説明

放電ランプ及び照明装置

【課題】輝度ムラを低減可能な放電ランプ及び照明装置を提供することを課題とする。
【解決手段】放電ランプ1が、放電媒体を封入したガラス管10と、ガラス管10の一端内に封装された内部電極11a及び他端内に封装された内部電極11bと、ガラス管10の一端の外周面に形成され、リード線12aを介して内部電極11aと電気的に接続された導体層13とを有するため、内部電極11aに電流を供給した場合に内部電極11aから発生する熱を、導体層13が形成された領域から放散することを可能とし、照明装置2の輝度ムラを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端に内部電極を備えた放電ランプを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビや液晶モニターなどの表示装置に用いる直下型バックライトには、一方を内部電極(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)とし、他方を外部電極(EEFL:External Electrode Fluorescent Lamp)とする放電ランプが多く利用されていた。
【0003】
図5は、従来の直下型バックライトの構成を示す構成図である。従来のバックライト装置3は、内側に蛍光体,水銀,希ガス等を封入したガラス管10と、一端内に封装された内部電極11と、他端の外側に設けた外部電極14とを有する放電ランプ1をバックライトユニット4の略中央に並列配置し、リード線12を介して全ての放電ランプ1の内部電極11を共通基盤23に接続し、外部電極14のそれぞれをゴムホルダーでバックライトユニット4に固定した構成を備えている。
【0004】
リード線12を接続した基盤23はGND電位に接続され、外部電極14が配されたバックライトユニット4の背面にはインバータ22を設け、インバータ22から供給される電流を外部電極14に与えることで、外部電極14と内部電極11との間で放電現象を起し、ガラス管10に封入された希ガス等に光を照射させて発光する技術が用いられていた。なお、同様の技術が、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平6−20660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6(a)及び図6(b)の点線部分で示すように、従来のバックライト装置の場合には、放電時に外部電極で発生するリーク電流や、バックライトの背面に設けられたインバータの発熱により、電流を供給する外部電極側(高圧側)の温度が高くなるため、ランプの長手方向に沿って温度分布が不均一になり、バックライト装置の左右で輝度に差異が生じるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、輝度ムラを低減可能な放電ランプ及び照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、放電媒体を封入した透光性気密容器と、前記透光性気密容器の一端内に封装された第1の内部電極及び他端内に封装された第2の内部電極と、前記透光性気密容器の一端の外周面に形成され、前記第1の内部電極と電気的に接続された導体層と、を有することを要旨とする。
【0008】
本発明にあっては、放電ランプが、放電媒体を封入した透光性気密容器と、透光性気密容器の一端内に封装された第1の内部電極及び他端内に封装された第2の内部電極と、透光性気密容器の一端の外周面に形成され、第1の内部電極と電気的に接続された導体層とを有するため、第1の内部電極に電流を供給した場合に該第1の内部電極から発生する熱を、導体層が形成された領域から放散することを可能とし、放電ランプの輝度ムラを防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、放電媒体を封入した透光性気密容器と、前記透光性気密容器の一端内に封装された第1の内部電極及び他端内に封装された第2の内部電極と、前記透光性気密容器の一端の外周面に形成され、前記第1の内部電極と電気的に接続された導体層と、を有する複数の放電ランプと、前記導体層が形成された放電ランプの一端を固定する複数のソケットと、前記複数のソケットに近接配置され、前記導体層のそれぞれを介して前記第1の内部電極のそれぞれに電流を供給するインバータと、前記複数の第2の内部電極に接続された基盤と、を有することを要旨とする。
【0010】
本発明にあっては、放電ランプが、放電媒体を封入した透光性気密容器と、透光性気密容器の一端内に封装された第1の内部電極及び他端内に封装された第2の内部電極と、透光性気密容器の一端の外周面に形成され、第1の内部電極と電気的に接続された導体層とを有するため、第1の内部電極に電流を供給した場合に該第1の内部電極から発生する熱を、導体層が形成された領域から放散することを可能とし、照明装置の輝度ムラを防止することができる。
【0011】
また、本発明にあっては、複数の第2の内部電極が、共通の基盤に接続されているため、個別で基盤を設けるよりも安価な照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、輝度ムラを低減可能な放電ランプ及び照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態における放電ランプの構成を示す構成図である。放電ランプ1は、内壁に蛍光体及び保護膜皮膜を形成し、希ガスを主体とする放電媒体を封入した透光性気密容器であるガラス管10と、ガラス管10の一端内に封装された第1の内部電極としての内部電極11aと、他端内に封装された第2の内部電極としての内部電極11bと、ガラス管10の一端の外周面に形成され、リード線12aを介して内部電極11aと電気的に接続された導体層13とを備えた構成である。
【0015】
図2は、図1で示した放電ランプ1を有する照明装置2の構成を示す上面図でである。照明装置2は、ユニット20の略中央に並列配置された複数の放電ランプ1と、導体層13が形成された放電ランプ1の一端を固定する複数のソケット21と、ソケット21が配されたユニット20の裏面に配置され、内部電極11aに電流を供給するインバータ22と、内部電極11bに接続されたリード線12bを介して、放電ランプ1の全ての内部電極11bに接続された基盤23とを備えた構成である。なお、基盤23は、GND電位に接続されている。
【0016】
導体層13は、例えば、超音波半田ディッピングにより形成されており、その他、放電ランプ1の一端を覆うキャップや、金属蒸着等を利用して形成することも可能である。
【0017】
本実施の形態における照明装置2は、内部電極11aにおける発熱作用により、図2に示す高圧側の温度が高くなった場合であっても、内部電極11aが設けられた放電ランプ1の外周面に導体層13が形成されているので、この導体層13の領域から熱を放散することができる。これにより、高圧側の温度上昇を防止し、放電ランプ1の長手方向における温度分布を均一にするので、照明装置2全体の輝度ムラの発生を防止することが可能となる。
【0018】
また、導体層13の長手方向の長さを、内部電極11aの長さよりも長くすることで、内部電極11aから発生する熱の放散率をより高めることが可能である。
【0019】
更に、図3に示すソケット21の幅を、導体層13の長手方向の長さよりも長くすることで、放電ランプ1から発生する熱が並列配置された他の放電ランプ1に与える影響をより確実に防ぐことができる。同様に、ソケット21の高さを放電ランプ1の直径よりも長くすることでも同様の効果を得ることができ、ソケット21の厚さを調整することでも得られる効果に差異はない。
【0020】
また、全ての内部電極11bが共通した基盤23に接続されているので、別々の基盤に配置するよりも安価な照明装置2を提供することを可能としている。
【0021】
図4は、本実施の形態における照明装置の温度分布及び輝度分布を示した分布図である。図4(a)は、温度分布を示す分布図であり、点線部分で囲まれた高圧側の温度は、図6(a)に示す従来の温度分布よりも、略均一になっていることを確認することができる。図4(b)は、輝度分布を示す分布図であり、同様に、放電ランプの長手方向において、略均一な輝度を有する照明装置2であることを確認することができる。
【0022】
なお、ガラス管10に水銀が封入されている場合でも、同様の効果を得ることが可能である。即ち、水銀は、通常、高温度側から低温度側に移動する性質を有するので、図5を用いて説明したバックライト装置の場合には、時間の経過と共に、高圧側からGND側に水銀が移動し、水銀が不足した高圧側では、ネオンやアルゴン等による赤色発光により、放電ランプの寿命を短くする可能性がある。しかしながら、本実施の形態で説明した放電ランプを用いることで、高圧側の温度上昇を低減することができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0023】
最後に、本実施の形態で説明した照明装置2は、テレビ,パソコン用モニター,カーナビゲーションシステム,掲示板等の液晶パネルに光を照射するバックライト装置等に応用可能である。
【0024】
本実施の形態によれば、放電ランプ1が、放電媒体を封入したガラス管10と、ガラス管10の一端内に封装された内部電極11a及び他端内に封装された内部電極11bと、ガラス管10の一端の外周面に形成され、リード線12aを介して内部電極11aと電気的に接続された導体層13とを有するので、内部電極11aに電流を供給した場合に内部電極11aから発生する熱を、導体層13が形成された領域から放散することを可能とし、照明装置2の長手方向における輝度ムラを防止することができる。
【0025】
本実施の形態によれば、複数の内部電極11bが、共通の基盤23に接続されているので、個別で基盤を設けるよりも安価な照明装置2を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態における放電ランプの構成を示す構成図である。
【図2】照明装置2の構成を示す上面図でである。
【図3】ソケットの形状を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態における照明装置の温度分布及び輝度分布を示した分布図である。
【図5】従来の直下型バックライトの構成を示す構成図である。
【図6】従来の直下型バックライトにおける温度分布及び輝度分布を示した分布図である。
【符号の説明】
【0027】
1…放電ランプ
2…照明装置
3…バックライト装置
4…バックライトユニット
10…ガラス管
11,11a,11b…内部電極
12a,12b…リード線
13…導体層
14…外部電極
20…ユニット
21…ソケット
22…インバータ
23…基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電媒体を封入した透光性気密容器と、
前記透光性気密容器の一端内に封装された第1の内部電極及び他端内に封装された第2の内部電極と、
前記透光性気密容器の一端の外周面に形成され、前記第1の内部電極と電気的に接続された導体層と、
を有することを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
放電媒体を封入した透光性気密容器と、前記透光性気密容器の一端内に封装された第1の内部電極及び他端内に封装された第2の内部電極と、前記透光性気密容器の一端の外周面に形成され、前記第1の内部電極と電気的に接続された導体層と、を有する複数の放電ランプと、
前記導体層が形成された放電ランプの一端を固定する複数のソケットと、
前記複数のソケットに近接配置され、前記導体層のそれぞれを介して前記第1の内部電極のそれぞれに電流を供給するインバータと、
前記複数の第2の内部電極に接続された基盤と、
を有することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−251229(P2008−251229A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88297(P2007−88297)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】