説明

放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル

本発明は、変性された無定形の不飽和ポリエステルからなる放射線硬化可能な、付着を改善する組成物、それらの製造方法並びに放射線硬化可能な系におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル、それらの製造方法並びに特に放射線硬化可能な接着剤及び被覆剤用の付着を改善する添加剤としてのそれらの使用に関する。
【0002】
放射線硬化可能な被覆剤は、近年のうちにますます重要性を増している、それというのも、これらの系の揮発性有機化合物(VOC)含量は少ないからである。これらの塗膜形成性成分は、被覆剤中で相対的に低分子量であり、故に低粘稠であるので、高い割合の有機溶剤が放棄されることができる。堅牢な被覆は、被覆剤の適用後に、高分子量のポリマーネットワークが例えば紫外線又は電子線により開始される架橋反応により形成されることによって得られる。ネットワーク形成の結果として体積収縮となり、これは文献において多様な基体上への放射線硬化可能な被覆剤の部分的に劣悪な付着の理由として記載される[Surface Coatings International Part A, 2003/06, p.221-228]。
【0003】
不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)は知られている。これらは飽和及び不飽和のジカルボン酸又はそれらの無水物とジオールとの縮合により製造される。それらの性質は、大体において出発物質の種類及び量比に依存する。
【0004】
重合できる二重結合のキャリヤーとして、たいていα,β−不飽和酸、まず第一にマレイン酸もしくはその無水物又はフマル酸が使用され;不飽和ジオールはあまり重要でない。二重結合の含量が多ければ多いほど、すなわち鎖状分子中の二重結合の間隔が短ければ短いほど、ポリエステル樹脂はより反応性になる。これは激しい熱発生及び高い体積収縮下に迅速に重合して、高度に架橋された、ひいては比較的脆い最終生成物となる。故にポリエステル分子中の反応できる二重結合は、飽和脂肪族又は芳香族のジカルボン酸の縮合導入により"希釈される"。アルコール成分として、直鎖状及び/又は分枝鎖状のジオールが使用される。個々のUP樹脂タイプは、それらの製造に使用される成分だけでなく、重合の際の架橋密度を決定する飽和酸対不飽和酸の量比、縮合度、すなわちモル質量、酸価及びOH価、すなわち鎖状分子中の末端基の種類、モノマー含量並びに添加剤の種類も相違する(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, VOL A21, p.217以降, 1992)。
【0005】
ジオール成分としてジシドール(Dicidol)をベースとするUP樹脂は、例えば、独国特許(DE)第953 117号明細書、独国特許(DE)第22 45 110号明細書、独国特許(DE)第27 21 989号明細書、欧州特許(EP)第0 114 208号明細書、欧州特許(EP)第0 934 988号明細書から知られている。
【0006】
付着を改善するための不飽和ポリエステル樹脂の使用は、例えば独国特許(DE)第24 09 800号明細書、欧州特許(EP)第0 114 208号明細書及び欧州特許(EP)第0 934 988号明細書から知られている。
【0007】
独国特許(DE)第953 117号明細書には、不飽和ジカルボン酸を、ヒドロキシル基が好都合には縮合環系の異なる環上に分布されている多環式の多価アルコールと反応させることにより特徴づけられる、不飽和ポリエステルの製造方法が記載されている。これらのポリエステルは、ビニル化合物、例えばスチレン、アルキルスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタレン及び酢酸ビニルと重合されることができ、その場合に接着しないフィルムがついで得られる。本発明において使用される異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物とは異なり、独国特許(DE)第953 117号明細書において単に、ジシドールに類似した、推定される構造を有する定義されていないジオールが使用される。さらにまた、そこでは場合により、単に1つの二重結合を有するが、しかしながらアクリル系二重結合を有しないビニル化合物が使用される。本発明においては、アクリル酸、メタクリル酸もしくはそれらの誘導体から誘導され、かつ特に好ましくは少なくとも2つのアクリル系二重結合を有する成分が、粘度を減少させるために使用される。独国特許(DE)第953 117号明細書に記載されたような芳香族ビニル化合物は、例えば、耐久特性、例えば風化安定性に不利な影響を及ぼしうるので、そのためにこれらは品質的に価値の高い接着剤及び/又は被覆剤において殆ど使用されない。幾つかの詳細な試験が示したように、さらに独国特許(DE)第953 117号明細書に記載されたような樹脂−ビニルモノマー−組成物を用いて、不粘着性の改善のみが達成されるに過ぎない。本発明において製造される化合物は、塗料又は接着剤の同じ粘度の場合の同時に改善される防食、より高い硬さ、改善される光沢及びポリマー含量並びに架橋されるポリマーの架橋の間の僅かな体積収縮及び良好な色彩安定性で被覆剤の付着が改善される点で優れている。
【0008】
独国特許(DE)第22 45 110号明細書には、赤外線を用いて硬化されることができ、かつ研削適性(Schleifbarkeit)、硬化特性及びスタック適性を改善するはずである塗膜を製造するための、不飽和ポリエステル、ビニルモノマー、活性剤及び添加剤からなるポリエステル材料が記載されている。独国特許(DE)第953 117号明細書に関してのコメントに加えて、本発明は、UV−もしくは電子線硬化する接着剤系及び被覆剤系に関与している。
【0009】
独国特許(DE)第27 21 989号明細書に記載された化合物は、アミノ樹脂との架橋のみを受け入れることができる。そこに記載されるポリエステル基本骨格は、専ら飽和の特徴を有する。放射線エネルギーにより導入されることができるフリーラジカル重合を介しての架橋は不可能である。さらにまた、独国特許(DE)第27 21 989号明細書において使用された高い割合のテレフタル酸が、耐久特性、例えば耐風化特性に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0010】
独国特許出願公開(DE-OS)第102 12 706号明細書、欧州特許(EP)第0 114 208号明細書並びに欧州特許(EP)第0 934 988号明細書において特許の保護が請求された樹脂は同様に、放射線硬化する被覆剤における使用に適していない。
【0011】
国際公開(WO)第89/07622号パンフレットには、例えば食品、例えばフルーツジュース、ソフトドリンク、ワイン等の包装のための、場合によりジシドールを含有していてよい、放射線に対して耐性のあるアクリルスチレン含有のポリエステル及びポリカーボネートが記載されている。本発明の基礎となる不飽和ポリエステルはアシルスチリル単位不含であり、かつさらにまた放射線硬化性である。
【0012】
同様に放射線架橋しない組成物が、独国特許(DE)第102 05 065号明細書に記載されている。そこで使用されるポリエステル樹脂は、本発明において使用されるビス(ヒドロキシメチル)トリシクロペンタジエン誘導体の代わりに、直接エステル化を受け入れることができないジシクロペンタジエンのみを含有するに過ぎない。これにより、特に耐圧性の、ひいては高価格の反応器が製造のために使用されなければならず、これは経済的な視点から推奨に値しない。
【0013】
独国出願(DE)第10 2004 031 759.3号には、アルコール成分中にジシドールを有する反応性希釈剤中の不飽和ポリエステルの溶液が記載されている。これらの不飽和ポリエステルは、専ら不飽和カルボン酸の二重結合を介して、放射線により誘導されて架橋することができる。そのような不飽和ポリエステルが放射線誘導された架橋反応に対して相対的に低い反応性を有し、そのためにポリマー骨格中に専ら不飽和ジカルボン酸を含有する不飽和ポリエステルの割合が、放射線硬化可能な被覆剤のためには経済的な理由から、例えば僅かな処理時間について、ますます逆行していることが知られている。さらにまた、極めて高い耐久性要求(例えば溶剤又は化学薬品に対して)を満たすポリマーネットワークを放射線誘導された架橋により得ることは、低い反応性に基づいて不可能である。本発明において特許の保護が請求されるような、放射線誘導される架橋反応に対する反応性を増大させるためのこれらのポリエステルの化学変性は、記載されていない。
【0014】
本発明の課題は、放射線硬化可能な接着剤及び被覆剤の性質、例えば被覆剤の付着を改善し、かつ同時に被覆の高い防食、高い硬さ、改善される光沢及び塗料の僅かな粘度並びに架橋の間のより少ない体積収縮を有する、付着を改善する組成物を見出すことであった。同時に、放射線誘導される架橋反応に対する反応性が極めて高いべきである。
【0015】
この課題は、特許請求の範囲によれば、本質的には
A)少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分からなる少なくとも1つの無定形の不飽和ポリエステル、その場合にアルコール成分は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物からなり、各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%になり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%含まれており;
及び
B)少なくとも1つのエチレン系不飽和基を、同時にA)に対して反応性の少なくとも1つの基と共に有する少なくとも1つの化合物
からなり、その場合に成分A)のOH基の2〜100モル%、好ましくは5〜100、特に好ましくは10〜100モル%が成分B)と反応される、
放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの使用により解決されることができることは意外であった。
【0016】
故に、本発明の対象は、本質的には
A)少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分からなる少なくとも1つの無定形の不飽和ポリエステル、その場合にアルコール成分は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物からなり、各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%となり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%含まれており;
及び
B)少なくとも1つのエチレン系不飽和基を、同時にA)に対して反応性の少なくとも1つの基と共に有する少なくとも1つの化合物
からなり、その場合に成分A)のOH基の2〜100モル%、好ましくは5〜100、特に好ましくは10〜100モル%が成分B)と反応される、
放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルである。
【0017】
本発明のさらなる対象は、本質的には
A)少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分からなる少なくとも1つの無定形の不飽和ポリエステル、その場合にアルコール成分は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物からなり、各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%となり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%含まれており;
及び
B)少なくとも1つのエチレン系不飽和基を、同時にA)に対して反応性の少なくとも1つの基と共に有する少なくとも1つの化合物
からなり、その場合に成分A)のOH基の2〜100モル%、好ましくは5〜100、特に好ましくは10〜100モル%が成分B)と反応される、
放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの、
被覆剤、接着剤、印刷インキ及びインキ、磨き剤、光沢剤(Lasuren)、顔料ペースト、パテ(Spachtelmassen)、化粧品及び/又はシーラント及び断熱材(Daemmstoffen)における主成分、ベース成分又は添加剤成分として、特に付着特性、光沢、耐溶剤性及び耐薬品性並びに硬さを改善するための、使用である。
【0018】
この組成物と、放射線硬化可能な被覆剤及び/又は接着剤及び/又はシーリング材の別の成分との万能の相溶性が存在することが明らかになった。例えば、本発明による組成物は、アクリル化されたポリエステル、ポリアクリラート、ポリエステルウレタン、エポキシアクリラート及び/又はポリエーテルアクリラート並びにアルキド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂及び/又は不飽和ポリエステルと混合されることができる。
【0019】
本発明による組成物は例えば、放射線硬化する被覆剤における結合剤として使用されることができ、かつラジカル重合により耐腐食性のある被覆を形成することができる。良好な付着及び架橋反応する可能性は、本発明による樹脂を防食のために運命付ける。付加的に、多様なプラスチック上への付着は改善される。そのうえ、付着の増加に加えて、その上にある及びその下にある境界層への中間層付着が改善される。そのうえ、本発明による添加剤を含有する被覆剤は、高い光沢及び良好なレベリング性に優れている。本発明による生成物の高い反応性に基づいて、硬化の間に高いベルト速度が必要である分野における使用が有利である。
【0020】
放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルは、特に放射線硬化する被覆剤、接着剤、ラミネート(Laminierungen)、印刷インキ及びインキ、磨き剤、光沢剤、顔料ペースト、パテ、化粧品、包装材料及び/又はシーラント及び断熱材において、特に付着特性及び硬さを改善するために使用される。その場合に、多様な下地(Untergruenden)、例えば金属、鉱物質下地、プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ABS、しかしまたガラス、紙、木材、セラミックへの極めて良好な付着特性が得られる。
【0021】
以下に、本発明による、変性された無定形の不飽和ポリエステルからなり、放射線硬化可能な、付着を改善する生成物がより詳細に記載される。
【0022】
成分A)の無定形の不飽和ポリエステル樹脂は、アルコール成分及び酸成分の反応により得られる。
アルコール成分として、本発明によれば、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物が使用され、その場合に各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%、好ましくは95〜100%となり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%存在している。ジシドール混合物の異性体含量は、定性的及び定量的に、例えばGC分析により、又は定量的に、分取GC又はHPLCを用いる分離及び引き続きNMR分光法により決定されることができる。ジシドールの9位の相応する全ての異性体はちょうど同じように適しているが、しかし前記の異性体の鏡像対称の理由で、並びにシス−及びトランス−異性体は、通常の実地に基づく状況下では識別不可能である。
そのうえ、ジシドール混合物は、ジシドールの別の異性体及び/又はシクロペンタジエンからのディールス−アルダー反応生成物の三量体及び/又はより高級の異性体のジオールを10%まで含有していてよい。好ましくは、アルコール成分は、ジシドール混合物20%、50%、好ましくは90%、特に好ましくは100%からなり、その場合にこれは特に好ましくは前記の3つの異性体化合物を95〜100%含有する。
【0023】
ジシドール混合物に加えて、アルコール成分は別の線状及び/又は分枝鎖状の、脂肪族及び/又は環式脂肪族及び/又は芳香族のジオール及び/又はポリオールを含有していてよい。好ましくは、付加的なアルコールとしてエチレングリコール、1,2−及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び/又はペンタエリトリトール並びにビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオールが使用される。
【0024】
無定形の不飽和ポリエステル樹脂は、出発酸成分として少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸を含有する。好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂は、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸及び/又はメサコン酸を含有する。
付加的に、芳香族及び/又は脂肪族及び/又は環式脂肪族のモノカルボン酸及び/又はジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、ピロメリト酸及び/又はトリメリト酸(無水物)も含まれていてよい。ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリメリト酸(無水物)及び/又はフタル酸(無水物)が好ましい。
【0025】
酸成分は部分的に又は完全に、無水物及び/又はアルキルエステル、好ましくはメチルエステルからなっていてよい。
【0026】
一般的に、アルコール成分は酸成分に対して0.5〜2.0対1のモル比で含まれており、好ましくは0.8〜1.5対1である。特に好ましくは、アルコール成分は酸成分に対して1.0〜1.1対1のモル比で反応される。
【0027】
無定形の不飽和ポリエステルは、1〜200mg KOH/g、好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜50mg KOH/gの酸価並びに1〜200mg KOH/g、好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜50mg KOH/gのOH価を有していてよい。
【0028】
放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルのガラス転移温度、Tgは、−30〜+100℃、好ましくは−20〜+80℃、特に好ましくは−10〜+60℃である。
【0029】
好ましい実施態様Iにおいて、不飽和ポリエステル(UP樹脂)は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物少なくとも90%、好ましくは95%、特に好ましくは100%を有するアルコール成分と、フマル酸及び/又はマレイン酸(無水物)とからなる。好ましいさらなる実施態様IIにおいて、ポリエステルは、Iのような前記の出発成分、しかし付加的にアジピン酸、ドデカン二酸又はフタル酸(無水物)から選択される別の酸を含有し、その場合にα,β−不飽和酸対付加的な酸の比は2対1〜1対4であってよい。約1対1〜1対2の比が好ましい。これらのポリエステルは、一般的に1〜200mg KOH/g、好ましくは1〜100mg KOH/g、特に好ましくは1〜50mg KOH/gの酸価、1〜200mg KOH/g、好ましくは1〜100mg KOH/g、特に好ましくは1〜50mg KOH/gのOH価及び−30〜+100℃、好ましくは−20〜+80℃、特に好ましくは−10〜+60℃のTgを有する。
【0030】
成分B)として適しているのは、単独で又は混合物での、(メタ)アクリル酸誘導体、例えば(メタ)アクリロイルクロリド、グリシジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及び/又はそれらの低分子アルキルエステル及び/又は無水物である。さらに適しているのはアミノアルキル(メタ)アクリラートもしくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートであり、それらのアルキルスペーサーは、炭素原子1〜12個、好ましくは2〜8個、特に好ましくは2〜6個を有する。
さらにまた適しているのは、エチレン系不飽和基を有するイソシアナート、例えば(メタ)アクリロイルイソシアナート、α,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアナート、炭素原子1〜12個、好ましくは2〜8個、特に好ましくは2〜6個を有するアルキルスペーサーを有する(メタ)アクリルアルキルイソシアナート、例えばメタクリルエチルイソシアナート、メタクリルブチルイソシアナートである。そのうえ、成分B)として、単独で又は混合物で、アミノアルキル(メタ)アクリラートもしくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、それらのアルキルスペーサーは炭素原子1〜12個、好ましくは2〜8個、特に好ましくは2〜6個を有する、及びジイソシアナート、例えばシクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、エチルシクロヘキサンジイソシアナート、プロピルシクロヘキサンジイソシアナート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トルイレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)メタン、プロパンジイソシアナート、ブタンジイソシアナート、ペンタンジイソシアナート、ヘキサンジイソシアナート、例えばヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)又は1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアナート、オクタンジイソシアナート、ノナンジイソシアナート、例えば1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサン又は1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン(TMDI)、ノナントリイソシアナート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアナート(TIN)、デカンジイソシアナート及びデカントリイソシアナート、ウンデカンジイソシアナート及びウンデカントリイソシアナート、ドデカンジイソシアナート及びドデカントリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチルシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソシアナトメチルメチルシクロヘキシルイソシアナート、2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−H−XDI)又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−H−XDI)からの反応生成物が有利であることが判明している。例として、ヒドロキシエチルアクリラート及び/又はヒドロキシエチルメタクリラートとイソホロンジイソシアナート及び/又はH12MDI及び/又はHDIとの1:1のモル比の反応生成物を挙げることができる。
【0031】
ポリイソシアナートの好ましい他のクラスは、単純なジイソシアナートの二量化、三量化、アロファナート化、ビウレット化及び/又はウレタン化により製造され、1分子あたり2つを上回るイソシアナート基を有する化合物、例えばこれらの単純なジイソシアナート、例えばIPDI、HDI及び/又はHMDIと多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール)もしくは多価ポリアミンとの反応生成物又は単純なジイソシアナート、例えばIPDI、HDI及びHMDIの三量化により得ることができるトリイソシアヌレートである。
【0032】
成分A)及びB)相互の比及び成分B)の種類に依存して、低ないし高官能性である化合物が得られる。出発物質の選択により、架橋されたフィルムの後の硬さの調節も可能である。例えば成分A)とα,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアナートとを1:2のモル比で反応させる場合には、(メタ)アクリルエチルイソシアナート及び/又はヒドロキシエチルアクリラート−ヘキサメチレンジイソシアナート−付加物を使用するよりも、より高い硬さの生成物が得られる;しかしながら、たわみ性はより低くなる。また、あまり立体障害性ではないエチレン系不飽和化合物 − 例えばヒドロキシエチルアクリラート − の反応性は、立体障害性であるそのような化合物、例えばα,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアナートの場合よりも、より高いことが明らかになった。
【0033】
成分A)及びB)からなる生成物は、希釈剤中に溶解されていてもよい。その場合に、放射線誘導された架橋反応に関与されることができる希釈剤が好ましい(いわゆる反応性希釈剤又は反応希釈剤)。
【0034】
好ましい反応性希釈剤は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、メタクリル酸及び/又はアクリル酸のC1〜C40−アルキルエステル及び/又はシクロアルキルエステル、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、1,2−エポキシブチルアクリラート、1,2−エポキシブチルメタクリラート、2,3−エポキシシクロペンチルアクリラート、2,3−エポキシシクロペンチルメタクリラート並びに類似したアミドであり、その場合にスチレン及び/又はその誘導体も副次的な程度で添加されていてよい。
【0035】
フェノキシエチルアクリラート、エトキシエチルアクリラート、イソデシルアクリラート及びイソボルニルアクリラートが特に好ましい。
【0036】
放射線反応性の溶剤(反応性希釈剤)の好ましい別のクラスは、ジアクリラート、トリアクリラート及び/又はテトラアクリラート及びそれらのメタクリル類似体であり、これらは、形式的にアクリル酸もしくはメタクリル酸及びアルコール成分の反応生成物から水が脱離して得られる。このために一般に使われるアルコール成分として、例えばエチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビス−(1,4−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(シクロヘキサンジメタノール)、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,4−及び2,3−ブチレングリコール、ジ−β−ヒドロキシエチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス−[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2−メチルプロパンジオール−1,3、2−メチルペンタンジオール−1,5、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンジオール−1,6、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、マンニトール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、キシリレングリコール又はヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステルが、単独で又は混合物で使用される。
【0037】
しかしながら、単独で又は混合物での、ジプロピレングリコールジアクリラート(DPGDA)及び/又はトリプロピレングリコールジアクリラート(TPGDA)、ヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)が特に好ましい。
【0038】
しかし一般的に、文献において放射線硬化可能な塗料に適しているとして挙げられた全ての反応性希釈剤が使用されることができる。
【0039】
本発明による組成物は、助剤及び添加剤、例えば防止剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素スカベンジャー及び/又はラジカルスカベンジャー、触媒、光安定剤、カラーブライトナー(Farbaufheller)、光増感剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤(Hautverhinderungsmittel)、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、難燃剤、内部離型剤、充填剤及び/又は噴射剤も含有していてよい。
【0040】
本発明による組成物は、一段階又は多段階の運転方式において出発酸及び出発アルコールの(半)連続的又は不連続的なエステル化及び縮合により製造される。ついで、ポリエステルA)と成分B)との反応が行われる。その場合に、反応はメルト中又は適した反応性希釈剤の溶液中で行われることができる。
【0041】
本発明の対象は、本質的には
A)少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分からなる少なくとも1つの無定形の不飽和ポリエステル、その場合にアルコール成分は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物からなり、各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%となり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%含まれており;
及び
B)少なくとも1つのエチレン系不飽和基を、同時にA)に対して反応性の少なくとも1つの基と共に有する少なくとも1つの化合物
からなる、放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルを、
成分A)の製造のための出発成分を150〜270℃の温度で、好ましくは不活性ガス雰囲気中で反応させ、その場合に不活性ガスは50ppm未満の酸素含量を有し、引き続いて成分B)と、メルト中又は適した反応性希釈剤の溶液中で20〜230℃、好ましくは40〜200℃、特に好ましくは50〜180℃の温度で反応させる
ことによって、製造する方法でもある。
【0042】
実施例
次の例は、本発明をさらに説明するが、しかしそれらの使用範囲を限定するものではない:
出発成分 ほぼ1:1:1の異性体比のジシドール混合物。
【0043】
例1
ドデカン二酸及びフマル酸(比0.6:0.4)を、ジシドールと比1:1.05で、180℃で窒素雰囲気中で、24mg KOH/gの酸価及び34mg KOH/gのOH価に達するまで反応させる。このためには、まず最初にフマル酸をジシドールで1時間にわたってエステル化し、ついでドデカン二酸を添加する。この樹脂を、TPGDA中に50%濃度で溶解させる。ついで、ポリエステルのOH基を、ヒドロキシエチルアクリラート及びイソホロンジイソシアナートからなる1:1−付加物と、50℃でジブチルスズジラウラート0.1%の存在で、0.1%未満のNCO価に達するまで反応させる。ついで、ポリマー含量をTPGDAで50%に調節する。
n 約2 600g/mol、Mw 約6 900g/mol、動的粘度:3 480mPa s。
【0044】
使用例
ベース樹脂(UV 20)として、TPGDA中に70%濃度で溶解され、粘度23℃=20.9Pa sの、トリメチロールプロパン、イソホロンジイソシアナート、Terathane 650並びにヒドロキシエチルアクリラートからなる付加物を利用した。
【0045】
【表1】

【0046】
樹脂溶液A及びBに、Darocur 1173(Ciba Specialty Chemicals、固体樹脂に対して1.5%)を供し、ナイフを用いてガラスプレート上並びにボンダーパネル(Bonderbleche)及び多様なプラスチック上に塗布した。ついで、フィルムを紫外線(水銀−中圧−ランプ、70W/光学フィルター 350nm)を用いて約16秒間硬化させた。予め可溶性のフィルムは、もはやメチルエチルケトン中に可溶でない。
【0047】
【表2】

【0048】
多様な基体上のクロスカット試験(DIN EN ISO 2409、改)
【表3】

0=剥がれなし;5=完全な付着損失
ABS:(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)−ターポリマー
ET:エリクセン深さ(DIN EN ISO 1520、改)
HK:ケーニッヒによる振り子硬さ(DIN EN ISO 1522、改)
PC:ポリカーボネート
PE:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
PS:ポリスチレン
SD:層厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に、
A)少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分からなる少なくとも1つの無定形の不飽和ポリエステル、その場合にアルコール成分は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物からなり、各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%となり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%含まれており;
及び
B)少なくとも1つのエチレン系不飽和基を、同時にA)に対して反応性の少なくとも1つの基と共に有する少なくとも1つの化合物
を含有し、
かつ成分A)のOH基の2〜100モル%が成分B)と反応される、放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項2】
ジシドールの別の異性体及び/又はシクロペンタジエンからのディールス−アルダー反応生成物の三量体及び/又はより高級の異性体のジオールが10%まで含まれている、請求項1記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項3】
酸成分が付加的に、芳香族及び/又は脂肪族及び/又は環式脂肪族のモノカルボン酸及び/又はジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸を含有する、請求項1から2までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項4】
酸成分が部分的に又は完全に、無水物及び/又はアルキルエステルからなる、請求項1から3までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項5】
アルコール成分が、別の線状及び/又は分枝鎖状の、脂肪族及び/又は環式脂肪族及び/又は芳香族のジオール及び/又はポリオールを含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項6】
α,β−不飽和ジカルボン酸として、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸及び/又はメサコン酸が含まれている、請求項1から5までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項7】
付加的な酸として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピロメリト酸及び/又はトリメリト酸、それらの酸無水物及び/又はメチルエステル並びにイソノナン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸が含まれている、請求項1から6までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項8】
付加的なアルコールとして、エチレングリコール、1,2−及び/又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−及び/又は1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び/又はペンタエリトリトール、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール及び1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオールが含まれている、請求項1から7までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項9】
アルコール成分の少なくとも20%が、請求項1又は2記載の異性体からなる、請求項1から8までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項10】
アルコール成分の少なくとも50%が、請求項1又は2記載の異性体からなる、請求項1から9までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項11】
アルコール成分の少なくとも90%が、請求項1又は2記載の異性体からなる、請求項1から10までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項12】
アルコール成分の100%が、請求項1又は2記載の異性体からなる、請求項1から11までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項13】
α,β−不飽和酸成分として、フマル酸及び/又はマレイン酸(無水物)が含まれている、請求項1から12までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項14】
別のジカルボン酸成分として、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、トリメリト酸(無水物)及び/又はフタル酸(無水物)が含まれている、請求項1から13までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項15】
アルコール成分が酸成分に対して0.5〜2.0対1のモル比で含まれている、請求項1から14までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項16】
アルコール成分が酸成分に対して0.8〜1.5対1のモル比で含まれている、請求項1から15までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項17】
アルコール成分が酸成分に対して1.0〜1.1対1のモル比で含まれている、請求項1から16までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項18】
1〜200mg KOH/gの酸価を有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項19】
1〜200mg KOH/gのOH価を有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項20】
成分B)として(メタ)アクリル酸及び/又はそれらの誘導体が使用されている、請求項1から19までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項21】
成分B)として(メタ)アクリロイルクロリド、グリシジル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及び/又はそれらの低分子アルキルエステル及び/又は無水物並びにアルキルスペーサーが炭素原子1〜12個を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートが単独で又は混合物で使用されている、請求項20記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項22】
成分B)としてエチレン系不飽和基を有するイソシアナート、好ましくは(メタ)アクリロイルイソシアナート、α,α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアナート、炭素原子1〜12個を有するアルキルスペーサーを有する(メタ)アクリルアルキルイソシアナート、好ましくはメタクリルエチルイソシアナート、メタクリルブチルイソシアナートが使用されている、請求項1から21までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項23】
成分B)として、アルキルスペーサーが炭素原子1〜12個を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートと、ジイソシアナートとからの反応生成物が使用されている、請求項1から22までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項24】
シクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、エチルシクロヘキサンジイソシアナート、プロピルシクロヘキサンジイソシアナート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、トルイレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニル)メタン、プロパンジイソシアナート、ブタンジイソシアナート、ペンタンジイソシアナート、例えばヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン(MPDI)、ヘプタンジイソシアナート、オクタンジイソシアナート、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン(TMDI)、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアナート(TIN)、デカンジイソシアナート及びデカントリイソシアナート、ウンデカンジイソシアナート及びウンデカントリイソシアナート、ドデカンジイソシアナート及びドデカントリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ビス(イソシアナトメチルシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソシアナトメチルメチルシクロヘキシルイソシアナート、2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン(1,3−H−XDI)、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4−H−XDI)から選択されるジイソシアナートが単独で又は混合物で使用されている、請求項23記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項25】
単純なジイソシアナートの二量化、三量化、アロファナート化、ビウレット化及び/又はウレタン化により製造されるポリイソシアナートが使用されている、請求項24記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項26】
成分B)として、ヒドロキシエチルアクリラート及び/又はヒドロキシエチルメタクリラートとイソホロンジイソシアナート及び/又はH12MDI及び/又はHDI及び/又はTMDIとの1:1のモル比の反応生成物が使用される、請求項1から25までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項27】
成分A)のOH基の5〜100モル%が成分B)と反応される、請求項1から26までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項28】
反応性希釈剤が使用されている、請求項1から27までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項29】
反応性希釈剤として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、メタクリル酸及び/又はアクリル酸のC1〜C40−アルキルエステル及び/又はシクロアルキルエステル、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、1,2−エポキシブチルアクリラート、1,2−エポキシブチルメタクリラート、2,3−エポキシシクロペンチルアクリラート、2,3−エポキシシクロペンチルメタクリラート並びに類似したアミド及び/又はスチレン及び/又はそれらの誘導体が、単独で又は混合物で含まれている、請求項1から28までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項30】
反応性希釈剤として、フェノキシエチルアクリラート、エトキシエトキシエチルアクリラート、イソデシルアクリラート及びイソボルニルアクリラートが単独で又は混合物で含まれている、請求項1から29までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項31】
反応性希釈剤としてジアクリラート、トリアクリラート及び/又はテトラアクリラート及びそれらのメタクリラート類似体が、単独で又は混合物で含まれている、請求項1から30までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項32】
反応性希釈剤として、エチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、1,3−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ビス−(1,4−ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(シクロヘキサンジメタノール)、グリセリン、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ビスフェノールA、B、C、F、ノルボルニレングリコール、1,4−ベンジルジメタノール、1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、1,4−及び2,3−ブチレングリコール、ジ−β−ヒドロキシエチルブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス−[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2−メチルプロパンジオール−1,3、2−メチルペンタンジオール−1,5、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンジオール−1,6、ヘキサントリオール−1,2,6、ブタントリオール−1,2,4、トリス−(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、マンニトール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、キシリレングリコール又はヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステルのジアクリラート、トリアクリラート及び/又はテトラアクリラート及びそれらのメタクリラート類似体が単独で又は混合物で含まれている、請求項1から31までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項33】
ジプロピレングリコールジアクリラート及び/又はトリプロピレングリコールジアクリラート、ヘキサンジオールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラートが単独で又は混合物で含まれている、請求項1から32までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項34】
助剤及び添加剤が含まれている、請求項1から33までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項35】
防止剤、水及び/又は有機溶剤、中和剤、界面活性物質、酸素スカベンジャー及び/又はラジカルスカベンジャー、触媒、光安定剤、カラーブライトナー、光増感剤、チキソトロープ剤、皮張り防止剤、消泡剤、帯電防止剤、増粘剤、熱可塑性添加剤、染料、顔料、難燃剤、内部離型剤、充填剤及び/又は噴射剤から選択される助剤及び添加剤が含まれている、請求項1から34までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項36】
アルコール成分が、請求項1及び/又は請求項2記載のジシドール混合物少なくとも90%からなり、かつフマル酸及び/又はマレイン酸(無水物)が0.9〜1.1対1のジオール/酸比で含まれている、請求項1から35までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項37】
付加的にドデカン二酸、アジピン酸及び/又はフタル酸(無水物)が酸成分として、3対1〜1対4のα,β−不飽和酸対付加的な酸の比で含まれている、請求項1から36までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステル。
【請求項38】
放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの製造方法であって、本質的には
A)少なくとも1つのα,β−不飽和ジカルボン酸成分及びアルコール成分からなる少なくとも1つの無定形の不飽和ポリエステル、その場合にアルコール成分は、異性体化合物3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及び5,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのジシドール混合物からなり、各異性体は20〜40%の割合で前記混合物中に含まれていてよく、かつ3つの異性体の総和は90〜100%となり、かつ前記混合物はポリエステルのアルコール成分中に少なくとも5%含まれており;
及び
B)少なくとも1つのエチレン系不飽和基を、同時にA)に対して反応性の少なくとも1つの基と共に有する少なくとも1つの化合物
からなる反応生成物を含有し、
成分A)の製造のための出発成分を150〜270℃の温度で、場合により不活性ガス雰囲気中で反応させ、その場合に前記不活性ガスは50ppm未満の酸素含量を有し、引き続いて成分B)と、メルト中又は適した(反応性)希釈剤の溶液中で20〜230℃の温度で場合により適した触媒の存在で反応させることによって、放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルを製造する方法。
【請求項39】
放射線硬化可能な系における、請求項1から37までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの使用。
【請求項40】
被覆剤、接着剤、ラミネート、印刷インキ及びインキ、磨き剤、光沢剤、顔料ペースト、パテ、化粧品、包装材料及び/又はシーラント及び断熱材における主成分、ベース成分又は添加剤成分としての、請求項1から37までのいずれか1項記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの使用。
【請求項41】
被覆剤、接着剤、ラミネート、印刷インキ及びインキ、磨き剤、光沢剤、顔料ペースト、パテ、化粧品、包装材料及び/又はシーラント及び断熱材における主成分、ベース成分又は添加剤成分としての、特に粘度特性及び付着特性、光沢、レベリング性、耐溶剤性及び耐薬品性並びに硬化速度、硬さ及び耐腐食性の改善のための、請求項40記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの使用。
【請求項42】
水及び/又は溶剤を含有するか又は有機溶剤及び/又は水を含まない放射線硬化可能な被覆剤における、放射線硬化可能な、付着を改善する添加剤としての、請求項41記載の放射線硬化可能に変性された無定形の不飽和ポリエステルの使用。

【公表番号】特表2008−516065(P2008−516065A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536131(P2007−536131)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054021
【国際公開番号】WO2006/040210
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】