説明

放射線量計測システム

【課題】計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線量計測システムを提供する。
【解決手段】計測ユニット21〜2Nとネットワーク管理ユニット10とを備えた放射線量計測システム50において、計測ユニット21〜2Nが、電池により駆動可能であり、放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報に従って放射線量を計測し、ネットワーク管理ユニット10が、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定し、放射線量が所定の閾値以上と判定した場合に、予め定められたルールに従って、所定の閾値以上の放射線量を示す計測データを計測した計測ユニット21〜2Nに対する計測設定情報の更新要求であって、更新内容と、他の計測ユニット21〜2Nに実行させる処理内容を示す情報である送信情報と、送信情報の送信範囲とを含む更新要求を作成し、作成した更新要求を計測ユニット21〜2Nに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線量を計測する複数の計測ユニットと、該計測ユニットとの通信ネットワークを管理するネットワーク管理ユニットとを備えた放射線量計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、放射線の量を監視し、放射性物質の拡散状況等を把握して、放射性物質の拡散状況を予測しようとする放射線モニタリングシステムが知られている。
【0003】
このような放射線モニタリングシステムには、例えば、放射性物質取扱施設等、災害や事故により放射性物質が漏れ出て周辺施設を汚染する可能性のある場所において放射線量を監視するためのシステムであって、放射線センサ、雨量計、風向・風速計を有するモニタリングポストを互いに距離を置いて複数配置し、配置した複数のモニタリングポストに接続された監視部において、モニタリングポストから送られてくる観測データに基づいて放射線量の強度分布を求め、現状を把握するとともに、今後の放射性物質の拡散状況を予測するシステムがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、例えば、原子力発電所等の各種原子力施設の周辺地域において、放射線量測定を行う多数の移動可能な子局と、子局から遠く離れた場所にあり、子局から無線で伝送される子局の位置データと放射線量データとを受信して、データ処理を行う親局とからなる、環境放射線モニタリング装置などが開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−228753号公報
【特許文献2】特開平8−334563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の放射線モニタリングシステムにおいて放射線量を計測するために用いられる放射線量計測システム(複数の放射線センサから成り、複数の放射線センサが設置された場所での放射線量を計測するシステム。)では、放射線量を計測する計測ユニット(例えば、モニタリングポストや子局)を設置する際に、配線工事や特別な設定処理を行う必要がある場合があり、計測ユニットの設置に要する作業負担が過大になることがあるという問題があった。
【0007】
また、従来の放射線量計測システムでは、災害や事故により外部からの電力供給が途絶えた場合などの緊急時に、放射線量の計測ができなくなる場合があるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決すべく、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線量計測システムを提供することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の放射線量計測システムは、放射線量を計測する複数の計測ユニットと、該計測ユニットとの通信ネットワークを管理するネットワーク管理ユニットとを備えた放射線量計測システムであって、前記計測ユニットは、電池により駆動可能であり、放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報に従って前記放射線量を計測する計測手段と、該計測手段により計測された計測データを前記ネットワーク管理ユニットに送信する計測データ送信手段とを含み、前記ネットワーク管理ユニットは、前記計測ユニットの計測データ送信手段により送信された計測データを受信する計測データ受信手段と、該計測データ受信手段により受信された計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定する放射線量判定手段と、該放射線量判定手段により前記放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、予め定められたルールに従って、当該所定の閾値以上の放射線量を示す計測データを計測した計測ユニットに対する前記計測設定情報の更新要求であって、前記計測設定情報の更新内容と、当該計測ユニットが他の計測ユニットに対して送信する情報であって該他の計測ユニットに実行させる処理内容を示す情報である送信情報と、該送信情報の送信範囲とを含む更新要求を作成する更新要求作成手段と、該更新要求作成手段により作成された更新要求を当該計測ユニットに送信する更新要求送信手段とを含み、前記計測ユニットはさらに、前記ネットワーク管理ユニットの前記更新要求送信手段により送信された更新要求を受信する更新要求受信手段と、該更新要求受信手段により前記更新要求が受信されたことに応じて、当該更新要求が含む前記更新内容に従って前記計測設定情報を更新する計測設定情報更新手段と、前記更新要求受信手段により前記更新要求が受信されたことに応じて、当該更新要求が含む前記送信範囲に従って当該更新要求が含む前記送信情報を送信する送信情報送信手段と、他の計測ユニットの前記送信情報送信手段により送信された送信情報を受信する送信情報受信手段と、該送信情報受信手段により受信された送信情報が示す処理内容を実行する実行手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
上記の構成としたことで、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線量計測システムを提供することができるようになる。
【0011】
前記更新要求作成手段は、前記他の計測ユニットが前記計測頻度を上げるための処理内容を示す送信情報を作成する構成とされていてもよい。
【0012】
前記複数の計測ユニットは、原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設の敷地内及びその周辺地域に配置され、前記ネットワーク管理ユニットは、前記ルールを記憶するルール記憶手段を含み、該ルール記憶手段には、前記放射線量判定手段により前記放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、放射線量に応じて予め設定された数のホップ数を前記送信範囲とすることを示すルールが記憶されており、前記計測ユニットの前記送信情報送信手段は、前記送信範囲に従ってホップ数を限定したブロードキャスト通信により前記送信情報を送信する構成とされていてもよい。
【0013】
前記ネットワーク管理ユニットは、前記計測ユニットの計測手段により計測された計測データを記憶する計測データ記憶手段と、前記計測データ受信手段により受信された計測データを前記計測データ記憶手段に登録する計測データ登録手段と、前記計測データの表示や分析が可能な情報処理装置に対して、前記計測データ記憶手段に記憶された計測データを無線通信により提供する無線通信手段とを含む構成とされていてもよい。
【0014】
前記ネットワーク管理ユニットの放射線量判定手段は、前記計測手段により計測された計測データが示す放射線量が特定の閾値以下になったか判定し、前記ネットワーク管理ユニットは、前記放射線量判定手段により前記放射線量が特定の閾値以下になったと判定されたことに応じて、前記計測手段により当該放射線量を計測した計測ユニットと所定の関係を有する計測ユニットが計測した計測データを比較対象として特定する比較対象特定手段とを含み、前記放射線量判定手段は、前記比較対象特定手段により特定された比較対象としての計測データが示す放射線量が前記特定の閾値以下になったか判定し、前記更新要求作成手段は、前記放射線量判定手段により前記比較対象としての計測データが示す放射線量が前記特定の閾値以下になったと判定された場合に、放射線量の計測頻度を下げることを示す前記更新要求を作成する構成とされていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線量計測システムを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】放射線モニタリングシステムの構成の例を示すブロック図である。
【図2】計測ユニットの構成の例を示すブロック図である。
【図3】ネットワーク管理ユニットの構成の例を示すブロック図である。
【図4】計測データ管理テーブルの例を示す説明図である。
【図5】複数の計測ユニットの配置の例について説明するための説明図である。
【図6】複数の計測ユニットの配置の他の例について説明するための説明図である。
【図7】放射線量計測処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態を示す放射線モニタリングシステム100の構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、放射線モニタリングシステム100は、放射線量計測システム50(本例においては、ネットワーク管理ユニット10、複数の計測ユニット21〜2N(Nは任意の正の整数)、及び中継ユニット40により構成される無線通信システム)と、データ管理サーバ60と、無線LAN通信情報端末70とを含む。なお、ネットワーク管理ユニット10、中継ユニット40、データ管理サーバ60、及び無線LAN通信情報端末70が、それぞれ複数設けられていても良い。
【0019】
また、本例においては、ネットワーク管理ユニット10と無線LAN通信情報端末70とは、無線LANを構築する。また、ネットワーク管理ユニット10と、データ管理サーバ60とは、それぞれ、インターネットなどの通信ネットワーク80に接続されている。
【0020】
図2は、本例における複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれの構成の例を示すブロック図である。ここでは、計測ユニット21を例にして説明を行う。図2に示すように、計測ユニット21は、放射線センサS1と、3軸加速度センサS2と、風向・風速計M1と、雨量計M2と、無線通信端末31と、蓄電池SBと、太陽電池電源SBPとを含む。
【0021】
無線通信端末31は、アドホック無線ネットワークにおけるネットワーク分散型セルコンピュータ(NICE)であり、多様な信号入出力機能およびZigBee無線ネットワーク連係機能を備えている。この無線通信端末(または、アドホック無線通信端末)31は、高性能、小型、低コスト、低消費電力の計測制御用コンピュータであり、アドホック無線ネットワークにおける分散ノードとして機能する。なお、本例においては、無線通信端末31は、増幅器(AMP)、DC/DCコンバータ(DC/DC)、およびPMRLY(PhotoMOSリレー)など、電池により駆動(動作)するための構成を備える。すなわち、無線通信端末31は、蓄電池SBから供給される電力により、例えば各種センサの電源制御や計測信号の送受信などを実行するための各種機器を備える。なお、増幅器等については一般的なものを用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0022】
放射線センサS1は、乾電池等の小型バッテリにより駆動可能な小電力タイプであり、例えば、小型の電離箱式放射線サーベイメータが好適である。本例においては、計測ユニット21は、予め設定された時間毎に、放射線センサS1を用いた放射線量の計測を行うものとする。
【0023】
3軸加速度センサS2は、地震検知用のセンサである。各種センサや計測器については、公知のものを用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0024】
無線通信端末31は、長距離通信が可能で、消費電力が小さいものが好適である。本例においては、無線通信端末31が実行する通信には、ZigBee(登録商標)通信を採用する場合を例にして説明を行う。
【0025】
また、無線通信端末31は、センサ等を接続することで、独立した計測・制御ノードとして機能するが、既存の設備等に取り付けることによって、その設備等をオンライン化することもできる。本例の無線通信端末31は、部品コストと消費電力の低減を目的として、その主要部品であるマイクロコンピュータに内蔵された数キロバイトのRAMのみで動作するように設計されている。なお、用途に応じてRS232C、CAN、1−Wire(登録商標)等の有線通信ポートを設けてもよく、また部品コストと消費電力の問題がない場合には、microSDメモリ等の外部記憶装置を設ける仕様としてもよい。
【0026】
蓄電池SBは、計測ユニット21を駆動できる電力量を有していれば、なるべく小型で蓄電量の多いものが好適である。具体的には、蓄電池SBは、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等を使用することができる。なお、蓄電池SBの代わりに、または併用して、アルカリ乾電池やオキシライド乾電池など、再充不能な一次電池(乾電池)を用いる構成としてもよい。
【0027】
太陽電池電源SBPは、公知の太陽光発電装置である。なお、太陽電池電源SBPの代わりに、または併用して、他の自然エネルギ発電装置(例えば、風力発電装置、振動発電装置等)を適宜使用することも考えられる。ただし、計測ユニット21に組み組む発電装置としては、計測ユニット21を外部電源から電気供給を受けることなく駆動できる程度の発電能力を有するものが好ましく、太陽光発電装置が、比較的安価で発電能力が高いため好ましい。
【0028】
なお、複数の計測ユニット21〜2Nは、全ての構成が同一である必要はなく、例えば、計測ユニット21に通信中継機能を付加し、「計測・中継ユニット」として機能させる構成としてもよい。
【0029】
また、本例においては、計測ユニット21が、風向・風速計M1、雨量計M2、および3軸加速度センサS2を備える場合を例にして説明を行う。なお、複数の計測ユニット21〜2Nの中には、各種計測器や放射線センサS1以外のセンサを備えていないものが含まれる構成としてもよい。
【0030】
なお、風向・風速形や雨量計は、小電力タイプのものが好ましい。これらのセンサにより、放射線量の計測と同時に、その計測場所における風向、風速、及び降雨量を計測する構成とすることにより、放射性物質の拡散範囲の予測に役立てることができるようになる。
【0031】
ネットワーク管理ユニット10は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、例えば放射線モニタリングシステム100の管理者により管理される。
【0032】
本例では、ネットワーク管理ユニット10と複数の計測ユニット21〜2Nと、中継ユニット40とによって、アドホック無線ネットワーク(本例ではZigBee無線ネットワーク)による放射線量計測システム50が構築されている。なお、放射線量計測システム50における通信網の形式は特に限定されず、例えば、メッシュ形式、スター形式、ツリー形式など一般的な形式でよい。
【0033】
図3は、本例におけるネットワーク管理ユニット10の構成の例を示すブロック図である。図3に示すように、ネットワーク管理ユニット10は、計測ユニットネットワーク管理サーバ10Aと、電池Bとを含む。
【0034】
計測ユニットネットワーク管理サーバ10A(以下、管理サーバ10Aという。)は、アドホック無線ネットワークにおける管理ノードとして機能する情報処理装置である。図3に示すように、管理サーバ10Aは、各種の通信処理を実行するデータ送受信部11と、通信処理にて取得したデータを所定の記憶領域に登録する処理等を実行するデータ登録部12と、複数の計測ユニット21〜2Nに対して計測データの送信指示(または、送信要求)処理等を実行する計測データ送信指示部13と、計測設定情報管理部14と、放射線量判定部15と、計測設定情報更新部16と、更新要求作成部17と、計測データDB18と、スケジュールDB19とを含む。
【0035】
ここで、計測データ送信指示部13は、全ての或いは特定の計測ユニットに対して、放射線量等の計測頻度(例えば、10分毎に1回計測、60秒毎に1回計測など)や計測データの送信頻度に関する指示を与えるための処理を実行する。具体的には、計測データ送信指示部13は、例えばネットワーク管理ユニット10のユーザ(または、放射線モニタリングシステム100の管理者)による操作に従って、放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報を作成し、作成した計測設定情報を複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれに送信する処理等を実行する。なお、計測データ送信指示部13は、作成した計測設定情報を、各計測ユニットの識別情報と対応付けした状態でスケジュールDB19に保存する。
【0036】
ここで、スケジュールDB19は、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれに対応する計測設定情報など、複数の計測ユニット21〜2Nを用いた各種データの計測に関するスケジュールを示すスケジュール情報を記憶する記憶媒体である。なお、スケジュールDB19には、予め作成された計測設定情報が記憶されていてもよい。
【0037】
また、計測設定情報管理部14は、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれに対応付けされた計測設定情報を管理する処理を実行する。本例においては、計測設定情報管理部14は、スケジュールDB19に記憶されたスケジュール情報のうち、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれに対する計測設定情報の対応付けやデータの入出力要求に応じた入出力処理等、複数の計測ユニット21〜2Nを用いた計測方法を示す計測設定情報をスケジュールDB19にて一元管理するための各種処理を実行する。
【0038】
また、放射線量判定部15は、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれから受信した計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定する処理を実行する。
【0039】
また、計測設定情報更新部16は、放射線量判定部15により放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、放射線量の計測頻度を上げるように(例えば、計測間隔を現時点での0.5倍にするように)、計測設定情報管理部14に管理された計測設定情報(すなわち、スケジュールDB19に保存された計測設定情報)を更新(情報の追加、削除を含む。)する処理を実行する。なお、計測設定情報の更新方法としては、例えば、計測設定情報更新部16が、計測データが示す放射線量や他の計測ユニットまでの距離などに基づいて、予め設定された複数の更新内容から1つの更新内容を選択して、選択した更新内容に基づいて計測設定情報を更新する構成としてもよい。また、計測設定情報更新部16が、例えば計測データDB18に記憶された計測データ(放射線量や風向、風量など)や各計測ユニットの残存電力量(または、予測残存電力量)などに基づいて、更新内容を決定する構成としてもよい。なお、計測設定情報の更新のために用いるルールや各種データは、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10A)が備える記憶装置(例えば、更新基準情報DB)に記憶されているものとする。
【0040】
また、更新要求作成部17は、予め定められたルールに従って、所定の閾値以上の放射線量を示す計測データを計測した計測ユニット21〜2Nに対する計測設定情報の更新要求であって、計測設定情報の更新内容と、計測ユニットが他の計測ユニットに対して送信する情報であって他の計測ユニットに実行させる処理内容を示す情報である送信情報と、送信情報の送信範囲とを含む更新要求を作成する処理を実行する。本例においては、更新要求作成部17は、更新内容として、更新要求の対象となる計測ユニットが、計測設定情報更新部16により更新された計測設定情報が示す内容(例えば、計測頻度)で計測を行うようにするための情報を作成する。また、更新要求作成部17は、送信情報として、送信範囲内の他の計測ユニットが計測頻度を上げるための処理内容を示す情報を作成する。また、更新要求作成部17は、送信範囲として、放射線量判定部15により放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、放射線量に応じて予め設定された数のホップ数を示す情報を作成する。
【0041】
なお、管理サーバ10Aは、更新要求を作成するために用いる更新対象を選択するためのルール(すなわち、ルールに関する情報)を記憶する記憶媒体であるルールDB(図示せず。)を備える。なお、本例においては、ルールDBには、計測データが示す放射線量が高いほど、複数の計測ユニット21〜2Nが計測頻度を上げるように計測設定情報を更新することを示すルールが記憶されていることとする。なお、更新要求に記憶されるルールはこれに限定されず、例えば、観測地域における風量が多い場合には送信範囲を広くする(例えば、通常はホップ数を「1」にするところを、「2〜3」程度にする)ことを示すルールや、観測地域における風向に応じて計測頻度を上げる程度を調節する(例えば、風向きから判断して放射線量が上昇する可能性が低いと予測可能な位置に配置された計測ユニットに関しては、計測頻度を変化させない)ことを示すルールであってもよい。また、ネットワーク管理ユニット10にて複数の計測ユニット21〜2Nの配置を把握可能な場合は、例えば、計測ユニットの配置密度によってホップ数を選択することを示すルールが記憶されていても良い。
【0042】
また、計測データDB18は、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれから受信した放射線量等の計測データを記憶する。
【0043】
図4は、計測データDB18における計測データ管理テーブルの例を示す説明図である。図4に示すように、計測データ管理テーブルには、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれについて、割り当てられている計測ユニット番号、計測時刻、計測位置、計測された放射線量、風向、風速、及び降雨量を含む計測データが格納されている。
【0044】
なお、計測位置については、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれの設置時に、別途、例えば複数の計測ユニット21〜2Nの設置者がその設置場所のGPS情報を取得し、計測ユニットのメモリに設定することで、計測データとして位置情報が登録されるものとする。
【0045】
なお、例えば、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれが自己の現在位置を特定し(例えば、GPSを用いて自己の現在位置を示す座標を特定し)、計測データに特定した現在位置を含めてネットワーク管理ユニット10に送信する構成としてもよい。ただし、GPSを計測ユニットに接続し、GPS情報を自動取得する構成とする場合、GPS自体の消費電力が大きいので、計測点が頻繁に移動しない場合は、設置者などによる現在位置の設定を要する構成とする方が実用的である。
【0046】
なお、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれが、3軸加速度センサにより特定の大きさ以上の加速度を検知したときにのみGPS情報を取得し、取得したGPS情報をネットワーク管理ユニット10に送信する構成としてもよい。すなわち、加速度センサを計測ユニットの移動の検知として利用し、移動の可能性がある場合はGPS情報を取得してネットワーク管理ユニット10に送信する構成としてもよい。このような構成とすることで、計測ユニットの消費電力を抑えつつ、計測データ管理テーブルにて計測ユニットの現在位置を正確に把握することができるようになる。なお、このような構成とする場合、計測ユニット21〜2Nは、加速度センサにより取得したデータに基づいて計測ユニット21〜2Nの移動が完了したか否かを判定し、移動が完了したと判定したとき(例えば、加速度が基準値になったとき)、または移動が完了したと判定したあと所定時間経過後に、GPS情報の取得を行う構成とされることが好ましい。GPS情報の取得回数を抑えることにより、電力の消費を抑えるためである。
【0047】
管理サーバ10Aは、ZigBee無線ネットワークに連係された全ての無線通信端末31〜3Nの運用を管理すると共に、複数の無線通信端末31〜3Nそれぞれからセンサ情報等のデータ(本例においては、計測データ。)を収集し、データ管理サーバ60や無線LAN通信情報端末70に送信する機能を備えている。具体的には、管理サーバ10Aのデータ送受信部11が、アドホック無線通信機能、無線LAN通信機能、及び広域無線通信機能を備える。
【0048】
ここで、「アドホック無線通信機能」は、計測ユニット21〜2Nそれぞれとの通信のために用いる。アドホック通信によれば、通信可能範囲内(例えば、数十〜数百メートルの通信可能距離内)に存在する通信端末間で自動的に双方向性通信を開始するため、例えば、多数の計測ユニットを広範囲に設置する場合であっても、各計測ユニット間の配線や特別な設定処理を行うことなく、メッシュ型やスター型等の各種無線通信網を容易に形成することができ、便宜である。なお、本例においては、アドホック無線通信機能を実現するために、ZigBee通信を採用する。
【0049】
また、「無線LAN通信機能」は、無線LAN通信情報端末70との通信のために用いる。無線LAN通信によれば、一般にアドホック無線通信よりも大量のデータを短時間で送受信することが可能である。また、例えばWi-Fi(登録商標)通信のように、一般に市販されている携帯電話機(特に、スマートフォン)などの携帯端末やパーソナルコンピュータ(パソコン)で採用されている通信形式を採用すれば、放射線モニタリングシステム100を実現させる際に専用の情報端末を用意する必要がなくなり、便宜である。なお、通式形式に関しては、スマートフォンやパソコンに外部接続して使用可能な通信用デバイスに広く採用されている通信形式を採用する構成としてもよい。また、本例においては、Wi-Fi通信を採用するため、各通信端末間の通信可能距離は、一般に数十メートルとなる。
【0050】
また、「広域無線通信機能」は、データ管理サーバ60との通信のために用いる。インターネット回線や衛星通信回線を利用する広域無線通信によれば、大量のデータを短時間に長距離間で送受信することが可能である。本例においては、携帯電話回線を介したインターネット通信回線を利用するものとする。
【0051】
なお、携帯電話回線やインターネット回線等の、外部の通信インフラを利用する場合、大規模な災害や事故が生じた場合に、その通信インフラが故障して不通になったり、多数の利用者からのアクセスが集中して通信に遅延が生じたりする可能性があるといった問題がある。そのため、放射線モニタリングシステムの導入の際には、通信インフラの設置位置や設置数にも注意することが好ましい。
【0052】
また、管理サーバ10Aには、コストや消費電力の制約が少ないため、複数の無線通信端末31〜3Nそれぞれに搭載されているマイクロコンピュータよりも格段に高性能なマイクロコンピュータが搭載され、数十メガバイトのRAMと数ギガバイトの記憶装置(例えばSDメモリ)が搭載されている。これらの記憶媒体が計測データDB18などとして用いられる。
【0053】
また、管理サーバ10Aには、アドホック無線ネットワーク全体の基準となるリアルタイムクロック(RTC)が搭載されている。
【0054】
ネットワーク管理ユニット10が含む電池Bは、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれに付加するもの(本例においては、蓄電池SB)よりも蓄電量が多いものであることが好ましい。ネットワーク管理ユニット10は、一般に、計測ユニットよりもデータ通信量やデータ処理量が多く、消費電力が大きいからである。
【0055】
なお、ネットワーク管理ユニット10に、自然エネルギ発電装置を付加する構成としてもよい。自然エネルギ発電装置は、太陽光発電装置、風力発電装置、振動発電装置等を適宜使用することが可能であるが、ネットワーク管理ユニット10を、外部電源から電気供給を受けることなく駆動できる程度の発電能力を有することが好ましい。そのため、特に、太陽光発電装置が比較的安価で発電能力が高いため好ましい。
【0056】
ネットワーク管理ユニット10が、電池Bや自然エネルギ発電装置を含む構成とすることで、外部電源を使用することなく、長時間に亘って各種データを採って送受信することができるようになる。
【0057】
中継ユニット40は、アドホック無線通信端末と蓄電池とを含む(図示せず。)。なお、他の放射線量計測システム50の構成要素と同様に、中継ユニット40に自然エネルギ発電装置を付加する構成としてもよい。
【0058】
本例においては、中継ユニット40は、複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれとネットワーク管理ユニット10との間において、通信距離不足を補い、また、遮蔽物等によって通信電波が届き難い場合に遮蔽物等を迂回して通信ルートを確保するために使用される。
【0059】
データ管理サーバ60は、ネットワーク管理ユニット10との広域無線通信により、各種計測データを入手し、入手した計測データの処理や分析を行い、自己が備える記憶装置の記憶領域に記憶する処理等を実行する。本例においては、データ管理サーバ60は、例えば、ネットワーク管理ユニット10との通信により、ネットワーク管理ユニット10の計測データDB18に記憶された計測データの分析を行い、放射性物質拡散予測マップを作成し、作成した放射性物質拡散予測マップを示す情報を分析結果情報として所定期間所定の記憶領域に保存しておく処理等を実行する。
【0060】
なお、データ管理サーバ60による計測データの分析は、データ管理サーバ60の記憶装置に記憶された分析プログラムに従ってデータ管理サーバ60が単独で実行する構成としてもよいし、例えばデータ管理サーバ60の管理者などにより行われる構成としてもよい。また、データ管理サーバ60の管理者による操作に従って、データ管理サーバ60がネットワーク管理ユニット10に対して各種指示(例えば、計測データの送信指示等)を与えることができる構成としてもよい。
【0061】
データ管理サーバ60とネットワーク管理ユニット10との間の通信は、一般に普及している通信インフラである、3Gまたは4G無線通信を介したインターネット通信システムや衛星通信システムを採用することができる。これにより、大量の情報を短時間で送受信することができるようになる。
【0062】
無線LAN通信情報端末70は、ネットワーク管理ユニット10との無線LAN通信に使用する機器であり、ネットワーク管理サーバ10Aの計測データDB18にアクセスして、計測データDB18に記憶されている放射線量等のデータ(計測データ)を直接確認することができ、また、ネットワーク管理ユニット10に指示を与えることができる。
【0063】
したがって、大規模な災害や事故等により広域無線通信が不可能となり、放射線量等のデータをデータ管理サーバ60から入手できなくなったような場合でも、ネットワーク管理ユニット10から必要な計測データを適宜に入手することができるため、周辺地域の安全対策に資することができるようになる。また、Wi-Fi通信のように、一般に広く普及している通信形式を採用すれば、情報端末として、一般に市販されているスマートフォンやパソコンを使用することができるので、便宜である。
【0064】
なお、本例においては、無線LAN通信情報端末70は、計測データDB18に記憶されたデータを、自己が備える表示装置の表示画面に表示する処理等を実行する。また、無線LAN通信情報端末70は、データ管理サーバ60にて、計測データの分析結果を示す分析結果情報が作成されている場合に、ネットワーク管理ユニット10を介して(ネットワーク管理ユニット10に分析結果情報が記憶されている場合には、ネットワーク管理ユニット10から)分析結果情報を取得し、取得した分析結果情報を自己が備える表示装置の表示画面に表示する処理等を実行する。
【0065】
なお、放射線モニタリングシステム100においては、無線LAN通信端末70が、通信ネットワーク80を介して直接データ管理サーバ60へアクセスし、放射性物質拡散マップ等を示す分析結果情報を取得することが可能な構成とされることが好ましい。分析結果情報の取得経路を複数設けておくことにより、通信環境に何らかの障害が発生した場合の適応性を向上させることができるようになる。
【0066】
次に、複数の計測ユニット21〜2Nの配置について説明する。
【0067】
図5は、放射線量計測システム50における複数の計測ユニット21〜2Nの配置の例について説明するための説明図である。例えば、放射線量計測システム50が10個の計測ユニット21〜210を備える場合、図5(A)に示すように、計測ユニット21〜210は、ネットワーク管理ユニット10の配置位置を略中心とする略星形正多角形状(本例においては、星形正五角形状)に配置される。なお、ここでの「略中心」には、ネットワーク管理ユニット10の配置位置が、略星形正多角形に内接する多角形の内側に位置する場合を含むこととしてもよい。
【0068】
なお、複数の計測(/中継)ユニットの配置方法として有望なのは、ビルの屋上等、太陽エネルギとアドホック無線通信経路の確保が容易な場所に、比較的消費電力の大きい中継ユニットを配置し、その周囲の地上部に低消費電力モードで動作する計測ユニットを配置する形態である。すなわち、計測/中継ユニットの設置場所は、お互い(すなわち、他の計測/中継ユニット)の見通しが確保でき、日陰の少ない建物の屋上部とすることが好ましい。そのため、計測ユニット21〜2Nを配置する位置は星形正多角形の各に限定されず、ネットワーク管理ユニット10が置かれた環境によっては、例えば図5(B)に示すように、7つの計測ユニット21〜27が、ネットワーク管理ユニット10の配置位置を略中心とする1つの略星形正多角形の線上に位置するように配置されていてもよい。
【0069】
図6は、複数の計測ユニット21〜2Nの配置の他の例について説明するための説明図である。図6に示すように、複数の計測ユニット21〜2Nが、ネットワーク管理ユニット10の配置位置を基準とする(例えば、ネットワーク管理ユニット10の配置位置を略中心とする)メッシュ状に配置された構成としてもよい。
【0070】
なお、計測ユニット21〜2Nの配置は、星形配置(星状配置)やメッシュ状配置に限定されず、ネットワーク管理ユニットが配置された位置を基準とした所定の基準に従った位置に配置されていればよい。
【0071】
また、計測ユニット21〜2Nが孤立しない範囲で(すなわち、1つの計測ユニットの通信可能範囲内に他の計測ユニットが配置されていないということがない範囲で)、計測ユニット21〜2Nがランダムに配置(すなわち、所定の配置規則に従わずに、例えば放射線量の計測に適した位置に順次配置)されていてもよい。なお、この場合、例えばネットワーク管理ユニット10が、計測ユニット21〜2Nの位置情報に基づいて、放射線量計測システム50を構成する計測ユニット21〜2Nの配置に応じた基準形状を特定し、特定した基準形状(例えば、略星形正多角形)を、後に計測ユニット21〜2Nを増減させる場合の参考基準として出力可能な構成としてもよい。また、ネットワーク管理ユニット10が、ランダムに配置された計測ユニット21〜2Nの配置状況に対して評価値を算出可能な構成としてもよい。この場合、例えば、計測ユニット21〜2Nの配置が1つの星形正多角形状に配置されているほど高い評価値を算出することなどが考えられる。
【0072】
なお、複数の計測ユニット21〜2Nを略星形正多角形状に配置する場合に、中間ユニット40の位置を星形正タ角形の線上または線上近傍に限定する必要はない。
【0073】
なお、上述した計測ユニット21〜2Nの配置は例示であり、実際の運用では、地図上のトポロジーを検討することは、労力の割にメリットが少ない。すなわち、計測(/中継)ユニットの故障時に代替ルートの構築を容易にするという意味では、できるだけ計測(/中継)ユニット間の距離が均等になるようなトポロジーが有利であるが、実際の運用ではこのような美しいトポロジーを適用することは困難である。また、地形や障害物の影響により、地図上距離と電波距離には大きな開きがあり、このことも地図上のトポロジー検討により、計測(/中継)ユニットの配置を決定することを難しくしている。この点を考慮すると、アドホック無線技術の優れた点は、ノード間(すなわち、複数の計測ユニット間)の電波距離を自動測定し、最適な通信ルートを自動決定できることにある。
【0074】
次に、本例の放射線モニタリングシステム100の動作について説明する。
【0075】
図7は、放射線モニタリングシステム100におけるネットワーク管理サーバ10(より具体的には、ネットワーク管理ユニット10が備える管理サーバ10A)と計測ユニット21〜2Nとが実行する放射線量計測処理の例を示すフローチャートである。放射線量計測処理では、計測ユニット21〜2Nにおける放射線量の計測と、計測結果に応じた処理とが実行される。なお、本発明に特に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。また、以下、計測ユニット21を例にして説明を行う。
【0076】
放射線量計測処理は、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10A)に電源が投入されたときに開始される。
【0077】
放射線量計測処理において、ネットワーク管理ユニット10の(より具体的には、管理サーバ10Aの。以下同じ。)の計測データ送信指示部13は、計測ユニット21(本例においては、計測ユニット21の無線通信端末31)に対して計測設定情報を送信する(ステップS101)。本例においては、計測データ送信指示部13は、予めスケジュールDB19に計測ユニット21に対応する計測設定情報としてに記憶されていた計測設定情報を送信する。
【0078】
計測ユニット21は、計測設定情報を受信すると、受信した計測設定情報に従って放射線量の計測を開始する(ステップS102)。なお、計測ユニット21は、受信した計測設定情報を、所定の記憶装置の記憶領域に保存する。
【0079】
計測を開始すると、計測ユニット21は、計測設定情報が示す計測データ送信時間(例えば、計測開始から5分または最後に計測データを送信してから5分。)が経過したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、計測データ送信時間が経過していないと判定すると(ステップS103のN)、計測ユニット21は、ステップS102の処理に移行する。
【0080】
一方、計測データ送信時間が経過したと判定すると(ステップS103のY)、計測ユニット21は、無線通信端末31により、放射線センサや風量計などが計測したデータ(計測データ)をネットワーク管理ユニット10に送信する(ステップS104)。
【0081】
ネットワーク管理ユニット10のデータ登録部12は、計測データを受信すると、受信した計測データを計測データDB18に登録する(ステップS105)。
【0082】
計測データが登録されると、ネットワーク管理ユニット10の放射線量判定部15は、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS106)。ここで、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上でないと判定されると(ステップS106のN)、ネットワーク管理ユニット10は、ステップS105の処理に移行する。
【0083】
一方、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上であると判定されると(ステップS106のY)、ネットワーク管理ユニット10の更新要求作成部17は、予め定められたルールに従って、計測設定情報の更新内容、送信情報、及び送信範囲を含む更新要求を作成する(ステップS107)。本例においては、更新要求作成部17が、放射線量が所定の閾値以上であると判定された計測データを取得した計測ユニット21に対応する計測設定情報の更新内容と、他の計測ユニットの計測設定情報が示す計測頻度を特定の内容に更新(例えば、平常時は10分間隔で計測するようにしているが、60秒間隔で計測するように更新)させることを示す送信情報と、ホップ数を指定した送信範囲(例えば、ホップ数を1に限定して計測ユニット21がブロードキャストを行うことを示す情報)とを含む更新要求を作成する場合を例にして説明を行う。
【0084】
更新要求が作成されると、ネットワーク管理ユニット10のデータ送受信部11は、作成された更新要求を計測ユニット10に送信して(ステップS108)、ここでの処理を終了する。なお、本例においては、更新要求を送信したことに応じて、ネットワーク管理ユニット10は、計測データが示す放射線量に応じて予め設定された処理(例えば、所定の閾値以上の放射線量が検知された場所を示す位置情報を含む警告情報を作成し、放射線モニタリングシステム100の管理者が所持する携帯端末へ送信する処理など)を実行する。
【0085】
計測ユニット21は、更新要求を受信すると、受信した更新要求に従って計測設定情報を更新する(ステップS109)。なお、本例においては、計測ユニット21は、受信した更新要求を所定の記憶領域に保存する。なお、計測ユニット21が、既に保存していた更新要求に受信した更新要求を上書きする構成としてもよいし、受信した更新要求を時系列が識別可能な状態で残しておく構成としてもよい。
【0086】
計測設定情報を更新すると、計測ユニット21は、受信した更新要求が含む送信情報と送信範囲とを確認し、送信範囲内に送信情報を送信して(ステップS110)、ステップS102の処理に移行する。なお、本例においては、計測ユニット21は、ブロードキャスト通信により送信情報を送信する。
【0087】
なお、計測ユニット21により送信された送信情報を受信した他の計測ユニット(例えば、計測ユニット22)は、受信した送信情報に従って計測設定情報を更新する。
【0088】
なお、計測設定情報が頻繁に更新されることを防止するために、例えば、ネットワーク管理ユニット10の計測設定情報更新部16が、計測設定情報の更新後、一定期間だけ計測設定情報の更新を行わない構成としてもよい。
【0089】
また、本例においては、ネットワーク管理ユニット10により送信された更新要求を受信したことにより計測設定情報を更新した計測ユニット21と、計測ユニット21により送信された送信情報を受信したことにより計測設定情報を更新した他の計測ユニット22とは、それぞれ、更新後の計測設定情報をネットワーク管理ユニット10に送信するものとする。そして、計測ユニット21,22により送信された更新後の計測設定情報を受信すると、ネットワーク管理ユニット10は、受信した更新後の計測設定情報を、それぞれ計測ユニットの識別情報と対応付けて、スケジュールDB19に保存する。
【0090】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、放射線量を計測する複数の計測ユニット21〜2Nと、計測ユニット21〜2Nとの通信ネットワークを管理するネットワーク管理ユニット10とを備えた放射線量計測システム50において、計測ユニット21〜2Nが、電池(例えば、蓄電池SB)により駆動可能であり、放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報に従って放射線量を計測し、計測した計測データをネットワーク管理ユニット10に送信し、ネットワーク管理ユニット10が、計測ユニット21〜2N(例えば、計測ユニット21)により送信された計測データを受信し、受信した計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定し、放射線量が所定の閾値以上と判定した場合に、予め定められたルールに従って、所定の閾値以上の放射線量を示す計測データを計測した計測ユニット21〜2N(例えば、計測ユニット21)に対する計測設定情報の更新要求であって、計測設定情報の更新内容と、計測ユニット21〜2N(例えば、計測ユニット21)が他の計測ユニット21〜2N(例えば、計測ユニット22〜2N)に対して送信する情報であって他の計測ユニット21〜2Nに実行させる処理内容(例えば、計測設定情報の更新処理)を示す情報である送信情報と、送信情報の送信範囲(例えば、計測ユニット21を基準とするホップ数の指定)とを含む更新要求を作成し、作成した更新要求を計測ユニット21〜2N(例えば、計測ユニット21)に送信し、計測ユニット21〜2Nが、ネットワーク管理ユニット10により送信された更新要求を受信し、更新要求を受信したことに応じて、更新要求が含む更新内容に従って計測設定情報を更新し、更新要求を受信したことに応じて、更新要求が含む送信範囲(例えば、ホップ数を1に限定したブロードキャスト通信による送信範囲)に従って更新要求が含む送信情報を送信し、(送信情報を送信した計測ユニットとは異なる計測ユニットが)送信された送信情報を受信し、受信した送信情報が示す処理内容を実行する(例えば、計測設定情報を更新する)構成としているので、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線量計測システムを提供することができるようになる。
【0091】
すなわち、例えば原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設の敷地内及び周辺地域において、環境放射線量をモニタリングするために放射線センサを備えた計測ユニットを設置する際に、配線工事や特別な設定処理を行う必要がなくなるため、計測ユニットの設置が容易となる。
【0092】
また、モニタリング対象範囲の放射線量を計測する放射線量計測システムを構成する各ユニット(例えば、計測ユニット21〜2Nと中継ユニット40)に、電池駆動が可能な装置を用いることにより、停電が起きた際にも自立駆動が可能な放射線量計測システムを実現することができるようになる。
【0093】
また、災害や事故により外部からの電力供給が途絶え、かつ携帯・固定電話回線やインターネット回線等の外部の情報インフラが使用不能になった場合でも、複数の測定地点における環境放射線量等のデータを採り続けることができるようになる。
【0094】
また、高い放射線量を検出した計測ユニットの設置場所から、放射性物質が移動或いは拡散する状況を通常時(本例においては、計測頻度を上げる前の状態。計測をしていない状態を含む。)よりも詳細に把握することができるようになる。 また、必要なときに計測頻度を上げることができるようになり、各計測ユニットにおける無駄な電力消費を抑制することができるようになる。
【0095】
なお、上述した一実施の形態では、計測ユニット21〜2Nが、自己が計測した放射線量が所定の閾値以上であったときに、自己が用いる計測設定情報を更新した後に他の計測ユニットに対する通知(例えば、ホップ数を限定した送信情報のブロードキャスト)を行う場合を例にして説明したが、処理の順番はこれに限定されず、計測ユニット21〜2Nが、自己の計測設定情報の更新前に(または、更新処理と併せて)他の計測ユニットに対する通知(すなわち、送信情報の送信)のための処理(例えば、ステップS110)を実行する構成としてもよい。
【0096】
なお、上述した一実施の形態では、放射線量計測システム50が計測した計測データはネットワーク管理ユニット10を介して無線LAN通信情報端末70に提供される場合について説明したが、放射線量計測システム50を構成する各計測ユニット21〜2Nが、情報端末(例えば、パソコンやスマートフォンといった一般的な情報端末)からの通信要求に応じて、計測データを提供可能な構成としてもよい。
【0097】
また、計測ユニットが蓄電池(または、必要に応じて、乾電池)を含む構成とすることにより、外部電源を使用することなく、長期間に亘って各種データを採って送受信することができるようになる。
【0098】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、放射線モニタリングシステム100を構成する各ユニットが、通常時(すなわち、電気の供給が正常に行われているとき)には、電池ではなく供給される電力により駆動する構成としてもよい。
【0099】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、他の計測ユニット(例えば、所定の閾値以上の放射線量を示す計測データを取得した計測ユニット21以外の計測ユニット22〜2N)が計測頻度を上げるための処理内容(例えば、計測ユニット22〜2Nがそれぞれ計測頻度を上げるように計測設定情報を更新する処理内容)を示す送信情報を作成する構成としているので、ネットワーク管理ユニットが、例えば複数の計測ユニットの配置によって計測頻度の変更対象となる計測ユニットを特定するための処理を行うことなく(すなわち、計測ユニットを検索する処理を省略して)、計測頻度を変更すべき計測ユニットを特定して指示内容の送信を行うことができるようになり、電力の消費を抑制することができるようになる。
【0100】
また、上述した一実施の形態では、複数の計測ユニット21〜2Nが、原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設の敷地内及びその周辺地域に配置され、ネットワーク管理ユニット10が、更新要求の作成に用いるルールを記憶するルールDBを備え、放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、放射線量に応じて予め設定された数のホップ数を送信範囲とすることを示すルールに従って更新要求を作成し、計測ユニット21〜2N(例えば、更新要求を受信した計測ユニット21)が、受信した更新要求が含む送信範囲に従ってホップ数を限定したブロードキャスト通信により送信情報を送信する構成としているので、高い放射線量を検出した地点だけでなく、その周辺の監視を自動的に(すなわち、例えば放射線モニタリングシステムの管理者による操作を必要としないで)強化することができるようになる。
【0101】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、無線LANにより情報処理装置(例えば、無線LAN通信情報端末70)との通信を行う構成としているので、災害などにより情報インフラが機能しない状況においても、計測データの提供を行うことができるようになる。
【0102】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、アドホック無線通信により情報処理装置(例えば、無線LAN通信情報端末70)との通信を行う構成としているので、情報インフラが機能しなくなった場合にも、計測データの提供を有効に継続することができるようになる。
【0103】
また、上述した一実施の形態では、計測ユニット21〜2Nが、計測設定情報に従って計測した計測データをネットワーク管理ユニット10に送信し、ネットワーク管理ユニット10が、計測ユニット21〜2Nにより計測された計測データを記憶する計測データDB18を備え、計測ユニット21〜2Nにより送信された計測データを受信し、受信した計測データを計測データDB18に登録し、計測データの表示や分析が可能な情報処理装置(例えば、データ管理サーバ60や無線LAN通信情報端末70)に対して、計測データDB18に記憶された計測データを無線通信により提供(例えば、計測データを送信)する構成としているので、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線モニタリングシステム(例えば、放射線モニタリングシステム100)を提供することができるようになる。
【0104】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、ネットワーク管理ユニット10が、計測された計測データが示す放射線量が特定の閾値以下になったか判定し、放射線量が特定の閾値以下になったと判定したことに応じて、特定の閾値以下の放射線量を計測した計測ユニット(例えば、計測ユニット21)と所定の関係を有する計測ユニット(例えば、計測ユニット21と略同じ時期に計測設定情報が更新された計測ユニット22)が計測した計測データを比較対象として特定し、特定した比較対象としての計測データが示す放射線量が特定の閾値以下になったか判定し、比較対象としての計測データが示す放射線量が特定の閾値以下になったと判定した場合に、放射線量の計測頻度を下げることを示す更新要求を作成する構成としてもよい。このような構成とすることにより、計測ユニットに、計測頻度を通常時よりも上げた計測を実行させる必要性が低いと判断できる場合に、計測頻度を低下させて電力消費量を抑制することができるようになる。
【0105】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜2Nが、アドホック無線ネットワークを自動的に構築し、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)に対してアドレス管理に用いる所定のデータを送信する構成としてもよい。このような構成とすることにより、計測ユニット21〜2Nが構築したネットワーク(例えば、放射線量計測システム50)に関するアドレス管理が可能となる。この場合、例えば、ネットワーク管理ユニット10が、計測ユニットを有する分散ノード(例えば計測ユニット21〜2N、無線通信端末31〜3N)にそれぞれ割り当てられている論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレスのアドレス群が登録されるアドレス管理テーブルが記憶されたアドレスDBを備え、分散ノードから自己に割り当てられているアドレス群のうち少なくともネットワークアドレスを含むアドレスを提示したデータを受信したときに、アドレス管理テーブルを参照して、提示されたアドレスが正常であるか否か確認し、提示されたアドレスが正常でないと判定したことに応じて、全ての分散ノードに対してアドレス送信要求を行い、アドレス送信要求に応じて送信されてきた各分散ノードのアドレスをアドレス管理テーブルに登録してそのアドレス管理テーブルを更新する構成としてもよい。このような構成とすることにより、アプリケーションレベルにおける処理効率を向上させることが可能なアドレス管理を行うことができるようになる。
【0106】
すなわち、従来のアドホック無線通信ネットワークでは、分散ノードに自動的に割り当てられるネットワークアドレスによりアドレス管理を行うようにしているため、アプリケーションレベルでの処理負荷が大きくなるという問題があった。これに対して、上述した第2の実施の形態では、分散ノードから提示されたアドレスが正常でないと判定されたことに応じて、全ての分散ノードに対してアドレス送信要求を行い、アドレス送信要求に応じて送信されてきた各分散ノードのアドレスをアドレス管理テーブルに登録してそのアドレス管理テーブルを更新する構成としたので、信頼性を失ったアドレス管理テーブルを自動的に再構築することが可能となり、信頼度の高い論理アドレスによってアプリケーションレベルにおいて分散ノードを特定することができるようになるため、アプリケーションレベルにおける処理効率を向上させることが可能なアドレス管理を行うことができるようになるのである。
【0107】
よって、災害などによりアドホック無線ネットワークを構築する複数の計測ユニットのうちいずれかが故障し、アドホック無線ネットワークの構成が変化する場合などに、より有効なアドレス管理を行うことができるようになる。
【0108】
また、大規模災害などの発生に対応して放射性物質を取り扱う施設周辺に複数の計測ユニットを新たに設置する場合に、アドホック無線ネットワークを構築する計測ユニット群のアドレス管理に要するアプリケーションレベルの処理効率を向上させることで、計測ユニットの設置に要する負担を軽減させることができるようになる。
【0109】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、ネットワーク管理ユニット10が計測ユニット21〜2N(すなわち、放射線計測器)から計測データを取得する方法として、多くの放射線機器が搭載している計測値に比例したアナログ電圧出力を読み取る方法を採用する構成としてもよい。ただし、放射線計測器の機種によっては、電圧出力レンジが0〜10mV、0〜100mV、0〜2Vのように区々であるため、1倍、30倍、300倍に設定可能な可変ゲインアンプを搭載し、電圧出力レンジに依らず高精度な読み取りを可能とすることが好ましい。このような構成とすることにより、計測ユニット21〜2Nを構成する放射線機器の機種を統一する必要がなくなるため、計測ユニットの設置に関する制限を緩和することができるようになる。
【0110】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜2Nを構成する放射線計測器の機種によっては、電圧出力が計測値の対数に比例するようになっているものがあるので、計測ユニット21〜2Nが指数演算を行い、電圧値を計測値に変換する構成としてもよい。
【0111】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、放射線計測器の消費電力を低減するため、内臓電池と本体の接続ケーブル中に電子スイッチ(フォトモスリレー)を入れ、計測ユニット21〜2NからON/OFF制御ができる構成としてもよい。このような構成とすることにより、内臓電池を利用するため、機種により電池の電圧が変わっても計測ユニット側の調整等が不要となる。また、電源をONしてから計測値が安定するまで、30〜60秒必要であるので、計測出力電圧の読み取りはその後実行する構成とすることが好ましい。
【0112】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、放射線計測器の機種によっては、ACアダプタ等による外部からの給電が必要な場合もあるため、計測ユニット21〜2Nに可変電圧式のDC−DCコンバータを搭載し、計測ユニット21〜2Nの電源(例えば、太陽電池とLi−ion電池)から放射線計測器への給電を可能とする構成としてもよい。
【0113】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜2Nによる風向の計測は、毎秒の計測値を16方位に分類し、過去10分間(可変)の出現頻度として記録する方式を採用する構成としてもよい。
【0114】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜2NそれぞれがmicroSDメモリなどの情報記憶媒体を搭載しており、無線通信が不良となった場合でも、計測データが欠落しない構成としてもよい。
【0115】
なお、上述した一実施の形態では、放射線量の判定などをネットワーク管理ユニット10が実行する場合について説明したが、ネットワーク管理ユニット10が実行する放射線量の判定処理(例えば、ステップS106)や更新対象の選択処理(例えば、ステップS107)を複数の計測ユニット21〜2Nそれぞれが実行する構成としてもよい。ただし、計測ユニットの構成で優先すべきは電力消費量の抑制であるため、計測ユニットには限られた能力を与えることが好ましく、複雑なロジックを入れることは推奨されない。また、分散した複数の計測ユニットに判断ロジックを分散させるとその更新が難しくなる。また、計測ユニット側に判断機能を持たせると、ネットワーク管理ユニットとの通信が多く発生するため、電力消費量が増加するという問題がある。上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、閾値を用いた簡単な方法で更新要求の作成判定を行う構成としているので、ネットワーク管理ユニット10に複雑な判断機能を搭載することを回避することができ、電力消費を抑えることができるようになる。
【0116】
なお、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10A)と計測ユニット21〜2Nは、それぞれ自己が備える記憶媒体に記憶されている制御プログラム(ネットワーク管理プログラムや計測プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【0117】
また、上述した一実施の形態では、放射線量を計測する複数の計測ユニット21〜2Nを備えた放射線量計測システム50が、計測データを収集して管理する放射線モニタリングシステム100に組み込まれて動作する場合を例に説明したが、本発明の実施の形態はこれに限定されず、本発明に係る放射線計測システムは、放射線量の計測データを利用するシステムであればどのようなシステムにも組み込むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線量計測システムを提供するのに有用である。
【符号の説明】
【0119】
B 電池
SB 蓄電池
SBP 太陽電池電源
10 ネットワーク管理ユニット
10A 計測ユニットネットワーク管理サーバ(管理サーバ)
11 データ送受信部
12 データ登録部
13 計測データ送信指示部
14 計測設定情報管理部
15 放射線量判定部
16 計測設定情報更新部
17 更新対象選択部
18 計測データDB
19 スケジュールDB
21〜2N 計測ユニット
31〜3N 無線通信端末
40 中継ユニット
50 放射線量計測システム
60 データ管理サーバ
70 無線LAN通信情報端末
80 通信ネットワーク
100 放射線モニタリングシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線量を計測する複数の計測ユニットと、該計測ユニットとの通信ネットワークを管理するネットワーク管理ユニットとを備えた放射線量計測システムであって、
前記計測ユニットは、
電池により駆動可能であり、
放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報に従って前記放射線量を計測する計測手段と、
該計測手段により計測された計測データを前記ネットワーク管理ユニットに送信する計測データ送信手段とを含み、
前記ネットワーク管理ユニットは、
前記計測ユニットの計測データ送信手段により送信された計測データを受信する計測データ受信手段と、
該計測データ受信手段により受信された計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定する放射線量判定手段と、
該放射線量判定手段により前記放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、予め定められたルールに従って、当該所定の閾値以上の放射線量を示す計測データを計測した計測ユニットに対する前記計測設定情報の更新要求であって、前記計測設定情報の更新内容と、当該計測ユニットが他の計測ユニットに対して送信する情報であって該他の計測ユニットに実行させる処理内容を示す情報である送信情報と、該送信情報の送信範囲とを含む更新要求を作成する更新要求作成手段と、
該更新要求作成手段により作成された更新要求を当該計測ユニットに送信する更新要求送信手段とを含み、
前記計測ユニットはさらに、
前記ネットワーク管理ユニットの前記更新要求送信手段により送信された更新要求を受信する更新要求受信手段と、
該更新要求受信手段により前記更新要求が受信されたことに応じて、当該更新要求が含む前記更新内容に従って前記計測設定情報を更新する計測設定情報更新手段と、
前記更新要求受信手段により前記更新要求が受信されたことに応じて、当該更新要求が含む前記送信範囲に従って当該更新要求が含む前記送信情報を送信する送信情報送信手段と、
他の計測ユニットの前記送信情報送信手段により送信された送信情報を受信する送信情報受信手段と、
該送信情報受信手段により受信された送信情報が示す処理内容を実行する実行手段とを含む
ことを特徴とする放射線量計測システム。
【請求項2】
前記更新要求作成手段は、前記他の計測ユニットが前記計測頻度を上げるための処理内容を示す送信情報を作成する
請求項1記載の放射線量計測システム。
【請求項3】
前記複数の計測ユニットは、原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設の敷地内及びその周辺地域に配置され、
前記ネットワーク管理ユニットは、前記ルールを記憶するルール記憶手段を含み、
該ルール記憶手段には、前記放射線量判定手段により前記放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、放射線量に応じて予め設定された数のホップ数を前記送信範囲とすることを示すルールが記憶されており、
前記計測ユニットの前記送信情報送信手段は、前記送信範囲に従ってホップ数を限定したブロードキャスト通信により前記送信情報を送信する
請求項1または請求項2記載の放射線量計測システム。
【請求項4】
前記ネットワーク管理ユニットは、
前記計測ユニットの計測手段により計測された計測データを記憶する計測データ記憶手段と、
前記計測データ受信手段により受信された計測データを前記計測データ記憶手段に登録する計測データ登録手段と、
前記計測データの表示や分析が可能な情報処理装置に対して、前記計測データ記憶手段に記憶された計測データを無線通信により提供する無線通信手段とを含む
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の放射線量計測システム。
【請求項5】
前記ネットワーク管理ユニットの放射線量判定手段は、前記計測手段により計測された計測データが示す放射線量が特定の閾値以下になったか判定し、
前記ネットワーク管理ユニットは、前記放射線量判定手段により前記放射線量が特定の閾値以下になったと判定されたことに応じて、前記計測手段により当該放射線量を計測した計測ユニットと所定の関係を有する計測ユニットが計測した計測データを比較対象として特定する比較対象特定手段を含み、
前記放射線量判定手段は、前記比較対象特定手段により特定された比較対象としての計測データが示す放射線量が前記特定の閾値以下になったか判定し、
前記更新要求作成手段は、前記放射線量判定手段により前記比較対象としての計測データが示す放射線量が前記特定の閾値以下になったと判定された場合に、放射線量の計測頻度を下げることを示す前記更新要求を作成する
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載の放射線量計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3079(P2013−3079A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137100(P2011−137100)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【Fターム(参考)】