説明

放電ランプにおけるバリアコーティングおよび方法

本発明は、放電ランプにおける放電媒体とアーク管との間の化学反応を低減しまたは防止するためのバリアコーティングおよび方法を含むものである。バリアコーティングは、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、またはランタニドのうちの1つ以上から形成される放電媒体にさらされる窒化物層を備えている。他の局面においては、本発明は、アーク管チェンバ内に2つ以上の先駆物質を導入し、且つ先駆物質にコーティングのための層を形成させるべく熱分解的に反応させることによって、アーク管の内側壁部にコーティングを形成する方法を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年11月8日に出願された米国仮特許出願60/424,714号の出願日の利益を請求し、且つこの出願をここにそっくりそのまま組み込んでいる。
本発明は、アーク管内に収容される光放射プラズマを有する放電ランプに関する。より詳細には、本発明は、放電媒体とアーク管壁部材料との間の化学反応またはアーク管壁部を通る充填材料の損失を低減または防止すべくアーク管の内側壁部に施されるコーティングを有するそのような放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
水銀ランプ、ハロゲン化金属ランプ、および高圧ナトリウムランプのような放電ランプは、光放射プラズマを収容して光放射チェンバを形成するアーク管を含んでいる。典型的には、アーク管は、石英ガラスおよび硬質ガラスのようなガラス質材料、またはセラミック材料から形成されている。ランプ充填材料は、ランプタイプ間で変動する。例えば、ハロゲン化金属ランプは、不活性ガス、水銀、および1つ以上のハロゲン化金属の充填物を含んでいる。ランプの動作中、充填材料は、アーク管内に収容される光放射プラズマを形成する。
【0003】
そのようなランプの有効寿命は、放電媒体における元素とアーク管の壁部を形成する材料との間の化学反応、またはアーク管壁部を通る充填材料の損失に起因してしばしば減少する。そのような現象は、電極メルトバック、充填材料の損失、およびアーク管壁部の黒ずみを生じさせ、それらは、結果として、時間経過に伴うルーメン損失、色におけるずれ、または光出力の整備不良を生じさせるかもしれない。
【0004】
例えば、充填材料にハロゲン化ナトリウムを有するハロゲン化金属ランプにおいて、ランプの有効寿命は、ランプ動作の間におけるハロゲン化金属充填物の金属部分の損失によって制限され得る。金属充填物のこの損失は、ハロゲン化金属の石英ガラス(SiO2)アーク管の内側壁部との反応および/またはアーク管の壁部を通るナトリウムイオンの拡散/移動に依存され得る。両メカニズム共、結果としてアーク管における自由ハロゲンの増加を生じる。「自由ハロゲン」なる用語は、一般に、沃素または沃化水銀のようなハロゲンの揮発形態を指している。
【0005】
充填物におけるハロゲン化金属の、石英ガラスアーク管の内側面におけるシリカ(SiO2)との化学反応が、珪酸金属結晶および四沃化珪素を生成するかもしれない。四沃化珪素は、タングステン電極チップにおいて急速に分解して、タングステン電極において珪素と結合し、自由ハロゲンを放出する。このことは、結果として色ずれ、壁部黒ずみおよびランプにおけるルーメン損失を生じる。
【0006】
充填材料のナトリウムイオン(例えば沃化ナトリウム(NaI))は、非常に移動し易く、シリカアーク管壁部を通して(外部電界の影響のもとで)拡散または移動するかもしれない。ナトリウムイオンは、外側壁面で中和され、それから外側ランプ容器上で凝縮されるかもしれない。充填材料のハロゲン(例えば沃素)成分は、アーク管壁部を通って拡散せず、そしてそれゆえアーク管内において自由ハロゲンとして蓄積する。失われたナトリウムは、したがって放電に利用できず、もはやその特性放出に寄与することはできない。ナトリウムの損失および自由ハロゲンの蓄積の結果として、光出力は、次第に減少し、色は、白色から青色に偏移する。アークは、抑制されることとなり、水平動作ランプにおいて特に、アーク管に向かって屈曲し且つそれを弱めるかもしれない。また、ナトリウムの損失は、ランプの動作電圧をも増大させるようにする。電圧上昇は、アークがもはや維持され得なくなる点まで温度の上昇を引き起こす。
【0007】
これらの影響を阻止するために、従来の技術は、種々の方法を示唆している。例えば、フジ(Fuji)その他に対する米国特許第5,742,126号は、Al、Ta、Nb、V、 Cr、Ti、Zr、Hf、Yb、Sc、Mg、Li、およびLaの1つ以上の酸窒化珪素で、アーク管の内側層をコーティングすることを提案している。イヌカイ(Inukai)その他に対する米国特許第5,668,440号は、窒化珪素(Si34)を形成すべく、石英(SiO2)の酸素原子を窒素原子で置き換えることによって、バリア窒化物層を形成することを開示している。ラッセル(Russell)その他に対する米国特許第5,394,057号は、アーク管の内側面に金属珪酸塩のコーティングを施すことを提案している。
【0008】
しかしながら、従来方法の多くは、ランプの使用に伴う実質的なルーメン損失を首尾良く防止することに依然として失敗している。したがって、充填材料成分とアーク管壁部の間の有害な化学反応の範囲、または壁部を通しての充填材料の損失を防止しまたはごく少なくとも抑制する化学的に安定なバリア構成の必要性が残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、先行技術の不具合を除去するアーク管のためのバリアコーティングおよび方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ランプの動作中に放電媒体にさらされたときに、化学的に安定で且つ実質的に不活性なアーク管のためのバリアコーティングを提供することにある。
本発明のその他の目的は、アーク管の内側壁部へのバリアコーティングの設置のための新規な方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、充填成分とアーク管壁部との間の有害な化学反応を抑制するバリアコーティングを提供することにある。
本発明のさらにその他の目的は、放電ランプの寿命にわたってアーク管壁部の黒ずみを低減することにある。
本発明のさらにまた他の目的は、ランプの寿命にわたってルーメン損失および色ずれが低減された放電ランプを提供することにある。
本発明はこれらのおよび他の目的を見込んで図解されているけれども、本発明の原理は、それに限定されることなく、ここに述べられる原理の全ての応用を含むであろうことが留意されるであろう。
これらのおよび他の目的が、同様の部分は同様に番号付けされた以下の非網羅的な説明的実施の形態を同時に参照することによって実現され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1は、高輝度放電ランプのための従来的な形成による本体のアーク管の概略的な表現である。図1の実施形態において、アーク管100は、石英ガラスのような光透過材料により形成されている。アーク管100は、ピンチシールされた両端部115、120の中間にふくれた光放射チェンバ110を規定する。タングステン電極125、130を備える電極アッセンブリは、チェンバ110の内部から各端部115、120を通ってチェンバの外部への電気的伝導路を提供すべく、各端部115、120内でシールされている。ハロゲン化金属ランプにおいて、チェンバ110は、水銀、1つ以上のハロゲン化金属、および不活性充填ガスを含む充填材料が適用されている。
【0011】
本発明の一つの局面において、バリアコーティングは、放電媒体とチェンバ壁部材料との間の化学反応を低減または防止すべくチェンバ110の内側壁部に設置される。アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニド(すなわち、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウム)からなるグループから選択された1つ以上の元素の窒化物層を含むコーティングが、高度に化学的に不活性で且つ熱的に安定なバリアコーティングを形成することがわかっている。
【0012】
一つの実施の形態においては、バリアコーティングは、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニドからなるグループから選択される元素の単一の窒化物層から形成される。望ましい実施の形態においては、コーティングは、窒化硼素の単一層から形成されても良い。
【0013】
本発明の他の実施の形態においては、バリアコーティングは、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニドからなるグループから選択された1つ以上の元素から形成される窒化物層を含んでいても良く、該窒化物層は、光放射プラズマにさらされ且つさらされた窒化物層とアーク管の内側壁部との間に1つ以上の他の層が配置される。他の層は、珪素の酸窒化物、珪素および他の元素、またはさらされた窒化物層を形成する元素を含んでいても良い。例えば、バリアコーティングは、窒化硼素のさらされた層、アーク管の内側壁部に隣接する酸窒化珪素の層、およびさらされた層と酸窒化珪素層との間に配置される1つ以上の中間層、を含んでいても良い。一つの実施の形態において、中間層は、酸窒化珪素層に隣接する酸窒化珪素硼素の層、およびさらされた窒化硼素層に隣接する酸窒化硼素層を含んでいても良い。他の実施の形態においては、中間層は、酸化硼素の層を含んでいても良い。
【0014】
望ましい実施の形態において、アーク管の内側壁部は、次のSiOxy、SiBOxy、BOxyおよびBNの層を備えるバリアコーティングでコーティングされる。さらに他の実施の形態においては、バリアコーティングは、珪素、酸素、窒素、およびアルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウムおよびランタニドからなるグループから選択される元素を備えていても良く、層は、前記元素のいずれかまたは全てが混合された状態である。アーク管の内側壁部へのバリアコーティングの設置の種々の方法が、使用されても良い。設置方法の選定は、形成されるべきバリアコーティングの特定の位置によって決定されても良い。例えば、化学気相蒸着(CVD)が使用されても良い。
【0015】
本発明の一つの局面によれば、コーティングは、チェンバ内に先駆物質を導入し且つ該先駆物質を材料の層を形成すべく熱分解的に反応させることによって形成されても良い。窒化硼素の層を形成するための望ましい実施の形態においては、ハロゲン化硼素、ボラン、ボラジン、およびボラジンのポリマーのような硼素先駆物質が、アンモニア、ヒドラジン、およびアジ化水素酸のような窒素先駆物質と同時的にアーク管チェンバ内に導入され、そしてチェンバ内に窒化硼素層を形成すべく熱分解的に反応させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図2は、本発明の一つの局面に従ってバリアコーティングを形成するために使用され得る装置の概略的な表現である。図2を参照すると、アーク管200は、第1の管状端部204と第2の管状端部206との中間にふくれたチェンバ202を含んでいる。第1の管状シールド220は、第1の端部204内に配置され、それによってチェンバ202の内部とガス状の第1の反応物の第1の発生源210の間に流体連通を提供する。ガス状の第2の反応物の第2の発生源212は、第1の端部204でしかし第1の管状シールド220の外部を通してチェンバ202の内部と連通している。第1の管状シールド220は、そのようにして第1の管状端部204における先駆物質の混合を防止すべく作用し、それによってそれの内側壁部にコーティング層が形成されるのを防止する。第2の管状シールド260は、第2の端部206に配置され且つ、チェンバ202の内部が排気され得るように、真空源270に結合される。エレメント250は、第2の端部206を通してチェンバ202の内部と外部との間での流体連通を選択的に防止すべく適合されている。
【0017】
図2に図解された装置は、2つ以上の先駆物質の熱分解的反応によってアーク管の内側壁部へのバリアコーティングを形成する方法に特に適している。図2に図解された装置は、チェンバへの反応物の連続的な流れ(コンティニュアスフロー)またはチェンバへの反応物のひとまとまりの流れ(バッチフロー)の両方に適している。
【0018】
同一の原理がバッチ反応を通して蒸着を導くためにほとんど変更することなく使用され得る。この実施の形態において、反応物は、脈動シーケンスにて供給される。すなわち、最初に、反応物は、瞬時的に供給され且つ反応が許容される。数秒(例えば、0.5から2秒)の期間が、反応が起こるために割り当てられ、且つチェンバの内側壁部に沈積を形成する。一旦反応が完了すると、チェンバは、それから真空または排気弁を作動させることによって空にされる。これらの処理ステップは、1層よりも多くのコーティングを設置すべく繰り返され得る。加えて、反応物の成分(または先駆物質)は、異なる組成を持つ層(またはサブ層)を設置させるべく変更され得る。より重要なことだが、反応物ガスの量を制御することによって、コーティング層の厚みは、制御され得る。このプロセスは、各層が異なる厚みと構成を有する、多重層のコーティングを設置するのに特に適している。
【0019】
図2に示された実施の形態を再度参照すると、窒化硼素層を形成するためのプロセスにおいて、アルゴンのような不活性ガスと共に三塩化硼素(BCl3)が、第1の管状シールド220を通してチェンバ202内に導入される。アンモニア(NH3)およびアルゴンのような不活性ガスが、第1の端部204であるが、しかし管状シールド220の外部、を通してチェンバ202内に導入される。チェンバ202内に収容される反応物は、それから次の反応によって窒化硼素層を形成すべく熱分解的に反応され得る:
NH3+BCl3→BN+3HCl
ガス状の塩化水素酸およびアルゴンは、それから第2の管状シールド206を通してチェンバ202から排気され得る。
【0020】
図2の実施の形態は、窒化硼素のバリア層を形成すべく図解されているけれども、当業者にとっては、ここに開示された原理は、異なる組成の層を形成するための他の反応物に提供され得ることは直ちに明白であろう。例えば、第1および第2の反応物が、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、またはいずれか1つのランタニド(例えば、揮発性金属アルキルまたはアセチルアセトネート)の化合物であっても良い。さらに、アンモニア、ヒドラジン、またはアジ化水素酸が、窒素化合物の形成における窒素先駆物質として使用されても良い。
【0021】
本発明の一つの局面においては、アーク管の内側壁部を保護薄膜でコーティングするための方法は、ふくれたチェンバおよび中間の管状の両端部を有するアーク管を提供するステップと;各管状シールドの一端が部分的に前記チェンバ内に延び且つその他端が管状の両端部の外側端を越えて延びるように、アーク管の管状の両端部の各々に管状シールドを配置するステップとを含み得る。それからチェンバの内部が、第1の端部およびそこに配置された管状シールドを通して排気され得る。その後、真空源は止められ、且つ先駆物質を含むガス状の第1の反応物が、アーク管の第2の端部に配置された管状シールドを通してチェンバの内部に搬送され得る。さらに、予め定義された量の第2の反応物含有先駆物質が、アーク管の第2の端部の内側壁部とその中に配置された管状シールドとの間の空間を通して、第2の端部がシールされると同時に、チェンバの内部に連通され得る。随意選択的に、熱またはエネルギが、反応のための触媒として作用させるべく供給され得る。チェンバの内側壁部における保護薄膜を形成すべく先駆物質間の熱分解的反応が生じる。最後に、チェンバは、いかなる反応を起こしていない生成物、副生成物、または残留不活性ガスをも除去すべく再度排気され得る。
【0022】
図3は、アーク管の内部チェンバへのバリアコーティングの適用を安定化するための装置の概略的表現である。図3の装置は、アーク管に入る反応物の量を安定化すべく適合されている。コントローラ300は、プログラム可能装置または電磁弁310、320、330、340の各々の開放および閉成を制御するための電子的モジュールとされ得る。電磁弁310は、第1の反応物含有先駆物質を供給するために必要とされる時間の期間についてコントローラ300によって開けられるべく制御される。電磁弁の開放および閉成シーケンスは、精密な量の第1の反応物をチェンバに提供するためにコントローラ300によって制御される。したがって、コントローラ300は、その開放および閉成シーケンスがオーバラップまたは弁310の開閉と同期し得るように、電磁弁320を制御する。それまでは、アーク管の端部の内側面におけるバリア層の形成を防止するために、弁330が、不活性ガスが入ることを許可すべく開かれ得る。一旦、所望量の反応物が、チェンバ202に導入されると、コントローラ300は、チェンバをハーメチックに外部からシールするために弁310、320、340(および随意選択的に330)の閉成をもたらす。コントローラは、生起し得る充分な反応を可能とすべく所望の長さの時間の間弁が閉じられたままとなるようにプログラムされ得る。この期間は、反応時間と称される。一旦、反応が完了されると、コントローラ300は、不活性ガス、反応されなかった先駆物質、およびいかなるガス状副生成物もチェンバ202から排出され得るように、排気弁340の開放をもたらす。
【0023】
本発明のさらにその他の実施の形態において、先駆物質の熱分解的反応が、チェンバ202に収容される反応物に対してエネルギを供給することによって促進されることが見出されている。反応物に適用されるエネルギは、マイクロ波、熱または高周波エネルギを含み得る。
【0024】
さらに他の実施の形態において、本発明は、アーク管チェンバの内側壁部にエーテルまたはエーテルまたはテトラヒドロフランのような溶媒にポリボラジレンの溶液を加えることによってバリア層を形成し、そしてそれから窒化硼素コーティングの形成を作用させるべく溶液を熱分解的に反応させることに向けられている。この実施の形態によれば、第1の反応物は、ガス状の形態である必要はなく、液体としても供給され得る。
【0025】
(実施例)
ソレノイド制御されるバッチ反応気相蒸着のためのタイミングシーケンスを最適化すべく一連の実験が行われた。これらの実験において、タイミングシーケンスは、次のように要約され得る:
1:吸い込み閉、排気開(アーク管を排気する)
2:吸い込み開、排気閉(反応物および不活性ガスをアーク管にロード)
3:吸い込み閉、排気閉(反応時間)
排気弁を閉じるのを許可すべくステップT1とT2との間には、0.1秒の遅延がある。表1は、実験の結果を要約している。
【0026】
【表1】

【0027】
本発明の望ましい実施の形態が説明されてきたが、説明された実施の形態は、例証のみであり、そして本発明の範囲は、これの熟読から当業者において当然に生じる全範囲の均等物、多数の変形および修正が与えられるときに、添付された特許請求の範囲によってのみ定義されるべきであることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】放電ランプのための従来のアーク管の概略的表現である。
【図2】アーク管チェンバの内部面への1つ以上のバリアコーティングを施すための本発明の一つの局面に従った装置の概略的な表現である。
【図3】アーク管の内部チェンバへのバリアコーティングの適用を安定化するための本発明の一つの局面に従った装置の概略的な表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス質材料およびセラミックからなるグループから選択された材料から形成される壁部と、前記壁部の内側面へのコーティングとを有してなり、前記コーティングは、窒化物層を備える光放射チェンバを備えるランプにおいて、コーティングが、硼素、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはルテチウムの単一の窒化物層からなることを改良点とするランプ。
【請求項2】
前記窒化物層は、窒化硼素を備える請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
ガラス質材料およびセラミックからなるグループから選択された材料から形成される壁部と、前記壁部の内側面へのコーティングとを有してなり、前記コーティングは、光放射プラズマにさらされた硼素、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはルテチウムの窒化物層を備える光放射チェンバを具備するプラズマランプにおいて、コーティングが、前記内側面に隣接する窒化物層を備えることを改良点とするランプ。
【請求項4】
前記さらされた窒化物層は、窒化硼素を備える請求項3に記載のランプ。
【請求項5】
前記内側面に隣接する前記窒化物層は、窒化硼素を備える請求項4に記載のランプ。
【請求項6】
前記コーティングは、単一の窒化物層を備える請求項3に記載のランプ。
【請求項7】
前記内側面に隣接する前記窒化物層は、窒化硼素を備える請求項3に記載のランプ。
【請求項8】
ガラス質材料またはセラミックから形成される内側壁部と、前記内側壁部へのコーティングとを有し、前記コーティングは、光放射プラズマにさらされた窒化物層を備える光放射チェンバを具備するプラズマランプにおいて、コーティングが、前記内側壁部に隣接して、硼素、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはルテチウムの窒化物層を備えることを改良点とするランプ。
【請求項9】
前記窒化物層は、窒化硼素を備える請求項8に記載のランプ。
【請求項10】
前記窒化物層は、ハロゲン化硼素、ボラン、ボラジン、およびボラジンのポリマーからなるグループから選択された第1の反応物先駆物質を、アンモニア、ヒドラジン、およびアジ化水素酸からなるグループから選択された第2の反応物含有先駆物質と熱分解的に反応させることによって形成される請求項9に記載のランプ。
【請求項11】
前記チェンバの内側壁部へのコーティングを有する光放射チェンバを具備するランプであって、前記コーティングは、チェンバの内部に露出されたある元素の窒化物層と、前記内側壁部に隣接する珪素の酸窒化層と、それらの間に配置された珪素および前記元素の酸窒化層とを備え、前記元素は、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニドからなるグループから選択されるランプ。
【請求項12】
前記元素は、硼素である請求項11に記載のランプ。
【請求項13】
プラズマランプの光放射チェンバの内側壁部に施されるコーティングであって、珪素、硼素、酸素および窒素を備えるコーティング。
【請求項14】
前記内側壁部から最も離れて窒化硼素の層を備える請求項13に記載のコーティング。
【請求項15】
前記内側壁部に隣接して酸窒化珪素の層を備える請求項14に記載のコーティング。
【請求項16】
前記窒化珪素層と前記酸窒化珪素層との間に配置される酸窒化硼素の層を備える請求項15に記載のコーティング。
【請求項17】
酸窒化珪素硼素を有する請求項13に記載のコーティング。
【請求項18】
酸窒化硼素を有する請求項17に記載のコーティング。
【請求項19】
酸化硼素を有する請求項13に記載のコーティング。
【請求項20】
プラズマランプの光放射チェンバの内側壁部に施されるコーティングであって、前記チェンバの内部に露出されるある元素の窒化物と、前記窒化物と前記内側壁部との間に配置される前記元素の酸窒化物とを有し、前記元素は、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニドからなるグループから選択されるコーティング。
【請求項21】
前記元素は、硼素である請求項20に記載のコーティング。
【請求項22】
前記内側壁部に隣接する珪素の酸窒化物をさらに備える請求項21に記載のコーティング。
【請求項23】
前記内側壁部に隣接する珪素の酸窒化物をさらに備える請求項20に記載のコーティング。
【請求項24】
アーク管の光放射チェンバの内側壁部を保護薄膜でコーティングする方法であって、
管状の両端部の中間にふくれたチェンバを有するアーク管を提供するステップと;
各管状シールドの一端が部分的に前記チェンバ内部に延び且つその他端が管状の両端部の外側端を越えて延びるように、前記アーク管の管状の両端部の各々に管状シールドを配置するステップと;
第1の端部およびそこに配置された管状シールドを通して前記チェンバの内部を排気するステップと;
前記第1の端部およびそこに配置された管状シールドをシールするステップと;
前記アーク管の第2の端部に配置された管状シールドを通して前記チェンバの内部に、ある量の気体の第1の反応物含有先駆物質を挿入し且つ前記管状シールドをシールするステップと;
前記アーク管の前記第2の端部の内側壁部とそこに配置された前記管状シールドとの間の空間を通して前記チェンバの内部に、ある量の気体の第2の反応物含有先駆物質を挿入し且つ前記第2の端部をシールするステップと;
前記チェンバの内側壁部上にそれによって保護薄膜を形成させるべく前記先駆物質を熱分解的に反応させるステップと;
前記第1の端部およびそこに配置された管状シールドを通して前記チェンバを排気するステップと;
の各ステップを有する方法。
【請求項25】
前記第1の反応物は、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニドからなるグループから選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の反応物は、硼素である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の反応物含有先駆物質は、ハロゲン化硼素、ボラン、ボラジン、およびボラジンのポリマーからなるグループから選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の反応物含有先駆物質は、三塩化硼素、ジボラン、およびボラジンからなるグループから選択される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の反応物含有先駆物質は、アンモニアである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の反応物含有先駆物質は、三塩化硼素である請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の反応物含有先駆物質は、アンモニアである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の反応物は、窒素である請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の反応物含有先駆物質は、アンモニア、ヒドラジン、およびアジ化水素酸からなるグループから選択された請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の反応物含有先駆物質は、アンモニアである請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の反応物は、硼素であり、且つ前記第2の反応物は窒素である請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記先駆物質は、約0.5と2.0秒の間の時間期間にわたって熱分解的に反応される請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記チェンバの内部への前記先駆物質の挿入は、電磁弁によって制御される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
硼素含有先駆物質の挿入を制御する電磁弁は、窒素含有先駆物質の挿入を制御する電磁弁と同期して開かれ且つ閉じられる請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記電磁弁は、それによってチェンバ内に分量の先駆物質を挿入すべく約0.1と0.5の間の期間にわたって開かれる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の端部および管状シールドは、電磁弁を閉じることによってシールされる請求項24に記載の方法。
【請求項41】
硼素含有先駆物質は、不活性ガスと共に前記チェンバ内に挿入される請求項24に記載の方法。
【請求項42】
窒素含有先駆物質は、不活性ガスと共に前記チェンバ内に挿入される請求項24に記載の方法。
【請求項43】
熱分解反応は、前記反応物を熱にさらすことによってもたらされる請求項24に記載の方法。
【請求項44】
前記反応物は、約500℃と約1400℃の間の温度にさらされる請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記反応物は、約1000℃と約1200℃の間の温度にさらされる請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記反応物は、約1050℃と約1150℃の間の温度にさらされる請求項45に記載の方法。
【請求項47】
熱分解反応は、前記反応物をマイクロ波エネルギにさらすことによってもたらされる請求項24に記載の方法。
【請求項48】
熱分解反応は、前記反応物を高周波エネルギにさらすことによってもたらされる請求項24に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の反応物先駆物質は、アルキルアルミニウム化合物である請求項24に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物は、トリメチルアルミニウムである請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の反応物含有先駆物質は、スカンジウム、イットリウム、またはランタニドのアセチルアセトネートである請求項24に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の反応物含有先駆物質は、アンモニア、ヒドラジン、およびアジ化水素酸からなるグループから選択される請求項24に記載の方法。
【請求項53】
管状の両端部の中間にふくれたチェンバを有するアーク管の内部壁部へのコーティングを形成する方法であって、:
(a)当該管状シールドの一端が、部分的に前記チェンバ内部に延び且つその他端が、第1の管状端部の外側端を越えて延びるように、アーク管の第1の管状端部に管状シールドを配置するステップと;
(b)前記チェンバの内部と外部との間における流体連通が、前記第1の端部およびそこに配置される管状シールドのみを通るように、前記チェンバをハーメチックにシールするステップと;
(c)前記管状シールドを通して前記チェンバ内に第1の反応物を導入するステップと;
(d)前記第1の端部とそこに配置された管状シールドとの間の空間を通して前記チェンバ内に第2の反応物を導入するステップと;
(e)それによってチェンバの内側壁部にコーティングを形成すべく前記第1および第2の反応物を熱分解的に反応させるステップと;
の各ステップを有する方法。
【請求項54】
前記第1および第2の反応物は、約5000秒までの時間の期間にわたってチェンバ内に連続的に反応物を流すことによって、チェンバ内に導入される請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第1および第2の反応物は、約0.5と2.0秒の間の時間の期間にわたってチェンバ内に導入される請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記反応物は、熱分解反応の間、高周波またはマイクロ波エネルギにさらされる請求項53に記載の方法。
【請求項57】
第1の反応物をチェンバ内に導入するステップと;
第2の反応物をチェンバ内に導入するステップと;
チェンバをシールするステップと;
チェンバの内側壁部へのコーティングを形成すべく、前記第1および第2の反応物を熱分解的に反応させるステップと;
の各ステップを有して、アーク管の光放射チェンバの内側壁部へのコーティングを形成する方法。
【請求項58】
前記第1および第2の反応物は、チェンバ内に同期的に導入される請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1および第2の反応物は、チェンバ内部に導入されるまで混合しないように防止される請求項58に記載の方法。
【請求項60】
光放射チェンバを形成するアーク管におけるチェンバの内側壁部へのコーティングを形成する方法であり:
前記チェンバの内側壁部に有機溶剤へのポリボラジレンの溶液を塗布するステップと;
窒化硼素コーティングの形成をもたらすべく前記溶液を熱分解的に反応させるステップと;
の各ステップを有する方法。
【請求項61】
前記溶液は、エーテルである請求項60に記載の方法。
【請求項62】
光放射プラズマを収容するアーク管を有するランプにおける、ガラス質材料またはセラミックから形成される前記アーク管の内側壁部と、前記プラズマに含まれる元素との間の化学反応を抑制する方法であって、硼素、スカンジウム、イットリウム、およびランタニドからなるアーク管の内側壁部に保護コーティングを設けるステップを有する方法。
【請求項63】
光放射プラズマを収容するアーク管を有するランプにおける、前記アーク管の内側壁部と、前記プラズマに含まれる元素との間の化学反応を抑制する方法であって、前記プラズマにさらされる元素の窒化物層と、前記窒化物層と前記チェンバの内側壁部との間に配置される前記元素の酸窒化物層とを備えるアーク管の内側壁部に保護コーティングを設け、前記元素は、アルミニウム、硼素、スカンジウム、イットリウムおよびランタニドからなるグループから選択される、ステップを有する方法。
【請求項64】
光放射プラズマを収容するアーク管を有するランプにおける、前記アーク管の内側壁部と、前記プラズマに含まれる元素との間の化学反応を抑制する方法であって、ハロゲン化硼素、ボラン、ボラジン、ボラジンのポリマー、アルキルアルミニウム化合物、ならびに、スカンジウム、イットリウムおよびランタニドのアセチルアセトネートからなるグループから選択された第1の反応物先駆物質を、アンモニア、ヒドラジン、およびアジ化水素酸からなるグループから選択された第2の反応物含有先駆物質と熱分解的に反応させることによって前記チェンバの内側壁部への保護コーティングを形成するステップを有する方法。
【請求項65】
前記第1の反応物先駆物質は、ハロゲン化硼素であり、そして前記第2の反応物先駆物質は、アンモニアである請求項64に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−508502(P2006−508502A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552138(P2004−552138)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/036088
【国際公開番号】WO2004/045248
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(502345061)アドバンスド ライティング テクノロジイズ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】