説明

放電ランプ

光透過性セラミックランプ容器と、前記ランプ容器に入り各々が前記ランプ容器内の電極を支持する第1の及び第2の電流導体と、貴金属を少なくとも実質的に有し、前記ランプ容器を前記電流導体の周りで気密に封止する、封止位置にあるシーリングコンパウンドと、前記ランプ容器内の、希ガス及びハロゲン化金属を有するイオン化可能な充填物とを有し、少なくとも前記第1の電流導体はニオブを有する、放電ランプにおいて、前記第1の電流導体は、前記封止位置において、NbN、NbB、NbSi及びNbCからなるグループから選択される材料10でコーティングされる、放電ランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
−光透過性セラミックランプ容器と、
−前記ランプ容器に入り各々が前記ランプ容器内の電極を支持する第1の及び第2の電流導体と、
−貴金属を少なくとも実質的に有し、前記ランプ容器を前記電流導体の周りで気密に封止する、封止位置にあるシーリングコンパウンドと、
−前記ランプ容器内の、希ガス及びメタルハライドを有するイオン化可能な充填物と、
を有し、少なくとも前記第1の電流導体はニオブを有する、放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電球は、ヨーロッパ公開公報第0587238号から知られている。この既知のランプは、水銀を有するイオン化可能な充填物を備えている。この種のランプの電流導体は、ランプのリークを予防するために、ランプ容器の熱膨張率に対応する線形の熱膨張率を有していなければならない。リークは、シーリングコンパウンドが比較的高温で供給された後でランプが冷えるときに、ランプの製造においてさえ発生しうる。電流導体の小さすぎる膨張係数では、ランプ容器は、より高い程度収縮し、ひびが入るか又は壊れさえする。電流導体の大きすぎる膨張係数では、電流導体の周りでリークが起こり得る。しかし、電流導体は、ランプのイオン化可能な充填物に対しても、特にハロゲン化物に対しても、少なくともこれと接触がある限り耐性がなければならない。即ち、これらは、ハロゲン化物又は該ハロゲン化物から形成されたハロゲンにより侵されたり又はこれと反応したりすることが、少なくとも実質的に、あってはならない。低い抵抗は、電流導体の損傷及び破壊だけでなく、充填物内のハロゲン化物の損失、そして、ランプによって生成される光の色変化を、結果として生じる可能性がある。更に、電流導体は、ランプの熱的な製造条件及び動作条件に耐えなければならず、また、電気損を抑制するために、良導体であるべきである。膨張及び耐化学性に課される要件は、しばしば、1つの材料が兼ねていないので、既知のランプの少なくとも第1の電流導体は、ランプ容器内において、ランプ容器の膨張とは異なる膨張を有する耐ハライド性の内側部分と、シールから延在し、耐ハライド性ではないが対応する膨張を有する外側部分とを有する。この外側部分は、しばしば、ニオブ、タンタル又はこれらの合金から成り、より高い温度における酸化性(oxidation sensitivity)のためランプの外側エンベロープによって空気から遮蔽されなければならない金属から成る。ランプ容器が比較的細く長い場合、且つ、垂直動作位置を有する場合、ハロゲン化物から形成されたハロゲンは、特にランプ容器の上部に存在する。このとき、第1の電流導体だけが、耐ハロゲン化物の内側部分を有し、ランプ容器の上部に存在すれば、充分である。しかし、この場合、ランプは、逆さまに、水平に又は斜めに動作させられることはできない。ランプは、汎用動作位置を得るために、第1の電流導体に対応する第2の電流導体を与えられてもよい。既知のランプの各電流導体の内側部分は、一般に、モリブデンコイル又はモリブデン及び酸化アルミニウムのサーメットを有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知のランプの欠点は、電流導体の周りでセラミックランプ容器を封止するシーリングコンパウンドが、ランプ内で発生する高い(動作)温度に影響されるということである。従って、既知のランプにおいては、シーリングコンパウンドをランプ容器の中心部から可能な限り遠くに、即ち、ランプ容器の中心部に接続された(即ち焼結させられた)延長栓(即ち延長された部分)の自由端に、付けることが必要である。従って、既知のランプの構造は、望ましいほどにはコンパクトでない。更に、前記延長栓の使用は、技術的な観点から望ましくない。即ち、前記栓がランプ容器の動作温度に負に影響する冷却フィンとして機能する一方で、毛細管が前記延長栓において導入される。ランプ充填物の一部(特に溶融塩)が前記延長栓のいわゆる死空間において毛細管の位置で凝縮する可能性があり、これは、ランプの色不安定性に至る。既知のランプにおいては、前記死空間における塩の一部の損失を補償するために、過剰なこの種の(高価な)塩が添加されることを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、これらの欠点を防ぐことである。この目的を達成するために、本発明によれば、冒頭で参照された種類の電球は、前記第1の電流導体が、封止位置において、NbN、NbB、NbSi及びNbCからなる群から選択される材料によってコーティングされることを特徴とする。特に、前記第1の電流導体は、ニオブのコアを有し、このコアは、上記の材料で完全にコーティングされる。前記材料は、特に10〜200mmの厚さを有し、好ましくは100mmである。
【0005】
本発明による放電ランプの一実施例において、前記シーリングコンパウンドは、少なくとも実質的にPtNbを有する。好適には、前記シーリングコンパウンドは、45〜100%のPt、好適には50〜60%のPtを有する。Ptの使用は、シーリングコンパウンドがハロゲンに耐性があることを確実にする一方で、前記ハロゲンによって侵されることからシーリングコンパウンドが第1の電流導体の材料を保護する。
【0006】
本発明は、
−光透過性セラミックランプ容器と、
−前記ランプ容器に入り各々が前記ランプ容器内の電極を支持する第1の及び第2の電流導体と、
−貴金属を少なくとも実質的に有し、前記ランプ容器を前記電流導体の周りで気密に封止する、シーリングコンパウンドと、
−前記ランプ容器内の、希ガス及びメタルハライドを有するイオン化可能な充填物と、
を有し、少なくとも前記第1の電流導体はニオブを有する、放電ランプを製造する方法において、前記第1の電流導体は、NbN、NbB、NbSi及びNbCからなるグループから選択される材料のコーティングを備える、ことを特徴とする方法にも関する。
【0007】
本発明による放電ランプを製造する方法の一実施例において、コーティングは、堆積、特に蒸着、より詳細にはCVD法又はPVD法を通じて適用される。堆積は、例えば窒素化合物を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、ここで、図面に示された2つの図を参照してより詳細に説明される。
【0009】
図1は、第1の及び第2の電流導体2,3を有する、管状で光透過性の多結晶酸化アルミニウム製セラミックランプ容器1を備えた、従来技術による放電ランプを示す。これら導体2,3は、互いに反対からランプ容器1に入り、ランプ容器1内に存在する対応するタングステン電極4,5を支持し、電流導体2,3に溶接されている。溶融プロセスにおいて30重量パーセントの酸化アルミニウム、40重量パーセントの酸化シリコン及び30重量パーセントの酸化ジスプロシウムから形成されたセラミックシーリングコンパウンド6が、電流導体2,3を気密に封止する。ランプ容器1はイオン化可能な充填物を有し、これは、希ガスとしてアルゴンを、そして、ハロゲン化金属としてナトリウム、タリウム及びジスプロシウムのヨウ化物の混合物を有する。第1の及び第2の電流導体2,3は、それぞれが、ランプ容器1内にある第1の耐ハライド部分21,31と、セラミックシーリングコンパウンド6からランプ容器1の外側に延在する、第1の部分21,31に溶接された第2の部分22,32とを有する。各電流導体2,3の第2の部分22,32は、ニオブから成り、ランプ容器1内のセラミックシーリングコンパウンド6に完全に組み込まれる。代わりの実施例においては、両電流導体2,3は、それぞれ、1つの材料で1つの部品として作られる。
【0010】
ランプ容器1は、対応する電流導体2,3を囲む細い端部又は延長栓11,12を有する。栓11,12は、各々が、自由端111,121を有し、これらにより、ランプ容器1がセラミックシーリングコンパウンド6によって密閉される。ランプ容器1の中心部10は、セラミックディスク13を介して栓11,12に焼結によって接続される。ランプ容器1は外側エンベロープ7によって包囲され、該外側エンベロープ7は、電流導体2,3のニオブの第2の部分22,32を保護するために、気密に封入され、且つ排気されたか又は不活性ガスで満たされている。外側エンベロープ7は、ランプキャップ8を支持する。
【0011】
図2は、非常にコンパクトなランプ構造が実現される、本発明の好ましい実施例による管状の光透過性セラミックランプ容器1の一端を図式的に示す。ランプ容器1に存在するタングステン電極5は、第1の電流導体2に接合される(好適には溶接される)。前記第1の電流導体2は、シーリングコンパウンド6からランプ容器1の外にで延在する。前記第1の電流導体2は、NbN、NbB、NbSi及びNbCからなるグループから選択される材料50でコーティングされたニオブのコア32を有する。広範囲な研究は、NbN及びNbBが最も有効なコーティングであることを明らかにした。コア32のニオブが、封止位置においてシーリングコンパウンドの構成要素と化学反応することを防止されるからである。説明される実施例において、シーリングコンパウンドは好適にはPtNb−材料を有する。従って、説明されたコーティングは、電流導体のNbがシーリングコンパウンド6のPtNb−材料内のPtと化学反応することを防止する。従って、より多量のPtがシーリングコンパウンド6中で用いられることができ、100%でさえもよい。図2から分かるように、ランプ容器1に存在するハロゲンが第1の電流導体2において用いられる材料と化学反応することができないように、前記シーリングコンパウンド6は前記第1の電流導体2を囲む。Ptの使用は、シーリングコンパウンド6がハロゲンに対する耐性があることを確実にする。
【0012】
コーティングを電流導体2に付ける適切な方法は、堆積、特に蒸着であり、例えば化学蒸着法又は物理蒸着法である。
【0013】
本発明は、図面に示される実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に入る他の実施例にも及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術の放電ランプを部分的に断面で側面図で示す。
【図2】本発明による放電ランプの一端の一実施例を断面で図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−光透過性セラミックランプ容器と、
−前記ランプ容器に入り各々が前記ランプ容器内の電極を支持する第1の及び第2の電流導体と、
−貴金属を少なくとも実質的に有し、前記ランプ容器を前記電流導体の周りで気密に封止する、封止位置にあるシーリングコンパウンドと、
−前記ランプ容器内の、希ガス及びハロゲン化金属を有するイオン化可能な充填物と、
を有し、少なくとも前記第1の電流導体はニオブを有する、放電ランプにおいて、前記第1の電流導体は、前記封止位置において、NbN、NbB、NbSi及びNbCからなるグループから選択される材料でコーティングされる、放電ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の放電ランプにおいて、前記材料は、10〜200mmの厚さを有し、好ましくは100mmである、放電ランプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の放電ランプにおいて、前記シーリングコンパウンドは、少なくとも実質的にPtNbを有する、放電ランプ。
【請求項4】
請求項3に記載の放電ランプにおいて、前記シーリングコンパウンドは、45〜100%のPt、好適には50〜60%のPtを有する、放電ランプ。
【請求項5】
−光透過性セラミックランプ容器と、
−前記ランプ容器に入り各々が前記ランプ容器内の電極を支持する第1の及び第2の電流導体と、
−貴金属を少なくとも実質的に有し、前記ランプ容器を前記電流導体の周りで気密に封止するシーリングコンパウンドと、
−前記ランプ容器内の、希ガス及びメタルハライドを有するイオン化可能な充填物と、
を有し、少なくとも前記第1の電流導体はニオブを有する、放電ランプを製造する方法において、前記第1の電流導体は、NbN、NbB、NbSi及びNbCからなるグループから選択される材料のコーティングを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記コーティングは、堆積によって、特に蒸着によって、特に化学蒸着法又は物理蒸着法によって設けられる、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−506229(P2008−506229A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519931(P2007−519931)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052157
【国際公開番号】WO2006/006098
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】