説明

放電ランプシステム及びその制御方法

【課題】放電ランプシステム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】システムは、放電ランプ370と、直流入力電圧及び電流を提供するための電力供給装置310と、電力供給装置310及び放電ランプ370に接続され、放電ランプ370にエネルギーを提供するための変換器320と、電力供給装置310に接続され、直流入力電圧を検出するための直流入力電圧検出ユニット330と、電力供給装置310に接続され、直流入力電流を検出するための直流入力電流検出ユニット340と、ランプ状態を反映する信号を検出するためのランプ状態検出ユニット350と、変換器320、直流入力電圧検出ユニット330、直流入力電流検出ユニット340、ランプ状態検出ユニット350に接続され、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号に基づいて放電ランプ370を制御するための制御装置360と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプシステムに関し、特に、放電ランプに対して定電力制御を行う放電ランプシステム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度放電ランプ(high intensity discharge lamps;HID)は、高効率、良好な演色性(color rendering)及び長い使用寿命を持つことで、多方面に応用されている。しかしながら、高輝度放電ランプは、複雑な負荷であり、その動作期間において、放電ランプのパラメータ(電圧、電流及び電力)が絶えず変わっている。図1は、このような放電ランプに係る代表的な制御対策を示す波形図である。放電ランプが点灯された後、上昇段階にある場合、前記放電ランプは、一般的に定電流動作モードで運行し、且つ前記放電ランプの電力は放電ランプの電圧(Vlamp)が増加するにつれて次第に増加する(定電流段階)。放電ランプの良い性能を得るために、放電ランプの電圧が第1の設定値V1を超えた場合、定電力制御段階になり、放電ランプのランプ電圧は、ランプ抵抗が定常値になるまで上昇し続け、この場合に採用されるのは、放電ランプの電力が固定値に調節される動作モードである。放電ランプの全ライフサイクル内において、放電ランプのランプ抵抗は、ランプの利用時間が増加するにつれて増加するため、放電ランプのランプ電圧も、ランプの利用時間が増加するにつれて高くなるし、放電ランプの電力は、定数値に制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、放電ランプを定電力段階にする制御として、一般に、放電ランプ電圧(Vlamp)及び放電ランプ電流(Ilamp)を直接に検出し、一定の演算処理を行うことを採用して、放電ランプに対して定電力制御を行うが、実務では、一部の応用場合において、Vlamp及びIlampを直接に検出しにくいため、直接にVlamp及びIlampを検出することによって、放電ランプに対して定電力制御を行うことも困難である。
【0004】
また、投影システムである放電ランプの一部の応用において、放電ランプが多色の光を発するために、必要なランプ電流もそれぞれ異なっている。図2は、一定の時間における放電ランプ電圧(Vlamp)及び放電ランプ電流(Ilamp)を示す波形図である。図により、放電ランプ電圧及び放電ランプ電流は、定数値に維持されなく、常に急変(jump)していることが判明でき、放電ランプの電力に対して直接に定電力制御を行えば、精度問題をもたらしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術問題を解决するために、本発明は、放電ランプシステムを提出する。
【0006】
本発明の一側面によると、放電ランプと、直流入力電圧及び直流入力電流を提供するための電力供給装置と、前記電力供給装置及び前記放電ランプに接続され、前記放電ランプにエネルギーを提供するための変換器と、前記電力供給装置に接続され、直流入力電圧を検出するための直流入力電圧検出ユニットと、電力供給装置に接続され、直流入力電流を検出するための直流入力電流検出ユニットと、ランプ状態を反映する信号を検出するためのランプ状態検出ユニットと、変換器、直流入力電圧検出ユニット、直流入力電流検出ユニット、ランプ状態検出ユニットに接続され、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号に基づいて変換器を介して放電ランプを制御するための制御装置と、を備える放電ランプシステムを提供する。
【0007】
好ましくは、前記制御装置が前記変換器を介して前記放電ランプに対する制御は、定電力制御である。
【0008】
好ましくは、前記定電力制御は、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態に対する補償を含む。
【0009】
好ましくは、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態に対する補償は、線形補償又は非線形補償である。
【0010】
好ましくは、前記ランプ状態検出ユニットは、前記制御装置より発生されるデューティ比信号又はランプ電圧を反映する信号を検出する。
【0011】
好ましくは、前記変換器は、2つの切替スイッチを含むハーフブリッジインバータである。
【0012】
好ましくは、前記制御装置は、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号を処理して、処理信号を発生するためのマイクロプロセッサと、前記処理信号に基づいて制御信号を発生するための制御ユニットと、前記制御信号に基づいて前記2つの切替スイッチを駆動するための駆動信号を発生するためのドライバと、を更に含む。
【0013】
好ましくは、前記ランプ状態検出ユニットは、前記2つの切替スイッチに対応する前記駆動信号のデューティ比を得るように前記制御信号を検出し、前記駆動信号のデューティ比に基づいて前記ランプ状態を反映する信号を提供するためのデューティ比検出ユニットである。
【0014】
好ましくは、前記変換器は、2つの高周波切替スイッチと、2つの低周波切替スイッチと、を含むフルブリッジインバータである。
【0015】
好ましくは、前記制御装置は、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号を処理して、処理信号を発生するためのマイクロプロセッサと、前記処理信号に基づいて第1の制御信号及び第2の制御信号を別々に発生するための制御ユニットと、前記2つの高周波切替スイッチを駆動するように前記第1の制御信号を受信して前記第1の制御信号に対応する第1の駆動信号を発生する第1のドライバ及び前記2つの低周波切替スイッチを駆動するように前記第2の制御信号を受信して前記第2の制御信号に対応する第2の駆動信号を発生する第2のドライバと、を更に含む。
【0016】
好ましくは、前記ランプ状態検出ユニットは、前記第1の制御信号を検出して前記2つの高周波切替スイッチに対応する第1の駆動信号のデューティ比を得て、前記第1の駆動信号のデューティ比に基づいてランプ状態を反映する信号を提供するためのデューティ比検出ユニットである。
【0017】
好ましくは、前記変換器は、直流‐直流変換器を含む。
【0018】
好ましくは、前記直流‐直流変換器は、降圧型変換器である。
【0019】
好ましくは、前記ランプ状態検出ユニットは、前記降圧型変換器の出力電圧を検出して、前記出力電圧に基づいてランプ状態を反映する信号を提供するための出力電圧検出ユニットである。
【0020】
好ましくは、前記電力供給装置は、交流電流を提供する交流電圧源と、前記交流電圧源に接続され、前記交流電流を直流電流に変換するための整流器と、を含む。
【0021】
好ましくは、前記電力供給装置は、前記整流器に接続され、前記直流入力電圧を提供するための力率改善回路を更に含む。
【0022】
好ましくは、前記電力供給装置は、直流電圧源である。
【0023】
好ましくは、前記ランプ状態を反映する信号は、電圧信号又は電流信号である。
【0024】
好ましくは、前記放電ランプは、高輝度放電ランプである。
【0025】
本発明のまた他の側面によると、前記本発明の一側面による放電ランプシステムを制御するための方法を更に提出する。
【0026】
好ましくは、前記放電ランプに対する制御は、定電力制御である。更に、定電力制御は、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態に対する補償を含む。
【0027】
好ましくは、前記ランプ状態を反映する信号は、デューティ比である。
【0028】
好ましくは、前記ランプ状態を反映する信号は、ランプ電圧を反映する信号である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の放電ランプシステム及びその制御方法を採用すれば、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号を補償することで入力電力を制御して、放電ランプに対する定電力制御を間接的に達成し、本発明が放電ランプの制御に対して良い安定性を示すことが、実験データより検証された。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の技術による放電ランプの代表的な制御対策を示す波形図である。
【図2】従来の技術による投影システムの放電ランプの電圧及び電流を示す波形図である。
【図3】本発明の放電ランプシステムの構造を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例による放電ランプシステムの制御装置の構造を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である。
【図6】本発明のまた他の実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である。
【図7】本発明のまた一つの実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である。
【図8】本発明のもう一つの実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態による放電ランプシステムの制御方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面及び詳細な説明によって詳しく解釈するし、図面を簡素化するため、慣用なものとして既知されている構造と部材を、図面で簡単に示す。
【0032】
本発明の放電ランプシステムの構造を示す模式図である図3を参照する。図3に示すように、放電ランプシステム300は、電力供給装置310と、変換器320と、直流入力電圧検出ユニット330と、直流入力電流検出ユニット340と、ランプ状態検出ユニット350と、制御装置360と、放電ランプ370と、を備える。そのうち、電力供給装置310は、直流入力電圧及び直流入力電流を提供することに用いられる。変換器320は、電力供給装置310より提供される直流入力電圧を受信するように一端が電力供給装置310に接続され、他端が放電ランプ370に接続される。前記変換器320は、電力供給装置310より提供される直流入力電圧を放電ランプ370の必要な電圧に変換して、放電ランプ370に必要なエネルギーを提供することに用いられることができる。直流入力電圧検出ユニット330は、電力供給装置310に接続され、直流入力電圧を検出することに用いられる。直流入力電流検出ユニット340は、電力供給装置に接続され、直流入力電流を検出することに用いられる。ランプ状態検出ユニット350は、ランプ状態を反映する信号を検出することに用いられる。制御装置360は、変換器320、直流入力電圧検出ユニット330、直流入力電流検出ユニット340、ランプ状態検出ユニット350に接続され、直流入力電圧検出ユニット330より提供される直流入力電圧、直流入力電流検出ユニット340より提供される直流入力電流、放電ランプ状態に対応するランプ状態信号に基づいて制御信号を発生し、前記制御信号にに基づいて変換器320を介して放電ランプ370を制御する。例えば、放電ランプに対して定電力制御を行う。特に、前記定電力制御は、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を補償するものである。放電ランプ370は、高輝度放電ランプであってよいが、それに限定されない。
【0033】
また、本発明の一実施形態による放電ランプシステムにおける制御装置の構造を示す模式図である図4を参照する。図4に示すように、制御装置360は、マイクロプロセッサ3610と、制御ユニット3620と、ドライバ3630と、を含む。マイクロプロセッサ3610は、直流入力電圧検出ユニット330、直流入力電流検出ユニット340、ランプ状態検出ユニット350に接続され、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号を処理して、処理信号を発生することに用いられる。制御ユニット3620は、マイクロプロセッサ3610に接続され、処理信号に基づいて制御信号を発生することに用いられる。ドライバ3630は、制御ユニット3620に接続され、前記制御信号に基づいて前記制御信号に対応する駆動信号を発生することに用いられる。例えば、前記駆動信号は、前記変換器320における切替スイッチ素子を駆動することに用いられることができる。
【0034】
次に、本発明の一実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である図5を参照する。図5に示すように、前記放電ランプシステム500は、電力供給装置510と、変換器520と、直流入力電圧検出ユニット530と、直流入力電流検出ユニット540と、ランプ状態検出ユニット550と、制御装置560と、放電ランプ570と、を備える。電力供給装置510は、交流電源ACと、電磁干渉フィルタ5110と、整流器5120と、力率改善回路(Power Factor Correction;PFC)5130と、を含み、交流電源ACが、交流電圧源であってよい。電磁干渉フィルタ5110は、一端が交流電圧源に接続され、電源の干渉信号を除去することに用いられる。整流器5120は、一端が電磁干渉フィルタ5110の他端に接続され、交流電圧源より提供される交流電流を直流電流に変換することに用いられることができる。PFC回路5130は、インダクタL1と、ダイオードD1と、第1の金属酸化物半導体型電界効果トランジスタS1と、を含み、その入力電圧を適当に上昇させて、前記直流入力電圧を更に出力することに用いられることができる。本実施形態において、直流入力電圧が400Vであることが好ましく、その値の範囲が約380V〜420Vである。具体的な実施例において、変換器520は、PFC回路5130に接続され、PFC回路5130より出力される直流入力電圧を放電ランプ570の必要な電圧に変換することに用いられるハーフブリッジインバータであってよく、前記ハーフブリッジインバータが、直列接続される2つの電解コンデンサC1及びC2と、放電ランプ570に直列接続される点火装置5210と、放電ランプ570に直列接続されるインダクタL2と、放電ランプ570に並列接続されるコンデンサC3と、第2の金属酸化物半導体型電界効果トランジスタS2(或いは、切替スイッチS2と呼ばれる)と、第3の金属酸化物半導体型電界効果トランジスタS3(或いは、切替スイッチS3と呼ばれる)と、を含む。なお、直流入力電圧検出ユニット530及び直流入力電流検出ユニット540のそれぞれは、電力供給装置510より提供される直流入力電流及び直流出力電流を検出することに用いられ、本実施形態においては、PFC回路5130の出力電圧及びその出力電流を検出する。制御装置560については、前記のように、マイクロプロセッサ5610と、制御ユニット5620と、ドライバ5630と、を含んでよい。本実施形態において、インダクタ電圧−時間バランス原理(inductor voltage‐second balance theory)に基づいて、切替スイッチS2及びS3の駆動信号のデューティに基づいて放電ランプの電圧値を間接的に得ることができるため、本実施形態において、ランプ状態検出ユニット550は、切替スイッチS2及びS3の駆動信号のデューティ比に対応するデューティ比検出ユニットであってよく、即ち、切替スイッチS2、S3の駆動信号のデューティ比を検出するものであり、本実施形態において、制御ユニット5620より発生される制御信号を検出することで、切替スイッチS2、S3の駆動信号のデューティ比を得ることができることは、注意すべきである。
【0035】
以下、本実施形態における放電ランプに対する定電力制御の根拠とする理論及び実際の制御過程について、詳しく説明する。放電ランプの放電ランプ電力Plampを直接に制御することが困難であるため、本実施形態においては、PFC回路の出力電力PPFC(ハーフブリッジインバータの入力電力)に対して定電力制御を行うことで放電ランプに対して定電力制御を間接的に行う。回路より、PFCの出力電力PPFCと放電ランプ電力Plampの関係式は、
lamp=PPFC*η=VDC*IDC*η (1)
であることが判明する。
【0036】
そのうち、VDCは、PFC回路の出力電圧(DC入力電圧)であり、本実施形態において、BUS電圧と呼ばれてもよく、IDCは、PFC回路の出力電流(DC入力電流)であり、ηは、ハーフブリッジインバータの効率値である。本実施形態において、前記ハーフブリッジインバータが主にインダクタL2、切替スイッチS2及び切替スイッチS3で損耗するため、ハーフブリッジインバータの効率値ηは、主に、インダクタL2、切替スイッチS2及び切替スイッチS3に影響される。
【0037】
また、上記式は、
η=η=(1−Δη)*(1−Δη) (2)
と表してよい。
【0038】
そのうち、η、Δηは、放電ランプの電流が流れた素子より発生される損耗にかかわり、即ち、L2による損耗にかかわり、η、Δηは、BUS電圧(VDC)の両端の素子による損耗にかかわり、即ち、切替スイッチS2及びS3による損耗にかかわる。
【0039】
そのため、上記より、
lamp=VDC*IDC=VDC*IDC*(1−Δη)*(1−Δη)η (3)
を得ることができる。
【0040】
ここで、計算をしやすくするように、式(4)及び式(5)に示すように、Δηがランプ電圧Vlampと線形関係になり、ΔηがVDCと線形関係になるように選択してよい。
【0041】
Δη=−K*Vlamp+b (4)
Δη=−K*VVD+b (5)
上記式(3)、(4)、(5)より、
Plamp≒VDC*IDC*(1+K*Vlamp−K*VVD−b−b
=VDC*IDC*(1+K*Vlamp−K*VVD−b) (6)
を得ることができる。
【0042】
そのうち、K、Kは常数であり、それぞれがVlampの補償係数及びVDCの補償係数であり、即ち、Vlampに対して係数Kで補償し、VDCに対して係数Kで補償し、b、b、bは常数であり、且つb=b+bである。無論、Δηがランプ電圧Vlampと非線形関係になり、ΔηがVDCと非線形関係になるように選択してもよく、対応的な補償計算を得ることもできる。
【0043】
本実施形態において、インダクタ電圧−時間バランス原理に基づいて、
(VDC/2−Vlamp)*デューティ比=(VDC/2+Vlamp)*(1−デューティ比) (7)
を得ることができる。
【0044】
ここで、式(7)に対して、本実施形態において、デューティ比は、切替スイッチS2/S3の駆動信号のデューティ比であってよく、本実施形態において、制御ユニットより発生される制御信号のデューティ比が、切替スイッチS2とS3の駆動信号のデューティと同一であるため、S2とS3の駆動信号のデューティ比は、ランプ状態検出ユニットが制御ユニットより発生される制御信号を検出することによって得ることができることは、注意すべきである。
【0045】
式(7)を更に簡略化して、
デューティ比=0.5+Vlamp/VDC (8)
lamp=(デューティ比−0.5)*VDC (9)
を得ることができる。
【0046】
その後、式(6)に式(9)を代入すると、Plamp、VDC及びデューティ比の関係を得ることができる。これにより、放電ランプの電力を制御するためには、VDC、デューティ比を補償することでPFC回路の出力電力に対して定電力制御を行って、放電ランプに対する定電力制御を間接的に達成してよいことが判明する。
【0047】
本実施形態について、直流入力電圧検出ユニット530及び直流入力電流検出ユニット540のそれぞれは、PFC回路5130の出力電圧及び出力電流を検出して、その値をマイクロプロセッサ5610に伝送する。ランプ状態検出ユニット550は、切替スイッチS2とS3の駆動信号を検出して、検出した値(例えば、切替スイッチS2とS3の駆動信号のデューティ比)をマイクロプロセッサ5610にフィードバックする。マイクロプロセッサ5610は、その受信した直流入力電圧、直流入力電流、切替スイッチS2とS3の駆動信号のデューティを式(6)及び式(9)によって適切に処理し、即ち、放電ランプ電力を計算し、更にこの放電ランプ電力によって処理信号を発生する。制御ユニット5620は、マイクロプロセッサ5610より提供される処理信号に基づいて制御信号を発生する。ドライバ5630は、制御ユニット5620より提供される制御信号に基づいて、切替スイッチS2及びS3を駆動するための駆動信号を発生する。
【0048】
本発明のまた他の実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である図6を参照する。本実施形態による放電ランプシステム600は、変換器620と、制御装置660と、を備えることで図5と異なるが、電力供給装置610、直流入力電圧検出ユニット630、直流入力電流検出ユニット640、ランプ状態検出ユニット650、放電ランプ670のそれぞれは、図5に示した電力供給装置510、直流入力電圧検出ユニット530、直流入力電流検出ユニット540、ランプ状態検出ユニット550、放電ランプ570と同一又は類似であり、説明を簡略化するように、ここで詳しく説明しない。本実施形態において、変換器620はフルブリッジインバータであり、即ち、電解コンデンサC1及びC2の代わりに、それぞれ2つの金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(或いは、切替スイッチと呼ばれる)S4及びS5を使用する。そのうち、切替スイッチS2及びS3は、高周波モードで動作し、一般的には数十KHz〜数百KHzであり、その動作過程が図5に示したS2、S3と同一であり、切替スイッチS4及びS5は、低周波モードで動作し、一般的には100Hz〜400Hzである。制御装置660は、マイクロプロセッサ6610と、制御ユニット6620と、第1のドライバ6630と、第2のドライバ6632と、を含む。類似に、直流入力電圧検出ユニット630及び直流入力電流検出ユニット640のそれぞれは、PFC回路6130の出力電圧及び出力電流を検出して、その値をマイクロプロセッサ6610に伝送する。ランプ状態検出ユニット650は、制御ユニット6620より出力される制御信号を検出して切替スイッチS2、S3の駆動信号に対するデューティ比を得て、検出した値(2つの切替スイッチ駆動信号のデューティ比)をマイクロプロセッサ6610にフィードバックするためのデューティ比検出ユニットである。マイクロプロセッサ6610は、受信した直流入力電圧、直流入力電流、切替スイッチS2、S3駆動信号のデューティを式(6)及び式(9)によって適切に処理し、即ち、放電ランプ電力を計算して、この放電ランプ電力に基づいて処理信号を発生する。制御ユニット6620は、マイクロプロセッサ6610より提供される処理信号によって、第1の制御信号及び第2の制御信号を別々に発生する。第1のドライバ6630は、2つの高周波切替スイッチS2及びS3を駆動するように、制御ユニット6620より提供される第1の制御信号を受信して第1の駆動信号を発生する。第2のドライバ6632は、2つの低周波切替スイッチS4及びS5を駆動するように、制御ユニット6620より提供される第2の制御信号を受信して第2の駆動信号を発生する。
【0049】
本発明のまた一つの実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である図7を参照する。図7に示すように、前記放電ランプシステム700は、電力供給装置710と、変換器720と、直流入力電圧検出ユニット730と、直流入力電流検出ユニット740と、ランプ状態検出ユニット750と、制御装置760と、放電ランプ770と、を備える。本実施形態において、電力供給装置710は、直流入力電圧及び直流入力電流を提供するための直流電源であり、前記直流入力電圧の値の範囲が380V〜420Vであり、400Vであることが好ましい。本実施形態において、変換器720は直流‐直流変換回路であり、好ましくは、降圧型回路(或いは、BUCK回路と呼ばれる)であり、直流入力電圧を放電ランプの必要な電圧に変換するように一端が直流電源の出力端子に接続され、前記BUCK回路は、金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(即ち、切替スイッチ)S1と、ダイオードD1と、インダクタL1と、コンデンサC1と、を含む。本実施形態において、点火装置7210は、放電ランプ770に並列接続され、且つ前記放電ランプシステム700は、点灯過程において、点火装置7210の発生した高圧が他の回路に影響を与えないように、放電ランプ770に直列接続される第2のダイオードD2を更に含んでよい。本実施形態において、前記のように、制御装置760は、マイクロプロセッサ7610と、制御ユニット7620と、ドライバ7630と、を含む。本実施形態において、ランプ状態検出ユニット750が、BUCK回路の出力電圧、即ち、放電ランプのランプ電圧Vlampを検出することは、注意すべきである。
【0050】
本実施形態において、同様に、放電ランプの放電ランプ電力Plampを直接に制御するのではなく、BUCK回路の入力電力を制御するものであり、それは、
lamp=Vin*Iin (10)
を根拠としている。
【0051】
そのうち、Plampは放電ランプ電力であり、Vinは直流入力電圧(BUCK回路の入力電圧)、即ち、直流電源の出力電圧であり、Iinは直流入力電流(BUCK回路の入力電流)、即ち、直流電源の出力電流である。ηはBUCK回路の効率値である。
【0052】
上記式(10)は、
lamp=Vin*Iin (11)
と表してよい。
【0053】
ηは、放電ランプの電圧に相関する効率値であり、ηは、Vin(BUS電圧)に相関する効率値である。
【0054】
同様に、図5に示した実施形態における推理方法によると、
lamp≒Vin*Iin*(1+K*Vlamp−K*V−b) (12)
が得られる。
【0055】
そのうち、K、Kは常数であり、それぞれがVlampの補償係数及びVinの補償係数であり、即ち、Vlampに対して係数Kで補償し、Vinに対して係数Kで補償し、bは常数である。これにより、放電ランプに対して定電力制御を行うためには、Vlamp、Vinを補償することで、放電ランプに対して定電力制御を行ってよいことが判明する。無論、ηとランプ電圧Vlampが非線形関係になり、ηとVinが非線形関係になるように選択してもよく、対応的な補償計算を得ることもできる。
【0056】
本実施形態について、直流入力電圧検出ユニット730及び直流入力電流検出ユニット740のそれぞれが、BUCK回路の入力電圧Vin及び入力電流Iinを検出して、その値をマイクロプロセッサ7610に伝送する。ランプ状態検出ユニット750、即ち、出力電圧検出ユニットは、BUCK回路の出力電圧(約ランプ電圧Vlampである)を検出して、検出した値をマイクロプロセッサ7610にフィードバックする。マイクロプロセッサ7610は、受信した直流入力電圧、直流入力電流、BUCK回路の出力電圧を式(12)によって適切に処理し、即ち、放電ランプ電力を計算し、この放電ランプ電力によって処理信号を発生する。制御ユニット7620は、マイクロプロセッサ7610より提供される処理信号に基づいて制御信号を発生する。ドライバ7630は、制御ユニット7620より提供される制御信号に基づいて、切替スイッチS1を駆動するための駆動信号を発生する。
【0057】
本実施形態において、Vinに対する補償による放電ランプの定電力制御を採用すれば、表1に示すような実験データを得ることができる。
【0058】
【表1】

【0059】
表1により、Vinに対する補償による放電ランプの電力制御は、Vinが補償されない放電ランプの電力制御と比べて、より良い精度を持つことが判明し、それが本発明の優位性を表すことができる。
【0060】
本発明のもう一つの実施形態による放電ランプシステムの回路構造を示す模式図である図8を参照する。図7と異なり、本実施形態による放電ランプシステム800は、BUCK回路だけではなく、それに接続されるフルブリッジインバータも含む変換器820を更に備える。即ち、変換器820は、BUCK回路とフルブリッジインバータとの組み合わせである。本実施形態において、フルブリッジインバータは、点火装置8210を含み、図7に示した実施形態における点火装置7210と放電ランプ770が並列接続されることと違って、前記点火装置8210と放電ランプ870が直列接続される。その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、電力供給装置810、直流入力電圧検出ユニット830、直流入力電流検出ユニット840、ランプ状態検出ユニット850、放電ランプ870のそれぞれが、図7に示した電力供給装置710、直流入力電圧検出ユニット730、直流入力電流検出ユニット740、ランプ状態検出ユニット750、放電ランプ770と同一又は類似であることを理解するべきであり、説明を簡略化するように、ここで詳しく説明しない。
【0061】
上記より、本発明より提出される放電ランプシステムにおいて、電力供給装置としては、交流電源と他の回路との組み合わせ、又は直接に直流電源であってよいが、それに限定されなく、必要な直流入力電圧、直流入力電流を提供する要求をかなえばよい。また、変換器としては、ハーフブリッジインバータ、フルブリッジインバータ、BUCK回路、BUCK回路とフルブリッジインバータとの組み合わせ、BUCK回路とハーフブリッジインバータとの組み合わせ等の多様な回路構造であってよいが、それに限定されない。
【0062】
本発明の一実施形態による放電ランプシステムの制御方法を示すフロー図である図9を参照する。図9に示すように、ステップ900において、直流入力電圧を検出し、ステップ902において、直流入力電流を検出し、ステップ904において、ランプ状態を反映する信号を検出し、ステップ906において、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号に基づいて放電ランプを制御し、ここでの制御は、定電力制御、特に、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態に対する補償である。ランプ状態を反映する信号としては、前記切替スイッチの駆動信号のデューティ比であってもよいし、前記BUCK回路の出力電圧、即ち、ランプ電圧を反映する信号であってもよい。その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本方法におけるステップ900、ステップ902、ステップ904の順位付けは、前記図9より列挙される順序に限定されなく、例えば、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号の検出動作が、任意の順序であってもよいし、同一のステップで完成してもよいことを理解するべきである。
【0063】
本発明より提供される放電ランプシステムは、直流入力電圧、直流入力電流、ランプ状態を反映する信号を補償することで変換器の入力電力を制御して、放電ランプに対する定電力制御を間接的に達成し、本発明が放電ランプの制御に対して良い安定性を示すことが、実験データより検証された。
【0064】
前記において、本発明の具体的な実施形態を図面にあわせて説明したが、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の精神と範囲を逸脱しない範囲で、本発明の具体的な実施形態に対して種々の変更又は代替を加えることもでき、これらの変更又は代替が本発明の特許請求の範囲に限定される範囲に含まれることを理解するべきである。
【符号の説明】
【0065】
300、500、600、700、800 放電ランプシステム、310、510、610、710、810 電力供給装置、320、520、620、720、820 変換器、330、530、630、730、830 直流入力電圧検出ユニット、340、540、640、740、840 直流入力電流検出ユニット、350、550、650、750、850 ランプ状態検出ユニット、360、560、660、760 制御装置、370、570、670、770、870 放電ランプ、900〜906 ステップ、3610、5610、6610、7610 マイクロプロセッサ、3620、5620、6620、7620 制御ユニット、3630 ドライバ、5110 電磁干渉フィルタ、5120 整流器、5130 力率改善回路、5210、7210、8210 点火装置、5630、7630 ドライバ、6130 PFC回路、6630 第1のドライバ、6632 第2のドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプと、
直流入力電圧及び直流入力電流を提供するための電力供給装置と、
前記電力供給装置及び前記放電ランプに接続され、前記放電ランプにエネルギーを提供するための変換器と、
前記電力供給装置に接続され、前記直流入力電圧を検出するための直流入力電圧検出ユニットと、
前記電力供給装置に接続され、前記直流入力電流を検出するための直流入力電流検出ユニットと、
ランプ状態を反映する信号を検出するためのランプ状態検出ユニットと、
前記変換器、前記直流入力電圧検出ユニット、前記直流入力電流検出ユニット、前記ランプ状態検出ユニットに接続され、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号に基づいて前記変換器を介して前記放電ランプを制御するための制御装置と、
を備えることを特徴とする放電ランプシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記変換器を介して前記放電ランプに対して定電力制御を行うように、制御信号を発生し、前記定電力制御は、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態に対する補償を含み、前記直流入力電圧、直流入力電流、前記ランプ状態に対する補償は、線形補償又は非線形補償であり、前記ランプ状態検出ユニットは、前記制御装置より発生されるデューティ比信号又はランプ電圧を反映する信号を検出することを特徴とする請求項1に記載の放電ランプシステム。
【請求項3】
前記変換器は、2つの切替スイッチを含むハーフブリッジインバータであり、前記制御装置は、
前記直流入力電圧検出ユニット、直流入力電流検出ユニット、前記ランプ状態検出ユニットに接続され、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号に基づいて、処理信号を発生するためのマイクロプロセッサと、
前記マイクロプロセッサに接続され、前記処理信号に基づいて制御信号を発生するための制御ユニットと、
前記制御ユニットに接続され、前記制御信号に基づいて前記2つの切替スイッチを駆動するための駆動信号を発生するためのドライバと、
を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の放電ランプシステム。
【請求項4】
前記ランプ状態検出ユニットは、前記2つの切替スイッチに対応する駆動信号のデューティ比を得るように前記制御信号を検出し、前記駆動信号のデューティ比に対応する前記ランプ状態を反映する信号を提供するためのデューティ比検出ユニットであることを特徴とする請求項3に記載の放電ランプシステム。
【請求項5】
前記変換器は、2つの高周波切替スイッチと、2つの低周波切替スイッチと、を含むフルブリッジインバータであり、前記制御装置は、
前記直流入力電圧検出ユニット、直流入力電流検出ユニット、前記ランプ状態検出ユニットに接続され、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号に基づいて、処理信号を発生するためのマイクロプロセッサと、
前記マイクロプロセッサに接続され、前記処理信号に基づいて第1の制御信号及び第2の制御信号を別々に発生するための制御ユニットと、
いずれも前記制御ユニットに接続され、前記2つの高周波切替スイッチを駆動するように前記第1の制御信号を受信して前記第1の制御信号に対応する第1の駆動信号を発生する第1のドライバ及び前記2つの低周波切替スイッチを駆動するように前記第2の制御信号を受信して前記第2の制御信号に対応する第2の駆動信号を発生する第2のドライバと、
を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の放電ランプシステム。
【請求項6】
前記ランプ状態検出ユニットは、前記第1の制御信号を検出して前記2つの高周波切替スイッチに対応する前記第1の駆動信号のデューティ比を得て、前記第1の駆動信号のデューティ比に対応する前記ランプ状態を反映する信号を提供するためのデューティ比検出ユニットであることを特徴とする請求項5に記載の放電ランプシステム。
【請求項7】
前記変換器は、直流‐直流変換器を含み、前記直流‐直流変換器は、降圧型変換器であり、前記ランプ状態検出ユニットは、前記降圧型変換器の出力電圧を検出して、前記出力電圧に基づいて前記ランプ状態を反映する信号を提供するための出力電圧検出ユニットであることを特徴とする請求項2に記載の放電ランプシステム。
【請求項8】
前記電力供給装置は、直流電圧源であり、又は、
交流電流を提供する交流電圧源と、
前記交流電圧源に結合され、前記交流電流を直流電流に変換するための整流器と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の放電ランプシステム。
【請求項9】
前記電力供給装置は、前記整流器に接続され、前記直流入力電圧を提供するための力率改善回路を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の放電ランプシステム。
【請求項10】
請求項1に記載の放電ランプシステムを制御して、
前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号を検出するステップと、
前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態を反映する信号に基づいて制御信号を得て、前記制御信号に基づいて前記放電ランプを制御するステップと、
を備えることを特徴とする放電ランプシステムの制御方法。
【請求項11】
前記放電ランプに対する制御方式は、定電力制御であり、前記定電力制御は、前記直流入力電圧、前記直流入力電流、前記ランプ状態に対する補償を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ランプ状態を反映する信号は、デューティ比であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ランプ状態を反映する信号は、ランプ電圧を反映する信号であることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26208(P2013−26208A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245658(P2011−245658)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(511268432)台達電子企業管理(上海)有限公司 (4)
【Fターム(参考)】