説明

放尿飛散防止装置

【課題】洋式便器において男性の放尿が便器周壁や床面に飛散するのを防止する放尿飛散防止装置を提供する。
【解決手段】放尿飛散防止装置6は放尿の受部7aを後端側に、放尿の排出部7bを前端側に形成している放尿受皿7と、放尿受皿7の支持部材8と、高さ調整機構9とを備え、放尿受皿7は平面視便器1内に位置し、放尿受皿7の支持部材8は便器1の左右いずれかの周側上面部1cと交差するように位置し、高さ調整機構9は便器1外に位置し、高さ調整機構9の上下作動によって放尿受皿7の支持部材8が上下動し、放尿受皿7が便器の上底部1aの位置から所定の高さ位置まで上下方向に移動するように構成され、放尿受皿7が便器の上底部1aに位置している状態で放尿受皿7の支持部材8が便器の周側上面部1cに位置し、この状態で放尿受皿7が便器の周壁から流出する洗浄水によって洗浄されるとともに、便座が開閉可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は男女共用の洋式便器、以下便器という、において男性が放尿する際の放尿が便器周壁や床面に飛散するのを防止する放尿飛散防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来便器に放尿飛散防止装置を取り付ける構成は公知である。例示すれば特許文献1、特許公開2001−161734号公報、特許文献2、実用新案登録第3141496号公報に開示されている。
特許文献1は小便の受口と落下口を有するガイド筒と、ガイド筒を支持する支持具とからなる男性放尿ガイド器具であって、前記支持具は不使用時には便器の蓋あるいはトイレの壁側に収納されており、放尿時に支持具を便器の中央付近に移動させ、支持具の先端にガイド筒を保持させる構造である。又ガイド筒は上方を大径とし、下方を小径にした円錐台形筒状で、かつ蛇腹状とし、伸縮可能とし、高さ調整できる構造である。
特許文献2は、便器の周側上面にその径に沿う大きさの筒状の飛散防止カバーを立設させる構造である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の放尿飛散防止装置においては、ガイド筒を通して放尿するので尿の飛散がなく、放尿時の便器周辺や床面の汚れが軽減されると言う利点はあるが、つぎのような問題点がある。
その1は、放尿後にガイド筒を支持具から外さねばならないが、使用後のものであり尿臭がガイド筒に付着しており、手で外す際に手に付着する虞があり、外す作業が面倒であり、不衛生である。
その2は、仮にガイド筒を支持具にとりつけた状態で,蓋の裏側やトイレの壁面に収納するとすれば、ガイド筒に付着している尿臭がトイレ内に漂い不衛生である。また壁面に収納する際にはガイド筒に付着している尿が床面やケース内に滴下し不衛生である。
その3はガイド筒は消耗品であり、材料コストが継続的にかかる。仮に洗浄して使用するとしても、その洗浄作業と、支持具への着脱作業が面倒な作業である。
【0004】
特許文献2は放尿時の便器外への飛散は、便器に直に放尿する場合に比べて緩和されるが、飛散防止カバー自体の内壁に放尿が飛散して付着し、その状態で使用されるために尿臭が常時漂い、不衛生である。また飛散防止カバー自体の洗浄作業が面倒である。
本発明は上記の従来の問題点を解消した、しかも大人、中人、小人が容易に使用できる放尿飛散防止装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はつぎの特徴を備えている。
その一は「便器の周壁に流出して便器を洗浄する洗浄装置と、便器の前端側に開閉自在に取り付けられる便座とを備えている便器にとりつけられる放尿飛散防止装置であって、該放尿飛散防止装置は放尿の受部を後端側に、放尿の排出部を前端側に形成している放尿受皿と、該放尿受皿の支持部材と、高さ調整機構とを備えており、前記放尿受皿の所定箇所に放尿受皿の支持部材の一端をとりつけており、該支持部材の他端を高さ調整機構にとりつけており、前記放尿受皿は平面視便器内に位置し、放尿受皿の支持部材は便器の左右いずれかの周側上面部と交差するように位置し、高さ調整機構は便器外に位置しており、高さ調整機構の上下作動によって放尿受皿の支持部材が上下動し、同時に放尿受皿が便器の上底部の位置から所定の高さ位置まで上下方向に移動するように構成されており、かつ放尿受皿が便器の上底部に位置している状態で放尿受皿の支持部材が便器の周側上面部に位置しており、この状態で前記放尿受皿が便器の周壁から流出する洗浄水によって洗浄されるとともに、便座が開閉可能に構成されていることを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【0006】
その二は「上記その一の構成において、高さ調整機構は所定長さの複数個の柱体を有しており、これら柱体は外側の柱体の一側内面には多数の凹凸部からなる波形部材を長手方向に形成しており、内側の柱体には上記波形部材に弾性係合する弾性係合体をとりつけており、内側の柱体を上下動した際に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で波形部材の凹部に弾性係合体が係合して停止することを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【0007】
その三は「上記その一の構成において、高さ調整機構は所定長さの複数個の柱体を有しており、これら柱体は外側の柱体には上端部に弾性係合体をとりつけており、内側の柱体には長手方向に多数の係合凹部を形成しており、内側の柱体を上下動した際に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で弾性係合体が係合凹部に係合して停止することを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【0008】
その四は「上記その一、二、三の構成において、放尿受皿は両側端側に放尿の流出を阻止する起立部を形成していることを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【0009】
その五は「上記その一、二,三,四の構成において、放尿受皿は後端側の受部を高く、前端側の排出部を低くして、放尿が前端側に流出するように形成していることを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【0010】
その六は「上記その一からその五の各構成において、放尿受皿は前端側の排出部が巾狭に、後端側側の受部が巾広に形成していることを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【0011】
その七は「上記その一からその六の各構成において、放尿受皿の排出部に排出口を下方に向けて形成していることを特徴とする放尿飛散防止装置」である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の放尿飛散防止装置においては、非使用時には放尿受皿が便器内の上底部に接地状態であるいはわずかに浮上状態で支持されるように、また放尿時には放尿受皿が所定の高さ位置まで上昇して支持されるように、放尿受皿が支持部材を介して便器の外側に設置される高さ調整機構に取り付けられており、放尿時には放尿受皿を所定の高さ位置まで上昇せしめ、放尿口つまり男性器の先端を放尿受皿の後端側上方に近づけて位置せしめて、放尿受皿に向かって放尿すれば、放尿は放尿受皿の受部で受け、前端側の排出部から便器内に落下する。それゆえに放尿の残部しずくが便器後方の床面に滴下することが解消される。又放尿は放尿受皿で一端受けてから便器内に落下するので、放尿の放出圧力は分散されて下方に落下し、便器外や便器周側に飛散しない。
【0013】
放尿後つまり非放尿時には高さ調整機構を下方に下ろして元の高さ位置に移動すれば、支持部材を介し放尿受皿も下方に移動して便器の上底部に接地される状態で位置し、その状態で水洗タンク等の洗浄装置からの放水によって洗浄水が便器周壁の流出口から便器に流出して放尿受皿は洗浄されるので、衛生的であり、尿臭が残らない。
【0014】
仮に大便の際に便器の上底部に位置している放尿受皿に大便が付着しても大便時の洗浄装置からの放水によって洗浄水が便器周壁の流出口から流出し、放尿受皿は洗浄される。
【0015】
放尿飛散防止装置は便器の上底部の位置で上下動する放尿受皿と便器外において上下動する高さ調整機構とを支持部材を介してとりつけており、非放尿時つまり非使用時には放尿受皿は便器上底部に設置される位置にあり、支持部材は便器の周側上面部に交差して位置しており、この状態で公知の便座があるいは便座および蓋が開閉可能である。
【0016】
放尿飛散防止装置は当初にセットすれば初期費用のみであり、前記した従来の装置のようにガイド筒や飛散防止カバーであれば取替え作業が必要であり、材料費が消耗品としてかかるが、それらが不必要である。しかも放尿受皿を把手することもなく衛生的であり、面倒な取替え作業もいらない。
【0017】
放尿飛散防止装置は放尿受皿で放尿を一端受けるので、尿の変化度合いたとえば血尿、薬品による尿色の変化、風邪による変化等が目視できるので、医学上にも役に立つ場合がある。
本発明による放尿飛散防止装置は上記の種々の作用効果があり、実質価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に使用する便器の略斜視図。
【図2】本発明放尿飛散防止装置を便器にとりつけている状態を示す略平面斜視図。
【図3】本発明放尿飛散防止装置の使用状態を示す略側面図。
【図4】本発明放尿飛散防止装置の非使用状態を示す略側面図。
【図5】本発明放尿飛散防止装置の略斜視図。
【図6】本発明放尿飛散防止装置の高さ調整機構の別の実施例を示す略縦断説明図。
【図7】同上の略横断説明図。
【図8】図6において高さ調整部材を伸ばした略縦断説明図。
【図9】本発明放尿飛散防止装置の高さ調整機構の外柱体の別の実施例を示し、Aは横断説明図、Bは正面図、Cは側面部図。
【図10】中柱体の別の実施例を示し、Aは横断説明図、Bは正面図、Cは背面図。
【図11】内柱体の別の実施例を示し、Aは横断説明図、Bは正面図、Cは外、中、内柱体を組んだ説明図。
【図12】本発明放尿受皿の他の実施例を示しAは平面図、BはAのX−X断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明について実施例を図面を用いて説明する。
図1において、1は公知の便器で、1aは上底部、1bは排出溝部、1cは周側上面部である。2は公知の洗浄装置、図面では洗浄タンクを示す。3は配水パイプである。大、小便の後、開栓コック(不図示)の操作により洗浄水が便器の周壁部の流出口から便器に流出して上底部や周壁部を洗浄し、排出溝部から排出される。
4は公知の便座、5は同じく蓋である。これらは便器の周側上面部に開閉可能である。蓋はなくてもよい。4aは便座の下面の所定箇所に複数個形成している支持突起で、便座を閉じた際に便器の周側上面部1cに支持される。支持突起を設けずに便座下面にクッション材質あるいは軟質材質の支持層を形成して直に周側上面部に支持されてもよい。不図示であるが、便器に付帯設備としてビデ、おしり洗浄、乾燥装置等を備えている構造も公知である。
【0020】
図2は図1に示す便器1に、本発明の放尿飛散防止装置6をとりつけている略平面斜視図を示す。該装置は放尿受皿7、該放尿受皿の支持部材8、高さ調整機構9を備えている。前記放尿受皿7の所定箇所に支持部材8の一端を取り付けており、該支持部材の他端を高さ調整機構9に取り付けている。高さ調整機構はその詳細を後述するが、高さが伸縮する、つまり上下に移動する構造であり、手動式、電動式など公知の構造である。
【0021】
放尿受皿7は、非放尿時には便器の上底部1aに位置し、支持部材8は便器の一側の周側上面部1cと交差するように位置し、高さ調整機構は便器外に位置している。
高さ調整機構の所定高さの上下作動によって、支持部材が上下動し、同時に放尿受皿が便器の上底部の位置から所定高さ位置まで上下方向に移動するように構成されている。放尿時の放尿受皿の移動高さは、男性の身長によって放尿口、つまり男性器の高さ位置が異なるので、それに対応する範囲が好ましく略20センチメートルから80センチメートル超である。
高さ調整機構は調整部材の伸縮によるものであり、伸縮機構はラチェット構造、パンタグラフ構造,摺動構造、ソレノイド構造等公知の構造である。
【0022】
放尿受皿が便器の上底部に位置している状態で支持部材が便器の周側上面部に位置して、便座または便座と蓋が開閉可能に構成されている。放尿受皿は便器の上底部に接地状態でもよく、わずかに浮上状態でもよいが洗浄水の流れによって洗浄される位置でなければならない。また支持部材が便器の周側上面部に接地状態でもよく、わずかに浮上状態でもよいが、便座が閉じられることが必要である。
【0023】
図3は放尿飛散防止装置の使用状態を示す略側面図である。1は便器、1aは上底部、1bは排出溝部、1cは周側上面部である。4は便座、5は蓋で、周側上面部に開閉可能である。
6は放尿飛散防止装置で、放尿受皿7が支持部材8の一端に取り付けられており、支持部材の他端が高さ調整機構9にとりつけられている。しかして高さ調整機構9を所定高さに上方に持ち上げられて移動しており、支持部材を介して放尿受皿も所定高さの位置に移動している。10は男性の起立状態を示し、男性の放尿口,つまり男性器10aの位置が放尿受皿上に近接している。よって放尿は放尿受皿に放出され、放出後の尿のしずくも放尿受皿上に滴下されるので、床面に落ちることがない。
【0024】
図4は放尿飛散防止装置の非使用時の略側面図を示す。高さ調節機構を下方の元の位置に移動している。便器の上底部に放尿受皿が接地状態で、又はやや浮上状態で位置している。放尿受皿の一端にとりつけられている支持部材8が便器の周側上面部に交差してその他端が便器外の高さ調整機構にとりつけられている。便座4が支持部材8を介在した状態で便器の周側上面部を閉じている。その上に蓋5が閉じている。蓋5はなくてもよい。
【0025】
図5は放尿飛散防止装置の略斜視図である。高さ調整機構9は摺動構造で、上下方向に3段式に伸縮する柱体9a、9b、9cからなり、該高さ調整機構の上端に、つまり柱体9cの上端に支持部材8の他端が固定具11を介してとりつけられている。9a1は支持板で柱体9aの下面にあり床面に接地して固定されている。
12は操作つまみであり、固定具11の上端部に形成されている。このつまみを把持して上方向に所定高さ作動すれば、柱体9aから柱体9b、柱体9cが順次上方に露出し、所定高さを保持する。高さを下げる場合にはつまみを下方に作動すればよい。操作つまみ12は固定具とは別にして、支持部材にもしくは柱体9cの適所に形成してもよい。高さ調整機構が電動式であれば駆動モータにより高さ調整部材を上下動して、調整部材の上端に取り付けている支持部材を上下動させる構造である。作動スイッチは柱体の所定位置に設ければよい。
【0026】
支持部材8は高さ調整機構にとりつけられる水平部8aと、放尿受皿にとりつけられる水平部8cの2部材とからなり、両部材は端部に形成している垂直部8b、8bを介して連結一体にしており、段状に形成されている。一部材で形成してもよい。垂直部の高さは論ずるまでもなく放尿受皿が便器の上底部に位置している状態で、水平部8aが便器の周側上面部に交差して位置する状態の高さである。支持部材は合成樹脂製、金属製いずれでもよい。8a1は長孔であり、高さ調整機構と放尿受皿との水平方向の間隔が調整できるようにしている。また垂直部8bにも長孔8b1を形成し、高さ方向に調整できるようにしている。これらの調整は便器の形状、大きさ等、床面の状態に対応するためである。
【0027】
放尿受皿7は後端側の受部7aと前端側の排出部7bを備えており、受部7aの両側に放尿の側方からの流出を阻止する起立部7c、7cを形成している。かつ受部を巾広にし、排出部を巾狭にして略扇形に形成している。さらに放尿受皿は前後方向において、後端側の受部を高くし、前端側の排出部を低くして傾斜しており、放尿が排出部から流下しやすくしている。放尿受皿が略平坦でも放尿の流出速度によって排出部から流出するが、前端側を低く傾斜するのが好ましい。受部7aの形状を中央部が低く両側が高くなるような緩やかな湾曲型にすれば、放尿の流れが中央部寄りを伝って排出される。放尿受皿は合成樹脂製、金属製いずれでもよいが、合成樹脂製がより好ましい。透明な合成樹脂、あるいは絵柄のあるものなど使用者の好みに合うものを選択すればよい。
【0028】
図6から図8は高さ調整機構の実施例の具体例を示す。摺動構造の具体例である。
高さ調整機構は所定長さの複数個の柱体を有しており、これら柱体は外側の柱体の一側内面には多数の凹凸部からなる波形部材を長手方向に形成しており、内側の柱体には上記波形部材に弾性係合する弾性係合体をとりつけており、内側の柱体を上下動した際に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で波形部材の凹部に弾性係合体が係合して停止することを特徴とする構成である。
13は高さ調整機構で、所定長さの3本の柱体、外柱体14、中柱体22、内柱体30を有する。これらは図示のように方形状である。図6は柱体を下方に移動した状態である。外柱体14の一側内面には多数の凹凸部からなる波形部材15を長手方向に形成している。さらに中柱体22の一側内面には上記同様の波形部材23を長手方向に形成している。波形部材はステンレス板等金属板製であり、それぞれの柱体の内面にスポット溶接,ビス止めなど適宜手段で固定している。
【0029】
16は中柱体22にとりつけている弾性係合体で、略ボール状の係合部17とバネ体18からなり係合部が弾性伸縮する。中柱体を上下動した際に係合部が波形部材に 弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で停止する。19は弾性係合体の受部、ケースである。
20、21は中柱体の上下動を阻止するストッパーであり、外柱体に形成している。20は中柱体の上方への移動を阻止し、21は下方への移動を阻止する。
【0030】
同様に24は内柱体30にとりつけている弾性係合体で、係合部25とバネ体26からなり、係合部25が伸縮する。しかして内柱体30を上下動した際に係合部が波形部材23に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で停止する。27は弾性係合体の受部である。
28、29はストッパーであり、中柱体に形成している。28は内柱体の上方への移動を阻止し、29は下方への移動を阻止する。
【0031】
図8は外柱体14から中柱体22を上方に伸ばし、かつ内柱体30を上方に伸ばした状態の説明図である。男性10の男性器10aの高さに応じて高さ調整機構13の中柱体22、内柱体30の上下動によって調整できる。よって操作つまみの上下動操作によって内柱体の上部にとりつけている支持部材8に支持されている受皿7の高さ位置が調整できる。
【0032】
上記実施例は高さ調整機構を外、中、内柱体の3個の柱体を用いて上下高さを調整しているが、複数個の柱体、たとえば2個又は4個以上の柱体でもよく、要は大人、中人、小人など身長差に対応できる高さに調整できる構成であればよい。なお高さ調整機構が3個以上の柱体からなる場合に各柱体間の弾性係合力の大小によって、係合力の小さい柱体から上下動することは容易に理解できることである。好ましいのは上段の柱体から順次上下動できる構成が使い勝手がよい。
【0033】
図9から図11は高さ調整機構の別の具体例である。摺動構造の具体例である。
高さ調整機構は所定長さの複数個の柱体を有しており、これら柱体は外側の柱体には上端部に弾性係合体をとりつけており、内側の柱体には長手方向に多数の係合凹部を形成しており、内側の柱体を上下動した際に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で弾性係合体が係合凹部に係合して停止することを特徴とする構成である。
31は高さ調整機構で、所定長さの3本の柱体、外柱体32、中柱体38、内柱体44を有する。これらは図示のように方形状である。
外柱体には上端部に弾性係合体33をとりつけている。該係合体は略ボール状の係合部34とバネ体35と受部36とからなり、係合部34が弾性伸縮する。37は切欠き支持部で中柱体にとりつけている弾性係合体40の受部を支持している。しかして中柱体38を上下動した際に、係合部34が中柱体の長手方向に多数形成している穿孔状の係合凹部39に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で弾性係合体が係合凹部に係合して停止する。
【0034】
中柱体38には上端部に弾性係合体40をとりつけている。該係合体は上記外柱体にとりつけている係合体と同様の構成であり、略ボール状の係合部41とバネ体42と受部43からなり、係合部が弾性伸縮する。
しかして内柱体44を上下動した際に係合部41が内柱体の長手方向に多数形成している穿孔状の係合凹部45に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で弾性係合体が係合凹部に係合して停止する。中柱体、内柱体の移動を阻止するストッパーは適宜設ければよい。
図11Cは本実施例の高さ調整機構において、内柱体、中柱体を上方に移動して伸ばした状態である。内柱体上部の操作つまみの操作によって支持部材8に支持されている放尿受皿7の高さが調整できる。前記実施例同様、高さ調整は柱体間の弾性係合力の大小によって中柱体、内柱体いずれを先に上下動してもよい。
【0035】
図12は放尿受皿7の他の実施例を示す。起立部7cを両側と前端側の排出部7bに連続的に形成し、排出部に排出口7dを穿孔し、形成している。放尿は排出口から下方に流下する。排出口は複数個、又筒状に形成してもよい。7eはカバー部で起立部の上面を塞いでいる。以上本発明の実施例を図面を用いて説明しているが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲の設計変更は可能である。たとえば放尿受皿の形状は方形、その他形状でもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 便器
1a 上底部
1b 排出溝部
1c 周側上面部
2 洗浄装置
4 便座
5 蓋
6 放尿飛散防止装置
7 放尿受皿 41 係合部
7a 受部 42 バネ体
7b 排出部 43 受部
7c 起立部 44 内柱体
7d 排出口 45 係合凹部
8 支持部材
8a 水平部
8b 垂直部
8c 水平部
9 高さ調整機構
11 固定具
12 操作つまみ
13 高さ調整機構
14 外柱体
15 波形部材
16 弾性係合体
17 係合部
18 バネ体
19 受部
22 中柱体
23 波形部材
24 弾性係合体
25 係合部
26 バネ体
27 受部
30 内柱体
31 高さ調整機構
32 外柱体
33 弾性係合体
34 係合部
35 バネ体
36 受部
37 切欠支持部
38 中柱体
39 係合凹部
40 弾性係合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の周壁に流出して便器を洗浄する洗浄装置と、便器の前端側に開閉自在に取り付けられる便座とを備えている便器にとりつけられる放尿飛散防止装置であって、該放尿飛散防止装置は放尿の受部を後端側に、放尿の排出部を前端側に形成している放尿受皿と、該放尿受皿の支持部材と、高さ調整機構とを備えており、前記放尿受皿の所定箇所に放尿受皿の支持部材の一端をとりつけており、該支持部材の他端を高さ調整機構にとりつけており、前記放尿受皿は平面視便器内に位置し、放尿受皿の支持部材は便器の左右いずれかの周側上面部と交差するように位置し、高さ調整機構は便器外に位置しており、高さ調整機構の上下作動によって放尿受皿の支持部材が上下動し、同時に放尿受皿が便器の上底部の位置から所定の高さ位置まで上下方向に移動するように構成されており、かつ放尿受皿が便器の上底部に位置している状態で放尿受皿の支持部材が便器の周側上面部に位置しており、この状態で前記放尿受皿が便器の周壁から流出する洗浄水によって洗浄されるとともに、便座が開閉可能に構成されていることを特徴とする放尿飛散防止装置。
【請求項2】
高さ調整機構は所定長さの複数個の柱体を有しており、これら柱体は外側の柱体の一側内面には多数の凹凸部からなる波形部材を長手方向に形成しており、内側の柱体には上記波形部材に弾性係合する弾性係合体をとりつけており、内側の柱体を上下動した際に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で波形部材の凹部に弾性係合体が係合して停止することを特徴とする請求項1記載の放尿飛散防止装置。
【請求項3】
高さ調整機構は所定長さの複数個の柱体を有しており、これら柱体は外側の柱体には上端部に弾性係合体をとりつけており、内側の柱体には長手方向に多数の係合凹部を形成しており、内側の柱体を上下動した際に弾性係合状態で摺動し、所定高さ位置で弾性係合体が係合凹部に係合して停止することを特徴とする請求項1記載の放尿飛散防止装置。
【請求項4】
放尿受皿は両側端側に放尿の流出を阻止する起立部を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の放尿飛散防止装置。
【請求項5】
放尿受皿は後端側の受部を高く、前端側の排出部を低くして、放尿が前端側に流出するように形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の放尿飛散防止装置。
【請求項6】
放尿受皿は前端側の排出部が巾狭に、後端側側の受部が巾広に形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5記載の放尿飛散防止装置。
【請求項7】
放尿受皿の排出部に排出口を下方に向けて形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6記載の放尿飛散防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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