドガイド部材112の撮影エリアに相当する中央部は、四角形の開口部112cが設けられ入射した放射線を通過させる。
【0023】
ロック機構部113は、グリッド部材105が、105’で示す所定の位置まで挿入された時点で左右方向の移動を規制しロックする機能を有する。ロック機構部113は、例えば、リンク機構を用いて、ロック軸115が、グリッド部材105に設けられた凹み部に嵌まり込む構成を用いることができる。固定の解除には、例えば、外部よりシャフト116を押すとリンク部材117が回動してロック軸115を上方に移動させるような機構を用いることができる。
【0024】
イジェクト機構部114は、挿入されたグリッド部材105を排出する機能を有する。グリッド部材105の挿入により、スプリング118に弾性力が蓄えられ、グリッド部材105を図中の右方向へ付勢する。そして、ロック機構部113のロック軸115が解除されると、この付勢力によってグリッド部材105は排出される。このような構成により、グリッドの取り出しの利便性が向上する。
【0025】
グリッドガイド部材112の開口部112cの周囲には、カバー枠体110のボス部材111の位置に合致する穴112dを備える。この穴112dを用いて、締結部材119(図1)は、グリッドガイド部材112とカバー枠体110とを、カーボン板109を挟持した状態で結合する。
【0026】
上述の構造により、被検者による荷重が加わるカバー枠体110の開口部周囲には、グリッドガイド部材112の構造体の剛性が加わる。グリッドガイド部材112に、レール部112a、112bのような曲げ剛性に優れた形状を採用することにより、大幅な曲げ剛性の向上が可能である。また、カバー枠体110のこのような強度の向上は、荷重に対するカーボン板109のたわみ量を減少させ、構成部品の削減と合わせて、カーボン板109からグリッド部材105までの距離を縮めた配置を可能とする。これは、カーボン板109表面から放射線検出部108の検出面までの距離を縮めることを可能とし、幾何学的不鮮鋭(ボケ)の要因である放射線像の拡大率を抑える効果がある。
【0027】
また、これまでの説明では、カバー部材102をカーボン板109とカバー枠体110の2つの要素に分けた例で説明してきたが、これらを、放射線透過率の良い樹脂材料で一体成型で製作することも可能である。この場合にも、グリッドガイド部材112をカバー部材102に固定する構成により、一般に金属製カバーよりも剛性が劣ってしまう樹脂製カバーの剛性の向上を図ることができる。
【0028】
一方、フレーム部材103には、放射線検出部108が固定される。放射線検出部108は、放射線を検出するための検出面を有する放射線検出パネル123、検出面における放射線量を電気信号に変換するための電気基板125、放射線検出パネル123と電気基板125を支持する支持部材124を有する。放射線検出部108で得られた画像信号は、画像処理装置に送られ、診断用画像が生成される。
【0029】
放射線検出部108の検出面とグリッド部材105との間には、フォトタイマ固定部材127が設けられている。フォトタイマ固定部材127は、形状や厚みが異なる各種のフォトタイマ受光部が固定できるように、調整機構を有している。図3は本実施形態の放射線画像撮影装置101におけるフォトタイマ受光部107の配置を説明する図である。フォトタイマ受光部107は、図3に示すような位置に、フォトタイマ固定部材127により固定される。
【0030】
フォトタイマ受光部107は、前記カバー部材に入射した放射線の線量を測定するために放射線を受光する。フォトタイマ受光部107はカーボン板109により形成される放射線入射面と対向するように配置される。フォトタイマ受光部107には、放射線の線量を検出するべき領域である採光野1092を設定することが可能である。採光野1092に照射された放射線の線量(光量)は光電変換部1091で電気信号に変換され、蓄積される。光電変換部1091は、採光野1092に照射された放射線の線量の積算量が所定値を超えるとその旨の信号を出力する。光電変換部1091から出力されたこの信号は、放射線照射を停止するための制御、撮影完了の検出に利用される。
【0031】
以上のような構成の本実施形態による放射線画像撮影装置101において、ユーザが内部へのアクセスを行う場合は、締結部材104による接続を解除し、カバー部材102をフレーム部材103から分離する。グリッド収納部106及び挿入されているグリッド部材105は、カバー部材102の分離作業と同時に、カバー部材102と一体で取り除かれる。そして、残されるフレーム部材103の開口部の最上部に、フォトタイマ受光部107の取り付けスペースが露出する。これにより、容易にフォトタイマ受光部107の取り付け作業を行うことができる。また、放射線検出部108へのアクセスも容易となる。
【0032】
図4は、上述した第一の実施形態の変形例である。図1では、フォトタイマ固定部材127をフレーム側に配置したが、図4では、フォトタイマ固定部材128は、グリッド収納部106後方に設けてある。カバー部材102をフレーム部材103から分離すると、カバー部材102側に装着されたフォトタイマ受光部107が露出することになる。一方、フレーム部材103側の最上面には、放射線検出部108が露出する。これにより、フォトタイマの取り付けの簡便性は維持したまま、放射線検出部へのアクセス性を更に向上させることが可能である。
【0033】
以上説明したように、第一の実施形態によれば、グリッド収納部106が、カバー部材102と一体でフレーム部材から離間する構成としたことにより、フォトタイマの取り付けや交換作業が容易となり、設置やメンテナンスの作業性の向上が望める。また、図4の構成によれば、放射線画像撮影装置101の基幹部である放射線検出部108へのアクセスが容易となり、故障復旧のダウンタイムの更なる短縮が図れる。また、フォトタイマ受光部107の取り付け、交換作業に伴う締結部材104の脱着回数を減らすことで、装置の耐久性を向上させ、強度を保つことができる。また、グリッド部材105を収納するグリッド収納部106のグリッドガイド部材112によりカバー部材102が補強されるため、部品数を増やすことなく、筐体の剛性を向上することができる。また、筐体の剛性を向上しつつ、構造を簡素化しコストダウンを図ることができる。
【0034】
なお上述の例では、フォトタイマ受光部107は放射線検出部108の放射線入射面を覆う位置に配置されているが、放射線検出部108と筐体の側面との空隙に配置されることとしてもよい。要はフォトタイマ受光部107は放射線検出部108に近い位置で放射線検出部108に入射する放射線の線量を測定することができればよい。また固定部材は、前記フレーム部材と前記カバー部材と離間することで前記フォトタイマ受光部が取り外し可能となる位置に配置されていればよい。
【0035】
図5は、第二の実施形態の説明図である。グリッド収納部がカバー部材と一体で、放射線画像撮影装置101の本体から分離可能である点は、第一の実施形態と同様である。しかし、第二の実施形態では、分離したカバー部材102をフレーム部材103に取り付ける際、グリッド部材105の引き出し方向を変更する手段を有する点が異なる。
【0036】
放射線画像撮影装置101内に外部からグリッド部材105を挿入して収納する場合、側面からグリッドを出し入れする方式が操作上安全で簡便である。但し、この場合、放射線画像撮影装置101の側方に、グリッドを引き出す為のグリッド横寸法にほぼ等しい長さのスペースが必要とされる。ところが、設置場所である検査室の状況により、このスペースを確保することが難しい場合が生じていた。また逆に、スペースを確保する為に設置場所に制限が生じていた。そこで、第二の実施形態では、グリッド部材105の引き出し方向の変更を可能とし、放射線画像撮影装置の設置の自由度の向上を図る。
【0037】
図5(A)において、放射線画像撮影装置101の筐体は、カバー部材102とフレーム部材103とから構成され、締結部材104により接続されている。グリッド部材105は、放射線入射方向から見て左側面から開口部130を介して着脱が可能となっている。この状態から、締結部材104による接続を解除することにより、カバー部材102をフレーム部材103から分離する。第一の実施形態と同様の内部構成により、グリッド収納部及びグリッド部材105は、カバー部材102と一体でフレーム部材103から分離される。
【0038】
図5(B)のようにグリッド204の引き出し方向を向かって右側にする場合、分離したカバー部材102を図5(A)の状態に対して180度回転させて、カバー部材102をフレーム部材103に結合させる。あるいは、検診車のような左右方向ともにスペースの確保が困難な設置場所の場合は、図5(C)に示すように、グリッド部材105を上方または下方に引き出すように、カバー部材102を回転させてフレーム部材103に結合させる。ここで、カバー部材102とフレーム部材103とは、図5(A)〜(C)に示すいずれの態様でも接合できるように構成されている。また、カバー部材102とフレーム部材103との締結用の穴は、上記のように回転した状態でも合致する位置に設けてあり、カバー部材102とフレーム部材103はそれぞれの態様で締結部材104により固定される。なお、図5(C)のように上下方向に引き出す場合、グリッド内部のグリッド格子の配列方向が、左右方向に引き出す場合に対して、90度回転してしまう。しかしながら、このような事態に対しては、グリッド部材105において、グリッドを保持する枠に対して、グリッドを90度回転して取り付けることが可能な構成を採用することで対応できる。
【0039】
その他の実施形態として、筐体の側面からフォトタイマ受光部を交換可能とする。基本的な構成は上述の実施例と同様であるが、筐体の側面にカバー部材102およびフレーム部材103とは別の部材であって筐体表面を形成する着脱可能な部材を備える。筐体側面の当該部材を取り外すことでできる筐体の開口からフォトタイマ受光部107の固定部材127が露出する。また、当該開口からフォトタイマ受光部107とフォトタイマ固定部材127の接続を解除し、フォトタイマ受光部107を筐体から取り出し可能とする。
【0040】
このように、筐体の側面を形成する部材を分離することで前記フォトタイマ受光部が取り外し可能となる位置に配置されているため、フォトタイマ受光部107の脱着に伴う作業を効率化することができる。また、筐体のカバー部材102を脱着する場合に比べて、耐久性や強度を保つことができる。
【0041】
以上のように、上記各実施形態によれば、グリッド収納部材が、カバー部材と一体で離間する構成としたことにより、フォトタイマの取り付けや交換作業が容易となり、設置やメンテナンスの作業性が向上する。また、放射線画像撮影装置の基幹部である放射線検出部へのアクセスが容易となり、故障復旧のダウンタイムの短縮が図れる。さらに、構成する部品数を増やすことなく、筐体の剛性を向上することができる。また、グリッド部材を抜き差しするための開口部をフレーム部材に対して複数種類の方向に変更できるため、設置の容易性と共に、設置の自由度の向上を図ることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部を保持するフレーム部材と、放射線の入射面を有するカバー部材とを有し、前記放射線検出部を内部に収納する筐体と、
前記カバー部材によって保持された、前記筐体の内部にグリッド部材を収納するグリッド収納部と、
前記カバー部材に入射した放射線の線量を測定するために放射線を受光するフォトタイマ受光部を、前記グリッド収納部に収納されたグリッド部材と前記放射線検出部の放射線の入射面との間に保持する固定部材であって、前記フレーム部材か前記カバー部材のいずれか一方に固定された固定部材と、を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記固定部材は前記フレーム部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記フレーム部材とカバー部材とを、前記筐体を形成するように接続する締結手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記カバー部材には、外部から前記グリッド部材を前記グリッド収納部に挿入するための開口部が設けられ、
前記締結手段は、前記フレーム部材と前記カバー部材とを、前記筐体が形成されたときに前記開口部が異なる方向を向く複数種類の態様で接続を可能とすることを特徴とする請求項3に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記カバー部材の放射線の入射面はカーボン板により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記筐体には、外部から前記グリッド部材を前記グリッド収納部に挿入するための開口部が設けられ、
前記グリッド収納部は、前記開口部より挿入された前記グリッド部材をスライドさせて内部に導くガイド部材を有し、前記ガイド部材は前記カバー部材に装着されて前記カバー部材の強度を向上させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記カバー部材は、放射線の入射面を形成するカーボン板と、前記カーボン板の周辺部を固定して装着するカバー枠体とを有し、
前記カーボン板は、前記ガイド部材と前記カバー枠体とにより挟持し固定されることを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部を収納する筐体と、
線量を測定するためのフォトタイマ受光部を、前記筐体に固定する固定部材と、を有し、
前記固定部材は、前記筐体の表面を形成する部材を分離することで前記フォトタイマ受光部が取り外し可能となる位置に配置される
ことを特徴とする放射線画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−179108(P2012−179108A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42655(P2011−42655)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】