説明

放電灯ユニット

【課題】放電灯に外力が加わっても断線が生じにくい放電灯ユニットを提供すること。
【解決手段】ケース5と、前記ケース5に取り付けられ、放電灯3と固定されるカバー部材7と、前記ケース5に収容され、前記放電灯3を点灯させる電子回路17と、前記放電灯3の端子13、14と接続するとともに、前記電子回路17に導通する放電灯ユニット側端子19、20と、を備えた放電灯ユニット1であって、前記ケース5及び前記カバー部材7のうちの一方が凸22部を有するとともに、他方が凹部又は孔部25を有し、前記カバー部材7を前記ケース5に取り付けたとき、前記凸部22が、前記凹部又は前記孔部25に差し込まれ、前記ケース5に対する前記カバー部材7の位置が決まることを特徴とする放電灯ユニット1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯を取り付け、その放電灯を点灯させる放電灯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のヘッドライト等の用途に、放電灯が用いられている。放電灯は、放電灯ユニットに取り付けられ、放電灯ユニットが内蔵する電子回路(パワー回路、制御回路等)により点灯される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−022702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放電灯ユニットを小型化する場合、図6に示すような構成が考えられる。この放電灯ユニットP1は、放電灯P3を取り付け、それを点灯させる制御装置である。放電灯ユニットP1は、ケースP5、及びカバー部材P7を備える。
【0005】
放電灯ユニットP1に取り付けられる放電灯P3は、本体部P9と、本体部P9の長手方向における略中央に取り付けられた口金P11と、本体部P9における一方の端部から導出された一対の端子P13、P14とを備える。
【0006】
ケースP5は、略直方体形状の筐体である。ケースP5は、放電灯P3における端子P13側の一部を挿入可能な挿入孔P15と、端子P14側の一部を挿入可能な挿入孔P16とを備える。また、ケースP5の内部には、放電灯P3を点灯させる電子回路P17が収容されている。また、ケースP5の内部には、挿入孔P15に挿入された放電灯P3の端子P13と接続するとともに、電子回路P17に導通するバスバーP19と、挿入孔P16に挿入された放電灯P3の端子P14と接続するとともに、電子回路P17に導通するバスバーP20とが設けられている。これらのバスバーP19、P20は、ケースP5に対し固定されている。よって、放電灯P3をケースP5の挿入孔P15、P16に挿入したとき、放電灯P3の端子P13、P14は、それぞれ、バスバーP19、P20を介して電子回路P17に接続し、放電灯P3は電子回路P17により点灯する。
【0007】
カバー部材P7は、板状の部材であって、ケースP5のうち、放電灯P3を挿入する側の面(以下、挿入面P5aとする)に当接する、長方形形状の本体部P21と、本体部P21の外周に位置し、本体部P21に対して90度折り曲げられた外周部P23とを備える。外周部P23は本体部P21の四方にそれぞれ設けられている。カバー部材P7をケースP5に取り付けたとき、外周部P23がケースP5における4方の側面P5bに外側から当接し、ケースP5に対するカバー部材P7の位置が決まる。
【0008】
また、カバー部材7の本体部P21には、挿入孔P15、P16と重なる位置に、放電灯P3を挿入可能な円形の孔部P25が形成されている。よって、カバー部材P7をケースP5に取り付けた状態でも、孔部P25を通して、放電灯P3を挿入孔P15、P16に挿入可能である。
【0009】
また、カバー部材7は、孔部P25の外周に沿って立設された、カラー部P27を備える。放電灯P3を挿入孔P15、P16に挿入したとき、放電灯P3の口金P11がカラー部P27の上端に当接する。カラー部P27と口金P11とを溶接することで、放電灯P3はカバー部材7に対し(すなわち放電灯ユニットP1に対し)取り付けられる。
【0010】
上記の放電灯ユニットP1においては、放電灯P3に外力が加わったとき、放電灯P3に溶接されたカバー部材P7が変形し、ケースP5に対する放電灯P3の位置が変位してしまう。その結果、放電灯P3の端子P13、P14と、放電灯ユニットP1側のバスバーP19、P20との接続部に過大な応力が加わり、断線してしまうおそれがある。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、放電灯に外力が加わっても断線が生じにくい放電灯ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の放電灯ユニットは、ケースと、前記ケースに取り付けられ、放電灯と固定されるカバー部材と、前記ケースに収容され、前記放電灯を点灯させる電子回路と、前記放電灯の端子と接続するとともに、前記電子回路に導通する放電灯ユニット側端子とを備える。
【0013】
また、本発明の放電灯ユニットでは、前記ケース及び前記カバー部材のうちの一方が凸部を有するとともに、他方が凹部又は孔部を有し、前記カバー部材を前記ケースに取り付けたとき、前記凸部が、前記凹部又は前記孔部に差し込まれ、前記ケースに対する前記カバー部材の位置が決まる。
【0014】
本発明の放電灯ユニットでは、凸部と、凹部又は孔部とにより、ケースに対するカバー部材の位置が決まるので、放電灯に外力が加わっても、カバー部材の変形、及びケースに対する放電灯の位置の変位が生じにくい。その結果、放電灯に外力が加わっても、放電灯の端子と放電灯ユニット側端子との接続部に過大な応力が加わらず、断線が生じにくい。
【0015】
本発明の放電灯ユニットの形態は、例えば、以下のものとすることができる。すなわち、前記ケースは、前記カバー部材を取り付ける面に、前記放電灯の一部を挿入可能な挿入孔を有するとともに、前記挿入孔の周囲に前記凸部を有し、前記カバー部材は、前記挿入孔と重なる位置に、前記放電灯の一部を挿入可能であるとともに、前記凸部を差し込み可能な前記孔部を有するという形態である。この形態によれば、放電灯を挿入する挿入孔の周囲にある凸部でカバー部材の位置を決めるので、放電灯の近傍におけるカバー部材の変形を一層小さくすることができる。その結果、ケースに対する放電灯の位置の変位を一層小さくすることができ、放電灯の端子と放電灯ユニット側端子との接続部における断線が一層生じにくい。
【0016】
上記の形態において、例えば、前記ケースは、前記挿入孔の周囲に前記凸部を複数備え、前記複数の凸部は、それぞれ前記孔部の端面に内接し、前記ケースに対する前記カバー部材の位置を決めるようにすることができる。こうすることにより、放電灯の近傍におけるカバー部材の変形を一層小さくすることができる。その結果、ケースに対する放電灯の位置の変位を一層小さくすることができ、放電灯の端子と放電灯ユニット側端子との接続部における断線が一層生じにくい。
【0017】
また、上記の形態において、例えば、前記カバー部材は、前記孔部の外周に沿って立設されたカラー部を備え、前記放電灯は、前記カラー部に固定することができる。こうすることにより、カバー部材において、放電灯を固定する部分(カラー部)と、凸部で位置を決める部分(孔部)との距離が小さくなるので、放電灯の近傍におけるカバー部材の変形を一層小さくすることができる。その結果、ケースに対する放電灯の位置の変位を一層小さくすることができ、放電灯の端子と放電灯ユニット側端子との接続部における断線が一層生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】放電灯3と、放電灯ユニット1を構成する部材(ケース5、及びカバー部材7)とを分解した状態を表す斜視図である。
【図2】放電灯3と、放電灯ユニット1を構成する部材(ケース5、及びカバー部材7)を分解した状態を表す側面図である。
【図3】放電灯ユニット1の構成を表す側面図である。
【図4】放電灯ユニット1の別形態を表す側面図である。
【図5】放電灯ユニット1の別形態を表す側面図である。
【図6】放電灯ユニットP1の構成を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.放電灯ユニット1の構成
放電灯ユニット1の構成を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、放電灯3と、放電灯ユニット1を構成する部材(ケース5、及びカバー部材7)とを分解した状態を表す斜視図であり、図2は、放電灯3と、放電灯ユニット1を構成する部材(ケース5、及びカバー部材7)を分解した状態を表す側面図であり、図3は、放電灯ユニット1の構成を表す側面図である。
【0020】
放電灯ユニット1は、放電灯3を取り付け、それを点灯させる制御装置である。放電灯ユニット1は、図示しない外部のバッテリから電力を供給される。放電灯ユニット1は、ケース5、及びカバー部材7を備える。
【0021】
放電灯ユニット1に取り付けられる放電灯3は、気体が密封された管の両端に電極が設けられ、これら電極の間に起きる放電現象によって発光する周知のものである。放電灯3は、本体部9と、本体部9の長手方向における略中央に取り付けられた口金11と、本体部9における一方の端部から導出された一対の端子13、14とを備える。
【0022】
ケース5は、略直方体形状の筐体である。ケース5は、放電灯3における端子13側の一部を挿入可能な挿入孔15と、端子14側の一部を挿入可能な挿入孔16とを備える。また、ケース5の内部には、放電灯3を点灯させる電子回路17が収容されている。なお、この電子回路17は、放電灯ユニットにおける周知の電子回路であり、例えば、フィルタ回路、DC/DCコンバータ回路、補助点灯回路、Hブリッジ回路、高電圧発生回路、制御回路等を含む。
【0023】
また、ケース5の内部には、挿入孔15に挿入された放電灯3の端子13と接続するとともに、電子回路17に導通するバスバー(放電灯ユニット側端子)19と、挿入孔16に挿入された放電灯3の端子14と接続するとともに、電子回路17に導通するバスバー(放電灯ユニット側端子)20とが設けられている。これらのバスバー19、20は、ケース5に対し固定されている。よって、放電灯3をケース5の挿入孔15、16に挿入したとき、放電灯3の端子13、14は、それぞれ、バスバー19、20を介して電子回路17に接続し、放電灯3は電子回路17により点灯する。
【0024】
また、ケース5の外側面のうち、放電灯3を挿入する側の面(以下、挿入面5aとする)には、2つのアンカー(凸部)22が立設されている。アンカー22は板状部材であり、挿入面5aと直交する方向に延びている。2つのアンカー22の位置は、挿入孔15の周囲であって、挿入孔15に関して対称となる位置である。
【0025】
カバー部材7は、板状の部材であって、ケース5における挿入面5aに当接する、長方形形状の本体部21と、本体部21の外周に位置し、本体部21に対して90度折り曲げられた外周部23とを備える。外周部23は本体部21の四方にそれぞれ設けられている。また、カバー部材7の本体部21には、挿入孔15、16と重なる位置に、放電灯3を挿入可能な円形の孔部25が形成されている。よって、カバー部材7をケース5に取り付けた状態でも、孔部25を通して、放電灯3を挿入孔15、16に挿入可能である。
【0026】
また、カバー部材7は、本体部21のうち、挿入面5aに当接する側とは反対側の面に、複数のカラー部27を備える。複数のカラー部27は、孔部25の外周に沿って、一定の間隔をおいて配置されている。カラー部27は板状部材であり、本体部21と直交する方向に立設されている。
【0027】
カバー部材7をケース5に取り付けたとき、カバー部材7の本体部21はケース5の挿入面5aに当接し、外周部23はケース5の4方の側面5bに外側から当接する。このとき、ケース5が備える2つのアンカー22は、それぞれ、カバー部材7の孔部25に差し込まれ、孔部25の内側端面、及びカラー部27の内側面に内接する。孔部25において2つのアンカー22が内接する位置は、2つのアンカー22を結ぶ直線が、孔部25の直径となる位置である。また、カバー部材7をケース5に取り付けたとき、アンカー22の先端と、カラー部27の先端とは同じ高さとなる。
【0028】
上記のように、2つのアンカー22が、それぞれ、孔部25の内側端面、及びカラー部27の内側面に内接することにより、ケース5に対するカバー部材7(特に、カバー部材7における孔部25の近傍)の位置が決まる。また、図3に示すように、アンカー22の先端とカラー部27の先端とを溶接し、溶接部24を形成することで、カバー部材7はケース5に固定される。また、カバー部材7の外周部23がケース5における4方の側面5bに外側から当接することでも、ケース5に対するカバー部材7の位置が決まる。
【0029】
カバー部材7をケース5に取り付けた状態において、放電灯3をケース5の挿入孔15、16に挿入したとき、放電灯3の口金11がカラー部27の上端に当接する。カラー部27と口金11とを溶接することで、放電灯3はカバー部材7に対し(すなわち放電灯ユニット1に対し)取り付けられる。
【0030】
2.放電灯ユニットが奏する効果
放電灯ユニット1では、ケース5のアンカー22と、カバー部材7の孔部25及びカラー部27とにより、ケース5に対するカバー部材7の位置が決まるので、放電灯3に外力が加わっても、カバー部材7の変形、及びケース5に対する放電灯3の位置の変位が生じにくい。その結果、放電灯3に外力が加わっても、放電灯3の端子13、14とバスバー19、20との接続部に過大な応力が加わらず、断線が生じにくい。
【0031】
特に、放電灯3を挿入する挿入孔15、16の周囲にあるアンカー22でカバー部材7の位置を決めるので、放電灯3の近傍におけるカバー部材7の変形を一層小さくすることができる。その結果、ケース5に対する放電灯3の位置の変位を一層小さくすることができ、放電灯3の端子13、14とバスバー19、20との接続部における断線が一層生じにくい。
【0032】
また、カバー部材7は、孔部25の外周に沿って立設されたカラー部27を備え、放電灯3は、カラー部27に固定される。このことにより、カバー部材7おいて、放電灯3を固定する部分(カラー部27)と、アンカー22で位置を決める部分(孔部25)との距離が小さくなるので、放電灯3の近傍におけるカバー部材7の変形を一層小さくすることができる。その結果、ケース5に対する放電灯3の位置の変位を一層小さくすることができ、放電灯3の端子13、14とバスバー19、20との接続部における断線が一層生じにくい。
【0033】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、図4に示すように、ケース5は、挿入面5aに、アンカー22の代わりに、凹部29を備えていてもよい。この場合、カバー部材7の下面に、凸部31を設けることができる。そして、カバー部材7をケース5に取り付けたとき、凸部31が凹部29に挿入され、ケース5に対するカバー部材7の位置が決まる。凸部31の位置は、カラー部27に近いことが好ましく、例えば、カラー部27の裏側とすることができる。こうすることにより、カバー部材7おいて、放電灯3を固定する部分(カラー部27)と、ケース5に対し固定される部分(凸部31)との距離が小さくなるので、放電灯3の近傍におけるカバー部材7の変形を一層小さくすることができる。その結果、ケース5に対する放電灯3の位置の変位を一層小さくすることができ、放電灯3の端子13、14とバスバー19、20との接続部における断線が一層生じにくい。
【0034】
また、アンカー22の位置は、前記実施形態における位置には限定されず、例えば、図5に示すように、孔部25よりも、側面5b寄りの位置としてもよい。この場合、カバー部材7に、孔33を形成し、カバー部材7をケース5に取り付けたとき、アンカー22が孔33に挿入され、ケース5に対するカバー部材7の位置が決まるようにすることができる。
【0035】
また、前記実施形態において、アンカー22の数は2には限定されず、例えば、3、4、5、6・・・・とすることができる。3個以上のアンカー22の配置は、例えば、カバー部材7をケース5に取り付けたとき、孔部25の円周に沿って、アンカー22が等間隔で並ぶような配置とすることができる。また、アンカー22は、1つの円筒形状の部材であってもよい。この場合、カバー部材7をケース5に取り付けたとき、円筒形状のアンカー22が孔部25に隙間無く内接することで、ケース5に対するカバー部材7の位置が決まる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・放電灯ユニット、3・・・放電灯、5・・・ケース、5a・・・挿入面、
5b・・・側面、7・・・カバー部材、9・・・本体部、11・・・口金、
13、14・・・端子、15・・・孔部、15、16・・・挿入孔、
17・・・電子回路、19、20・・・バスバー、21・・・本体部、
22・・・アンカー、23・・・外周部、24・・・溶接部、
25・・・孔部、27・・・カラー部、29・・・凹部、31・・・凸部、
33・・・孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに取り付けられ、放電灯と固定されるカバー部材と、
前記ケースに収容され、前記放電灯を点灯させる電子回路と、
前記放電灯の端子と接続するとともに、前記電子回路に導通する放電灯ユニット側端子と、を備えた放電灯ユニットであって、
前記ケース及び前記カバー部材のうちの一方が凸部を有するとともに、他方が凹部又は孔部を有し、
前記カバー部材を前記ケースに取り付けたとき、前記凸部が、前記凹部又は前記孔部に差し込まれ、前記ケースに対する前記カバー部材の位置が決まることを特徴とする放電灯ユニット。
【請求項2】
前記ケースは、前記カバー部材を取り付ける面に、前記放電灯の一部を挿入可能な挿入孔を有するとともに、前記挿入孔の周囲に前記凸部を有し、
前記カバー部材は、前記挿入孔と重なる位置に、前記放電灯の一部を挿入可能であるとともに、前記凸部を差し込み可能な前記孔部を有することを特徴とする請求項1記載の放電灯ユニット。
【請求項3】
前記ケースは、前記挿入孔の周囲に前記凸部を複数備え、
前記複数の凸部は、それぞれ前記孔部の端面に内接し、前記ケースに対する前記カバー部材の位置を決めることを特徴とする請求項2記載の放電灯ユニット。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記孔部の外周に沿って立設されたカラー部を備え、
前記放電灯は、前記カラー部に固定されることを特徴とする請求項2又は3記載の放電灯ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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