説明

放電ランプおよびバックライト装置

【課題】電極部材やリード線のスパッタリングに起因する問題を解消し、高効率で長寿命の放電ランプおよびバックライト装置を提供する。
【解決手段】本発明の放電ランプ10は、ガラスバルブ1内部の空間に延在するリード線6の一部を実質的に包囲する中空絶縁部材8を具備する。中空絶縁部材8は、実質的に間隙が介在することなく電極部材4に接触して組み付けられ、かつリード線6との間に所定の間隔を有して延在している。本発明の一形態において、中空絶縁部材8は、電極部材4のリード線6側の端部近傍から延在してもよい。また、中空絶縁部材8は、ガラスバルブ1内面に向かって突出する突出部を有してもよい。さらに、中空絶縁部材8は、その外径または高さが放電ランプ10の長手方向に対して一定ではないように形成されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビや液晶モニタなどの表示装置用の光源として用いられる放電ランプおよびバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプの一種である冷陰極蛍光ランプは、構造が比較的簡単で調光の制御が容易などの理由から液晶表示装置用の光源として現在最も普及しているが、LED(発光ダイオード)など近年の新しい光源の出現により、既存の蛍光ランプに対しても高い輝度を維持しつつ、より一層の省電力、長寿命化が求められている。
【0003】
図13は従来例の冷陰極蛍光ランプ110を説明する部分断面図である。ランプ110は、ガラスバルブ101によってその内部に画定される放電空間103内に水銀および希ガスを気密に封入しており、放電空間103の両端には電極部材104を具備している。電極部材104の一方の端部にはリード線106が接続されており、ガラスバルブ101の外部まで導出されている。図13および図14では、簡単のために蛍光ランプ110の一端側のみの断面を示し、他端側の構造は省略したが、他端には図示した電極と対になる電極が同様の形態で配されている。
【0004】
リード線106を通じて電極間に所定の電圧が印加されると、放電空間103で放電現象が起きてガラスバルブ101内の水銀を励起し、紫外線を発生せしめる。ガラスバルブ101内面に形成された蛍光体被膜102がこの紫外線の照射を受けて可視光を発生し、透明なガラス管を通じて外部に光を放出する仕組みとなっている。
【0005】
このような放電ランプにおいて、ガラスバルブ101内に封入する希ガスの圧力を例えば約1.3kPa〜5.3kPa程度に低くすることによって、ランプ110の発光効率を高めようとする試みがなされている。しかし、封入ガスを低圧力にすると、電極部材104やリード線106を構成する材料のスパッタリング(各部材を構成する物質粒子の飛散)が生じやすい環境になることが分かっている。さらに、ランプ110に大きな管電流が供給される条件ではその問題はより一層顕著となる。スパッタリングの発生は、単に電極部材104やリード線106を消耗してしまうだけでなく、飛び出した粒子が放電空間103内の水銀イオンと結合して電極近傍のガラスバルブ101内面または蛍光体被膜102に付着してしまい、ランプ110の短寿命化につながる。
【0006】
図14は、図13に示した従来のランプ110の点灯を続けた結果、電極部材104ないしリード線106のスパッタリングにより生成された物質がガラスバルブ101および蛍光体被膜102の内面に付着してスパッタ層111を形成した様子を示している。スパッタ層111は導電性を有するため、図示したようにこれがガラスバルブ101の端部内面を覆って電極部材104またはリード線106と導通してしまうと、スパッタ層111が擬似的な電極として振る舞う場合がある。そうすると、電極化したスパッタ層111が発熱源となり、それに接触しているガラスバルブ101内面が高熱のために溶融して気密性が損なわれ、最終的に不点灯に至ることがある。
【0007】
ガラス管内で生じる電極部のスパッタリングを抑制するために、これまでも種々の対策が提案されている。
【0008】
特許文献1には、電極とガラス管内壁面との間に電気絶縁材質製の筒状体を配設することで、電極先端部からのスパッタリングを抑制する発明が開示されている。しかし、かかる構成では、筒状体と電極の間隙を介して放電が起きる可能性があり、電極部の底部近傍やリード線のスパッタリングが生じる恐れがある。また、同文献に記載の発明では、筒状体と電極の間に間隙を設ける必要があるので、筒状体をガラス管端部において固着しなければならないが、その結果歩留りが悪くなり、製造コストが増大する。また、ガラス管材料との熱膨張率の差異により、筒状体を埋め込んだ部位においてクラックが発生するなどの問題がある。
【0009】
特許文献2は、放電空間内に露出された導入線表面を電極材料よりも仕事関数値の高い物質で被覆することにより導入線のスパッタリングを防ぐ発明について開示する。この発明は、導入線が筒状電極に比べてスパッタリングに弱いことに着目し、スパッタリングが起こりにくい材料で導入線表面を被覆し、全体のスパッタリングの量を抑制しようとするものである。しかし、上述したスパッタ層の電極化に起因する問題に対処するためには、導入線表面の被覆層を十分に厚くし、耐久性を高める必要があるが、導入線のような径が比較的小さい部材に厚い被膜を形成することは困難であり、製造コストも増大する。
【0010】
【特許文献1】特開2003−323862号公報
【特許文献2】特開2005−302733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術の諸問題に鑑みてなされたもので、比較的簡易な方法でガラスバルブ内面に付着するスパッタ層の電極化を防ぐことができ、封入ガスの圧力が低く、管電流が大きいなどのスパッタリングが起こりやすい環境下においても高効率で長寿命な放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の放電ランプは、内部に放電空間を有する放電容器と、前記放電空間内に互いに対向して配置された一対の電極部材と、一端は前記電極部材に接続され、他端は前記放電容器の外部に導出されたリード線と、前記放電容器内に延在する前記リード線の一部をその周方向について実質的に包囲する電気絶縁性の中空絶縁部材であって、実質的に間隙が介在しないように前記電極部材外面に接触するとともに、リード線との間に所定の間隔を有して延在する、中空絶縁部材と、を具備することを特徴とする。
【0013】
また本発明のバックライト装置は、筺体と、筺体内に配設された上記放電ランプと、放電ランプに電気的に接続され、放電ランプに電流を供給する給電手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記構成を採用することにより、放電空間内でスパッタリングが発生してもランプの短寿命化を最大限抑えることができる新規で有用な放電ランプおよびそれを備えたバックライト装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る放電ランプについて、本明細書に添付した図面を適宜参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の放電ランプ10を説明するための断面図、図2は、図1のII−II線の断面図、図3は、電極部材4と中空絶縁部材8との組付けの関係を示す要部拡大斜視図である。図1において、長尺の放電ランプ10の中央部分は、その構成が略一様であるために省略してあり、二点鎖線はその境界を示している。
【0017】
本実施形態の放電ランプ10は、例えば硼珪酸ガラスなどの硬質ガラスからなるガラスバルブ1により放電容器が形成され、その内部には放電空間3が画定されている。放電空間3には例えばネオンNeとアルゴンArの混合ガスからなる希ガスと水銀Hgが封入されている。放電空間3に封入される希ガスは、ヘリウムHe、アルゴンAr、ネオンNe、キセノンXeおよびクリプトンKrのうち少なくとも1種が含まれていればよい。ガラスバルブ1の内面には、例えばRGB3色の蛍光体を配合した蛍光体層2が形成されている。
【0018】
ガラスバルブ1の両端部には、それぞれ有底開口(カップ状)の電極部材4,4’が固着されており、開口が放電ランプ10の中央側、底部が端部側になるように互いに対向配置されている。電極部材4は、例えば、ニッケルNiやモリブデンMoやニオブNbなどの材料からなる板材を曲げ加工で筒状に成形したものや、射出成形により筒状に成形したものを、電極部材4の底部となる板材と溶接やかしめなど公知の方法で接合することによって作製することができる。
【0019】
リード線6は、一端は電極部材4の底部と接続され、他端はガラスバルブ1の外部に導出される。リード線6は、ガラスバルブ1の端部の気密性を確保するために、ガラスバルブ1を構成する材料と熱膨張率が近似する導電性の材料により構成されるのが望ましい。例えば、ガラスバルブ1が硬質ガラスの場合には、コバールKov(ニッケルNi、鉄Fe、コバルトCoの合金)、モリブデンMo、タングステンWなどを用いることができる。
【0020】
電極部材4の底部側には、リード線6の全周を包囲するように筒状の中空絶縁部材8が設けられる。中空絶縁部材8は、図3でより明確に示されるように、実質的に間隙が介在することなく、電極部材4のリード線側の端部外表面に接触するように組み付けられており、他端側は放電空間3の端部まで延在している。中空絶縁部材8を電極部材4のリード線側端部近傍に組み付ける構造を採用することによって、少量の材料から作製可能で、かつ製造上のバラツキも抑えることがき、製造コストを低減することができる。
【0021】
本明細書において、電極部材4と中空絶縁部材8の間に「実質的に間隙が介在しない」とは、間隙が存在せず、両者が接合している場合と、間隙が存在するものの、その間隙が放電の入り込みを防止するのに十分に小さい場合の両方を包含する意味である。すなわち、本発明においては、電極部材4と中空絶縁部材8とが完全に密着していない場合であっても、約0.1mm以下、好ましくは約0.01mm以下の間隙であれば所期の効果を奏することができる。
【0022】
中空絶縁部材8の組付けは、ボルト締めなどの機械的接合方法や相互の表面上の凹凸を嵌合させる方法、その他にも接着剤などの種々の接合手段を採用することができるが、必ずしもかかる接合手段を用いる必要はなく、中空絶縁部材8の位置ずれが容易に生じない程度の寸法公差がこれらの間に存在してもよい。中空絶縁部材8の他端側は、ガラスバルブ1端部と接合されてもよいし、多少の隙間をあえて設けてもよい。本発明において、中空絶縁部材8は、位置ずれが生じないように電極部材4によって実質的に固定されており、中空絶縁部材8をガラスバルブ1内面に必ずしも接合しなくてもよい。一方、リード線6の封着性を高めるためにガラスビーズ(図示せず)をランプ端部に備え付けた形態では、中空絶縁部材8をガラスビーズに埋め込むようにして固定してもよい。
【0023】
ここで注意すべきは、本発明において、中空絶縁部材8は、リード線6との間に所定の間隔をおいて延在している点である。これらの部材を離間することによって、中空絶縁部材8の厚さを十分に確保することができ、リード線6をスパッタリングからより確実に保護することができる。また、中空絶縁部材8が完全にリード線6を包囲していなかったり、不意に穴が空いたりするなどして、リード線6が放電空間と実質的に連通するに至った場合であっても、中空絶縁部材8との間に空間が存在するので、スパッタ粒子が飛散する方向およびスパッタ粒子がガラス管に付着する範囲が制限され、それが直ちに深刻な問題とはならない。
【0024】
中空絶縁部材8は、耐熱性が高く、かつ電極部材4を構成する材料と比べて相対的に電気絶縁性を有する材料、例えば体積抵抗率が1010Ωcm以上、好ましくは1012Ωcm以上の材料から構成することができる。例えばアルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO)などの金属酸化物系のセラミックスやガラス(SiO)などの材料を使って金型成形、押出成形など周知の方法で成形し、これを乾燥、焼結したものを用いることができる。中空絶縁部材8の具体的形状は、本実施形態以外にも以下に説明する本実施形態の変形例または他の実施形態もしくはその変形例によって例示するように種々の形態のものを採用することができるが、いずれも金型成形、押出成形など周知の方法で形成することが可能である。
【0025】
次に、本発明における中空絶縁部材8の作用について説明する。リード線6は、従来放電空間3内に露出されていたところ(図13参照)、中空絶縁部材8を設けることにより、リード線6が露出されなくなり、または露出される部分が著しく小さくなる。したがって、リード線6のスパッタリングを防止してガラスバルブ1の端部にスパッタ粒子が付着するのを防ぐことができ、また、電極部材4のスパッタリングによって生成されたスパッタ粒子がリード線6に堆積することを実質的に防ぐことができる。つまり、電極部材4近傍のガラスバルブ1内面および蛍光体被膜2には飛散した粒子が堆積してスパッタ層が形成されたとしても、リード線6やガラスバルブ1の端部近傍にはスパッタ層が形成されない。これにより、ガラスバルブ1内面に堆積するスパッタ層と電極部材4ないしリード線6とを確実に電気的に隔離することができ、スパッタ層が電極化することを防ぐことができる。
【0026】
また本発明の中空絶縁部材8によれば、電極部材4およびリード線6に特殊な加工を施さなくとも所期の効果を奏することができるので、既存の一般的な種々の形態の放電ランプに容易に適用することができる。
【0027】
さらに、中空絶縁部材8の外表面に微小な凹凸を形成する加工を施したり、鋸刃状の段差パターンを形成することによって表面積を増大させ、スパッタ粒子が絶縁部材8表面にある程度形成されても電極との導通が起こりにくいようにすると本発明の効果をより一層高めることができる。
【0028】
本発明の第1の実施形態に係る第1の変形例を図4に示す。図4は、放電ランプの一端側のみを示した部分断面図であり、他端側は図示した端部と同様の構成となるので省略してあり、図中の二点鎖線はその境界を示している。ただし、放電ランプの両端を同様に構成することは必ずしも必要ではなく、一端側のみに本発明を適用し、他端側は従来どおり中空絶縁部材8を備えない形態を採用してもよい。これは、他の実施形態および変形例を説明する他の図面においても、とくに言及しない限り同様である。
【0029】
図示したようにこの変形例では、中空絶縁部材8が電極部材4の筒状部分の略全体を覆うように設けられている。こうすることによって、リード線6に対するスパッタ層の堆積を防ぐとともに、電極部材4のスパッタリング自体を抑制することができるので、ガラスバルブ1の内面に付着するスパッタ層と電極とが導通する可能性はより一層低くなる。
【0030】
図示した形態において、中空絶縁部材8は電極部材4の筒状部分の端部まで延在しているが、電極部材4の端部から突出する大きさに形成してもよい。有効発光面が小さくなるので中空絶縁部材が突出する長さには限界があるが、ランプ中央側に突出させることでスパッタ粒子がガラスバルブ1に堆積しにくくなり、スパッタ層と電極の導通を防ぐ効果が得られる。
【0031】
本発明の第1の実施形態に係る第2の変形例を図5に示す。この変形例では、中空絶縁部材8がランプの中央部からみて電極部材4の背方に隠れるような位置関係に取り付けられる。このような構成としても、電極部材4の底面と中空絶縁部材8との間には実質的に間隙がない状態で組み付けられており、リード線6は、径方向に離間して延在する中空絶縁部材8によって包囲されているため、リード線6のスパッタリングを防止するとともに、電極部材4のスパッタリングによるスパッタ粒子のリード線6への付着も防止することができる。また、中空絶縁部材8が電極部材4とガラスバルブ1との間に挟まれる形態となるので位置ずれが起きにくくなり、全体の構造も強固になる。
【0032】
図示した例では中空絶縁部材8の径と電極部材4の筒状部の径が略同じであるが、中空絶縁部材8の径を比較的小さくしてもよい。ただし、リード線6との間に十分な間隔を設ける必要がある点に留意する。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図6および図7を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本形態の部分断面図、図7は、電極部材4に中空絶縁部材8を組み付けた状態を示す斜視図である。なお、以下の説明において、基本的な構造および各部材の作用、製法などは第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は適宜省略する。第1の実施形態と同一または対応する構成については、以下の形態においても同じ符号を用いて説明する。
【0034】
本形態の中空絶縁部材8は、電極部材4に内接する端部からガラスバルブ1内面に向かって径方向外側に突出したフランジ部9を有している。フランジ部9を設けることによりガラスバルブ1内面との間隔が狭小となり、スパッタ粒子のガラスバルブ1端部および中空絶縁部材8への付着を防ぐ効果がある。また、中空絶縁部材8にスパッタ粒子が付着しても、フランジ部9の凸形状に沿って全体にスパッタ粒子が付着しない限り、電極部材4とガラスバルブ1内面のスパッタ層とが導通することはないので、スパッタ層の電極化が起こらず、ランプの寿命を延ばすことができる。
【0035】
本発明の第2の実施形態の変形例に係る中空絶縁部材8を図8に示す。つまり、この変形例の中空絶縁部材8は、フランジ部9が中空絶縁部材8の端部ではなく中央寄りの位置に設けられている。
【0036】
フランジ部9は、中空絶縁部材8の円筒状の本体と一体的に同時に作製してもよいし、別途それぞれ作成したものを接合したものでもよい。
【0037】
また、フランジ部9として説明した中空絶縁部材8の突出部は、中空絶縁部材8の全周に一様に形成される必要はなく、複数の突出部が周方向に所定間隔に設けられた形態であってもよい。
【0038】
本実施形態においても、第1の実施形態に関連して説明した第1の変形例(図4)、第2の変形例(図5)のように、中空絶縁部材8の円筒状の本体が軸方向に長い形態、または電極部材4の背方に隠れる形態を採用してもよい。
【0039】
(第3の実施形態)
図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係る放電ランプを説明する。本形態の放電ランプは、軸方向に径の大きさが連続的に変化するテーパ状の中空絶縁部材8を具備する。このような構成では、外径の大きい大径部8bとガラスバルブ1内面との間隔が狭くなっており、スパッタ粒子が小径部8a側に入り込むのを防ぐ効果がある。さらに、仮に時間経過とともに無数の粒子が中空絶縁部材8の表面に付着したとしても、傾斜が設けてあるのでスパッタ層と電極部材4との導通を防止することができる。
【0040】
図9に示した形態は、中空絶縁部材8の外径が連続的に変化するテーパ状のものとして説明したが、段階的に変化する階段状の形態でもよい。
【0041】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図10および図11を参照して説明する。図10は、本形態の部分断面図、図11は、図10のXI−XI線の断面図である。
【0042】
第1ないし第3の実施形態においては、中空絶縁部材8をリード線6の全周を包囲するように円筒状のものとして説明したが、本形態に係る中空絶縁部材8は、開口12を有する断面C字状に形成したものである。したがって、本形態では、中空絶縁部材8の開口12を介してリード線6が放電空間と連通した状態となるので、スパッタ粒子が開口12を通じてリード線6表面に部分的に付着したり、リード線6がスパッタリングを起こしてガラスバルブ1端部内面にスパッタ粒子が付着することもある。その場合であっても、中空絶縁部材8は、リード線6の周囲の大部分を覆っており、実質的にこれを包囲しているので、スパッタ層が形成される範囲は著しく制限される。その結果、スパッタ層が実質的に電極として作用することはなく、本発明の所期の効果を同様に奏することができる。
【0043】
次に、本発明に係る放電ランプ10を備えたバックライト装置20の構成例について図12を参照して説明する。
【0044】
開口部を有する窓枠状のフロントフレーム18と有底開口のバックフレーム16とを組み合わせてバックライト装置の筺体が構成される。バックフレーム16は、その内面に照射された光を拡散反射するための白色ないし乳白色の反射シートを備えている。放電ランプ10は、バックフレーム16の底面に所定の間隔で複数本配設されており、各々の放電ランプ10の両端には口金13が組み付けてあり、これを介して放電ランプ10と給電手段(図示せず)とが電気的に接続される。フロントフレーム18とバックフレーム16との間には、拡散シートやプリズムシートなどの単層体または多層体から構成される光学部材14が設けられており、各々の放電ランプ10から発せられた光を拡散混合する機能をもつ。
【0045】
以上、本発明の複数の実施形態について、本発明の特徴である中空絶縁部材8を中心に説明したが、本発明は一般的な他の形態の放電ランプにも同様に適用することができる。例えば電極部材4は断面円形のカップ状のものである必要はなく、板状の電極部材でもよいし、また電極部材そのものを電極材料と絶縁材料との2層構造にし、これと中空絶縁部材を組み合わせて用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、高効率で長寿命の放電ランプおよびそれを備えたバックライト装置を提供することができ、液晶表示装置用のバックライトや汎用の照明装置などに好適に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態の放電ランプの部分断面図である。
【図2】図1のII−II線の断面図である。
【図3】中空絶縁部材と電極部材の組付けの状態を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の放電ランプの第1の変形例を示す部分断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の放電ランプの第2の変形例を示す部分断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の放電ランプの部分断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る中空絶縁部材と電極部材の組付けの状態を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の放電ランプの変形例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の放電ランプの部分断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態の放電ランプの部分断面図である。
【図11】図10のXI−XI線の断面図である。
【図12】本発明に係る放電ランプを具備するバックライト装置の構成例を示す図である。
【図13】従来の放電ランプを示す部分断面図である。
【図14】従来の放電ランプにおいて、使用開始後所定の時間が経過した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ガラスバルブ
2 蛍光体層
3 放電空間
4 電極部材
6 リード線
8 中空絶縁部材
10 放電ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電空間を有する放電容器と、
前記放電空間内に互いに対向して配置された一対の電極部材と、
一端は前記電極部材に接続され、他端は前記放電容器の外部に導出されたリード線と、
前記放電容器内に延在する前記リード線の一部をその周方向について実質的に包囲する電気絶縁性の中空絶縁部材であって、実質的に間隙が介在しないように前記電極部材外面に接触するとともに、リード線との間に所定の間隔を有して延在する、中空絶縁部材と、
を具備することを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
中空絶縁部材が、電極部材のリード線側の端部近傍から延在していることを特徴とする、請求項1に記載の放電ランプ。
【請求項3】
中空絶縁部材が放電容器内面に向かって突出する突出部を有してなることを特徴とする、請求項1または2に記載の放電ランプ。
【請求項4】
中空絶縁部材の外径または高さが、放電ランプの長手方向に対して一定ではないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の放電ランプ。
【請求項5】
筺体と、
筺体内に配設された請求項1〜4のいずれかに記載の放電ランプと、
前記放電ランプに電気的に接続され、放電ランプに電流を供給する給電手段と、
を具備することを特徴とする、バックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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