放射線計測システムの製造方法
【課題】放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムの構築方法に関し、特に、このような放射線計測システムを構成する複数の技術的構成要素を一体化してビルドアップする放射線計測システムの製造方法を提供する。
【解決手段】(a)放射線計測システムを構成する計測基板の回路パターンを含む回路構成及び液材吐出機構の位置を、位置調整機構によって調整するステップと、(b)前記液材吐出機構から絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を吐出させて前記計測基板上に塗布することにより、前記放射線計測システムにおける絶縁パターン及び導電性パターンを生成するステップと、の各ステップを含むことを特徴とする。
【解決手段】(a)放射線計測システムを構成する計測基板の回路パターンを含む回路構成及び液材吐出機構の位置を、位置調整機構によって調整するステップと、(b)前記液材吐出機構から絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を吐出させて前記計測基板上に塗布することにより、前記放射線計測システムにおける絶縁パターン及び導電性パターンを生成するステップと、の各ステップを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムの構築方法に関し、特に、このような放射線計測システムを構成する複数の技術的構成要素を一体化してビルドアップする放射線計測システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムにおいては、放射線を電気信号に変える媒体(ガス、半導体等)、電気信号を検出する部分(鏡面電荷収集用電極)、電気信号処理を行う電気回路(集積回路、トランジスタ等)等の複数の技術的構成要素によって構築されており、計測対象となる放射線、粒子線を媒体に入射させたときに生じる電気信号(鏡面電荷)を鏡面電荷収集用電極によって検出すると共に、電気回路により電気信号のフィルタリング処理と増幅処理を行い、放射線及び/又は粒子線計測信号を出力するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の放射線計測システムの構築においては、半導体プロセス、プリント配線多層基板、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなど、複数の製造技術と結合技術を駆使して、放射線を電気信号に変えるガス、半導体などの媒体、電気信号を検出する鏡面電荷収集用電極、電気信号処理を行う集積回路、トランジスタなどの電子デバイスを個別に製造した後、これらの各要素を一体化する手法により放射線計測システムを構築している。
【0004】
このような従来の射線計測システムの構築方法においては、製造対象となる各要素毎の製造技術の中から、最適な製造技術を選択して各要素を個別に製造しなければならず、次に述べるような種々の技術的な問題があった。すなわち、
(1)エッチングの製造方法では、ミクロンメートル(μ)サイズオーダーのパターン形成を行うことができるものの、1度の露光で、ミリメートル(m)サイズオーダーのパターンを製造できないことから、数十μのサイズの読み出し電極を持つ放射線計測システムを設計し、これをミリメートルサイズの計測システムへ拡張する揚合、複数の技術を使用しなくてはならない。この際、拡張化の方法が無数にあり、煩雑であるため、仕様に対する最適化が困難であった。
(2)このように、放射線計測システムを拡張する方法の最適化が困難であることから、システム化に多大のコストを要し、さらには多数のコネクタなどを使用しなければならず、小型化及び低コスト化が困難であった。
(3)放射線計測システムは大量生産するものではなく、需要が少ないことから、少量多品種製造になってしまい、高価であった。
(4)鏡面電荷収集用電極、プリント基板配線の製造などにおいては、ガス、化学薬品を使用したエッチングを行っていることから、廃液処理等のコストが生じていた。
(5)エッチング技術を使用した製造方法は、光学系を通し、パターンを転写し製造を行うことから、平面上にしか所望のパターンを製造することができないという問題があった。
(6)エッチング技術を使用した製造方法は、パターンをプリント基板などの構造体に転写し、薬品を使用してパターンを現像した後でなければ、構造体に転写されたパターンを目視することができないので、現像後では、構造体に転写されたパターンを容易に修正できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の従来の種々の課題に鑑みてなされたものであって、例えば、電気装置をディスクリート部品を一つ一つ組み合わせて構成するのではなく集積回路のように一体化して製作するように、放射線計測システムの一体化ビルドアップ方法であって、高精細、大型の放射線計測システムを安価に製造することができると共に、コネクタ、ケーブル、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ計測基板上のスペースを有効利用することができ、また絶縁パターン、導電性パターンを製造している途中で、これら絶縁パターン、導電性パターンを容易に修正することができる放射線計測システムの製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、また、高精細、大型の放射線計測システムを安価に製造することができると共に、コネクタ、ケーブル、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ計測基板上のスペースを有効利用することができ、また絶縁パターン、導電性パターンを製造している途中で、これら絶縁パターン、導電性パターンを容易に修正することができ、さらに絶縁パターン、導電性パターンの製造精度を高くすることができる放射線計測システムの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
本発明は、さらに、3次元の絶縁パターン、導電性パターンの製造と、集積回路チップなどの電子デバイスと計測基板との接続を容易にすることができる放射線計測システムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、放射線計測システムの製造方法であって、(a)放射線計測システムを構成する計測基板の回路パターンを含む回路構成及び液材吐出機構の位置を、位置調整機構によって調整するステップと、(b)前記液材吐出機構から絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を吐出させて前記計測基板上に塗布することにより、前記放射線計測システムにおける絶縁パターン及び導電性パターンを生成するステップと、の各ステップを含むことを特徴とする放射線計測システムの製造方法を提供するものである。
【0009】
ここで、前記ステップ(b)は、前記液材吐出機構と対応するように設置した撮像手段によって、(b−1)前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び前記導電性材料の液材を撮影するステップと、(b−2)前記撮影により得られた画像を処理して前記位置調整機構の制御を調整するステップと、を含む、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る放射線計測システムの製造方法は、さらに、(c)前記液材吐出機構と対応するように設置したレーザー光出射機構からレーザー光を出射するステップと、(d)前記液材吐出機構から吐出されて、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材、または導電性材料の液材を硬化させるステップと、を、さらに含むことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記ステップ(b)は、前記液材吐出機構から吐出する絶縁材料の液材、導電性材料の液材の粘度、揮発度及び吐出量を調整しつつ前記液材吐出機構から吐出し、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を立体化して形成するステップを含む。
【0012】
そして、前記ステップ(b)は、さらに、前記液材吐出機構から液状の収縮性接着剤を吐出し、前記計測基板上に塗布した後、前記計測基板上に塗布した収縮性接着剤上に電子材料及び他の基板を載置して前記計測基板と結合するステップを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
これにより、本発明は、従来、半導体プロセス、プリント配線多層基板、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなど、複数の製造技術と結合技術を駆使して、放射線を電気信号に変えるガス、半導体などの媒体、電気信号を検出する鏡面電荷収集用電極、電気信号処理を行う集積回路、トランジスタなどの電子デバイスを個別に製造していた放射線計測システムの製造方法を、これらの各要素を一体化する手法により放射線計測システムを構築することを可能にしたのである。そして、本放射線計測システムの製造方法においては、高精細、大型の放射線計測システムを安価に製造すると共に、コネクタ、ケーブル、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ計測基板上のスペースを有効利用することができ、また絶縁パターン、導電性パターンを製造している途中で、これら絶縁パターン、導電性パターンを容易に修正することを実現したのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による放射線計測システムの製造方法の第1実施の形態で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明による放射線計測システムの製造方法で作成する計測基板の一例を示す側面図である。
【図3】図1に示す液材吐出機構、計測基板の移動方向例を示す概略斜視図である。
【図4】図1に示す制御装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明による放射線計測システムの製造方法の手順例を示すフローチャートである。
【図6】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された電荷収集用1次元電極の一例を示す概略斜視図である。
【図7】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された電荷収集用2次元電極の一例を示す概略斜視図である。
【図8】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された画素取り込み用2次元ピクセル電極の一例を示す概略斜視図である。
【図9】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された立体配線の一例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された空中配線の一例を示す概略斜視図である。
【図11】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用されたバンプ接続用パッド電極の一例を示す概略斜視図である。
【図12】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された小型ベッセルの一例を示す概略斜視図である。
【図13】本発明による放射線計測システムの製造方法の第2実施の形態で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【図14】図13に示す制御装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図15】図13に示す液材吐出機構、計測基板の移動方向例、CCD撮像手段の撮影方向例を示す概略斜視図である。
【図16】本発明による放射線計測システムの製造方法の第3実施の形態で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【図17】図16に示す制御装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図18】図13に示す液材吐出機構、計測基板の移動方向例、レーザー光出射機構のレーザー光出射方向例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による放射線計測システムの製造方法で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【0016】
図1に示す描画システムは、放射線計測システムで使用する計測基板のX−Y位置を決めるX−Yテーブルと、X−Yテーブルの上方に配置され、インクジェット方式で、絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出し、計測基板上に塗布する液材吐出機構と、液材吐出機構のX−Y位置を決めるX−Y位置決め機構と、入力された設計データに基づき、X−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構を制御して、計測基板上に絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出させ、液材パターン(絶縁パターン、導電性パターンとなる液材のパターン)などを描画する制御装置とを備えており、入力された設計データに基づき、制御装置によって、X−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構を制御し、計測基板上に、絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出させて、図2に示すように放射線計測システムで使用する計測基板上の鏡面電荷収集エリア、電子回路エリアなどに、鏡面電荷収集電極、配線、電子回路電極などとなる液材パターンを描画する。
【0017】
X−Yテーブルは、ミクロンオーダーの精緻なパターンを製造に対応する大きさに形成する、板状の固定板と、固定板上に水平移動自在に配置する可動板と、固定板に設置され、制御装置から供給する位置指示データに応じて、X側ステッピングモータ、Y側ステッピングモータ、ボールねじ機構(図示は省略する)などを動作させ、可動板上にセットされた計測基板のX−Y位置を調整する駆動ユニットとを備えており、制御装置から供給する位置指示データに応じて、図3に示すように可動板をX方向、またはY方向に移動させ、可動板上にセットされた計測基板のX−Y位置を調整する。
【0018】
また、液材吐出機構は、X−Yテーブルの上方に配置され、制御装置から供給する吐出指示データに応じて、図3に示すようにインクジェット方式で、1種類以上の絶縁材料、1種類以上の導電性材料などの各液材を吐出し、計測基板上に塗布する複数のインクジェットノズルと、1種類以上の絶縁材料タンク、1種類以上の導電性材料タンクから各絶縁材料、各導電性材料などの各液材を汲み出し、各インクジェットノズルに各々及び供給する複数の液材供給パイプを備えており、制御装置から供給する吐出指示データに応じて、1種類以上の導電性材料タンク、1種類以上の導電性材料タンクから供給する各導電性材料、各導電性材料などの各液材をインクジェットノズルから吐出し、計測基板上に塗布する。
【0019】
この場合、各絶縁材料は、赤外線などの熱線、あるいは熱風などで加熱されたとき、揮発する水、アルコール、溶媒などの液体と、絶縁特性を持つ樹脂材料をナノレベルまで微細化させた無数の絶縁粒体と、各絶縁粒体を液体中に分散する添加剤とを混合した液材であり、各絶縁材料毎に、指定された粘度特性、揮発特性になるように、添加剤の種類が調整すると共に、液体、絶縁粒体、添加剤の混合比率が調整する。
【0020】
また、各導電性材料は、赤外線などの熱線、あるいは熱風などで加熱されたとき、揮発する水、アルコール、溶媒などの液体と、導電特性を持つ金属材料をナノレベルまで微細化させた無数の導電性粒体と、各導電性粒体を液体中に分散する添加剤などとを混合した液材であり、各導電性材料毎に、指定された粘度特性、揮発特性になるように、添加剤の種類が調整すると共に、液体、導電性粒体、添加剤の混合比率が調整する。
【0021】
また、X−Y位置決め機構は、X−Yテーブルから所定距離だけ離間されて配置する固定ブロックと、固定ブロックの下面側に水平移動自在に配置され、下面に液材吐出機構が固定する可動ブロックと、固定ブロックに設置され、制御装置から供給する位置指示データに応じて、X側ステッピングモータ、Y側ステッピングモータ、ベルト機構(または、ボールねじ機構)などを動作させて、可動ブロックをX方向、またはY方向に移動させ、液材吐出機構のX−Y位置を調整する駆動ユニットとを備えており、制御装置から供給する位置指示データに応じて、図3に示すように可動ブロックをX方向、またはY方向に移動させ、液材吐出機構に設けられた各インクジェットノズルのX−Y位置を高精度に調整する。
【0022】
また、制御装置は、図4に示すようにマイクロコンピュータなどによって構成され、インストールされたプログラムに基づき、各種のデータ処理などを行う処理基板と、複数のキーを持ち、これら各キーの操作内容に応じたキー信号を生成して、処理基板に供給する操作パネルと、処理基板から供給する表示データを画面表示する表示器と、記録媒体などに記録された設計データを取り込み、処理基板に供給する記録媒体ドライブユニットと、処理基板とX−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構との間のデータ授受をサポートする複数のインタフェースユニットとを備えており、操作パネルの操作内容、記録媒体ドライブユニットにセットされた記録媒体から読み出した設計データなどに基づき、X−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構を制御して、計測基板上に絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出させて、鏡面電荷収集電極、配線、電子回路電極などとなる液材パターンを描画する。
【0023】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、描画システムを使用した放射線計測システムの製造方法を説明する。
【0024】
まず、チップ配置データなどの設計データが記録された記録媒体がチップマウンター装置などにセットされて、放射線計測システムに必要な集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスのうち、上面側にも電極を有する各電子デバイスがベース板(計測基板の元になる板)上に取り付けられる。
【0025】
そして、チップマウンター装置などによって、各電子デバイスの取り付けが完了したとき、操作員によって、チップマウンター装置などから各電子デバイスの取り付けが完了した計測基板(各電子デバイスの取り付けが完了したベース板)が取り外する。
【0026】
次いで、操作員によって、制御装置の記録媒体ドライブユニットに、鏡面電荷収集電極データ、配線データなどの設計データが記録された記録媒体がセットされ、制御装置の操作パネルが操作され、計測基板のセット要求が入力されたとき、制御装置の処理基板によって、X−Yテーブルが制御されて、X−Yテーブルの可動板が基板セット位置、例えば固定板の手前側の左隅に移動させられて、静止させられる。
【0027】
この状態で、操作員によって、X−Yテーブルの可動板上に、計測基板(各電子デバイスの取り付けが完了したベース板)が載せられて、可動板に固定する。
【0028】
次いで、制御装置の操作パネルが操作され、加工開始指示が入力されたとき、制御装置の処理基板によって、記録媒体ドライブユニットセットされた記録媒体から設計データが読み出されて、この設計データに基づき、X−Yテーブルが制御されて、X−Yテーブルの可動板がX方向、Y方向に移動させられ、計測基板の描画対象エリア(鏡面電荷収集エリアの一部、または電子回路エリアの一部)部分がX−Y位置決め機構を構成する固定ブロックの中央真下にきた時点で、静止させられる。
【0029】
この後、制御装置の処理基板によって、X−Y位置決め機構、液材吐出機構が制御されて、X−Y位置決め機構の可動ブロックがX方向、Y方向に移動させられ、液材吐出機構に設けられた各インクジェットノズルのうち、吐出対象となっているインクジェットノズルのX−Y位置と、設計データで指定された計測基板側の描画対象点(X−Y位置)とが一致した時点で、静止させられると共に、液材吐出機構の吐出対象となっているインクジェットノズルから、吐出対象となっている液材が吐出されて、計測基板側の描画対象点(描画対象エリア内にある1点)に塗布する。
【0030】
以下、X−Y位置決め機構の描画可能領域(計測基板の描画対象エリア部分)内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)について、描画が完了するまで、制御装置の処理基板によって、X−Y位置決め機構、液材吐出機構が制御されて、X−Y位置決め機構の描画可能領域内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)に吐出対象となっている液材が塗布させられる。
【0031】
そして、X−Y位置決め機構の描画可能領域の範囲内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)について、描画が完了したとき、制御装置の処理基板によって、X−Yテーブルが制御されて、X−Yテーブルの可動板がX方向、Y方向に移動させられ、計測基板の次描画対象エリア部分がX−Y位置決め機構を構成する固定ブロックの中央真下にきた時点で、静止させられる。
【0032】
この後、制御装置によって、X−Y位置決め機構、液材吐出機構が制御されて、上述した計測基板側の描画対象点(X−Y位置)切り替え動作、液材吐出動作が繰り返されて、X−Y位置決め機構の描画可能領域内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)に吐出対象となっている液材が塗布させられる。
【0033】
以下、X−Y位置決め機構の描画可能領域の範囲内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)について、描画が完了する毎に、制御装置の処理基板によって、上述したX−Yテーブルの制御処理が実行されて、計測基板の描画対象エリアが切り替えられると共に、X−Y位置決め機構、液材吐出機構の制御が実行されて、計測基板側の描画対象点に吐出対象となっている液材が塗布させられる。
【0034】
そして、設計データで指定された全ての描画対象点に対し、吐出対象となっている液材の塗布が完了したとき、制御装置の処理基板によって、計測基板に対する絶縁材料、導電性材料の塗布が完了したと判断されて、X−Yテーブル、X−Y位置決め機構が制御され、X−Yテーブルの可動板がX−Yテーブルの可動板が基板セット位置、例えば固定板の手前側の左隅に移動させられて、静止させられる。
【0035】
そして、操作員によって、計測基板上に塗布させた液材のパターンが設計データで指定されたパターンと一致しているかどうかが目視チェックされ、計測基板上に塗布させた液材のパターンが設計データで指定されたパターンと一致していることが確認されたとき、X−Yテーブルの可動板から計測基板が外されて、焼結行程(または、乾燥工程など)に回され、計測基板上に塗布させられた絶縁材料、導電性材料などの液材が乾燥、焼結させられて、1層目の絶縁パターン(絶縁材料の液材を乾燥、焼結させて得られるパターン)、導電性パターン(導電性材料の液材を乾燥、焼結させて得られるパターン)の製造が完了する。
【0036】
また、計測基板上に2層以上の絶縁パターン、導電性パターンを製造する場合には、上述した計測基板製造処理が再度、実行されて、計測基板上に2層以上の絶縁パターン、導電性パターンが積層されて(ビルドアップされて)、放射線計測システムに必要な絶縁パターン、導電性パターンが製造する。
【0037】
これにより、図2に示す計測基板上の鏡面電荷収集エリアに、図6に示すような鏡面電荷収集用1次元電極、または図7に示すような鏡面電荷収集用2次元電極、あるいは図8に示すような画素取り込み用2次元ピクセル電極が形成する。
【0038】
この場合、鏡面電荷収集用1次元電極は、導電性材料の液材をストライプ状に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造された複数のX方向電極(導電性パターン)によって構成されており、ガス、半導体などの検出媒体に接触させられている状態で、放射線、粒子線が検出媒体に入射し、検出媒体側に鏡面電荷が発生したとき、鏡面電荷が発生した場所に対応するX方向電極によって、放射線、粒子線計測信号を生成し、電子回路エリアに形成された電子回路に供給する。
【0039】
また、鏡面電荷収集用2次元電極は、導電性材料の液材をストライプ状に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した複数のY方向電極(導電性パターン)と、絶縁材料の液材を各Y方向電極の上に塗布して得られた面状の液材パターンを焼結して製造された絶縁層(絶縁パターン)と、絶縁層上に導電性材料の液材をストライプ状に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した複数のX方向電極(導電性パターン)とによって構成されており、ガス、半導体などの検出媒体に接触させられている状態で、放射線、粒子線が検出媒体に入射し、検出媒体側に鏡面電荷が発生したとき、鏡面電荷が発生した場所に対応するX方向電極、Y方向電極によって、放射線、粒子線計測信号を生成し、電子回路エリアに形成された電子回路に供給する。
【0040】
また、画素取り込み用2次元ピクセル電極は、導電性材料の液材を各X−Y格子点に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造された複数のピクセル電極(導電性パターン)によって構成されており、ガス、半導体などの検出媒体に接触させられている状態で、複数の放射線、複数の粒子線が検出媒体に入射し、検出媒体側に複数の鏡面電荷が発生したとき、鏡面電荷が発生した場所に対応する各ピクセル電極によって、複数の放射線、粒子線計測信号を生成し、信号伝送線方式、あるいは電荷転送方式などの信号伝達方式で、電子回路エリアに形成された電子回路に供給する。
【0041】
また、図2に示す計測基板上の電子回路エリアに、図9に示す立体配線、または図10に示す空中配線、あるいは図11に示すバンプ接続用パッド電極が形成される。
【0042】
この場合、立体配線は、計測基板上に取り付けられた集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスの端面上部と計測基板との間にある段差を埋めるように、絶縁材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した絶縁体と、電子デバイスの端面上部にある電極から計測基板上に伸びるように、絶縁体(絶縁パターン)上に導電性材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した配線(導電性パターン)とによって構成されており、電子デバイスの電極と鏡面電荷収集用1次元電極(または、他の電子デバイス、出力端子など)を接続する。
【0043】
また、空中配線は、計測基板上から、計測基板上に取り付けられた集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスの端面上部にある電極に伸びるように、粘度が高く、揮発性が高い導電性材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した配線(導電性パターン)によって構成されており、電子デバイスの電極と、鏡面電荷収集用1次元電極(または、他の電子デバイス、出力端子など)とを接続する。
【0044】
また、バンプ接続用パッド電極は、集積回路チップの下面に形成された複数のバンプ(電極)と対応する各位置に、導電性材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した複数のパッド電極(導電性パターン)と、各パッド電極間に収縮性接着剤(液材の絶縁材料)を塗布、充填させて得られる接続層とによって構成されており、各パッド電極と、集積回路チップの下面に設けられた各バンプとが対応するように、各パッド電極上に、集積回路チップを載せたとき、時間と共に収縮する収縮性接着剤によって、集積回路チップを計測基板側に引き付け、各パッド電極と、集積回路チップの各バンプとの接続を強固なものにする。また、集積回路チップのバンプ間隔が小さいときには、バンプ接続用パッド電極の周囲に、集積回路チップの大きさに対応するように、絶縁材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した集積回路チップ位置決め枠(図示は省略する)が形成され、集積回路チップを確実に位置決めする。
【0045】
さらに、計測基板上に気体、または液体を閉じこめる必要があるときには、液材吐出機構から高い粘性、高い揮発性を持つ絶縁材料、または導電性材料の液材が吐出されて、計測基板に塗布する処理、液材を乾燥固化する処理が繰り返されて、図12に示すように気体、または液体を閉じ込めに必要な中空の小型ベッセルが製造する。
【0046】
このように、この第1実施の形態においては、インクジェット技術を利用して、複数の金属材料(導電性材料)、複数の絶縁材料を吐出させて、放射線計測システムの各要素(鏡面電荷収集用1次元電極、鏡面電荷収集用2次元電極、配線、立体配線、空中配線、バンプ接続用各パッド電極など)となる液材パターンを描画させた後、焼結行程(または、乾燥工程など)に回して、計測基板上に塗布させられた絶縁材料、導電性材料などの液材パターンを焼結させて、放射線計測システムの各要素を製造するようにしているので、次に述べる効果を得ることが可能となる。
(1)少量多品種製造に最適なインクジェット技術を使用していることから、需要数が少ない放射線計測システムの計測基板を製造するとき、製造コストを大幅に低減することができると共に、材料の無駄を無くすことができる。
(2)インクジェット技術を利用して、複数の導電性材料、複数の絶縁材料を吐出させて、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップさせているので、エッチング処理で必要な化学薬品、ガスなどの有害化学薬品、有毒化学薬品を不要にして、有毒化学薬品などの無害化処理施設、無害化処理を不要にし、その分だけ、施設コスト、処理コストを低減することができる。
(3)X−Yテーブルによって、計測基板の描画対象エリアを切り替えさせながら、X−Y位置決め機構によって、液材吐出機構のX−Y位置を精密に制御させて、絶縁パターン、導電性パターンを描画するようにしているので、50μmから1mまでのサイズを同じ方法で取り扱わせることができる。
(4)インクジェット技術を利用して、複数の導電性材料、複数の絶縁材料を吐出させて、計測基板上に、目視で良否を確認可能な液材パターンを描画させているので、液材パターンに何らかの問題があれば、液材パターン形成後に、アルコール等で液材パターンを消して、再度、描画することができ、これによって放射線計測システムの各要素を製造するとき、描画が失敗した場合にも、新たな計測基板の調達作業などを不要にし、その分だけ調達作業、コストを低減することができる。
(5)少量多品種製造に最適なインクジェット技術を使用していることから、短期聞での試作を可能にすることができると共に、設計、製造、検査の一連の作業を同一設備内で一連的に行うことができる。
(6)インクジェット技術を利用して、複数の導電性材料、複数の絶縁材料を吐出させて、計測基板上に放射線計測システムの各要素を描画するようにしているので、計測基板上に多少の凹凸、曲面があるときでも、計測基板上に正確な絶縁パターン、導電性パターンを形成することができる。
(7)インクジェット技術で計測基板上に塗布する複数の導電性材料、複数の絶縁材料の粘度特性、揮発特性を調整し得るようにしているので、立体配線、空中配線で、集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスの各電極と、計測基板上に形成された鏡面電荷収集用1次元電極(または、他の電子デバイス、出力端子など)とを接続することができる。これにより、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ、計測基板上のスペースを有効に活用させ、計測基板上の電子回路エリアの面積を小さくさせて、放射線計測システムの小型化を達成することができると共に、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなどを不要にした分だけ、製造効率を高くし、製造コストを低減することができる。
(8)インクジェット技術を利用して、計測基板上にバンプ接続用の各パッド電極を形成した後、各パッド電極間に収縮性接着剤(液材の絶縁材料)を塗布、充填させて接続層を形成するようにしているので、各パッド電極と、集積回路チップの下面に設けられた各バンプとが対応するように、各パッド電極上に、集積回路チップを載せるだけで、時間と共に収縮性接着剤を収縮させて、集積回路チップを計測基板側に引き付けさせ、各パッド電極と、集積回路チップの各バンプとを強固に接続することができる。これにより、バンプ接続用のソケットなどを不要にし、その分だけ、製造効率を高くし、製造コストを低減することができる。
【0047】
図13は、本発明による放射線計測システムの製造方法のうち、第2実施の形態使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。なお、図13においては、図1の各部と対応する部分には同一の符号を付している。
【0048】
図13に示す描画システムが図1に示す描画システムと異なる点は、液材吐出機構と隣接するようにCCD撮像手段を設置し、このCCD撮像手段で得られた画像データを制御装置に供給させて画像処理させ、液材吐出機構によって計測基板上に塗布させた液材のパターンが設計データで指定されたパターンと一致しているかどうか確認するようにしたことである。
【0049】
CCD撮像手段は、液材吐出機構によって塗布された液体パターン部分の画像を拡大する拡大レンズと、拡大レンズによって拡大された液体パターン部分の画像を画像データに変換するCCD撮像素子とを備えており、液材吐出機構によって計測基板上に液材が塗布されて時、塗布された液材部分を拡大撮影して、画像データを生成し、制御装置に供給する。
【0050】
制御装置は、図14に示すようにマイクロコンピュータなどによって構成され、上述したX−Yテーブル制御処理、X−Y位置決め機構制御処理、液材吐出機構制御処理を実行するプログラムに加え、CCD撮像手段から供給する画像データを画像認識処理して液材パターンを抽出する画像認識プログラム、画像認識プログラムで抽出された液材パターンと設計データで指定されたパターンとを比較して誤差データを生成するパターンずれ検知プログラム、パターンずれ検知プログラムで得られた誤差データに基づき、位置指示データを修正する位置指示データ修正プログラムなどがインストールされた処理基板と、複数のキーを持ち、これら各キーの操作内容に応じたキー信号を生成して、処理基板に供給する操作パネルと、処理基板から供給する表示データを画面表示する表示器と、記録媒体などに記録された設計データを取り込み、処理基板に供給する記録媒体ドライブユニットと、処理基板とX−Yテーブル、CCD撮像手段、液材吐出機構、X−Y位置決め機構との間のデータ授受をサポートする複数のインタフェースユニットと、を備えている。
【0051】
そして、操作パネルの操作内容、記録媒体ドライブユニットにセットされた記録媒体から読み出した設計データなどに基づき、図15に示すようにX−Yテーブル、X−Y位置決め機構、液材吐出機構を制御して、液材吐出機構に設けられたインクジェットノズルから液材を吐出するとき、計測基板に塗布された液材のX−Y位置と、設計データで指定された計測基板側の描画対象点(X−Y位置)とを比較し、これらが一致するようにX−Y位置決め機構、液材吐出機構をフィードバック制御して、鏡面電荷収集電極、配線、電子回路電極などとなる液材パターンを描画する。
【0052】
このように、本発明の第2実施の形態においては、液材吐出機構と隣接するようにCCD撮像手段を設置し、このCCD撮像手段で得られた画像データを制御装置に供給させて、液材吐出機構によって計測基板上に塗布させた液材のX−Y位置が設計データで指定された描画対象点(X−Y位置)と一致するように、X−Y位置決め機構、液材吐出機構をフィードバック制御するようにしているので、液材吐出機構によって計測基板上に塗布させた液材のX−Y位置と、設計データで指定された描画対象点(X−Y位置)とを完全に一致することができ、これによって計測基板上に形成する放射線計測システムの各要素(鏡面電荷収集用1次元電極、鏡面電荷収集用2次元電極、配線、立体配線、空中配線、バンプ接続用各パッド電極など)の位置、形状などの製造精度を大幅に向上することができる。
【0053】
また、X−Yテーブルによって、計測基板の描画対象エリアを切り替えたとき、切り替え前の描画対象エリアに描画された液材パターンと、切り替え後の描画対象エリアに描画する液材パターンとの位置関係を正確に調整することができる。
【0054】
図16は、本発明による放射線計測システムの製造方法のうち、第3実施の形態使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0055】
図16に示す描画システムが図1に示す描画システムと異なる点は、液材吐出機構から吐出する各絶縁材料側の液材として、熱硬化性の液材を使用すると共に、液材吐出機構と隣接するようにレーザー光出射機構を設置し、さらに制御装置にレーザー光出射機構制御機能を持たせ、レーザー光出射機構からレーザー光(熱線)を出射させて、計測基板上に塗布した熱硬化性の液材などを短い時間で、硬化するようにしたことである。
【0056】
各絶縁材料は、絶縁特性を持ち、レーザー光などの熱線が照射されたとき、硬化する液状の機能性樹脂と、機能性樹脂の粘度などを調整する添加剤とを混合した熱硬化特性を持つ液材であり、各絶縁材料毎に、指定された粘度になるように、添加剤の成分が調整する。
【0057】
また、制御装置は、図17に示すようにマイクロコンピュータなどによって構成され、上述したX−Yテーブル制御処理、X−Y位置決め機構制御処理、液材吐出機構制御処理を実行するプログラムに加え、レーザー光出射機構を制御するプログラムなどがインストールされた処理基板と、複数のキーを持ち、これら各キーの操作内容に応じたキー信号を生成して、処理基板に供給する操作パネルと、処理基板から供給する表示データを画面表示する表示器と、記録媒体などに記録された設計データを取り込み、処理基板に供給する記録媒体ドライブユニットと、処理基板とX−Yテーブル、レーザー光出射機構、液材吐出機構、X−Y位置決め機構との間のデータ授受をサポートする複数のインタフェースユニットとを備えている。
【0058】
そして、操作パネルの操作内容、記録媒体ドライブユニットにセットされた記録媒体から読み出した設計データなどに基づき、X−Yテーブル、X−Y位置決め機構、液材吐出機構を制御して、液材吐出機構に設けられたインクジェットノズルから液材を吐出する毎に、レーザー光出射指示信号を生成して、レーザー光出射機構に供給する。
【0059】
レーザー光出射機構は、予め決められた波長のレーザー光を発生するレーザー光発生デバイスと、レーザー光発生デバイスから出射するレーザー光を計測基板上の1点に集光するレンズとを備えており、制御装置から供給するレーザー光出射指示信号に応じて、図18に示すようにレーザー光(熱線)を出射し、計測基板上に塗布した絶縁材料などの液材を加熱して焼結する。
【0060】
このように、本発明の第3の実施の形態においては、液材吐出機構から吐出する各絶縁材料側の液材として、熱硬化性の液材を使用すると共に、液材吐出機構と隣接するようにレーザー光出射機構を設置し、このレーザー光出射機構からレーザー光を出射させて、計測基板上に塗布した絶縁材料などを短い時間で、硬化するようにしているので、計測基板上に塗布した絶縁材料などをすぐに硬化することができ、これによって立体配線、小型ベッセルなどの3次元パターンを容易に製造することができる。また、液だれ、液材の広がりなどの問題を無くすことができる。
【0061】
また、レーザー光出射機構から出射するレーザー光(熱線)によって、液材吐出機構から吐出する各導電性材料などの液材も、短い時間で硬化することができることから、図9に示す立体配線、図10に示す空中配線、図12に示す小型ベッセルなどを製造するとき、液だれ、液材の広がりなどの問題を無くし、立体配線、空中配線、小型ベッセルなどの製造精度を大幅に向上することができる。
【0062】
上述した本発明の第1実施の形態においては、インクジェット技術を使用して、1つの計測基板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料を吐出させて、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップするようにしているが、ディスペンサー技術を使用して、1つの計測基板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料を吐出させ、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップするようにしても良い。
【0063】
また、上述した第3実施の形態においては、熱硬化特性を持つ絶縁材料と、レーザー光出射機構とを使用して、液材吐出機構から吐出された液材が計測基板上に塗布されたとき、短い時間で硬化するようにしているが、紫外線硬化特性を持つ絶縁材料と、紫外線レーザー光出射機構とを使用して、液材吐出機構から吐出された液材が計測基板上に塗布されたとき、短い時間で硬化するようにしても良い。
【0064】
また、上述した実施の形態においては、X−Yテーブルによって、計測基板の描画対象エリアを切り替え、X−Y位置決め機構によって、描画対象エリア内の描画対象点を切り替えるようにしているが、可動ブロックの移動範囲が大きいX−Y位置決め機構を使用する場合には、計測基板を固定するようにしても良い。これにより、X−Yテーブルなどを不要にし、その分だけ描画システムを簡素化することができる。
【0065】
また、上述した実施の形態においては、インクジェット技術、ディスペンサー技術を利用して、1つの計測基板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料を吐出させ、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップするようにしているが、インクジェット技術、ディスペンサー技術を利用して、複数のベース板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料、収縮性接着剤などを吐出させて、放射線計測システムの各要素を描画させた後、これらの各ベース板を張り合わせたり、組み合わせたりして、ハイブリッド型の放射線計測システムを製造するようにしても良い。
【0066】
また、上述した実施の形態においては、X−Yテーブル、X−Y位置決め機構、液材吐出機構などを使用して、平面状の計測基板に絶縁パターン、導電性パターンを形成するようにしているが、X−Yテーブルに代えて、可動板が水平移動自在、上下動自在、傾倒自在に構成されたX−Y−Z−θテーブルなどを使用し、大きな凹凸を持つ計測基板、あるいは大きな曲面を持つ計測基板などに絶縁パターン、導電性パターンを形成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムの構築方法に関し、特に、このような放射線計測システムを構成する複数の技術的構成要素を一体化してビルドアップする放射線計測システムの製造方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムの構築方法に関し、特に、このような放射線計測システムを構成する複数の技術的構成要素を一体化してビルドアップする放射線計測システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムにおいては、放射線を電気信号に変える媒体(ガス、半導体等)、電気信号を検出する部分(鏡面電荷収集用電極)、電気信号処理を行う電気回路(集積回路、トランジスタ等)等の複数の技術的構成要素によって構築されており、計測対象となる放射線、粒子線を媒体に入射させたときに生じる電気信号(鏡面電荷)を鏡面電荷収集用電極によって検出すると共に、電気回路により電気信号のフィルタリング処理と増幅処理を行い、放射線及び/又は粒子線計測信号を出力するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の放射線計測システムの構築においては、半導体プロセス、プリント配線多層基板、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなど、複数の製造技術と結合技術を駆使して、放射線を電気信号に変えるガス、半導体などの媒体、電気信号を検出する鏡面電荷収集用電極、電気信号処理を行う集積回路、トランジスタなどの電子デバイスを個別に製造した後、これらの各要素を一体化する手法により放射線計測システムを構築している。
【0004】
このような従来の射線計測システムの構築方法においては、製造対象となる各要素毎の製造技術の中から、最適な製造技術を選択して各要素を個別に製造しなければならず、次に述べるような種々の技術的な問題があった。すなわち、
(1)エッチングの製造方法では、ミクロンメートル(μ)サイズオーダーのパターン形成を行うことができるものの、1度の露光で、ミリメートル(m)サイズオーダーのパターンを製造できないことから、数十μのサイズの読み出し電極を持つ放射線計測システムを設計し、これをミリメートルサイズの計測システムへ拡張する揚合、複数の技術を使用しなくてはならない。この際、拡張化の方法が無数にあり、煩雑であるため、仕様に対する最適化が困難であった。
(2)このように、放射線計測システムを拡張する方法の最適化が困難であることから、システム化に多大のコストを要し、さらには多数のコネクタなどを使用しなければならず、小型化及び低コスト化が困難であった。
(3)放射線計測システムは大量生産するものではなく、需要が少ないことから、少量多品種製造になってしまい、高価であった。
(4)鏡面電荷収集用電極、プリント基板配線の製造などにおいては、ガス、化学薬品を使用したエッチングを行っていることから、廃液処理等のコストが生じていた。
(5)エッチング技術を使用した製造方法は、光学系を通し、パターンを転写し製造を行うことから、平面上にしか所望のパターンを製造することができないという問題があった。
(6)エッチング技術を使用した製造方法は、パターンをプリント基板などの構造体に転写し、薬品を使用してパターンを現像した後でなければ、構造体に転写されたパターンを目視することができないので、現像後では、構造体に転写されたパターンを容易に修正できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の従来の種々の課題に鑑みてなされたものであって、例えば、電気装置をディスクリート部品を一つ一つ組み合わせて構成するのではなく集積回路のように一体化して製作するように、放射線計測システムの一体化ビルドアップ方法であって、高精細、大型の放射線計測システムを安価に製造することができると共に、コネクタ、ケーブル、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ計測基板上のスペースを有効利用することができ、また絶縁パターン、導電性パターンを製造している途中で、これら絶縁パターン、導電性パターンを容易に修正することができる放射線計測システムの製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、また、高精細、大型の放射線計測システムを安価に製造することができると共に、コネクタ、ケーブル、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ計測基板上のスペースを有効利用することができ、また絶縁パターン、導電性パターンを製造している途中で、これら絶縁パターン、導電性パターンを容易に修正することができ、さらに絶縁パターン、導電性パターンの製造精度を高くすることができる放射線計測システムの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
本発明は、さらに、3次元の絶縁パターン、導電性パターンの製造と、集積回路チップなどの電子デバイスと計測基板との接続を容易にすることができる放射線計測システムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、放射線計測システムの製造方法であって、(a)放射線計測システムを構成する計測基板の回路パターンを含む回路構成及び液材吐出機構の位置を、位置調整機構によって調整するステップと、(b)前記液材吐出機構から絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を吐出させて前記計測基板上に塗布することにより、前記放射線計測システムにおける絶縁パターン及び導電性パターンを生成するステップと、の各ステップを含むことを特徴とする放射線計測システムの製造方法を提供するものである。
【0009】
ここで、前記ステップ(b)は、前記液材吐出機構と対応するように設置した撮像手段によって、(b−1)前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び前記導電性材料の液材を撮影するステップと、(b−2)前記撮影により得られた画像を処理して前記位置調整機構の制御を調整するステップと、を含む、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る放射線計測システムの製造方法は、さらに、(c)前記液材吐出機構と対応するように設置したレーザー光出射機構からレーザー光を出射するステップと、(d)前記液材吐出機構から吐出されて、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材、または導電性材料の液材を硬化させるステップと、を、さらに含むことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記ステップ(b)は、前記液材吐出機構から吐出する絶縁材料の液材、導電性材料の液材の粘度、揮発度及び吐出量を調整しつつ前記液材吐出機構から吐出し、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を立体化して形成するステップを含む。
【0012】
そして、前記ステップ(b)は、さらに、前記液材吐出機構から液状の収縮性接着剤を吐出し、前記計測基板上に塗布した後、前記計測基板上に塗布した収縮性接着剤上に電子材料及び他の基板を載置して前記計測基板と結合するステップを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
これにより、本発明は、従来、半導体プロセス、プリント配線多層基板、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなど、複数の製造技術と結合技術を駆使して、放射線を電気信号に変えるガス、半導体などの媒体、電気信号を検出する鏡面電荷収集用電極、電気信号処理を行う集積回路、トランジスタなどの電子デバイスを個別に製造していた放射線計測システムの製造方法を、これらの各要素を一体化する手法により放射線計測システムを構築することを可能にしたのである。そして、本放射線計測システムの製造方法においては、高精細、大型の放射線計測システムを安価に製造すると共に、コネクタ、ケーブル、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ計測基板上のスペースを有効利用することができ、また絶縁パターン、導電性パターンを製造している途中で、これら絶縁パターン、導電性パターンを容易に修正することを実現したのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による放射線計測システムの製造方法の第1実施の形態で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明による放射線計測システムの製造方法で作成する計測基板の一例を示す側面図である。
【図3】図1に示す液材吐出機構、計測基板の移動方向例を示す概略斜視図である。
【図4】図1に示す制御装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明による放射線計測システムの製造方法の手順例を示すフローチャートである。
【図6】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された電荷収集用1次元電極の一例を示す概略斜視図である。
【図7】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された電荷収集用2次元電極の一例を示す概略斜視図である。
【図8】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された画素取り込み用2次元ピクセル電極の一例を示す概略斜視図である。
【図9】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された立体配線の一例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された空中配線の一例を示す概略斜視図である。
【図11】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用されたバンプ接続用パッド電極の一例を示す概略斜視図である。
【図12】本発明による放射線計測システムの製造方法で使用された小型ベッセルの一例を示す概略斜視図である。
【図13】本発明による放射線計測システムの製造方法の第2実施の形態で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【図14】図13に示す制御装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図15】図13に示す液材吐出機構、計測基板の移動方向例、CCD撮像手段の撮影方向例を示す概略斜視図である。
【図16】本発明による放射線計測システムの製造方法の第3実施の形態で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【図17】図16に示す制御装置の回路構成例を示すブロック図である。
【図18】図13に示す液材吐出機構、計測基板の移動方向例、レーザー光出射機構のレーザー光出射方向例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による放射線計測システムの製造方法で使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。
【0016】
図1に示す描画システムは、放射線計測システムで使用する計測基板のX−Y位置を決めるX−Yテーブルと、X−Yテーブルの上方に配置され、インクジェット方式で、絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出し、計測基板上に塗布する液材吐出機構と、液材吐出機構のX−Y位置を決めるX−Y位置決め機構と、入力された設計データに基づき、X−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構を制御して、計測基板上に絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出させ、液材パターン(絶縁パターン、導電性パターンとなる液材のパターン)などを描画する制御装置とを備えており、入力された設計データに基づき、制御装置によって、X−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構を制御し、計測基板上に、絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出させて、図2に示すように放射線計測システムで使用する計測基板上の鏡面電荷収集エリア、電子回路エリアなどに、鏡面電荷収集電極、配線、電子回路電極などとなる液材パターンを描画する。
【0017】
X−Yテーブルは、ミクロンオーダーの精緻なパターンを製造に対応する大きさに形成する、板状の固定板と、固定板上に水平移動自在に配置する可動板と、固定板に設置され、制御装置から供給する位置指示データに応じて、X側ステッピングモータ、Y側ステッピングモータ、ボールねじ機構(図示は省略する)などを動作させ、可動板上にセットされた計測基板のX−Y位置を調整する駆動ユニットとを備えており、制御装置から供給する位置指示データに応じて、図3に示すように可動板をX方向、またはY方向に移動させ、可動板上にセットされた計測基板のX−Y位置を調整する。
【0018】
また、液材吐出機構は、X−Yテーブルの上方に配置され、制御装置から供給する吐出指示データに応じて、図3に示すようにインクジェット方式で、1種類以上の絶縁材料、1種類以上の導電性材料などの各液材を吐出し、計測基板上に塗布する複数のインクジェットノズルと、1種類以上の絶縁材料タンク、1種類以上の導電性材料タンクから各絶縁材料、各導電性材料などの各液材を汲み出し、各インクジェットノズルに各々及び供給する複数の液材供給パイプを備えており、制御装置から供給する吐出指示データに応じて、1種類以上の導電性材料タンク、1種類以上の導電性材料タンクから供給する各導電性材料、各導電性材料などの各液材をインクジェットノズルから吐出し、計測基板上に塗布する。
【0019】
この場合、各絶縁材料は、赤外線などの熱線、あるいは熱風などで加熱されたとき、揮発する水、アルコール、溶媒などの液体と、絶縁特性を持つ樹脂材料をナノレベルまで微細化させた無数の絶縁粒体と、各絶縁粒体を液体中に分散する添加剤とを混合した液材であり、各絶縁材料毎に、指定された粘度特性、揮発特性になるように、添加剤の種類が調整すると共に、液体、絶縁粒体、添加剤の混合比率が調整する。
【0020】
また、各導電性材料は、赤外線などの熱線、あるいは熱風などで加熱されたとき、揮発する水、アルコール、溶媒などの液体と、導電特性を持つ金属材料をナノレベルまで微細化させた無数の導電性粒体と、各導電性粒体を液体中に分散する添加剤などとを混合した液材であり、各導電性材料毎に、指定された粘度特性、揮発特性になるように、添加剤の種類が調整すると共に、液体、導電性粒体、添加剤の混合比率が調整する。
【0021】
また、X−Y位置決め機構は、X−Yテーブルから所定距離だけ離間されて配置する固定ブロックと、固定ブロックの下面側に水平移動自在に配置され、下面に液材吐出機構が固定する可動ブロックと、固定ブロックに設置され、制御装置から供給する位置指示データに応じて、X側ステッピングモータ、Y側ステッピングモータ、ベルト機構(または、ボールねじ機構)などを動作させて、可動ブロックをX方向、またはY方向に移動させ、液材吐出機構のX−Y位置を調整する駆動ユニットとを備えており、制御装置から供給する位置指示データに応じて、図3に示すように可動ブロックをX方向、またはY方向に移動させ、液材吐出機構に設けられた各インクジェットノズルのX−Y位置を高精度に調整する。
【0022】
また、制御装置は、図4に示すようにマイクロコンピュータなどによって構成され、インストールされたプログラムに基づき、各種のデータ処理などを行う処理基板と、複数のキーを持ち、これら各キーの操作内容に応じたキー信号を生成して、処理基板に供給する操作パネルと、処理基板から供給する表示データを画面表示する表示器と、記録媒体などに記録された設計データを取り込み、処理基板に供給する記録媒体ドライブユニットと、処理基板とX−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構との間のデータ授受をサポートする複数のインタフェースユニットとを備えており、操作パネルの操作内容、記録媒体ドライブユニットにセットされた記録媒体から読み出した設計データなどに基づき、X−Yテーブル、液材吐出機構、X−Y位置決め機構を制御して、計測基板上に絶縁材料、導電性材料などの液材を吐出させて、鏡面電荷収集電極、配線、電子回路電極などとなる液材パターンを描画する。
【0023】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、描画システムを使用した放射線計測システムの製造方法を説明する。
【0024】
まず、チップ配置データなどの設計データが記録された記録媒体がチップマウンター装置などにセットされて、放射線計測システムに必要な集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスのうち、上面側にも電極を有する各電子デバイスがベース板(計測基板の元になる板)上に取り付けられる。
【0025】
そして、チップマウンター装置などによって、各電子デバイスの取り付けが完了したとき、操作員によって、チップマウンター装置などから各電子デバイスの取り付けが完了した計測基板(各電子デバイスの取り付けが完了したベース板)が取り外する。
【0026】
次いで、操作員によって、制御装置の記録媒体ドライブユニットに、鏡面電荷収集電極データ、配線データなどの設計データが記録された記録媒体がセットされ、制御装置の操作パネルが操作され、計測基板のセット要求が入力されたとき、制御装置の処理基板によって、X−Yテーブルが制御されて、X−Yテーブルの可動板が基板セット位置、例えば固定板の手前側の左隅に移動させられて、静止させられる。
【0027】
この状態で、操作員によって、X−Yテーブルの可動板上に、計測基板(各電子デバイスの取り付けが完了したベース板)が載せられて、可動板に固定する。
【0028】
次いで、制御装置の操作パネルが操作され、加工開始指示が入力されたとき、制御装置の処理基板によって、記録媒体ドライブユニットセットされた記録媒体から設計データが読み出されて、この設計データに基づき、X−Yテーブルが制御されて、X−Yテーブルの可動板がX方向、Y方向に移動させられ、計測基板の描画対象エリア(鏡面電荷収集エリアの一部、または電子回路エリアの一部)部分がX−Y位置決め機構を構成する固定ブロックの中央真下にきた時点で、静止させられる。
【0029】
この後、制御装置の処理基板によって、X−Y位置決め機構、液材吐出機構が制御されて、X−Y位置決め機構の可動ブロックがX方向、Y方向に移動させられ、液材吐出機構に設けられた各インクジェットノズルのうち、吐出対象となっているインクジェットノズルのX−Y位置と、設計データで指定された計測基板側の描画対象点(X−Y位置)とが一致した時点で、静止させられると共に、液材吐出機構の吐出対象となっているインクジェットノズルから、吐出対象となっている液材が吐出されて、計測基板側の描画対象点(描画対象エリア内にある1点)に塗布する。
【0030】
以下、X−Y位置決め機構の描画可能領域(計測基板の描画対象エリア部分)内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)について、描画が完了するまで、制御装置の処理基板によって、X−Y位置決め機構、液材吐出機構が制御されて、X−Y位置決め機構の描画可能領域内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)に吐出対象となっている液材が塗布させられる。
【0031】
そして、X−Y位置決め機構の描画可能領域の範囲内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)について、描画が完了したとき、制御装置の処理基板によって、X−Yテーブルが制御されて、X−Yテーブルの可動板がX方向、Y方向に移動させられ、計測基板の次描画対象エリア部分がX−Y位置決め機構を構成する固定ブロックの中央真下にきた時点で、静止させられる。
【0032】
この後、制御装置によって、X−Y位置決め機構、液材吐出機構が制御されて、上述した計測基板側の描画対象点(X−Y位置)切り替え動作、液材吐出動作が繰り返されて、X−Y位置決め機構の描画可能領域内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)に吐出対象となっている液材が塗布させられる。
【0033】
以下、X−Y位置決め機構の描画可能領域の範囲内にある計測基板側の全ての描画対象点(X−Y位置)について、描画が完了する毎に、制御装置の処理基板によって、上述したX−Yテーブルの制御処理が実行されて、計測基板の描画対象エリアが切り替えられると共に、X−Y位置決め機構、液材吐出機構の制御が実行されて、計測基板側の描画対象点に吐出対象となっている液材が塗布させられる。
【0034】
そして、設計データで指定された全ての描画対象点に対し、吐出対象となっている液材の塗布が完了したとき、制御装置の処理基板によって、計測基板に対する絶縁材料、導電性材料の塗布が完了したと判断されて、X−Yテーブル、X−Y位置決め機構が制御され、X−Yテーブルの可動板がX−Yテーブルの可動板が基板セット位置、例えば固定板の手前側の左隅に移動させられて、静止させられる。
【0035】
そして、操作員によって、計測基板上に塗布させた液材のパターンが設計データで指定されたパターンと一致しているかどうかが目視チェックされ、計測基板上に塗布させた液材のパターンが設計データで指定されたパターンと一致していることが確認されたとき、X−Yテーブルの可動板から計測基板が外されて、焼結行程(または、乾燥工程など)に回され、計測基板上に塗布させられた絶縁材料、導電性材料などの液材が乾燥、焼結させられて、1層目の絶縁パターン(絶縁材料の液材を乾燥、焼結させて得られるパターン)、導電性パターン(導電性材料の液材を乾燥、焼結させて得られるパターン)の製造が完了する。
【0036】
また、計測基板上に2層以上の絶縁パターン、導電性パターンを製造する場合には、上述した計測基板製造処理が再度、実行されて、計測基板上に2層以上の絶縁パターン、導電性パターンが積層されて(ビルドアップされて)、放射線計測システムに必要な絶縁パターン、導電性パターンが製造する。
【0037】
これにより、図2に示す計測基板上の鏡面電荷収集エリアに、図6に示すような鏡面電荷収集用1次元電極、または図7に示すような鏡面電荷収集用2次元電極、あるいは図8に示すような画素取り込み用2次元ピクセル電極が形成する。
【0038】
この場合、鏡面電荷収集用1次元電極は、導電性材料の液材をストライプ状に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造された複数のX方向電極(導電性パターン)によって構成されており、ガス、半導体などの検出媒体に接触させられている状態で、放射線、粒子線が検出媒体に入射し、検出媒体側に鏡面電荷が発生したとき、鏡面電荷が発生した場所に対応するX方向電極によって、放射線、粒子線計測信号を生成し、電子回路エリアに形成された電子回路に供給する。
【0039】
また、鏡面電荷収集用2次元電極は、導電性材料の液材をストライプ状に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した複数のY方向電極(導電性パターン)と、絶縁材料の液材を各Y方向電極の上に塗布して得られた面状の液材パターンを焼結して製造された絶縁層(絶縁パターン)と、絶縁層上に導電性材料の液材をストライプ状に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した複数のX方向電極(導電性パターン)とによって構成されており、ガス、半導体などの検出媒体に接触させられている状態で、放射線、粒子線が検出媒体に入射し、検出媒体側に鏡面電荷が発生したとき、鏡面電荷が発生した場所に対応するX方向電極、Y方向電極によって、放射線、粒子線計測信号を生成し、電子回路エリアに形成された電子回路に供給する。
【0040】
また、画素取り込み用2次元ピクセル電極は、導電性材料の液材を各X−Y格子点に塗布して得られた液材パターンを焼結して製造された複数のピクセル電極(導電性パターン)によって構成されており、ガス、半導体などの検出媒体に接触させられている状態で、複数の放射線、複数の粒子線が検出媒体に入射し、検出媒体側に複数の鏡面電荷が発生したとき、鏡面電荷が発生した場所に対応する各ピクセル電極によって、複数の放射線、粒子線計測信号を生成し、信号伝送線方式、あるいは電荷転送方式などの信号伝達方式で、電子回路エリアに形成された電子回路に供給する。
【0041】
また、図2に示す計測基板上の電子回路エリアに、図9に示す立体配線、または図10に示す空中配線、あるいは図11に示すバンプ接続用パッド電極が形成される。
【0042】
この場合、立体配線は、計測基板上に取り付けられた集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスの端面上部と計測基板との間にある段差を埋めるように、絶縁材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した絶縁体と、電子デバイスの端面上部にある電極から計測基板上に伸びるように、絶縁体(絶縁パターン)上に導電性材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した配線(導電性パターン)とによって構成されており、電子デバイスの電極と鏡面電荷収集用1次元電極(または、他の電子デバイス、出力端子など)を接続する。
【0043】
また、空中配線は、計測基板上から、計測基板上に取り付けられた集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスの端面上部にある電極に伸びるように、粘度が高く、揮発性が高い導電性材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した配線(導電性パターン)によって構成されており、電子デバイスの電極と、鏡面電荷収集用1次元電極(または、他の電子デバイス、出力端子など)とを接続する。
【0044】
また、バンプ接続用パッド電極は、集積回路チップの下面に形成された複数のバンプ(電極)と対応する各位置に、導電性材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した複数のパッド電極(導電性パターン)と、各パッド電極間に収縮性接着剤(液材の絶縁材料)を塗布、充填させて得られる接続層とによって構成されており、各パッド電極と、集積回路チップの下面に設けられた各バンプとが対応するように、各パッド電極上に、集積回路チップを載せたとき、時間と共に収縮する収縮性接着剤によって、集積回路チップを計測基板側に引き付け、各パッド電極と、集積回路チップの各バンプとの接続を強固なものにする。また、集積回路チップのバンプ間隔が小さいときには、バンプ接続用パッド電極の周囲に、集積回路チップの大きさに対応するように、絶縁材料の液材を塗布して得られた液材パターンを焼結して製造した集積回路チップ位置決め枠(図示は省略する)が形成され、集積回路チップを確実に位置決めする。
【0045】
さらに、計測基板上に気体、または液体を閉じこめる必要があるときには、液材吐出機構から高い粘性、高い揮発性を持つ絶縁材料、または導電性材料の液材が吐出されて、計測基板に塗布する処理、液材を乾燥固化する処理が繰り返されて、図12に示すように気体、または液体を閉じ込めに必要な中空の小型ベッセルが製造する。
【0046】
このように、この第1実施の形態においては、インクジェット技術を利用して、複数の金属材料(導電性材料)、複数の絶縁材料を吐出させて、放射線計測システムの各要素(鏡面電荷収集用1次元電極、鏡面電荷収集用2次元電極、配線、立体配線、空中配線、バンプ接続用各パッド電極など)となる液材パターンを描画させた後、焼結行程(または、乾燥工程など)に回して、計測基板上に塗布させられた絶縁材料、導電性材料などの液材パターンを焼結させて、放射線計測システムの各要素を製造するようにしているので、次に述べる効果を得ることが可能となる。
(1)少量多品種製造に最適なインクジェット技術を使用していることから、需要数が少ない放射線計測システムの計測基板を製造するとき、製造コストを大幅に低減することができると共に、材料の無駄を無くすことができる。
(2)インクジェット技術を利用して、複数の導電性材料、複数の絶縁材料を吐出させて、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップさせているので、エッチング処理で必要な化学薬品、ガスなどの有害化学薬品、有毒化学薬品を不要にして、有毒化学薬品などの無害化処理施設、無害化処理を不要にし、その分だけ、施設コスト、処理コストを低減することができる。
(3)X−Yテーブルによって、計測基板の描画対象エリアを切り替えさせながら、X−Y位置決め機構によって、液材吐出機構のX−Y位置を精密に制御させて、絶縁パターン、導電性パターンを描画するようにしているので、50μmから1mまでのサイズを同じ方法で取り扱わせることができる。
(4)インクジェット技術を利用して、複数の導電性材料、複数の絶縁材料を吐出させて、計測基板上に、目視で良否を確認可能な液材パターンを描画させているので、液材パターンに何らかの問題があれば、液材パターン形成後に、アルコール等で液材パターンを消して、再度、描画することができ、これによって放射線計測システムの各要素を製造するとき、描画が失敗した場合にも、新たな計測基板の調達作業などを不要にし、その分だけ調達作業、コストを低減することができる。
(5)少量多品種製造に最適なインクジェット技術を使用していることから、短期聞での試作を可能にすることができると共に、設計、製造、検査の一連の作業を同一設備内で一連的に行うことができる。
(6)インクジェット技術を利用して、複数の導電性材料、複数の絶縁材料を吐出させて、計測基板上に放射線計測システムの各要素を描画するようにしているので、計測基板上に多少の凹凸、曲面があるときでも、計測基板上に正確な絶縁パターン、導電性パターンを形成することができる。
(7)インクジェット技術で計測基板上に塗布する複数の導電性材料、複数の絶縁材料の粘度特性、揮発特性を調整し得るようにしているので、立体配線、空中配線で、集積回路チップ、抵抗などの電子デバイスの各電極と、計測基板上に形成された鏡面電荷収集用1次元電極(または、他の電子デバイス、出力端子など)とを接続することができる。これにより、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなどを不要にし、その分だけ、計測基板上のスペースを有効に活用させ、計測基板上の電子回路エリアの面積を小さくさせて、放射線計測システムの小型化を達成することができると共に、結合用コネクタ、ケーブル、半田接合、ワイヤーボンディングなどを不要にした分だけ、製造効率を高くし、製造コストを低減することができる。
(8)インクジェット技術を利用して、計測基板上にバンプ接続用の各パッド電極を形成した後、各パッド電極間に収縮性接着剤(液材の絶縁材料)を塗布、充填させて接続層を形成するようにしているので、各パッド電極と、集積回路チップの下面に設けられた各バンプとが対応するように、各パッド電極上に、集積回路チップを載せるだけで、時間と共に収縮性接着剤を収縮させて、集積回路チップを計測基板側に引き付けさせ、各パッド電極と、集積回路チップの各バンプとを強固に接続することができる。これにより、バンプ接続用のソケットなどを不要にし、その分だけ、製造効率を高くし、製造コストを低減することができる。
【0047】
図13は、本発明による放射線計測システムの製造方法のうち、第2実施の形態使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。なお、図13においては、図1の各部と対応する部分には同一の符号を付している。
【0048】
図13に示す描画システムが図1に示す描画システムと異なる点は、液材吐出機構と隣接するようにCCD撮像手段を設置し、このCCD撮像手段で得られた画像データを制御装置に供給させて画像処理させ、液材吐出機構によって計測基板上に塗布させた液材のパターンが設計データで指定されたパターンと一致しているかどうか確認するようにしたことである。
【0049】
CCD撮像手段は、液材吐出機構によって塗布された液体パターン部分の画像を拡大する拡大レンズと、拡大レンズによって拡大された液体パターン部分の画像を画像データに変換するCCD撮像素子とを備えており、液材吐出機構によって計測基板上に液材が塗布されて時、塗布された液材部分を拡大撮影して、画像データを生成し、制御装置に供給する。
【0050】
制御装置は、図14に示すようにマイクロコンピュータなどによって構成され、上述したX−Yテーブル制御処理、X−Y位置決め機構制御処理、液材吐出機構制御処理を実行するプログラムに加え、CCD撮像手段から供給する画像データを画像認識処理して液材パターンを抽出する画像認識プログラム、画像認識プログラムで抽出された液材パターンと設計データで指定されたパターンとを比較して誤差データを生成するパターンずれ検知プログラム、パターンずれ検知プログラムで得られた誤差データに基づき、位置指示データを修正する位置指示データ修正プログラムなどがインストールされた処理基板と、複数のキーを持ち、これら各キーの操作内容に応じたキー信号を生成して、処理基板に供給する操作パネルと、処理基板から供給する表示データを画面表示する表示器と、記録媒体などに記録された設計データを取り込み、処理基板に供給する記録媒体ドライブユニットと、処理基板とX−Yテーブル、CCD撮像手段、液材吐出機構、X−Y位置決め機構との間のデータ授受をサポートする複数のインタフェースユニットと、を備えている。
【0051】
そして、操作パネルの操作内容、記録媒体ドライブユニットにセットされた記録媒体から読み出した設計データなどに基づき、図15に示すようにX−Yテーブル、X−Y位置決め機構、液材吐出機構を制御して、液材吐出機構に設けられたインクジェットノズルから液材を吐出するとき、計測基板に塗布された液材のX−Y位置と、設計データで指定された計測基板側の描画対象点(X−Y位置)とを比較し、これらが一致するようにX−Y位置決め機構、液材吐出機構をフィードバック制御して、鏡面電荷収集電極、配線、電子回路電極などとなる液材パターンを描画する。
【0052】
このように、本発明の第2実施の形態においては、液材吐出機構と隣接するようにCCD撮像手段を設置し、このCCD撮像手段で得られた画像データを制御装置に供給させて、液材吐出機構によって計測基板上に塗布させた液材のX−Y位置が設計データで指定された描画対象点(X−Y位置)と一致するように、X−Y位置決め機構、液材吐出機構をフィードバック制御するようにしているので、液材吐出機構によって計測基板上に塗布させた液材のX−Y位置と、設計データで指定された描画対象点(X−Y位置)とを完全に一致することができ、これによって計測基板上に形成する放射線計測システムの各要素(鏡面電荷収集用1次元電極、鏡面電荷収集用2次元電極、配線、立体配線、空中配線、バンプ接続用各パッド電極など)の位置、形状などの製造精度を大幅に向上することができる。
【0053】
また、X−Yテーブルによって、計測基板の描画対象エリアを切り替えたとき、切り替え前の描画対象エリアに描画された液材パターンと、切り替え後の描画対象エリアに描画する液材パターンとの位置関係を正確に調整することができる。
【0054】
図16は、本発明による放射線計測システムの製造方法のうち、第3実施の形態使用する描画システムの一例を示す概略構成図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0055】
図16に示す描画システムが図1に示す描画システムと異なる点は、液材吐出機構から吐出する各絶縁材料側の液材として、熱硬化性の液材を使用すると共に、液材吐出機構と隣接するようにレーザー光出射機構を設置し、さらに制御装置にレーザー光出射機構制御機能を持たせ、レーザー光出射機構からレーザー光(熱線)を出射させて、計測基板上に塗布した熱硬化性の液材などを短い時間で、硬化するようにしたことである。
【0056】
各絶縁材料は、絶縁特性を持ち、レーザー光などの熱線が照射されたとき、硬化する液状の機能性樹脂と、機能性樹脂の粘度などを調整する添加剤とを混合した熱硬化特性を持つ液材であり、各絶縁材料毎に、指定された粘度になるように、添加剤の成分が調整する。
【0057】
また、制御装置は、図17に示すようにマイクロコンピュータなどによって構成され、上述したX−Yテーブル制御処理、X−Y位置決め機構制御処理、液材吐出機構制御処理を実行するプログラムに加え、レーザー光出射機構を制御するプログラムなどがインストールされた処理基板と、複数のキーを持ち、これら各キーの操作内容に応じたキー信号を生成して、処理基板に供給する操作パネルと、処理基板から供給する表示データを画面表示する表示器と、記録媒体などに記録された設計データを取り込み、処理基板に供給する記録媒体ドライブユニットと、処理基板とX−Yテーブル、レーザー光出射機構、液材吐出機構、X−Y位置決め機構との間のデータ授受をサポートする複数のインタフェースユニットとを備えている。
【0058】
そして、操作パネルの操作内容、記録媒体ドライブユニットにセットされた記録媒体から読み出した設計データなどに基づき、X−Yテーブル、X−Y位置決め機構、液材吐出機構を制御して、液材吐出機構に設けられたインクジェットノズルから液材を吐出する毎に、レーザー光出射指示信号を生成して、レーザー光出射機構に供給する。
【0059】
レーザー光出射機構は、予め決められた波長のレーザー光を発生するレーザー光発生デバイスと、レーザー光発生デバイスから出射するレーザー光を計測基板上の1点に集光するレンズとを備えており、制御装置から供給するレーザー光出射指示信号に応じて、図18に示すようにレーザー光(熱線)を出射し、計測基板上に塗布した絶縁材料などの液材を加熱して焼結する。
【0060】
このように、本発明の第3の実施の形態においては、液材吐出機構から吐出する各絶縁材料側の液材として、熱硬化性の液材を使用すると共に、液材吐出機構と隣接するようにレーザー光出射機構を設置し、このレーザー光出射機構からレーザー光を出射させて、計測基板上に塗布した絶縁材料などを短い時間で、硬化するようにしているので、計測基板上に塗布した絶縁材料などをすぐに硬化することができ、これによって立体配線、小型ベッセルなどの3次元パターンを容易に製造することができる。また、液だれ、液材の広がりなどの問題を無くすことができる。
【0061】
また、レーザー光出射機構から出射するレーザー光(熱線)によって、液材吐出機構から吐出する各導電性材料などの液材も、短い時間で硬化することができることから、図9に示す立体配線、図10に示す空中配線、図12に示す小型ベッセルなどを製造するとき、液だれ、液材の広がりなどの問題を無くし、立体配線、空中配線、小型ベッセルなどの製造精度を大幅に向上することができる。
【0062】
上述した本発明の第1実施の形態においては、インクジェット技術を使用して、1つの計測基板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料を吐出させて、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップするようにしているが、ディスペンサー技術を使用して、1つの計測基板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料を吐出させ、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップするようにしても良い。
【0063】
また、上述した第3実施の形態においては、熱硬化特性を持つ絶縁材料と、レーザー光出射機構とを使用して、液材吐出機構から吐出された液材が計測基板上に塗布されたとき、短い時間で硬化するようにしているが、紫外線硬化特性を持つ絶縁材料と、紫外線レーザー光出射機構とを使用して、液材吐出機構から吐出された液材が計測基板上に塗布されたとき、短い時間で硬化するようにしても良い。
【0064】
また、上述した実施の形態においては、X−Yテーブルによって、計測基板の描画対象エリアを切り替え、X−Y位置決め機構によって、描画対象エリア内の描画対象点を切り替えるようにしているが、可動ブロックの移動範囲が大きいX−Y位置決め機構を使用する場合には、計測基板を固定するようにしても良い。これにより、X−Yテーブルなどを不要にし、その分だけ描画システムを簡素化することができる。
【0065】
また、上述した実施の形態においては、インクジェット技術、ディスペンサー技術を利用して、1つの計測基板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料を吐出させ、放射線計測システムの各要素を描画すると共に、各要素をビルドアップするようにしているが、インクジェット技術、ディスペンサー技術を利用して、複数のベース板に、複数の絶縁材料、複数の導電性材料、収縮性接着剤などを吐出させて、放射線計測システムの各要素を描画させた後、これらの各ベース板を張り合わせたり、組み合わせたりして、ハイブリッド型の放射線計測システムを製造するようにしても良い。
【0066】
また、上述した実施の形態においては、X−Yテーブル、X−Y位置決め機構、液材吐出機構などを使用して、平面状の計測基板に絶縁パターン、導電性パターンを形成するようにしているが、X−Yテーブルに代えて、可動板が水平移動自在、上下動自在、傾倒自在に構成されたX−Y−Z−θテーブルなどを使用し、大きな凹凸を持つ計測基板、あるいは大きな曲面を持つ計測基板などに絶縁パターン、導電性パターンを形成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、放射線、粒子線などを計測する放射線計測システムの構築方法に関し、特に、このような放射線計測システムを構成する複数の技術的構成要素を一体化してビルドアップする放射線計測システムの製造方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線計測システムの製造方法であって、
(a)放射線計測システムを構成する計測基板の回路パターンを含む回路構成及び液材吐出機構の位置を、位置調整機構によって調整するステップと、
(b)前記液材吐出機構から絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を吐出させて前記計測基板上に塗布することにより、前記放射線計測システムにおける絶縁パターン及び導電性パターンを生成するステップと、
の各ステップを含むことを特徴とする放射線計測システムの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)は、
前記液材吐出機構と対応するように設置した撮像手段によって、
(b−1)前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び前記導電性材料の液材を撮影するステップと、
(b−2)前記撮影により得られた画像を処理して前記位置調整機構の制御を調整するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項3】
(c)前記液材吐出機構と対応するように設置したレーザー光出射機構からレーザー光を出射するステップと、
(d)前記液材吐出機構から吐出されて、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材、または導電性材料の液材を硬化させるステップと、
を、さらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)は、
前記液材吐出機構から吐出する絶縁材料の液材、導電性材料の液材の粘度、揮発度及び吐出量を調整しつつ前記液材吐出機構から吐出し、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を立体化して形成するステップを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)は、さらに、
前記液材吐出機構から液状の収縮性接着剤を吐出し、前記計測基板上に塗布した後、前記計測基板上に塗布した収縮性接着剤上に電子材料及び他の基板を載置して前記計測基板と結合するステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項1】
放射線計測システムの製造方法であって、
(a)放射線計測システムを構成する計測基板の回路パターンを含む回路構成及び液材吐出機構の位置を、位置調整機構によって調整するステップと、
(b)前記液材吐出機構から絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を吐出させて前記計測基板上に塗布することにより、前記放射線計測システムにおける絶縁パターン及び導電性パターンを生成するステップと、
の各ステップを含むことを特徴とする放射線計測システムの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)は、
前記液材吐出機構と対応するように設置した撮像手段によって、
(b−1)前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び前記導電性材料の液材を撮影するステップと、
(b−2)前記撮影により得られた画像を処理して前記位置調整機構の制御を調整するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項3】
(c)前記液材吐出機構と対応するように設置したレーザー光出射機構からレーザー光を出射するステップと、
(d)前記液材吐出機構から吐出されて、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材、または導電性材料の液材を硬化させるステップと、
を、さらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)は、
前記液材吐出機構から吐出する絶縁材料の液材、導電性材料の液材の粘度、揮発度及び吐出量を調整しつつ前記液材吐出機構から吐出し、前記計測基板上に塗布された絶縁材料の液材及び導電性材料の液材を立体化して形成するステップを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の放射線計測システムの製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)は、さらに、
前記液材吐出機構から液状の収縮性接着剤を吐出し、前記計測基板上に塗布した後、前記計測基板上に塗布した収縮性接着剤上に電子材料及び他の基板を載置して前記計測基板と結合するステップを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の放射線計測システムの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−88233(P2012−88233A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236498(P2010−236498)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【出願人】(308015740)株式会社Bee Beans Technologies (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【出願人】(308015740)株式会社Bee Beans Technologies (1)
【Fターム(参考)】
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