説明

放電ランプ

【課題】放電ランプの口金部材に対する冷却作用が大きい光源装置を提供する。
【解決手段】放電用の電極を収納したガラス管(25)と、ガラス管(25)に連結された口金部(28)とを有する放電ランプと、連結ケーブル(72)とを備え、連結ケーブル(72)のリング状部材(74A)が放電ランプの口金部(28)に取り付けられるとともに、リング状部材(74A)に冷風用の送風路(74Ac)が形成され、連結ケーブル(72)の電力ケーブル(33D)及びリング状部材(74A)を介して電源(32)から口金部(28)に電力を供給し、連結ケーブル(72)の送風用配管(35D)及びリング状部材(74A)を介して送風装置(34)から口金部(28)に冷風を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプ、放電ランプと電源とを接続する際に使用される接続用ケーブル、放電ランプを備えた光源装置、及びこの光源装置を備えた露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種デバイス(マイクロデバイス、電子デバイス等)を製造するためのリソグラフィ工程においては、レチクル(又はフォトマスク等)に形成されたパターンをレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写するために、ステッパー等の一括露光型(静止露光型)の投影露光装置、及びスキャニング・ステッパー等の走査露光型の投影露光装置などの露光装置が使用されている。これらの露光装置では、水銀ランプ等の放電ランプと集光鏡とを組み合わせてなる露光用の光源装置が使用されており、その放電ランプは所定の取り付け機構を介して保持されていた。
【0003】
従来の放電ランプを有する光源装置の中には、発熱の影響を軽減するために冷却機構を備えたタイプがある。従来の冷却機構の一例は、放電ランプの一方の口金の外面からバルブ部の外面を経て他方の口金の外面に向けて冷却された空気を供給する機構である(例えば、特許文献1参照)。従来の冷却機構の別の例として、放電ランプの口金にリング状の溝部を設け、その溝部及び所定の送風管を介してバルブ部に冷却された空気を供給する機構も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−213129号公報
【特許文献2】特開平11−283898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光源装置における放電ランプの冷却機構は、主に放電ランプのバルブ部に冷風を吹き付けていたため、口金に対する冷却作用が小さいという問題があった。
また、放電ランプには、固定側の口金と自由端側の口金とがあり、従来の冷却機構を用いて自由端側の口金を冷却する場合には、口金の周囲にも送風用の配管等を設置する必要があり、放電ランプからの光が多く遮光されるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み、放電ランプの口金に対する冷却作用が大きいとともに、自由端側の口金を冷却する際に放電ランプから発生する光に対する遮光量が少ない光源装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、そのような光源装置に適用できる放電ランプ及び接続用ケーブル、並びにそのような光源装置を用いる露光技術を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による放電ランプは、ガラス部材の内部に放電用の電極を収納した放電ランプであって、そのガラス部材に連結された口金部材と、その口金部材に取り付けられ、導電性材料で形成される中継部材と、その中継部材に固定され、その中継部材を介してその口金部材に放電用の電力を供給可能な第1のケーブルと、その中継部材に設けられ、その口金部材に冷却用媒体を供給するための流路と、その中継部材に固定され、その流路を介してその口金部材に冷却用媒体を供給可能な第2のケーブルとを備えるものである。
【0007】
また、本発明による接続用ケーブルは、冷却用媒体及び電力を用いる装置とその冷却用媒体の供給源及び電源とを連結するための接続用ケーブルであって、導電性材料より形成され、その冷却用媒体及び電力を用いる装置に着脱可能な中継部材と、その中継部材に一
端が固定され、かつ可撓性材料より形成されて、その冷却用媒体の流路を有する管状部材と、その管状部材とは別に設けられ、その中継部材に一端が固定され、かつ導電性を持つ可撓性材料より形成された導電部材とを備えたものである。
【0008】
また、本発明による光源装置は、電源と冷却用媒体の供給源とに接続される光源装置であって放電用の電極を収納したガラス部材と、そのガラス部材に連結された口金部材とを有する放電ランプと、本発明の接続用ケーブルとを備え、その接続用ケーブルの中継部材がその放電ランプの口金部材に取り付けられるとともに、その中継部材中にその冷却用媒体の流路が形成され、その接続用ケーブルの導電部材及びその中継部材を介してその電源からその口金部材に電力を供給し、その接続用ケーブルの管状部材及びその中継部材を介してその供給源からその口金部材にその冷却用媒体を供給するものである。
【0009】
また、本発明による露光装置は、光源装置から発生した露光光によって感光基板にパターンを露光する露光装置であって、その光源装置として本発明の光源装置を用いるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の放電ランプによれば、放電用の電力は、連結部材の導電性部材、中継部材、及び口金部材を介して放電用の電極に供給される。さらに、冷却用媒体は、連結部材及び中継部材に設けられた流路を介して口金部材に供給される。
本発明の接続用ケーブルによれば、電源からの電力は、可撓性を持つ導電部材、及び中継部材を介して装置側に供給され、供給源からの冷却用媒体は、可撓性を持つ管状部材及び中継部材を介して装置側に供給される。
【0011】
本発明の光源装置及び露光装置によれば、電源からの電力は、接続用ケーブル及び口金部材を介して放電用の電極に供給される。さらに、供給源からの冷却用媒体は、接続用ケーブルの管状部材及び中継部材内の流路を通して口金部材に供給される。従って、その口金部材に対する冷却作用が大きい。また、冷却用媒体は、口金部材の近傍では中継部材に設けられた流路を通過する。従って、その口金部材が自由端側にある場合に、冷却用媒体供給用の配管等による放電ランプから発生する光の遮光量が少なくなり、光の利用効率が高いと共に、光源装置の温度上昇も少ない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態の一例につき図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本例の露光光源30を備えた投影露光装置(露光装置)を示し、この図1において、アーク放電型の水銀ランプよりなる放電ランプ1が、取り付け部材31を介して絶縁物よりなる固定板29に固定されている。また、放電ランプ1内の陽極側及び陰極側の電極には、それぞれ電源32から可撓性を持つ電力ケーブル33D及び33Bを介して電力が供給されている。また、放電ランプ1の2つの口金には可撓性を持つ送風用配管35D及び35Bを介して送風装置34から、防塵フィルタを通して冷却された空気(以下、冷風と言う。)が供給されている。送風装置34としては、外気を取り込んで除塵及び冷却を行って得られた空気(又は窒素ボンベから取り込んだ窒素ガス等でもよい)を所定の風量で供給する機構が使用できる。送風装置34としては、それ以外に、工場内でエアーシリンダ等のために圧縮空気を供給する圧縮空気供給部を使用してもよい。その冷風は、室温程度でもよく、必ずしも室温以下にまで冷却されていなくともよい。
【0013】
また、放電ランプ1のバルブ部を囲むように楕円鏡2(集光ミラー)が不図示のブラケットに固定されている。放電ランプ1のバルブ部内の発光部は、一例として楕円鏡2の第1焦点P1の近傍に配置されている。放電ランプ1、楕円鏡2、取り付け部材31、電力ケーブル33D,33B、送風用配管35D,35B、電源32、及び送風装置34を含んで露光光源30が構成されている(詳細後述)。
【0014】
放電ランプ1から射出された光束は、楕円鏡2によって第2焦点P2付近に収束された後、開状態のシャッタ3の近傍を通過して発散光となって光路折り曲げ用のミラー4に入射する。シャッタ3の開閉はシャッタ駆動装置3aによって行われ、一例として後述のステージ制御系15が、装置全体の動作を統括制御する主制御系14の指令のもとでシャッタ駆動装置3aを制御する。
【0015】
ミラー4で反射された光束は干渉フィルタ5に入射し、干渉フィルタ5により所定の輝線(例えば波長365nmのi線)の露光光ILのみが選択される。なお、露光光ILとしては、i線の他に、g線、h線、若しくはこれらの混合光等、又は水銀ランプ以外のランプの輝線等も使用できる。その選択された露光光ILは、フライアイレンズ6(オプティカル・インテグレータ)に入射し、フライアイレンズ6の射出面に配置された可変開口絞り7上に多数の2次光源が形成される。可変開口絞り7を通過した露光光ILは、第1リレーレンズ8を経てレチクルブラインド(可変視野絞り)9に入射する。レチクルブラインド9の配置面はレチクルRのパターン面と実質的に共役であり、駆動装置9aを介してレチクルブラインド9の開口形状を設定することで、レチクルR上での照明領域が規定される。また、ウエハWのステッピング時等に不要な露光光がウエハW上に照射されないように、ステージ制御系15が駆動装置9aを介してレチクルブラインド9を開閉できるようにも構成されている。
【0016】
レチクルブラインド9を通過した露光光ILは、第2リレーレンズ10、露光光ILを反射するダイクロイックミラー11、及びコンデンサレンズ12を介してレチクルRのパターン面のパターン領域を落射照明する。シャッタ3、ミラー4、干渉フィルタ5、フライアイレンズ6、可変開口絞り7、リレーレンズ8,10、レチクルブラインド9、ダイクロイックミラー11、及びコンデンサレンズ12を含んで照明光学系13が構成されている。露光光源30からの光束は、照明光学系13を経て露光光ILとしてレチクルR(マスク)を照明し、レチクルRのパターン領域内のパターンが投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウエハW(感光基板)の一つのショット領域上に投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で露光される。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行にX軸を、図1の紙面に垂直にY軸を取って説明する。
【0017】
このとき、レチクルRは、レチクルベース(不図示)上でX方向、Y方向、及びZ軸周りの回転方向に微動可能なレチクルステージRST上に保持されている。レチクルステージRSTの位置は、これに固定された移動鏡17Rに計測用レーザビームを照射するレーザ干渉計18Rによって高精度に計測され、この計測値がステージ制御系15及び主制御系14に供給されている。その計測値及び主制御系14からの制御情報に基づいて、ステージ制御系15がリニアモータ等を含む駆動系19Rを介してレチクルステージRSTの位置を制御する。
【0018】
一方、ウエハWは不図示のウエハホルダを介してウエハステージWST上に保持され、ウエハステージWSTはウエハベース(不図示)上にX方向及びY方向に移動自在に載置されている。ウエハステージWSTの位置は、これに固定された移動鏡17Wに計測用レーザビームを照射するレーザ干渉計18Wにより高精度に計測され、この計測値はステージ制御系15及び主制御系14に供給されている。その計測値及び主制御系14からの制御情報に基づいて、ステージ制御系15はリニアモータ等を含む駆動系19Wを介してウエハステージWST(ウエハW)の位置を制御する。
【0019】
ウエハWの露光時には、ウエハステージWSTによりウエハWの各ショット領域を投影
光学系PLの露光フィールド内に移動する動作と、露光光源30からの光束を照明光学系13を介してレチクルRに照射して、レチクルRのパターンを投影光学系PLを介してウエハW上の当該ショット領域に露光する動作とがステップ・アンド・リピート方式で繰り返される。これによって、レチクルRのパターンの像がウエハW上の各ショット領域に転写される。
【0020】
なお、この露光に際して予めアライメントを行うために、レチクルRの上方には、レチクルRに形成されたアライメントマークの位置を検出するためのレチクルアライメント系20が設置され、投影光学系PLの側面には、ウエハW上の各ショット領域に付設されたアライメントマークの位置を検出するためのアライメントセンサ21が設置されている。また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍にはアライメントセンサ21等のための複数の基準マークが形成された基準マーク部材22が設けられている。レチクルアライメント系20及びアライメントセンサ21の検出信号はアライメント信号処理系16に供給され、アライメント信号処理系16は、例えばそれらの検出信号の画像処理によって被検マークの配列座標を求め、この配列座標の情報を主制御系14に供給する。主制御系14は、その配列座標の情報に基づいてレチクルR及びウエハWのアライメントを行う。
【0021】
次に、本例の投影露光装置の放電ランプ1を含む露光光源30の基本的な構成につき説明する。
図2(A)は、図1の露光光源30中の放電ランプ1及びその取り付け機構を示す一部を切り欠いた図であり、この図2(A)において、放電ランプ1は、バルブ部25a及びこれを挟むように固定されたほぼ対称で円筒状の2つの棒状部25b,25cからなるガラス管25と、一方の固定側の棒状部25bの端部に連結された陰極側の口金部26と、他方の外側に向けて階段状に直径が小さくなる自由端側の棒状部25cの端部に連結された陽極側の口金部28とを備えている。そのバルブ部25a内に発光部を形成するための陽極EL1及び陰極EL2が対向して固定され、陰極EL2及び陽極EL1はそれぞれ口金部26及び28に接続され、口金部26及び28は電気伝導率及び熱伝導率の良好な金属製である。口金部26、ガラス管25、及び口金部28は、ガラス管25の棒状部25b,25cの中心軸を結び発光部の中心を通る一つの直線上に配置されている。その棒状部25b,25cの中心軸を結ぶ直線に平行な方向が放電ランプ1の長手方向Lである。
【0022】
口金部26及び28は、基本的に陰極EL2及び陽極EL1に電源32から電力ケーブル33B及び33D(図1参照)を介して電力を供給するための電力受給端子として使用される。その他に、口金部26は、ガラス管25(放電ランプ1)を保持するための被保持部としても使用され、口金部26及び28はともにガラス管25から伝導してくる熱を冷却するための気体を流す機構を備えている。
【0023】
即ち、陰極EL2に接続された口金部26には、棒状部25bから外側に順に、フランジ部26aと、円柱状の軸部26bと、円柱状の凹部26fと、軸部26bより僅かに小さい外径の円柱状の固定部26hとが形成され、凹部26fと固定部26hとの境界部に長手方向Lにほぼ垂直な面よりなる被押圧面26gが形成されている。
放電ランプ1を固定する際には、放電ランプ1の軸部26bを2点鎖線で示す取り付け部材31の開口部31bに嵌合させて、フランジ部26aを取り付け部材31の上面31aに載置する。図2(B)に示すように、フランジ部26aには円形の開口27A,27Bが形成されており、これらの開口27A,27Bに図2(A)の上面31aに固定されている円柱状の突部(不図示)を挿通することで、放電ランプ1の回転方向の位置決めが行われる。
【0024】
また、軸部26bの外面に、長手方向Lに平行な軸の周りに螺旋状に溝部26dが形成されている。溝部26dには、送風装置34から可撓性を持つ送風用配管35B、及び取
り付け部材31に形成された送風路31cを介して冷風が供給されている。また、導電性の良好な金属製の取り付け部材31に端子38がボルト39によって固定され、端子38が電力ケーブル33Bによって電源32に接続されている。この構成により、電源32から、電力ケーブル33B、端子38、取り付け部材31、及び口金部26のフランジ部26aを介して放電ランプ1の陰極EL2に電力が供給される。
【0025】
また、取り付け部材31の下方の3箇所に回転自在に、かつ引っ張りコイルばね37A,37B,37Cによって下方に付勢されるように付勢部材36A,36B,36Cが固定されている。付勢部材36A〜36Cの先端部で口金部26の被押圧面26gを下方に付勢することによって、口金部26(ひいては放電ランプ1)が取り付け部材31に安定に保持される。さらに、不図示のレバー機構によって付勢部材36A〜36Cを上方に引き上げることによって、放電ランプ1を容易に取り付け部材31から取り外すことができる。
【0026】
次に、図2(A)において、放電ランプ1の陽極側(本例では自由端側でもある)の口金部28の概略構造は、ほぼ円柱状の軸部28aの表面に長手方向Lに平行な軸の周りに螺旋状に溝部28bを形成したものである。さらに、口金部28を外側から覆うように導電性の良好な金属(例えば銅、しんちゅう、アルミニウム等。以下同様)製のほぼ円筒状のカバー部材50が固定されている。カバー部材50上に導電性の良好な金属製の流路折り曲げ部材71が固定されている。
【0027】
図3(B)は、図2(A)の放電ランプ1の陽極側の口金部28付近の構成を示す拡大断面図であり、図3(A)は図3(B)の平面図、図3(C)は図3(B)の要部の側面図である。図3(B)において、口金部28の溝部28bが形成された軸部28aの上端には、リング状の切り欠き部28dを隔てて円板状のマウント部28cが形成され、マウント部28cの中心部から外側に向けて通気用の溝部28eが形成されている。
【0028】
また、カバー部材50は、マウント部28cの上面に載置される輪帯状の平板部50aと、口金部28の側面を覆う円筒部50cとを有し、円筒部50cの先端部50caは、口金部28からさらにガラス管25の棒状部25c側に伸びている。なお、図3(B)では、軸部28aと円筒部50cとの間には隙間があるように描かれているが、その隙間は実際には極めて小さくしてもよい。
【0029】
カバー部材50上に固定された流路折り曲げ部材71の平板部71aの底面には、カバー部材50の平板部50aの中央の開口50bに突き出るように円筒状の突部71dが形成され、平板部71aの上面には円柱状の嵌合部71bが形成されている。そして、流路折り曲げ部材71の突部71dの中央部から嵌合部71bのほぼ中間の高さの位置に向かい、そこで嵌合部71bの側面の開口71e(図3(C)参照)に連通するように折れ曲がる送風路71cが形成され、開口71eから送風路71cに口金部28を冷却するための冷風が供給される。図3(A)に示すように、流路折り曲げ部材71の上面の4箇所に座ぐり部71fが形成され、座ぐり部71f内のボルト53によって、図3(B)に示すように、流路折り曲げ部材71及びカバー部材50(ボルト53用の開口が設けられている)が口金部28に一体的に固定されている。
【0030】
図3(B)において、図1の電力ケーブル33Dを介して流路折り曲げ部材71に供給される電力は、カバー部材50、及び口金部28を介してガラス管25内の陽極に供給される。また、図1の送風用配管35Dを介して流路折り曲げ部材71の開口71eに供給される冷風は、送風路71c、カバー部材50の開口50b、溝部28e、及び切り欠き部28dを通して口金部28の溝部28bに供給され、溝部28bを流れた空気は、棒状部25cとカバー部材50の先端部50caとの間から図2(A)のガラス管25のバル
ブ部25a側に送風される。これによって、口金部28及びガラス管25が効率的に冷却される。
【0031】
次に、図4(A)は、図1の電力ケーブル33D及び送風用配管35Dを含む本例の連結ケーブル72を示す一部を切り欠いた図であり、連結ケーブル72は、第1連結機構73Aと、電力ケーブル33D及び送風用配管35Dと、第2連結機構73Bとを連結して構成されている。また、図4(B)は図4(A)中の第1連結機構73Aを示す側面図である。
【0032】
図4(A)において、第1連結機構73Aは、図3(B)の流路折り曲げ部材71の嵌合部71bに緩く嵌合する貫通孔74Aaが形成されたリング状部材74Aと、先端にねじ部が形成されたレバー75Aと、止めねじ79Aとを備えている。リング状部材74Aは、導電性の良好な金属製である。貫通孔74Aaの中心軸を含む平面に沿って貫通孔74Aaを横切るように、すり割り部74Abが形成され、すり割り部74Abを横切るように貫通孔及びねじ部74Ae(図4(B)参照)が形成されている。レバー75Aは、その貫通孔を通してその先端のねじ部がねじ部74Aeに螺合するように、リング状部材74Aに装着されている。この構成によって、図4(B)に示すように、リング状部材74Aの貫通孔74Aaに流路折り曲げ部材71の嵌合部71bを嵌合させた状態で、レバー75Aによってすり割り部74Abを締め付けることによって、迅速に、かつ容易にリング状部材74Aを流路折り曲げ部材71に安定に固定することができる。
【0033】
リング状部材74Aの上面及び底面(流路折り曲げ部材71の平板部71aに載置される面)は平面に加工されており、その上面のすり割り部74Abの近傍に、図4(B)に示すようにねじ部74Agが形成されている。さらに、リング状部材74Aのほぼ中間の高さの位置に、貫通孔74Aaに連通する第1の開放端を持つT字型の送風路74Acが形成され、送風路74Acの第2の開放端にはねじ部74Adが形成され、送風路74Acの第3の開放端は止めねじ79Aによって塞がれている。リング状部材74A内で必要な送風路は、内側の貫通孔74Aa及び側面の1箇所を連通する送風路であるが、2つの開放端のみを持つ送風路は加工が困難であるため、加工が容易なT字型の送風路74Acを形成した後、不要な第3の開放端を止めねじ79Aで塞いでいる。これによって、連結機構73Aの製造が容易になる。
【0034】
また、図4(B)に示すように、リング状部材74Aの貫通孔74Aaに連通する送風路74Acの第1の開放端の底面からの高さは、流路折り曲げ部材71の嵌合部71bに設けられている開口71e(図3(B)の送風路71cに連通している)の平板部71aからの高さと同じである。本例では、リング状部材74Aの貫通孔74Aaに流路折り曲げ部材71の嵌合部71bを嵌合させた状態で、送風路74Acの第1開放端が流路折り曲げ部材71の開口71eに対向するように、リング状部材74Aの流路折り曲げ部材71に対する相対的な回転角を調整する。これによって、リング状部材74Aの送風路74Acのねじ部74Ad側から供給される冷風を、流路折り曲げ部材71の送風路71cを介して図3(B)の口金部28側に供給することができる。
【0035】
また、リング状部材74Aの上面74Afに形成されたねじ部74Agと、送風路74Acに連通するねじ部74Adとは、図4(A)に示すように、すり割り部74Abを挟むような配置で形成されている。この構成によって、リング状部材74Aに対して側面方向にほぼ平行に電力ケーブル33D及び送風用配管35Dを接続できる。
さらに、第2連結機構73Bは、第1連結機構73Aと同じく、貫通孔74Baを有する導電性の良好な金属製のリング状部材74Bと、これに連結されてすり割り部74Bbを締め付けるレバー75Bと、リング状部材74B内のT字型の送風路74Bcの第3開放端を塞ぐための止めねじ79Bとを備えている。
【0036】
また、本例の電力ケーブル33Dは細長い多数の導線を円筒の網目状に編んだ可撓性を持つ部材である。電力ケーブル33Dの両端には、それぞれ開口が形成された平板部を持つ導電性の第1及び第2端子77A,77Bが固定されている。さらに、送風用配管35Dは、軟性の合成樹脂(例えば軟質ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン等。以下同様)又は合成ゴム等よりなり、可撓性を持つ細長い円筒状の部材であり、その内部を冷風が送風される。送風用配管35Dの両端には、それぞれ円筒状で内部に送風路76Aa等が形成された第1及び第2送風用端子76A,76Bが気密状態で固定されている。第1送風用端子76Aの先端部には、リング状部材74Aのねじ部74Adに螺合するねじ部76Abが形成され、第2送風用端子76Bの先端部にもリング状部材74Bの送風路74Bcの開放端のねじ部に螺合するねじ部が形成されている。
【0037】
そして、第1連結機構73Aのリング状部材74Aの上面74Afに第1端子77Aの平板部を載置した状態で、ボルト78Aをその平板部の開口を通してねじ部74Agに螺合することによって、リング状部材74Aに第1端子77Aが固定されている。同様に、ボルト78Bによってリング状部材74Bに第2端子77Bを固定することによって、第1連結機構73Aのリング状部材74Aと第2連結機構73Bのリング状部材74Bとは、電力ケーブル33Dを介して電気的に導通する状態で連結されている。
【0038】
また、第1送風用端子76Aのねじ部76Abがリング状部材74Aのねじ部74Adに螺合するように連結され、第2送風用端子76Bのねじ部がリング状部材74Bの不図示のねじ部に螺合するように連結されている。この結果、第1連結機構73Aのリング状部材74Aの貫通孔74Aaと、第2連結機構73Bのリング状部材74Bの貫通孔74Baとは、送風用配管35Dを介して連通している。
【0039】
図4(A)の連結ケーブル72において、図1の電源32から第2連結機構73Bのリング状部材74Bに供給される電力は、電力ケーブル33D、及び第1連結機構73Aのリング状部材74Aを介して、図3(B)の流路折り曲げ部材71に供給される。また、図1の送風装置34から図4(A)の第2連結機構73Bのリング状部材74B内の送風路74Bcに供給される冷風は、送風用配管35D、及び第1連結機構73Aのリング状部材74A内の送風路74Acを介して図3(B)の流路折り曲げ部材71の送風路71c内に送風される。
【0040】
なお、図4(A)では、連結機構73A,73Bを連結ケーブル72の一部であるとみなしているが、連結機構73Aを図3(A)の放電ランプ1の流路折り曲げ部材71に装着することによって、連結機構73Aを放電ランプ1の一つの構成部材とみなすことも可能である。
さらに、図4(A)の連結ケーブル72から第2連結機構73Bを省略してもよい。この場合には、電力ケーブル33Dの第2端子77Bを図1の電源32の端子等に直接接続し、送風用配管35Dの第2送風用端子76Bを図1の送風装置34の送風用の配管に直接接続してもよい。
【0041】
次に、図5は、図3(B)の放電ランプ1の流路折り曲げ部材71と図1の電源32及び送風装置34とを図4(A)の連結ケーブル72で連結(接続)した状態を示し、この図5において、導電性の良好な金属製の取り付け部材40に、ボルト44によって固定された端子及び電力ケーブル46を介して電源32が接続されている。また、取り付け部材40に、図3(B)の流路折り曲げ部材71とほぼ同じ構造の、導電性の良好な金属製の流路折り曲げ部材47がボルト(不図示)によって固定されている。
【0042】
流路折り曲げ部材47は、取り付け部材40に固定された平板部47aと、平板部47
aから外側に突き出た円柱状の嵌合部47bとを有し、平板部47aの底面から嵌合部47bの中間程度の高さの位置まで伸びてから嵌合部47bの側面の開口に連通するように送風路47cが形成されている。送風路47cには、取り付け部材40の凹部40a及び送風路に配置された配管45を介して送風装置34から冷風が供給される。
【0043】
図5において、放電ランプ1の流路折り曲げ部材71に連結ケーブル72を接続するためには、流路折り曲げ部材71の嵌合部71bに第1連結機構73Aのリング状部材74Aの貫通孔74Aaを嵌合させて、図4(A)の送風路74Acの第1開放端と図3(B)の流路折り曲げ部材71の開口71eとを対向させた状態で、図4(A)のレバー75Aを締め付ける。
【0044】
同様に、図5の電源側の流路折り曲げ部材47に連結ケーブル72を接続するためには、流路折り曲げ部材47の嵌合部47bに第2連結機構73Bのリング状部材74Bの貫通孔74Baを嵌合させて、図4(A)の送風路74Bcの第1開放端と図5の流路折り曲げ部材47の送風路47cに連通する開口とを対向させた状態で、図4(A)のレバー75Bを締め付ける。このように連結ケーブル72を用いることによって、極めて容易に、かつ迅速に電源32及び送風装置34と放電ランプ1とを接続できる。
【0045】
図5において、電源32から電力ケーブル46、取り付け部材40を介して流路折り曲げ部材47に供給された電力は、連結ケーブル72の第2連結機構73Bのリング状部材74B、第2端子77B、電力ケーブル33D、第1端子77A、及び第1連結機構73Aのリング状部材74Aを介して放電ランプ1の流路折り曲げ部材71に供給される。流路折り曲げ部材71に供給された電力は、カバー部材50及び口金部28を介してガラス管25内の陽極に供給される。
【0046】
一方、図5の送風装置34から配管45を介して流路折り曲げ部材47内の送風路47cに供給された冷風は、矢印A1,A2,A3,A4で示すように、第2連結機構73Bのリング状部材74B内の送風路74Bc、第2送風用端子76B、送風用配管35D、第1送風用端子76A、及び第1連結機構73Aのリング状部材74A内の送風路74Acを介して流路折り曲げ部材71内の送風路71cに送風される。そして、送風路71cに供給された冷風は、矢印A5,A6,A7で示すように、カバー部材50の開口50b、溝部28e、切り欠き部28d、口金部28の溝部28b、及び棒状部25cとカバー部材50の円筒部50cの先端部との間の空間を通ってガラス管25のバルブ部25a(図2(A)参照)側に送風される。これによって、口金部28及びガラス管25が効率的に冷却される。
【0047】
また、図5において、例えば放電ランプ1のメンテナンスを行うために、放電ランプ1から連結ケーブル72を分離する場合には、図4(A)のレバー75Aを緩めて、流路折り曲げ部材71の嵌合部71bから第1連結機構73Aのリング状部材74Aを取り外せばよい。同様に、図5の電源32及び送風装置34から連結ケーブル72を分離するためには、図4(A)のレバー75Bを緩めて流路折り曲げ部材47の嵌合部47bから第2連結機構73Bのリング状部材74Bを取り外せばよい。このように連結ケーブル72を用いることによって、極めて容易に、かつ迅速に電源32及び送風装置34と放電ランプ1とを分離できる。
【0048】
本実施形態の露光光源30及び露光装置の作用効果は以下の通りである。
(1)図3(B)の放電ランプ1の流路折り曲げ部材71に図4(A)の第1連結機構73A(リング状部材74A)を連結した状態のランプは、ガラス管25に連結された口金部28と、この口金部28に(流路折り曲げ部材71を介して)取り付けられ、導電性材料で形成されるリング状部材74Aと、リング状部材74Aに固定され、リング状部材
74Aを介して口金部28に放電用の電力を供給可能な電力ケーブル33Dと、リング状部材74Aに設けられ、口金部28に冷風を供給するための送風路74Acと、リング状部材74Aに固定され、送風路74Acを介して口金部28に冷風を供給可能な送風用配管35Dとを備えている。
【0049】
従って、放電用の電力は、電力ケーブル33D、リング状部材74A、及び口金部28を介して放電用の電極に供給され、冷風は、送風用配管35D、及びリング状部材74A内の送風路74Acを介して口金部28に供給される。これによって、口金部28が効率的に冷却される。
(2)また、図4(A)のリング状部材74Aは、電力ケーブル33Dが接続される上面74Af(第1の端子部)と、送風用配管35Dが接続されるとともに、送風路74Acと連通する開口が形成されたねじ部74Ad(第2の端子部)とを有する。従って、電力ケーブル33D及び送風用配管35Dを容易に接続できる。
【0050】
(3)また、図5に示すように、口金部28は、ガラス管25の長手方向L側に連結され、リング状部材74Aのねじ部74Ad(図4(B)参照)は、リング状部材74Aに対して長手方向Lと直交する方向(交差する方向でもよい)に向けて取り付けられている。従って、そのリング状部材74A(第1連結機構73A)に対してその長手方向Lと直交する方向に図4(A)の送風用配管35Dを連結できるため、送風用配管35Dを図1の楕円鏡2の第2焦点P2から離して配置できる。従って、送風用配管35D(連結ケーブル72)による放電ランプ1からの光の遮光量を少なくできるため、光の利用効率が高いとともに、露光光源30の発熱量が少なくなる。
【0051】
さらに、本例では、電力ケーブル33Dは送風用配管35Dとほぼ平行にリング状部材74Aに連結されるため、電力ケーブル33Dも楕円鏡2の第2焦点P2から離して配置できる。従って、放電ランプ1からの光の遮光量をさらに少なくできる。
(4)また、図4(A)のリング状部材74Aのねじ部74Adは、送風用配管35Dの第1送風用端子76Aのねじ部76Abに係合する。従って、リング状部材74Aに送風用配管35Dをねじの螺合によって迅速に、かつ安定に連結できる。
【0052】
(5)また、リング状部材74Aの上面74Afは、電力ケーブル33Dの第1端子77Aをねじ止めするためのねじ部74Agが形成された平坦部である。従って、リング状部材74Aに電力ケーブル33Dを迅速に、かつ安定に連結できる。
(6)また、本例では、図3(A)の口金部28上にカバー部材50を介して嵌合部71bを持つ流路折り曲げ部材71が設けられ、図4(A)のリング状部材74Aは、嵌合部71bに嵌合(係合)する貫通孔74Aaとこの貫通孔74Aaを横切るように設けられたすり割り部74Abとを有し、嵌合部71bに貫通孔74Aaを嵌合させた状態で、すり割り部74Abを締め付けるレバー75Aを備えている。従って、レバー75Aを締め付け又は緩めるだけで、流路折り曲げ部材71に対するリング状部材74Aの着脱を容易に、かつ短時間に行うことができる。
【0053】
(7)また、リング状部材74Aの送風路74Acは、カバー部材50と口金部28との間に連通している。従って、口金部28を効率的に冷却できる。
(8)また、本例では、図3(B)のカバー部材50と口金部28との間を介してガラス管25側に冷風を供給している。このように口金部28を冷却した空気をガラス管25側に供給することによって、ガラス管25をも冷却できる。これに関して、カバー部材50の円筒部50cの先端部50caを口金部28よりも延ばすことによって、ガラス管25に対する冷却効果を高めることが可能である。ただし、例えば送風量が多いような場合には、先端部50caを必ずしも口金部28よりも延ばす必要はない。
【0054】
なお、冷風(又は他の気体)の代わりに、冷却された液体(純水、フッ素系不活性液体等)を使用してもよい。この場合には、口金部28の表面を流れた液体を回収して再び冷却して送風用配管35D(この場合には、液体供給用の配管)に供給するための回収路を設けてもよい。
(9)また、図3(B)のカバー部材50と口金部28との間の、口金部28の軸部28aの表面には送風路としての溝部28bが螺旋状に形成されている。このように口金部28の表面に螺旋状に送風することによって、口金部28の冷却効率を向上できる。
【0055】
なお、このように口金部28の軸部28a側に溝部28bを設ける代わりに、カバー部材50の円筒部50cの軸部28aに対向する領域に、螺旋状の溝部を形成してもよい。この構成によっても、口金部28を冷却効率を向上できる。
(10)また、図3(B)の口金部28の上端にマウント部28cが設けられ、螺旋状の溝部28bは、マウント部28cの側面に設けられた溝部28eに連通している。従って、そのマウント部28c上にカバー部材50及び流路折り曲げ部材71、リング状部材74A等を設置できるとともに、リング状部材74Aの送風路74Ac、及び流路折り曲げ部材71の送風路71cからの冷風をカバー部材50の開口50b及びその溝部28eを介して口金部28の側面の溝部28bに導くことができる。
【0056】
(11)また、図4(A)の連結ケーブル72は、冷風及び電力を用いる放電ランプ1と送風装置34及び電源32とを連結するための接続用ケーブルであって、導電性材料より形成され、放電ランプ1(流路折り曲げ部材71)に着脱可能なリング状部材74Aと、リング状部材74Aに一端が固定され、かつ可撓性材料より形成されて、その冷風の送風路を有する送風用配管35Dと、送風用配管35Dとは別に設けられ、リング状部材74Aに一端が固定され、かつ導電性を持つ可撓性材料より形成された電力ケーブル33Dとを備えている。
【0057】
この連結ケーブル72によれば、電源32からの電力は、電力ケーブル33D及びリング状部材74Aを介して放電ランプ1側に供給され、送風装置34からの冷風は、送風用配管35D及びリング状部材74A(送風路74Ac)を介して放電ランプ1に供給される。従って、一つのリング状部材74Aを介して電力と冷風とを容易に放電ランプ1に供給できる。
【0058】
(12)また、電力ケーブル33Dは、多数の導線を網目状に編んだ部材であるため、容易に可撓性と導電性とを両立できる。
なお、電力ケーブル33Dの外側を可撓性を持つ絶縁材料で被覆してもよい。さらに、電力ケーブル33Dとしては、通常の絶縁材料で被覆されたリード線等を使用してもよい。
【0059】
(13)また、リング状部材74Aは、電力ケーブル33Dが接続される上面74Afと、送風用配管35Dが接続されるとともに、内部に冷風の送風路74Acが形成されたねじ部74Adとを有する。従って、リング状部材74Aに容易に電力ケーブル33D及び送風用配管35Dを接続できる。
(14)また、リング状部材74Aは、中央部に貫通孔74Aaが形成された円板状部材であり、その円板状部材の側面に送風用配管35Dが連結されるねじ部74Adが形成されている。従って、リング状部材74Aを放電ランプ1に装着した場合に、放電ランプ1の長手方向L(図2(A)参照)に直交する方向、即ち図1の楕円鏡2の第2焦点P2から遠ざかる方向に送風用配管35Dを連結できるため、送風用配管35Dによる放電ランプ1からの光の遮光量を少なくできる。
【0060】
(15)また、送風用配管35Dの一端に、ねじ部76Abが形成された中空の第1送
風用端子76Aが固定され、リング状部材74Aのねじ部74Adは第1送風用端子76Aのねじ部76Abに螺合する。従って、リング状部材74Aに第1送風用端子76Aを介して送風用配管35Dを容易に連結できる。
(16)また、電力ケーブル33Dの一端に、開口が形成された平板部を含む第1端子77Aが固定され、リング状部材74Aの上面74Afは、その第1端子77Aの平板部をねじ止めするためのねじ部74Agが形成された平坦部である。従って、その上面74Afに、その平板部を介して電力ケーブル33Dを容易に、かつ安定期に固定できる。
【0061】
(17)また、本例の露光光源30は、図5の電源32と送風装置34とに接続される装置であって、図5に示すように、放電用の電極を収納したガラス管25と、ガラス管25に連結された口金部28とを有する放電ランプ1と、連結ケーブル72とを備え、連結ケーブル72のリング状部材74Aが放電ランプ1の口金部28に取り付けられるとともに、リング状部材74Aに冷風用の送風路74Acが形成され、連結ケーブル72の電力ケーブル33D及びリング状部材74Aを介して電源32から口金部28に電力を供給し、連結ケーブル72の送風用配管35D及びリング状部材74Aを介して送風装置34から口金部28に冷風を供給している。
【0062】
従って、電源32からの電力は、その口金部28からガラス管25内の放電用の電極に供給され、送風装置34からの冷風は口金部28に供給される。従って、口金部28に対する冷却作用が大きい。また、冷風は、口金部28の近傍ではリング状部材74Aに設けられた送風路74Acを通過する。従って、本例のように口金部28が自由端側にある場合に、冷風供給用の配管等による放電ランプ1から発生する光の遮光量が少なくなり、光の利用効率が高いと共に、露光光源30の温度上昇も少ない。
【0063】
(18)また、本例の露光装置は、放電ランプ1から発生した露光光によってウエハW(感光基板)にレチクルRのパターンを露光する露光装置であって、露光光源として本例の露光光源30を用いている。従って、放電ランプ1からの光の遮光量が少なくなり、露光光の照度を高めて露光工程のスループットを高めることができる。さらに、放電ランプ1を効率的に冷却でき、熱変形が低減するため、結像特性等を向上できる。
【0064】
また、上記の実施形態では、図3(B)に示すように、口金部28とカバー部材50との間に螺旋状の溝部28bが形成されている。しかしながら、図6に示すように、円筒状の軸部28aに溝部等が形成されていない口金部28Aを用いることも可能である。図6の構成では、流路折り曲げ部材71の送風路71c内の空気は、口金部28Aのマウント部28cの一部に設けられた溝部28eを介して軸部28aとカバー部材50の円筒部50cとの間に空間に供給され、そのまま軸部28aの表面を棒状部25c側に流れる。
【0065】
また、上記の実施の形態の投影露光装置(露光装置)は、露光光源、複数のレンズ等から構成される照明光学系、及び投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をして、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、その投影露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0066】
また、半導体デバイス等のマイクロデバイスは、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ、デバイスの基材である基板を製造するステップ、前述した実施形態の投影露光装置によりレチクルのパターンを基板(ウエハ等)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、並び
に検査ステップ等を経て製造される。
【0067】
なお、本発明の光源装置は、上述のステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー等)の他に、ステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置(スキャニング・ステッパー等)の露光光源にも適用できる。また、本発明の光源装置は、国際公開第99/49504号パンフレット、国際公開第2004/019128号パンフレット等に開示される液浸型露光装置の露光光源にも適用することができる。また、本発明の光源装置は、投影光学系を使用しないプロキシミティ方式若しくはコンタクト方式の露光装置の光源装置、又は露光装置以外の機器の光源にも適用することができる。
【0068】
なお、上述の実施形態においては、転写用のパターンが形成されたレチクル(マスク)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターンまたは反射パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子やプラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックスウエハ上に転写する露光装置、並びに撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシーン、MEMS(Microelectromechanical Systems)、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置及びEUV露光装置などで使用されるマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0069】
また、上記の実施形態の図4(A)の連結ケーブル72は、露光装置以外の電力及び冷風を使用する機器と、図5の電力32及び送風装置34とを連結する場合にも使用できる。
このように本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。また、明細書、請求の範囲、図面、及び要約を含む2007年4月12日付け提出の米国仮出願第60/907,654号の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施形態の一例の投影露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2(A)は図1中の放電ランプ1を示す一部を切り欠いた図、図2(B)は図2(A)のBB線に沿う断面図である。
【図3】図3(A)は図2(A)の口金部28側の流路折り曲げ部材71を示す平面図、図3(B)は、図2(A)の口金部28近傍の構成を示す断面図、図3(C)は図3(B)の要部の側面図である。
【図4】図4(A)は実施形態の一例の連結ケーブル72を示す一部を切り欠いた図、図4(B)は図4(A)中の連結機構73Aを示す側面図である。
【図5】図3(B)の放電ランプ1に図4の連結ケーブル72を介して電源32及び送風装置34を連結した状態を示す一部を切り欠いた図である。
【図6】実施形態の変形例の口金部近傍の構成を示す一部を切り欠いた図である。
【符号の説明】
【0071】
1…放電ランプ、2…楕円鏡、25…ガラス管、25a…バルブ部、25c…棒状部、26…口金部、28…口金部、28b…溝部、30…露光光源、31…取り付け部材、32…電源、33D…電力ケーブル、34…送風装置、35D…送風用配管、50…カバー部材、71…流路折り曲げ部材、71c…送風路、72…連結ケーブル、73A,73B…連結機構、74A,74B…リング状部材、75A,75B…レバー、76A,76B…送風用端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス部材の内部に放電用の電極を収納した放電ランプであって、
前記ガラス部材に連結された口金部材と、
前記口金部材に取り付けられ、導電性材料で形成される中継部材と、
前記中継部材に固定され、前記中継部材を介して前記口金部材に放電用の電力を供給可能な第1のケーブルと、
前記中継部材に設けられ、前記口金部材に冷却用媒体を供給するための流路と、
前記中継部材に固定され、前記流路を介して前記口金部材に冷却用媒体を供給可能な第2のケーブルとを備えることを特徴とする放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−253041(P2012−253041A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−199226(P2012−199226)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【分割の表示】特願2008−97606(P2008−97606)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】